上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

2013年11月

2013年11月の仕事・社会活動

ついに2013年も11カ月が経過し、明日から12月です。

国会は安倍政権・与党と一部の野党が暴走しています。
これを阻止しなければ!!!

さて、
私の今月(2013年11月)の仕事・社会活動について恒例のまとめを行ってみました。
ただし、学内の仕事は除きます。


1.2013年11月の仕事・社会活動

◆「上脇教授の新刊 94年政治改革は9条改憲の土台づくり」小倉タイムス1901号(2013年11月1日)で、私の新刊ブックレット『安倍改憲と「政治改革」 【解釈・立法・96条先行】改憲のカラクリ』(日本機関紙出版センター・2013年)が紹介されました。

◆2013年11月3日(日)午後

兵庫県憲法会議などが中心になって神戸憲法集会を開催しました。

◆2013年11月4日(月)

「大阪歯科保険医新聞」における7回連載のうちの第5回(11月25日号)原稿(締切11月13日)を依頼者に送付し、内容について相談。


雑誌『ねっとわーく京都』299号(2013年12月号)が届きました。
私の原稿「政治とカネ 連載48 政党交付金のため込み問題」(75〜77頁)が掲載されています。


◆私の原稿「改憲の足音 自衛権の行使はどこまで? 世界中で米国の戦争に参加」が「大阪歯科保険医新聞」1154号(2013年11月5日)に掲載さています。

◆2013年11月5日(火)

「大阪歯科保険医新聞」における7回連載のうちの第4回(11月15日号)原稿が依頼者に届いていなかったので、再度送信しました。

第5回原稿も同様。

◆2013年11月8日(金)

「大阪歯科保険医新聞」における7回連載のうちの第5回(11月25日号)原稿(締切11月13日)について、依頼者から加筆修正の要望があり、加筆修正して再度送付しました。

◆私たちが告発する予定が報道されました。

「吹田市長ら刑事告発へ 市民団体「架空支出に監督責任」」産経新聞2013.11.9 14:02
「吹田市長らを告発へ 虚偽の政治資金収支報告容疑」朝日新聞デジタル 11月9日(土)17時14分配信
「吹田市長ら告発へ 政治資金を虚偽記載容疑」2013/11/09 05:27 【共同通信】
「政治資金架空記載 吹田市長らを告発へ」(2013年11月9日 読売新聞)


◆2013年11月11日(月)

午前
「大阪歯科保険医新聞」における7回連載のうちの書き直した第5回(11月25日号)原稿(締切11月13日)について、依頼者からOKの連絡がありました。

次の企画のブックレット原稿を出版社の担当者に送りました。

夕方
護憲団体の懇談会


◆2013年11月13日(水)

0時すぎ
16日の講演レジュメを送付しました。

午前
「大阪歯科保険医新聞」における7回の連載の第6回(12月05日号)を締切(11月25日)前に送って、依頼者の意見を聞くことにしました。

◆「反省の弁も詳細語らず みずほ頭取参考人質疑 国会 追求に甘さ」産経新聞2013年11月13日夕刊で、私のコメントが紹介されました。

◆私の原稿「改憲の足音ぁ‖森饑匏海悗了臆叩 国連決議なき戦争にも加担」が「大阪歯科保険医新聞」1155号(2013年11月15日)に掲載されました。

◆2013年11月16日(土)午後2時より

淡路で講演しました。

演題「改憲をめぐる情勢と私たちの課題」
  −集団的自衛権・96条改悪・自民党改憲草案等−」
場所:「洲本市総合福祉会館」多目的ホール(第二小よこ)
主催:淡路九条の会


◆2013年11月18日(月)

TBSの番組「朝ズバッ!」で横浜市議会の費用弁償問題が取り上げられ、私の電話でのコメント(事前収録)が紹介されました。

法学館憲法研究所の憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>で、ブックレット『安倍改憲と「政治改革」   【解釈・立法・96条先行】改憲のカラクリ』が紹介されました。
書籍『安倍改憲と「政治改革」』

◆2013年11月19日(火)

夕方
大阪で、ある訴訟の弁護団会議。

「大阪歯科保険医新聞」における7回の連載の第6回(12月05日号)の原稿(11月25日締切)について、依頼者から要望がありました。

夜中
雑誌『ねっとわーく京都』300号(2014年1月号)の原稿「政治とカネ 連載49」の原原稿を脱稿しました。
「元「維新の会」顧問・吹田市長の政党支部の架空支出とその刑事告発」

◆2013年11月20日(水)

0時すぎ
「大阪歯科保険医新聞」における7回の連載の第6回(12月05日号)の原稿(11月25日締切)を少し書き換えて、依頼者に送りました(OKの返事あり)。

◆「大阪市 膨大な公開請求 提訴へ 男性を「業務に支障、威圧的要求」」毎日新聞2013年11月20日で、私のコメント「訴訟は最終手段」が紹介されました。

◆2013年11月21日(木)

井上哲也吹田市長らを政治資金規正法違反(虚偽記載)・私文書偽造・行使罪の容疑で大阪地検に刑事告発しました。

以下、報道されました。

・テレビ
「吹田市長ら刑事告発 政治資金規正法違反で」[ 11/21 11:48 読売テレビ]
「“架空支出”吹田市長を告発 」NHK11月21日12時29分
「収支報告書架空支出 市民グループが吹田市長を告発」MBS(11/21 12:42)
「【ミス?】「政治資金報告書にうそ」吹田市長を刑事告発」ABC11/21 19:28

・新聞・通信社
<架空支出>吹田市長の府議時代 虚偽記載でオンブズ告発」毎日新聞 11月21日(木)11時3分配信
「吹田市長らを告発=政治資金虚偽記載の疑い−市民団体」時事通信(2013/11/21-12:16)
「吹田市長ら刑事告発 市民団体、政治資金規正法違反罪で」産経新聞 11月21日(木)14時53分配信
「吹田市長らを告発へ 虚偽の政治資金収支報告容疑」朝日新聞2013年11月9日17時14分

「しんぶん赤旗」2013年11月22日近畿面

◆2013年11月21日(木)

雑誌『ねっとわーく京都』300号(2014年1月号)の原稿「政治とカネ 連載49」の原原稿「元「維新の会」顧問・吹田市長の政党支部の架空支出とその刑事告発」の校正ゲラが届きました。すぐに校正を終えて返送しました。

◆医療法人「徳洲会」側(?徳田家?)からの猪瀬直樹東京都知事への5000万円問題についての私の短いコメントが、以下の新聞紹介されています。

「東京新聞」2013年11月23日
「朝日新聞」2013年11月23日
「産経新聞」2013年11月23日

共同通信配信によるもの
「神戸新聞」2013年11月23日
「西日本新聞」2013年11月23日
「南日本新聞」2013年11月23日
(まだあるかもしれませんが、未確認です。分かり次第追加します。)

◆「改憲の足音ァ,覆舎\局長官を交代? 「解釈改憲」というクーデター」大阪歯科保険医新聞1156号(2013年11月25日)。

◆日本ジャーナリスト会議の機関紙「ジャーナリスト」668号(2013年11月25日)に私のブックレット『安倍改憲と政治改革』(日本機関紙出版センター)が紹介されました。

◆2013年11月25日(月)

お昼頃
全国商工新聞「視点」の原稿執筆依頼があり、引き受けました。
テーマは猪瀬直樹東京都知事への5000万円問題
字数1400字(11字×125行)
締切は2日後の11月27日。


◆「横浜 費用弁償復活 市議「道理ない」「市民感覚合わず」4割が受給拒否」東京新聞2013年11月26日で、私のコメントが紹介された。

◆2013年11月26日(火)

24時前

「大阪歯科保険医新聞」における7回連載の最後・第7回(12月15日号)の原稿(締切は12月3日)を一応書き上げ、依頼者に意見を聞くために送付しまた。

◆2013年11月27日(水)

23時過ぎ
全国商工新聞「視点」の原稿を書きあげ、送りました。
テーマは猪瀬都知事の5000万円問題

◆「高野氏選挙報告書 領収書 陣営が宛名書き 筆跡酷似130枚 提出分の3割」高知新聞2013年11月28日で、私のコメントが紹介されました。


◆2013年11月28日(木)

午前中
29日の講演レジュメを完成させ、依頼者に送りました。

夕方、
2012年分の政治資金収支報告書における他党などへの寄附問題についてNHKの取材を受けました。

「大阪歯科保険医新聞」における7回の連載の第6回(12月5日号)の原稿の校正が届き、校正しました。

◆「宮下一郎衆院議員:政治活動費でゴルフ、自民支部2万円 秘書が会費 /長野」毎日新聞 2013年11月29日 地方版で、私のコメントが紹介されました。

◆2013年11月29日(金)14時〜16時

西明石で講演しました。

会場:「サンライフ明石」2Fの研修室(JR西明石駅 下車 南へ 徒歩約5分)
   明石市西明石南町3丁目1−21
講演のテーマ:「集団的自衛権とはどういうものか」
主催:西明石9条の会

◆総務大臣提出分の2012年政治資金収支報告書が公開されましたので、以下で私のコメントが紹介されました。

「徳洲会マネー、97国会議員に 献金・融資1282万円」朝日新聞2013年11月30日
「電力役員らは3倍増」毎日新聞2013年11月30日
「自民選考中パー券購入 衆院福岡3、4区出馬希望者側 武田氏側の250万円分」西日本新聞2013年11月30日
「離党など5人 政党交付金返還逃れ? 管理団体に6200万円移す」読売新聞2013年11月30日夕刊

◆2013年11月30日

先日相談した、「大阪歯科保険医新聞」における7回連載の最後・第7回(12月15日号)の原稿(締切は12月3日)の修正の依頼がありました。
検討します。


2.2013年12月以降の仕事・社会活動の予定

◆「猪瀬都知事 徳洲会から5000万円 面会同席者が「選挙資金」本誌に証言」しんぶん赤旗日曜版2013年12月1日号で私の短いコメントが紹介されました。

◆2013年12月3日(火)

「大阪歯科保険医新聞」における7回連載の最後・第7回(12月15日号)締切

分量は1回800字程度(1行11字、72行〜74行を目安)

◆2013年12月16日(月)18時30分〜20時

地元で講演します。

平和憲法を守る12・16兵庫県集会

講師:上脇博之「安倍政権の憲法破壊と私たちの課題」

場所:「兵庫県民会館」大ホール
主催:平和憲法を守る兵庫県連絡会

◆2013年12月20日(金)???・・・実際にはもっと早いかな!?

雑誌『ねっとわーく京都』301号(2011年2月号)の原稿「政治とカネ 連載50」の原稿締切。

何を書くかな?あれかな?


◆2014年1月29日(水)午後6時〜

「憲法改悪ストップ兵庫県共同センター」の総会で40分程度話をします。

◆2014年2月11日(火)13:30〜15:50(うち講演時間は90分程度を予定)

和歌山で講演します。

「2014年 平和・人権・民主主義 2・11和歌山市集会」

趣旨:「紀元節」の復活、軍国主義の復活強化というねらいに反対し、平和と民主主義の発展を願う。

場所:和歌山市勤労者総合センター6階文化ホール(和歌山市役所西隣)

自民党改憲案分析や選挙制度問題に秘密保護法をからめて


◆2014年5月3日(土)憲法記念日 午後

2014年5・3神戸憲法集会

◆2014年6月15日(日)

北九州市で講演することになるまもしれません。
正式に決まったら、お知らせします。


3.呼びかけ

(1)竹下彌平さんについての情報提供をお願いします

なお、有力な情報提供がありました。

(2)母校への憲法本の寄贈の呼びかけ

6年目の今年も呼びかけます〜〜小中高への寄贈に相応しい憲法本を推薦してください!

憲法会議の声明「憲法の諸原則と民主主義に反する「秘密保護法」採決強行に抗議し、廃案を求めます」の紹介

(1)「秘密保全法案」、それと基本的に変わらない「特定秘密保護法案」(「特定情報隠蔽法案」)については、昨年から、何度も、このブログで、それを批判する声明などを紹介してきました。

秘密保全法制定に反対する種々の意見書等の紹介(その1)

秘密保全法制定に反対する種々の意見書等の紹介(その2)

秘密保全法制定に反対する種々の意見書等の紹介(その3)

声明「改憲と連動し、国民から自由を奪う秘密保全法案の制定に反対する」の紹介

声明「改憲と連動し、国民から自由を奪う秘密保全法案の制定に反対する」の再度紹介と7月30日までの賛同者の紹介

「秘密保護法の制定に反対する憲法・メディア法・刑事法研究者の声明」の紹介

「秘密保護法の制定に反対する憲法・メディア法研究者の声明」呼びかけ人・賛同者155人!

「特定秘密保護法の制定に反対する刑事法研究者の声明」(呼びかけ人・賛同人132人)の紹介

(2)しかし、政府与党は、特定秘密保護法の修正案を、一部の野党(みんなの党)とともに衆議院でそれを強行採決しました。
朝日新聞2013年11月26日21時41分
特定秘密保護法の修正案、衆院通過 与党・みんなが賛成

 自民党、公明党、みんなの党、日本維新の会の4党が提出した特定秘密保護法案の修正案が26日夜の衆院本会議で、自公とみんなの賛成多数で可決された。維新は棄権、みんなの一部議員が反対、棄権に回り、自民の1人も棄権した。国民の「知る権利」を侵害するなど多くの問題を抱えたままの法案に対し、25日の衆院特別委の地方公聴会で意見陳述者が全員反対の立場を取り、修正案の審議もわずか2時間だったが、採決を強行して参院に送った。
 与党は12月6日までの今国会の会期内に成立させるため、26日中の衆院通過にこだわり、同日午前の衆院国家安全保障特別委員会で採決を強行した。
 本会議では、自民の村上誠一郎元行政改革担当相が「政治家として反対というか、問題がいっぱいある」として退席し、棄権した。みんなは井出庸生(ようせい)氏と林宙紀(ひろき)氏が出席して反対、江田憲司氏が退席して棄権した。NHK記者出身の井出氏は取材に「取材活動を萎縮させる」などと反対理由を述べた。民主党、共産党、生活の党は出席して反対した。採決は起立で行われ、重要法案などで個々の議員の賛否を明確にする記名採決はとらなかった。

(3)「憲法改悪阻止各界連絡会議」(憲法会議)が本日(2013年11月27日)、昨日の衆議院での強行採決を批判する声明「憲法の諸原則と民主主義に反する「秘密保護法」採決強行に抗議し、廃案を求めます≫を発表しましたので、以下、紹介し、改めて参議院での廃案を強く求めます。
【声明】

憲法の諸原則と民主主義に反する「秘密保護法」採決強行に抗議し、廃案を求めます


                             2013年11月27日
                        憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)
                 〒101-0051千代田区神田神保町2-10 神保町マンション202
                  03-3261-9007 fax03-3261-5453

1.憲法の諸原則に反する内容、議会制民主主義を無視する安倍政権の意図そのままに、衆議院特別委員会と本会議での11月26日の「特定秘密保護法」の強行採決に、満腔の怒りと必ず廃案に追い込む決意を表明します。

2.短期間の審議の中でも、私たちが警告してきたように、「特定秘密」の指定が無限定に拡大されること、国民には何が秘密かも秘密にされること、一般国民が監視と処罰の対象にされること、国権の最高機関としての国会の地位を否定するものであることなどなどが明らかになりました。これらは暴走を続ける安倍政権が次にねらっている「国家安全保障基本法」と結びつき、アメリカといっしょになって海外で武力行使をする集団的自衛権の行使を可能にし、日本を「戦争する国」に変えるものであることがますます鮮明になりました。
 憲法の原則である国民主権、平和主義、基本的人権を根本から破壊する悪法にほかなりません。

3.世論調査で7〜8割が「慎重審議」を求め、国民各層・分野からの「反対」「懸念」の表明が相次ぎ、自民党の中からも異論がだされています。11月21日の日比谷野外音楽堂と国会には市民1万人以上がつめかけ、反対の声をあげるなど、運動と「反対」「慎重に」の世論は極めて早い速度と規模でひろがっています。26日の福島市での地方公聴会では7人の公述人全員が「反対」「異議」「懸念」を表明する異例の事態となりました。石原慎太郎氏をして「安保のような状況」と言わしめています。
 にもかかわらず、与党とみんなの党が強行採決に及んだことは、国民の声に完全に背く、力づくの蛮行として絶対に許せません。

4.秘密保護法反対のたたかいは参議院に移ります。
憲法会議は、国民的な共同の運動と世論をさらにひろげ、安倍政権と国会を包囲し、廃案に追い込み、この法案の企図そのものを断念させるために全力をあげます。

吹田市長とその秘書(会計責任者)の刑事告発についての報道の紹介

昨日、大阪府吹田市の井上哲也市長とその秘書(当時の会計責任者)を大阪地検特捜部に刑事告発しました。

元「維新の会」顧問の吹田市市長とその秘書・会計責任者の告発状を大阪地検に提出!

これについてマスメディアが報道してくださいました。
その報道を以下紹介したします。

漏れがあるかもしれません(具体的に報道を教えていただけましたら、追加して紹介いたしますので、ご存知の方は教えください)。


(1)テレビ報道(リンクを貼っているところは昨日動画を観ることができました。)

‘蒜筌謄譽

http://news24.jp/nnn/news8898675.html

[ 11/21 11:48 読売テレビ]
吹田市長ら刑事告発 政治資金規正法違反で
(大阪府)

大阪府吹田市の井上市長が代表を務めていた政党支部が政治資金収支報告書にウソの記載をしていた問題で市民らが21日、市長と会計責任者を政治資金規正法違反などの疑いで刑事告発した。大阪地検に告発したのは吹田市に住むフリージャーナリストや政治資金オンブズマンの大学教授ら。吹田市の井上哲也市長は3年前、代表を務めていた自民党の大阪府吹田市第1支部の政治資金収支報告書に100万円の架空の支出を記載したとされ、告発状では当時の会計責任者の男性が毎月10万円の領収書を偽造して虚偽の記載を行い井上市長はその監督を怠り政治資金規正法違反などの罪にあたるとしている。井上市長は「会計責任者の記載ミス」としているが市民らは「政治家の資質を疑う悪質な事件で、真相を明らかにしてほしい」と話している。


■裡硲

http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20131121/5971011.html

NHK11月21日 12時29分

“架空支出”吹田市長を告発

吹田市の井上市長が代表を務めていた政党支部の収支報告書に架空の支出が記載されていたのは政治資金規正法違反の疑いがあるとして市民団体が大阪地方検察庁に告発状を提出しました。
市民団体「政治資金オンブズマン」の告発状によりますと吹田市の井上哲也市長が大阪府議会議員だった時に代表を務めていた「自民党大阪府吹田市第一支部」は自民党の別の政党支部に100万円を支払ったという架空の支出を平成22年分の政治資金収支報告書に記載していたということです。
「政治資金オンブズマン」は「井上市長は会計責任者を監督する責任を怠っており極めて悪質だ」などとして井上市長と当時2つの支部の会計責任者だった男性について政治資金規正法違反や私文書偽造などの疑いで大阪地方検察庁に告発状を提出しました。
オンブズマンの共同代表で神戸学院大学法科大学院の上脇博之教授は「資金を誰がどのように管理していたかが問題になると思う」と述べました。
一方、井上市長は「事実確認ができないので告発についてはコメントできませんが記載の誤りについてはすでに訂正の手続きを行い正式に受理されたとの報告を受けています。当該の金額については今後どのように処理すべきか弁護士と相談すると聞いています」としています。


MBS

http://www.mbs.jp/news/kansaiflash_GE000000000000003036.shtml

MBS(11/21 12:42)
2013年11月21日(木) 12時43分

■収支報告書架空支出 市民グループが吹田市長を告発

 吹田市の井上哲也市長が、府議時代に代表だった政党支部の政治資金収支報告書に架空支出と見られる記載があった問題で、市長らが偽の領収書を作った疑いがあるとして市民グループが大阪地検に告発しました。
 政治資金規正法違反などの疑いで市長らを告発したのは、市民グループ、「政治資金オンブズマン」のメンバーらです。
 この問題は2010年、吹田市の井上哲也市長が代表だった「自民党大阪府吹田市第1支部」から、別の支部に100万円を支出した記載があるにもかかわらず、受け取った側に記載が無かったものです。
 井上市長らはミスだったとしていますが、市民グループは市長が元会計責任者らとともに領収書を偽造し、報告書に添付した疑いがあるとしています。
 告発を受け、井上市長は「既に訂正を届け出て受理されている」としています。


ABC

ABC11/21 19:28

【ミス?】「政治資金報告書にうそ」吹田市長を刑事告発

大阪府吹田市の市長が政治資金収支報告書に「うその記載をした」などとして、市民グループが市長らを大阪地検に告発しました。

告発状を提出したのは、弁護士らで作る「政治資金オンブズマン」のメンバーらです。告発状によりますと、井上哲也・吹田市長が代表を務めていた自民党支部の報告書には、別の自民党支部に100万円を支出したと記載されていましたが、実際の支出はなかったということです。メンバーらは、「井上市長と会計責任者は、政治資金規正法に違反している」などと主張。市長は、「ミスであり、訂正手続きを行った」とコメントしています。



(2)新聞・通信社

)萋新聞

毎日新聞 11月21日(木)11時3分配信
<架空支出>吹田市長の府議時代 虚偽記載でオンブズ告発

 大阪府吹田市の井上哲也市長が府議時代に代表だった自民党支部の政治資金収支報告書に架空の記載があった問題で、市民や学者らでつくる「政治資金オンブズマン」のメンバーが21日、井上市長と当時の会計責任者を政治資金規正法違反(虚偽記載)などの容疑で大阪地検に刑事告発した。
 虚偽記載があったのは、井上市長が代表を務めていた「自民党大阪府吹田市第1支部」(解散)の2010年分の報告書。同年1〜10月まで、毎月10万円ずつを「自民党吹田市支部」に支出したことになっていたが、吹田市支部側の報告書にその記載がなかった。吹田市支部も井上市長が代表だった。
 告発状では、井上市長と当時の会計責任者が領収書を偽造し、正当な支出と装ったと指摘している。
 井上市長は「会計責任者から記載ミスと聞いている」とコメントした。【堀江拓哉】


∋事通信

時事通信(2013/11/21-12:16)
吹田市長らを告発=政治資金虚偽記載の疑い−市民団体

 大阪府吹田市の井上哲也市長(56)が代表を務めていた自民党支部が政治資金計100万円を架空支出し、偽造した領収書を収支報告書に添付したなどとして、大阪市の市民団体が21日、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑などで、井上市長と支部の会計責任者の男性を大阪地検に告発した。
 告発したのは、市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバーと吹田市民ら。


産経新聞

産経新聞 11月21日(木)14時53分配信
吹田市長ら刑事告発 市民団体、政治資金規正法違反罪で

 大阪府吹田市の井上哲也市長(56)が代表を務めていた政党支部「自民党大阪府吹田市第1支部」(解散)による政治資金の架空支出問題で、大阪市の市民団体「政治資金オンブズマン」は21日、政治資金規正法違反と私文書偽造・同行使の罪で、井上市長と第1支部の当時の男性会計責任者に対する告発状を大阪地検特捜部に提出した。
 告発状によると、会計責任者は平成22年、100万円を政党支部「自民党吹田市支部」に支出したと第1支部の収支報告書に虚偽記載。吹田市支部名義の領収書を偽造し、写しを収支報告書に添付して府選管に提出したとしている。井上市長については、会計責任者との共犯か同法の監督義務違反にあたるとしている。
 井上市長は改めて記載ミスだったとした上で「府選管に訂正手続きを行ったと元会計責任者から報告を受けた」とコメントした。


つ日新聞

朝日新聞2013年11月9日17時14分
吹田市長らを告発へ 虚偽の政治資金収支報告容疑

 自民党支部の政治資金収支報告書にうその記載をしたとして、弁護士や大学教授らでつくる「政治資金オンブズマン」のメンバーが近く、大阪府吹田市の井上哲也市長と当時の会計責任者を有印私文書偽造・同行使などの容疑で大阪地検に刑事告発する。
 うその記載があると指摘されているのは、井上市長が代表を務めていた「自民党大阪府吹田市第一支部」(2010年12月解散)の2010年分の報告書。記載によると、1〜10月、毎月10万円ずつ計100万円を「自民党吹田市支部」に寄付したことになっていたが、吹田市支部の報告書には100万円の寄付を受けた記載はなかった。吹田市支部も井上市長が代表を務めており、両支部の会計責任者は同一人物だった。
 今年10月に発覚。井上市長らは寄付した事実はなかったとして、すでに解散している第一支部の報告書を修正し、100万円を繰り越した形になっている。

元「維新の会」顧問の吹田市市長とその秘書・会計責任者の告発状を大阪地検に提出!

1.はじめに

元「大阪維新の会」顧問の井上哲也・吹田市市長の政党支部の架空支出問題については、すでにブログで問題点を指摘し、刑事告発することを予告しておきました。

維新の会元顧問の井上哲也・吹田市長の政党支部(当時)の虚偽記載・私文書偽造等の問題

「政治資金オンブズマン」と市民が架空支出問題で維新の会元顧問の吹田市長らを刑事告発へ

(2)偽造領収書

井上市長の私設秘書は、2010年11月25日まで、「自由民主党吹田市支部」と「自由民主党大阪府吹田市第一支部」の会計責任者・事務担当者を兼務していました。
同日より後は、前者の支部の会計責任者ではありましたが、後者の支部の会計責任者ではありませんでしたから、後者が発行する領収書を作成する権限はありませんでした。

その秘書は、2010年末頃、後者発行の空支出の「領収書」10枚を、権限もないのに作成し、大阪選挙管理委員会に提出していたようなのです。
情報公開請求して開示された領収書10枚を紹介しておきます(クリックすると拡大します)。

吹田市支部2010年1月領収書吹田市支部2010年2月領収書吹田市支部2010年3月領収書吹田市支部2010年4月領収書吹田市支部2010年5月領収書吹田市支部2010年6月領収書吹田市支部2010年7月領収書吹田市支部2010年8月領収書吹田市支部2010年9月領収書吹田市支部2010年10月領収書



















(3)現在の吹田市長である井上哲也氏が、大阪府議会議員時代に、自民党から「大阪維新の会」に移籍しても、自民党の支部の代表者をし続けていたのも驚きましたが、その私設秘書である会計責任者が、その政党支部の政治資金収支報告書に架空支出を記載し、もうひとつの政党支部の領収書まででっち上げていたのには、もっと驚きました。
悪質です!

これは、政治資金収支報告書への虚偽記載ですし、同報告書に併せて提出すべき書面である領収書の虚偽記載の罪になります。

領収書が政党支部の代表者らが交代した2010年11月25日よりも後に作成されていたら、私文書偽造罪、同行使罪の罪にもなります。

記者の取材に本人が答えている発言を読むと、それより前に作成したとは思えません(告発状を参照)。


(4)大阪地検に告発状提出

そこで、本日(2012年11月21日)、午前10時頃、「政治資金オンブズマン」共同代表の私(上脇博之)と、吹田市市民2人(西谷文和さんと神戸大学名誉教授の二宮厚美先生)の3人が、代理人(弁護士ら)と一緒に、大阪地検に告発状を提出しました。
大阪地検内部の受理手続きを経て、数日後ご受理されるでしょう。

そして、記者会見も行いました。

(5)告発状

告発状を紹介しておきます。
        告 発 状

                       2013年(平成25年)11月21日
大阪地方検察庁 御中

                             告発人ら代理人       
                              弁護士 徳井 義幸
                               同  谷  真介
                               同  西川 大史
                               同  高須賀 彦人

         当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

告発の趣旨

1, 被告発人家城大心の下記所為は、刑法159条1項(私文書偽造罪)、161条1項(同行使罪)ならびに政治資金規正法25条1項3号(収支報告書虚偽記載罪)に該当し、あるいは少なくとも政治資金規正法25条1項3号(収支報告書虚偽記載罪)
に該当する。
2, 被告発人井上哲也の下記所為は被告発人家城大心の上記各犯罪の共同正犯あるいは少なくとも政治資金規正法25条2項(会計責任者監督怠慢罪)に該当する。
よって、被告発人らの厳重な処罰を求めるため告発する。

第1 告発事実
 1 被告発人家城大心にかかる告発事実


   被告発人家城大心は、2003年(平成15年)6月から自由民主党大阪府吹田市第一支部(以下「第一支部」という)の会計責任者であったところ、2010(平成22年)分の「第一支部」の政治資金収支報告書を大阪府選挙管理委員会に提出するにあたり、行使の目的で、ほしいままに、自由民主党吹田市支部(以下、「吹田市支部」という。)に対する支部交付金として2010年(平成22年)1月より同年10月まで毎月10万円の支出をしたことを裏付ける内容の「第一支部」宛の「吹田市支部」名義の領収証計10枚を偽造し、かつ、上記収支報告書に同領収書記載のごとく2010年(平成22年)1月より同年10月まで毎月10万円の合計金100万円の支出を行った旨の虚偽記載をしたうえ、2011年(平成23年)1月5日、これらを大阪府選挙管理委員会に上記領収書10枚を真正に成立したもののように装って収支報告書に添付し、交付、行使したうえ、もって虚偽記載をした収支報告書を提出したものである。

 2 被告発人井上哲也(現吹田市長)にかかる告発事実
   被告発人井上哲也は、2003年(平成15年)6月から「第一支部」の代表者であったところ、前記1の被告発人家城大心の各所為につき同人と共謀があったとすれば、上記各所為の共同正犯となり、仮に被告発人井上哲也が上記各事実につき、知らなかったとしても、「第一支部」の代表者として「第一支部」の会計責任者である被告発人家城大心の選任及び監督につき相当の注意を怠ったものである。

第2 告発の理由
1 政治資金規正法の定め


   政治資金規正法は、会計帳簿の整備および会計報告につき、以下のとおり定めている。

法9条 
1項 政治団体の会計責任者…は、会計帳簿を備え、これに当該政治団体にかかる次に掲げる事項を記載しなければならない。
  一 (略)
  二 全ての支出(略…)ならびに支出を受けた者の氏名及び住所…その支出の目的、金額及び年月日
 2項 前項の会計帳簿の種類、様式および記載要領は、総務省令で定める。

法11条 
1項 政治団体の会計責任者又は政治団体の代表者若しくは会計責 任者と意思を通じて当該政治団体のために支出をした者は、一件五万円以上のすべての支出について、当該支出の目的、金額及び年月日を記載した領収書その他の支出を証すべき書面(以下「領収書等」という。)を徴さなければならない。ただし、これを徴し難い事情があるときは、この限りでない。

法12条
  1項 政治団体の会計責任者…は、…当該政治団体に係るその年における収入、支出…を記載した報告書を、その日の翌日から三月以内…に…都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない。
  2項 政治団体の会計責任者は、前項の報告書を提出するときは、…領収書等の写し(当該領収書等を複写機により複写したものに限る。以下同じ。)(領収書等を徴し難い事情があつたときは、…「領収書等を徴し難かつた支出の明細書」…)又は当該支出の目的を記載した書面及び振込明細書の写し(略)を併せて提出しなければならない。

法25条
次の各号の一に該当する者は、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
一 (略)
二 (略)
三  第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者
2 前項の場合(第十七条の規定に係る違反の場合を除く。)において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、五十万円以下の罰金に処する。

2 告発事実の詳細

  「吹田市支部」は、1994年(平成6年)12月に政治団体設立届をなしている自由民主党の支部(甲1)であり、「第一支部」は2003年(平成15年)6月に同じく支部として政治団体設立届をなしている自由民主党の支部(甲2)である。2010年(平成22年)当時、被告発人井上哲也は、「第一支部」及び「吹田市支部」の両支部の代表者を務めており、被告発人家城大心も同じく、両支部の会計責任者であった。「第一支部」の事務所の所在地は「吹田市末広町21−53」であり、「吹田市支部」の事務所の所在地は「吹田市末広町21−53―202」であり、両事務所は同じ建物内にある。
 被告発人井上哲也は、前記の通り上記両支部の代表者を務めていたことから、両支部間における資金の移動を容易になしうる立場にあり、2009年(平成21年)にも「第一支部」から「吹田市支部」に月に10万円ないし20万円を支部交付金として移動させ、被告発人家城大心においてそれに対応する領収書を作成していた。
 ところで2010年(平成22年)については「第一支部」から「吹田市支部」に対しての支部交付金はなく、両支部間の資金の移動はなかったものである。
 ところが、2010年(平成22年)11月25日には「吹田市支部」の代表者及び会計責任者が、代表者については渡嘉敷奈緒美に、会計責任者については大槻正人に、それぞれ交代(甲3)した。従ってそれ以降については、被告発人家城大心には「吹田市支部」名義の領収書の作成権限がなくなり、また実際の資金の移動がなかったにもかかわらず、前記の支部交付金名下の資金の移動があるものとして、「第一支部」の政治資金収支報告書に虚偽の記載(甲4)をした。そして、この支部交付金名下の資金の移動を裏付ける資料として、作成権限がないのに、2010年(平成22年)1月から同年10月まで毎月「第一支部」から「吹田市支部」へ支部交付金10万円の金員の交付がなされたかのような「吹田市支部」名義の領収書(甲5の1乃至10)を作成し、上記収支報告書に添付し、大阪府選挙管理委員会に提出を行ったのである。
 以上の事実からすれば、被告発人家城大心が、刑法上の私文書偽造、同行使罪に該当する行為を行ったこと、及び政治資金規正法25条1項3号に該当する行為を行ったことは明らかである。
 また、被告発人井上哲也が、上記の各事実を認識しつつ、会計責任者である被告発人家城大心に前記各所為を行わせていたとすれば、同人についても、私文書偽造・同行使、収支報告書虚偽記載罪の共同正犯となる。また、仮に同人が上記事実を認識していなかったとしても、政治資金収支報告書の作成につき、十分な管理監督をおこなっていたものとは到底言えないことが明らかであり、会計責任者監督怠慢罪となることも明らかである。

3 告発事実を裏付ける関連事実
(1)「吹田市支部」の政治資金収支報告書の記載


 2010年(平成22年)分の「吹田市支部」の政治資金収支報告書においては、告発事実にかかる各領収書の記載に符合する「第一支部」からの合計金100万円の支部交付金については、これを受領した旨の記載が全くなく(甲6)、告発事実にかかる各領収書が偽造されたものであること、あるいは内容虚偽の領収書であること、また平成22年分の「第一支部」の収支報告書に虚偽の記載があることを裏付けるものとなっている。

(2)被告発人家城大心の言動(甲7の1,2)
   被告発人家城大心は、告発事実について新聞記者より取材を受けた際、「第一支部」から「吹田市支部」への合計金100万円の支部交付金の支出がなかったことを認めた。
 また、被告発人家城大心は、それにもかかわらず収支報告書に「第一支部」から「吹田市支部」への合計金100万円の支部交付金の支出があったかのように記載し、それに合わせて領収書を作成している。仮に内容虚偽の領収書の作成時期が、被告発人家城大心が「吹田市支部」の会計責任者としての地位のあった2010年(平成22年)11月25日以前であれば、私文書偽造・同行使は成立しないことになるが、内容虚偽の領収書の作成時期は同日よりも後であろう。というのは、被告発人家城大心は、記者の取材に対し、上記収支報告書及び領収書を作成した経緯につき、「平成22年末に支部間の収支の整合性を取るつもりだったが、吹田市支部の代表者が(被告発人井上哲也から)他人に変わってしまったので帳尻あわせが出来なくなった。」「平成21年に吹田市支部に毎月10ないし20万円を移していたので、平成22年分も記載してしまった。」「22年も支出があったと記載してしまい、記載に合わせて領収書を作成した」と述べた。これは2010年(平成22年)末に支部間の収支の整合性をとるために、領収書もこの時期に作成した趣旨であろう。そうであれば、前記の通り2010年(平成22年)11月25日には「吹田市支部」の会計責任者ではなくなっていることから、領収書を作成する権限はなく、領収書の作成は私文書偽造であることは、前述の通りである。
 なお、「吹田市支部」の代表者等は前述したように2010年(平成22年)11月25日に交代しているが、その事務所は同日以前の所在地(「第一支部」の事務所のある建物内)のままであり、本年2月まで移転してはいない。
   以上のとおり、2010年(平成22年)11月に「吹田市支部」の代表者、会計責任者が交代した後、もはや作成権限がないにもかかわらず、「支部間の収支の整合性をとる」ため領収書の作成をしたこと、また「第一支部」の収支報告書に虚偽記載をし、その記載に合わせて領収書を作成したことを被告発人家城自身も認めている。
   なお、被告発人ら両名は、本年10月25日に至って「記載ミス」との理由で、「第一支部」の2010年(平成22年)収支報告書について、「吹田支部」への前記の支部交付金を削除した訂正願を提出している(甲8)が、「記載ミス」で説明が付くものではなく、極めて悪質な行為である。

4 まとめ

   以上のとおりであるので、会計帳簿の捜索等、早急な捜査を行い、厳重に処分をして頂きたく、告発する次第である。

         証拠資料
(略)


4.説明責任と政治的責任

井上市長は、代表者であったのですから、法的な刑事責任の問題とは別に、説明責任、政治的責任があります。

また、上記犯罪容疑は、井上市長が「大阪維新の会」に所属していた時期のものですから、当然、その代表である現在の橋下徹大阪市長(当時大阪府知事)にも、少なからず、説明責任、政治的責任があります。

両者は、濃淡の違いはあれ、説明責任、政治的責任を果たすべきです。

「政治資金オンブズマン」と市民が架空支出問題で維新の会元顧問の吹田市長らを刑事告発へ

昨日、ブログで、維新の会元顧問の井上哲也・吹田市長の政党支部(当時)の虚偽記載・私文書偽造等の問題を投稿しました。

維新の会元顧問の井上哲也・吹田市長の政党支部(当時)の虚偽記載・私文書偽造等の問題


実は、この問題では「政治資金オンブズマン」が市民の方々と一緒に刑事告発する方向で動いてきています。
それが、報道されました。

以下、それを紹介します。私のコメントの一部が紹介されているものもあります。

産経新聞2013.11.9 14:02
吹田市長ら刑事告発へ 市民団体「架空支出に監督責任」

 大阪府吹田市の井上哲也市長(56)が代表を務めていた政党支部「自民党大阪府吹田市第1支部」による政治資金の架空支出問題で、偽造した領収書の写しなどを府選挙管理委員会に提出したとして、大阪市内の市民団体が近く、私文書偽造・同行使と政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で、同支部の当時の会計責任者の男性を大阪地検に刑事告発することが9日、分かった。井上氏についても同法違反(監督義務)罪で告発する。
 告発するのは、市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバー。地検は捜査した上で立件の可否を判断するとみられる。
 第1支部では、男性が平成22年1〜10月、毎月10万円ずつ計100万円を政党支部「自民党吹田市支部」に支出したと収支報告書に記載。実際に資金の移動はなかったが、吹田市支部名義の領収書計10枚を偽造し、写しを収支報告書に添付して府選管に提出した。

 男性はこれまでの産経新聞の取材に、架空支出の記載は「会計処理上のミス」とした上で、「記載に合わせて領収書を作成した」と話していた。
 井上氏は10月22日の記者会見で「会計責任者にすべて任せていた」と釈明。その後、男性が府選管に収支報告書と領収書の写しの訂正を届け出た。
 市民団体側は、井上氏について「不正の事実を知らなかったとしても、会計責任者に対する監督責任が問われる」と指摘。告発人代表で神戸学院大法科大学院の上(かみ)脇(わき)博(ひろ)之(し)教授(憲法学)は「領収書の偽造は極めて悪質な行為。検察当局に事実関係の解明を求めたい」と話している

朝日新聞デジタル 11月9日(土)17時14分配信
吹田市長らを告発へ 虚偽の政治資金収支報告容疑

 自民党支部の政治資金収支報告書にうその記載をしたとして、弁護士や大学教授らでつくる「政治資金オンブズマン」のメンバーが近く、大阪府吹田市の井上哲也市長と当時の会計責任者を有印私文書偽造・同行使などの容疑で大阪地検に刑事告発する。

 うその記載があると指摘されているのは、井上市長が代表を務めていた「自民党大阪府吹田市第一支部」(2010年12月解散)の2010年分の報告書。記載によると、1〜10月、毎月10万円ずつ計100万円を「自民党吹田市支部」に寄付したことになっていたが、吹田市支部の報告書には100万円の寄付を受けた記載はなかった。吹田市支部も井上市長が代表を務めており、両支部の会計責任者は同一人物だった。
 今年10月に発覚。井上市長らは寄付した事実はなかったとして、すでに解散している第一支部の報告書を修正し、100万円を繰り越した形になっている。

2013/11/09 05:27 【共同通信】
吹田市長ら告発へ 政治資金を虚偽記載容疑

 大阪府吹田市の井上哲也市長が代表を務めていた政党支部の政治資金収支報告書に架空支出とみられる記載があった問題で、市民団体のメンバーが近く、虚偽記載をしたとして政治資金規正法違反容疑などで、市長らを大阪地検に告発することが9日、分かった。
 市長が代表だった政党支部「自民党大阪府吹田市第一支部」の収支報告書には2010年1〜10月、同じく市長が代表の別の政党支部「自民党吹田市支部」へ毎月10万円、計100万円の交付金を支出したと記載。しかし、吹田市支部の収支報告書に記載はなかった。

(2013年11月9日 読売新聞)
政治資金架空記載 吹田市長らを告発へ

 大阪府吹田市の井上哲也市長(56)が自民党府議時代に代表だった「自民党大阪府吹田市第1支部」(解散)の2010年分の政治資金収支報告書に、架空の記載があった問題で、同市の市民らが市長と当時の会計責任者について、政治資金規正法違反や有印私文書偽造などの容疑で近く大阪地検に刑事告発する方針を明らかにした。
 収支報告書によると、第1支部は10年1〜10月、毎月10万円を井上市長が当時代表だった別の政党支部「自民党吹田市支部」に支出したと記していたが、吹田市支部の収支報告書には収入の記載がなかった。
 井上市長は「支部への支出をうっかり忘れていたと聞いている」などとコメントした。

維新の会元顧問の井上哲也・吹田市長の政党支部(当時)の虚偽記載・私文書偽造等の問題

(1)維新の会元顧問の吹田市長の後援企業への随意契約疑惑については、このブログで、5月、8月に、監査請求と住民訴訟がなされたことを紹介してきました。

維新の会元顧問の吹田市長の後援企業への随意契約疑惑につき市民ら550人が監査請求

吹田市長の後援企業と随意契約問題で住民訴訟が提起された!

(2)これとは別に、その井上市長が代表を務めていた政党支部(当時)が100万円の架空支出を政治資金収支報告書に記載し、その分の領収書を偽造し、選挙管理員会に提出していたことが、先月下旬に発覚しました。

産経新聞2013.10.22 08:03
吹田市長政治団体が100万円架空支出 「記載ミス」と釈明、報告書訂正へ

 大阪府吹田市の井上哲也市長(56)が大阪府議時代に代表を務めていた政党支部「自民党大阪府吹田市第1支部」(解散)が、別の支部に対する100万円の架空支出を平成22年分の政治資金収支報告書に記載していたことが21日、産経新聞の調べで分かった。取材に対し、井上市長は「指摘を受けて初めて知った」と釈明。会計処理上の記載ミスとして収支報告書を訂正する意向だが、専門家は「政治資金規正法に抵触する可能性もあり、市長は説明責任を果たすべきだ」としている。
 第1支部は22年1〜10月、毎月10万円ずつ計100万円を支部交付金として、政党支部「自民党吹田市支部」に支出したと収支報告書に記載。一方、吹田市支部の同年の収支報告書には、第1支部からの収入の記載はなかった。
 両団体とも当時、自民党府議だった井上市長が代表を務めていたが、22年4月に市長が地域政党「大阪維新の会」の結成に加わり、吹田市支部は同年11月に代表を変更。第1支部は同年末に解散した。
 第1支部の22年分収支報告書を作成した会計責任者(当時)の男性は取材に対し、実際には100万円の支出がなかったことを認めたうえで、「21年に吹田市支部に毎月10万〜20万円を移していたので、22年も記載してしまった」と釈明。「22年末に支部間の収支の整合性を取るつもりだったが、吹田市支部の代表者が他人に変わってしまったので帳尻合わせができなくなった」と話している。
第1支部の22年分の支出は収支報告書上、問題の100万円や、井上市長の後援会への寄付名目など計約980万円を計上。同年末の解散時に残高はゼロとなっていたが、100万円の支出がなければ、第1支部には現金が残っていることになる。男性は「現金は現在も自分が保管していると言うしかない」などとあいまいな説明に終始した。
 井上市長は「支出の誤りについては指摘を受けて初めて知った。記載の誤りがあれば早急に収支報告書を訂正させていただく」とコメント。男性が近く、府選挙管理委員会に収支報告書の訂正を届けるという。
 「政治とカネ」の問題に詳しい神戸学院大法科大学院の上脇博之教授(憲法学)は「架空支出の計上は通常あり得ない。ミスで許されてしまえば架空支出による裏金作りも可能になってしまう」と指摘する
 井上市長は吹田市議や府議を経て23年4月、大阪維新の会公認で吹田市長選に初当選。24年10月に国の補助金を活用した太陽光パネル設置をめぐり、同市が井上市長の後援企業に随意契約で工事を発注するなどした問題が発覚し、大阪維新の会を離党した。

産経新聞2013.10.22 13:25
偽造領収書を府選管に提出 当時の会計責任者認める

 大阪府吹田市の井上哲也市長(56)が代表を務めていた政党支部「自民党大阪府吹田市第1支部」(解散)が、平成22年の政治資金収支報告書に別の支部への100万円の架空支出を記載していた問題で、第1支部の当時の会計責任者の男性が、支出先の支部が第1支部から現金を受け取ったとする領収書を偽造し、府選挙管理委員会に提出していたことが22日、男性への取材で分かった。
 第1支部は22年1〜10月、政党支部「自民党吹田市支部」に毎月10万円ずつ計100万円を支出したと報告書に記載したが、実際には支出していなかった。両支部とも代表は井上市長、会計責任者はこの男性が務めていた。
 政治資金規正法では、国会議員以外が代表を務める政党支部が5万円以上支出した場合、支出先発行の領収書の写しを収支報告書に添付することが原則義務付けられている。男性は実際に現金のやり取りがないにもかかわらず、吹田市支部の領収書を偽造。第1支部の収支報告書に添付し府選管に提出したという。
 男性は「21年には、第1支部から吹田市支部に毎月10〜20万円の支出が実際にあった」としたうえで「22年も支出があったと記載してしまい、記載に合わせて領収書を作成した」と話している。第1支部は22年末に解散したが、近く府選管に訂正を届けるという。

(3)これは、政治資金規正法が禁止している虚偽記載ですし、刑法が禁止している私文書偽造・行使の罪になります。
政治資金規正法

(報告書の提出)
第十二条  政治団体の会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、毎年十二月三十一日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から三月以内(その間に衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の公示の日から選挙の期日までの期間がかかる場合(第二十条第一項において「報告書の提出期限が延長される場合」という。)には、四月以内)に、第六条第一項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない。
一  すべての収入について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項
・・・
・・・
・・・
二  すべての支出について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費以外の経費の支出(一件当たりの金額(数回にわたつてされたときは、その合計金額)が五万円以上のものに限る。)について、その支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日
三  ・・・
2  政治団体の会計責任者は、前項の報告書を提出するときは、同項第二号に規定する経費の支出について、総務省令で定めるところにより、領収書等の写し(当該領収書等を複写機により複写したものに限る。以下同じ。)(領収書等を徴し難い事情があつたときは、その旨並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載した書面(第十九条の十一第一項において「領収書等を徴し難かつた支出の明細書」という。)又は当該支出の目的を記載した書面及び振込明細書の写し(当該振込明細書を複写機により複写したものに限る。)。以下同じ。)を併せて提出しなければならない。
3  ・・・。
4  第一項の報告書の様式及び記載要領は、総務省令で定める。


第二十五条  次の各号の一に該当する者は、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
一  第十二条又は第十七条の規定に違反して報告書又はこれに併せて提出すべき書面の提出をしなかつた者
一の二  第十九条の十四の規定に違反して、政治資金監査報告書の提出をしなかつた者
二  第十二条、第十七条、第十八条第四項又は第十九条の五の規定に違反して第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に記載すべき事項の記載をしなかつた者
三  第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者
2  前項の場合(第十七条の規定に係る違反の場合を除く。)において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、五十万円以下の罰金に処する。


刑法

(私文書偽造等)
第百五十九条  行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
2  他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3  前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

(偽造私文書等行使)
第百六十一条  前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
2  前項の罪の未遂は、罰する。

(4)領収書を偽造していたとなると、悪質です!

かつての類似の事件で、私たちは刑事告発し、起訴がなされています。
参考までに紹介します。

玉沢徳一郎・元農相が支部長を務める政党支部はその政治資金収支報告における領収書を改竄し、5重計上の虚偽報告をしていました。

以下、告発状
http://homepage2.nifty.com/~matsuyama/20070917/Kokuhatsujou_Tamazawa.pdf

自民党を離党した玉沢徳一郎元農相が支部長を務めていた自民党県第4選挙区支部で会計責任者職務代行者(事務担当者か!?)が政治資金規正法違反(虚偽記載)と有印私文書偽造・同行使の罪で在宅起訴されました。
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/50962718.html

また、坂本由紀子外務政務官も自らが支部長を務める自民党支部が政治活動費を2重計上し、虚偽報告していました。

以下、告発状
http://homepage2.nifty.com/~matsuyama/20070917/Kokuhatsujou_Sakamoto.pdf

静岡地検は、元自民党県連事務局長を政治資金規正法違反・有印私文書偽造・同行使の罪で在宅起訴しました。
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/50960577.html

(5)井上市長の上記事件ですが、当時の会計責任者は、上記紹介の産経新聞の記事を読むと、上記犯罪を「自白」しています。

井上市長は政治的・道義的な責任は言うまでもなく、説明責任に加え、上記犯罪の共犯の可能性もあるし、たとえ共犯でないとしても、上記紹介の政治資金規正法が定める監督責任(第25条第2項)が問われるべきです。

「政治資金オンブズマン」の出番です!

「特定秘密保護法の制定に反対する刑事法研究者の声明」(呼びかけ人・賛同人132人)の紹介

先程、「秘密保護法の制定に反対する憲法・メディア法研究者の声明」呼びかけ人・賛同者155人!を投稿しました。

先月(2013年10月)28日に発表された刑事法研究者の声明の最新版が届きました。
28日発表の声明に少し加筆があり、賛同人は9人増えて、呼びかけ人とあわせて132人となったそうです。

以下、ご紹介し、特定秘密保護法案(特定情報秘匿法案)の廃案を呼びかけます。


特定秘密保護法の制定に反対する刑事法研究者の声明



一 特定秘密保護法案の現状と基本的性格

1. 経過と現状

特定秘密保護法案が国会に上程された。その経過は概略次のとおりである。民主党政権のもとで「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」が組織され、2011年8月8日には、「秘密保全のための法制の在り方について」と題する報告書(以下、報告書)が発表された。自民党・安倍政権はこの作業を受け継ぎ、国家安全保障会議の設置等に関連した手直しが進められた。法案の作成は、内閣官房情報調査室を中心に秘密裏に行われ、「特定秘密の保護に関する法律案」としてその概要が公表され、9月3日から2週間のパブリック・コメントの期間が設定された。その後、自民党と公明党の間で調整が行われ、取材活動に関する規定などが挿入されることとなり、国会上程に至っている。国家安全保障に関する特別委員会が衆議院に設けられ、国家安全保障会議設置法が可決され、特定秘密保護法案の審議がはじまる(11月6日現在)。

2.われわれは、刑事法研究者の機密探知罪への批判を継承する

戦前の日本の刑法には間諜罪の規定が置かれ、重罰が定められていた。これに加えて、軍機保護法および国防保安法を中心にした機密保護法制が存在した。この法制は戦時体制の要に位置し、言論統制と軍国主義思想の蔓延の重要な柱とされた。敗戦後の民主化と非軍事化のなかで、日本国憲法が制定され、これらの機密保護法制は全面的に廃止された。1952年に占領体制が終結すると、戦後民主化に対する反動が露わとなり、憲法改正の動きと連動して、刑法の全面改正作業が進められた。政府の改正刑法準備草案には機密探知罪が設けられ、重い刑罰が規定されていた。政府は間諜罪の復活を意図したのである。これに対して、広範な批判が巻き起こり、当時の有力な刑事法学者が相次いで、日本国憲法を擁護する立場から、批判的見解を明らかにした。その結果、1966年に法制審議会刑事法特別部会の審議でこの規定の新設は否決され、改正刑法草案には機密探知罪の規定が設けられなかった。改正刑法草案は公務員の機密漏えい罪を残していたが、改正刑法草案に基づく刑法の全面改正は世論の支持を得られず、棚上げされている。秘密保護法制に対する先達の刑事法研究者たちの努力を想起し、刑事法研究者の立場から、今回の特定秘密保護法案に沈黙し、これを黙過することはできないと考え、この声明を出すことを決意した。


3.法案作成等の手続の異常性

まず、指摘しなければならないのは、立案作業自体が民主的な手続を経ているとは到底言えないことである。前記の有識者会議は、議事録が作成されず、会議の資料や討議内容も秘密扱いとなっており、公開された部分に関しても、内容が改ざんされている可能性が指摘されている。安倍内閣のもとで内閣官房情報調査室が行った立案作業に至っては、最初から最後まで、秘密裏に行われた。与党の国会議員ですら、法案の内容を知らされない状態が続いた。

大半のパブリック・コメントでは期間が1か月とされているのに、この法案ではわずかに2週間である。法案の重要性を考慮すると、国民の熟慮期間としては短すぎる。また、肝心の法文そのものが明示されず、法案の概要も短いものであって、立法事実、すなわち、なぜそのような立法が必要なのかに関して、説得力のある説明は行われていない。罰則の条文も明らかにされておらず、法定刑が示されていないものもあった。概要の説明自体が、文の構成の拙劣さも手伝って、きわめて分かりにくく、一般市民が検討するには適さない代物であった。このように、パブリック・コメントの手続そのものが不自然で、形だけのものとなっている。

2週間という短い期間にもかかわらず、パブリック・コメントへの応募は9万件を超え、そのうち8割近くが反対の意見であったと伝えられている。

政府案が固まった後も、何が特定秘密に該当するかに関して、担当大臣や与党の関係者の発言はぶれており、法案の問題性を逆に浮かび上がらせている。


4. 法案の軍事立法としての基本的性格

この法案は、端的に言えば、軍事立法としての性格を色濃く有しており、このことを直視することが、重要である。

自民党の2012年4月の憲法改正草案は、多くの点で日本国憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の三つの基本原理に対して、全面的な否定を行おうとしている。この草案は、平和主義に関しては、日本国憲法の前文および第9条の全面的な改定を企図しており、国防軍を創設するとともに、軍法会議を設置し、軍機保護の規定を置いている。自民党の2012年7月の「国家安全保障基本法案」は、集団的自衛権の行使を立法化するとともに、秘密保護のための措置を講じるとしている。特定秘密保護法は、こうした改憲構想の重要な柱として位置づけられている。特定秘密保護法案は、軍事立法としての基本的性格を持ち、9条改憲と直結するものであって、憲法の平和主義を否定するものといわざるを得ない。

安倍内閣は、特定秘密保護法案を国家安全保障基本法案、国家安全保障会議設置法案(日本版NSC)と不可分一体のものとして位置づけ、国家安全保障会議設置法の国会提出と合わせて特定秘密保護法案を国会に提出している。安倍内閣は一方で96条改憲を含む明文改憲の準備を進めつつ、それ以前にもこれら一連の法律の成立によって、9条の実質的な改憲を図ろうとしている。  
法案はまた、プライバシー権、思想・信条の自由、国民主権の基礎にある国民の知る権利や取材・報道の自由に重大な脅威を与え、刑事裁判における適正手続の保障や学問の自由などを侵害する恐れがある。われわれは以下に述べる理由からこの法案の制定に強く反対する。


二 特定秘密保護法案における秘密指定の問題点


法案は、特定秘密とされる事項について、)姫劼亡悗垢觧項、外交に関する事項、F団衢害活動の防止に関する事項、ぅ謄蹈螢坤爐遼瓢澆亡悗垢觧項の4分野を定めている。

2011年の報告書では、秘匿を要する秘密を々颪琉汰粥↓外交、8共の安全および秩序の維持という3つの分野で、国家の存立や国の重大な利益に関わる秘密がこれに該当するとしていた。これに対して、法案は、国家の存立や国の重大な利益という文言は用いられず、端的に「我が国の安全保障」が立法の根拠とされている。これによって、法案が軍事立法としての性格をもつことがより鮮明となった。

そもそも「安全保障」という概念は、きわめて曖昧であり、内外の状況に依存してその具体的な内容は、大きく変化する。たとえば、法案の秘密指定に関連して、政府側から「原発事故」は秘密指定の対象とはならないとの見解も示されている。しかし、原発事故が、核防護の構造的な脆弱性と結びついている場合、安全性、脆弱性に関わる情報は、秘密事項とされる可能性が大きい。領土問題を含む国際紛争が激化し、武力行使を含む対応をする場合には、安全保障を根拠とした秘密指定は、大幅に拡大、強化されるであろう。沖縄の普天間基地の名護市辺野古への移転に関連して、防衛省は辺野古沖のジュゴンの調査を行ったが、その結果は秘密とされていると伝えられる。環境調査が、基地移設と関連づければ、秘密となることを示している。平時には何でもない情報が、戦時には公表されると「人心を惑わす」ものとして、秘密保護の対象とされることは、アジア太平洋戦争での経験が教えるところである。

特定秘密保護法の下では、違法な秘密も「秘密」とされて、保護の対象となる可能性が大きい。国民に対して嘘をついてきたことが明らかになるような情報は、「特定秘密」とされるおそれがある。自衛隊は、イラク戦争において、人道復興支援を名目に派遣され、派遣地域は非戦闘地域に限定されたはずであった。しかし、実際には、派遣地域で何度もロケット砲攻撃を受けていたこと、戦闘地域であったバグダッド空港を拠点に米軍の人員や軍事物資の輸送にも当たっていたことが後に明らかになった。法律に違反し、国会での答弁にも反する活動を行っている場合、そのような事実は特定秘密保護法のもとでは間違いなく秘密扱いとされ、それを明らかにする場合、重罰が科されることになろう。また、すでに大量に保有されているプルトニウムを利用して、万一政府が核兵器の開発を行おうとする場合、このような事実は、最も重要な秘密として扱われることになり、国民が知らないうちに日本は核兵器保有国となる。

報告書の「公共の安全および秩序の維持」の秘密指定に対しては、あまりに広範囲の警察情報が秘密とされるとの批判が強かった。こうした批判を受けて、法案は、この領域を「特定有害活動の防止に関する事項」、ぁ屮謄蹈螢坤爐遼瓢澆亡悗垢觧項」に分けて規定しており、一見したところでは、一定の限定を付したようにみえる。しかし、そうすることで、この法案が軍事立法としての性格をもつことが一段と鮮明となった。「安全保障」と関連づけさえすれば、政府の行政機関の長によって数多くの多様な情報が秘密指定の対象となる。「特定有害活動」の定義が規定されているものの、特定秘密の取得行為が含まれるなどの理由から、結局その範囲はあいまいでいかようにも拡大しうる。時の政府が進めようとする危険な軍事政策に反対する人々の活動が「外国の利益を図る目的」で行われているという認定がなされ「特定有害活動」とされ、さらにはそれが「テロリズム」との関連があるかのような決めつけが横行する可能性が高い。

秘密指定は行政機関の長の権限とされており、指定の期間は一応5年以下であるが、有効期間は延長でき、内閣の承認があれば合算して30年を超えることができるとされており、半永久的な秘密扱いが可能となっている。政府は、指定等の統一的な運用基準を定めるとし、この基準を定め、またはこれを変更しようとするときは、有識者による意見聴取の制度を設けるとしている。有識者とは具体的には「我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者」とされている。しかし、事の性質上これまでにもまして有識者は政府寄りの人々によって占められることはほぼ間違いがない。また、これらの有識者にも適性評価をクリアすることが求められるものと予想される。しかも、意見聴取は一般的な運用基準の策定等に限定しており、個別の指定の適正さは審査の対象外とされる。これらのことから、この意見聴取制度は、歯止めとしてはほとんど機能しないと思われる。

 秘密主義は、官僚制の悪弊でもある。秘密は自己増殖を遂げる。その結果、特定秘密保護法の下で「特定秘密」は、「安全保障」を超えて、秘密事項が拡大するおそれが大きい。

秘密保護の構造をみると、適性評価を除くと、とりわけ、特定秘密保護法案は、戦前・戦時の国防保安法と類似している。国防保安法は、太平洋戦争の開始直前の1941年に制定された。この法律は、戦時体制の構築の重要な一環として制定され、言論統制など戦時のさまざまな統制に猛威を振るい、国民の知る権利を根こそぎ奪い、軍国主義の思想を社会の隅々まで浸透させるための武器となった。

 
三 特定秘密保護法案は憲法の基本原理を否定する

特定秘密保護法案は、憲法の基本原理である平和主義、国民主権(民主主義)および基本的人権の尊重を危うくする。

1.憲法の平和主義に反する

特定秘密保護法案は、前述したように、基本的に軍事立法であり、それ自体において日本国憲法の平和主義に反するものである。

歴史的には軍事機密を中心とする国家秘密保護の強化は、軍事力の再編成の節目に登場してきている。特定秘密保護法の制定は、明文改憲であれ、解釈改憲であれ、9条改憲および集団的自衛権の行使の容認と不可分一体のものとして構想されている。政府は、これまで9条の解釈に関して集団的自衛権の行使は許されないとしてきた。この解釈を投げ捨て、集団的自衛権の行使を認めるという方向へと舵を切ろうとしている。これによって、自衛隊は、これまでの専守防衛の原則を投げ捨て、日本が攻撃されていない場合でも、海外に展開し米軍などと肩を並べて、戦闘を行う軍隊へと大きく変化することになる。日本は70年近く保ってきた平和国家から「戦争をする国家」へと変貌しようとしているのである。

特定秘密保護法案は、前述したように、国家安全保障基本法案、国家安全保障会議設置法案とともに、9条の実質的な改憲を行うものであり、明文改憲を先取りするものである。それは外国での戦争を含む「戦争への備え」を行うものであり、平和的生存権を基礎に戦争放棄、国際紛争の平和的な解決、戦力の不保持、交戦権の否認を定めた日本国憲法に全面的に違反するものである。

特定秘密保護法は、改憲の意図する「戦争をすることができる国家づくり」の過程を秘密のベールによって覆い隠し、戦争への国民の批判を封じ込め、国民の協力を取り付ける装置となる。戦争には嘘が多いが、この嘘を知ろうとすることも、知らせることも処罰の対象となろ
う。

2.憲法の国民主権の原理に反する

 法案は、特定秘密を取り扱うことを業とする者に対する国家統制を強化することで、国民の知る権利を阻害する。

国民は、安全保障の重要事項に関してこそ、主権者として知る権利が保障されなければならない。この法案が成立すると、特定秘密に関する報道機関の取材は著しく困難となろう。国民が政治に関して適切な判断をするためには、重要な事項につき正確な情報を入手できることが重要である。国民を「見ざる、言わざる、聞かざる」の状態にすることは許されない。この法案の成立によって、情報公開制度、公益通報者保護制度は大きな後退を迫られることになろう。現在でも、防衛秘密等は情報公開の対象から除外されているが、特定秘密保護法のもとでは、秘密指定が大幅に拡大され、しかもこれに対する不服申し立てが否定されることになり、情報公開制度が空洞化され、毀損されることになる。

 防衛省、外務省、警察庁など行政機関が特定秘密として指定した情報は、国家安全保障会議に提供されて、安全保障に関する決定が行われる仕組みが想定され、安全保障に関するあらゆる権限は首相に集中し、統合されることになる。その反面、国会のコントロールは有効に機能しないものとなり、議会制民主主義は著しく弱体化する。

3.憲法が保障する基本的人権を広範囲に侵害する

法案はプライバシー権、思想・信条の自由、国民主権の基礎にある国民の知る権利や取材・報道の自由に重大な脅威を与え、刑事裁判における適正手続の保障や学問の自由などを侵害する恐れがある。

 (1)プライバシー権を侵害する。

特定秘密保護法案は適性評価制度を導入し、特定秘密を扱う者としてふさわしいかどうかの適格審査を行おうとしている。評価項目も思想・信条も含む広範囲なものとなっている。適性評価は、公務員だけではなく、業務委託を受けた民間業者や従業員も対象となる。その結果、職場の雰囲気は重苦しいものになる。プライバシーが広範囲に侵害され、思想調査が横行し、思想の自由が侵害される。必要があれば、いつでも周辺の家族、親族や友人などにも調査が及びうる。適性評価を行う行政機関は、治安機関としての機能を有することになる。

 (2)報道・表現の自由を侵害する。

報道機関には、国民の知る権利に応えて、報道の自由が最大限保障される必要がある。特定秘密保護法制によって広範な情報が秘匿され、報道機関への情報提供が処罰の対象となり、公務員や民間企業に働く人々の表現の自由など市民的自由が著しく制限される。報道機関の取材活動がささいな逸脱を口実に処罰される可能性が大きい。報道機関の活動は萎縮してしまい、自主規制も拡大する。報道機関だけではなく、平和運動、基地反対運動や各種オンブズマン活動など、市民運動レベルの情報収集も著しく制約されることになろう。

法案は、「この法律の解釈適用」として、次の条文(21条)をおいている。「この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」(1項)。「出版または報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする」(2項)。

メディアの側には、特定秘密保護法案に対する警戒心が強いが、これらの条文はメディアをなだめることを意図している。法案は、秘密を取り扱う公務員や民間人に対して秘密保護を求めており、違反者には最高10年の懲役刑に加えて、裁量によって1000万円以下の罰金を科すとしている。法案は水も漏らさない秘密保護の体制を作り上げることを意図しており、秘密とされた情報は、いわば蛇口を締められる状態となって、報道関係者等の取材が著しく困難となることには、目に見えている。懲役10年を覚悟して、秘密の情報をメディアに提供する人はほとんどいないであろう。出版・報道関係者が無理に蛇口を開けようとすると、特定秘密の取得行為に当たるとされ、10年以下の懲役刑及び1000万円以下の罰金に処せられる。このようにして、メディアは、政府が提供した情報を国民に向かってもっぱら広報、宣伝する媒体へと退化する可能性が高い。法案は、「拡張解釈」しなくても、十分に人権侵害をもたらす。また、「出版又は報道の業務に従事する者」であるかどうかは、警察等が判断し、最終的には裁判所が判断する。かりに裁判で救済されたとしても、報道機関が委縮してしまうであろう。この種の法律に設けられる濫用禁止規定が人権侵害に対してどこまで効果的な歯止めとなるかは、過去の類似の規定を持つ法律等の運用から見て、きわめて疑わしい。

 (3)学問の自由を危うくする。

 特定秘密保護法の基本的な罰則である漏えい罪は、特定秘密の取扱業務者だけではなく、業務知得者の漏えいも対象にしている。科学技術の領域で、近年「安全保障」という名の軍事研究が拡大しているが、こうした研究が特定秘密保護法の下で飛躍的に拡大する可能性が大きい。国公立大学や私立大学で、国や軍事産業の委託を受けて軍事研究や汎用技術の研究などを行う場合、研究者は適性評価の対象となり、秘密保全義務が課されて、「漏えい」に対して処罰が科される。研究の内容は秘匿され、研究者相互間の研究内容の吟味が否定され、学会や雑誌等での発表も規制の対象となる。大学における自由闊達な研究と研究者間の交流と相互批判が大きく阻害される。


四 特定秘密保護法は、刑法および刑事訴訟法の原則をゆがめる

1.罰則は罪刑法定主義に反し、憲法31条違反である。

特定秘密保護法の罰則は、文言が曖昧であり、処罰の範囲は広汎であり、その内容も適正ではなく、憲法31条の適正手続・罪刑法定主義に反する。

罪刑法定主義は、犯罪と刑罰が国会の制定する法律によらなければならないとするものであり、行政機関である政府が刑罰法規を定めることは、基本的人権と議会制民主主義の見地から許されていない。この法案の特定秘密はそもそもきわめて広範囲であり、その具体的な内容は政府が決定する。このような罰則は、刑法による保護の対象を事実上行政機関の決定に広範に委任するという意味で、それ自体罪刑法定主義の趣旨に反する。処罰の類型も秘密漏えいを中心に、特定秘密の取得行為、独立教唆・扇動、共謀にまで及んでおり、過失による漏えいの処罰も含まれている。刑罰の補充性、謙抑性の原則を顧みず、悪しき完全主義に陥っている。

法案の罰則の類型としては、漏えい罪と探知型の取得行為とが規定されている。法案の漏えい罪は、自衛隊法の防衛秘密漏えい罪の法定刑と比べて、格段に刑が引き上げられている。自衛隊法の防衛秘密漏えい罪は、防衛秘密を取り扱うことを業務とする者の漏えい行為を処罰するだけであり、取得行為を処罰する規定を有していない。なお、在日米軍に関する刑事特別法やアメリカ政府から提供される武器や技術の秘密保護を図るMDA秘密保護法でも、探知・収集罪と漏えい罪が規定されている。条項の順番、配列は異なるものの、法案の罰則もこれら二つの先行する秘密保護立法の犯罪類型に類似したものとなっている。法定刑もこれら二つの法律における罰則と同じレベルのものとされている。集団的自衛権の行使をめぐって、日米の軍事的一体化が進むなかで、特定秘密の保護においても在日米軍に関する秘密やアメリカから提供された軍事物資等・技術の秘密の保護と同等の保護を自衛隊の秘密に与えようとしている。

法案は、故意の漏えいに加えて、過失の漏えいも処罰するとしている。秘密かもしれないと思えば、故意が認められることになろう。過失ではうっかりしゃべってしまうことが処罰の対象となる。漏えい罪は、一定の立場にある者による犯罪(いわゆる身分犯)とされている。そのうち、特定秘密を取り扱うことを業務とする者による漏えいの場合、10年以下の懲役刑(裁量により1000万円以下の罰金の併科もできる)、行政機関の長から提供を受けて特定秘密の提供を受けて、特定秘密を知得した者による漏えいの場合、5年以下の懲役刑(裁量により500万円以下の罰金の併科もできる)が科される。

適性評価と罰則の行為主体(身分)とは切り離されている。法案は、特定秘密を他の行政機関に提供する場合、提供を受けた行政機関の側の職員については、特定秘密の取り扱い業務者とすることを想定している。これらの業務者については、適性評価が行われる。

法案は、行政機関の長、国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣、大臣政務官「その他職務の特殊性等を勘案して政令で定める者」については、適性評価を行わないとしている。しかし、これらの者が、罰則に規定された漏えい行為を行えば、故意犯であれ過失犯であれ、処罰を免れることはできない仕組みとなっている。

国会議員はどうか。国会議員や裁判官は、行政機関の長が行う適性評価の対象とはならない。しかし、特定秘密の提供を受けることは想定される。法案は、国会の非公開審理を前提として、厳重な秘密保持の措置を講じたうえで、各議院、議院の委員会もしくは調査会に対する特定秘密の提供を行うとしている。そうすると、特定秘密の提供を受けたとする国会議員は、罰則の特定秘密の提供を受け、「知得した者」(知得者)に該当し、罰則の適用が及ぶことになり、5年以下の懲役および500万円以下の罰金による処罰が可能となる。

法案では「公益上の必要による特定秘密の提供」に関する制度が盛り込まれている。行政機関の長が刑事裁判へ証拠として特定秘密を提供することは、これに当たる。この刑事裁判に関与する検察官・裁判官および弁護士は、罰則の主体となるのか。検察官が秘密取扱い者となるのかどうかは、現時点では明らかではない。少なくとも捜査や刑事裁判で検察官が証拠となる特定秘密の提供を受けている場合は、業務上知得者となることは明らかであり、故意および過失の漏えい罪の主体となる。

法案10条1項ロは、捜査もしくは公訴の維持又は審理に対する特定秘密の提供を規定している。刑事訴訟法316条の27では、公判前整理手続で裁判所が証拠開示に関して裁定を行う場合、証拠提示を命令することができる。裁判所が特定秘密を含む証拠について提示命令を出した場合、これに関与した裁判官は、特定秘密の内容を知ることになる。したがって、この場合は、裁判官が故意漏えい罪および過失漏えい罪の主体となる。裁判所がその証拠の開示を命じる場合には、弁護人も知ることになるから、その場合には弁護人も処罰の対象となりうる。
すなわち、この法律が成立すると、一定の場合には裁判官・弁護人にも法律の適用が及びうる。

法案では、過失漏えいについても処罰するとする。在日米軍に関するMDA秘密保護法では、過失漏えい罪の規定を置いているが、自衛隊法では過失処罰の規定を置いていない。MDA秘密保護法と同様な秘密保護の仕方をすることで、法案の軍事立法としての性格は明白となっている。すなわち、集団的自衛権の行使を前提に、日本側の秘密保護を強化しようとする法案の性格は、ここでも明らかとなっている。 

報告書では、特定取得行為という類型が想定されていた。法案ではこの文言にかえて、特定秘密の取得のために、➀人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為、➁財物の窃取、施設への侵入、不正アクセスその他の特定秘密の保有者の管理を害する行為を行った場合、手段となる行為の処罰とは別に、取得行為そのものの処罰を規定し、懲役10年以下の刑が科される。ささいな行き過ぎを口実に、報道機関の取材やさまざまな住民運動の側の調査活動は規制の対象とされ、活動を委縮させるおそれが大きい。


2.特定秘密保護法は、刑事裁判における適正手続保障に違反する。

特定秘密保護法では、秘密に関して、秘密指定されるだけではなく、実質的にも秘匿の必要性があるものとしている。しかし、罰則に違反して起訴された場合、適性評価を受けていない裁判官や弁護人に秘密の内容を開示することは認められないおそれがある。法案によれば、公判前整理手続における証拠開示を制限し、証拠開示に関する裁判所の裁定においてすら、捜査機関以外の者に対する証拠を開示しないという対応を採用するかのようである。

その結果、裁判では「特定秘密」の内容が裁判官に対してさえ明らかにされないまま、審理され、有罪とされることになろう。秘密指定という事実から実質的な秘匿の必要性が推認されることになり、裁判は結局、行政機関の長が行った秘密指定を追認する場所にすぎないものとなる可能性が大きい。さらに、「特定秘密」に関する審理においては、裁判の公開の制限や、尋問・論告・弁論が制限されるおそれも無視できない。

 弁護人が特定秘密にアクセスしようとすれば、弁護人の活動が特定秘密の取得行為あるいは共謀罪、独立教唆・扇動罪あるいは未遂罪に当たるとして、処罰される可能性がある。このように、被疑者・被告人が有する弁護人の援助を受ける権利が著しく制限される。

 このように、特定秘密保護法のもとで、適正手続、公正な裁判、弁護人の援助を受ける権利などが広範囲に脅かされる。

現在、法制審議会の「新時代の刑事司法特別部会」で通信傍受の拡大、室内盗聴捜査の創設等の審議が進められている。特定秘密保護法が制定された場合、構想されている刑事司法の新しい制度が持つ危険は、いっそう拡大するおそれが大きい。集団的自衛権の行使を想定した軍事の強化にともない、特定秘密保護法のもとで、反戦運動・平和運動への抑圧の強化に関連する事項が秘密の事項に含まれる可能性が高い。


五 結論

特定秘密保護法案は、憲法の平和主義、国民主権原理、基本的人権の尊重主義といった憲法の基本原理を脅かすものであり、憲法改悪の先取りでもある。それと同時に、刑事法の人権保障をも侵害するおそれが大きいと言わざるを得ない。われわれは、刑事法研究者の立場から、この法案に強く反対する。


               2013年11月6日


呼びかけ人

村井 敏邦(代表、一橋大学名誉教授、弁護士、日本刑法学会元理事長)
斉藤 豊治(代表、甲南大学名誉教授、弁護士)
浅田 和茂(立命館大学教授)
安達 光治(立命館大学教授)
海渡 雄一(弁護士、日本弁護士連合会前事務総長)
川崎 英明(関西学院大学教授)
葛野 尋之(一橋大学教授)
斎藤  司(龍谷大学准教授)
佐々木光明(神戸学院大学教授)
白取 祐司(北海道大学教授)
新屋 達之(大宮法科大学院教授)
武内 謙治(九州大学准教授)
土井 政和(九州大学教授)
豊崎 七絵(九州大学准教授)
中川 孝博(國學院大學教授)
新倉  修(青山学院大学教授)
渕野 貴生(立命館大学教授)
本庄  武(一橋大学准教授)
前田  朗(東京造形大学教授)
松宮 孝明(立命館大学教授)
三島  聡(大阪市立大学教授)
水谷 規男(大阪大学教授)
守屋 克彦(弁護士、元東北学院大学教授)


賛同者

赤池一将(龍谷大学教授)、安里全勝(山口大学前教授)、雨宮敬博(宮崎産業経営大学講師)、甘利航司(國學院大學准教授)、荒川雅行(関西学院大学教授)、荒木伸怡(立教大学名誉教授)、伊賀興一(弁護士)、生田勝義(立命館大学名誉教授)、石塚伸一(龍谷大学教授)、石田倫識(愛知学院大学准教授)、伊藤睦(三重大学准教授)、稲田朗子(高知大学准教授)、指宿信(成城大学教授)、上田寛(立命館大学教授)、上田信太郎(岡山大学教授)、植田博(広島修道大学教授)、上野達彦(三重大学名誉教授)、内田博文(神戸学院大学教授・九州大学名誉教授)、内山真由美(佐賀大学准教授)、梅田豊(愛知学院大学教授)、浦   功(弁護士)、岡田行雄(熊本大学教授)、岡本勝(東北大学名誉教授)、大出良知(東京経済大学教授)、大藪志保子(久留米大学准教授)、大山弘(神戸学院大学教授)、小田中聰樹(東北大学名誉教授)、春日勉(神戸学院大学教授)、門田成人(広島大学教授)、金澤真理(大阪市立大学教授)、神山敏雄(岡山大学名誉教授)、嘉門優(立命館大学准教授)、川崎拓也(弁護士)、金尚均(龍谷大学教授)、京明(関西学院大学准教授)、楠本孝(三重短期大学教授)、黒川亨子(宇都宮大学専任講師)、小浦美保(岡山商科大学准教授)、古川原明子(龍谷大学准教授)、後藤昭(一橋大学教授)、酒井安行(青山学院大学教授)、坂本学史(神戸学院大学講師)、佐川友佳子(香川大学准教授)、櫻庭総(山口大学専任講師)、笹倉香奈(甲南大学准教授)、佐藤雅美(神戸学院大学教授)、島岡まな(大阪大学教授)、下村忠利(弁護士)、白井諭(大阪経済法科大学専任講師)、鈴木一郎(弁護士)、鈴木博康(九州国際大学准教授)、陶山二郎(茨木大学准教授)、関口和徳(愛媛大学准教授)、高内寿夫(國學院大學教授)、高倉新喜(山形大学准教授)、高田昭正(立命館大学教授)、高平奇恵(九州大学助教)、武田誠(國學院大學教授)、田中輝和(東北学院大学名誉教授)、田淵浩二(九州大学教授)、丹治初彦(弁護士、神戸学院大学名誉教授)、恒光徹(大阪市立大学教授)、寺中誠(東京経済大学非常勤講師)、徳永光(獨協大学教授)、冨田真(東北学院大学教授)、内藤大海(熊本大学准教授)、永井善之(金沢大学教授)、中島洋樹(関西大学准教授)、中島宏(鹿児島大学教授)、中村悠人(東京経済大学専任講師)、鯰越溢弘(創価大学教授、弁護士)、名和鐡郎(静岡大学名誉教授、獨協大学名誉教授)、西岡正樹(山形大学准教授)、新村繁文(福島大学教授)、羽倉佐知子(弁護士)、比嘉康光(立正大学名誉教授)、玄守道(龍谷大学准教授)、平井佐和子(西南学院大学准教授)、平川宗信(中京大学教授、名古屋大学名誉教授)、平田元(熊本大学教授)、福井厚(京都女子大学教授)、福島至(龍谷大学教授)、振津降行(金沢大学教授)、本田稔(立命館大学教授)、前田忠弘(甲南大学教授)、前野育三(関西学院大学名誉教授)、正木祐史(静岡大学教授)、松岡正章(弁護士・甲南大学名誉教授)、松倉治代(大阪市立大学准教授)、松本英俊(駒澤大学教授)、丸山泰弘(立正大学専任講師)、光藤景皎(大阪市立大学名誉教授)、緑大輔(北海道大学准教授)、三宅孝之(島根大学名誉教授)、宮本弘典(関東学院大学教授)、村岡啓一(一橋大学教授)、森尾亮(久留米大学教授)、森下弘(立命館大学教授、弁護士)、森久智江(立命館大学准教授)、森本益之(大阪大学名誉教授)、山下幸夫(弁護士)、山田直子(関西学院大学教授)、山名京子(関西大学教授)、吉村真性(九州国際大学准教授)



氏名非公表の賛同者

5名


※呼びかけ人と賛同者の総数は132名(2013年11月8日現在)
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