私は怒っています。
怒りの原因の一つは、政治資金規正法違反で刑事告発していた松岡大臣(当時)らが不起訴処分になったからです。
もう一つの原因は、不起訴処分の理由の説明があまりにも不十分だからです。これは改善されるべきです。
以下では、後者の点に論点を絞り、少し詳しく私見を説明いたします。


1.刑事告発

昨年(2007年)4月3日に、松岡利勝農林水産大臣(その後自殺)が代表を務めている資金管理団体の政治資金収支報告書が虚偽であるとして、代表の松岡氏と会計責任者(青木昭二)を政治資金規正法違反で刑事告発していました

告発状はこれです。

2.東京地検特捜部の不起訴処分

(1)今年2月13日、東京地検(東地特捜第11号)から処分通知書が配達証明で送られてきました。

(2)不起訴処分でした。     
処 分 通 知 書

                   平成20年2月12日

上 脇 博 之 殿

        東京地方検察庁
           検察官検事  齋 藤 隆 博

貴殿から平成19年4月3日付で告発のあった次の被疑事件は、下記のとおり処分したので通知します。

    記

1 被 疑 者  松岡利勝、青木昭二
2 罪 名    政治資金規正法違反
3 事件番号   平成19年検第8159,8160号
4 処分年月日  平成20年2月12日
5 処分区分   不 起 訴 
 
  
(3)この処分通知では処分理由が全くわかりません。

3.不起訴処分の理由

(1)代理人になっていただいた弁護士さんはこのことを伝えると、2人の各処分理由が起訴猶予なのか嫌疑不十分なのか、検察に尋ねて欲しい、ということでした。

(2)その翌日(2月14日)、電話で尋ねることにしました。

(3)不起訴になった処分理由を説明してもらうために東京地検特捜部に電話しましたが、担当検事が不在だったので、事務方に電話で連絡していただくよう伝言しました。

(4)すると、特捜部の事務方から電話があり、「文書で請求してもらえれば文書で回答する」旨の返事でした。
電話でも教えて欲しいと言ったのですが、ダメでした。

また、そもそも処分通知書で処分理由を明記してもらえれば、このような手間は不要になるのではないか、と言うだけは言っておきました。

その請求の文書を作成し、送る段になり、ファックスで受け付けてもらえないのか電話で尋ねたところ、それもダメでした。

兎に角手間がかかりました。

(5)私の郵送した文書は以下の通りです。
不起訴処分の理由説明を求める要求書

東京地方検察庁 検察官検事 齋藤隆博 様

2008年2月14日
               〒(略)
                   上 脇 博 之

私が昨年4月3日付で告発した次の被疑事件について、昨日、貴職からの処分通知書(平成20年2月12日付)を受け取りました。
しかし、処分理由は全く記載されておりません。被疑者2名それぞれの処分理由を詳細に説明するよう要求いたします。至急、文書にて説明いただきたい。


1 被 疑 者  松岡利勝、青木昭二
2 罪 名    政治資金規正法違反
3 事件番号   平成19年検第8159、8160号
4 処分年月日  平成20年2月12日
5 処分区分   不 起 訴
                      以上。


(6)こうして「詳細な説明」を求めました。
2月21日午前中、不起訴処分理由告知書が届きました。
松岡氏は「被疑者死亡」、会計責任者は「嫌疑不十分」ということでしたが、
処分理由はそれだけでした。
       
不起訴処分理由告知書

                    東地特捜第170号
                    平成20年2月19日
上 脇 博 之 殿

        東京地方検察庁
           検察官 検事  齋 藤 隆 博

貴殿の請求により下記のとおり告知します。

            記

貴殿から平成19年4月3日付で告発のあった(1)松岡利勝、(2)青木昭二に対する政治資金規正法違反被疑事件の不起訴処分の理由は、次のとおりです。

(不起訴処分の理由)

(1)被疑者死亡
(2)嫌疑不十分     平成19年検第8159号、8160号


4.運用改善の提案

(1)不起訴の場合の処分通知書の郵送の際には、請求すれば検察(官)から不起訴処分理由の説明を受けられることと、検察審査会への審査の申し立てができることを、文書で知らせるべきです。

〃沙告発した一般庶民の多くは、まず、処分通知書に処分理由が明記されていないことに驚き、憤ります。

△泙拭⊇菠理由の説明を求めることが法律で認められていることを知りませんし、検察審査会に審査を申し立てられることも知りません。

ですから、検察(官)は、告発人に法律の規定を紹介し、請求すれば不起訴処分の理由を知ることができるし、検察審査会に審査を申し立てることもできることを知らせるべきです。

刑事訴訟法
第260条 検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について、公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人、告発人又は請求人に通知しなければならない。公訴を取り消し、又は事件を他の検察庁の検察官に送致したときも、同様である。

第261条 検察官は、告訴、告発又は請求のあった事件について公訴を提起しない処分をした場合において、告訴人、告発人又は請求人の請求があるときは、速やかに告訴人、告発人又は請求人にその理由を告げなければならない。


(2)不起訴処分の理由の説明についてですが、以前は文書での説明はなかったように記憶しています。
北九州にいた頃、刑事告発したときには、文書で理由の説明を求め、電話で担当検事から説明を聞いただけでした。

(3)不起訴処分の理由はもっと説明されるべきです。

〆2鵑蓮∧現颪撚鹽されたのですから、ある意味では一歩前進です。

△靴し、「起訴猶予」「嫌疑不十分」「罪とならず」など、この程度の説明では電話でも十分なのかもしれません。
逆に文書を作成し、郵送する分、手間が増えました。
それなのに、このように不十分な説明では、告発人は納得しません。
改善されるべきです。

H鏐霹人・被疑者やその関係者の名誉を害することなく、かつ、証拠を公開しないという原則の趣旨に反しない限りで、実質的理由を出来るだけ詳しく説明すべきではないでしょうか。

い箸いΔ里蓮△修里茲Δ兵村租説明があれば、告発人が次に、検察審査会に審査申し立てをするかどうかを判断する際の材料ができるからです。
言い換えれば、告発人は、そのような実質的説明がなければ、検察審査会に対する審査申し立てをするかどうかを適切に判断することが難しいからです。

イ泙拭⊆村租な理由を出来るだけ説明することになれば、検察(官)の恣意的な不起訴処分を抑制することにも役立つのではないでしょうか。

Π幣紊硫善は、法律(刑事訴訟法第261条)が要請していると解釈すれば当然のことですが、たとえ法律がそこまで要請していないとしても、そのような改善は法律が禁止していないはずです。
ですから、この程度の改善は、現行の法律の下でも難しいことではないでしょう。

Г海猟度の改善さえ出来ないようであれば、処分通知書に「嫌疑不十分」などの処分理由を明記して欲しいものです。
その程度の処分理由しか知らせないのに、告発人に時間をかけて文書を作成させ、郵送代を負担させるのは、検察(官)は告発人から権利行使の意欲を事実上奪っているに等しいでしょう。
「請求もしていないのに処分理由を明記するのは違法だ」という告発人はいないでしょう。
検察(官)にとっても、大きな負担ではないでしょう。