国民の税金を原資にした政党助成制度については、議会制民主主義の保障の点でも人権保障の点でも憲法上問題である。
これを論じる場合、政党助成制度一般の次元の憲法問題と、具体的な政党助成法の時限の問題がある。ここでは、後者について論じ、私見を述べることにする。
1.政党助成制度の導入とデマゴーグ
(1)1994年に「政治改革」が強行されたことは、すでに説明した。
(2)政治腐敗の温床である企業・団体献金は禁止されず、温存された。
(3)そのうえで、国民の税金を原資とした政党助成制度が導入された。
名目は、政治腐敗の防止だった。
(4)その結果、1995年以降、年間総額300億円〜320億円の税金が一定の要件(後述)を充足する「政党」に毎年交付されてきている。
今年で14年目になる。
今年(2008年)の各政党の政党交付金は以下の通りである。
(5)しかし、「政治とカネ」の問題は相変らず発覚し続けている。
そもそも政党助成を導入すれば政治腐敗が防止できるというのが非科学的であるは外国の例からも明らかであった。
デマゴーグであった。
(6)政党助成制度の導入前に、元自民党副総裁の金丸信衆議院議員(故人)は、政治腐敗はなくなっていないのに政党助成を導入すれば「泥棒に追い銭」になると冷ややかに発言し、導入に反対を表明していたが、その予想は見事に的中している。
(7)また、政党助成は「民主主義のコスト」を賄うものとも説明されたが、「民主主義のコスト」としては、公営選挙、議員歳費、立法事務費などがすでに存在していた。
「政党」だけが民主主義の担い手ではない。 「民主主義のコスト」といいながら、政党以外の政治団体や無所属の候補者・議員を排除するのは、不平等だし、不合理である。
政党助成制度を導入するために説かれた「民主主義のコスト」論も、デマゴーグであった。
2.選挙結果と連動している現行の政党助成法
(1)現行の政党助成法によると、政党助成の年間の総額は、250円に人口数を乗じて算出されるので、投票率とは無関係に300億円〜320億円が政党交付金として確保される仕組みになっている。
(2)また、政党助成法によると、政党交付金を受け取ることができるのは、「政党」だけであり、その他の政治団体や無所属の者は交付を受ける資格がない。
また、「政党」であっても、如何なる政党でも交付が受けられるわけではない。
国会議員5人以上の「政党」か、国会議員1人以上で全国の得票率2%以上の「政党」のいずれかでなければ、交付を受けられない。
(3)さらに、この要件を充足している「政党」には、その議員数割と得票数割で年間の交付額が決定される仕組みになっている。
(4)以上のような法律の仕組みによると、国政選挙で投票する一票は、政党交付金を受け取る資格を決定し、かつ交付金の配分額を決定してい一票にもなっているのである。
3.現行政党助成制度は民主的ではない!
(1)以上のように現行の政党助成制度は、選挙結果に連動しているのである。
これは、選挙結果に連動している点で民主的であるように思われるかも知れないが、そうではない。
(2)まず、政党交付金の総額は、前述したように、人口数で決まるので、投票率の高低に関係なく決まっている。
(3)また、政党交付金を受け取る資格や配分額を決める際弐は選挙結果によって決まるとはいえ、そももそも国政選挙が民主的ではない。特に小選挙区選挙は民意を正確・公正に反映する選挙制度ではないからである。
(4)さらに、前述の「政党」要件を充足しなければ政党交付金の交付を受ける資格がないから、国会議員4名で全国の得票率1.9%の政治団体は「政党」とは見なされず、政党交付金を受け取る資格がない。
全国の得票率2%でも国会議員が一人もいなければその政治団体は「政党」とは見なされず、政党交付金を受け取る資格がない。
(国会議員1人で得票率2%の政治団体や、国会議員5人で得票率1%の政治団体は、「政党」と見なされ、政党交付金を受け取る資格がある。)
(5)最後に、政党助成法の「政党」要件を充足してても、政党交付金を受け取る手続きを採らなければ、その「政党」は、政党交付金の配分額は決定されない。
日本共産党は、受け取りを一切拒否しているので、政党交付金の配分額は決定されない。
言い換えれば、日本共産党が手続きをしていれば決まっている政党交付金額は、その他の資格を有する全ての「政党」によって山分けされているのである。
(6)以上の説明から明らかなように、政党助成制度は厳密には民主的なものではない。
4.個人の意思も尊重しない現行政党助成法
(1)もっと問題なのは、現行政党助成制度が個人の意思を尊重してはいないことである。
(2)そもそも政党助成制度が選挙結果に連動しているという仕組みを、どれだけの有権者が知って国政選挙で投票しているでしょうか?
有権者は衆参の国政選挙で投票するとき、自己の一票が政党助成のための一票だと思って投票しているでしょうか?
このような仕組みを知らない有権者にとっては、国政選挙の投票が勝手に政党助成のための投票に流用されていることになります。
(3)この仕組みを知っている有権者の中には、自己の国政選挙の投票が政党助成の投票にもなることを認識し、それを是認している人もいるでしょうが、そのような有権者ばかりではないでしょう。
中には、政党助成制度には賛成だが、国政選挙での投票先とは別の「政党」に政党助成する投票をしたいと思っている有権者もいるでしょう。
あるいはまた、そもそも政党助成制度には反対だし、国政選挙の投票先の「政党」には政党助成の投票をしたくないと思っている違憲者もいるでしょう。
しかし、今の法律によると、そのような有権者の意思はまったく尊重されないことになっています。
ですから、政党助成のために一票を投じたくない有権者は棄権するしかないのです。
(4)これは、政治的自己決定権(あえて棄権すれば選挙権・投票権)の侵害です。
(5)このような人権侵害を回避して政党助成制度を維持するとなると、国政選挙の結果を流用せず、例えば毎年政党助成のための投票をする制度に改革しなければなりません。
もちろん、この場合、人口数で政党助成の総額を決定するのではなく、1票250円で計算すべきです。投票数で政党助成額がきまることになります。
(もちろん、これでも憲法違反の可能性がありますが、ここではそれについて論じまないことにします。)
(6)そしてこの政党助成のための投票制度において、選挙(投票)権者(約1億人)の過半数が投票しなければ、この制度は自動的に廃止するよう法律改正のときに明示すべきです。
言い換えれば、主権者国民に政党助成金の額を決定させるだけではなく、政党助成制度の存続か廃止かを決定させるべきです。
これを論じる場合、政党助成制度一般の次元の憲法問題と、具体的な政党助成法の時限の問題がある。ここでは、後者について論じ、私見を述べることにする。
1.政党助成制度の導入とデマゴーグ
(1)1994年に「政治改革」が強行されたことは、すでに説明した。
(2)政治腐敗の温床である企業・団体献金は禁止されず、温存された。
(3)そのうえで、国民の税金を原資とした政党助成制度が導入された。
名目は、政治腐敗の防止だった。
(4)その結果、1995年以降、年間総額300億円〜320億円の税金が一定の要件(後述)を充足する「政党」に毎年交付されてきている。
今年で14年目になる。
今年(2008年)の各政党の政党交付金は以下の通りである。
自由民主党 158億4263万8000円
民主党 118億7848万9000円
公明党 27億3072万9000円
社会民主党 9億0229万5000円
国民新党 3億8395万5000円
新党日本 2億0388万9000円
合計 319億4199万5000円
(5)しかし、「政治とカネ」の問題は相変らず発覚し続けている。
そもそも政党助成を導入すれば政治腐敗が防止できるというのが非科学的であるは外国の例からも明らかであった。
デマゴーグであった。
(6)政党助成制度の導入前に、元自民党副総裁の金丸信衆議院議員(故人)は、政治腐敗はなくなっていないのに政党助成を導入すれば「泥棒に追い銭」になると冷ややかに発言し、導入に反対を表明していたが、その予想は見事に的中している。
(7)また、政党助成は「民主主義のコスト」を賄うものとも説明されたが、「民主主義のコスト」としては、公営選挙、議員歳費、立法事務費などがすでに存在していた。
「政党」だけが民主主義の担い手ではない。 「民主主義のコスト」といいながら、政党以外の政治団体や無所属の候補者・議員を排除するのは、不平等だし、不合理である。
政党助成制度を導入するために説かれた「民主主義のコスト」論も、デマゴーグであった。
2.選挙結果と連動している現行の政党助成法
(1)現行の政党助成法によると、政党助成の年間の総額は、250円に人口数を乗じて算出されるので、投票率とは無関係に300億円〜320億円が政党交付金として確保される仕組みになっている。
(2)また、政党助成法によると、政党交付金を受け取ることができるのは、「政党」だけであり、その他の政治団体や無所属の者は交付を受ける資格がない。
また、「政党」であっても、如何なる政党でも交付が受けられるわけではない。
国会議員5人以上の「政党」か、国会議員1人以上で全国の得票率2%以上の「政党」のいずれかでなければ、交付を受けられない。
(政党の定義)第2条 この法律において「政党」とは、政治団体(政治資金規正法(昭和23年法律第194号)第3条第1項に規定する政治団体をいう。以下同じ。)のうち、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
1.当該政治団体に所属する衆議院議員又は参議院議員を5人以上有するもの
2.前号の規定に該当する政治団体に所属していない衆議院議員又は参議院議員を有するもので、直近において行われた衆議院議員の総選挙(以下単に「総選挙」という。)における小選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は直近において行われた参議院議員の通常選挙(以下単に「通常選挙」という。)若しくは当該通常選挙の直近において行われた通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の100分の2以上であるもの。
(3)さらに、この要件を充足している「政党」には、その議員数割と得票数割で年間の交付額が決定される仕組みになっている。
(政党に対する政党交付金の交付等)第3条 ・・・・。
2 政党交付金は、議員数割(政党に所属する衆議院議員及び参議院議員の数に応じて交付される政党交付金をいう。以下同じ。)及び得票数割(総選挙の小選挙区選出議員の選挙及び比例代表選出議員の選挙並びに通常選挙の比例代表選出議員の選挙及び選挙区選出議員の選挙における政党の得票総数に応じて交付される政党交付金をいう。以下同じ。)とする。
政党交付金の額の算定)第8条 毎年分として各政党(その年分について第5条第1項の届出(第6条第1項の規定の適用がある場合にあっては、同項の届出)をしたものに限る。以下この条において同じ。)に対して交付すべき政党交付金の額は、次項に定める議員数割の額と第3項に定める得票数割の額とを合計した額とする。
2 各政党に対して交付すべき議員数割の額は、議員数割の総額に当該政党に所属する衆議院議員及び参議院議員の数を各政党に所属する衆議院議員及び参議院議員の数を合算した数で除して得た数を乗じて得た額とする。
(4)以上のような法律の仕組みによると、国政選挙で投票する一票は、政党交付金を受け取る資格を決定し、かつ交付金の配分額を決定してい一票にもなっているのである。
3.現行政党助成制度は民主的ではない!
(1)以上のように現行の政党助成制度は、選挙結果に連動しているのである。
これは、選挙結果に連動している点で民主的であるように思われるかも知れないが、そうではない。
(2)まず、政党交付金の総額は、前述したように、人口数で決まるので、投票率の高低に関係なく決まっている。
(3)また、政党交付金を受け取る資格や配分額を決める際弐は選挙結果によって決まるとはいえ、そももそも国政選挙が民主的ではない。特に小選挙区選挙は民意を正確・公正に反映する選挙制度ではないからである。
(4)さらに、前述の「政党」要件を充足しなければ政党交付金の交付を受ける資格がないから、国会議員4名で全国の得票率1.9%の政治団体は「政党」とは見なされず、政党交付金を受け取る資格がない。
全国の得票率2%でも国会議員が一人もいなければその政治団体は「政党」とは見なされず、政党交付金を受け取る資格がない。
(国会議員1人で得票率2%の政治団体や、国会議員5人で得票率1%の政治団体は、「政党」と見なされ、政党交付金を受け取る資格がある。)
(5)最後に、政党助成法の「政党」要件を充足してても、政党交付金を受け取る手続きを採らなければ、その「政党」は、政党交付金の配分額は決定されない。
日本共産党は、受け取りを一切拒否しているので、政党交付金の配分額は決定されない。
言い換えれば、日本共産党が手続きをしていれば決まっている政党交付金額は、その他の資格を有する全ての「政党」によって山分けされているのである。
(6)以上の説明から明らかなように、政党助成制度は厳密には民主的なものではない。
4.個人の意思も尊重しない現行政党助成法
(1)もっと問題なのは、現行政党助成制度が個人の意思を尊重してはいないことである。
(2)そもそも政党助成制度が選挙結果に連動しているという仕組みを、どれだけの有権者が知って国政選挙で投票しているでしょうか?
有権者は衆参の国政選挙で投票するとき、自己の一票が政党助成のための一票だと思って投票しているでしょうか?
このような仕組みを知らない有権者にとっては、国政選挙の投票が勝手に政党助成のための投票に流用されていることになります。
(3)この仕組みを知っている有権者の中には、自己の国政選挙の投票が政党助成の投票にもなることを認識し、それを是認している人もいるでしょうが、そのような有権者ばかりではないでしょう。
中には、政党助成制度には賛成だが、国政選挙での投票先とは別の「政党」に政党助成する投票をしたいと思っている有権者もいるでしょう。
あるいはまた、そもそも政党助成制度には反対だし、国政選挙の投票先の「政党」には政党助成の投票をしたくないと思っている違憲者もいるでしょう。
しかし、今の法律によると、そのような有権者の意思はまったく尊重されないことになっています。
ですから、政党助成のために一票を投じたくない有権者は棄権するしかないのです。
(4)これは、政治的自己決定権(あえて棄権すれば選挙権・投票権)の侵害です。
(5)このような人権侵害を回避して政党助成制度を維持するとなると、国政選挙の結果を流用せず、例えば毎年政党助成のための投票をする制度に改革しなければなりません。
もちろん、この場合、人口数で政党助成の総額を決定するのではなく、1票250円で計算すべきです。投票数で政党助成額がきまることになります。
(もちろん、これでも憲法違反の可能性がありますが、ここではそれについて論じまないことにします。)
(6)そしてこの政党助成のための投票制度において、選挙(投票)権者(約1億人)の過半数が投票しなければ、この制度は自動的に廃止するよう法律改正のときに明示すべきです。
言い換えれば、主権者国民に政党助成金の額を決定させるだけではなく、政党助成制度の存続か廃止かを決定させるべきです。