◇元アメリカ海兵隊員・アレン・ネルソン講演会
「これが戦争だ!戦場の体験から平和を語る」
♪心にしみるギターの弾き語りも♪
2007年7月8日(日)14時開会〜閉会4時30分
場所:UNITYセミナー室4(兵庫県神戸市営地下鉄「学園都市駅」南隣)
主催:九条の会がくえん、桜ヶ丘・押部谷九条の会、平和を考える九条の会・たまつ、かがやき九条の会、憲法九条の会・岩岡、西神ニュータウン9条の会

これは昨年7月に行われた講演です。
私のメモと記憶を頼りに断片的ですが紹介します。
(不正確なところがあるかもしれませんが、予めご了解ください。)

講演の内容を紹介する前に、アレン・ネルソンさんのプロフィールを簡単に紹介しておきます。
◇プロフィール
?1947年 ニューヨーク生まれのアフリカ系アメリカ人
?1966年 海兵隊員としてベトナム戦争の前線に。
?除隊後、戦争後遺症に苦しみ、回復後の1996年以降、アメリカや日本の各地・学園で、戦争の現実と平和の尊さ、日本国憲法第9条の意義を訴え続けている。
?著書には「戦場で心が壊れて」新日本出版社1300円、「そのとき、赤ん坊が私の手の中に」憲法9条・メッセージ・プロジェクト300円、「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」講談社1365円


以下、講演の内容の一部紹介です。
なお、講演は英語。通訳あり。約2時間。そのあと質疑約30分。

冒頭でアレン・ネルソンさんはギターを弾き歌いました。
見出しは私がつけたものです。

1.総論
広島・長崎への原爆投下で明らかなように、アメリカはテロ国家です。
日本の米軍基地は、日本を守るためにあるのではなく、日本政府を牛耳るためにある。日本政府はアメリカの傀儡政府です。安倍首相はアメリカの”日本州知事”のようなもので、そのうえにブッシュ大統領がいるのです。
18歳で出兵し、ベトナムでの殺戮などによって私は、これまでと全く別の人間になった。ベトナムから帰還し、戦場のシーンが昼間でも思い出され消えない。夜も熟睡できなかった。自殺未遂もした。心的外傷後ストレス障害(PTSD)にかかった
そんな私に皆が”どうしたのか?””ベトナムで何があったのか”と質問してきた。それが耐えられなかった。
母親には家を追い出された。家具を拾い、猫を拾い、ホームレスの生活をした。
あるとき、同級生と会った。同級生は小学校の先生をしていた。小学校でベトナム戦争の体験を話して欲しいと言われたが、断った。すると、その同級生は、小学生の手紙を持ってきて再度お願いしてきた。そこで、引き受けた。
小学校では、戦争についての一般的なことしか話ができなかった。話を終えて、子どもらが具体的な質問をしてきた。”ベトナムで人を殺しましたか?”と。答えることが出来なかった。大悪人と思われると思ったからです。しかし、しばらくして、目を閉じて”はい”と答えた。すると、子どもらが駆け寄ってきて一人ひとりが私を抱きしめてくれた。私も子どもらも泣き出していた。私は感動した。そして決意した。”心の病を克服しよう。” そして”戦争を語り継ごう”と。
私は子どもらの前で話をするのが一番好きです。子どもらは、大人と違って、大切な質問をしてくれる。
ある子どもは、”ベトナムのジャングルでお母さんに会いたいと思いましたか?”と質問しました。実は、戦友が死ぬとき、妻や子どもがいても、皆、母親のことを口にするのです。
また、”人を殺したときの気持ちは?” と質問しました。人殺しはとてもたまらない気持ちになる。ゲロも吐くのです。泣き叫ぶ兵士もいますが、上官は”慣れるよ!”というのです。
また、”ジャングルでトイレに行くと怖くないですか?”と。トイレのときほど怖いものはない。戦場の恐ろしさは頭だけでわかるものではないのです。

2.海兵隊への入隊
アメリカのもう一つの姿は貧困のアメリカです。 ホームレスは男性だけではありません。 女性も居ますし、子どもも居ます。 アメリカにはスラム街、ゲットーがある。
アメリカでは、富は戦争、核兵器のために使用され、貧しい者は金がない。日本でも大金持ちや大臣の息子は自衛隊に入らないでしょう。小泉首相は他人をイラクに送り込んだが、彼の息子はビールの宣伝をしていた。ブッショ大統領の娘もイラクに派兵されることはない。若い海兵隊員は貧しい家庭の出身、スラム街の出身です
私の母はシングルマザーです。私も海兵隊に入隊した。しかし、母は怒り出し、泣き出してしまった。

ベトナムには日本の経由して行きました。沖縄のキャンプハンセンで、村落包囲作戦の訓練をしました。銃弾の使った訓練では、アメリカでは200メートルの距離で”「牛の目」標的”を使用したが、沖縄では200メートルの距離で”人間標的”を使用しました。
 とにかく”殺せ”と教えられました。人間のどこを狙って撃つと思いますか?
 ”頭”を狙うと思った人は、戦場では生きて帰れません。”頭”は的が小さいから狙わないのです。”腕”も”肩”もダメです。的が小さい。”心臓”と思っている人が多いようですが、それも違います。”股間”を狙うのです。そうすると、人間の胴体に当たります。
 撃たれた人間は即死するのではなく、何時間もかかって死ぬのです。

海兵隊の訓練は厳しい。入隊すると真っ先に”黙れ”と言われる。頭脳を使うことはない。幹部だけが考えるのです。大声で”殺す”と叫ばされます。毎日何マイルも走り、トレーニングします。武器の使用方法を学びます。素手で相手を殺す方法も学びます。海兵隊員は人間を助けることではなく、殺すことを学ぶのです。

沖縄では、夜になると出かけます。目的は、酒とケンカと女です。酒を飲んで酔っ払います。タクシーになり、料金を払わず、運転手を殴るのです。女性には金を払わず、殴るのです。殺しと暴力を教え込まれているから兵士は街を闊歩するのです。海兵隊員が暴力事件を起こすと、上官は、謝罪しますが、同時に、”戦場で使い物になる”と思ったことでしょう。

3.ベトナムの戦地で
ベトナムでは、13ヶ月ほど戦った。多くの人を殺しました。戦争映画では主人公はカッコイイですが、実際の戦場では、正々堂々などしていない。兵士は、女性、子ども、老人を助けることはない。眠っている敵もそのまま殺します。食事中であってもトイレ中であっても、敵はすぐに殺します。一番苦しむのは、女性、子ども、老人です。ベトナムの村も襲撃しましたが、隠れているので、じっと待っているのです。子どもが泣き出すのを。 子どもが泣き出すと隠れ家がわかります。逃げ出すと、老人は足が遅いので、結局、殺されてしまう。
戦争映画でリアルに描かれている映画でも、実際の戦場をそのまま表現できない。なぜなら、臭いがないからです。臭いがあると、観客は観続けることができない。戦場では、悪臭、死臭、血液の臭い、銃弾・弾薬の臭いがする。戦場では、死体を集める作業がある。手、足、あるいはまた頭のない死体がある。それを集めて数え上げ、積み上げるのです。
死体を見て、ベトナムの女性が泣き叫ぶのです。老人も泣き崩れます。他の人は死体から引き離そうとするが、なかなか離れないのです。
あるとき、女性が立ってウメイテいた。私はその女性が何をしているのか、わからなかった。その女性の股のところに頭らしきものが見えた。私は驚きながら、思わず手を差し出した。私の手には赤ん坊が・・・。その女性はヘソの緒を噛み切って、赤ん坊を抱えて逃げていった。私は夢を見ていたのではないかと思い、信じられなかった。しかし、私の手にはその痕跡があった。その時はじめて私はベトナム人も人間なんだと思った。
海兵隊では、それまでベトナム人を”浅黒い奴”、”共産主義者”と教えられ、人間ではないかのような洗脳教育を受けてきた。日本人を野鼠と同じ感覚で”ジャップ”と呼んで蔑んでいた。日本人も戦前、”鬼畜米英”と呼んで、戦争していたでしょう。今でも米兵は、イラク人を”砂漠の猿”と呼んでいる。
沖縄では10年ほど前、女性をレイプしていた事件があった。米兵によるレイプ事件は多数あった。米兵は沖縄で自動車事故も起こしている。沖縄の子どもたちは今でも基地に囲まれて生活している。10年ほど前の事件の後、私は沖縄に呼ばれて講演した。”沖縄の米軍基地は全て撤去しろ”という運動をしている。日本はアメリカの占領状態と同じだ。日本に来日して、日本国憲法第9条をはじめて知った。如何なる軍隊にも勝るものです。
 それが憲法第9条の力です。
皆さんの顔は戦争を知らない顔です。皆さんのお父さん、兄弟、隣人は、戦争をしないない。その幸運を悟って欲しい。大国の子どもたちは戦争の苦しみを味わっている。しかし、日本の子どもたちはそうではない。だが、安倍首相らは”憲法9条をなくそう”と企てているが、それを許してはならない。皆さんは憲法9条によって守られてきた。今度は憲法9条を守る必要がある。9条の意味は世界の人々にとっても意味がある。

4.世界に憲法9条を広げよう!
世界平和はこのホールに集まった人々から生まれる。


5.質疑
アメリカ批判、ブッシュ批判をして危険ではないのですか?
アメリカの平和団体は盗聴を受け、暴力を受けている。私も私服の警官に殴られて歯が4本吹き飛んだ。私たちは危険であっても運動をする。日本の憲法9条をアメリカに知らせる必要がある。

憲法9条をどうやって広めるのか?
憲法9条を広めるのは夢のようなことだと思われているが、核兵器と共存できると思っている人こそが矛盾に気づかず、夢を見ている。9条を広める方法は、”戦争や暴力はもう我慢できない”と思っている人がいるから、そういう人に憲法9条を知らせることである。憲法9条の指し示す道こそ平和の道です。インターネットで9条を知った人もいる。インターネットでも世界中に広めたい。世界の全ての国が憲法9条をもって欲しい。アメリカでも9条を広げたい。アメリカには黒人議員連盟もある。日本の沖縄では身体を張って戦っている人が居て、また人権も侵害されているが、それをアメリカの議員に見て欲しい!

アレン・ネルソンさんの夢は何ですか?
ジョンレノンのイマジンを思い出す。戦争のない世界を夢見る。そのためには、ハートに耳を傾けてみる。頭で考えてはならない。頭で考えると悪いことをしろと命じるが、ハートに耳を傾けると良いことをする。

兵士の生活補償は?
アメリカの兵士の生活補償はなかなか実現していない。心的外傷後ストレス障害(PTSD)が戦争によるものであることを証明しないといけないが、診断するのは、軍の医師だから、”大したことはない”と言われてしまう。良心的な医師の診断を受けたり、弁護士に依頼するにはお金がかかってしまう。男性兵士の80%は立ち直れずにホームレスになっている。

お母さんとの今の関係は?
お母さんを腹立たしく思ったことはない。今は良好な関係である。しかし、母も変わり者です。”アレンは戦争に行く前のアレンではない”と言い、”アレン少年”を可愛く思っている。戦場に行った者は元に戻れないと思っている。
母は日系アメリカ人と再婚しており、私が帰ると、日本語で話しかけてくる。私は片言の日本語しかわかりません。母は10年も日本に居るのに日本が話せない私を母は叱るのです。アメリカで着物を着ている黒人女性を見たら、私の母だと思ってください。


以上。