いわゆる政治倫理条例について私見を書いておきましょう。
というか、それに関する専門家の書物を紹介することになります。

後述するように神戸市には、それに類した条例がありますが、それは政治倫理条例の名に値せず、単なる資産公開条例にすぎません。
また資産公開条例としてもザル条例です。

1.政治倫理条例とは

\治倫理条例と言えるためには、「政治倫理基準」、「資産公開制度」、「問責制度」と3本柱と、それを支える「政治倫理審査会」、「住民の調査請求権」の2本の梁(はり)が明記されていなければなりません(斎藤文男『政治倫理条例のつくり方 − 地方からの政治改革』自治体研究社・1999年12頁)。

◆崟治倫理基準」としては、不正疑惑行為の自粛、地位利用の金品授受の禁止、職員採用の斡旋禁止、職員の職務執行に対する不当介入の禁止、職員採用の斡旋禁止、職員の昇格・異動の斡旋禁止、道義的批判のある企業献金の自粛が挙げられます(同上16頁)。

なお、現行の政治資金規正法では企業献金は政党と政治資金団体にしか許されてはいないので、「道義的批判のある企業のパーティー券購入の自粛」とすべきでしょう。

「政治倫理基準」ではありますが、特に別個の規定で定められるべきものとして、「公共工事に関する遵守事項」があります(同上41頁以下)。

配偶者、同居の親族、あるいは一定の親族が実質的に経営に携わっている会社は、地方自治体の工事等の契約を辞退するよう努めなければならないとするものです。

ぁ峪饂左開制度」は、住民の知る権利を保障するために、かつ政治腐敗を予防するために、首長や議員らに資産を報告させる制度です(同上20頁以下)。
後ほど具体的には説明します。

ァ崟治資金倫理審査会」とは、資産報告義務者から独立して権限を行使しうる第三者機関(独立行政委員会)です(同上29頁)。
その審査結果は必ず公表されねばなりません。

Α崕嗣韻猟敢裟禅畍◆廚箸蓮⊆鹹垢箋聴らが政治倫理基準に違反する疑いがあるとき、資産等報告書に疑義があるときなどに、住民が、資料を添えて政治倫理審査会に調査を求める権利です(同上34−35頁)。

А嵬篝媽度」とは、発覚した不祥事に事後的・個別的に対処するための制度で、例えば贈収賄などの容疑を受けた首長や議員に住民への説明会を開かせ、住民が直接その政治責任を追及する機会を保障するものです(同上36頁以下)。
「逮捕後」、「起訴後」、「一審有罪判決後」、「有罪確定後」の4段階に分かれています。

「逮捕後」であれば、説明会の開催は、本人の意思で行うことになり、義務づけられていませんが、住民が説明会を求めることも出来ます。
「起訴後」であれば、説明会の開催は義務づけられます。開催されないときには住民が開催を請求できます。
「一審有罪判決後」も、説明会の開催は義務づけられます。
「一審有罪判決後」であれば、首長や議員らは「辞職手続をとるものとする」と定められ、辞職を促します。
(これは、有罪判決が確定して公民権が停止される場合とは異なります。)

┐靴燭って、例えば、「政治倫理の確立のための神戸市長の資産等の公開に関する条例」(1995年10月11日条例第27号)は、「政治倫理の確立のため」と明記されてはいますが、一応「資産公開制度」はあるものの、「「政治倫理基準」「問責制度」「政治倫理審査会」「住民の調査請求権」は盛り込まれていないので、政治倫理条例ではありません。
せいぜい資産公開条例にすぎません。

2.神戸市長の資産公開条例はザル条例

〜扱任寮治倫理の確立のための神戸市長の資産等の公開に関する条例」は、単なる資産公開条例ですが、不十分なものであり、ザル条例です。
(なお、議員の資産公開条例も同じです。)

△泙此∋堋綱椰佑了饂困靴報告が義務付けられてはいません。
しかし、「資産公開制度」としては、資産隠しを防止するために、本人だけではなく、その配偶者、同居の親族、扶養の親族の資産も、本人に報告させるよう義務づけるべきです。

次に、報告の内容ですが、例えば、預貯金については、当座預金や普通預金、普通貯金を報告対象から除外していますが、これでは不十分です。

税金等の納付状況も報告させるべきですが、それも義務づけられていません。

ぁ崟治倫理審査会」の設置が予定されていません。
資産報告がなされたら、政治倫理審査会にその報告書を審査させるべきです。
審査会には、関係者から事情を聴取する権限や資料を提出させる権限を与えるべきです。
資産報告の審査は、毎年行うところに意義があります。
資産の変動を審査しなければ、なかなか政治腐敗は予防できないからです。

ネ廚垢襪法⊃生融堋垢両鯲磴蓮∪治倫理条例に値しないだけではなく、資産公開条例としてもザル条例なのです。