西松建設OBらによる政治団体政治献金問題で、東京地検特捜部は、ついに、小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」など関係先を捜索し、かつ、同代表の公設秘書や西松建設前社長らを逮捕したという。

容疑は政治資金規正法違反である。
これまで私たちが同様の容疑で大臣・国会議員らを刑事告発しても、地検が動かない場合は少なくなかった。

しかし、今回、東京地検特捜部は積極的に動いた。
同様の政治献金は、自民党議員ら(の政治団体)にも渡っている。
果たして今後他の国会議員(の政治団体)にまで波及し逮捕者が出るのだろうか?
総選挙前だけに、野党第一党代表の政治団体(資金管理団体)の政治資金規正法違反容疑での家宅捜索と会計責任者の逮捕については、とても気になる。

1.報道
東京新聞2009年3月3日 17時34分
「きちんと処理した」と小沢代表 民主党幹部会で強調

 民主党の小沢一郎代表は3日、準大手ゼネコン西松建設からの違法献金の疑いで東京地検特捜部が同氏の政治団体を強制捜査する方針を固めたことに関連し、党本部での幹部会で「何か騒いでいるようだが、すべてきちんと処理している。まったく心配はない」と述べ、法令上の問題はないとの認識を示した。
 幹部会は小沢氏の説明を了承した。
 鳩山由紀夫幹事長は幹部会の終了後、記者団に「小沢氏は、すべてのお金の出し入れを明らかにしている。問題はない。陰謀だ」と強調。小沢氏の説明責任については「必要なら、小沢氏が自分で話をする」と述べた。
(共同)

朝日新聞2009年3月3日17時41分
小沢氏側団体を捜索 規正法違反の疑い 東京地検特捜部

 国内外で多額の裏金を作っていたとされる準大手ゼネコン「西松建設」(東京)側の政治献金に絡み、東京地検特捜部は3日午後、政治資金規正法違反の疑いで、東京都港区にある小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」など関係先の捜索に乗り出した。
 小沢代表側の複数の政治団体は、西松建設のOBが代表を務めていた二つの政治団体から多額の献金を受け取っている。小沢代表側の政治団体関係者が、西松建設の資金と承知して受け取っていた疑いなどがあるという
 政治資金規正法は、他人名義での献金や政党側以外への企業献金を禁止している政治家側の政治団体関係者が、OBの団体を経由した西松建設の資金と認識していれば、政治資金収支報告書の虚偽記載などで同法違反となる可能性がある
 西松建設のOBが代表を務めていた政治団体は、「新政治問題研究会」(95年設立、06年解散)と、「未来産業研究会」(98年設立、06年解散)。特捜部はこれまで、二つの政治団体の関係先を捜索し、団体関係者などから事情聴取していた。
 西松建設元幹部などによると、西松建設は社名を出さずに国会議員の政治団体に献金する仕組みを作り、OBが代表の政治団体を通じて国会議員側に資金提供をしていたという
 両団体の04〜06年の政治資金収支報告書によると、小沢代表の資金管理団体「陸山会」は、新政治問題研究会から1100万円、未来産業研究会から300万円の計1400万円の献金を受けた
 さらに、小沢代表が代表を務める政党支部「民主党岩手県第4区総支部」は、新政治問題研究会から700万円、未来産業研究会から300万円の計1千万円の献金を受けている

産経新聞2009.3.3 17:40
西松献金、小沢氏団体の公設第1秘書らを逮捕

 準大手ゼネコン「西松建設」(東京)が、政治団体をトンネルにして政界へ事実上の企業献金を続けていたとされる問題で、東京地検特捜部は3日、政治資金規正法違反容疑で、小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会(りくざんかい)」の公設第1秘書、大久保隆規容疑者や、西松建設前社長の国沢幹雄容疑者ら計3人の逮捕状を取り、2人を逮捕した。

NHK3月3日 19時18分
小沢代表の団体会計責任者逮捕

西松建設による裏金事件に関連して民主党の小沢一郎代表の資金管理団体が、法律で禁止されている企業献金と知りながら西松建設から2000万円余りの献金を受けたのに収支報告書にうその記載をしたとして、東京地検特捜部は、政治資金規正法違反の疑いで団体の会計責任者で小沢代表の公設第1秘書や西松建設の前の社長ら3人を逮捕しました
 秘書は容疑を否認しているということです。
 逮捕されたのは、小沢代表の資金管理団体「陸山会」の会計責任者で小沢代表の公設第1秘書の大久保隆規容疑者(47)と、西松建設の前の社長の國澤幹雄容疑者(70)ら3人です。
 東京地検特捜部の調べによりますと、大久保秘書は「陸山会」が平成18年までの4年間に実際には西松建設から2100万円の献金を受けたのに、西松建設のOBが代表を務める2つの政治団体からの寄付だったと収支報告書にうその記載をしたとして政治資金規正法違反の疑いが持たれています
 特捜部の調べによりますと、西松建設側の2つの政治団体は社員や家族から会費を集めた上で、実際は会社が会費分を賞与に上乗せして支給し、全額会社が負担していました。特捜部は、会計責任者の大久保秘書が西松建設からの企業献金と知りながら寄付を受けとった疑いが強まったとして逮捕しました。
 また、國澤前社長らは西松建設から陸山会に100万円を寄附したのに政治団体の名義を使っていた疑いが持たれています。関係者によりますと、大久保秘書は容疑を否認しているということです。
 民主党の小沢代表は、3日午後開かれた党の幹部会で「政治資金として法令に従って適切に処理しており、まったく問題はない。なぜ、こんなことを言われるのかわからず、心当たりもない」と述べました。そして、幹部会では、「政府が権力を利用し、次の衆議院選挙に向けて、民主党を誹謗中傷する目的で仕組んだ陰謀ではないか」といった意見が出され、党として、国民に向けて、説明していくことを確認しました。
 ただ、小沢代表の公設第1秘書が逮捕されたことから、党内には動揺も広がっており、「小沢代表は記者会見を行って、みずから国民に説明すべきだ」という声や、「代表を辞任せざるをえない状況だ」といった指摘も出ています。
 幹部会のあと、鳩山幹事長は記者団に対し「小沢代表は『自分のお金の出し入れはすべて明らかにしており、まったく問題はない』と言っていた。こうした話が出てくるには、いろいろと陰謀があるなと感じており、政府・与党側も何もないところから、おかしな話をつかみ取ろうと必死なのではないか。こうした話には断固戦わなくてはいけない」と述べました。
 自民党の細田幹事長は記者団に対し「事実がどういうことであるかは、司直の手で今後明らかになると思うが、東京地検特捜部が捜索をしたということは、ある程度の心証があるものと思う。ただ事実がわからないのでコメントは控えたい」と述べました。
 公明党の北側幹事長は記者団に対し「まずは小沢代表自身が、きちんと説明責任を果たすことが先決だ。捜査そのものは捜査機関による解明を待つしかないが、政治家であり、かつ公党の党首なのだから、強制捜査が入って公設秘書が逮捕される事態になったことについて、説明責任を果していくべきだ」と述べました。
 共産党の穀田国会対策委員長は記者団に対し「重大な問題であり、まず第1に小沢代表自身が説明責任を果たすことが、最低限必要だ。あす以降の国会審議に影響が出ると思うが、政治とカネの問題は大きなテーマなので、きちんと解明されなければならない」と述べました。
 社民党の重野幹事長は、記者団に対し、「話を聞いて驚いている。今はまだ、小沢代表が責任を取るとか取らないとかいう段階ではない。しかし、疑問を解くべきは小沢代表なので、堂々と事実を述べてほしい。『衆議院の解散・総選挙の時期はいつか』という、今の政治日程の中、このような話がでてくる背景には何があるのかと、皆が考えるのではないか」と述べました。
 国民新党の亀井久興幹事長は記者団に対し「小沢代表は、これから政権交代を実現し、日本のトップリーダーにならんとする人なので、政治的に大きなことだ。ただ、小沢氏は『法律に基づいて適切に処理している』と述べているようなので、今の時点ではそのまま受け止め、今後、捜査が進んでいく段階で、小沢氏や民主党がどう判断するのか冷静に見守っていきたい。衆議院選挙が近いなかで起こったことであり、何か背景があるのかもしれない」と述べました。
 河村官房長官は午後の記者会見で「一部の報道は承知しているが、それ以上のことは承知していない。検察の方で、法にのっとって捜査をするのだろうが、事実関係がはっきりしなければコメントしがたい。『政治とカネの問題』は、絶えず国民も注視しているので、政治不信を招かないようにしなければならないし、きちんと説明のつくものでなければならない」と述べました。

2.感想

\松招設OBらによる政治団体の政治献金が政治資金規正法違反ではないかというのは、すでに昨年末、新聞記事とそこでの私のコメントを紹介している。

△海寮治献金を受け取った国会議員(の政治団体)は複数であるが、その中には小沢一郎民主党代表(の政治団体)も含まれていた。
特に金額も大きいということで、週刊誌でも取り上げられ、私がコメントしたこと自体はすでに記しておいた

今回の東京地検特捜部の家宅捜査や逮捕がぞれぞれ政治資金規正法のどの違反容疑なのか、上記紹介報道だけでは、必ずしも明確ではない。

少なくとも虚偽記載の容疑はありそうだ。
その場合、共犯でなくても、代表者の責任が問われる可能性がないわけではない。
第25条 次の各号の一に該当する者は、5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
1.・・・
1の2.・・・
2.・・・
3.第12条第1項若しくは第17条第1項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者
2 前項の場合(・・・)において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、50万円以下の罰金に処する。

ぞ綉紹介報道では、そのほかの容疑は必ずしも明確ではない。

先ほど、ある新聞社の記者から電話取材を受けた。

その話によると、小沢一郎民主党代表の公設秘書の逮捕容疑は、虚偽記載のほかに、他人名義の寄附を受けた容疑もあるようだ。
第22条の6 何人も、本人の名義以外の名義又は匿名で、政治活動に関する寄附をしてはならない。
2 ・・・。
3 何人も、第1項の規定に違反してされる寄附を受けてはならない。
4 第1項の寄附に係る金銭又は物品の提供があつたときは、当該金銭又は物品の所有権は、国庫に帰属するものとし、その保管者は、政令で定めるところにより、速やかにこれを国庫に納付する手続をとらなければならない。
5 前項に規定する国庫への納付に関する事務は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととする。

第26条の2 次の各号の一に該当する者は、3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
1.・・・
2.・・・
3.第22条の3第6項、第22条の5第1項又は第22条の6第3項の規定に違反して寄附を受けた者(団体にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)
4.第22条の6第1項の規定に違反して寄附をした者(団体にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)
5.・・・

イ気蕕法禁止されている企業献金を勧誘又は要求した容疑もある、という。
(会社等の寄附の制限)第21条 会社、労働組合(・・・)、職員団体(・・・)その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない。
2 前項の規定は、政治団体がする寄附については、適用しない。
3 何人も、会社、労働組合、職員団体その他の団体(政治団体を除く。)に対して、政治活動に関する寄附(政党及び政治資金団体に対するものを除く。)をすることを勧誘し、又は要求してはならない。
4 ・・・。

第26条 次の各号の一に該当する者(団体にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)は、1年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
1.第21条第1項、第21条の2第1項、第21条の3第1項及び第2項若しくは第3項又は第22条第1項若しくは第2項の規定に違反して寄附をした者
2.第21条第3項の規定に違反して寄附をすることを勧誘し、又は要求した者
3.・・・

つまり、詳細はまだわからないものの、私がすでにブログで指摘した容疑のほとんどで逮捕されているようだ。

(追記:「勧誘又は要求」した容疑ではなく、単に、禁止されている企業献金を受けた容疑のようです。訂正します。3月7日午後5時53分。)

当時の社長も、禁止されている企業献金をした容疑で逮捕されたのであろう。

小沢民主党代表は、「陰謀だ」としながらも、説明責任を果たす用意がありそうだ。
そうであれば、きちんと説明すべきであろう。

納得のいく説明ができないようであれば、民主党の代表を辞任することが求められるだろうが、前述したように代表者の法的責任を負う可能性もあるのだから、議員辞職にまで追い込まれる可能性もあるだろう。

Г箸海蹐如同様の政治献金は、自民党の国会議員など(の政治団体)も受け取っている。
小沢民主党代表の政治団体が受け取った政治献金について、上記の政治資金規正法違反が成立するのであれば、同じように政治献金を受けていた自民党の多くの国会議員などの場合にも同様に政治資金規正法違反が当てはまる可能性がある。

果たして、小沢民主党代表の政治団体の場合と、自民党の議員らの場合とで、根本的に違うのであろうか?
金額の多寡の点では違いがありそうだ。

だが、与党である自民党議員全体への政治献金の総額はそれなりの高い金額になるようだし、また、この問題は、ダミーの政治団体を利用した迂回献金・違法企業献金なので、質の問題でもあるだろう。

そう考えると、今後、自民党の国会議員らにも家宅捜索や逮捕が波及しても何らおかしくはない。

┷8絅泪好灰瀛麁擦篋枷修鯆未犬動稻々坩戮両楮戮兵詑屬睫世蕕になるだろうが、その実態次第によっては、自民党議員に波及しない場合、今が総選挙前であることを踏まえれば、「陰謀」説が妥当するのかどうかも、明らかになるだろう。

もちろん、公訴時効も気になる。

それとは別に、国会(衆参各院)での国政調査権に基づく全容解明と、法律の不備の法律改正が求められることは、言うまでもない。
後者については、すでにしばしば書いてきたが、また別の機会に書くことにしよう。