麻生首相は衆議院総選挙を8月30日に実施すると、異例の予告をした。
果たしてそのとおりになるのか定かではないが、このまま予告どおりに実施されれば、総選挙の実施日は偶然にも私の予想通りになる。
だが、当初私が予想しなかった展開もある。
結局、2つの意味での追い込まれ解散になりそうである。

1.報道

(1)朝日新聞2009年7月13日13時9分
衆院21日にも解散、8月30日投開票 首相と与党合意

 麻生首相は13日昼、自民、公明両党の幹部と首相官邸で会談し、21日にも衆院を解散し、8月18日公示、30日投開票の日程で総選挙を断行する意向を表明し、与党側が受け入れた。首相は東京都議選で与党が大敗しても自ら解散する決意を固め、与党側と日程の調整に着手。与党内で解散先送り論が強いことも踏まえ、お盆後の投開票で総選挙に臨むことを決断した。
 民主党は都議選での大勝を受け、13日中に内閣不信任決議案を衆院に、首相問責決議案を参院に提出する。首相は問責決議が参院で可決されることを想定し、最短で14日にも衆院解散を検討していることを党幹部に伝えた。
 ただ、都議選大敗で、与党内では早期解散に慎重論が急速に拡大。首相は13日昼、自民党の細田博之幹事長や公明党の太田代表ら与党幹部と協議。「今月21日解散、8月30日投開票」で合意した。
 与党内では、解散先送り論に加えて「麻生降ろし」が加速していた。首相は「麻生降ろし」や宮崎県の東国原英夫知事擁立騒動など自民党内の混乱が都議選敗北につながったと判断した。解散の表明が長引けば、与党内の混乱が一層深まる可能性があり、早めに解散を表明して主導権を確保するねらいとみられる。
 また、首相が解散を来週に延ばしたのは、衆院で審議中の北朝鮮制裁の貨物検査特措法案を成立させたい考えもあるとみられる。
 首相は13日昼の政府・与党連絡会議で「都議選はあくまで地方選挙」と責任論を否定しながら「党総裁として大変申し訳なく思っている」と陳謝した上で「21日に始まる週の早々に解散、投票日は8月30日」の日程で総選挙に臨む考えを表明。「民主党は政権交代だけを叫び、無責任だ。経済対策は財源のないバラマキだ。民主党や野党には日本を任せられない」と民主党を批判した。太田代表は「自公両党で一致協力して頑張る」と応じた。
 ただ、与党内では都議選での惨敗を踏まえ、首相で総選挙を行うことに反対論が強まっている。首相が解散を来週以降に延ばしたことで、実際に解散に踏み切るまでに「麻生降ろし」の動きが広がる可能性もある。
 一方、民主党の鳩山代表は13日午前、「(内閣不信任決議案と首相問責決議案は)臓器移植法案の行方も見定めて出さなければならない。解散して国民の信を問うのが求められる唯一の行動だ」と早期解散を求めた。民主党は同日午後に鳩山氏ら幹部が両決議案提出の段取りを協議する。13日夕にも両案を衆参両院に同時提出する。

(2)時事通信(2009/07/13-21:43)
麻生首相発言要旨=衆院解散・総選挙

 麻生太郎首相が13日夜、衆院解散・総選挙について記者団に語った内容の要旨は次の通り。

 21日の週早々に衆院を解散し、8月30日に総選挙を実施する。今国会では2009年度当初予算、補正予算、重要法案を成立させた。ここで国民に信を問いたい。どの党が国民の生活、日本を守るのかが争点だ。民主党は政権交代と言っているが、政策も財源も示していない。国民不在の党利党略以外の何物でもない。
 −今回の日程を選んだ理由は。
 わたしは近々解散をすると申し上げてきた。きょうその日程を決断し、与党に伝えた。
 −解散が今週でなく来週である理由は。
 北朝鮮の船舶の検査法(貨物検査特別措置法案)など非常に大きな問題を抱えたままになっている。これはぜひ上げたい。会期末が迫っているから(野党に)きちんとしていただきたい。
 −野党は内閣不信任決議案と問責決議案を提出したが。
 安全保障に関して、(審議を拒否して)全然答えを出さないと言うのか。
 −このタイミングでの発表は「麻生降ろし」封じとの見方もある。
 全然違う。
 −東京都議選など最近の選挙結果は自民党に厳しい。衆院選に向けどう態勢を立て直すか。
 都議選については自民党、わたしに対する批判があることは謙虚に受け止めなければならない。どう総選挙につなげていくかは、これまでの数々の地方選の結果を踏まえて、どこを反省、猛省、訂正し直していくか、今後真剣に考えていかなければならない。
 −自民党内に麻生首相では衆院選を戦えないとの声がある。
 今の状況に批判があるのは十分に承知している。だからといって直ちに辞職して投げ出すという無責任な態度は取るべきではない。歯を食いしばっても頑張らなければいけない。表紙や包装紙を替えるとか、いろいろな表現がよく使われているが、わたしは逃げずに戦わなければならない。

2.私の予想した「追い込まれ解散」

(1)私が次の衆議院選挙の時期についての予想を最初に書いたのは、今年2月12日の投稿であったようだ。
当時私は、以下のように書いていた。
4月末あるいは5月の連休明けの総選挙実施がなければ、任期満了あるいはその直前の8月末〜9月に総選挙が行われることになるのだろう。

私は任期満了あるいはその直前の総選挙になる可能性が一番高いと思ってきた。
これは「追い込まれ選挙」になるだろう。

(なお、これ以外の可能性についても、一応考えていたようだ。)

(2)その後、3月末日の投稿では、以下のように書いていたようだ。
私は、総選挙は8月末頃と予想しています・・・


(3)昨日、麻生首相は、今月「21日の週早々に衆院を解散し、8月30日に総選挙を実施する。」と記者の前で公然と予告した。

果たしてこの予告どおりになるのか、定かではない。
そもそも解散権を行使するのが「麻生内閣」になるのか、自民党の総裁が「麻生氏」のままなのか、衆議院の解散が行われるのが「今月21日の週早々」なのか、総選挙の実施が「8月30日」なのか。
私には断定できない(これについては、麻生首相の想定外の動きが自民党内で起きたときに、書くことにしよう)。

とはいえ、基本的にはこの予告通りになる可能性は高いようだ。

(4)そうであれば、私の予想は偶然にも当たったことになる。

(5)私の予想は、以下のように単純なものであった。

元々麻生氏は、首相就任直後衆議院を解散し、総選挙を実施する予定であったが、その決断を回避した。
その後、内閣支持率は浮揚しなかったので、私は11月上旬の時点で、麻生内閣は解散総選挙したくてもできないと書いた

そして、今年2月上旬には麻生内閣の支持率は20%を切ってしまったので、前述のように総選挙の時期を「任期満了あるいはその直前の8月末〜9月」を予想し、その後、「追い込まれ解散」との印象を少し薄めるために「8月末頃」になると予想したのである。

もちろん、それでも「追い込まれ解散」となる。
その前に積極的に解散できなかったのであるから。

(6)なぜ、それより前の総選挙実施を予想しなかったというと、8月中旬のお盆の頃と、広島、長崎の原爆投下の日のある8月上旬は、避けるだろうと予想したからである。
それより前の7月は、支持率回復が期待できないし、法律案の再議決に必要な「3分の2以上」という議席をそう簡単に手放すことはないと判断し、最優先の予想からはずした。
(なお、都議会議員選挙との同日選になる可能性を大穴として考えてはいたが・・・。)

(7)とはいえ、このままいけば私の予想が的中することになるが、この的中は偶然である。

3.予想外の、もうひとつの「追い込まれ解散」

(1)私の以上の「追い込まれ解散」とは別に、自民党内で麻生氏が追い込まれての解散になりそうだ。

(2)周知のように、麻生首相への党内の風当たりは強い。
国会議員らは、麻生氏を投票に基づき党総裁にし首相にした。
にもかかわらず、党内には、麻生氏自ら辞任するよう求める声もあるし、総裁選の前倒しを求める声もある。
全く無責任としか言いようがない。

(3)さらに、東京都議会選挙での惨敗もあり、この無責任な声はますます大きくなっていた。

(4)このような「麻生降ろし」に対抗し、野党の動きも視野に入れて、麻生首相は、決断をしようとしたようだ。
時事通信(2009/07/13-08:18)
14日にも解散、首相意向=「麻生降ろし」に対抗、与党の反発必至

 東京都議選の自民党惨敗を受け、麻生太郎首相が14日にも衆院を解散する意向を固めたことが13日、分かった。首相は「27日公示、8月8日投開票」を想定している。首相としては、この時期の解散を見送れば、「麻生降ろし」が一気に加速すると判断。自ら解散に打って出ることで、主導権を確保する狙いがある。ただ、解散先送りを求める党内の多数や公明党の反発は必至で、首相が方針を貫けるかどうかは不透明だ。
 首相は12日夜、河村建夫官房長官に電話で「自分が解散することに変わりはない。党内の意見を集約してくれ」と指示。これを受けて河村長官は、各派閥の幹部に首相の意向を伝えた。民主党は13日にも内閣不信任決議案を提出する構え。首相はこの機をとらえ、解散を断行したい考えだ。 
 しかし、自民党の中川秀直元幹事長ら首相の退陣を求める勢力が、都議選敗北の責任を追及するための両院議員総会の開催を求めて抵抗することが予想される。衆院選への準備期間を確保したい公明党も国会会期末の28日ごろへの解散先送りを主張しており、自公の選挙協力に影響を与える可能性もある。
 一方、衆院選へ自信を深める民主党は13日午後、鳩山由紀夫代表ら幹部による協議後、社民、国民新両党との3党幹事長会談を開く。自民党内情勢を分析するとともに、内閣不信任決議案の提出時期について詰める。

(5)しかし、今日(7月14日)に解散し、「8月8日投開票」にすることには、党執行部と公明党から反対にあい、最終的には「8月30日に総選挙」となったようだ。

(6)いずれにせよ、麻生首相は、自民党内で追い込まれた結果、妥協しながらも衆議院の解散を予告したわけで、異例の解散になりそうである。

言い換えれば、自民党内に「麻生降ろし」の声が大きくなければ、次の総裁選を実施し、再び臨時国会を召集して、任期満了後の9月中旬〜10月に総選挙を実施する可能性も残っていたのではなかろうか。

このまま麻生首相の予告どおりになるようであれば、党内に「麻生降ろし」論者にとっては、その意とは全く逆の結果になったようだ。

(7)今後、波乱があるのかどうか分からないが、国民のことを最優先して解散・総選挙の時期を決めているわけではないことだけは、確かなようだ。

これも、自己保身しか考えない自民党とその政権の末期的症状のひとつであろう。