(1)衆議院議員総選挙(8月30日投票)における40日間という「事実上の選挙戦」はその半分が経過した。

各政党の選挙公約・政権公約(マニフェスト)も一応出揃っている。
それを比較して評価したりすることは、マスコミなどでも行われている。

各政党の選挙公約・政権公約をきちんと読み比べて投票することは、望ましいことである。

国民主権の国民代表制の下では、選挙によって民意が国会に反映することが求められるが、そのために政策選挙が行われなければならず、また、有権者は各政党・候補者の各政党の選挙公約・政権公約を判断基準にして投票するのが期待されるからである。

(2)とはいえ、ここでは、あえて選挙公約・政権公約以前に、重大な争点があることを指摘したい。

選挙には、これまで(特に前回の選挙以降)の各政党等が進めた政治・政策を評価して投票する側面もあるからだ。
将来に対する期待だけではない。
これまでの政治・政策に対する評価を踏まえてこれからの政治に期待して、有権者は投票するのである。

(3)となると、まず、あえて選挙公約・政権公約を見るまでもなく、これまでの政治・政策に対する審判が必要になる。

私が注目しているのは、一般庶民が大きな痛みを強いられ、大きな被害が生じたことである。
これは、小泉「構造改革」などの財界政治が強行された結果である。
財界政治による被害はすでに紹介したが、さらに追加としてマスコミ報道を紹介しておこう。

(4)以下は報道に見る一般庶民の被害の実態の一部である。

時事通信社(2009/07/27-18:40)
上半期の自殺者1万7076人=過去最悪に迫る勢い−29都府県で増加・警察庁

 1〜6月の自殺者数は、前年同期比768人(4.7%)増の1万7076人だったことが27日、警察庁のまとめ(速報値)で分かった。1日平均94人以上が自殺している計算で、過去最悪だった2003年の年間3万4427人に迫る勢いだ。
 すべての月で前年を上回った。増加率は、1日平均が100人を超えた4月に6.8%、5月は6.6%だったが、6月は1.9%で上半期の中では最小となった。
 都道府県別では、29都府県で前年同期より増えた。大幅に増えたのは、埼玉(139人増の971人)、東京(126人増の1569人)、千葉(94人増の757人)、沖縄(77人増の227人)、山口(55人増の237人)など。

日経新聞2009年7月31日(11:02)
6月失業率5.4%、過去最悪に迫る 有効求人倍率は最低

 雇用情勢の厳しさが増している。総務省が31日発表した6月の完全失業率(季節調整値)は5.4%と前月から0.2ポイント上昇し、2002年6月、8月に記録した過去最悪の5.5%に迫った。厚生労働省が同日発表した6月の有効求人倍率(同)は0.43倍と2カ月連続で過去最低となった。雇用・所得への懸念を背景とした消費低迷なども影響し、6月の消費者物価は前年同月比で過去最大の低下幅を記録。企業の雇用調整はさらに進む可能性があり、日本経済の先行き不透明感を強めている。
 失業率は15歳以上の働く意欲のある人のうち、職に就いていない人の割合。完全失業率が5.4%を付けたのは03年6月以来6年ぶり。男女別にみると、男性は5.7%、女性は5%だった。

朝日新聞2009年7月31日5時1分
親の年収が大学進学率左右 200万円未満は28%

 年収200万円未満の家庭の高校生の4年制大学進学率は3割に満たず、一方で1200万円以上の家庭では倍以上の6割強に――。東京大学の大学経営・政策研究センターが調査したところ、保護者の収入が多くなるほど右肩上がりに大学進学率が高くなることが確認された。国公立大では所得による差はあまりないが、私立大への進学で大きな差がついていた。
 子どもの受ける教育や進学率が、親の所得差によって影響され、「教育格差」につながっているとして社会問題化している。調査は、こうした実態を探るためで、05年度に全国の高校3年生約4千人を抽出して3年間追跡した。保護者から聞き取った年収を200万円未満から1200万円以上まで七つに区分し、進路との関係をみた。
 それによると、最も低い200万円未満の層の4年制大学への進学率は28.2%。600万円以上800万円未満は49.4%、800万円以上1千万円未満は54.8%、1200万円以上だと62.8%に至った。
 進学先をみると、国公立大は年収600万円未満はどの層も10%強、1200万円以上でも12%強と大きな差はない。他方、私大進学の差は顕著で、200万円未満は17.6%、600万円以上800万円未満は36.8%。1200万円以上では50.5%で、200万円未満の2.9倍になった。
 国立大の年間授業料は平均約54万円、私立大は同約85万円。大学は「全入時代」を迎えたとされるが、所得が低い家庭では、国公立大以外に行きづらい様子がうかがえる。センター長の金子元久教授(高等教育論)は「このままでは大学教育を受けられる人が所得の階層で固定化してしまう。進学したくてもできない人を支援するセーフティーネットの政策をつくる必要がある」と指摘している。
 一方、就職率は進学率の傾向と表裏の関係になっている。200万円未満の層は35.9%だったが、年収が高くなるほど率は低くなり、1200万円以上では5.4%だった。
 文部科学省の調査では、06年春の高卒者の4年制大学への進学率は45.4%。総務省の家計調査では、同年の勤労世帯の平均年収は約630万円だった。(編集委員・山上浩二郎)

時事通信社(2009/07/31-12:13)
国民年金納付率62.1%=08年度、過去最低に−社保庁

 社会保険庁は31日、国民年金保険料の2008年度納付率が、現行制度が始まった1986年度以降で最低の62.1%にとどまったと発表した。前年度に比べると1.9ポイントの落ち込みで、低下は3年連続となる。
 景気悪化に伴う失業者の増加で、厚生年金から移行する被保険者が増加したものの、徴収や免除手続きが追い付かなかった。年金記録問題を最優先に対応したため、強制徴収が徹底されなかったことも要因とみられる。
 社保庁は目標納付率80%を維持する方針で、同日午前、特別対策本部会議を開き、徴収作業の民間委託を全国312カ所すべての社会保険事務所に拡大することを決定。また、低所得者への納付免除や未納者への強制徴収などを強化し、09年度の納付率を少なくとも66.1%まで引き上げる方針を決めた。

NHK8月2日 18時13分
就学援助 申請増え財源不足に

 経済的な理由で子どもを小学校や中学校に通わせるのが難しい家庭に対し、市区町村が必要な費用を支給する就学援助について、申請が増えている市区町村が70%を超えているという調査がまとまりました。市区町村の半数が、財政難から就学援助のための予算確保が難しくなっているとしています。
 就学援助は、経済的な理由で子どもを義務教育の小中学校などに通わせるのが難しい家庭に対し、市区町村が学用品や修学旅行などの費用を支給するものです。この就学援助について、千葉大学の白川優治助教がことし2月、全国の市区町村を対象に調査したところ、59%の1064の自治体から回答がありました。この中で、就学援助の申請が近年増加傾向にあるか尋ねたところ、「あてはまる」、「ややあてはまる」と答えた自治体は、あわせて74%でした。
 また、財政状況が厳しく、就学援助のための予算確保が難しくなっているという自治体が半数に上り、このまま申請が増えると就学援助の認定基準を厳しくして支給する人数や金額を抑える必要があると考えている自治体も27%ありました。
 こうした状況について、回答した自治体からは「就学援助が自治体の財政力に左右されている」などとして地域による格差が広がることを懸念する声も寄せられています。白川助教は「子どもたちの教育に市区町村の財政が、そのまま影響しないように都道府県や国が、ある部分を負担するなど新たな制度を考えていく必要がある」と話しています。

読売新聞(08月03日 11:23)
労働者の賃金、過去最大のマイナスに

 厚生労働省が3日に発表した6月の毎月勤労統計調査(速報)によると、労働者の平均賃金を示す現金給与総額は43万620円と前年同月比7・1%減で、1990年の現行方式での調査開始以降で過去最大のマイナス幅となった。
 6月は多くの企業で夏のボーナスが支給されるが、ボーナスなど「特別に支払われた給与」が、景気の悪化で、同14・5%減の16万7044円と、大きく落ち込んだことが響いた。
 現金給与総額の減少は13か月連続。これまでのマイナス幅の最大は2002年7月の5・7%減だった。
 産業別に見ると、製造業の前年同月比13・9%減(44万2165円)が最も大きく、特別給与も同26・2%減(15万5298円)だった。
 調査は全国の従業員5人以上の事業所約3万3000か所を対象に実施した。

2009/07/31 21:27 【共同通信】
反貧困ネットが都内で集会 政治で「貧しい人に光を」

 年越し派遣村を企画した市民団体「反貧困ネットワーク」は31日、衆院選を前に「私たちが望むこと」をテーマに東京都内で集会を開いた。母子家庭の母親や障害者らが「貧しい人に光を当てる政治を」と求めた。
 約400人の参加者を前に、生活の苦しさを次々に訴えた。高1の長男と都内で2人暮らしの女性(50)は飲食店のパートで、生活保護費と合わせた月収は約10万円。家賃や食費を引くと月1万円も残らない。
 4月に生活保護の母子加算が廃止され、生活は一段と厳しくなった。「生きるのも面倒という精神状態。子供を育てるために何とか耐えている。一日も早く母子加算を復活させて」と話した。
 沖縄県の女性(29)は月収14万円で、体を壊した母と2人の弟妹の一家を支える。家賃や教育費のほか、総額380万円の奨学金返済にも追われる。「わたしのような立場の人間がたくさんいることを知ってほしい」と要望した。
 集会には自民党や民主党の前衆院議員も参加。ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士は「ホームレスやネットカフェ難民のような人たちに光を当ててほしい」と訴えた。

(5)以上は、財界政治による被害の重大な一部である。

財界政治は、明文改憲を目指しながら、憲法違反の法律を整備してアメリカの国際法違反の戦争を後方支援してきた。
また、国民に熾烈な弱肉強食の競争を強い、経済的・社会的弱者に「痛み」を強いる政策を強行した。
その結果として、前掲のような被害が一般庶民に生じたのである。

これを放置することはできない。
ワーキングプアを内包した構造的な格差社会は根本的に変えなければならない。

それゆえ、今回の総選挙では、このような被害を生んだ財界政治を根本的に変えることが必要になる。

(6)財界政治を強行したのは、自公政権・与党であることは言うまでもない。
それゆえ、少なくとも、自民党と公明党の各マニフェストを見るまでもなく、原則として、自民党、公明党、その公認候補者に投票する選択肢はないと考えるべきである。

(7)だが、政府・与党による財界政治の推進に協力した政党が、野党の中にもいたことに留意しなければならない。
(続く)