(1)日曜日(2009年8月30日)に行われた衆議院議員総選挙の選挙結果の概要については、すでに紹介した。

以下では、予告通り、その分析をする。

とはいっても、私の最大の関心は「民意の反映」であるから、その点からの分析を行うにとどめる。

分析の結果は以下で紹介するが、先に結論からいえば、各政党の得票率と議席占有率の乖離があまりにも大きいので、私の従来の立場のとおり小選挙区選挙は廃止すべきであると結論づけられる。

(2)それでは、まず、小選挙区選挙での各政党の当選者数、小選挙区選挙での各政党の全国的得票率および小選挙区の定数300に占める各政党の議席の割合(議席占有率)を一覧で紹介しよう。

各政党の小選挙区選挙での当選者数、得票率および議席占有率
政党名
当選者数(人)
得票率(%)
議席占有率(%)
自民党
64
38.6
21.3
公明党
1、1
民主党
221
47.4
73.7
共産党
4.2
社民党
1.9
1.0
みんなの党
0.8
0.7
国民新党
1.0
1.0
新党日本
0.8
0.3
諸派・無所属
4.3
300
100.1
100

民主党は小選挙区選挙で221議席を獲得している。
これは小選挙区選挙の定数300に占める割合(議席占有率)は73.7%である。
しかし、その得票を全国集計すると47.4%にとどまる。
つまり、5割に満たない得票率で7割を越える議席を獲得したのである。
明らかな過剰代表である。

他方、自民党は小選挙区選挙で64議席を獲得し、議席占有率は21.3%である。
しかし、その得票を全国集計すると38.6%である。
つまり、4割近くの得票率なのに2割を越える議席しか獲得してはいないのである。
明らかな過少代表である。

(3)次に、小選挙区比例代表並立制による各政党の当選者数、総定数に対する議席占有率、比例代表選挙での各政党の得票率およびその得票率による比例配分試算(480議席を比例代表選挙の得票率で比例配分して算出した議席数)を紹介してこう。

(追記:当初、議席占有率は算出していなかったが、後で算出し、以下の表にに書き加えた。)

各政党の当選者数、議席占有率、比例代表選挙での得票率および比例配分試算
政党名
当選者数(人)
議席占有率(%)
比例代表得票率(%)
比例配分試算(人)
自民党
119
24.8
26.7
129
公明党
21
4.4
11.4
55
民主党
308
64.2
42.4
204
共産党
1.9
7.0
34
社民党
1.5
4.2
21
みんなの党
1.0
4.2
21
国民新党
0.6
1.7
新党日本
0.2
0.7
473
98.6
98.3
477
比例配分試算では概算を出しているので、新党大地、改革クラブ、諸派・無所属については、いずれも便宜的に除外した。

民主党は、小選挙区本位の並立制により64.2%の議席占有率を有するが、比例代表選挙の得票率は42.4%にとどまる。
他方、公明党は比例代表選挙の得票率11.4%だが、議席占有率は4.4%にとどまる。
共産党は比例代表選挙の得票率は7%だが、議席占有率は1.9%にとどまる。
社民党は比例代表選挙の得票率は4.2%だが、議席占有率は1.5%にとどまる。

要するに、この比例配分試算と実際の獲得議席を比較すると、民主党が過剰代表され、他党(特に小政党)が過少代表されているのが、明白になる。

(4)小選挙区選挙における前述の民主党の過剰代表と自民党の過少代表は、国民主権主義に基づく国民代表のあり方としては、あまりにも問題である。
憲法が要請する「正確・公正な民意の反映」とは到底いえない。

それゆえ、小選挙区制は廃止すべきである。

(5)私の前述の比例配分試算によると、民主党は100余りの議席が過剰代表されていることになる。
社民党と国民新党の比例配分試算による議席を加えても、234議席(=204+21+9)にとどまり、総定数の半数(240)には届かない。

(なお、自公両党は、比例配分試算では今回の当選者数140(=119+21)よりも44議席多い184議席(=129+55)になるが、総定数の半数(240)には遠く届かない。)

民主党は、少数与党に甘んじないのであれば、おそらく更に他党や無所属を巻き込んだ連立政権協議が行われ、過半数になることを目指すだろう。
(自公政権も多数派工作を画策するだろう。)

(6)もちろん、現行の衆議院議員の選挙制度(並立制)では、有権者は小選挙区選挙と比例代表選挙の2つの選挙で投票できるが、かりに比例代表選挙だけが採用されていれば、有権者の投票行動は、現行の並立制にける比例代表選挙のそれと同じであるとは限らない。
また、各政党の立候補のあり方、選挙運動のあり方も同じではないだろう。

とはいえ、比例代表選挙だけが採用されていれば、民主党が300議席超の議席を獲得したとは思えない。
新政権はやはり「上げ底政権」である。

それゆえ、民主党は、数を頼りに強引な議会運営を行ってはならない!

(7)国会は、衆議院議員の選挙制度を比例代表制にしたものに改正し、その後、一定の期間を置いて衆議院議員総選挙が行われるべきである。
そうして初めて民意を反映した衆議院になり、実質的な民主主義国家になる。