(1)日本司法書士政治連盟が傘下地方組織からの寄付を「個人会費」として虚偽記載していたことが今朝報じられた。
日経新聞2009年12月12日(07:00)
司法書士政治連盟、寄付を「個人会費」と記載 傘下組織拠出

 日本司法書士連合会の政治団体「日本司法書士政治連盟」(日司政連、東京)が、傘下の地方組織から受けた寄付を全国の司法書士から直接集めた「個人会費」と装って政治資金収支報告書に記載していたことが11日、分かった。「個人会費」の総額は少なくとも2006〜08年の3年間で約1億5千万円に上る。
 本来地方組織から会費を受け取った場合、寄付として政治資金収支報告書に記載することが義務付けられている。しかし日司政連は全国の司法書士の数である約1万8千〜1万9千人分の「個人会費」に小口化して処理。地方組織からの寄付の実態が分からない状態になっていた。

(2)この問題は、すでに今年7月初めに、ある司法書士の方がブログで2007年分につき指摘されていた問題である。

http://hirotahiroshi.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-b043.html

私は、公益法人とその政治連名の峻別の問題を指摘したとき、このブログを紹介しておいた。

以下、そこで知ったことを含めて、私見を書いておこう。

(3)日本司法書士政治連名規約によると、日本司法書士政治連盟は個人が会員ではなく、傘下の地方組織で構成されている。

http://www.ns-seiren.net/pdf/kiyaku21.pdf
(組織)
第5条 本連盟は、単位司政連をもって組織する。

ここでいう「単位司政連」とは、第4条第3号によると、「全国の司法書士政治連盟」のことを指している。

「全国の司法書士政治連盟」は都道府県にあるようだ(ただし、すべての都道府県にあるのか未確認である)。

(4)日本司法書士政治連盟の政治資金収支報告を見ると、確かに、傘下の地方組織である「全国の司法書士政治連盟」からの寄付が記載されていない。
記載されているのは、「会費」の箇所である。

2008年分については、以下で見ることができる。

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/reports/SO2220090930.html

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/090930/000015252.pdf

2 収入項目別金額の内訳

(1)個人の負担する党費又は会費

金額                 51377250円
員数(党費又は会費を納入した人の数)    19306人

(2)寄付
ア 寄付(イを除く。)の区分
 (ア)個人からの寄附       0円
 (イ)法人その他の団体からの寄附 0円
 (ウ)政治団体からの寄附     0円
小計 (ア)+(イ)+(ウ)    0円
イ 政党匿名寄附          0円
合計(ア+イ)           0円

(5)では、傘下の地方組織である「全国の司法書士政治連盟」は、政治資金収支報告で、どのように報告しているのであろうか。

すべてのものを確認してはいないが、例えば、インターネットで公表されている「東京司法書士政治連盟」の収支報告書を見ると、「寄附・交付金(負担分)」として(ただし、「支出目的」には「日司政連会費」と書かれている)報告されている。

http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/shikin/20teiki/20youshi_to.html

http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/shikin/20teiki/pdf/to/to_26.pdf

(その15)
(3)政治活動費の内訳  項目別区分 寄附・交付金(負担分)
支出目的    金額(単位:円)   支出を受けたものの氏名(又は名称)
日司政連会費  2,159,250  日本司法書士政治連盟
日司政連会費  2,159,250  日本司法書士政治連盟
日司政連会費  2,159,250  日本司法書士政治連盟
日司政連会費  2,159,250  日本司法書士政治連盟
この頁の小計  8,637,000 

なお、「月日」と「支出を受けたものの住所(又は名称)」はここでは省略した。

(6)以上の2つの報告書のうち、どちらが正しい報告書になるのだろうか?

政治資金規正法第5条第2項は、以下のように定めている。
第5条 この法律の規定を適用するについては、次に掲げる団体は、政治団体とみなす。
1.政治上の主義又は施策を研究する目的を有する団体で、衆議院議員若しくは参議院議員が主宰するもの又はその主要な構成員が衆議院議員若しくは参議院議員であるもの
2.政治資金団体(政党のために資金上の援助をする目的を有する団体で、第6条の2第2項前段の規定による届出がされているものをいう。以下同じ。)
2 この法律の規定を適用するについては、法人その他の団体が負担する党費又は会費は、寄附とみなす

この規定により、「東京司法書士政治連盟」の政治資金収支報告書の方が記載としては正しく、日本司法書士政治連盟の政治資金収支報告書の方が記載としては間違っている。

(7)寄付と会費とでは透明度が大きく異なる。
(報告書の提出)
第十二条  政治団体の会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、毎年十二月三十一日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から三月以内(・・・)に、第六条第一項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない。
一  すべての収入について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項
イ 個人が負担する党費又は会費については、その金額びこれを納入した者の数
ロ 同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間五万円を超えるものについては、その寄附をした者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日並びに当該寄附をした者が第二十二条の五第一項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものであるときはその旨
ハ 同一の者によつて寄附のあつせんをされた寄附で、その金額の合計額が年間五万円を超えるものについては、その寄附のあつせんをした者の氏名、住所及び職業並びに当該寄附のあつせんに係る寄附の金額、これを集めた期間及びこれが当該政治団体に提供された年月日
(以下、略)

現行法によると、「党費」や「会費」はその金額と納入者数だけを報告すればよいが、「寄付」は「年間五万円を超える」と寄附者の「氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日」を報告しなければならないのである。

日本と日本司法書士政治連盟の上記紹介報告では、「全国の司法書士政治連盟」からの会費(実質は寄附)の詳細が不明であるから、虚偽報告は、全国の司法書士政治連盟」からの寄附の実態を隠蔽したことになる。

(8)同種の政治団体の政治資金収支報告でも、同様の虚偽記載が行われていないか、マスコミはチェックすべきである。

(9)なお、この虚偽記載とは別に、公益法人と政治団体の峻別の問題が日本司法書士会連合会と日本司法書士政治連盟との間、あるいはまた全国の各司法書士会と全国の各司法書士政治連盟との間にある可能性がある。

これについては、また別の機会に投稿することにしよう。