はじめに

(1)小沢一郎民主党幹事長についての東京第5検察審査会の「起訴相当」(不起訴不当ではない)議決に関して、私は、このブログで2つの投稿をした。

検察審査会の小沢一郎「起訴相当」議決には2度驚いた!

検察審査会の小沢一郎「起訴相当」議決における審査補助員と自称「審査申立て人」についての雑感

いずれについても従来の何倍もアクセスがあり、思いのほか反響があった。

そこで、この投稿では、先の二つの投稿に関する事項のうち、「起訴相当」議決に関する雑感と、自称「審査申立て人」についての追加的雑感を書くことにした。


1.小沢一郎「起訴相当」議決後の雑感

(1)すでに書いたことであるが、東京検察特捜部は、東京第5検察審査会の「起訴相当」議決を受けて補充捜査をするだろう。
だが、おそらく、新たな決定的証拠が出てこない限り、再び「嫌疑不十分」で「不起訴」にするだろう。
これまでの証拠では、裁判で有罪にする十分な証拠とはいえないからである。

私は、証拠資料などを読んでいないので、断定的なことはいえないが、特捜部が「嫌疑不十分」で「不起訴」にしたことから推察すると、こういう結論になる。

「疑わしきは罰せず」という原則はあくまでも刑事裁判の原則であるとして、東京第5検察審査会が「起訴相当」と議決したことを肯定する立場もあるだろう。
市民感覚を尊重すべきである、と。

だが、審査補助員に委嘱された弁護士が「補助」していながら、裁判で有罪にできると確信できる証拠がないのに「情況証拠」だけで「起訴相当」とすることには、賛成できない。
せいぜい「不起訴不当」と議決すべきであっただろう!

(なお、先回も書いたが、小沢氏に「違法な報告」をすると事前に相談にし、了承を得ているとの供述調書があるのであれば、「起訴相当」議決もありうるだろう。
もしそうであれば、「議決の理由」の書き方が悪いことになる。)

(2)東京地検特捜部内には、これまでの証拠でも起訴すべきである、と主張する検察官もいたという情報もある。
もし、この情報が本当だとなると、東京第5検察審査会の「起訴相当」議決を受けて、理論的には、その立場の検察官の意向が多数になり、特捜部が一転して「起訴」することも考えられなくはない。

だが、その際、最大の問題は、「起訴」に転じた理由である。

その一つめの考えられる理由は、「検察審査会で現れた民意を尊重する」というものである。
だが、この度の「起訴相当」議決には私以外にも厳しい評価をする識者が、マスコミでコメントしている。
また、特捜部には従来採ってきた論理があるだろうから、世論がこの度の「起訴相当」議決を全面的に後押ししない限り、特捜部が簡単に「民意」に従うとは思えない。

二つめは、「証拠の評価が変わった」という理由づけである。
だが、「いったん有罪に持ち込めないと評価されたものが、本当に有罪に持ち込める証拠と評しうるのか」という疑問が生じる。
特捜部としては、いったん行った自らの専門的判断を否定することになるし、東京第5検察審査会が特捜部の気づいていない証拠を発見したわけでもないだろうから、この理由で特捜部が態度を変えるのは難しいのではなかろうか。

三つめは、「もともと起訴できるだけの十分な証拠があった」という理由である。
だが、この理由だと、「起訴できるのに起訴しなかった」ということになるが、それは、政治的判断が働いたと憶測されてしまうし、特捜部がその証拠を見過ぎしていたことになるので、多分ありあえない理由づけであろう。

四つめは、「新たな証拠が出てきた」という理由づけである。
しかし、すでに逮捕や家宅捜索を行っているので、再び逮捕や家宅捜索を行うことはなかなか考えられない。
捜査権の濫用として批判されるからだ。
その批判がなされなくても、客観的証拠が残っているだろうか!?
誰かが一転して「自白」するだろうか?
特捜部が「起訴」に転じる場合には、この理由しかないだろうが、現実にはなかなかありえないことだろう。

このように考えると、やはり検察が一転して「起訴」するのは、よほど例外的なことが起こらない限り、可能性としては極めて低いのではなかろうか。

(3)いずれにせよ、証拠資料などを見ることができない以上、私の次の関心事は、いつ特捜部が処分を下すのか、であろう。

まず、一般論としては、原則として3ヶ月以内に処分が出ることになる(以下の検察審査会法の規定を参照)。
第39条の5 検察審査会は、検察官の公訴を提起しない処分の当否に関し、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める議決をするものとする。
1.起訴を相当と認めるとき 起訴を相当とする議決
2.前号に掲げる場合を除き、公訴を提起しない処分を不当と認めるとき 公訴を提起しない処分を不当とする議決
3.公訴を提起しない処分を相当と認めるとき 公訴を提起しない処分を相当とする議決
2 前項第1号の議決をするには、第27条の規定にかかわらず、検察審査員8人以上の多数によらなければならない。

第41条 検察審査会が第39条の5第1項第1号の議決をした場合において、前条の議決書の謄本の送付があつたときは、検察官は、速やかに、当該議決を参考にして、公訴を提起すべきか否かを検討した上、当該議決に係る事件について公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしなければならない。
2 検察審査会が第39条の5第1項第2号の議決をした場合において、前条の議決書の謄本の送付があつたときは、検察官は、速やかに、当該議決を参考にして、当該公訴を提起しない処分の当否を検討した上、当該議決に係る事件について公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしなければならない。
3 検察官は、前2項の処分をしたときは、直ちに、前2項の検察審査会にその旨を通知しなければならない。

第41条の2 第39条の5第1項第1号の議決をした検察審査会は、検察官から前条第3項の規定による公訴を提起しない処分をした旨の通知を受けたときは、当該処分の当否の審査を行わなければならない。ただし、次項の規定による審査が行われたときは、この限りでない。
2 第39条の5第1項第1号の議決をした検察審査会は、第40条の規定により当該議決に係る議決書の謄本の送付をした日から3月(検察官が当該検察審査会に対し3月を超えない範囲で延長を必要とする期間及びその理由を通知したときは、その期間を加えた期間)以内に前条第3項の規定による通知がなかつたときは、その期間が経過した時に、当該議決があつた公訴を提起しない処分と同一の処分があつたものとみなして、当該処分の当否の審査を行わなければならない。ただし、審査の結果議決をする前に、検察官から同項の規定による公訴を提起しない処分をした旨の通知を受けたときは、当該処分の当否の審査を行わなければならない。

そうすると、気になるのは、参議院議員通常選挙の施行との関係である。
投票日は、7月11日か7月25日のいずれかであろう。
東京第5検察審査会の「起訴相当」議決は4月27日だったので、特捜部が参議院議員通常選挙の投票前に処分を下すのか、投票後に処分を下すのかが大きな関心事になりそうだ。

投票後になるのだろう!?

(4)特捜部が小沢氏を「起訴」せず「不起訴」処分にすれば、東京第5検察審査会は、再び審査することになる。

だが、その審査員11名は4月末で少なくともその半分(6名)が入れ替わっている
(4月中に議決が出ると予想されたのは、このためである。)

また、当該検察審査会は、1回目の場合と異なり、「必ず」審査補助員を委嘱しなければならない。
第41条の4 検察審査会は、第41条の2の規定による審査を行うに当たつては、審査補助員を委嘱し、法律に関する専門的な知見をも踏まえつつ、その審査を行わなければならない。

どの弁護士が審査補助員に委嘱されるのだろうか?

果たして再び「起訴相当」議決が出るのだろうか?

もし再び「起訴相当」議決が出る場合には、1回目よりも議決書は詳細なものになるし、議決書の作成には「必ず」審査補助員に「補助」させなければならない(以下の検察審査会法の規定を参照)。
第41条の7 検察審査会は、起訴議決をしたときは、議決書に、その認定した犯罪事実を記載しなければならない。この場合において、検察審査会は、できる限り日時、場所及び方法をもつて犯罪を構成する事実を特定しなければならない
2 検察審査会は、審査補助員に前項の議決書の作成を補助させなければならない
3 検察審査会は、第1項の議決書を作成したときは、第40条に規定する措置をとるほか、その議決書の謄本を当該検察審査会の所在地を管轄する地方裁判所に送付しなければならない。ただし、適当と認めるときは、起訴議決に係る事件の犯罪地又は被疑者の住所、居所若しくは現在地を管轄するその他の地方裁判所に送付することができる。

気が早いが、結論だけではなく、その理由に注目したい。
制度改正された検察審査会制度の成功を左右しかねないからだ。


2.自称「審査申立て人」についての追加的雑感

(1)自称「審査申立人」については、先の投稿では、東京第5検察審査会に審査申立てをし、事務局が一応受理したものの(その限りで事件番号はつけられたものの)、その後、同審査会に「審査申立て権がない」として却下されたのではないか、などと書いた。

私は、その理由として
・自称「審査申立人」は刑事告発をしていないこと、
・審査申立ての事件番号が、東京第5検察審査会の議決に明記されている事件番号(「(申立)第10号」)と自称「審査申立人」がブログで公表している受理書の事件番号(「(申立)第10号」ではない)とが異なること
を、挙げておいた。

審査申立ての事件番号とは刑事告発の事件番号ではないことに注意していただきたい。
前者は検察審査会(事務局)でつけられる事件番号で、後者は検察(事務局)でつけられる事件番号である。

なお、私の調べでは、正式に受理された審査申立人は1名で、10数名が「審査申立て権がない」として(おそらく刑事告発をしていなかったからだろう)却下されている。

(2)これに対しては、今のところ、自称「審査申立人」から抗議はない。
事実誤認の指摘もない。

その理由は、わからない。

私の投稿で自称「審査申立人」の氏名を明記しなかったからだろうか?
それとも、私の投稿・指摘に気づいていないからであろうか?
それとも、お忙しいのだろうか?
とにかく、わからない。

だが、抗議等がないので、先回の投稿であえて明言しなかったことも含め、もう少し書いておこう。

(3)自称「審査申立人」が、東京第5検察審査会の議決における正式の審査申立人ではないと思われる理由をもう一つ(だが、決定的ではないかもしれない!?)挙げておこう。

自称「審査申立人」がブログで紹介している審査申立てにおける「被疑事実の要旨」を読むと、あまりにも大雑把な書き方ではあるものの(恐らく政治資金収支報告書さえ見てないのかもしれない)、政治資金収支報告の虚偽記載として「収入」と「支出」の両方の虚偽記載を挙げているが、議決書における「被疑事実の要旨」は、「支出」のみの虚偽記載である。

つまり、正式に受理された審査申立て人は、「収入」の虚偽記載を「被疑事実の要旨」には挙げておらず、「支出」の虚偽記載しか挙げていなかったからこそ、東京第5検察審査会は、「支出」の虚偽記載についてしか議決書の「被疑事実の要旨」に挙げなかったのではなろうか。

(ただし、この推測は当たっていない可能性もある。
正式の審査申立てには小沢氏の資金管理団体の「収入」と「支出」の両方の虚偽記載が「被疑事実の要旨」として挙げられていたものの、東京第5検察審査会は「支出」についてのみ虚偽記載を認定したのかもしれない。
だが、この事件では、収入と支出はセットなので、このようなことは考えられないと思うのだが・・・。
正式に受理された審査申立書を見ることができれば、いいのだが・・・。)

(4)自称「審査申立人」は、東京第5検察審査会の「起訴相当」議決(4月27日)から1週間が経過し、連休も終わったのに、同議決についての投稿はない。

不思議だ。

小沢一郎民主党幹事長を追い落とそうとしている人物なので、この度の「起訴相当]議決については、真っ先に、自慢して投稿があると思うのだが・・・。

本当に審査申立てをして正式に受理されたのであれば、議決書が送られてくるので、それをブログで公表するだろう。
しかし、いまだに、それがなされていない。

(5)やはり、私の推測が的中しているから、議決書も届かないので、それを公表しようにも、できないのではなかろうか!?

正式に受理された審査申立人は、私にはわからない。
おそらくマスコミが報じた市民団体のメンバーなのだろう。

だが、自称「審査申立人」と同じ政治団体のメンバーあるいは知人ではないのだろうか?
もし、そうであれば、その人物から議決書を借り受けて、それをブログで紹介するだろう。

その紹介がないとなると、自称「審査申立人」と同じ政治団体のメンバー等の審査申立ても、正式には受理されず、却下されたと思わざるを得ない。
果たしてどうなのだろうか?

第三者からの議決書の入手に手間取っているのだろうか?
手間取っているとなると、なかなか議決書をブログで公表するのに時間を要するでしょうね。

(6)また、前述した「被疑事実の要旨」に着目すると、自称「審査申立人」と同じ政治団体のメンバ等が審査申立てし事務局では受理されても、東京第5検察審査会は正式には受理せず、却下した可能性が高いのではなかろうか!?

というのは、自称「審査申立人」と同じ政治団体のメンバー等は、自称「審査申立人」が書いた「被疑事実の要旨」をほぼそのまま真似て書く可能性が高いだろう(自称「審査申立人」は政治団体の代表だから)が、そうすると、前述したように東京第5検察審査会の議決書における「被疑事実の要旨」の内容と一致しないことになるからだ(ただし、前述を参照)。

(その例外は、刑事告発をし、かつ、自称「審査申立人」の書いた「被疑事実の要旨」を真似ずに書いた者がいた場合である。)

(7)以上とは別に、もっと気になることがある。

自称「審査申立人」は、自分の審査申立てが正式に受理されず、却下されたことを、ブログで紹介していないのだ。

むしろ、審査申立てが却下されているのに、自称「審査申立人」は、正式に受理されていることを前提にした投稿を行っていた。

以下、少し説明しておこう。

(8)東京地検特捜部が、小沢一郎民主党幹事長を不起訴処分にしたのは、今年2月4日。

自称「審査申立人」が、東京第5検察審査会に審査申立てをしたのは、その翌日・2月5日(同日、その事務局に受理)で、送られて届いたのが同月(2月)10日であったようだ(翌日・11日、ブログで紹介)。

4月17日、検察審査会が4月内に議決を出すという新聞報道(同月15日付のある新聞)をブログで紹介して、「2月に・・・(略)・・・打った一手が効き始めてきたようです」と書き、2月に自らが審査申立てをしたことが紹介されている。

だが、私の推測が的中しているとすれば、この時期、自称「審査申立人」は自らの審査申立てが却下されたことがわかっているはずである。
東京第5検察審査会が自称「審査申立人」の審査申立てを「審査申立て権がない」として却下したことを伝える文書が、おそらく2月中に、自称「審査申立人」に届いているはずだからである。
自称「審査申立人」は、4月の時点で、まるで自らが審査申立てしたことが正式に受理されていると装い続けているのだ。

自称「審査申立人」は、そのメンバー等全員も審査申立てが却下されていたが、上記4月15日付のある新聞を知り、自分ら以外の者で審査申立てが正式に受理されていたことを初めて(!?)知ったのではなかろうか。
それを利用して、まるで自分が正式の審査申立て人であるかのように装ってブログで書いたことになる。

つまり、自称「審査申立人」は嘘を書いていることになる。

(9)東京第5検察審査会の「起訴相当」議決が出た後、自称「審査申立人」を讃えるブログ投稿があるし、自称「審査申立人」のブログに同人を讃える書き込みをする者もいる。
これは、自称「審査申立人」の嘘を信じ込んでいるからだろう。

しかし、自称「審査申立人」は、正直に、審査申立てが却下されていたこと、嘘をついていたことを、ブログで告白して読者に謝罪してはいない。
何故だろうか?
そのような人格の持ち主なのだろうか!?

(10)なお、先の投稿で、私は、自称「審査申立人」がブログで「本名」を公表していると書いたが、それは私の勘違いで、「ニックネーム」のようだ(「ニックネーム」と公表しながら「本名」かもしれないが、それは確認できない)。
私が見落としたのかもしれない。

つまり、先の投稿で、審査申立ての受理書に審査申立人の氏名が隠されていると紹介したが、これは、受理書に「本名」が書かれており、これを公表してしまえば、隠している「本名」がバレるからだろう。