(1)資金管理団体「陸山会」による土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件で、東京地検特捜部は昨日(5月21日)小沢一郎民主党幹事長を再度、嫌疑不十分で不起訴としたようだ。
先日、東京地検特捜部がこの議決を受けて再捜査し、今月中にも不起訴処分を出すのではないかとの報道を紹介し、今月中の処分は予想外であったが、「不起訴」処分は新たな証拠が出ない以上当然予想されることであると書いておいた。
小沢氏らが特捜部の事情聴取に応じた以上、処分を参議院選挙後にまで持ち越すことはできないだろう。
むしろ、東京第5検察審査会の議決が参議院までに出る可能性が出たことになる(これについては、後でも言及する)。
なお、共同通信の取材に答えたので私のコメントも配信されたと思う。
(2)ところで、この不起訴処分につき、小沢氏本人は、「私の関与や疑惑がないという事実を明確にしていただいたものと受け止めている」と、驚くべきコメントを発表したようだ。
小沢氏は、最初の不起訴処分のときにも同様の非常識なコメントを発表していたが、相変わらず呆れる発言をしいているようだ。
特捜部の不起訴理由が「嫌疑なし」ではなく「嫌疑不十分」であることを、全く無視したコメントといわざるを得ない。
この事件で、東京第5検察審査会が、4月27日、「陸山会」の支出につき小沢氏を「起訴相当」と議決したことにつき、私は、感情に基づき「情況証拠」だけで「共謀共同正犯」と結論づけている、との辛口の感想を書いたが、このことは、小沢氏が「嫌疑なし」と主張しているわけではない。
元秘書らが虚偽記載を認めてしまっている以上、当然、代表である小沢氏に嫌疑がかかるのは当然である。
議決の理由づけでは「十分な証拠がある」とは思えない、と私は言っているのである。
(3)小沢氏は、資金管理団体の代表者である以上、刑事責任の問題とは別に政治責任・倫理的責任の問題がある。
後者においては、主権者国民に対する説明責任を果たすことが求められる。
しかし、小沢氏は、その責任を十分果たしてきたとはいえない。
特捜部の捜査の公平さに疑問があるので同情すべき点もあるが、それらの責任を果たしてきていない点では全く同情できない。
また、私がもっと重視してきた、企業・団体献金の全面禁止を含む政治資金規正法の抜本改正の公約も果たそうとしていない。
(4)やっと、小沢氏は、衆院政治倫理審査会で説明するとの報道もあった。
しかし、この説明もなされるかどうか、未定のようだ。
実現したとしても、遅すぎる。
(5)また、東京第5検察審査会の2回目の議決が参議院選挙前に出る可能性が出てきたものの、政府・与党は、会期を延長しないようだ。
会期を延長すれば、その長さ次第によっては、参議院の投票は7月25日になる可能性が高かった。
そうなると、東京第5検察審査会の議決が参議院選挙前に出る可能性が比較的高くなる。
だが、会期を延長しないとなると、参議院の投票は7月11日になるだろう。
そうなると、東京第5検察審査会の議決が参議院選挙前に出る可能性は比較的低くなる。
会期延長がなされないのは、このことを計算しているのではないか、との疑念も生じる。
(6)「政治とカネ」の問題について、新政権発足から半年の評価は、5段階で「2」(あまり評価できない)であったが、新政権発足から8ヶ月経過した今は、「1」(全く評価できない)と評価せざるをえない。
全く期待はずれである。
2010/05/21 21:12 【共同通信】
東京地検、小沢氏を再び不起訴 捜査終結、2回目審査へ
資金管理団体「陸山会」による土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件で、東京地検特捜部は21日、東京第5検察審査会の「起訴相当」議決を受けた小沢一郎民主党幹事長を再度、嫌疑不十分で不起訴とした。4月27日の議決から24日目の早期処分で、捜査は事実上終結した。
第5検察審査会による2回目の審査は、参院選前に始まるとみられ、「起訴議決」となった場合、小沢氏は東京地裁指定の弁護士に強制起訴される。小沢氏側は審査会に、上申書の提出を検討している。
小沢氏は「私の関与や疑惑がないという事実を明確にしていただいた」とのコメントを発表。東京地検の大鶴基成次席検事は記者会見し「基本的な証拠関係に変わりはなく共犯の確証は得られなかった。必要な捜査をし、処分がこの時期になった」と述べた。
審査会は、小沢氏と衆院議員石川知裕被告(36)ら元秘書3人=政治資金規正法違反の罪で起訴=との共犯が強く推認されると指摘していた。
先日、東京地検特捜部がこの議決を受けて再捜査し、今月中にも不起訴処分を出すのではないかとの報道を紹介し、今月中の処分は予想外であったが、「不起訴」処分は新たな証拠が出ない以上当然予想されることであると書いておいた。
小沢氏らが特捜部の事情聴取に応じた以上、処分を参議院選挙後にまで持ち越すことはできないだろう。
むしろ、東京第5検察審査会の議決が参議院までに出る可能性が出たことになる(これについては、後でも言及する)。
なお、共同通信の取材に答えたので私のコメントも配信されたと思う。
(2)ところで、この不起訴処分につき、小沢氏本人は、「私の関与や疑惑がないという事実を明確にしていただいたものと受け止めている」と、驚くべきコメントを発表したようだ。
日経新聞2010/5/21 19:04
小沢氏「関与ないこと明確になった」 再び不起訴で
民主党の小沢一郎幹事長は21日、資金管理団体の土地取引を巡る政治資金規正法違反事件で再度不起訴処分になったことを受け「私の関与や疑惑がないという事実を明確にしていただいたものと受け止めている」とのコメントを発表した。
小沢氏は、最初の不起訴処分のときにも同様の非常識なコメントを発表していたが、相変わらず呆れる発言をしいているようだ。
特捜部の不起訴理由が「嫌疑なし」ではなく「嫌疑不十分」であることを、全く無視したコメントといわざるを得ない。
この事件で、東京第5検察審査会が、4月27日、「陸山会」の支出につき小沢氏を「起訴相当」と議決したことにつき、私は、感情に基づき「情況証拠」だけで「共謀共同正犯」と結論づけている、との辛口の感想を書いたが、このことは、小沢氏が「嫌疑なし」と主張しているわけではない。
元秘書らが虚偽記載を認めてしまっている以上、当然、代表である小沢氏に嫌疑がかかるのは当然である。
議決の理由づけでは「十分な証拠がある」とは思えない、と私は言っているのである。
(3)小沢氏は、資金管理団体の代表者である以上、刑事責任の問題とは別に政治責任・倫理的責任の問題がある。
後者においては、主権者国民に対する説明責任を果たすことが求められる。
しかし、小沢氏は、その責任を十分果たしてきたとはいえない。
特捜部の捜査の公平さに疑問があるので同情すべき点もあるが、それらの責任を果たしてきていない点では全く同情できない。
また、私がもっと重視してきた、企業・団体献金の全面禁止を含む政治資金規正法の抜本改正の公約も果たそうとしていない。
(4)やっと、小沢氏は、衆院政治倫理審査会で説明するとの報道もあった。
東京新聞2010年5月18日 朝刊
政倫審、公開拒まず 小沢氏、証人喚問は拒否
民主党の小沢一郎幹事長は十七日の記者会見で、収支報告書虚偽記入事件を弁明する衆院政治倫理審査会(政倫審)について「原則非公開だが、こだわっていない。『公開が正義』という論調は必ずしも正しいとは思っていないが、出るとすればどっちでもいい」と述べ、公開に反対しない姿勢を示した。公開を求める与党の声に配慮したとみられる。
政倫審は本人の了解があれば報道陣に公開される。証人喚問と違い、政倫審での発言は偽証罪に問われない。
小沢氏は政倫審出席の理由を「(東京地検の)強制捜査で実質的な犯罪は何もないという結論が出たので、政倫審に出る理由は非常に薄くなっているが、国民が納得してくれるなら一つの方法だ」と述べた。
野党が求めている証人喚問については「考えていない」と拒否する意向を示した。
十五日の検察当局による三回目の事情聴取については「前回とほとんど同じ事柄をあらためて聞きたいという話。分かりやすく丁寧に答えた」と述べた。
しかし、この説明もなされるかどうか、未定のようだ。
【共同通信】2010/05/21 19:25
政倫審の来週開催微妙に 小沢氏の申し出なく
民主党の小沢一郎幹事長が出席意向を表明した衆院政治倫理審査会は、当初見込まれた来週中の開催が微妙になってきた。政倫審は本人の申し出後、実施まで1週間から10日程度要するのが通例だが、依然として申し出がないためだ。
小沢氏は自身の資金管理団体の収支報告書虚偽記入事件をめぐる政倫審出席に関して、13日の記者会見で「しっかりお話しする」と表明。民主党幹部は開催時期について、24日の週になるとの見通しを示していた。
議員本人の申し出を受けて開催された過去8回の政倫審は、申し出から実施まで最短でも中6日の間隔が空けられた。原則非公開となっている政倫審の公開の是非について与野党が協議したり、各党が質問内容を検討する時間が必要なためだ。
今回、小沢氏が仮に週明けの24日に申し出た場合でも、前例に従えば開催は最短で31日。月内の可能性はかろうじて残る。
一方、民主党は政倫審で議事運営を協議する幹事について、野党ペースの運営を阻止するため、若手議員から小沢氏側近や中堅に差し替える予定だった。しかし、今週になってその動きがストップ。野党からは「小沢氏は本当に出席する気があるのか」(自民党幹部)との声も上がる。
実現したとしても、遅すぎる。
(5)また、東京第5検察審査会の2回目の議決が参議院選挙前に出る可能性が出てきたものの、政府・与党は、会期を延長しないようだ。
時事通信(2010/05/21-21:21)
野党の追及懸念=国会延長せず−政府・与党
政府・与党が6月16日までの今国会会期を延長しない方針を固めたことで、参院選は6月24日公示、7月11日投開票の日程で行われる公算となった。重要法案の成立を断念してまで「延長なし」を選択するのは、沖縄県の米軍普天間飛行場移設や「政治とカネ」の問題で政権批判が強まる中、国会を予定通りに閉会することで野党の追及をかわし、選挙戦に集中する狙いがある。
会期延長しない方針は、鳩山由紀夫首相が20日、民主党の輿石東参院議員会長との会談で示し、輿石氏も応じた。「できるだけスムーズに国会を閉じて、選挙に突入できる状況をつくりたい」。同党の平田健二参院国対委員長は21日の記者会見でこう強調した。
国家戦略室の「局」格上げを柱とする政治主導確立法案や、小沢一郎幹事長肝いりの国会改革関連法案などを確実に成立させて政権の実績をアピールするため、与党内では当初、会期を2週間程度延長する案も検討されていた。
2週間の延長なら、公選法の規定により参院選の投開票は7月25日にずれ込む。投票率の低下が予想される夏休み期間中の選挙となれば、首相や小沢氏の政治資金問題で負ったダメージの影響を最小限に抑えられるとの思惑もあったようだ。
しかし、普天間問題の迷走で世論は首相の「資質」自体に厳しい視線を向けており、内閣支持率は下げ止まる気配がない。さらに、政府の初動の遅れが指摘される口蹄(こうてい)疫の被害拡大問題も、野党に新たな攻撃材料を与える展開となった。「会期を延ばしても野党に追及されるだけだ」。首相周辺は、延長なしの背景をこう説明する。
民主党内では、参院選で改選を迎える議員に「逆風」への危機感がとりわけ強い。19日には蓮舫氏ら8人が、小沢氏に説明責任を果たすよう求めることなどを輿石氏に直訴する場面があった。首相や執行部サイドが早めに国会を閉じて参院選に臨む判断を固めたことに対しては、「小沢氏や首相への不満が拡大し、不測の事態に発展するのを封じる狙いもあるのではないか」(同党中堅)との見方も出ている。
首相は21日夜、記者団に「選挙の日程を決めたという認識はない。国民の命、暮らしを守る法案をしっかり議論して成立させることに全力を尽くす」と述べるにとどめた。
会期を延長すれば、その長さ次第によっては、参議院の投票は7月25日になる可能性が高かった。
そうなると、東京第5検察審査会の議決が参議院選挙前に出る可能性が比較的高くなる。
だが、会期を延長しないとなると、参議院の投票は7月11日になるだろう。
そうなると、東京第5検察審査会の議決が参議院選挙前に出る可能性は比較的低くなる。
会期延長がなされないのは、このことを計算しているのではないか、との疑念も生じる。
(6)「政治とカネ」の問題について、新政権発足から半年の評価は、5段階で「2」(あまり評価できない)であったが、新政権発足から8ヶ月経過した今は、「1」(全く評価できない)と評価せざるをえない。
全く期待はずれである。
「この2ヶ月の期間のズレというのは犯罪にすらならない」や「処罰価値はない」などおしゃっている方々がいますが実際の所どうなんでしょうか?
大手メディアは水谷からの受け渡し方法まで捏造して報道し続けました。なので国民の多くは起訴相当と判断されたことは水谷建設からの裏金をもらったことによる起訴相当と思っていると思います。
にも関わらず大手メディアは訂正・謝罪すらなく何に対して起訴相当だったのか報道している所はほとんど無いと思います。
説明責任に関しては何に対しての説明が足りてないと感じているのでしょうか?起訴相当と判断された期ズレの問題ですか?水谷からの裏金と報道され続けた原資のことでしょうか?
ジャーナリストの上杉隆さんは小沢さんが一番説明責任を果たしてると断言していますし、私もそう感じています。