(1)日曜日(2010年7月11日)の参議院議員通常選挙の結果が確定したようだ。

NHK7月12日 7時18分
民主敗北 衆参でねじれ状態に

 11日に行われた第22回参議院選挙は、民主党が、改選議席を大幅に下回る44議席にとどまって敗北し、与党は、非改選の議席も含めて過半数を確保できず、国会は衆参で多数派が異なるいわゆる「ねじれ」の状態になりました。菅総理大臣は、続投の考えを表明しましたが、民主党内からは、改選第1党が自民党になったことで、執行部の責任を追及する意見が出ており、厳しい政権運営を迫られることになります。
 第22回参議院選挙は、11日に投票が行われ、即日開票されました。
定員121のうち、
▽民主党は、全国で29ある定員1人の1人区で8議席にとどまったほか、現職の閣僚が落選するなどした結果、選挙区で28議席、比例代表で16議席のあわせて44議席で、改選議席の54を大きく下回り、敗北しました。
▽自民党は、1人区で21議席を獲得して圧勝するなど、選挙区で39議席、比例代表で12議席のあわせて51議席を獲得して改選第1党となり、勝利しました。
▽公明党は、候補者を擁立した東京・埼玉・大阪のすべての選挙区で議席を獲得しましたが、比例代表では6議席にとどまり、あわせて9議席と改選議席を2つ下回りました。
▽共産党は、選挙区で議席を獲得できず、比例代表で3議席と改選議席を1つ下回りました。
▽社民党は、選挙区で議席を獲得できませんでしたが、比例代表で2議席と改選議席を維持しました。
▽みんなの党は、今回が初めての参議院選挙で、東京・神奈川・千葉の3つの選挙区で議席を獲得し、比例代表の7議席とあわせて10議席と、躍進しました。
▽たちあがれ日本と新党改革は、ともに比例代表で1議席を獲得しました。
▽国民新党は、議席を獲得できず、改選議席を3つ下回りました。
 この結果、与党は、非改選の議席も含めて過半数を確保できず、国会は、衆参で多数派が異なる「ねじれ」の状態となりました。与党は、参議院で法案が否決された場合、衆議院で再可決するのに必要な3分の2の議席を持っていないことから、予算案を除いて、野党側の協力が得られなければ、法案を成立させることができなくなります。
 選挙結果を受けて、菅総理大臣は「あらためてスタートラインに立ったという気持ちで、責任ある政権運営を今後とも続けていきたい」と述べ、総理大臣を続投する意向を表明するともに、枝野幹事長ら執行部体制を代えず、維持したいという考えを明らかにしました。
 また、菅総理大臣は、今後の国会運営について「まずは国民新党との連立を大事にしたい。それを越えた問題は、どういう政策であれば、ほかの党といっしょに実現を目指すことができるのか、政策的な協議を行って、共同作業を進めていきたい。ていねいな国会運営の中で、実現できるものは合意を図っていきたい」と述べました。
 これに対して、自民党の谷垣総裁は「菅総理大臣は、参院選で政権の信任を問うとしていたのに、続投は甚だおかしい」と批判するなど、野党側は、直ちに連携することはないとしています。
 また、菅総理大臣が執行部体制を代えない考えを表明したことについて、民主党内では、改選第1党が自民党になった責任は重いとして、枝野幹事長らの責任を追及する声が出ており、菅総理大臣は、厳しい政権運営を迫られることになります。一方、自民党は、選挙結果について、政権奪還に向けたきっかけをつかむことができたとしており、国会対策などで野党の協力関係を強化し、菅政権に対し、早期の衆議院の解散・総選挙を求めていく方針です。

(2)投票率が低迷している問題はすでに指摘したので、ここでは、すでに指摘してきたことではあるが、参議院議員の選挙制度が民意を正確・公正に反映していないどころか、民意を歪曲している、という問題を指摘することにする。

なお、以下では、2010年7月12日付「朝日新聞」夕刊の報道を使用した。

(3)まず、選挙区選挙における選挙結果を取り上げて、その問題を指摘したい。

各政党の選挙区での当選者数、全国集計得票率および議席占有率

政党名
当選者数
得票率
議席占有率
民主党
28名
38.97%
38.36%
自民党
39名
33.38%
53.42%
公明党
3名
3.88%
4.11%
共産党
0名
7.29%
0%
国民新党
0名
0.29%
0%
新党改革
0名
1.07%
0%
社民党
0名
1.03%
0%
たちあがれ日本
0名
0.56%
みんなの党
3名
10.24%
4.11%
幸福実現党
0名
0.50%
0%
諸派
0名
0.55%
0%
無所属
2.25%
0%
73名
100%
100%

民主党の選挙区選挙における全国集計の得票率は38.97%であった。
民主党の選挙区選挙での当選者は28名で、選挙区選挙の議員定数73名に対し占める割合は38.36%であった。
民主党の場合には得票率と議席占有率がほぼ一致することがわかる。

これに比べ、自民党の得票率は民主党の得票率よりも低い33.38%にとどまるのに、議席占有率は53.42%にもなっている。
明らかに多数派が入れ替わっている。
このような逆転現象が生じたのは、自民党が過剰代表されたからである。

つまり、自民党は当選者数では民主党に勝ったものの、得票率では民主党に負けていたのである。
全国の有権者は自民党を勝たせてはいないのである。
自民党は非民主的な選挙制度により勝利したにすぎないのである。

これでは選挙の意味はなくなってしまう。

(4)では、比例代表選挙の得票率で議員定数121名を比例配分すると、各政党の議席数はそれぞれ幾らと試算されるだろうか?
いつものように試算してみよう。

各政党の選挙区・比例代表選挙での合計当選者数、比例代表選挙の得票率および比例配分試算議席数

政党名
全当選者数
比例代表選挙得票率
比例配分試算議席数
民主党
44名
31.56%
38名
自民党
51名
24.07%
29名
公明党
9名
13.07%
16名
共産党
3名
6.10%
7名
国民新党
0名
1.71%
2名
新党改革
1名
2.01%
2名
社民党
2名
3.84%
5名
たちあがれ日本
1名
2.11%
3名
みんなの党
10名
13.59%
16名
幸福実現党
0名
0.39%
1名
諸派
0名
1.55%
2名
121名
100%
121名

民主党は選挙区選挙と比例代表選挙のにより44名当選したが、比例代表選挙の得票率31.56%で議員定数121を比例配分すると38名になってしまう。

この点でもっと顕著なのは、自民党である。
自民党は51名当選したが、比例代表選挙の得票率24.07%で比例配分すると29名にしかならない。

要するに、比例代表選挙でも民主党に負けていた自民党は、22名分過剰代表している計算になるのだ。

(5)このような自民党の過剰代表を生み出した選挙区選挙は、多数派を入れ替えてしまい、民意を歪曲する非民主的な選挙制度であるから、やはり廃止すべきである。
そして、総定数は維持して、民意を正確・公正に反映する比例代表選挙一本にすべきである。