(1)全国の郵便局長らでつくる政治団体「郵政政策研究会」(旧「大樹全国会議」)が20007年〜2008年、国民新党側に2回のパーティー券代として計3350万円を、政治資金規正法の量的規制に違反して提供していたとの疑惑が報じられた。
情報公開請求等も行い時間をかけた地道な取材に基づくスクープ報道であろう。
私は産経新聞の取材に答えてコメントし、それが掲載されたので、まず、その記事を紹介しよう。ゴチックは上脇による。
(2)政治資金規正法は、一つの政治資金パーティーにつき、同一の者から150万円を超えてパーティ券を購入してもらうことを禁止しているし、同一の者が150万円を超えてパーティー券を購入することを禁止している。
罰則は、以下のように定められている。
これは、政治資金パーティにおける量的制限(個別制限)の規定である。
(3)上記条項における「同一の者」については、個人であれば、議論の余地はなく、分かりやすい。
だが、それが政治団体であれば、少し説明を要する。
政治団体の本部と支部は、この点で、別々の政治団体ではなく、「同一の者」になる、ということである(政治資金収支報告書の提出については、別々の政治団体として提出義務があるが)。
それゆえ、政治団体が本部以外に支部を持っている場合でも、当該政治団体が「一の政治資金パーティーにつき」政治資金パーティ券を購入できるのは、上限が150万円であり、これは、本部と支部が別々に購入するときにも合計額で150万円以内でなければならない。
そう解さなければ、支部を多数設立して各支部がぞれぞれ150万円分の政治資金パーティ券を購入して、政治資金規正法の量的制限を簡単に超えることが出来てしまうからである。
(4)では、本部と支部とはどのようにして区別されるのだろうか。
その名称の如何に関わらず、実態的に、上位組織である本部と主従の関係にある等した場合には、その政治団体は「支部」である。
言い換えれば、「支部」と名乗っていても(現実には無いかもしれないが)、本部と主従の関係にない等した場合には、その政治団体は、本部とは別個の独立した政治団体とみなすことができるだろう。
(5)この点で、産経新聞で報じられた件で言えば、「郵政政策研究会」(旧「大樹全国会議」)の「地方本部」は、「本部」と名乗ってはいても、以下の事実から判断すると実態的には「支部」に相当するだろう。
旧「大樹全国会議」が郵政政策研究会(郵政研)に名称変更した際、大樹の地方本部も一斉に郵政研の地方本部に変更されていること。
旧「大樹全国会議」の規約には「本会は、大樹各地方本部長及びその他の会員で構成する」(3条)とあり、大樹各地方本部長が大樹全国会議の理事を兼務していたこと(第4条)、また、郵政研の規約には「本会の下部組織として、郵政政策研究会地方本部を置き・・・」(第2条)と記されていたこと。
地方本部の財政は、「郵政政策研究会」(旧「大樹全国会議」)に依存してること、など(上記報道参照)。
(6)「郵政政策研究会」(旧「大樹全国会議」)は、2008年に、国民新党の政治資金パーティキー券を計1950万円購入し、2007年には、同様に計1700万円を購入していたという。
合計すると、3650万円になる。
だが、政治資金規正法(上記参照)で認められるのは、1回につき150万円までだから、2年間では計300万円分だけである。
つまり、3350万円分は違法な購入になるのだ。
(7)地方本部(支部)の中には、政治資金パーティ券を150万円分購入していないと「自白」したところもあったようだ。
この点では、果たして、本当に、政治資金パーティ券が購入されたのかも問題になり、政治資金収支報告の虚偽報告の疑惑も生じることになる。
(8)ところで、他の政治団体では、同じような手法で政治資金パーティー券の購入がなされていないのだろうか?
情報公開請求等も行い時間をかけた地道な取材に基づくスクープ報道であろう。
私は産経新聞の取材に答えてコメントし、それが掲載されたので、まず、その記事を紹介しよう。ゴチックは上脇による。
産経新聞2010.7.29 02:00
郵政研、国民新に3350万円 パーティー券代 地方本部迂回、上限違反か
全国の郵便局長や家族、OBらでつくる政治団体「郵政政策研究会」(旧「大樹全国会議」)が平成19〜20年、国民新党側に2回のパーティー券代として計3350万円を不正に提供していた疑いのあることが28日、産経新聞の調べで分かった。政治資金規正法はパーティー1回に1団体が支出できる上限額を150万円と規定しているが、郵政研は本体以外にも全国に12ある地方本部を迂(う)回(かい)させ、多額の資金を提供していた。識者は「郵政研と地方本部は規正法上、1団体とみなされる可能性が高く、上限違反にあたる恐れがある」と指摘している。(調査報道班)
問題が浮上したのは、国民新党が19年6月15日と20年6月5日、複数の同党支部や所属議員の関連政治団体と、都内のホテルで共催した政治資金パーティー「国民新党総決起大会」。
政治資金収支報告書や郵政研によると、郵政研は20年の総決起大会直前の5月、自らパー券150万円分を購入する一方、関東や近畿など全国の12地方本部に対しても150万円ずつを支出。パー券をそれぞれ150万円ずつ購入させる形で、国民新党に計1950万円を提供した。
また、中国地方本部の収支報告書に記載漏れがあるため総額は不明朗だが、19年の同大会に際しても、郵政研は同様の手法で、少なくとも国民新党側に計1700万円を提供した。
規正法を所管する総務省では、政治団体の下部組織に当たる、いわゆる「支部」について「本部と一体として扱い、パーティー券購入については1団体とみなす」(政治資金課)と指摘。「本部・支部がそれぞれ150万円ずつ支出できるわけではない」としており、郵政研が地方本部を迂回する形で提供した計3350万円については郵政研が同法に抵触している恐れがある。
郵政研は産経新聞の取材に対し、「地方本部は独立した組織であり、支部ではない」としているが、産経新聞が情報公開請求で入手した郵政研の規約には、「本会の下部組織として地方本部を置く」と明記。
また、地方本部の収入は問題のパー券代も含め、大半が郵政研からの政治資金で占められており、規正法に詳しい神戸学院大法科大学院の上脇博之教授(憲法学)は「地方本部は郵政研に財政面で依存しており、規約の内容からも、地方本部は規正法でいう『支部』にあたる可能性が高く、規正法に抵触する恐れは濃厚だ。こうした行為がまかり通れば、パー券購入の上限規制の意味がなくなり、カネで政治が買われる危険が高まる」と指摘している。
◇
郵政政策研究会の話「地方本部は独立した政治団体であり、問題はないと考えているが、専門家と協議をしてみて、直すべきところがあれば直したい」
国民新党の話「郵政政策研究会と地方本部は、それぞれが独立している団体という認識だ。受け取ったパーティー券代が(規正法の)上限に抵触するとは考えていない」
■政治団体の支部 政治資金規正法では政治団体の支部について、会計や活動を明確にするため、それぞれ別の政治団体として届け出るよう義務付けている。だが、本来的には政治団体の組織の一部にすぎず、総務省見解では別団体として届け出ていても、本部と一体の1団体として扱われる。支部かどうかは「支部」という名称に関係なく、実態により判断される。具体的には、上位組織である本部と主従関係にあることや、本部が解散した際に単独で存続し得ないことなどが挙げられている。
産経新聞2010.7.29 02:00
脱法献金横行の恐れ 郵政研「地方」迂回 「150万円分のパー券見たことない」
郵政民営化の弊害を訴える国民新党側に、全国の郵便局長らでつくる政治団体「郵政政策研究会」(旧「大樹全国会議」)が、政治資金規正法の上限を超えたパーティー券代を提供していた疑いが28日、浮上した。郵政研の事実上の「支部」である疑いがある地方本部を利用したパー券購入を無尽蔵に許せば、規正法は形(けい)骸(がい)化する恐れがある。また、150万円分のパー券を買ったとされる地方本部の幹部は「そんな大量のパー券は見たことがない」と証言。パー券購入の実態そのものにも疑問符がついている。(調査報道班)
「うちには2人しかいないし、そんなに大量のパー券はいらない。見たこともない」。ある地方本部の幹部は産経新聞の取材に、こう話した。
この地方本部の平成20年分の政治資金収支報告書には、郵政研からの資金を元手に「国民新党総決起大会」のパーティー券150万円分を購入したと記載されている。パー券は1枚2万円、75人分に相当するが、幹部は「手帳を確認しても、うちから(パーティーに)行ったのは私も含め2人だけ。東京までの交通費が2人分しか出ていないから間違いない」とし、大量のパー券購入については「記憶にない」と述べた。
国民新党側の説明もあやふやだ。規正法では1回のパーティーで20万円を超えるパー券の購入者や団体名の収支報告書への記載を義務付けている。だが、同党が19年分のパー券代の入金先と説明した「国民新党島根県第2選挙区支部」(代表・、亀井久興元同党幹事長)の収支報告書には、郵政研からの入金を裏付ける記載はなく、1千人から2千万円を集めたとの記載があるのみだった。
「実質的には支部といえるような地方組織を使ったこうしたやり方がまかり通れば、脱法献金が横行し、寄付やパーティー券購入の量的制限の意味自体がなくなる」。政治資金規正法に詳しい神戸学院大法科大学院の上脇博之教授(憲法学)は危機感を示す。 郵政研は取材に、いったんは「地方本部は支部」と回答しながら、後に前言を覆すなど対応も不明朗だ。郵政研の規約に「下部組織として、地方本部を置く」と記されていた事実に加え、産経新聞が情報公開請求で入手した19年のパーティー開催当時に適用されていた大樹全国会議の規約にも、「本会は各地方本部長及び会員で構成する」とあり、地方本部長が大樹全国会議の理事を兼務するなど、大樹全国会議と地方本部は一体的に運営されていた。
さらに、関東と沖縄の両地方本部は収支報告書で、郵政研からの活動資金の提供について、本部・支部間での資金のやり取りを示す「本部又は支部から供与された交付金」の名目で処理。四国地方本部は15年6月の設立届に、自らを「その他の政治団体の支部」と記載していた。
20年1月に大樹全国会議が郵政研に名称変更した際、大樹の地方本部も一斉に郵政研の地方本部に変更されていることからも、「互いが主従関係にあった可能性は極めて濃厚だ」(上脇教授)。
政界関係者は「所属議員が全国に大勢いる自民党支持の時代と違い、小政党に資金を集中させなければならなくなったことが、上限金額を超えてしまった原因では」と推測している。
(2)政治資金規正法は、一つの政治資金パーティーにつき、同一の者から150万円を超えてパーティ券を購入してもらうことを禁止しているし、同一の者が150万円を超えてパーティー券を購入することを禁止している。
(政治資金パーティーの対価の支払に関する制限)
第二十二条の八 政治資金パーティーを開催する者は、一の政治資金パーティーにつき、同一の者から、百五十万円を超えて、当該政治資金パーティーの対価の支払を受けてはならない。
2 ・・・。
3 何人も、政治資金パーティーの対価の支払をする場合において、一の政治資金パーティーにつき、百五十万円を超えて、当該政治資金パーティーの対価の支払をしてはならない。
4 ・・・。
5 ・・・。
罰則は、以下のように定められている。
第二十六条の三 次の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 ・・・
二 ・・・
三 第二十二条の八第一項の規定に違反して対価の支払を受けた者(団体にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)
四 ・・・
五 第二十二条の八第三項の規定に違反して対価の支払をした者(団体にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)
これは、政治資金パーティにおける量的制限(個別制限)の規定である。
(3)上記条項における「同一の者」については、個人であれば、議論の余地はなく、分かりやすい。
だが、それが政治団体であれば、少し説明を要する。
政治団体の本部と支部は、この点で、別々の政治団体ではなく、「同一の者」になる、ということである(政治資金収支報告書の提出については、別々の政治団体として提出義務があるが)。
それゆえ、政治団体が本部以外に支部を持っている場合でも、当該政治団体が「一の政治資金パーティーにつき」政治資金パーティ券を購入できるのは、上限が150万円であり、これは、本部と支部が別々に購入するときにも合計額で150万円以内でなければならない。
そう解さなければ、支部を多数設立して各支部がぞれぞれ150万円分の政治資金パーティ券を購入して、政治資金規正法の量的制限を簡単に超えることが出来てしまうからである。
(4)では、本部と支部とはどのようにして区別されるのだろうか。
その名称の如何に関わらず、実態的に、上位組織である本部と主従の関係にある等した場合には、その政治団体は「支部」である。
言い換えれば、「支部」と名乗っていても(現実には無いかもしれないが)、本部と主従の関係にない等した場合には、その政治団体は、本部とは別個の独立した政治団体とみなすことができるだろう。
(5)この点で、産経新聞で報じられた件で言えば、「郵政政策研究会」(旧「大樹全国会議」)の「地方本部」は、「本部」と名乗ってはいても、以下の事実から判断すると実態的には「支部」に相当するだろう。
旧「大樹全国会議」が郵政政策研究会(郵政研)に名称変更した際、大樹の地方本部も一斉に郵政研の地方本部に変更されていること。
旧「大樹全国会議」の規約には「本会は、大樹各地方本部長及びその他の会員で構成する」(3条)とあり、大樹各地方本部長が大樹全国会議の理事を兼務していたこと(第4条)、また、郵政研の規約には「本会の下部組織として、郵政政策研究会地方本部を置き・・・」(第2条)と記されていたこと。
地方本部の財政は、「郵政政策研究会」(旧「大樹全国会議」)に依存してること、など(上記報道参照)。
(6)「郵政政策研究会」(旧「大樹全国会議」)は、2008年に、国民新党の政治資金パーティキー券を計1950万円購入し、2007年には、同様に計1700万円を購入していたという。
合計すると、3650万円になる。
だが、政治資金規正法(上記参照)で認められるのは、1回につき150万円までだから、2年間では計300万円分だけである。
つまり、3350万円分は違法な購入になるのだ。
(7)地方本部(支部)の中には、政治資金パーティ券を150万円分購入していないと「自白」したところもあったようだ。
この点では、果たして、本当に、政治資金パーティ券が購入されたのかも問題になり、政治資金収支報告の虚偽報告の疑惑も生じることになる。
(8)ところで、他の政治団体では、同じような手法で政治資金パーティー券の購入がなされていないのだろうか?