はじめに

私が原告の情報公開訴訟において、大阪地裁が情報公開法を正しく解釈すれば、おそらく内閣官房報償費の支出の行政文書の全部非開示処分を違法であるとして、全部非開示処分を取消し、少なくとも部分開示を判示するのではないか、と期待できる(その詳しい説明は別の機会に行う)。

そこで、この投稿では、内閣官房報償費(機密費)の原則開示などを求めた新聞社説・コラムを紹介する。

ただし、インターネットで無料で検索して入手できたものだけを紹介する。
それゆえ、特に昔のものは入手できないので、実際公表された全ての社説等の一部しか紹介できない。
だが、一応現時点で入手できたもの(以前入手したものを含む)だけでも紹介し(例外的に社説の紹介記事も紹介する)、記録に残しておこう。

このブログの投稿分量には制限があるので、2回に分けて紹介する。

なお、漏れがあれば、後で補充したい。


マスコミ社説等(その1)

(1)私が訴訟提起(2007年5月)する前のもの
2002年4月16日(火)「しんぶん赤旗」
「政府に説明責任」 官房機密費問題 各紙が社説

 日本共産党が公表した官房機密費の使途をしめす内部文書について新聞各紙は全国紙、地方紙とも十四、十五日付「社説」でいっせいにとりあげました。
 「朝日」(十四日付)は「餞別、パーティー券、背広代からお花代まで、支出先の名が並ぶ。なるほど、だから恥ずかしくて公表できないのか」と書きました。
 「毎日」(同)は「使途が公になった以上、全面公開か透明度を格段に高める努力をすべきだ」と要求しています。
 愛媛新聞(同)は「何をおいてもまず、事実かどうか、政府の責任において確認を急がなければならない」と求めました。
 徳島新聞(十五日付)は「政府は本物かどうかも含めて調査し、納税者である国民にきちんと説明する責任がある」と指摘。新潟日報(十四日付)は「このような資料が出てきたからには、小泉純一郎首相や政府は知らん顔をするわけにはいくまい」と主張。南日本新聞(同)は「現在、機密費が国会対策に使われていないかを調査し公表する責務がある」としています。
 各紙社説は、機密費が野党対策に使われている点を重大視しています。
 「91年11月には公明党幹部4人については合計260万円が高級紳士服店に支出されている。衆院の特別委員会で自民党が公明党の協力を得て国連平和維持活動(PKO)協力法案を採決した時期と重なる」(「朝日」)
 「激突の裏側でこんな野党対策が行われていたとすれば国民の政治への信頼を裏切る行為以外の何物でもない」(「南日本」)
 「法の成立や政権運営の裏側で、野党を懐柔しようと国税の一部を内密に流用する。(略)民主主義の在り方をカネの力でねじ曲げることにほかならない」(高知新聞十四日付)

東奥日報社説2004年2月12日(木)
官房機密費、明朗化を図れ

 内閣の番頭、官房長官が使う内閣官房機密費(報償費)は「国の事業を円滑、効果的に遂行するため」の経費とされ、総額は年間、約十四億円、一日平均約四百万円に達する。国と地方合わせた借金が約七百兆円に上る情報公開時代、これほどの税金を秘密のベールの下、勝手に使える今の在り方のままでいいのだろうか。
 この秘密資金、野党への国会対策費などに使われる別名「領収書のいらない政治資金」とも言われ、完全な情報非公開の下、官房長官が管理する経費だ。
 確かに、内閣官房には、内閣下支えのための情報収集や公にしにくい内政、外交上の諸工作など、時代の一般的要請と相反する性格の諸業務があり、そのための組織として内閣調査室(内調)もある。情報公開請求しても、明らかになるのは官房長官が支出を請求した日付と金額程度で、使途を含むそれ以上の情報は非公開が原則である。
 しかし、これでは時の官房長官の都合一つで、機密費を私的流用や選挙費用、個人的政治工作など何にでも使えることになり、あまりに不透明すぎないか。
 女性問題に関する事実無根の記事と写真で名誉を傷つけられたとして、中川秀直前官房長官(現自民党国会対策委員長)が新潮社などを訴えた名誉棄損訴訟で、この機密費が焦点に浮上している。
 新潮社側は、中川氏は右翼団体幹部に女性問題で脅され、機密費から多額の金を支払ったのではないかと主張したのに対し、内閣官房は〇〇年七月と八月に計二億二千万円の機密費が同氏に渡されたことを示す文書を広島地裁の紹介に応じ提出した。文書は、同氏が右翼に資金を渡した、と新潮社側が主張する時期と一致するという。
 この問題は中川氏が官房長官辞任に追い込まれるきっかけになったが、同氏の事務所は私的流用を全面的に否定している。
 疑惑は参院予算委員会でも取り上げられ、答弁に立った福田官房長官は「民事訴訟の一方の当事者が言っていること」として調査を拒み、同じ派閥の中川氏をかばった。改革を掲げた小泉内閣の番頭として、調査自体まで拒否しては妥当な対応とは言いがたい。
 これでは、真相は永遠に闇に葬り去られ、機密費の秘密のベールが政治家個人擁護のために悪用される結果にならないか。
 官房機密費をめぐっては、かねて諸改革提案が出されてきたのに、一向に改善が進まなかった経緯がある。使う政治家のモラルに任せた現状はやはりよくないのではないか。これまでどのような制度も、政治家のモラル任せで、清潔、公明正大に機能した成功例はほとんどないからだ。
 共産党が二年前、公表した機密費の使途の一部という資料には、与野党議員のパーティー券購入や自民党議員一人当たり三十万円のスーツ代などが列挙され、外務省室長はホテル代水増し請求で五億円以上をだまし取り、競走馬やマンションを買っていた。
 こうした現実を目の前にすると、現状のままでよしとするわけには到底いかない。小泉改革内閣として、内容の全面的非公開を改め、公開できる部分と限定した非公開部分をきちんと整理し、全く見えない闇のベールをせめてシースルー程度の監視可能な制度に改革すべきだ。
 また、中川自民党国対委員長は沈黙を守るのではなく、二カ月間に二億円を超える税金を受け取り、使った事実について、納税者である国民に納得できる説明をする責任があるのではないか。
 すべて非公開で済む現状にあぐらをかき、説明責任を果たさないまま逃げ切ろうとするのは、政治家としてひきょうで、政治不信は一段と深まるだけだ。


(2)2009年9月政権交代後のもので、野中広務元官房長官の証言(2010年4月19日・20日)前のもの
朝日新聞社説2009年11月7日(土)
官房機密費―この豹変は見過ごせぬ 

 民主党は、自民党の長期政権時代のうみを取り除くのが使命と言ってきたのではなかったか。それなのに、鳩山由紀夫首相や平野博文官房長官のこの対応は理解しかねる。
 官房長官が使途を公開せずに使える内閣官房機密費について、歴代政権と同様、使途や金額を明らかにしない方針を打ち出したことだ。首相は「国民の皆さんに全部明らかにできるたぐいのものではない」と述べた。
 しかし、機密費の不明朗さを批判し、情報公開を求めてきたのは民主党自身だ。
 年間約14億円、1日あたりにすれば400万円にのぼる機密費の使途は、内政、外交全般にわたる政府の情報収集の対価などとされている。
 だが、その一方で、海外に出張する政治家への餞別(せんべつ)、与野党の議員に対する背広代やパーティー券購入などの国会対策に充てられていたことも明るみにでている。外務省の官僚が5億円以上の機密費をだまし取り、競走馬やマンションを買っていたこともあった。
 こうしたデタラメな使い方がまかり通ってきたのは、機密費が領収書のいらない金で、使途を明らかにする必要がなかったからだ。
 もちろん、情報提供者の氏名など、明かせない情報も少なくなかろう。ただ、外交文書などと同様、一定期間を過ぎたものについては、可能な範囲で情報を公開する仕組みを考えるべきだ。いずれ公開されるという緊張感があって初めて、機密費の不適切な使用に歯止めがかかる。
 民主党もそう考えたからこそ、野党時代の01年、機密性の高いものは25年、それ以外は10年後に情報公開を義務づける官房機密費流用防止法案を国会に出したはずだ。
 当時も、民主党の代表は鳩山氏だった。小泉純一郎首相との党首討論で「機密費に関しては徹底的に情報の公開を求めたい」と迫ったのに、今回は記者団に「私は一切、この問題には触らない。すべてを官房長官にゆだねている」と逃げ腰だ。
 その平野氏は就任直後の記者会見で、前任者から引き継ぎを受けていたにもかかわらず、機密費の存在を否定した。1カ月以上たってようやく認めたが、「使途は私が責任をもって判断する。私を信頼していただきたい」と、透明性の向上には触れなかった。
 納税者としては、自民党政権下の機密費の使途を徹底検証し、問題があれば明らかにしてもらいたいところだ。なのに、機密費を使える立場になった途端の豹変(ひょうへん)である。このままでは、自民党政権時代と何も変わらない。
 首相は方針転換の理由をきちんと説明すべきだ。さらに、機密費の使途についての基本原則や情報公開に向けての考え方を明らかにしてもらいたい。。

徳島新聞社社説2009年11月12日付
内閣官房機密費 公表に踏み切るべきだ

 民主党が約束した「国民目線の政治」や「行政の透明性」の看板に疑念を抱いてしまう。
 歴代内閣が使途を明らかにせず使ってきた内閣官房報償費(機密費)について、鳩山由紀夫首相は、従来通り使途を非公開とする意向を表明した。
 民主党は野党時代に機密費の使用目的の不透明さを厳しく追及し、2001年には一定期間が経過すれば使途の公表を義務付ける機密費公表法案を国会に出していた。これは廃案になったものの、05年の党政策集でも透明性を高める法整備を明記した。
 政権交代によって、機密費のベールがはがされることに多くの国民が期待していたはずだ。
 十分な説明もなく、透明化の方針を転換したのは何とも残念である。党の政策との整合性も問われよう。
 平野博文官房長官は「本当に出すのがいいのか、自分なりに検証したい」とし、一定期間経過後の公表の可能性を検討する考えを示した。ぜひ公表に踏み切ってもらいたい。
 機密費は、官房長官の判断で首相の交際費や政府の情報収集活動費などに使われてきたとされる。
 09年度の機密費額は約14億6千万円に上る。国益に直結する情報収集などに使われる性格上、他の予算とは異なり、すべての使途を示すのは難しいとしても、オープンにできるものは少なくないだろう。
 機密費をめぐっては、01年に外務省の職員による不正流用事件や外交機密費の官邸への上納疑惑が発覚した。02年にも機密費の一部が国会対策に当てられていた問題が指摘されている。
 鳩山政権は機密費の在り方を問い直し、透明化に向けた新ルール作りを進めてもらいたい。
 開かれた政治を実現するためには、歴代内閣の使途公表にも踏み切る必要がある。

琉球新報2009年11月22日
社説 官房機密費 非公表なら自民と同じだ

 「官僚主導政治からの脱却」などと勇ましいことを言っていた民主党だが、いざ政権を担当してみると自民党と大差ない。そんな事例が目立ってきた。
 民主党は「税金の使い道をすべて明らかにして、国民のチェックを受ける」と衆院選のマニフェスト(政権公約)で約束していた。
 ところが内閣官房報償費(機密費)について平野博文官房長官は、9月の鳩山政権発足以降2回にわたり計1億2千万円を受け取ったと説明したものの、使途は明かさなかった。
 機密費は官房長官が管理し「国の事業を円滑、効果的に遂行するための経費」とされる。「領収書の要らない政治資金」として国会対策費やパーティー費にも支出されてきたとみられる。かねてその不透明さが問題視されてきた。
 民主党は2001年、使用者や金額を明記した文書を作成し一定期間を経て公表することを盛り込んだ「機密費使用文書作成・公表法案」を衆院に提出している。結局、廃案になったものの、原則として通常の記録は10年後、特に機密性の高いものは25年たって公表するとうたっていた。
 鳩山由紀夫首相は、こうした経緯を踏まえ「近い将来しっかりと議論する必要がある」と述べたが、具体的な取り組みはまだ見えない。
 いかなる理由があれ、使い道を明示できない裏金同然の公金など、本来あっていいはずがない。不正の温床になり得るからだ。表に出せない後ろ暗い経費なら、廃止した方がよっぽどすっきりする。
 国庫から官房長官に支出される機密費は年間およそ12億円。麻生前内閣は衆院選直後の9月1日に国庫から2億5千万円を引き出し、支出していたという。一体何に使ったのだろうか。国民は完全に蚊帳の外に置かれている。
 米軍再編合意見直しにも言えるが、マニフェストに明記したことをいとも簡単にほごにするようでは、政治家の発言を信用する人はいなくなる。
 まさか政権公約が単に人気取りのための方便だったとは言うまい。その場限りに甘言をろうしたわけでもなかろう。
 本当に税金の使い道をすべて明らかにするつもりなら、官房機密費こそ真っ先に手を付けるべきだ。鳩山首相は10年後、25年後などと悠長なことを言わず、機密費の実態を速やかに公表し国民に適否の判断を委ねてほしい。

山陽新聞[社説](2009/11/22 9:12)
官房機密費 開示へ後ろ向きになるな

 使途の不透明さが問題視されている内閣官房報償費(機密費)の開示をめぐる鳩山政権の対応が煮え切らない。民主党は2001年に透明度を高めるため一定期間後の使途公表を義務付ける法案を国会に提出したことがある。開示に後ろ向きであってはならない。
 機密費は、行政機関が事務を円滑に行うため、情報収集などに使う経費とされる。官房長官の政治的判断で支出し、具体的な使途は公開していない。
 国庫から官房長官への支出は年間約12億円に上る。過去には国会運営円滑化のための野党対策費や海外視察する国会議員への餞別(せんべつ)などがあったとされる。
 平野博文官房長官は20日の記者会見で、機密費の04年4月以降の月別支出額を公表した。自民、公明両党連立の小泉内閣から現在の鳩山内閣まで含まれる。全体的にはほぼ毎月1億円ずつ支出され、鳩山内閣発足後は9月と10月にそれぞれ6千万円が引き出された。
 内閣自ら支出額を明らかにするのは初めてだが、肝心の使途の説明はなかった。公表された支出額には、麻生前内閣が先の衆院選で惨敗した直後の9月1日に2億5千万円も引き出す不自然な動きがあった。平野氏は「前政権下のことであり、根掘り葉掘り調べる立場にない」と語り、実態把握に消極的だ。
 現在の民主党政権下でも、平野氏は「私が適切に責任を持って判断し対応している」と透明化に否定的な発言を繰り返す。鳩山由紀夫首相も、機密費の公開を将来的に検討する意向を示すにとどまっている。
 これでは、政権交代によって情報開示が進み、透明な政治が実現するとの期待を裏切ることになろう。鳩山政権は、野党時代の法案を再提出する意気込みが必要だ。

東京新聞【社説】2009年11月25日
官房機密費 本当に必要な金なのか

 最近五年半の官房機密費(内閣官房報償費)の支出状況が公表された。そもそも機密費は本当に必要な金なのか。必要分は認めるとしても、使途についても、一定期間後に公表すべきではないか。
 官房機密費は毎年約十四億六千万円が計上されている。公表されたのは、内閣情報調査室所管の約二億三千万円を除く官房長官所管分。記録が残る二〇〇四年四月以降の支出月額は公表されたが、支出先や使途は非開示とされた。
 機密費は、官房長官の判断で領収書なしで自由に使えるとされる。歴代政権は「国の事務、事業を円滑、効果的に遂行するための経費」と説明してきたが、海外出張する政治家への餞別(せんべつ)、与野党議員に対する背広代やパーティー券購入など国会対策に充てられていたことが明るみに出ている。
 そもそも、支出先や使途を秘匿してまで支出する必要のある金とは、いったいどんなものなのか。餞別や国会対策が、それに当たるとは到底思えない。
 いっそのこと官房機密費は全廃して、必要分は堂々と予算要求したらどうか。
 機密費が、国民の生命、財産の保護に深くかかわることに使われるのなら異論はない。支出先や使途を秘匿しなければ、情報収集活動に支障が出ることがあるかもしれないことは理解する。
 だとしても、何年か後には公表し、その妥当性を歴史の検証に委ねる仕組み作りが必要だ。いずれは公開されるという緊張感がなければ、非開示をいいことに、裏金化する可能性が十分あるからだ。
 麻生自民党政権が衆院選惨敗直後に、通常の二・五倍に当たる二億五千万円を引き出したのも、支出先や使途は追及されないという緊張感の欠如からではないのか。
 民主党は野党時代の〇一年、機密費に支払記録書の作成を義務づけ、機密性の高いものは二十五年、それ以外は十年後に情報公開を義務づける官房機密費流用防止法案を国会に提出した。
 政権奪取を果たした今こそ、その志を遂げるときだ。支出月額の公開は半歩前進と受け止めるが、野党時代、機密費の徹底公開を迫っていた鳩山由紀夫首相は率先垂範して、一定期間後の支出先と使途の公開を進めるべきだ。
 いっそのこと、官房機密費も事業仕分けの対象にしてはどうであろうか。「必殺仕分け人」から必要性のお墨付きを得られれば、国民も納得がいくだろう。

神戸新聞社説(2009/11/26 09:21)
官房機密費/透明化に本気で取り組め 

 年間10億円を超える官房機密費の扱いが焦点になりつつある。使途を明かせば国益にかかわるケースがあるかもしれないが、いつまでもすべて闇の中というのは、やはりおかしい。政治への信頼を高めるためにも、透明化に踏みだすときだ。
 その支出額については、先日、平野博文官房長官が公表した。2004年度以降、各年度の総額は12億円前後だったと説明している。鳩山内閣の発足後も、9月と10月に各6千万円が国庫から支出された。
 機密費の一端を政府自ら明かすのは初めてで、一歩前進に見える。だが、情報公開請求があれば出る範囲の開示であり、肝心の支出先や具体的な使途は伏せられた。
 さらに、麻生前内閣が衆院選で敗れた直後に2億5千万円を引き出したことが分かったが、この不自然な支出も問われないままだ。これでは、国民は納得できない。
 官房機密費は官房長官が管理して、政権の運営上必要と思われる場合に支出するとされてきたが、実態はベールに包まれている。海外視察に行く議員への餞別(せんべつ)、国会対策などに使われたとの指摘があり、実際に餞別を受け取ったという議員もいる。
 民主党は野党のころ、その透明性確保を政府に迫り、01年には「機密費改革法案」を国会に提出している。鳩山由紀夫首相が当時の党代表だった。
 衆院選のマニフェストにも「税金の使途をすべて明らかにする」と掲げながら、政権の座に就いた途端、開示に消極的になるようでは国民の期待に背く。政権交代の意義にもかかわりかねない。
 政権を担ういま、国民が機密費に抱く疑念を軽視してはならない。透明性を高める具体的な改善策を取り入れることだ。
 民主党の改革法案では、使用者や金額を明示した文書を作成、国会に設置する非公開の小委員会でチェックする。文書は機密性の高いものが25年、それ以外は10年経過した時点での公開を義務づけた。
 支出責任を明確にするとともに、一定の期間が過ぎれば開示するという考え方は当然だろう。いずれオープンになるとなれば、いいかげんな使い方もできなくなる。制度化されるまで、当面、使途の大枠だけでも明らかにできないか。
 鳩山首相は公開の是非を検討すべきとの考えを示した。ならば、その線に沿って作業を急ぐよう、官房長官に指示すべきだろう。税金の使途に国民の目がまったく届かない「聖域」を放置してはいけない。

2009年11月26日(木)「しんぶん赤旗」主張
官房機密費 調査して公表が当たり前だ

 国民の税金を使いながら、領収書もいらず使途も公表しなくていい、「官房機密費」をめぐる疑惑が改めて明らかになりました。
 8月の総選挙で自民・公明の与党が惨敗し、政権交代が確実になった9月1日になって、当時の河村建夫官房長官が2億5000万円も引き出していたというのです。首相官邸の金庫を空にするほどの巨額の資金をいったい何に使ったのか。しかも、あとを引き継いだ平野博文官房長官が、その詳細を調査しようとしていないのも腑(ふ)に落ちません。国民の血税を使う以上、きちんと調査し説明するのは当たり前です。

平野長官の不可解な態度
 「官房機密費」は、鳩山由紀夫内閣になってからも9月と10月に平野官房長官によって、それぞれ6000万円ずつ引き出されています。平野氏はその使い道についても、「私を信じて」というだけで一切説明しようとしていません。平野氏が、前政権の異常な官房機密費を調査しようとしないのは、みずからかかわった支出にもふれてほしくないからといわれても、弁解の余地はないでしょう。
 官房機密費は、「報償費」とも呼ばれ、だれに何の目的でいくら使ったのか、一切明らかにしない支出として、これまでもたびたびその不正な支出が問題になってきました。国会のヤマ場ごとに巨額の資金が引き出され、「国会対策」に使われたとか、国会議員への「せんべつ」やパーティー券代に使われたなど、多くの証言があります。
 同じような費目に、外務省の「外交機密費」や、警察などの「捜査報償費」などがありますが、とりわけ金額が数十億円に上る外交機密費が、首相の外遊などの際の官房機密費に“上納”されてきた疑惑もあります。財政法の原則に反する違法な流用です。
 最近では、2001年と02年に、日本共産党などの追及で機密費が大きな政治問題になりました。日本共産党の志位和夫委員長が01年の国会で「報償費について」という内閣官房作成の文書を、02年の国会でかつての官房長官の「金銭出納帳」をそれぞれ示して追及しました。機密費の党略的支出の実態を明らかにし、不明朗な支出の一掃を求めたのです。
 その後、官房機密費は02年度以降1割削減され、外交機密費も大幅に減額されました。不透明な支出の実態を、裏付ける結果となっているのは明らかです。
 民主党は01年に、機密費の厳正な使用のため、支払先などについての記録書を作成し、公表を義務付ける法案要綱を提出したことがあります。平野長官が前政権の異常な支出についても、現政権になってからの支出についても詳細を明らかにしないのは、こうした態度に反するものです。

公開拒否は国民裏切る
 機密費であれなんであれ、政府が使う金は国民の血税です。国民に隠して勝手に使ってよいなどという理屈はどこからも出てきません。流用など不明朗な支出を許さないためにも、使途を公表し国民の監視の下に置くのは当然です。
 平野長官は、前政権の異常な機密費支出を解明するのはもちろん、現政権になってからの支出については進んで、その詳細を明らかにすべきです。そうでなければ、国民を裏切るとの批判を免れることはできません。

神奈川新聞社説2009年12月1日
機密費 変革求める声に応えよ

 何のために用いたのか使途を公表せずに済む内閣官房報償費(機密費)の扱いをめぐり、鳩山由紀夫首相が使い道を明らかにするにことについて、将来的に検討する考えを示した。
 平野博文官房長官は来年4月から1年間かけて機密費の支出内容を調べ、一定の期間を経た後に公表できるかどうか可能性を探るという。
 民主党が野党だったころ、機密費の透明化を強く主張していた経緯を思えば、それでもまだ歯切れの悪さが否めない。
 国民が政権交代に込めた期待の一つに、情報公開があった。変革を求める多くの国民の願いに応えられなければ、政権に対する失望もそれだけ深まろう。機密費への対応は、政権の覚悟を示す試金石である。
 国政を円滑に運用するための経費として、官房長官の政治的な判断に支出が委ねられている機密費。ただ、これまで具体的な中身については一切明示されていない。
 先ごろ示された2004年度以降の支出額によると、機密費の年度ごとの総額は約12億円。麻生太郎前内閣が今夏の総選挙直後に2憶5千万円を使っていたことも分かった。
 こうした機密費が国民の平穏な暮らしを守るために必要不可欠な経費だったのなら、文句はない。相手のある交渉事において、すぐにやりとりを公表できない事情が生じるのも分からなくはない。
 ただ、相手や目的がいつまでも明かされないままでは、国民はそのいずれも確かめようがない。政治家のパーティ券の購入や旅費の一部といった、国政とは無関係な事柄に用いられはしないのか。従来のやり方は、不正使用の温床になりかねない。
 鳩山首相は機密費の公開について「近い将来、しっかり議論する必要がある」と述べ、平野官房長官も「自ら検証したい」と話した。ただ首相は当初、「国民にすべてをオープンにすべき筋合いのものとは、必ずしも思っていない」と語ってもいた。期限を設定するなどした、公開が前提の姿勢でなければ、政権交代がもたらすはずの政治の変化を求めた国民の思いに十分応えられまい。
 民主党がかつて、機密費の使用適正化に向けて、期限を設け公表を義務付ける法案を国会に提出したいきさつを踏まえればなおさらである。

2010年2月15日(月)「しんぶん赤旗」主張
機密費問題 全容解明はあいまいにできぬ

 鳩山由紀夫内閣がこのほど、外務省の報償費(機密費)の一部が、かつては首相官邸の「外交用務」に使われていたことを認める答弁書を、国会に提出しました。かねて指摘されてきたように、外交機密費が上納されていたことを、はじめて「確認」したものです。
 外務省の予算が官邸に上納されていたこと自体、財政法に違反する大問題です。ところが鳩山内閣は過去の上納は認めたものの、現在は行われていないとするだけで、外交機密費や官房機密費が実際にどのように使われているのか明らかにしません。機密費の全容解明はあいまいにできません。

領収書の要らない支出
 機密費は、だれに何のためにいくら使ったのか内容を明らかにする必要がない支出とされています。外務省の外交機密費が金額としては最も多く、かつては70億円以上あった外交機密費の約3分の1が官邸に上納されていたといわれ、官邸の裏金となってきました。外交機密費は現在でも毎年50億円近くが支出されています。
 一方、首相官邸の官房機密費は14億円あまりが計上され、一部が内閣の情報調査室に割り振られる以外は12億円以上が内閣官房長官のサインひとつで支出できる、文字通り秘密の予算となっています。用途が不明で領収書も公開されないため、これまでたびたびその使途が問題になってきました。
 かつて官房長官経験者などから、機密費が「外遊する国会議員へのせんべつ」「国会対策」「マスコミ対策」などに使われたとの証言もありました。日本共産党が再三国会でも追及し、機密費が野党議員の「背広代」や消費税導入の際の「国会対策」などに使われた疑惑を明らかにしました。その後、外交機密費も官房機密費も減額されたものの支出は続き、その全容はいぜん明らかにされていません。
 実際、昨年の総選挙直後には、当時の官房長官(自民党)によって、2億5000万円もの官房機密費が引き出されていたことが明らかになっています。使途は不明です。鳩山内閣は支出の事実は認めたものの使途については調べようともせず、それどころか鳩山内閣になってからもたびたび官房機密費を支出していることが明らかになっています。その使途さえ明らかにしないのは民主党がかつて、機密費の記録を作成し、公表を義務付ける法案を提出していたことをも裏切るものです。
 今回、鳩山内閣が外交機密費の上納の事実を認めたのは、不明朗な予算の支出は許さないとの国民の批判を受けたものです。しかしそれならかつての主張どおり、機密費の全容を明らかにすべきです。過去の上納の事実を確認したといいながら、使途の実態を国民に明らかにせず、財政法に違反するかどうかも追及しないというのでは、国民の批判にまともに応えたことにはなりません。

使途不明の支出にメスを
 外交機密費であれ、官房機密費であれ、財源は国民の税金です。だれが何の目的でいくら使ったのか、国民に隠れて巨額の支出を続けることは許されません。
 鳩山内閣は自らの公約を守って、機密費の全容を国民に明らかにすべきです。財政は国の政治の根幹です。使途不明の機密費をはじめ、歳出のあらゆる分野のムダに、メスを入れるのは当然です。


(つづく)