(1)朝日新聞が昨日の朝刊(2010年8月29日)で、仙谷由人官房長官の3つの政治団体の事務所費・人件費の問題を報道をした。
大阪本社版では、第1面のトップ記事で、第二社会面でも報じているので、朝日新聞はスクープと位置づけているのだろう。

問題の3つの政治団体とは、仙谷氏が代表を務める資金管理団体「制度改革フォーラム」と「21世紀改革研究会」、同氏の支援者が代表の「仙谷由人全国後援会」であり、問題視されている金額は、3年弱の期間で320万円(一月10万円)である。

これまでの事務所費問題に比べれば、金額が少ない。
それゆえ、この点では私はこの問題をそれほど重視しているわけではない。

(2)とはいえ、当該資金管理団体「制度改革フォーラム」は、税金である政党交付金を受け取っている民主党本部(小沢一郎)から政治資金を受け取っている(マスコミは注目していない)。
2006年7月7日  202万円
2007年6月29日  76万円
2007年7月31日 114万円
2008年8月8日  180万円
2008年9月12日  48万円

(下記の資金管理団体「制度改革フォーラム」の政治資金収支報告書を参照。
なお、民主党の政治資金収支報告書および政党交付金使途報告書で確認してはいない。)

また、問題視されているカネは、仙谷官房長官の長男側に支出がなされている。

それゆえ、仙谷官房長官は、やはり説明責任を果たす必要があるだろう。
きちんとその責任を十分果たせば、官房長官辞任に至るほど大きな問題にはならないはずである・・・。

ただし、荒井聰大臣の事務所費問題も、金額が少ないので、その責任を果たせば、それで済む問題と考えていたが、不適切な支出が発覚し、問題が長引いてしまった。
それゆえ、仙谷官房長官は説明を軽視すべきではないだろう。

私は昨日、読売新聞の取材に答えたし、最も重要な問題点は仙谷氏の政治団体の場合に限定されないと思うので、以下、マスコミ報道を紹介し、簡単に私見を書いておこう。

(3)まず、朝日新聞のスクープ報道(ただし第1面のトップ記事のみ)を紹介しておこう。
朝日新聞2010年8月29日4時32分
仙谷氏の政治資金、長男側へ支出 320万円ビル家賃に
仙谷政治団体と長男事務所の関係 仙谷由人官房長官の三つの政治団体が事務所費や人件費名目で、仙谷氏の長男(36)側に2年8カ月で計320万円を支出していたことが、政治資金収支報告書などで分かった。320万円は、長男が代表を務める司法書士事務所が実質的に使っている東京・西新橋のビルの家賃などにあてられており、長男側の経費を政治資金で補填(ほてん)していた疑いがある。
 仙谷事務所は長男側への支出について、政治団体の業務の一部を委託した対価だとし、問題はないと説明する。一方、司法書士事務所の関係者は取材に対し、「政治団体としてはほとんど使われていなかった」と証言しており、実態とかけはなれた支出の可能性がある。
 3政治団体は、仙谷氏が代表を務める資金管理団体「制度改革フォーラム」と「21世紀改革研究会」、同氏の支援者が代表の「仙谷由人全国後援会」。いずれも政治団体や個人から寄付を受け、「制度改革フォーラム」は民主党からも寄付を受けている。
 仙谷氏の長男は2007年3月、東京・西新橋の9階建てビル2階にある一室(約100平方メートル)に司法書士事務所を開設した。3政治団体はこれを機に、東京・銀座の仙谷氏の弁護士事務所にあった「主たる事務所」をこの一室に移転する届けを総務省に出した。仙谷氏の弁護士事務所も同時期に、この一室に移った。
 長男や関係者によると、長男は07年3月、仙谷氏から25%の出資を受けて不動産会社「コモンズ」を設立、自ら代表取締役に就いた。コモンズは、西新橋のビルのオーナーから、この一室を月額約60万円で賃借し、司法書士事務所や仙谷氏の弁護士事務所、3団体に転貸。それぞれから家賃や光熱水費の分担金を受け取っているという。
 3団体はコモンズに対し、07年5月〜09年12月に月額10万円、計320万円を支払った。収支報告書などによると、07年分は「制度改革フォーラム」の「事務所費」から支出、08年と09年分は3団体の「人件費」からそれぞれ支出している。仙谷事務所は、電話の応対や郵便物の受け取りといった政治団体の業務の一部を委託した対価だと説明する。
 ところが、司法書士事務所関係者らの話によると、この一室には政治団体が使用する専用のスペースや専用電話もなく、秘書ら常駐者もいないという。08年分の政治資金収支報告書とともに総務省に提出された「21世紀改革研究会」の領収書には、司法書士事務所ではなく、議員会館にある仙谷事務所の電話番号が記されていた。
 朝日新聞の取材に対し、司法書士事務所の関係者は「政治団体に関連する郵便物が時々届き、秘書の人が受け取りにくる程度だった」などと話した。
 長男は取材に対し、「以前は(政治団体の)会合などにもよく使われた。もらっている分の使用実態はある」などと話している。(砂押博雄、岩波精)
     ◇
 仙谷事務所の話 仙谷本人にも経緯を聞いたが、政治団体に関連する電話の応対や郵便物の取り扱いを代行してもらうことに対する対価であり、問題はないと考えている。支出を「事務所費」から「人件費」に切り替えたのも、業務委託という性質を考慮したに過ぎない。

(4)次に、読売新聞の報道を紹介しよう。
(2010年8月29日21時49分 読売新聞)
仙谷氏3団体、長男側に事務所・人件費支出

 仙谷官房長官の資金管理団体と関連する政治団体の計3団体が、仙谷氏の長男側に、2007年5月から09年12月までの2年8か月間、事務所費や人件費名目で計320万円を支払っていたと、朝日新聞が29日報じた。
 仙谷氏は同日夕、報道陣の取材に応じ、「郵便物の処理や電話応対などの委託業務の対価として払っており、事務所の実態もあった」と語った。
 仙谷氏などによると、3団体は、仙谷氏の資金管理団体「制度改革フォーラム」と、仙谷氏が代表を務める「21世紀改革研究会」、支持者が代表の「仙谷由人全国後援会」。司法書士の長男は07年3月、仙谷氏から25%の出資を受けて不動産会社を設立。同社が東京・西新橋の9階建てビルの1室を借りて、長男が司法書士事務所を開設した。その際、3団体は、「主たる事務所」を、東京・銀座の住所から司法書士事務所と同じ住所に移す届け出を総務省に行い、長男側に業務委託費として月額計10万円を支払っていたという。
 仙谷氏は当初、制度改革フォーラムから「事務所費」名目で月10万円を支出。だが、政治資金規正法の改正で、政治資金収支報告書を同省に提出する際、5万円以上の事務所費は領収書の添付が必要になった08年分以降、支出名目を領収書添付の必要がない「人件費」に切り替え、3団体がそれぞれ3、4万円ずつに分割し、今月までに計約400万円を支出したという。
 支出名目を「人件費」にした点について、仙谷氏は「(担当者から)制度が変わったためと聞いている」と詳しい説明は避け、「主たる事務所」を置いた長男の事務所での活動実態は、「政治団体としての機能はあり、問題ない」と語った。
なお、私のコメントが掲載されたと思うが、無料のインターネット版では私のコメントは掲載されていない。

(5)問題になった3つの政治団体の過去3年間の政治資金収支報告は、以下で見ることができる。
ただし、先ほど紹介した「一月10万円」というのは、これだけ見ても分からないことに注意。

◇仙谷由人氏が代表の「制度改革フォーラム」(資金管理団体)

政治資金収支報告書平成21年 9月30日公表(平成20年分 定期公表)

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/090930/000012815.pdf

政治資金収支報告書平成20年9月12日公表(平成19年分 定期公表)

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/000024706.pdf

政治資金収支報告書平成19年 9月14日公表(平成18年分 定期公表)

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/000021036.pdf

◇仙谷由人氏が代表の「21世紀改革研究会」(その他の政治団体)

政治資金収支報告書平成21年 9月30日公表(平成20年分 定期公表)

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/090930/000015146.pdf

政治資金収支報告書平成20年9月12日公表(平成19年分 定期公表)

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/000027144.pdf

政治資金収支報告書平成19年 9月14日公表(平成18年分 定期公表)

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/000023506.pdf

◇仙谷由人全国後援会(その他の政治団体)

政治資金収支報告書平成21年 9月30日公表(平成20年分 定期公表)

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/090930/000014708.pdf

政治資金収支報告書平成20年9月12日公表(平成19年分 定期公表)

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/000026682.pdf

政治資金収支報告書平成19年 9月14日公表(平成18年分 定期公表)

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/000023033.pdf

(6)私の最大の関心事は朝日新聞の報じた視点と重なるところがあるものの、少し重点が違う。

私が最も重視しているのは、一般に、国会議員が政治資金を集めるために複数の政治団体を設立しており、そのため、本当に政治活動の実態があるのか、疑わしい政治団体が存在する、という問題である。

このことは、当該政治団体の政治資金の収入と支出の内容を見れば、わかる。
寄付や政治資金パーティ収入で一生懸命政治資金を集めているが、支出の内容を見ると、政治団体としての政治活動に相応しい支出になっていない政治団体がある。

そのような政治団体の場合、「主たる事務所」の届出が真実の報告になっているのか、怪しいのである。
言い換えれば、事務所として使用されているとは言いがたいところが「主たる事務所」と報告されている場合には、政治団体としての活動実態があるのか、疑わしいのである。

特に「後援会」なのに、国会議員の資金管理団体と同じところが「主たる事務所」になっている場合、この政治団体は真の後援会ではなく、国会議員の政治資金集めをする財布のためのペーパー団体である可能性が高いように思う。

(7)「仙谷由人全国後援会」は、本当に「後援会」なのだろうか?

なぜ仙谷の支援者が代表となっている「仙谷由人全国後援会」の「主たる事務所」が、同氏が代表の資金管理団体「制度改革フォーラム」と「21世紀改革研究会」の「主たる事務所」と同じなのか(その「主たる事務所」が変更になったとき、3団体全て変更になっているのか)?

その答えは、「全国後援会」も仙谷氏主導の政治団体であるか、あるいはまた(そうでなければ)、政治資金を集めるためだけの政治団体であるか、だろう。

(8)政治資金規正法に基づいて政治団体が届け出しなればならない「主たる事務所」とは、複数の事務所がある場合、その中で一番頻繁に使用されているところでなければならない、と解するのが常識だろう。
言い換えれば、使用実態のないところは、「主たる事務所」とはいえない、と考えるべきなのである。

しかし、これまで、しばしば事務所費問題で話題を集めた政治団体の場合、本当に「主たる事務所」といえる使用実態があるのか、疑問を抱いてしまうようなものが多かった。

(9)複数の政治団体があるビルの一室を共同で使用し、いずれも「主たる事務所」として届け出ておきながら、事務員は一人で、代表者、会計責任者、事務担当者が全く同じである、あるいは一部共通するという場合が多々あった。

仙谷氏の3つの政治団体の場合には、仙谷氏が2つの政治団体で代表者になっている以外は全て担当者が異なるものの、ビルの一室を借りてさえおらず、仙谷氏の長男の事務所に「業務委託」している状態である。
光熱水費は、3政治団体いずれも3年間「0円」である。

本当に政治団体の「主たる事務所」なのか、政治団体としての活動実態があるのか、疑問に思えてくる。

(10)だから、仙谷官房長官は、問題になっているカネが必ずしも高額ではないとはいえ、弁護士出身なのだから、この件できちんと説明し、説明責任を果たして国民の抱いている疑念を払拭し、他の国会議員・大臣に模範を示すべきである。
そうすることで、政権交代の意義があった、と思えるようにしてほしい。

ところが、今朝の報道を見ると、仙谷官房長官は、政治団体からの支出名目が、「事務所費」から「人件費」に変わっている点につき、「制度が変わったからだと聞いている。」と説明したようだ。
だが、この説明では、詳細な報告を免れるために「人件費」に変更した、と受けとめることができなくはない。
そうすると、墓穴を掘った説明になってしまうのではなかろうか!?

もっと、もっと、きちんとした説明がなされるべきである。
そうでなければ、「長男の司法書士事務所の家賃の一部を政治資金で肩代わりしている」と言われかねないだろう。

(11)複数の政治団体を持っている国会議員は、そのうち「主たる事務所」のない政治団体や実際に政治活動してはいない政治団体があれば、それを解散し、政治団体を統廃合した方がいいだろう。
そうしなければ、同じような疑惑は今後も報道され続けるだろう。