(1)小沢一郎氏が党首(党代表)していた新進党・自由党・民主党当時の組織対策費については、すでに紹介した。ここではまとめだけ紹介しておこう。
小沢一郎党首時代の「組織対策費」の闇!?(その2:自由党・新進党代表時代)
◇新進党時代の主要なものの総計約35億798万円
◇自由党時代の主要なものの総計約56億8061万万円
小沢一郎党首時代の「組織対策費」の闇!?(その1:民主党代表時代)
◇2006年・2007年・2008年の主要なものの総計22億8810万円
(2)ちなみに、過去の自民党の「組織活動費」については、私たちが刑事告発したときのものを紹介した。
再度、総額だけ紹介しておこう。
1998年分の組織活動費は70億1387万8608円で、そのうち58億5070万円が自民党の各国会議員に対し支出されていた。
1999年分の組織活動費は62億5641万8139円で、そのうち48億470万円が自民党の各国会議員に対し支出されていた。
2004年に自民党本部が国会議員一人一人に配布した「政策活動費」は34億4720万円であった(その詳細はこちらを参照)。
1999年から2004年までの「制作活動費」の毎年の総額と上位10名の国会議員への支出額は、こちらを参照。
自民党の場合と新進党・自由党・民主党の場合との違いは、前者が大勢の国会議員に配布して総額が高額であるのに比べ、後者は極少数の国会議員に高額を配布していることである。
(3)以上(上記(2)の一部を除く)について紹介したのは、今年(2010年)6月下旬だった。
それから1ヶ月余りして(8月冒頭に)、民主党の小宮山洋子財務委員長は「組織対策費(組対費)」名目での支出は行わない考えを明らかにするとともに、過去の会計帳簿を専門家に再チェックしてもらっていると表明した。
私は、組織対策費としての支出の廃止を歓迎するとともに、専門家による調査結果を公表して政党としての説明責任を果たすよう求めた。
(4)しかし、その調査結果は発表されないまま、8月下旬を迎えた。
小沢一郎氏が同月26日に、民主党代表選挙に立候補すると表明したため、菅首相側は、前掲の2006年〜2008年だけではなく、昨年(2009年)の組織対策費について調査に入ったことを、同月28日明らかにした。
(仙谷良人内閣官房長官の事務所費問題を朝日新聞が近日中に「スクープ」報道することが分かっており、この調査は、それに対抗する意味があったのかどうかは、分からない。)
(5)その調査結果がマスコミにリークされたようだ。
下で紹介する毎日新聞のほか、月曜日(8月30日)に発売された「週刊現代」・「アエラ」が調査結果を報じている(「週刊現代」では、政治資金オンブズマン共同代表の阪口徳雄弁護士がコメントし、「アエラ」では私がコメントした)。
近日発売の他の週刊誌でも報じるかもしれない(ある週刊誌の記者から電話取材を受けたが、記事化されるのか、私のコメントが紹介されるのかは不明である)。
毎日新聞(下記)の報道によると、内部調査は2009年分のほか2010年分もなされたようで、2009年と2010年に組織活動費として計約13億7000万円の支出があったという(その内訳詳細は下の記事でも分かりづらい)。
(6)上記報道によると、民主党の正式口座である「財務委員長口座」に入金され、その後、山岡氏が財務委員長在任中の06年12月党職員に指示して開設された「財務委員長口(ぐち)口座」という別口座に仮払いの形でいったん移され、すぐに引き出されて財務委員長室の金庫でプールされていた、という。
しかし、具体的使途に関する帳簿類は残っていないという。
つまり、上記紹介した全ての組織対策費(少なくとも36億6010万円=22億8810万円+13億7200万円)の具体的使途が政党としても不明である、ということである。
なお、政党には税金である政党交付金が、会派には税金である立法事務費が、それぞれ交付されている。
前者は、形式的には、政治資金とは別の使途報告がなされるが、後者は、独自の使途報告が義務付けられていないため、会派の母体である政党がその政治資金収支報告で単に収入として報告しているだけである。
(7)民主党の小宮山洋子財務委員長は、まだ調査中であるという。
ところが、民主党内には「政治とカネ」問題で泥仕合になるとの懸念が広まったようだ。
(8)その懸念の故であろうか、それとも、小沢一郎氏の立候補断念を求めてだろうか、その真意は分からないが、民主党の枝野幹事長は、同月(8月)30日の記者会見で、小沢一郎前幹事長の代表時代の党の「組織対策費」36億6010万円の使途に関し、不適切な点はなかったとの見解を明らかにしてしまった。
財務委員長は「まだ調査中」としているにも関わらず、である。
(9)実質的には税金も含まれているのだから、枝野幹事長の認識・評価には、納得できない。
そう特に思うのは、「組織対策費」が本当に政治資金収支報告書のとおりの国会議員に支出され、当該議員が実際に支出しているのか、疑問であるからだ。
松田賢弥「小沢一郎が差配する使途不明99億円」『文藝春秋』(2010年7月号296−305頁)によると、
新進党(小沢一郎代表)は、組織対策費として幹事長の米沢隆衆議院議員に総額約4億1092万円を支出した、と、
また、組織対策費として幹事長の西岡武夫衆議院議員に総額約29億8904万円を支出した、と、それぞれ報告していたが、
松田氏は宮崎県内のホテルで米沢氏と会ったところ、
米沢氏は、松田氏に「(96年支出の)約4億円の組織対策費のことはまったく記憶にない。おそらく事務的に(党職員の)誰かがやったのだろう。はんこを預けてあったから、当時、基本的にはカネのことは小沢が握っていた。カネの使い道については私は知らない」と語ったという(304頁)し、
松田氏は西岡氏に電話で電話したところ、
西岡氏は松田氏に「(約30億円は)私が現金を手にしたカネではない。現金を直接触ることはありませんでした。私がサインしたのは事実です。組織対策費というのは認識していましたが、金額や詳しい用途までは知りませんでした」と語ったという(304頁)。
また、松田賢弥「小沢一郎『57億円略奪』の黒い霧」『文藝春秋』2010年4月号(144−163頁)によると、
自由党(小沢一郎代表)は、2002年に総額約15億2000万円の政党助成金を「組織対策費」として会計責任者の藤井裕久衆議院議員に支出した、と報告していたが、
「藤井が『あのカネのことはまったく知らない』と周囲に語っていたとの証言を自由党元幹部から得た。約15億円は藤井の名前で偽装支出されただけで、実際の資金移動は小沢と八尋の2人しか分からないともその元幹部は証言した。」と記している(148−149頁)。
さらに、藤井裕久氏については、同氏が「(自由党時代に計15億円の「組織活動費」が当時の藤井幹事長あてに支出されたことには)まったく知らなかった。どう使われたかも知りようがない。」と答えている報道がなされた(「参院選敗北 藤井元財務相『民主は新時代に』」産経新聞2010年7月15日20時59分配信)。
(10)それゆえ、現民主党執行部は、以下のことを解明し、納税者・主権者国民に説明すべきである。
・民主党の正式の口座とは別の口座が、誰の指示・責任で設けられたのか?
・その別口座は、何のために設けられたのか?
・政治資金収支報告書で受け取ったと報告されている議員らは、別口座の存在を含めいったん組織活動費として支出されたカネの保管の有り方を知っていたのか?
・別口座から金庫に移されたカネは、誰の指示・責任で実際に支出されたのか?
・その支出について、政治資金収支報告書で受け取ったと報告されている議員らは知っているのか?
・総額36億6010万円は最終的に実際何のために使われたのか?
(11)その説明がなされないまま、枝野幹事長が「適正」であったと表明したことは、政党の幹事長として無責任である。
もちろん、当時受け取ったと報告されている国会議員に説明責任があることは言うまでもない。
だが、現幹事長の枝野氏が「適正」として、これ以上の真相解明を断念することは、帰任ある政党としては許されない。
枝野幹事長は、「適正」発言を撤回して、内部調査を継続し真相を解明して、納税者・主権者国民に対し政党としての説明責任を果たすべきである。
そうでなければ、結果的に使途を説明しない点では、今の民主党執行部も自民党(執行部)と同じ隠蔽体質ということになる。
それでいいのだろうか!?
(12)受け取ったと報告されている国会議員が内部調査に協力しない、というのであれば、その調査方法の詳細を含めその旨をマスコミに公表すべきである。
そうすれば、マスコミは、実際の使途等の説明を、これまで以上に強く当該国会議員に求め、追及するだろう。
(13)以上のことは、自民党とその国会議員にも言えることであるが・・・
小沢一郎党首時代の「組織対策費」の闇!?(その2:自由党・新進党代表時代)
◇新進党時代の主要なものの総計約35億798万円
支出の目的 | 金額(円) | 年月日 | 支出を受けた者の氏名(または名称) | 支出を受けた者の住所(または所在地) |
組織対策費 | 410,927,930 | H8.8.8 | 米沢 隆 | 宮崎市江南4−16−5 |
組織対策費 | 2,989,056,645 | ― | 西岡武夫 | 長崎県長崎市館内町5−16 |
組織対策費 | 108,000,000 | ― | 永野茂門 | 千代田区永田町2−1−1−616 |
総計 | 3,507,984,575 | ― | ― | ― |
◇自由党時代の主要なものの総計約56億8061万万円
支出の目的 | 金額(円) | 年月日 | 支出を受けた者の氏名(または名称) | 支出を受けた者の住所(または所在地) |
組織対策費 | 1,013,480,745 | ― | 野田毅 | 新宿区市谷左門町32 |
組織対策費 | 4,667,129,882 | ― | 藤井裕久 | 神奈川県相模原市中央2−13−12 |
総計 | 5,680,610,627 | ― | ― | ― |
小沢一郎党首時代の「組織対策費」の闇!?(その1:民主党代表時代)
◇2006年・2007年・2008年の主要なものの総計22億8810万円
支出の目的 | 金額(円) | 年月日 | 支出を受けた者の氏名(または名称) | 支出を受けた者の住所(または所在地) |
組織対策費 | 1,703,100,000 | ― | 山岡賢次 | 栃木県真岡市上高間木3−10ー18 |
組織対策費 | 530,000,000 | ― | 佐藤泰介 | 愛知県名古屋市北区柳原1−7−10 |
組織対策費 | 40,000,000 | ― | 輿石東 | 山梨県甲府市相生1−2−16 |
組織対策費 | 15,000,000 | ― | 鉢呂吉雄 | 北海道小樽市稲穂3−6−184 |
総計 | 2,288,100,000 | ― | ― | ― |
主な議員への組織対策費の合計額約114億7670万円
新進党時代 3,507,984,575
自由党時代 5,680,610,627
民主党時代 2,288,100,000
総計 11,476,695,202
(2)ちなみに、過去の自民党の「組織活動費」については、私たちが刑事告発したときのものを紹介した。
再度、総額だけ紹介しておこう。
1998年分の組織活動費は70億1387万8608円で、そのうち58億5070万円が自民党の各国会議員に対し支出されていた。
1999年分の組織活動費は62億5641万8139円で、そのうち48億470万円が自民党の各国会議員に対し支出されていた。
2004年に自民党本部が国会議員一人一人に配布した「政策活動費」は34億4720万円であった(その詳細はこちらを参照)。
1999年から2004年までの「制作活動費」の毎年の総額と上位10名の国会議員への支出額は、こちらを参照。
自民党の場合と新進党・自由党・民主党の場合との違いは、前者が大勢の国会議員に配布して総額が高額であるのに比べ、後者は極少数の国会議員に高額を配布していることである。
(3)以上(上記(2)の一部を除く)について紹介したのは、今年(2010年)6月下旬だった。
それから1ヶ月余りして(8月冒頭に)、民主党の小宮山洋子財務委員長は「組織対策費(組対費)」名目での支出は行わない考えを明らかにするとともに、過去の会計帳簿を専門家に再チェックしてもらっていると表明した。
私は、組織対策費としての支出の廃止を歓迎するとともに、専門家による調査結果を公表して政党としての説明責任を果たすよう求めた。
(4)しかし、その調査結果は発表されないまま、8月下旬を迎えた。
小沢一郎氏が同月26日に、民主党代表選挙に立候補すると表明したため、菅首相側は、前掲の2006年〜2008年だけではなく、昨年(2009年)の組織対策費について調査に入ったことを、同月28日明らかにした。
(仙谷良人内閣官房長官の事務所費問題を朝日新聞が近日中に「スクープ」報道することが分かっており、この調査は、それに対抗する意味があったのかどうかは、分からない。)
(2010年8月29日12時06分 読売新聞)(この後、私のブログへの集中アクセスがあった。私の過去の投稿が紹介された結果のようだ。)
小沢代表当時の資金配分を調査…菅氏側
菅首相に近い民主党幹部は28日、小沢一郎前幹事長が2006年〜09年の代表当時、「組織対策費」として特定議員に政治資金を集中的に配分していたことを問題視し、調査に入っていることを明らかにした。
9月の党代表選で小沢氏の政治とカネの問題に焦点をあてることで、首相支持につなげる狙いがあるようだ。
これに対し、小沢氏側近の松木謙公国会対策筆頭副委員長は28日のテレビ東京の番組で、「小沢氏は近くの人だけにお金を渡しているとされるが、とんでもない間違いだ。『選挙資金を不正に使っている』と、内々で言うのは良くない」と述べ、批判した。
(5)その調査結果がマスコミにリークされたようだ。
下で紹介する毎日新聞のほか、月曜日(8月30日)に発売された「週刊現代」・「アエラ」が調査結果を報じている(「週刊現代」では、政治資金オンブズマン共同代表の阪口徳雄弁護士がコメントし、「アエラ」では私がコメントした)。
近日発売の他の週刊誌でも報じるかもしれない(ある週刊誌の記者から電話取材を受けたが、記事化されるのか、私のコメントが紹介されるのかは不明である)。
毎日新聞(下記)の報道によると、内部調査は2009年分のほか2010年分もなされたようで、2009年と2010年に組織活動費として計約13億7000万円の支出があったという(その内訳詳細は下の記事でも分かりづらい)。
毎日新聞 8月31日(火)2時34分配信
<民主党>使途不明「組対費」…09、10年にも13億円
民主党の小沢一郎前幹事長が党代表だった06〜08年、党本部から組織対策費(組対費)名目で党財務委員長あてに計約22億円が集中的に支出され使途が明らかにされていない問題で、09、10年も同様に計約13億7000万円の支出があったことが、同党の内部調査で分かった。この使途も不明という。組対費の主な原資は国から支給される立法事務費(公金)で、06〜07年に財務委員長だった山岡賢次副代表が通常とは別の口座を開設したことも判明。同党はこうした実態についてさらに調べを進めている。【政治資金問題取材班】
同党では06年4月に小沢氏が代表に就き、同年9月に再選後、執行部を刷新。財務委員長になった山岡氏に6800万円が組対費として支出されたのを皮切りに、08年11月までに計約22億円が、山岡氏と後任の佐藤泰介前参院議員に支出され、使途が明らかにされていない。このため同党は菅直人政権が誕生した6月以降、組対費などを調査していた。
複数の党関係者によると、調査で新たに、佐藤氏に対して09年に4回で計5億500万円、10年には菅政権発足まで8回計8億6700万円の計13億7200万円が同様に支出されていたことが判明したという。当時は鳩山由紀夫代表、小沢代表代行(10年の支出時は幹事長)だった。両年はほかに、輿石東参院議員会長に6回で計5500万円、石井一副代表ら2人に各1回500万円が支出されているが、佐藤氏への支出は突出している。
組対費の原資は、議員の調査研究のため国会が議員1人当たり月65万円をまとめて各党・会派に提供する立法事務費が主に充てられ、党の正式口座である「財務委員長口座」に入金された。その後、「財務委員長口(ぐち)口座」という別口座に仮払いの形でいったん移され、すぐに引き出されて財務委員長室の金庫でプールされていた。別口座は山岡氏が財務委員長在任中の06年12月、党職員に指示して開設されたという。
正式口座からの資金の出し入れはその都度、党の経理部長らの決裁が必要だが、別口座に移せばその必要はないことから、自由に資金を扱えるよう開設したとみられる。
年末には監査法人の監査が行われることから、金庫から支出した資金は財務委員長個人名の領収書を添付して組対費として計上。金庫に残った資金は再び正式口座に戻し、監査を受けていた。具体的使途に関する帳簿類は残っていないという。
山岡氏の事務所は「党のことなので答える立場にない」とし、佐藤氏から回答はなかった。こうした組対費の廃止を表明している現財務委員長の小宮山洋子衆院議員は「調査中のためコメントは控えたい」と述べた。
◇組織対策費◇
政治資金規正法の「組織活動費」に分類され、政治資金収支報告書に記載される。領収書があれば議員ら個人あてに支出することも可能で、その後の使途を明らかにする必要はない。受領した議員の個人所得とはならず、議員側が自身の収支報告書に記載する義務もない。
(6)上記報道によると、民主党の正式口座である「財務委員長口座」に入金され、その後、山岡氏が財務委員長在任中の06年12月党職員に指示して開設された「財務委員長口(ぐち)口座」という別口座に仮払いの形でいったん移され、すぐに引き出されて財務委員長室の金庫でプールされていた、という。
しかし、具体的使途に関する帳簿類は残っていないという。
つまり、上記紹介した全ての組織対策費(少なくとも36億6010万円=22億8810万円+13億7200万円)の具体的使途が政党としても不明である、ということである。
なお、政党には税金である政党交付金が、会派には税金である立法事務費が、それぞれ交付されている。
前者は、形式的には、政治資金とは別の使途報告がなされるが、後者は、独自の使途報告が義務付けられていないため、会派の母体である政党がその政治資金収支報告で単に収入として報告しているだけである。
(7)民主党の小宮山洋子財務委員長は、まだ調査中であるという。
ところが、民主党内には「政治とカネ」問題で泥仕合になるとの懸念が広まったようだ。
(2010年8月31日09時01分 読売新聞)
政策不在「泥仕合」への反発懸念…菅・鳩山会談
民主党代表選は、30日夜の菅首相と鳩山前首相の会談で、首相と小沢一郎前幹事長の対決回避に向けた重大な局面を迎えた。
両陣営が「政策不在」の泥仕合を繰り広げれば、世論の反発を招くという危機感が党内に広がっていることが背景にある。
◆大義なき戦い◆
30日夕、昨年の民主党衆院選政権公約(マニフェスト)への「原点回帰」を掲げた議員の会合が国会内で開かれ、小沢氏の選対本部を31日に設置することを確認した。
会合は小沢氏の出馬に向けた総決起集会ともなるはずだったが、出席議員は48人にとどまり、今月6日の初会合時の約150人から大幅に減った。出席者の減少について、党内では「激しさを増す代表選への不安感が影響している」と見る向きが多い。
代表選の告示間際になっても、首相と小沢氏の両陣営は政策理念を発表しておらず、権力闘争の色彩を濃くしている。「このままでは民主党の人気が下がってしまう」(幹部)との懸念も広まっている。
スキャンダル合戦も始まった。菅陣営は、小沢氏が代表だった2006年〜09年当時、「組織対策費」として特定議員に政治資金が集中的に配分されたとして調査を進めており、小沢陣営は「小沢氏を犯罪者扱いした人間は除名だ」と激しく反発している。一方で、首相を支える仙谷官房長官の資金管理団体などが、同氏の長男側に事務所費名目などで計400万円を支出していた問題が浮上。党内には「双方のスキャンダル合戦が激しくなり、党のプラスにはならない」と嘆く声があがっている。
◆分裂への恐怖◆
このまま首相と小沢氏が激突することで、党分裂につながるのではないかとの恐怖感も広まっている。小沢氏は1997年に、党首選に勝利した直後に旧新進党を解党した経緯がある。
旧新進党を知るベテラン議員のひとりは、代表選後の衆院解散や政界再編もあり得るとして、「9月1日に菅対小沢のゴングが鳴った瞬間、政権からの下野を覚悟せざるを得ない」とため息をつく。
民主党の旧民社党系議員で作る議員グループは30日の会合で、代表選で首相と小沢氏の対決を避けるための努力を払うことを確認した。会長の田中慶秋衆院議員は会合終了後、記者団に対し「景気対策を最優先でやってほしいというのが(国民)大多数の声だ。禍根を残すことはやめてほしい」と語った。すでに首相と小沢氏の双方に、話し合いによる選挙戦回避を申し入れたことも明らかにした。
(8)その懸念の故であろうか、それとも、小沢一郎氏の立候補断念を求めてだろうか、その真意は分からないが、民主党の枝野幹事長は、同月(8月)30日の記者会見で、小沢一郎前幹事長の代表時代の党の「組織対策費」36億6010万円の使途に関し、不適切な点はなかったとの見解を明らかにしてしまった。
財務委員長は「まだ調査中」としているにも関わらず、である。
(2010年8月30日18時45分 読売新聞)
小沢代表当時の資金配分は「適正」…枝野幹事長
民主党の枝野幹事長は30日の記者会見で、小沢一郎前幹事長の代表時代の党の「組織対策費」の使途に関し、不適切な点はなかったとの見解を明らかにした。
枝野氏は、「民主党の昨年までの経理は、適正、適法だと認識して引き継いでいる。より効果的な資金の使い方を目指し、資金の調査はしてきたが、公表するとか、しないとかという次元のものではない」と述べた。
民主党幹部は、小沢代表時代に党の政治資金を組織対策費として特定議員に集中的に配分していたことを問題視し、使途の調査に入っていた。一部週刊誌がこの問題を報じたことに対し、小沢氏を支持する議員から「首相陣営が情報を漏らしている」と強い反発が上がっており、枝野氏としてはこうした対立を回避する狙いがあるとみられる。
(9)実質的には税金も含まれているのだから、枝野幹事長の認識・評価には、納得できない。
そう特に思うのは、「組織対策費」が本当に政治資金収支報告書のとおりの国会議員に支出され、当該議員が実際に支出しているのか、疑問であるからだ。
松田賢弥「小沢一郎が差配する使途不明99億円」『文藝春秋』(2010年7月号296−305頁)によると、
新進党(小沢一郎代表)は、組織対策費として幹事長の米沢隆衆議院議員に総額約4億1092万円を支出した、と、
また、組織対策費として幹事長の西岡武夫衆議院議員に総額約29億8904万円を支出した、と、それぞれ報告していたが、
松田氏は宮崎県内のホテルで米沢氏と会ったところ、
米沢氏は、松田氏に「(96年支出の)約4億円の組織対策費のことはまったく記憶にない。おそらく事務的に(党職員の)誰かがやったのだろう。はんこを預けてあったから、当時、基本的にはカネのことは小沢が握っていた。カネの使い道については私は知らない」と語ったという(304頁)し、
松田氏は西岡氏に電話で電話したところ、
西岡氏は松田氏に「(約30億円は)私が現金を手にしたカネではない。現金を直接触ることはありませんでした。私がサインしたのは事実です。組織対策費というのは認識していましたが、金額や詳しい用途までは知りませんでした」と語ったという(304頁)。
また、松田賢弥「小沢一郎『57億円略奪』の黒い霧」『文藝春秋』2010年4月号(144−163頁)によると、
自由党(小沢一郎代表)は、2002年に総額約15億2000万円の政党助成金を「組織対策費」として会計責任者の藤井裕久衆議院議員に支出した、と報告していたが、
「藤井が『あのカネのことはまったく知らない』と周囲に語っていたとの証言を自由党元幹部から得た。約15億円は藤井の名前で偽装支出されただけで、実際の資金移動は小沢と八尋の2人しか分からないともその元幹部は証言した。」と記している(148−149頁)。
さらに、藤井裕久氏については、同氏が「(自由党時代に計15億円の「組織活動費」が当時の藤井幹事長あてに支出されたことには)まったく知らなかった。どう使われたかも知りようがない。」と答えている報道がなされた(「参院選敗北 藤井元財務相『民主は新時代に』」産経新聞2010年7月15日20時59分配信)。
(10)それゆえ、現民主党執行部は、以下のことを解明し、納税者・主権者国民に説明すべきである。
・民主党の正式の口座とは別の口座が、誰の指示・責任で設けられたのか?
・その別口座は、何のために設けられたのか?
・政治資金収支報告書で受け取ったと報告されている議員らは、別口座の存在を含めいったん組織活動費として支出されたカネの保管の有り方を知っていたのか?
・別口座から金庫に移されたカネは、誰の指示・責任で実際に支出されたのか?
・その支出について、政治資金収支報告書で受け取ったと報告されている議員らは知っているのか?
・総額36億6010万円は最終的に実際何のために使われたのか?
(11)その説明がなされないまま、枝野幹事長が「適正」であったと表明したことは、政党の幹事長として無責任である。
もちろん、当時受け取ったと報告されている国会議員に説明責任があることは言うまでもない。
だが、現幹事長の枝野氏が「適正」として、これ以上の真相解明を断念することは、帰任ある政党としては許されない。
枝野幹事長は、「適正」発言を撤回して、内部調査を継続し真相を解明して、納税者・主権者国民に対し政党としての説明責任を果たすべきである。
そうでなければ、結果的に使途を説明しない点では、今の民主党執行部も自民党(執行部)と同じ隠蔽体質ということになる。
それでいいのだろうか!?
(12)受け取ったと報告されている国会議員が内部調査に協力しない、というのであれば、その調査方法の詳細を含めその旨をマスコミに公表すべきである。
そうすれば、マスコミは、実際の使途等の説明を、これまで以上に強く当該国会議員に求め、追及するだろう。
(13)以上のことは、自民党とその国会議員にも言えることであるが・・・