(1)私たち弁護士・研究者の「企業・団体献金等の全面禁止を早急に立法化するよう求める要請書」を、民主党の政治資金対策チーム代表の海江田万里議員に直接会って手渡したのは、ちょうど1年前の今日(2月22日)であった(詳細については、ブックレット「ゼロからわかる政治とカネ」を参照)。

(2)菅直人民主党中心の政権の問題については、忙しくてなかなか投稿したいことが投稿できないので、たまたま入手できた「替え歌」を紹介したが、同政権は、例えば小泉純一郎自公政権とほとんど同じようになってしまったようで、民主党の第二自民党化するとともに、第二の財界政権になっている。

菅直人首相の施政方針演説(2011年1月24日)をその翌日の新聞で読むと、決して国民が期待した政権交代後の政策が行われようとしているとは思えない。
それどころか、政権交代前に国民が否定した、財界が求める政策が進められようとしていることが分かる。

TPPへの参加方針はその代表的政策である。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は、米国を初めとする関係国と協議を続け、今年6月を目途に、交渉参加について結論を出します。


米軍の普天間基地の移設問題も相変わらずで、自公政権と同じで、沖縄に押し付けたままである。
普天間飛行場の移設問題については、昨年5月の日米合意を踏まえ、沖縄の皆様に誠心誠意説明し、理解を求めながら、危険性の一刻も早い除去に向け最優先で取り組みます。


(3)日本経団連の米倉弘昌会長らは、昨日、自民党の谷垣禎一総裁ら幹部と都内のホテルで懇談し、2011年度予算・予算関連法案の早期成立への協力を要請したという。
日経新聞2011/2/21 10:19
谷垣氏、税・年金改革「解散後に協力」 日本経団連会長と懇談

 自民党の谷垣禎一総裁ら幹部は21日朝、日本経団連の米倉弘昌会長らと都内のホテルで懇談した。谷垣氏は政府・与党が呼びかける税と社会保障の一体改革に向けた与野党協議について「解散・総選挙を打つなら、そのあとでいろいろ協力して乗り越える道は開かれている」と指摘した。
 米倉氏は懇談後、記者団に「協議をして整わない場合に解散すべきだ。予算案と予算関連法案を通してから解散すべきだ」と語った。
 米倉氏は2011年度予算・予算関連法案の早期成立への協力を要請したが、谷垣氏は「基本的方向としては賛成できる状況ではない」と、反対する方針を伝えた。

米倉会長の本心はわからないが、民主党政権は、自民党政権に勝るとも劣らない財界政権であることが、このことからも、うかがえる。

(4)2009年総選挙による政権交代は何だったのか!?
財界政治を一般庶民の政治に変えることを期待した国民にとって、今の民主党政権は、全く期待はずれであるだけではなく、裏切りである。

民主党は2009年総選挙で圧勝しているので、任期満了あるいはその直前まで解散総選挙は行われないだろうし、2010年には参議院議員通常選挙も行われるし、2011年には統一地方選も行われるから、2013年までは露骨に財界政治に戻らないだろう、と予想していた。
しかし、民主党の裏切りは、予想していた以上に早かった。

(5)民主党の裏切りは、2009年の総選挙が終わって、そう遅くない時期から始まっていた。

企業・団体献金の「全面」禁止は、財界政治を復活させないために不可欠である。

当時の小沢一郎幹事長は、マニフェストに掲げていた企業・団体献金の「全面」禁止という公約を反故にするために、同年10月に仕掛けをしていた。
すでに、紹介したように、小沢幹事長は、財界の別働隊である「21世紀臨調」に、この件を「諮問」してしまったのである。

民主党が、企業・団体献金の「全面」禁止というマニフェストを本気で遵守する気があるなら、そのための法案を国会に上程すればいいのである。
前年には、同案を国会に提出していたし、私たちは、総選挙直後、民主党のマニフェストを具体化したものを提案していたからだ。

「21世紀臨調」は、「諮問」を受けて半年後(昨年4月)、案の定、企業・団体献金の「全面」禁止ではなく「部分」禁止を提案した。

「21世紀臨調」は、財界人らでつくる「日本生産性本部」に事務局をもち、年間1億円以上の資金提供を受けているから、企業・団体献金の「全面」禁止を提言するはずがないのである。

要するに、政権交代後、小沢一郎民主党幹事長は、企業・団体献金の「全面」禁止のマニフェストを反故にするために、「21世紀臨調」に諮問し、そして予定通りの「部分」禁止にとどめる提言を受け取ったのである。

小沢氏は、本気で財界政治を否定しているわけではない新自由主義者・改憲論者だから、当然の策動であるが、政権交代に期待した国民への裏切りである。

(6)小沢氏が企業・団体献金の本気で全面禁止する気がないのは、今でも変わらないようだ。
産経新聞2011.2.10 20:04
【小沢会見詳報】「現状のまま活動する」と離党を否定 (10日夕)

民主党の小沢一郎元代表は10日夕、東京・永田町の憲政記念館で開かれた「自由報道協会」(仮)主催の記者会見で、「現状のままで活動する」と述べ、自発的離党を否定した。司会は同協会暫定代表のフリージャーナリスト、上杉隆氏。詳細は以下の通り。

・・・・(略)・・・・

 --国民が多くの方が思っていることを率直にうかがう。山口二郎さんは、検察の暴走ということもあるが、説明責任があるということも強調されている。多くの方が思っている点は、金権体質といわれていた自民党の幹事長をやっておられた。それからいろんな政党を作って政党助成金の財務処理の問題が出ている。それから企業献金がよくないといっていたのに、民主党が一部再開してしまった。国民の疑問と思われていることについてお話いただきたい

 「僕は企業献金はやめるべきだと最初から言っておりません。企業献金が悪だという前提に立てばそれは止める以外ない。私は献金については誰からもらったっていいと。それから何に支出しようが、極論を言えば、いいと。しかしそれを全部オープンにすべきだ。誰からもらって、何に使ったのかということを国民がはっきりと分かるようにすべきだと。それがよろしくないというのなら次の選挙で投票しなければいい。私はそういう意味でのオープンな、政治資金だけでなく、もう少しオープンな社会にしなくちゃいけない。行政の中身も、たぶんあなた方がいくら頑張っても分からないでしょ、限界があるでしょ? その情報は。一般の会社だってそうですよ。みんなクローズドな仕組みになっているんですよ。だからそれをオープンにすることがアメリカほどオープンにする必要はないと僕は思いますが、少なくともヨーロッパくらいのオープンな社会にはしなくちゃいけないという風に思っております」

・・・(略)・・・・

つまり、民主党のマニフェストには、遵守する気のない選挙対策用のものが盛り込まれていたのである。

(7)ところで、小沢一郎氏は、党執行部のマニフェスト見直しを批判しているようだ。
比較的最近の記事を紹介しておこう。
時事通信社 (2011/02/11-17:13)
マニフェスト修正を批判=「二・二六事件は政治の責任」−小沢氏

 民主党の小沢一郎元代表が塾長を務める「小沢一郎政治塾」の開講式が11日午後、都内で開かれた。小沢氏はあいさつで、菅直人首相の政権運営に関し「われわれは、国民の生活を守るんだという名の下に政権を委ねられたことをもう一度、自分の胸に問いたださないといけない」と述べ、首相が掲げる衆院選マニフェスト(政権公約)見直しを批判した。
 小沢氏は、旧陸軍の青年将校が反乱を起こした二・二六事件に触れ「事件を忘れてはならない。それが(起きたのは)国民の生活をきちんと守り切れなかった政治家と政治の責任だ」と指摘。「生活苦、貧困が、そのような悲劇をもたらした。だから私は『国民の生活が第一』だというスローガンを掲げた」と強調した。
 強制起訴をめぐり、党執行部が自身の処分を検討していることなどについての言及はなかった。

二・二六事件を引き合いに出していることについては、ここではあえて言及しないが、少なくとも、財界政治を転換するために不可欠である企業・団体献金の「全面」禁止というマニフェストを反故にした人物が、マニフェストの見直しを批判しても、党内では全く説得力がないだろう。
むしろ、現執行部にマニフェストの見直しの口実を与えたようなものである。
(見方によっては、小沢一郎氏の方がシタタカなのかもしれない。
見直しをせずに反故にする方が国民には分かりづらいからだ。)

(8)昨年の民主党代表選で、候補者の菅直人氏の唱える政策と小沢一郎氏の唱える政策とは本質的に異なるものではなかった

菅首相の施政方針演説でも、小沢氏も主張する、「農家者戸別所得補償」も含まれていたし、「地域が自由に活用できる一括交付金」の「創設」も盛り込まれていた。

(9)第二自民党、第二財界政党化している民主党は、国民置き去りのまま、小沢氏を巡って内紛がいまだに続いている。
今日で内紛は収まるのだろうか!?
時事通信社(2011/02/21-21:29)
小沢氏、22日に弁明=処分、最終決定へ−民主

 民主党は22日、党本部で倫理委員会(委員長・渡部恒三最高顧問)を開き、強制起訴された小沢一郎元代表を判決確定まで党員資格停止とする処分方針に関し、同氏から弁明を聴取する。倫理委は聴取を踏まえて同日中に見解をまとめ常任幹事会に答申する見通し。倫理委がこれまで処分内容を覆した例はなく、今回も妥当と判断するとみられる。
 岡田克也幹事長は21日の役員会で、22日に臨時の常任幹事会を開くことを報告。「倫理委で何らかの結論が出れば、常任幹事会の議題になることはあり得る」と説明した。執行部は、同日にも処分を最終決定したい考えだ。ただ、小沢氏に近い衆院議員16人が会派離脱願を提出したことを受け、改めて反対論が出ることは必至だ。
 一方、小沢氏は21日、衆院議員会館で面会した自身に近い衆院議員に対し、「理由がよく理解できない」と述べ、処分方針に反発。22日の弁明でも処分は不当と主張するとみられる。 
 これに関し、菅直人首相(民主党代表)は21日午後の衆院予算委員会で、「2月の間に党としてのけじめをつけたい」と強調。昨年10月の検察審査会による起訴議決から処分決定まで時間がかかっていることについては「丁寧に手続きを進めている。決して党としての責任を放棄しているわけではない」と述べた。自民党の武部勤氏らへの答弁。

FNN(02/21 17:39)
菅首相退陣論に火をつけた「16人の反乱」から4日。週明けも政界を揺らし、攻防は緊迫の度を増している。
会派離脱を宣言した16人が新たに構えた東京・赤坂の事務所に21日午前、半分の8人が集まり、今後も結束して行動していくことを確認した。
渡辺 浩一郎議員は「ぜひ皆さん、同じ気持ちで、結束して、これからいろんな場面に対応していきたいと思います」と語った。
(略)。
菅首相は18日、党の内外に広がる退陣論に対して、「(解散の選択肢は?)国民にとって何が一番重要か、必要か。それを考えて行動します」と述べ、衆議院の解散を否定しないことで、解散カードをちらつかせた。
内閣を支える江田五月法相も20日、「総理大臣の一番の武器は解散ですから。何も自ら手を縛る必要はない」と述べた。
(略)。
今回反乱を起こした16人は、いずれも先の衆院選で比例単独候補として当選していて、もし今、解散総選挙となれば、小選挙区などの地盤を持たない彼らが国会に戻ってくるのは困難とみられている。
16人のうちの1人、石井 章衆議院議員は19日、地元・茨城で、今回の行動について説明した。
石井議員は「われわれの議員の中でも、菅さんのもとでは、なかなか選挙を戦えないと」と述べた。
石井議員も、政権を奪取した2009年の総選挙で、北関東ブロック31位ながら、民主の風に乗って当選した。
地元後援会の会合では、新党結成も勧められていた。
石井議員は「約束守っていない菅さんとか、あの方々が民主党から出ていってもらいたい」と述べた。
菅首相が解散カードをちらつかせていることについて、渡辺委員は「僕らは比例区ですから、何ともわからないですから。地元があるわけではないので。ともかく民主党の中で頑張る」と、あらためて民主党離党を否定した

(10)民主党の現執行部と小沢一郎氏らの政策が本当に根本的に異なるのであれば、衆議院の選挙制度のうち、非民主的な小選挙区制を廃止し、民主的な比例代表制1本にするよう法律改正したうえで(詳細についてはブックレット「議員定数を削減していいの?」を参照)、分裂すべきである。
そして、民主的な選挙制度の下で衆議院の解散総選挙が行われるべきである。

そうすれば、上記紹介の対立は、有意義なものになるが、そうならなければ、単なる民主党内の内紛、党内の主導権争いにすぎない。

(11)なお、民主党が企業・団体献金の全面禁止の法案を国会に提出する旨の報道が数日前からある。
これについては、また別の機会に取り上げて私見を述べることにする。