1.九州電力の「やらせ」(あるいはそれに類似した行為)は今回が初めてなのか?
(1)経済産業省は、先月(2011年6月)26日(日)、佐賀県においてケーブルテレビ等を利用した「玄海原子力発電所 緊急安全対策 県民説明番組」を放送した。
(これ自体について、色々問題があるが、ここでは取り上げない。)
(2)この「説明番組」で、九州電力が関係会社の社員らに運転再開を支持する文言の電子メールを番組に投稿するよう指示していたことが今月初めに報じられた。
その際、九州電力はその事実を否定していた。
(3)ところが、九州電力は一転して「やらせ」事実を認め、一応謝罪した。
(4)九州電力の「やらせ」メールの噂は、番組前からあり、インターネット上などで書き込みがなされていたという。
(5)この問題について、海江田万里経済産業大臣は、国会で「言語道断の行為」などと答弁した。
(6)確かに言語道断だ。
だが、それだけではなく、私は、さらに、2つの疑念を抱いている。
その一つは、今回の「やらせ」は九州電力が初めてやったものなのだろうか?
そのような「やらせ」、あるいはそれに類似することは、これまでも何度か行われたのではなかろうか?
そのような疑念が生じる。
組織的な「やらせ」は、急にできるものではない。
これまで、同じこと、あるいは類似のことが行われたからこそ、急な指示でもできたのではなかろうか?
噂が私の耳に入ってきている。
2.「やらせ」が九州電力の単独で行われたのか?
(1)私が抱いている疑念の第二は、「やらせ」を指示したのが九電だけなのだろうか、ということである。
更に言えば、政府あるいはまた財界政党(の議員)は、「やらせ」に全く関与していないのか、という疑念である。
(たとえ九州電力それ自体の体質的な問題だとしても、それは、以下の別の要因によって培われたものなのかもしれない。)
(2)原発は国策であると表現されてきたが、そう表現されるようになったは、長年政権政党であった自民党政権の下において、である。
財界政党である自民党の政治資金団体「国民政治協会」は、電力業界からの政治献金あるいは組織的な役員献金を受け取ってきたことは、すでに紹介した。
電力業界との癒着は自民党との関係だけにあるわけではない。
他にも幾つかあるが、ここで特に注目したいのは、政府との癒着関係である。
(3)これには、まず、高級官僚の電力会社への天下りがある。

天下りは、東京電力だけではないようだ。
東北電力、九州電力が各6人
北海道電力、東京電力、北陸電力、関西電力が各5人
沖縄電力が4人
中部電力、中国電力、四国電力が各3人。
10電力会社で計45人だという。
(4)政府との癒着の問題としては、以上の「天下り」だけではなく、電力会社の「天上がり」もある。

「天上がり」も東京電力だけではないようだ。
少し古い記事であるが、紹介しておこう。
(5)民主党政権は、このような癒着の構造が根絶されない中で誕生し、その構造を継承している。
また、民主党には、原発推進の電力総連出身の2人の国会議員がいる。
もちろん、原発推進政党は、自民党や民主党だけではありませんが、とりあえず、自民党と民主党の二大財界政党との関係は重要である。
(6)以上のような癒着の構造を考えると、九州電力の「やらせ」には、政府あるいはまた財界政党(の議員)が関与しているのではないか、と疑念が生じるのである。
3.私の要望
(1)関係者は、是非とも、以上の私の2つの疑念を払拭する説明をしてほしいものである。
(2)それとは別に、さらに、ここでは少なくとも2つのことを要望したい。
一つは、電力会社の「組織的な」役員献金を許さないためにも、まず、癒着の温床である企業・団体献金を「全面」(一部ではなく)禁止することである。
(3)もう一つは、電力会社の場合に限らず、各業界との癒着の温床である「天下り」・「天上がり」を根絶してほしい、ということである。
(4)この2つについては、たとえ今回の「やらせ」に政府や財界政党(の議員)が「直接」関与していなくても、本来、断行すべき改革だろう。
(1)経済産業省は、先月(2011年6月)26日(日)、佐賀県においてケーブルテレビ等を利用した「玄海原子力発電所 緊急安全対策 県民説明番組」を放送した。
(これ自体について、色々問題があるが、ここでは取り上げない。)
(2)この「説明番組」で、九州電力が関係会社の社員らに運転再開を支持する文言の電子メールを番組に投稿するよう指示していたことが今月初めに報じられた。
その際、九州電力はその事実を否定していた。
2011年7月2日(土)「しんぶん赤旗」
九電が“やらせ”メール
玄海原発再稼働求める投稿 関係会社に依頼 国主催の説明会
九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開に向け、経済産業省が主催した佐賀県民への「説明番組」で、九電が関係会社の社員らに運転再開を支持する文言の電子メールを番組に投稿するよう組織していたことが、1日までに関係者の証言や内部文書などでわかりました。県民の原発への疑問や不安に答える番組で、九電が“やらせ”メールを組織することは県民の世論をゆがめることになり、重大な問題です。
地元ケーブルテレビやインターネットで視聴できる説明番組「しっかり聞きたい、玄海原発」は6月26日に生中継で行われました。番組は、同省原子力安全・保安院や資源エネルギー庁の職員4人と大学教授が、国側が選んだ県民代表7人に安全性の説明や疑問に回答するというもの。
関係者の証言などによると、番組前の23、24日に九電の関係会社の社内ミーティングや社内文書で、「九州電力から、このようなお願いが来ている」として、「(原発の)運転再開に賛成する電子メールを放送時間中に番組に送れ」と指示が出されました。
その際、関係会社の管理職は「自宅からインターネットに接続して、番組の流れにあわせて運転再開を容認するメールを送るように」と方法を説明。文言について「一国民の立場で意見や質問を書くように」と、求めたといいます。
26日の放送では、放送中に届いた視聴者からの11通の電子メールやファクスが読み上げられました。その中では、「福島の事故の収束見通しがつかない中で、運転再開すべきでない」とする反対意見がある一方、「原発廃止で産業が海外流出し、子どもたちがどうなるのか、次の世代のことが心配」などといった容認論も目立ちました。
資源エネルギー庁によると、同番組にはメールが473件、ファクスが116件よせられたといいます。九電の関係会社は福岡など九州各地にあります。ファクスでは、佐賀県外からの投稿が発覚してしまうため、電子メールでの投稿を呼びかけたものとみられます。
本紙の取材にたいし九州電力は「そのようなことを関係会社に依頼するようなことは一切しておりません」としています。
玄海原発2、3号機は定期検査のため現在、停止中です。
許せない誘導
日本共産党の武藤明美県議の話 県民の率直な疑問に答えるべき番組が、運転再開の容認のために、九電関係者の声で誘導しようとするのはとんでもないことです。実際に番組を見た県民から不満もあがっています。この番組が県民への説明にならなかったことは明らかだと思います。
(3)ところが、九州電力は一転して「やらせ」事実を認め、一応謝罪した。
2011/07/06 21:29 【共同通信】
原発説明番組で九電やらせ 運転再開支持の意見要請
玄海原発の再稼働「説明番組」でのやらせメール問題で、記者会見する九州電力の真部利応社長=6日夜、福岡市中央区の九州電力本店
九州電力は6日、玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の再稼働に理解を得るため経済産業省が主催、6月26日にインターネットなどで中継した県民向け「説明番組」で、関係会社が社員らに対し、一般市民を装って運転再開を支持する意見を寄せるよう指示していたことを明らかにした。公平性が担保されるべき説明会で、当事者である九州電力が偏った意見形成を意図していたことに批判が起こるのは必至だ。
真部利応社長は6日、福岡市の本店で記者会見し「投稿をお願いしたのは間違いない。国の説明会の信頼を損ね申し訳ない」と謝罪した。
(4)九州電力の「やらせ」メールの噂は、番組前からあり、インターネット上などで書き込みがなされていたという。
スポーツニッポン[ 2011年7月6日 23:30
九州電力「やらせ」番組前からうわさ…ネットに書き込み
玄海原発再稼働に向けた説明番組をめぐる九州電力の「やらせ」については、番組が中継された6月26日以前からインターネット上などで疑惑がうわさされていた。
「明日の説明会で、九電がグループをあげて佐賀県民を装って発電再開容認のメールを送るよう業務命令が出されている」。6月25日、ネット上にこんな情報が書き込まれた。
参加の仕方などが詳しく記されていたため、報道各社が九電側に事実関係を問い合わせたが、広報が否定。だが、うわさは消えず、共産党の日刊機関紙「しんぶん赤旗」は7月2日付で「九電が“やらせ”メール」などと報じていた。
一方、九電の真部利応社長は6日の記者会見で「私が知ったのは今日だ」と述べ、問題を認識したのは6日の衆院予算委員会での質疑がきっかけだったと強調した。
(5)この問題について、海江田万里経済産業大臣は、国会で「言語道断の行為」などと答弁した。
毎日新聞 2011年7月6日 21時24分
九電やらせメール:海江田経産相「言語道断、極めて遺憾」
九州電力が協力会社にインターネットで原発の運転再開を支持する意見を寄せるよう呼びかけていた問題で、海江田万里経済産業相は6日、「さまざまな立場の方々から寄せられる率直な意見、質問に答える番組の趣旨を根本から損なう言語道断の行為で、極めて遺憾」との談話を発表。眞部利應九電社長に対し、資源エネルギー庁長官から厳重注意するとともに、原因究明と再発防止策の報告を指示した。
(6)確かに言語道断だ。
だが、それだけではなく、私は、さらに、2つの疑念を抱いている。
その一つは、今回の「やらせ」は九州電力が初めてやったものなのだろうか?
そのような「やらせ」、あるいはそれに類似することは、これまでも何度か行われたのではなかろうか?
そのような疑念が生じる。
組織的な「やらせ」は、急にできるものではない。
これまで、同じこと、あるいは類似のことが行われたからこそ、急な指示でもできたのではなかろうか?
噂が私の耳に入ってきている。
2.「やらせ」が九州電力の単独で行われたのか?
(1)私が抱いている疑念の第二は、「やらせ」を指示したのが九電だけなのだろうか、ということである。
更に言えば、政府あるいはまた財界政党(の議員)は、「やらせ」に全く関与していないのか、という疑念である。
(たとえ九州電力それ自体の体質的な問題だとしても、それは、以下の別の要因によって培われたものなのかもしれない。)
(2)原発は国策であると表現されてきたが、そう表現されるようになったは、長年政権政党であった自民党政権の下において、である。
財界政党である自民党の政治資金団体「国民政治協会」は、電力業界からの政治献金あるいは組織的な役員献金を受け取ってきたことは、すでに紹介した。
電力業界との癒着は自民党との関係だけにあるわけではない。
他にも幾つかあるが、ここで特に注目したいのは、政府との癒着関係である。
(3)これには、まず、高級官僚の電力会社への天下りがある。
朝日新聞2011年2月2日14時27分
「天下りあっせんでない」と枝野氏 東電顧問就任問題で
経済産業省資源エネルギー庁の石田徹前長官が1月に東京電力顧問に就任したことが「天下り」にあたるかどうかについて、枝野幸男官房長官は2日の記者会見で「(国家公務員の)退職管理基本方針に沿ったものであると経産省を通じて報告があった。再就職のあっせんはなかった」と述べ、省庁による天下りあっせんにはあたらず、問題はないとの認識を示した。
民主党政権は鳩山内閣が省庁の天下りあっせんを禁じ、菅内閣が昨年6月、再就職あっせん禁止の厳格順守などを定めた基本方針を閣議決定した。退官後4カ月余りで再就職した石田氏をめぐっては、菅直人首相が1月28日の参院本会議で「必ずしも天下りでないと言い切ることはできない。もう一度しっかりと経緯を調べてまいりたい」と答弁し、経産省が東電側に事情を聴くなど調査していた。
その結果、東電が石田氏に直接就任を要請しており、基本方針に反していないと判断した。
2011年4月10日(日)「しんぶん赤旗」
東電副社長はエネ庁幹部の指定席 塩川議員調べ 天下り禁止が必要
東日本大震災にともなう東京電力福島第1原発の未曽有の事故で、原発の安全のための規制機関を原発推進の官庁から切り離すことの重要性が浮き彫りになっています。こうしたなか、日本共産党の塩川鉄也衆院議員の調べで、東電副社長が原発推進官庁である経済産業省(旧通商産業省)幹部の「天下り」指定席になっていることがわかりました。
東電には、ことし1月1日付で、前資源エネルギー庁長官の石田徹氏が顧問として「天下り」したばかり。同氏の前に東電に天下りした旧通産省官僚は4人にのぼり、1962年からほぼ切れ目なく、東電に役員として在籍していたことになります。(表参照)
1957年6月、通産事務次官を退官した石原武夫氏は、古河電工(取締役、常務)を経て、62年5月に東電取締役に就任し、常務、副社長、常任監査役を歴任しました。
資源エネルギー庁長官、通産審議官などを務めた増田實氏は、東京銀行顧問を経て、80年11月に東電顧問に就任。常務、副社長を務めました。
資源エネルギー庁次長、経企庁審議官などを務めた川崎弘氏は、日本輸出入銀行理事を経て、90年12月に東電顧問に就任。その後、常務、副社長となりました。
同じく、資源エネルギー庁次長、通産省基礎産業局長、日本輸出入銀行理事などを歴任した白川進氏も、増田、川崎両氏と同様、99年10月、顧問として入社後、副社長まで務めました。
天下りは、2007年の国家公務員法改悪までは、「原則禁止」でしたが、禁止期間は2年間だけ。石田氏以前の天下り官僚が、いずれも退官後、銀行顧問など他の企業ですごした後に天下りしているように「抜け道」がありました。
国公法改悪で、「原則禁止」から「あっせん禁止」となりました。昨年8月に経産省を退職した石田氏は、わずか4カ月後の東電顧問就任。民主党・菅直人内閣は、官庁側の「あっせん」がなかったから「天下り」に該当しないといいますが、天下りそのものです。
塩川議員は、「『指定席』ともいえる経産省と電力会社との癒着が、今回の福島原発事故の背景にあったことは明らか。今回の事故を踏まえれば、『あっせん』があったかどうかではなく、高級官僚が所管企業に再就職すること自体が天下りであり、明確に禁止するべきです」と話しています。

天下りは、東京電力だけではないようだ。
東北電力、九州電力が各6人
北海道電力、東京電力、北陸電力、関西電力が各5人
沖縄電力が4人
中部電力、中国電力、四国電力が各3人。
10電力会社で計45人だという。
2011年4月18日(月)「しんぶん赤旗」
経産省から電力会社に天下り 東電など6社に在職 塩川議員調査
東京電力の副社長が、監督官庁の経済産業省ОBの天下り「指定席」になっていることに枝野幸男官房長官も「社会的に許されぬ」とのべるなど、天下り規制の必要性が浮き彫りになっています。こうしたなか、日本共産党の塩川鉄也衆院議員の調べで東電をふくむ6電力会社の役員に経産省ОBが在職中であることがわかりました。
塩川氏によると、これまで電力会社ごとに天下りした数は、東北電力、九州電力が各6人、北海道電力、東京電力、北陸電力、関西電力が各5人、沖縄電力が4人、中部電力、中国電力、四国電力が各3人。10電力会社で計45人にのぼります。
東電同様、どの電力会社も、ほぼ切れ目なく、経産省(旧通産省)幹部が天下りしていることが特徴です。
たとえば、関西電力が、井上保通商産業省公益事業局長(顧問→取締役→常務→副社長)▽柴田益男資源エネルギー庁長官(顧問→専務→副社長)▽長田英機中小企業庁長官(顧問→取締役→常務→副社長)▽岩田満泰中小企業庁長官(顧問→常務→副社長)▽迎陽一経産省商務流通審議官(顧問→常務)といったぐあいです。
45人のうち、現在、電力会社に在職中の天下り官僚は、前資源エネルギー庁長官の東電・石田徹顧問、関西電力の迎常務のほか、北海道電力の山田範保常務、北陸電力の荒井行雄常務、四国電力の中村進取締役、沖縄電力の遠藤正利取締役の計6人です。
東電の福島第1原発などをはじめ、北海道電力―泊原発、北陸電力―志賀原発、関西電力―美浜原発、大飯、高浜の各原発、四国電力―伊方原発と、各電力会社はこぞって原発を推進しています。
「原発、原子力の安全を指導監督する行政の側と、指導監督を受ける側との間に癒着を生じているというような国民的な疑義がいささかもあっては許されるものではない」。枝野官房長官は、13日の衆院内閣委員会での塩川氏の追及にこう答えました。
四国電力の中村常務が、経産省の原子力安全・保安院主席統括安全審査官だったように、天下りは癒着そのものです。福島原発事故の教訓からも、天下りの厳格な禁止が求められています。
(4)政府との癒着の問題としては、以上の「天下り」だけではなく、電力会社の「天上がり」もある。
2011年5月28日(土)「しんぶん赤旗」
政府に東電社員36人 在籍出向 まるで霞が関出張所 吉井議員が指摘
東京電力から政府への在籍出向者が36人にのぼる実態が27日の衆院経済産業委員会で明らかになりました。日本共産党の吉井英勝議員が取り上げたもの。吉井氏は「まるで東京電力の霞が関出張所。官民癒着といわれてもしかたない」と批判し、きっぱりやめるよう求めました。
在籍出向は、内閣官房の副長官補、内閣府の原子力安全委員会事務局、高速増殖炉「もんじゅ」の開発にかかわる文部科学省原子力研究開発課など原子力・電力政策関係部門に集中しています。
吉井氏の質問に対して政府は、東電からの在籍出向は、内閣官房12人、内閣府15人(現在3人)、文科省9人(現在2人)にのぼると答弁。さらに全電力会社からの在籍出向数は内閣官房が20人、内閣府が65人(電力関係公益法人含む)、文科省が14人(03年以降)と答えました。約100人の電力会社からの在籍出向のうち東電からの採用が3割を超えています。
吉井氏が「企業に在籍のまま、公募もせず、前任者が東電に戻ると次の人が翌日から採用される構造が続いている」と指摘すると、海江田万里経産相も「おかしなものがある」「官房長官ともよく相談して本来の官民交流の趣旨が徹底されるよう検討したい」と述べざるをえませんでした。
吉井氏は、経産省には東電の在籍出向者はいないものの、東電への天下りが極端に多いことをあげ、在籍出向と合わせて、「官民癒着が原発利益共同体の重要な一部を形成している」とあらゆる癒着を断ち切るよう要求。海江田氏は「官民交流が癒着とか利権構造の中に組み込まれていることはあってはならない」と答弁しました。

「天上がり」も東京電力だけではないようだ。
少し古い記事であるが、紹介しておこう。
2002年9月24日(火)「しんぶん赤旗」
原発の損傷隠しなど甘いはず… 電力各社→官庁へ 「天上がり」5年間で45人
原子力発電所の損傷隠しが中部電力、東北電力にも広がるなど、経済産業省原子力安全・保安院の電力会社への甘い姿勢が問題になっていますが、東京電力など電力各社から官庁へのいわゆる「天上がり」が、この五年間で四十五人にのぼることが本紙の調べで明らかになりました。
東電20人、関電は11人
日本共産党の要求にもとづく各省庁の予算委員会提出資料によるもの。一九九七年度から年度ごとに報告されており、最終時点は昨年十二月末現在。
これによると、内訳は、東京電力が二十人でもっとも多く、関西電力十一人、中部電力七人、東北電力、四国電力各三人、日本原子力発電一人。省庁別では、内閣府十八人、外務省十六人、内閣官房五人、財務省三人、厚生労働省二人、国土交通省一人(別表参照)。外務省十六人のうち、八人が常勤のほかは、すべて非常勤職員でした。
このうち、原子力安全委員会が置かれている内閣府には、政策統括官(科学技術政策担当)付の「参事官(原子力担当)付」として、東京電力、関西電力、日本原子力発電の各一人が入っています。同「参事官(原子力担当)付」には、電力会社だけでなく、東電福島第一原発4号機のデータ虚偽記載問題で隠ぺいに加担した日立製作所も二人います。
また、外務省の科学原子力課や国際エネルギー課にも、関西電力五人、東京電力二人が所属しています。
「天上がり」は、企業を監督する行政官庁に営利企業の社員が「人事交流」の名のもとに「任用」されます。官民癒着の温床になっており、行政の公正な執行を確保するうえで大きな問題があります。
電力会社からの「天上がり」
《内閣府》18人(行政改革会議事務局1、調査局6、国民生活局2、経済研究所3、政策統括官6)
《内閣官房》5人(中央省庁再編等基本法案準備室、行政改革推進事務局、都市再生本部事務局=各1、情報通信技術(IT)担当室2
《国土交通省》1人(道路局)
《財務省》3人(大臣官房)
《外務省》16人(国際エネルギー課、無償資金協力課=各3、科学原子力課4、在外大使館、気候変動枠組条約室、国際経済第二課=各2)
《厚生労働省》2人(労政局1、職業安定局1)
旧通産省から役員に天下り
損傷隠し電力3社
原子力発電所の損傷隠しをしていた東京電力など三電力会社に、監督官庁の旧通産省OBが天下りしていたことが二十三日、分かりました。
今年三月決算の有価証券報告書によると、東京電力、中部電力、東北電力の三電力会社の役員に、旧通産省OBが各一人就任しています。
東京電力の白川進氏は、旧通産省資源エネルギー庁次長、大臣官房総務審議官、基礎産業局長などを歴任後、日本輸出入銀行理事をへて、一九九九年十月、同社顧問に就任。二〇〇〇年六月に取締役東京西支店長、現在は取締役神奈川支店長です。
中部電力の水谷四郎氏は、経済企画庁日銀政策委員、旧通産省生活産業局長の後、二〇〇〇年七月に同社支配人企画部部長に就任。現在は、取締役静岡支店長をつとめています。
東北電力の佐々木恭之助氏は、旧通産省退職後、九八年七月に同社顧問に就任。取締役経営管理部長をへて、現在、常務取締役福島支店長となっています。
(5)民主党政権は、このような癒着の構造が根絶されない中で誕生し、その構造を継承している。
また、民主党には、原発推進の電力総連出身の2人の国会議員がいる。
もちろん、原発推進政党は、自民党や民主党だけではありませんが、とりあえず、自民党と民主党の二大財界政党との関係は重要である。
(6)以上のような癒着の構造を考えると、九州電力の「やらせ」には、政府あるいはまた財界政党(の議員)が関与しているのではないか、と疑念が生じるのである。
3.私の要望
(1)関係者は、是非とも、以上の私の2つの疑念を払拭する説明をしてほしいものである。
(2)それとは別に、さらに、ここでは少なくとも2つのことを要望したい。
一つは、電力会社の「組織的な」役員献金を許さないためにも、まず、癒着の温床である企業・団体献金を「全面」(一部ではなく)禁止することである。
(3)もう一つは、電力会社の場合に限らず、各業界との癒着の温床である「天下り」・「天上がり」を根絶してほしい、ということである。
(4)この2つについては、たとえ今回の「やらせ」に政府や財界政党(の議員)が「直接」関与していなくても、本来、断行すべき改革だろう。
パフォーマンス政治家・菅直人のパフォーマンスに乗らないのが問題である。