(1)玄海原発に関する国主催の県民説明番組をめぐる九州電力のいわゆる「やらせ」問題については、天下りや天上がりなど「癒着の構造」の問題に注目して、これまで、このブログで取り上げてきた。

だからこそ、九州電力の「やらせ」は、過去にも行われていた

九州電力の「やらせ」は常習的なものなのだろう。

(2)この癒着の構造は、政権与党であり続けてきた自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、九州電力など電力会社が役員献金という形で組織的に行われていることによっても、形成されてきた。

この点については、以下の配信記事も重要である。
2011/07/23 02:02 【共同通信】
自民個人献金、72%が電力業界 09年、役員の90%超 

 自民党の政治資金団体「国民政治協会」本部の2009年分政治資金収支報告書で、個人献金額の72・5%が東京電力など電力9社の当時の役員・OBらによることが22日、共同通信の調べで分かった。当時の役員の92・2%が献金していた実態も判明した。電力業界は1974年に政財界癒着の批判を受け、企業献金の廃止を表明。役員個人の献金は政治資金規正法上、問題ないが、個人献金として会社ぐるみの「組織献金」との指摘が出ている。福島第1原発事故を受け、原子力政策を推進してきた独占の公益企業と政治の関係が厳しく問われそうだ。


(3)「癒着の構造」は、全国的なものだけではなく、各地域においても存在する。

古川康・佐賀県知事の政治団体にも九州電力の役員献金が行われていた。

それゆえ、佐賀県が九州電力の「やらせ」問題を事後でさえ調査しなかったことにも、地方版の「癒着の構造」が反映しているのだろう。

(4)それどころか、佐賀県知事が、九州電力幹部と面談した際に「やらせ」を要請する発言をしていたのではないかとの疑惑が出てきた。
九州電力側がメモを残していたからである。
=2011/07/31付 西日本新聞朝刊=2011年7月31日 01:41
佐賀知事発言 社員に送付 第三者委会見 経産省に報告せず

 九州電力の「やらせメール」問題で、社外有識者でつくる第三者委員会の郷原信郎委員長は30日、福岡市内で記者会見し、九電幹部が、佐賀県の古川康知事と面談後に知事発言をメモに残し、メールで社員約100人に送信していたことを明らかにした。「メモは、知事が九電に対し(賛成意見を出すよう)対応を求めたように取られかねない内容になっている」と指摘した。第三者委員会は今後、事実関係やメール送信された経緯を調べる方針。
 九電はやらせメール問題が発覚した直後に社内調査でメモの存在を把握していたが、「メモの内容と出席者の記憶が一致しない部分がある」などとして、14日の経済産業省への調査報告書には記載していなかった。
 郷原氏による27日の聞き取りに対し、古川知事は「経済界の賛成意見が番組を通じて表に出るよう九電側に話した」と説明。しかし、九電がメールで送った知事発言のメモには「経済界」との文言はなく、「ネットやメールを通じて賛成意見も集まるようにしてほしい」と、知事自身が九電に求めたともとれる内容という。メモ自体は「調査中の今公表するのは適切ではない」として公表しなかった。
 郷原氏によると、メモは副社長(当時)が佐賀支店長(同)に作成を指示。課長級社員がメールに添付し、原子力部門の社員ら約100人に送付した。

佐賀県知事の発言をまとめた九州電力のメモは、以下のようなものだという。、
※九州電力が9日、県議会原子力安全対策等特別委に提出した知事発言メモの全文は以下の通り。(メモ内の空白や右寄せ部分等は、サイト編集上一部左寄せした)

◇  ◇  ◇

関係者外秘 平成23年6月21日

段上副社長・諸岡常務退任挨拶メモ

1.日時 平成23年6月21日8:50〜9:15
2.場所 知事公舎
3.挨拶先 佐賀県古川知事
(当社)段上副社長、諸岡常務、大坪支店長
4.内容 副社長、常務から退任の挨拶を行った後、懇談に入った。

以下、古川知事発言のみ記載

○発電再開に向けた動きを一つ一つ丁寧にやっていくことが肝要である。
とりあえず、「国主催の県民向け説明会」を26日(日)午前中に開催することになった。
その後、月末から来月初めにかけて「経済産業大臣に来県」いただく予定である。

○20日から始まったIAEA閣僚級会議にも注目しており、国には「IAEAから緊急時対策を評価するコメント」を出してもらえるよう説得工作すべしと進言しているが、国側は「今回は裁かれる側の立場なので言いにくい」と頼りない返答ぶりであった。

○「国主催の県民向け説明会」は、ケーブルテレビやインターネットで中継し、県民の代表者5人程度が質問する形で開催する予定である。
・県民5人の構成をどうするかだが、一人は商工会議所の島内専務理事を予定している。
・反対派も一人入れようかと考えたが、反対を標榜する人達にもいろいろな考えがあり、複数のグループから代表者を一人選抜することが難しいとのことであったため、残りは県民代表として普通の参加者を選ぶことになるであろう。(イベント企画会社が運営する予定)
・普通の人に素朴な疑問をぶつけてもらうのが会の趣旨に沿うことになると思う。
反対派はかなり勉強もしており、専門的議論になってしまうと、一般県民にはつまらなくなる懸念がある。

○県民の不安は原子力発電そのものではなく、目に見えない放射線への恐怖に対してである。
それに答えるべき保安院は全く信用を失っている状況。
そのような不安に答えてもらうために長崎大学の放射線医学の専門家に同席してもらうことも考えているが、国主催の説明会なので難しいかもしれない。(専門家の承諾が貰えないかもしれないとのこと)

○今後の動きに関連して、以下の2点を九電にお願いしたい。
(1)自民党系の県会議員さんはおおかた再稼働の必要性について分かっているが、選挙を通じて寄せられた不安の声に乗っかって発言している。
議員に対しては、支持者からの声が最も影響力が大きいと思うので、いろいろなルートで議員へ働きかけをするよう支持者にお願いしていただきたい。
(2)「国主催の県民向け説明会」の際に発電再開容認の立場からも、ネットを通じて意見や質問を出して欲しい。(6月2日の県執行部に対する 保安院説明時と同じ対応をお願いしたい)

○このような段取りを踏んでいく際、危惧される国サイドのリスクは「菅総理」の言動である。
発電再開に向けての総理自身のメッセージが発せられない。全国知事会議では、発電再開に向けてのメッセージを読み上げる予定で、経産省とすりあわせた原稿が用意されていたのに、その場になって読み上げてくれなかった。
6月末から7月にかけて「菅さん」が首相のままかどうか分からないが、首相の言動で考えているスケジュールが遅れることを心配している。

以上

(5)ところで、九州電力原子力発電本部の副本部長がプルサーマル発電関連の書類を廃棄するよう指示していたことが、判明した。
毎日新聞 2011年8月10日 東京夕刊
九州電力:原発やらせメール 副本部長指示で九電が資料廃棄 第三者委調査で判明

 九州電力の「やらせメール問題」に絡み、同社原子力発電本部の中村明・副本部長が、同本部と佐賀支社に保管されていたプルサーマル発電関連の書類を廃棄するよう指示していたことが、九電第三者委員会の調査で分かった。実際に廃棄された書類の中には、国への報告対象となっていた説明会の資料も含まれており、第三者委は悪質な隠蔽(いんぺい)工作があったとみて、詳しく調べる。
 第三者委の郷原信郎委員長が9日、福岡市内で会見を開き、明らかにした。それによると、中村副本部長は社内調査で7月21日に求められた、05年10月の玄海原発(佐賀県玄海町)におけるプルサーマルに関する説明会の書類について、「個人に迷惑がかかる資料は抜いておけ」と部下に指示。廃棄された書類の分量などは不明という。郷原委員長は、副本部長の言う「個人」について、「政治家や県、国の関係などが考えられる」と述べた。
 九電のやらせメール発覚を機に、経済産業省は全国の電力会社に過去の国主催の説明会での動員実態などを明らかにするよう求めていた。05年10月の説明会も対象で、九電は7月29日に調査結果を報告していた。しかし、調査段階で隠蔽があったことになるため、報告の信ぴょう性も疑われることになる。
 また、副本部長は8月5日、第三者委から提出を求められた、佐賀支社のプルサーマル関連資料の廃棄も指示。だが内部通報で第三者委が廃棄場所に残っていたファイル15冊を回収、廃棄を防いだ。
 中村副本部長はやらせメール発覚前の7月4日、鹿児島県議会で「そうした事実はない」とメール問題について虚偽答弁していた。【中園敦二、小原擁】

そして、廃棄を指示された資料には、佐賀県議会議員が九州電力に就職の斡旋や寄付の要求などをしていたことが書かれていたようだ。
毎日新聞 2011年8月17日 10時21分
九電廃棄指示資料:佐賀県議ら就職あっせん、寄付要求

 九州電力の「やらせメール」問題に絡み、原子力発電本部副本部長が廃棄を指示していた玄海原発(佐賀県玄海町)のプルサーマル発電資料の中には、佐賀県議らが九電に就職あっせんや寄付を求めたり、タクシー代わりの車を要求していたことなどが分かる記録が含まれていることが、関係者の話で分かった。
 九電幹部から恒常的に寄付を受けていたことが明らかになっている古川康知事だけでなく、プルサーマル導入など原発を巡る施策を中立的に判断すべき議員も九電に依存していた実態が浮き彫りになった。
 関係者によると、副本部長は7月下旬と8月5日、同本部と佐賀支社の社員に「個人に迷惑がかかるメモは抜くように」と指示。この中には県議らが九電社員に「集まりがあるので車を出せ」と要求したり、地域の祭りへの寄付を求めたりする記載があったという。
 また、玄海原発の職員にも同様の廃棄指示をしていたことが新たに分かった。ただ、同原発には廃棄対象となる資料がなかったため、実際に捨てられたものはなかったという。【小原擁】

(6)佐賀県知事の発言をメモしていた九州電力の幹部ら3人が今月(2011年8月)23日佐賀県議会原子力安全対策等特別委員会に参考人招致されることになっていた。
佐賀新聞2011年08月17日
メモ作成の九電幹部ら3人を23日に招致 県議会特委

 玄海原発に関する国主催の県民説明番組をめぐる九州電力の「やらせメール」問題で、番組前に古川康佐賀県知事と面談した九電幹部3人が23日の県議会原子力安全対策等特別委員会に参考人招致されることが16日、特別委理事会で正式に決まった。知事発言のメモ12 件を作成した大坪潔晴佐賀支社長(当時佐賀支店長)ら当事者3人が問題発覚後、公の場で説明するのは初めて。古川知事が9日の特別委で説明した内容と九電メモとの違いについてどう証言し、議会がどこまで「真相」に迫れるかが焦点となる。
 招致要請に応じたのはメモ作成を指示した段上守元副社長、原子力発電本部長だった諸岡雅俊元常務、大坪支社長の3人。段上、諸岡両氏は6月末で九電を退任し、それぞれ大分県内の関連会社社長に就いており、15日夜に九電を通じて出席を返答した。
 23日の特別委は九電メモの信憑(しんぴょう)性と、知事説明との整合性が大きなテーマ。九電側はこれまでメモ内容は「不正確な文章作成で誤解を招いた」(真部利応社長)と知事を擁護、古川知事も内容は「九電12 件の誤解」と主張している。
 3人は番組5日前の6月21日朝、知事公舎で面談した。古川知事が「再稼働を容認する意見を出すことも必要。声の出し方としてメールやネットもある」などと発言。大坪氏が面談後に作成し、一部社員にメールで回覧された知事発言メモ12 件には、再稼働容認意見の投稿要請や議会工作と取られる記述があり、知事発言が「やらせメール」を誘発した可能性が出ている。
 これに対し、古川知事は9日の特別委でメモの項目について話したことは認めたが、「全体のニュアンス、趣旨や真意が相当違う」と反論、やらせ要請や議会工作の依頼を全面否定した。当日まで非公表だった番組出演者名を事前に話したことは「しゃべりすぎた」と非を認めている。
 九電の第三者委員会は、知事発言が「引き金になった可能性は十分にある」と指摘して調査中。大坪氏は「メモは不正確」と社内調査に説明している。県は15日、九電メモに対して知事が特別委(9日)で説明した要旨の一覧表を議会に配布した。
 23日に九電12 件側の3人がどう証言するのか。県議側は要請の有無などメモ内容の事実確認や公舎で面談した理由、メモが社内に出回った経緯などを質問する見通し。メモと知事説明の整合性について、各議員がどう判断するかが注目される。
 当日は自民、県民ネット、諸会派の各代表が質問に立つ。質問者を各会派1人か、2人にするかは19日の理事会で調整する。

(7)その当日、佐賀県議会原子力安全対策等特別委員会の委員長(自民党)の政治団体が2009年、九州電力の幹部ら6人から計5万円の献金を受けていたことが報じられた。(朝日新聞福岡本社版では、私のコメントが紹介されていると思うが、以下、紹介されていないインターネット版の記事を紹介する。)
朝日新聞2011年8月23日7時26分
自民佐賀県議に九州電力献金 幹部6人から計5万円

 佐賀県議会原子力安全対策等特別委員会の木原奉文委員長(自民)の政治団体が2009年、九州電力の幹部ら6人から計5万円の献金を受けていたことが分かった。木原氏は自民党県連の元幹事長で、現在は九電の「やらせメール」問題などを審議する立場。取材に対し、返金する意向を示している。
 特別委は23日、やらせ問題解明のため九電幹部3人を参考人招致し、事情を聴く予定。九電幹部らの献金は、古川康・同県知事の政治団体も06〜09年に計42万円を受け取っており、議会側にも及んでいたことで、玄海原発(同県玄海町)などに関する判断の中立性に疑問の声が出そうだ。
 木原氏の政治団体「きはら奉文後援会」の09年の政治資金収支報告書によると、当時の原子力管理部長が2月に2万円、佐賀支店(現佐賀支社)の支店長が1万円、副支店長や支店の原発担当部長ら4人が各5千円を寄付。いずれも個人名で献金していた。
 当時の原子力管理部長は現・原子力発電本部副本部長の中村明氏(上席執行役員)。今年7〜8月、やらせ問題を調べる九電の第三者委員会から提出を求められた資料について、社内で廃棄を指示したとされる。
 木原氏は現在5期目。05年、県議会の自民党などが玄海原発のプルサーマル計画を学ぶため設けたエネルギー問題研究会では会長に就いた。自民党などは06年、計画を進める決議案を提出し可決されている。木原氏は県議会で「計画を推進する立場から質問する」と述べるなど、計画賛成の姿勢を明確に示してきた。
 自民党県連では05〜07年に政調会長、今回の献金を受けた直後の09年4月〜今年5月に幹事長を務めた。同月には東京電力福島第一原発事故を受け、県議会が新設した原子力安全対策等特別委の委員長に就いた。

この献金した九州電力役員数と献金額は9人で6万5000円であったことが判明したようだ。
(2011年8月24日 読売新聞)
原子力特別委長の佐賀県議、九電側献金は9人から

 県議会特別委の木原奉文委員長(58)(自民)の政治団体が九電幹部から個人献金を受けていた問題で、新たに3人の献金が23日確認され、2009年に献金した九電幹部は計9人で、金額は6万5000円となった。
 献金した一人は取材に対し、「時期は覚えていないが、個人的にやっただけで会社とは関係ない」と話した。木原氏は「原子力問題を真剣に議論する委員会に早く戻るよう、委員長を辞任したい」と語った。

(8)当該委員長を務める議員側が九州電力役員から政治献金を受け取っていたのでは、佐賀県知事と九州電力の癒着の問題を厳しく追及できないだろうし、委員長として中立的な委員会運営は期待できないだろう。

政治団体が政治献金を受け取っていた議員は、委員長を辞任するようだ。

(9)県議会原子力安全対策等特別委員会での佐賀県知事の答弁と九州電力幹事の説明は、類似しているようだ。
佐賀新聞2011年08月24日
知事発言と九電の証言を比較 類似点目立つ

 九州電力の「やらせメール」問題で、九電幹部ら3人を招致した佐賀県議会特別委員会。九電幹部は、古川康佐賀県知事との面談後に作成したメモについて「不正確だった」と繰り返した。9日の知事答弁との相違点より類似点が目立ち、追及した県議から「知事答弁に従った形で説明しようとしている」と指摘されるなど、疑念はぬぐえないままだった。古川知事の主張と九電幹部の説明を主な点で比較した。

《 》内は古川知事の9日の県議会原子力安全対策等特別委での答弁

       ◆   ◆    ◆

 ■発言メモの正確性

 《項目に異論はないが、内容やニュアンスは発言の趣旨や真意と相当違っている》

 大坪潔晴九電佐賀支社長はメモについて「知事の言い回しや単語などを正確に記載したものではない」と陳謝した。「忙しく、記憶に基づいて短時間で簡潔な表現で書いてしまった。一日も早く運転再開にたどりつきたいという思いを込めて強い表現になった」と説明。「知事の意図とは相当程度、異なったメモになってしまった」とした。段上守元副社長も「我々の思いも入った。知事が違和感を覚えるのも当然」とかばった。

 ■やらせ要請の有無
 《要請していない。再稼働を求める声が経済界にあるのなら出すべきという考えを述べた》
 メモには「県民向け説明会の際に、発電再開容認の立場からも、ネットを通じて意見や質問を出してほしい」と知事が要請したように記述されている。大坪氏は「多種多様な意見を届けてほしいというのは、かねてからの知事の持論。言葉をはしょって簡単に書いたため、要請した文章になってしまった」と弁明。「『意見を出せ』と要請されたとは思っていない」と、知事の働きかけを強く否定した。

 ■県議会への対応
 《支持者の声を議員に届けることも必要ではないかと言った。(再稼働の必要性を)働きかけることは九電に依頼してない》
 メモでは、知事が九電幹部に「自民党系県議は原発再起動の必要性を分かっている。いろいろなルートで議員への働きかけをするよう支持者にお願いしていただきたい」と依頼した形になっている。
 大坪氏は「知事が『お願いしたい』と言ったのではなく、『我々が何をしたいのか』ということを強く意識してメモを作成した」と、再び自身の落ち度を強調。「理解活動をしっかりやっていかないといけないと思っていて、『お願いしたい』とまとめてしまった」と答弁した。
 九電側の答弁は、知事を擁護する姿勢に終始。知事の「要請はない」という主張を裏付ける説得力はなかった。

これでは、佐賀県知事と九州電力幹部は、事前に答弁と説明を知り合わせたのではないかとの疑念が生じる。

(10)前述したように古川康・佐賀県知事の政治団体も九州電力の役員献金を受け取っていた。
古川康・佐賀県知事は元自治官僚で、父親は元九電社員。
知事選は九州電力が積極支援してきた。
ここにも、「鉄の三角形」という「癒着の構造」がある!
=2011/08/01付 西日本新聞朝刊=
佐賀知事選 古川氏九電から積極支援 集票や陣営運営

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働をめぐる「やらせメール」を誘発するような発言が問題になっている同県の古川康知事が、初当選から今年4月の3選まで全ての知事選で、九電佐賀支社から運動員の派遣や集票活動など手厚い支援を受けていたことが複数の関係者の証言で分かった。知事は九電幹部から個人献金も受けており、原発立地自治体のトップとして中立・公平な立場で再稼働を判断できるのか、論議を呼びそうだ。
 初当選した2003年の知事選は新人6人による保守分裂の激戦だった。知事の陣営関係者らによると、陣営から九電側に支援を要請。佐賀支店(当時、佐賀市)幹部の指示で1日2人前後の社員が選挙事務所に連日詰め、有権者に電話で支持を呼び掛けたという。
 古川知事は06年3月、玄海3号機のプルサーマル計画に正式同意。共産党候補との一騎打ちになった翌年の知事選でも、九電はやはり知事を積極支援したという。17日間の選挙戦でほぼ連日、管理職などが1日2人程度、交代で選挙カーの運転などを担当。今年4月の知事選でも法定ビラに証紙シールを貼る作業などに従事したという。
 九電は公的企業として特定候補の推薦はしない方針で、いずれの知事選でも古川知事を推薦していない。
 知事選への支援について、ある九電幹部は「玄海原発を引き受ける佐賀県は九電にとって重要。知事への貢献は支店幹部に対する社内評価の基準の一つ」と明かす。古川知事の父は元九電社員だった。陣営関係者は「そうしたつながりもあって、九電から強い協力を得られたのでは」と語る。
 選挙協力について佐賀支社広報グループは「個人の意思で行っており、会社として承知していない」と回答。古川康事務所の鶴丸岩男所長は「今年の選挙では支店(当時)の管理職が手伝いに来たが、個人ボランティアと認識している」とコメントした。7月30日の会見で、古川知事は九電の支援について「政治姿勢に共感し、企業や団体の方が参加するのは問題ない」と語った。
 また、九電の歴代支店長や玄海原発所長など7人は06−09年、古川知事の後援会に計約40万円を個人献金していた。知事は、九電のやらせメール問題に絡み、経済界から再稼働肯定の声を上げるよう九電側に働き掛けたことを明らかにした。

■“利益共同体”の関係
 佐賀大の畑山敏夫教授(政治学)の話 組織ぐるみの実質的な企業選挙といえる。個人献金も含め、電気事業者と知事が“利益共同体”としてもたれあってよいのか。立地自治体の首長として原発事故などが発生した際、中立の立場で厳しい判断ができるのか。県民にそんな疑念を抱かせる関係は日ごろから慎むべきだ。