はじめに

(1)「野田政権が財界政治を強行できるワケ(菅内閣不信任劇を振り返って)」の「その1」では、「原発推進」について投稿した。

久しぶりに投稿した「その2」では、アメリカや日本の財界の要求に応えるために、改憲政党などが再び改憲論議を開始し、憲法審査会が始動したこと等を取り上げた

また、「その3」では、日本政府のTPP交渉参加について取り上げた。

(2)以下では、この連載の「その4」として、消費税の税率引き上げについて取り上げる。


1.野田内閣が消費税率の引き上げへ!

(1)財界は法人税の税率引き下げを求めると同時に、その穴埋めのために消費税の税率を引き上げる求めてきた。

例えば、日本経団連「税・財政・社会保障制度の一体改革に関する提言 〜安心で活力ある経済社会の実現に向けて〜」(2008年10月2日)を参照。

(2)また、政権交代前、自民党は消費税を現在の5%から10%に引き上げることを決めていた。
もっとも、今の自民党は、政局重視のようだ。
朝日新聞2012年1月7日23時58分
自民「消費増税は公約」 与野党協議の拒否にジレンマ

 自民党は野田政権が呼びかける消費増税に向けた与野党協議を拒否する姿勢を崩していない。ただ、もともと「消費税10%」は自民党の公約。党内には「反対一辺倒でいいのか」との声もあり、最後まで拒否できるのかジレンマも抱える。
 自民党の谷垣禎一総裁は7日、党京都府連の新年会で消費増税について「協議してくれと話があっても、政治にはけじめが必要だ」と述べ、応じない考えを強調。一方で「首相が決断すれば、大きな方向での協力は必ずできてくる。我々は政治の方向を作り出すことに全力を尽くしたい」として、将来的な協力の可能性もにじませた。
 谷垣氏は昨年、消費増税は民主党のマニフェスト違反として増税法案の提出前に、衆院解散・総選挙を要求した。ただ、今月4日の記者会見では「国民の信頼を問い直すという前提があれば、いろいろな話ができると思う」と指摘。法案成立に協力する代わりに衆院解散で合意する「話し合い解散」の可能性に触れた。


(3)一方、民主党はこれを公約せずに、2009年総選挙で勝利し、政権を奪取した。
ところが、民主党政権は、公約違反に向けて動き出した。

野田首相は、G20首脳会議で、2010年代半ばまでに消費税を段階的に10%まで引き上げるための法案を来年の通常国会に提出する考えを示した。
ロイター2011年 11月 4日 09:51 JST
G20で為替介入の説明、消費税引き上げ方針も表明=野田首相

 [カンヌ 3日 ロイター] 20カ国・地域(G20)首脳会議に出席している野田佳彦首相は、全体会合初日の討議で、10月31日に3カ月ぶりに行った為替介入について説明し、各国の理解を求めたことを明らかにした。
 また、2010年代半ばまでに消費税を段階的に10%まで引き上げるための法案を来年の通常国会に提出する考えを示し、将来の消費税引き上げ方針を国際会議で正式に表明した。カンヌで記者団に語った。 
 円高への対応について野田首相は「昨今の円高は投機的で無秩序な動きがあるのではないかという懸念を持ち、日本経済の下振れリスクが顕在化する状況が生まれていたことを踏まえて介入を実施した。これは従来からG20で確認してきている過度な変動、無秩序な動きにあたるという認識のもとで行った」と説明したことを明らかにした。これに対して、各国からは「何のコメントもなかった」と語った。 
 また、消費税率の引き上げに関連して野田首相は「法案を通して、引き上げの実施前に国民に信を問いたい」と述べ、来年1月召集の通常国会で法案を成立させたうえで、引き上げを実施する前に衆議院の解散・総選挙を行う考えをあらためて示した。自民・公明両党は必要な法案を来年の通常国会に提出する前に衆議院の解散・総選挙を行うよう求めているが、野党の主張を退けた。

NHK11月8日 19時41分
“野党合意なくても法案提出”

 野田総理大臣は、衆議院予算委員会で、社会保障と税の一体改革に伴い、2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで引き上げるために必要な法案について、野党側の合意が得られない場合でも今年度中に閣議決定し、国会に提出する考えを示しました。
 この中で野田総理大臣は、社会保障と税の一体改革に伴い、消費税率を引き上げるために必要な法案について「与野党が共通認識を持ち、『これだ』というものを作りたいので、多くの政党に共有してもらえればありがたい。しかし、そうでない場合にも、閣議決定して法案を提出することは政府与党の責任だ」と述べ、野党側の合意が得られない場合でも今年度中に閣議決定し、国会に提出する考えを示しました。
 これに関連して、安住財務大臣は「消費税率を段階的に引き上げた場合、どこかの時点で低所得者対策としてのセーフティーネットを作らなければならず、議論を早急に開始し、年末の税制大綱をまとめるまでに何とかしたい」と述べ、消費税率を引き上げた際の、低所得者向けの対策を検討する考えを示しました。(略)。

(4)野田首相は、昨年(2011年)12月初めに、TPPと同様に消費税率の引き上げでも「不退転の覚悟」を表明した。

(5)政府税制調査会は昨年12月21日、作業チームが消費増税の課題と改革の方向性を提示した。
東京新聞 2011年12月22日 朝刊
消費税2段階上げ例示 政府税調

 政府が年内の素案決定を目指す「社会保障と税の一体改革」で、政府税制調査会は二十一日、全体会合を開き、関係各省の副大臣らによる作業チームが消費増税の課題と改革の方向性を提示した。最大の焦点となっている税率の引き上げ幅や時期は具体的に明示しなかったものの、二段階の引き上げ案を例示。政府・民主党は二〇一三年十月に8%、一五年四月に10%とする案を軸に検討していく考えだ。
 政府税調は今後、これを基に大詰めの議論を進め、二十四日に政府税調としての案をまとめた上で、民主党税調に答申する方針。
 低所得者ほど負担感が増す「逆進性」対策では、食料品など生活必需品の税率を低くする「軽減税率」は中小企業の事務負担が増すことなどから、導入を見送ることを明示。国民一人一人に個別の番号を割り当てる「共通番号制度」が定着した時点で、課税最低限以下の低所得者らに現金を還付する「給付付き税額控除」の導入を目指す。共通番号は一五年一月から運用を開始する見通し。
 価格表示については、値札やチラシで価格を表示する際、消費税額を含めた価格とする「総額表示」(内税方式)を維持する方向で調整。価格表示の方法を切り替えに伴う事業者のコスト増に配慮したという。
 また、本来国庫に入るべき消費税が事業者の手元に残る「益税」を解決するため、「簡易課税制度」など中小事業者向けの特例措置を縮小する方針もあらためて示した。

(6)安住財務大臣は2015年に消費税率を10%にすることを前提に、段階的に引き上げていきたいという考えを明らかにした。
NHK12月24日 17時45分
財務相 消費税2015年に10%

 安住財務大臣は24日、NHKのインタビューに応じ、社会保障と税の一体改革に伴う消費税率の引き上げ時期について、「ゴールが2015年の10%というのは大体合意が得られている」と述べ、2015年に消費税率を10%にすることを前提に、段階的に引き上げていきたいという考えを明らかにしました。
 この中で安住財務大臣は、社会保障と税の一体改革に伴う消費税率の引き上げについて、「やはり1年でも早く税収を確保したいということもあるので、総合的に勘案して、この年末にわれわれとしての案を提示したい」と述べ、具体的な時期や税率を盛り込んだ素案を年内をめどに取りまとめる意向を重ねて示しました。
 そのうえで、安住大臣は「ゴールは2015年の10%というのは大体合意が得られており、その間に段階を踏んだほうが経済に対する影響は比較的に少ないと思う」と述べ、2015年に消費税率を10%にすることを前提に、段階的に引き上げていきたいという考えを明らかにしました。
 政府はこれまで、消費税率の引き上げ時期について、10%とするのは「2010年代半ば」としていましたが、財務大臣が「2015年」と具体的に言及したのは初めてです。また安住大臣は、消費税率を引き上げた際の所得が低い人などへの負担軽減策も必要だとして、具体案を急ぐ考えを示しました。

毎日新聞 2011年12月30日 東京朝刊
消費税:14年4月に8%、15年10月に10% 増税半年延期、首相案を民主了承

 民主党は29日、税制調査会、社会保障と税の一体改革調査会の合同総会を断続的に開いた。野田佳彦首相も出席し、消費増税の時期を「13年10月に8%、15年4月に10%」としていた当初案を半年遅らせ、「14年4月に8%、15年10月に10%」とする修正案を示し、了承された。これで消費増税の民主党案が決まり、「政府・与党社会保障改革本部」が年明けにまとめる一体改革素案の内容が事実上、固まった。ただ、与野党協議の展望は開けておらず、来年3月の国会提出を目指す消費増税法案の先行きは見通せない状況だ。
 首相は同日午後、前原誠司政調会長や藤井裕久税調会長、安住淳財務相らと対応を協議。党税調は午後3時から総会を開いた。首相も午後6時半から出席し、「つらいテーマだが逃げてはならない。結論を先延ばしにはできない。政治家として集大成の思いだ」と異例の協力を要請。国会議員の定数を削減する法案や国家公務員の給与を削減する法案の成立を期す考えも示し理解を求めた。
 ただ、出席議員からは「今の経済情勢で増税すべきではない」などと異論が噴出。また、13年10月に引き上げれば、「衆院任期中は増税しないと掲げたマニフェストに違反する」との批判が出た。任期は13年8月までだが、増税の半年前に閣議決定する必要があることから違反するとの理屈だ。
 このため、総会を一時休憩し、首相は前原、藤井両氏らと協議、任期終了後に閣議決定をするとの内容に修正した。
 このほか、議員定数削減と公務員給与の削減を14年4月の消費税引き上げの前に行うと修正。了承された案には、低所得者向けに現金還付・給付などを行う「給付付き税額控除」の検討▽個人の住宅購入や医療法人の設備投資の際の負担軽減措置の検討▽景気が悪化すれば増税を停止できる「弾力条項」の設定−−なども盛り込んだ。政府税調で検討している所得税の最高税率引き上げについては「富裕層に絞って一定の負担を求める」との表現にとどめた。【小倉祥徳、赤間清広】

(7)消費税率の引き上げが10%で終わらない。
それは、財界が要求しているからだ。
(2011年1月11日21時05分 読売新聞)
消費税、17%に引き上げを…経済同友会提言

 経済同友会は11日、日本経済の活性化に向けた政策提言「2020年の日本創生」を発表した。
少子高齢化の進展や国際競争の波に対応するため、税財政と社会保障制度の抜本改革を11年度中にまとめるよう求めている。
 提言は、現在5%の消費税率を13年度に13%、17年度に17%まで2段階で引き上げ、改革に必要な財源を確保するよう求めた。17%の内訳は、10%分を年金財源とし、5%分を地方自治体、2%分を国の財源に充てる。同友会が以前から提言している新たな基礎年金制度では、20年度の 給付額が約33兆円にのぼり、10%分をこれに充てることにした。
 また、11年中に、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を表明し、早期に欧州連合(EU)と経済連携協定(EPA)を締結するよう政府に求めた。18年までに全国を11〜12の道州などに 再編する「道州制」の導入も求めた。

(8)案の定、政府内からも、財界の要求通りの発言が飛び出している。
2011/11/21 19:02 【共同通信】
将来の消費税「17%」も 五十嵐財務副大臣

 財務省の五十嵐文彦副大臣は21日、都内で講演し、将来的な消費税率について「17%くらいにならないと、うまく社会保障制度を運営していけないと思っている」との認識を示した。民主党が公約している最低保障年金などの制度改革が実現した場合、現行の年金制度より費用が掛かるためとしている。
 政府、与党は2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで引き上げる方針。税率引き上げのスケジュールについて五十嵐氏は「13年10月以降に1回目の引き上げをして7〜8%にする。論理的にはそうなる」と指摘した上で、15年4月か10月に10%へ引き上げる考えを示した。


2.小沢一郎元民主党代表らは「今は反対」にとどまる

(1)これに対し、民主党内では、消費税率引き上げに反対する動きがある。
小沢一郎元民主党代表らのグループである。
(2011年12月6日23時17分 読売新聞)
小沢氏「野田君が会いたいなら、僕は拒まない」

 民主党の小沢一郎元代表グループが6日、消費税増税反対を巡る動きを活発化させ始めた。
 元代表は同日、自らを支持する衆院当選1回生の会合で講演し、出席者約40人を前に「財源が足りないから消費税率を上げるというのでは国民は納得しないし、次の選挙では支持されない」と強調した。2回生以上でつくる「一新会」も国会内に約30人が集まり、社会保障政策などを学んだ。同会会長の鈴木克昌筆頭副幹事長は近く増税反対の署名活動を始める構えだ。
 小沢グループには選挙で「風」に左右されやすい衆院比例単独議員や支持基盤の弱い若手が多く、「首相が増税を強行するなら、離党して新党で戦いたい」との声も出ている。
 元代表は6日夜、東京都内の中国料理店で自らを支持する参院議員と会談し、「野田君(首相)が会いたいというなら、別に僕は拒まない」と述べ、増税問題で首相と会談する考えがあることを明らかにした。

NHK12月21日 8時47分
“消費税引き上げ反対”活発化

 野田総理大臣が年内をめどに素案の取りまとめを目指す社会保障と税の一体改革で、民主党は、消費税率の引き上げを含む税制部分の意見集約に向けた議論に入りました。これを受けて、党内では引き上げに反対する議員らが勉強会を発足させたり反対の署名を集めたりする活動を活発化させています。
 社会保障と税の一体改革で、社会保障部分の素案がまとまったことを受けて、民主党は20日から消費税率の引き上げを含む税制部分の意見集約に向けた議論に入りました。党執行部は、連日、会議を開き、引き上げの時期と幅、負担がより重くなる所得の低い世帯への対策として一定額を払い戻す「給付付き税額控除」を導入するかどうか、さらに引き上げの前提となる経済動向をどう規定するかなどについて、結論を得て、年内をめどに政府・与党の素案を取りまとめたいとしています。
 こうしたなか、小沢元代表はみずからに近い議員らで作るグループの枠を超えた新たな勉強会を21日に発足させることにしています。小沢氏は、この勉強会を通じて引き上げに反対する議員を結集し、野田総理大臣に政策の転換を迫っていくものとみられます。
 また、小沢氏に近い鈴木筆頭副幹事長が20日、藤村官房長官と会談し、消費税率の引き上げに反対する議員の署名が100人を超えていることを伝えたほか、田中慶秋副代表や原口元総務大臣らおよそ30人の議員も勉強会を発足させ、政府に慎重な対応を求めていくことを確認しました。民主党内では素案取りまとめのめどとされている年末に向けて、消費税率の引き上げに反対する議員らが活動を活発化させています。

これまで「原発推進」「改憲論議」「TPP交渉参加」について取り上げてきたが、小沢一郎氏らの反対としては、この消費税率引き上げへの反対が一番活発である。

(2)しかし、小沢氏が本気で消費税率引き上げに反対しているのか、私は半信半疑である。
結果を出すまでは期待しない。

まず、小沢氏は、そもそも消費税そのものに反対ではないからだ。
反対しているのは、消費税率を「今」引き上げること、である。

11月19日の政治評論家・田原総一郎氏との対談で、以下のように述べていた。
(略)
田原: もう1つあります。実は、野田さんが本当に怖がっているのは、山田さんや鹿野さんだけではないと。実は野田さんは、例えば2010年代の中頃、大体(20)15年ぐらいには消費税を10%にする。あるいは東日本大震災の復旧復興のために、10.5兆、法人税と所得税を増税する。これを今年いっぱいには多分やろうとしている。これには小沢さんが反対で、それが怖いから、何とか小沢さんの気に沿わないことを言わないようにという風にやってるんだと。こういう具合に新聞記者で野田さんなんかに食い込んでる連中が言ってるんですから。
小沢: だけど野田さんは外国に行ってもどこに行っても、消費税(の増税を)やるって言ってるでしょ。
田原: 小沢さんは反対でしょ?
小沢: 僕は今やるということは反対です。
田原: そこそこ。だから、小沢さんの顔色うかがって、いい加減にごまかしごまかししやったら、小沢さんも消費税増税を呑んでくれるんじゃないかと(野田総理は)思っている。
小沢: 消費税については我々は選挙の時に何て言ったかというと、行政、財政、この抜本的改革をして無駄を省いて、それを我々の新しい政策の財源にしますと。そして4年間は消費税増税はしませんということを国民の皆さんに言って来た。
田原: 確かに当時の首相の鳩山(由紀夫)さんはそう言いました。
小沢: そして、今まだ行財政の抜本的改革というのはほとんどできていないわけですよ。それをやらないでいて、お金がないから消費税(増税)というのは国民に対しての背信行為だと。だから僕は「賛成できない」と。
(略)
田原: それでね、TPPもさることながら、野田さんは財務省がバックにいるせいか、2010年代の中頃には消費税を10%にすると。多分これやるつもりですよ。さらにさっき言った東日本大震災の復興・復旧のために10.5兆円、これを法人税と消費税で取ると。これに小沢さんは賛成しますか?
小沢: ですから、消費税は僕は賛成できません
(略)
田原: それはいい。そうすると消費税は反対ですね。
小沢: 今やることはね。
田原: だから今やろうとしてるんですよ。
小沢: だからそれについては僕は賛成しません。
田原: だったら、野田さんも小沢さんの所へやってきて「消費税をやろうと思います、よろしくお願いします」って何で言わないんですか?
小沢: 言われても賛成できないですね。
田原: でも言わなかったらもっと賛成できないでしょう。
小沢: それはそうですけれども(笑)。
田原: どうするんだろう。小沢さんが反対すれば、きっと民主党の百何十人かは反対しますね。自民党も反対。通らないじゃないですか。
小沢: 消費税については、例えば僕の親しい人たちというだけじゃないと思います。そして消費税というのは都市も農村も無いですからね。
田原: 無いですよ。
小沢: 農村は特にひどいですけども。だから、今どの行財政改革も思い切ったことを何もやらずに、「財源はやっぱり無いそうですから消費税を上げます」というのは、僕は国民には通用しないと思いますがね。
田原: そんなことはあり得ない。
小沢: はい。
(略)
田原: ただ、もう1つ言いますと、もともと消費税は自民党時代にもっと上げなきゃいけなかったんです。消費税を上げないで来たから1,000兆円も借金、国債ができちゃったと。このまま、また消費税を上げないでいったら日本はギリシャに、イタリアになっちゃうんじゃないかと。
小沢: ですけど、僕らが言う行財政の抜本改革を本気になってやれば、一定の財源は出るんですよ。さっき言ったみたいに、例えば今の予算編成でも「補助金はちょっとしかありません」と言いますけど、政策経費を全部合わせると33兆円から34兆円あるんですよ。予算の中で各種全部合わせると。
田原: そうですか。
小沢: はい。ですからこれを、本当に無駄なものを省き、地方に任せるものは全部任せちゃって、もちろん介護だの老人医療も含みますけど、これもきちんと地方に任せれば、現実に地方はやってるんですから、そんなにお金を無駄に使わなくたってできるんですよ。
田原: 小沢さんがはっきりこう仰るのに。
小沢: 僕はそこからお金は何兆円でも出ると思いますよ。
(略)

(3)また、小沢氏の論調は、その後、変わっているようで、「総理大臣としての考え方と決意のほどを示さないと国民は納得しない」と言い出していた。
だいぶTPPと同じような態度になりつつある。
朝日新聞2011年12月12日21時41分
小沢氏「首相が決意示すべき」 消費増税めぐり批判

 「総理大臣としての考え方と決意のほどを示さないと国民は納得しない」。野田佳彦首相が推し進める消費増税について、民主党の小沢一郎元代表は11日、東京都内でフリー記者らが主催する記者会見に応じ、そう指摘した。「2年前の(衆院)選挙で我々は違うことを言った。契約違反だ」とも批判。自らの離党の可能性については「国民の考え方がそうであれば、それは一つの結論だと思うので、その時に判断する」と述べた。
(略)

このような発言をしているようでは、野田首相らは、小沢氏が消費税率引き上げに”本気で反対している”とは受けとめないだろう。

(5)また、小沢氏は、昨年末、今年(2012年)総選挙になると言い出し、そして総選挙になれば民主党が惨敗すると言い出している。
朝日新聞2011年12月17日22時24分
小沢氏「来年は選挙がある」 12年中に解散の見方示す

 民主党の小沢一郎元代表は17日、仙台市で党所属議員が開いた会合に出席し、「自分の今までの経験から、来年は選挙がある」と述べ、2012年中に衆院の解散・総選挙になる可能性が高いとの見方を示した。
 小沢氏は歴代民主党政権が「国民との信頼関係が失墜している」と指摘。09年総選挙のマニフェストについて「国民との約束事をしっかり守らなければいけない。少なくとも守る努力をする。民主党政権にはそれが足りない」として、消費増税案の年内策定にこだわる野田佳彦首相を批判した。

朝日新聞2011年11月22日20時14分
小沢氏「消費増税解散なら特攻状態」 民主惨敗との見方

 民主党の小沢一郎元代表は22日、自身を支持する議員グループの会合に出席し、野田政権が年末にまとめる消費増税法案について「強行すれば政権運営が不安定になり、党運営も厳しくなる。野党に攻撃の種も与える」として、反対する考えを重ねて示した。消費増税法案をめぐり衆院解散・総選挙に追い込まれる可能性にも触れ、「今、出撃しても何機戻ってこられるかわからない。特攻状態だ。みんなが帰って来られないのでは困る」として、民主党が惨敗するとの見方を明らかにした。

これは、一定の思惑があっての発言だろう。

だが、これでは、野田首相らには、小沢氏が総選挙で惨敗するから消費税率引き上げに反対しているだけだ、と受けとめられるだろう。
野田首相にとっては、「解散」が党内で利用できる武器になった(もっとも、どの程度効果があるかどうかは別であるが)。

(6)さらに小沢氏は、民主党議員に対して離党を思いとどまるよう働きかけていた。
毎日新聞 2011年12月18日 10時45分(最終更新 12月18日 14時11分)
民主党:若手議員数人が年内離党の動き 消費増税に反発

 政府・民主党の消費税増税論議が週明けから本格化するのを前に、消費増税に反対する同党の若手衆院議員数人が年内にも離党する動きを見せている。野田佳彦首相は年内をめどに税と社会保障の一体改革の素案をまとめる方針だが、来年にも想定される衆院解散・総選挙へ向け、選挙基盤の弱い若手議員の間に不安が広がっており、党分裂を回避したい党執行部との駆け引きが激化しそうだ。
 離党も辞さない意向を示しているのは衆院当選1〜3回の数人。東北地方選出の議員(当選1回)は「次期衆院選に民主党から出ることは絶対ない」と年内にも離党届を提出する構え。東京選出の議員(同)も「このまま民主党にいると消費増税の片棒を担いだことになる」と反発を強める。
 ただ、離党後の展望が開けているわけではなく、消費増税路線を批判する小沢一郎元代表も自身のグループの結束を重視して「早まらない方がいい」と若手を説得している。石原慎太郎東京都知事らの新党構想への合流を検討する議員がいる一方、別の議員は「自らの意思で党を飛び出したい」と語るなど「離党予備軍」も一枚岩ではない。【青木純】

これも、一定の思惑があっても発言だろうが、これでは、野田首相らは、反対派をあまり恐れる必要はないことになる。

なお、民主党からの離党者は、わずか11名にとどまったようだ(これについては、別の機会に取り上げる)。

(7)「新党大地・真民主」(鈴木宗男代表)は、民主党と統一会派を結成し、消費増税に反対するわけではないようだ。
毎日新聞 2012年1月6日 東京朝刊
新党大地・真民主:民主と統一会派意向 消費増税賛成も

 昨年末に総務省に結党を届け出た「新党大地・真民主」(略称・大地)の鈴木宗男代表は5日、国会内で民主党の輿石東幹事長と会談し、「与党の立場で協力したい」と述べ、参院で民主党と統一会派を組む意向を伝えた。野田佳彦首相が3月提出を目指す消費増税法案についても「半数の人は消費税の必要性を認めている。(無駄を削減して国民が)協力するという雰囲気を作るのが現実的な政治だ」と賛成する可能性を示唆した。
 輿石氏は統一会派について「少し時間がほしい」として即答を避けたが、民主党幹部は「断る必要はない」と語った。
 民主党の小沢一郎元代表に近い議員らが中心となって結成した新党きづなは、消費増税に反対し、野党の立場を強調している。大地にも、民主党を除籍(除名)された松木謙公衆院議員が参加しているが、新党間で対応の違いが表面化した。
 また、大地は5日、昨年12月28日に総務省に届けた「大地・真民主党」の名称を「新党大地・真民主」に変更すると届け出た。【葛西大博】

(8)小沢一郎氏らは、原発政策に少しブレーキをかけた菅氏に対しては首相の座から引きずりおろす動きに出て、自民党との連立は実現しなかったものの、一定の成功を収めたが、野田首相に対しては、そのような動きはなかった。

(9)むしろ、小沢一郎氏らは、消費税率引き上げよりも前に、議員定数削減などを先行させるべきと主張し、野田首相も、議員定数削減を言い出し(これについては、「その5」で取り上げる)、両者の違いはだいぶ相対化してしまっている。

(10)そして、野田首相は、消費税率引き上げ「反対」勢力から引きずりおろされることなく、「施政方針演説」を先日(1月24日)行なったのである

(11)最後にオマケである。

小沢一郎氏擁護で報じ続けている「日刊ゲンダイ」の記事を読んで仰天した。
小沢一郎氏は、「僕は、民主党が潰れても、自民党なり他の政党が安定した政権をつくってくれるのであれば、心配はしない」と発言したのである。
日刊ゲンダイ2012年1月4日 掲載
小沢一郎元代表 大いに語る「野田じゃダメだ」「政界再編に動く」覚悟

この年だけど、黙ってみているわけにはいかない
<2012年は世界中がカオスになる>

 2012年はどういう年になるのか。世界恐慌の足音は日増しに高まっているし、消費税増税に入れ込む野田政権はひたすら、自爆の道を突き進んでいる。未曽有の政治的混乱は避けようがなく、どう考えてもロクな年になりそうにないのだが、小沢一郎20+ 件・元民主党代表の「見立て」も同じだった。「カオス」の年の“展望”と“覚悟”を聞いてみた。
 今年は何が起こるのか。こう問うと、小沢はいきなり、「マヤ暦を研究した方がいいんじゃないか」と言った。
 マヤ暦とは2012年に人類が滅亡するという終末論のひとつだ。もちろん、小沢は象徴的な意味合いで「マヤ暦」を持ち出したのだが、実際、大混乱の年になりそうだ。
〈だって、世界中の指導者が代わる可能性があるわけでしょう。アメリカ、フランス、ロシア、韓国は大統領選挙があるし、中国は国家主席が代わる。EUもグチャグチャでしょう。世界中がカオスの年になる。もちろん、日本も例外ではありません〉
 こう言う小沢は、具体的に政局のシミュレーションを語り始めた。
〈国会議員はみんな正月に地元に帰った。消費税増税や年金問題について、散々怒られて帰ってくると思う。野田政権は政権発足後、毎月、10%ずつ支持率が落ちている。そういう政権が消費税増税を打ち出した結果、どうなるか。僕は、本当の世論は大新聞の世論調査結果よりもはるかに厳しいと思っています。それを国会議員たちは実感して国会に帰ってくる。その頃、新聞にはもっと厳しい野田内閣の支持率が出る。この調子で下がれば、1月は20%になっているかもしれない。現実はもっと厳しいから、ほとんど支持者がいない状況です。そんな時に選挙になったら、民主党はほぼ全滅ですよ。かといって、自民党も過半数を得られない。今年は選挙の年になるとみていますが、このままでは、自民も民主も安定した政権をつくれません〉
 政治は何も決められずに漂流していく。小沢は、「それを避けるために、野田政権は確固たる信念を持ち、政権交代の原点に戻るべきだ」と言う。しかし、それができれば苦労はしない。野田が原点回帰などやるわけがない。その時は、党分裂、政界再編の動きにならざるを得ないのではないか。

<消費税増税に国民は賛成するか?>

〈「国民の生活が第一」という民主党政権の原点を野田政権が忘却のかなたに追いやるなら、国民サイドから動きが起きてくると思います。正月早々消費税増税の路線を明確にした場合、国民は“よかった”と言うだろうか。政権運営は極めて難しくなる。その場合、あらゆる選択肢があります。せっかく政権交代したのに、このままではオシマイ、全員アウト。そういう状況になった時は、民主党内も野田政権ではダメだ、となるんじゃないか〉
 小沢氏はそう言ったうえで、付け加えた。
〈世界が混乱する中で、日本の政治もカオスになる状況だけは絶対に避けなければいけない。僕は、民主党が潰れても、自民党なり他の政党が安定した政権をつくってくれるのであれば、心配はしない。しかし、そうならないのなら、この年だけれど、もうひと働きしなきゃいけない。このまま日本がカオスになり、泥沼に落ち込むのを黙って見ているわけにはいかない。過半数をとって安定する政権、体制を考えなければいけないと思う〉
 安定政権とは衆参で過半数を得ている政権を指す。小沢はそれを目指すという。つまり、政界再編だ。小沢は民主党の惨敗、自民党のメルトダウンを見越している。その前後に、政界再編の流れが出てくる。その時のリーダーは誰なのか。
〈きちんと自分の政治理念を掲げ、自分の責任でそれを訴え、自ら決断、実行していくリーダーです。ただし、その理念には高い見識と志が不可欠。ただ、郵政改革だけすればいい、といった次元ではない。日本をつくり替える理念です。今は平時ではない。真のリーダーが必要なのだが、なかなかいないですね〉
 自身が先頭に立つ覚悟を固めているのは間違いない。裁判は1月に小沢自身への質問が行われる。「春に晴れて無罪になったら動く?」と聞いたらこう言った。
〈世界も日本も僕の裁判とは関係なく進んでいく〉
 大政局は春まで待たずに動き出す。

小沢氏は、庶民の生活よりも「安定した政権」の方を重視しているようだ!
小沢氏が新党を結成したり、政界再編をしたとしても、それは自分らの生き残りのためであり、政局、権力闘争のためにすぎないようだ。
私には、そう思えてならない。

(続く)