(1)企業(特に大企業)の役員の報酬とその個別開示の必要性については、これまでブログで取り上げてきた。

会社役員報酬の個別開示の必要性

ソニーの役員報酬個別開示要求の結果について

ソニーが株主総会前に役員報酬計算法を一部株主にのみ説明

(2)また、この役員報酬については、制度的に、年間1億円以上のものが公表されていることも、このブログで取り上げてきた。

大企業の役員報酬の個別開示へ!

ソニー会長の報酬総額8億円と民主党のマニフェストへの不満

次々に1億円以上の役員報酬の個別開示と減少しない自殺者数など

(3)なお、福島原発事故を引き起こした東京電力の役員報酬についても、このブログで取り上げてきた。

東電役員報酬は50%カットで幾らになるのか?(社長クラスは3500万円か!?)

勝俣恒久・東電会長の報酬総額は2003年度以降だけでも5億円を超える!

(4)昨年(2011年)6月末に公表されたものについては、当時紹介する機会を逸してしまった。
当時収集していた報道を紹介しておこう。
2011/06/30 20:52 【共同通信】
役員報酬、1億円以上は294人 東京商工リサーチ調査

 東京商工リサーチは30日、2011年3月期決算企業の上場会社で、報酬総額が1億円以上の役員数は前期より5人多い計294人だったと発表した。トップは日産自動車のカルロス・ゴーン社長で約9億8200万円だった。
 東京商工リサーチによると、2位がソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長で8億8200万円(役員報酬以外の手当などを含む)。3位が大東建託の多田勝美前会長で8億2300万円だった。
 報酬総額が1億円以上で開示対象の役員がいた企業は168社で、前期より2社増えた。1社で報酬が1億円以上の役員が2人以上いた企業は、10社増加し71社だった。

2011/06/08 00:56 【共同通信】
日産、役員報酬9人で計16億円 ゴーン氏の高額がけん引か

 日産自動車は8日、定時株主総会の招集通知資料で、2011年3月期に取締役9人に支払った報酬の総額が16億7800万円だったと開示した。単純平均では1人当たり1億8644万円だったが、カルロス・ゴーン社長の高額報酬が平均を引き上げているとみられる。
 平均1億4100万円だった前期より増加した。業績が堅調だったためとみられる。ゴーン12 件社長は前期に約8億9千万円の報酬を得ていた。
 トヨタ自動車の平均5477万円、ホンダの平均5383万円を大きく上回った。

日経新聞2012/6/26 11:09
日産・ゴーン社長、役員報酬9億8700万円

 日産自動車は26日に横浜市で開いた定時株主総会で、カルロス・ゴーン社長の2012年3月期の役員報酬が前の期より500万円多い9億8700万円だったと明らかにした。株主からの事前質問に答えた。同社長を含む役員6人の年間報酬が1億円を上回った。
 ゴーン社長は「(多くの外国人を含む)経営陣の多様性が当社の成長を支えている」と指摘。海外大手企業の最高経営責任者(CEO)の報酬が自身より多いとの調査結果なども示し、「優秀な人材の採用・維持に努めなくてはならない」と報酬額に理解を求めた。
 日産は株主総会招集通知の添付書類で、社内取締役8人の報酬総額(ストックオプション=株式購入権を含む)が約18億8000万円だったと公表。ゴーン社長らの処遇に注目が集まっていた。
 ゴーン社長は総会の冒頭で、東日本大震災などの影響を受けながらも過去最高の販売台数となった前期を振り返り、「日産は危機を乗り越える力を証明した。勢いにさらに弾みを付け、12年度に臨む」と説明した。

(2012年6月26日11時57分 読売新聞)
ゴーン社長の昨年度報酬、トヨタ取締役27人分

 日産自動車は26日、横浜市内で開いた株主総会で、カルロス・ゴーン社長(58)の2011年度の報酬が9億8700万円だったことを明らかにした。
 前年度の9億8200万円から0・5%増えた。3年連続で国内の上場企業の役員で最高額になったとみられる。
 日産の取締役9人に対する報酬総額は、前年度の好業績を背景に、前年度比4・4%増の17億5100万円で、ゴーン社長に全体の半分以上が支払われたことになる。ゴーン氏は「競争が激化する中で、(比較対象にしている世界の他企業の最高経営責任者と比べ)報酬は平均を下回っている。(高い)役員報酬を支払い、優秀な人材の採用維持に努めないといけない」と説明した。
 トヨタ自動車の11年度の取締役の報酬総額は9億7200万円で、ゴーン社長1人でトヨタの取締役27人分を超えたことになる。

(5)今年も、役員報酬1億円以上について公表され、マスコミが報じている。
2012/06/25 19:46 【共同通信】
役員報酬、1億円以上は84人 今年3月期、25日時点

 東京商工リサーチは25日、2012年3月期決算の上場企業で、報酬が1億円以上だった役員数が25日時点で84人に達したと発表した。最高額はセガサミーホールディングスの里見治会長兼社長の6億1700万円。
 3月期決算の上場企業2508社のうち、25日までに604社が有価証券報告書を提出。このうち44社で1億円以上の報酬を受け取っている役員がいた。
 商工リサーチによると、2位はエイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人社長の3億7800万円だった。
 有価証券報告書は月内に出そろう予定で、前期は報酬が1億円以上だった役員が173社で298人に達した。

ZAKZAK  2012.06.26.
企業役員“高額報酬”ランク!億万長者ザックザク〜

 ゴーン社長には及ばないものの、億万長者はゴロゴロいる。東京商工リサーチが調べた「役員報酬1億円開示企業」(12年3月期決算の上場企業604社対象)によると、報酬が1億円以上だった役員数は44社84人に上った(25日午後3時時点)。
 そのうち上位49人をまとめたのが表で、セガサミーホールディングスの里見治会長兼社長の6億1700万円を筆頭に、エイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人社長の3億7800万円、ミスミグループ本社の三枝匡会長の2億4600万円が追っている。
 昨年、8億8200万円で総合2位だったソニーのハワード・ストリンガー会長は25日時点では未公開のため、判明すればトップ争いに加わるのは間違いない。
 上位49人のなかで、同じ企業から複数の1億円プレーヤーを“輩出”したところではエイベックス4人、ソフトバンク3人の順。判明している84人中では三井物産、住友商事、伊藤忠などがそれぞれ5人で最多となり、不況の中での商社の底力を見せつけた。
 速報値をまとめた商工リサーチは「全体として1億円を超える報酬額をもらう役員の数は増えつつある。庶民感覚では不況なのにどうしてと思うかもしれないが、海外での連結会社が好調という企業が多く、その連結会社で役員を兼ねているため総報酬額が上がっている人は少なくない」と話す。
 3月期決算の上場企業2508社の有価証券報告書は月内に出そろう予定。前期は報酬が1億円以上だった役員が173社で298人に達したが、商工リサーチでは「今回はそれを上回る勢い」という。
 サラリーマンとしてはズルいと思うか、役員になったらこれだけもらえると奮い立つか。それとももう遅いと諦める? あなたは…。
日産自動車のカルロス・ゴーン社長を除いた報酬1億円超役員ランクトップ49
役員報酬ランキング

























































朝日新聞2012年6月28日21時2分
カシオの樫尾名誉会長、報酬13億円 ゴーン氏抜き首位

 ゴーン氏、ついに抜かれる――。2012年3月期決算の上場企業の役員報酬が順次開示され、5月に亡くなったカシオ計算機名誉会長、樫尾俊雄氏が13億3300万円で今のところトップに躍り出た。
 報酬1億円以上の開示が始まった10年3月期以降、日産自動車のカルロス・ゴーン社長が2年連続で首位だった。日産の決算は増収増益で、今年もゴーン氏の報酬は伸び、9億8700万円になっていた。
 一方、樫尾氏の役員報酬の内訳は、基本報酬1400万円、退職慰労金が13億1900万円。役員報酬額を調べている東京商工リサーチの担当者は「創業者として長く経営に携わり、退職慰労金が積み上がって『最高瞬間風速』が吹いた感じだ」という。
経営者の報酬ランキング(12年3月期)
役員報酬ランキング















(6)以上、紹介したように大企業の役員報酬は、超高額である。
これは、労働者を搾取した結果である。

(7)一般庶民の平均所得は538万円。
(2012年7月6日11時52分 読売新聞)
「生活が苦しい」最高の61%…12年連続増加

 生活が苦しいと感じている世帯が61・5%に上ることが5日、厚生労働省が発表した2011年の国民生活基礎調査でわかった。
 00年から12年連続して増加しており、1986年の調査開始以来、最高となった。
 生活意識の質問で、「大変苦しい」と答えたのは29・1%、「やや苦しい」も32・4%いた。「普通」は34・7%で、「ややゆとりがある」は3・4%、「大変ゆとりがある」は0・5%にとどまった。児童のいる世帯では全世帯よりも状況が悪く、「苦しい」は過去最高の69・4%に上った。同省は、所得の減少などが影響したと分析している。
 10年の所得を集計した平均所得は前年比約2%減の538万円となった。1994年の664万2000円をピークに減少傾向にあり、88年頃の水準まで下がっている。

朝日新聞2012年7月5日18時12分.
「生活苦しい」初めて6割超す 11年国民生活基礎調査

 全国の世帯を対象にした昨年の国民生活基礎調査で、「生活が苦しい」と答えた世帯が初めて6割を超えた。厚生労働省が5日に結果を公表した。東日本大震災から間もない調査だったことから、同省は「不安感や喪失感が反映されたのではないか」とみている。

 昨年6〜7月に被災3県(岩手、宮城、福島)を除く44都道府県で調査し、約4万6千世帯から回答を得た。暮らしの状況について「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた世帯の割合は、1986年の調査開始以降で最も高い61.5%。子どものいる世帯に限ってみると69.4%に達した。
 また、2010年の1世帯当たりの平均所得は538万円で、前年(同じ44都道府県で比較)より13.2万円下がった。非正規社員の割合は38.8%で、前年より1.5ポイント増えた。

平均が538万円ということは、それよりも低い所得があるということである。
非正規社員の割合38.8%
「生活苦しい」が6割を超えてしまっている

(8)この詳細については、以下をご覧ください。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa11/dl/12.pdf

この26頁における「15歳以上の役員以外の雇用者1人当たり平均稼働所得金額」は、非正規の職員・従業員約123万円である。
なお、非正規の職員・従業員の男性で約162万円、非正規の職員・従業員の女性で約104万円

超高額な役員報酬の一方には、超貧困層があるのである。

(9)以上のことを踏まえて、役員報酬の個別開示について私見を述べておこう。

現在、「1億円」以上の個々の役員報酬が公表されているが、「1億円」は一般庶民からすると高額すぎるから、この金額を引き下げて公表するよう改善すべきである。

公人である国会議員の報酬額を超える役員報酬は公表すべきと考えるが、したがって、「1億円」は、例えば「2500万円」に引き下げるべきであろう。

(10)以上は、1社から受け取る役員報酬額の場合の公表最低金額である。

複数の企業から報酬を受け取っている役員については、その合計額も公表させるべきである。
したがって、合計「2500万円」以上の役員役員も報酬を公表させるべきである。

(11)以上の他、高額所得者に対する所得税率の引き上げ、非正規労働者をなくするための労働法制の改正なども必要であることは言うまでもない。