はじめに
(1)今月16日の衆議院総選挙の結果について、先日から小選挙区選挙の問題点を指摘し、小選挙区選挙を廃止することを求める連続投稿を始めた。
「その1」では、民意を切り捨てる「死票」が56%にも達すること、そのため、投票率が60%に達しなかったことを指摘した。
小選挙区選挙は廃止しかない(その1:民意切り捨て・・・56%の死票)
「その2」では、小選挙区選挙の問題点の第三として小選挙区選挙が民意を正確・公正に反映しないだけではなく、歪曲していることを指摘した。
小選挙区選挙は廃止しかない(その2:民意の歪曲・・・比例代表制なら自民党294議席は132議席程度)
(2)以上で指摘した問題点や私の書いた見解に対しては、小選挙区選挙が政策選挙、政権選択選挙になるから私の指摘した問題点はやむを得ないから私見は妥当ではないとの反論が予想されるので、以下では、小選挙区選挙が政策選挙、政権選択選挙にも適しているとは言い難いことを指摘したい。
また、民意が一党優位状態、二大政党状態にないから、小選挙区選挙を採用する大義が存在しないことを指摘したい。
そして、そもそも小選挙区制が憲法の要請に応えていないどころか、違憲であることを指摘したい。
1.小選挙区選挙が政策選挙、政権選択選挙になるとは言い難い・・・民意とは反対の政権を誕生させる可能性あり!
(1)この度の総選挙も、小選挙区選挙中心の選挙制度で施行されたわけであるが、政策選挙になったのだろうか?
以下の東京新聞の記事を見ると、政策選挙になっていないことがわかる。

(2)総選挙前の民主党政権の下では、しばしば衆議院と参議院の多数派が異なる逆転現象(ねじれ現象)が指摘されたが、それよりも、もっと重大だったのは、国民の多数派の意思と国会の多数派の意思の逆転現象(ねじれ現象)だった。
先の国会では、民主党、自民党、公明党による「事実上の連立政権」が誕生していた。
財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その1(はじめに)
まず、原発問題について言えば、民自公はいまだに原発推進または原発肯定であるが、国民の多数は脱原発の立場であった。
すでに紹介したように、朝日新聞社が今年5月に実施した世論調査によると、原発に対する政府の安全対策を「信頼している」は「大いに」「ある程度」を合わせて21%にとどまり、「信頼していない」が「あまり」「まったく」を合わせて78%。
大飯原発の運転再開については、反対が54%で、賛成の29%を上回っていた。
野田政権が新しいエネルギー政策を決めるための「国民的議論」としてきた討論型世論調査、意見聴取会、パブリックコメント(意見公募)の結果が8月22日出そろい、2030年の電力に占める原発割合について、すべての調査で「原発ゼロ」の支持が最も多かった。
財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その2(原発問題)
次に、消費税増税について。
これも同様。
例えば、共同通信社が今年8月11、12日実施した世論調査によると、消費税増税法成立に基づく税率引き上げに反対と回答したのは56・1%で、賛成の42・2%を上回りました。大手全国新聞が消費増税を推進する紙面づくり、社説を掲げましたが、それでも消費増税反対は過半数を維持していた。
財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その7(消費税増税問題)
最後に、オスプレイの配備について。
これも、民自公はこれに反対せず、国民の多数は反対。
例えば、時事通信社が今年8月中旬に実施した世論調査によると、オスプレイの米軍普天間飛行場への配備をめぐり、「安全性が確認できれば沖縄配備を認めるとする政府方針」について聞くと、「支持しない」が57・8%で、「支持する」は32・5%にとどまっていた。
(3)小選挙区選挙中心の選挙制度では、民意を正確に反映しないどころか、歪曲すると指摘したが、さらに、国民の多数派とは逆の政治が強行されているのである。
これは、政策選挙が実現していない結果でもある。
(4)また、これは政権選択選挙になっていない証でもある。
さらにわかりやすい例を紹介しよう。
それは、イギリスの過去の例である。
1951年の選挙で、保守党は約1372万票で321議席を獲得したが、労働党は、それよりも多い約1395万票でありながら、議席数はそれよりも少ない295議席だった。
1974年の選挙では、労働党は1164万票で301議席を獲得したが、保守党はそれよりも多い1187万票でありながら、議席数はそれよりも少ない297議席だった。
つまり、得票数第一の政党が獲得議席数第一の政党にならず、得票数第二の政党が獲得議席数第一の政党になっているのである。
これは、国民(投票者)が政権交代を求める投票をしたのに政権交代が起こらないこと、あるいは逆に、政権交代を求めない投票をしたのに政権交代が起こってしまうことを意味する。
これでは、政権選択選挙とは言えない。
(5)実は、半数改選される参議院通常選挙における選挙区選挙では、「事実上の1人区」と「事実上の2人区」が多い。
選挙区選挙の「事実上の定数」73の内訳は、定数1が29選挙区(29名選出)、定数2が12選挙区(24名選出)、定数3は5選挙区(15名選出)、定数5が1選挙区(5名選出)。
事実上の1人区・2人区で73名のうち53名(約73%)が選出される。
2010年の参議院通常選挙で、自民党が民主党よりも多くの当選者を出した。
比例代表を含め議席占有率は民主党が約36%で、自民党は約約42%だった。
しかし、選挙区の得票率も、比例代表得票率も、自民党よりも民主党の方が多く、自民党は約33%、約24%だったのに対し、民主党は約39%、約31%だった。
やはり民意を歪曲する選挙区選挙は廃止するしかない!
(6)今、自民党と公明党で連立政権が組まれようとしている。
しかし、今回の総選挙がもし比例代表選挙だけで施行されていたら、総定数480議席のうち、自民党は132議席程度で、公明党は56議席程度であったと試算されることを紹介したが、両党だけでは188議席程度になる。
これでは、過半数にならない。
そうすると、自民党と公明党は、他党を加えて連立政権を誕生させることになる。
あるいは、自民党と公明党を除き、他の複数の政党により連立政権が誕生するかもしれないのである。
このことは、過去の総選挙でも同様のことが言える。
言い換えれば、中選挙で施行された1993年総選挙で政権交代が起きたが、その翌年村山内閣で自民党が政権復帰して以降2009年の政権交代まで政権交代が起きなかったのは1994年に小選挙区選挙中心の選挙制度を採用してきたからであったという可能性があるのだ。
小選挙区選挙は廃止しかない(その2:民意の歪曲・・・比例代表制なら自民党294議席は132議席程度)
2.民意は多党状態で、一党優位状態でも二大政党状態でもない!
(1)小選挙区選挙中心の選挙制度によると、一党優位制あるいは二大政党制が誕生するが、民意は、1994年の並立制導入から18年が経過し、6回の総選挙を経たものの、一党優位状態でも二大政党状態でもなく、多党状態である。
例えば、NHKの世論調査の政党支持率についての調査結果によると、
今年(2012年)では、27%を超えた政党はひとつもない。
自民党と民主党の支持率の合計も、総選挙が施行された12月の事前の調査で40%を超えたものの、それまでは40%を下回っている。
http://www.nhk.or.jp/bunken/yoron/political/index.html
(2)この度の総選挙における比例代表選挙における得票率を見ても、第一党の自民党でさえ27.6%にとどまり、第二党の日本維新の会は20.4%であり、両党の得票率を合計しても、50%に達しない48%程度である。
小選挙区選挙は廃止しかない(その2:民意の歪曲・・・比例代表制なら自民党294議席は132議席程度)
(3)また、今回、自民党は「圧勝」したが、この「圧勝」は、国民の支持を回復した結果ではない。
「圧勝」した今回の比例代表選挙における得票数は約1662万票強であるが、敗北した先回(2009年)のそれは約1881万票だった。
つまり、自民党は、先回に比べ今回得票を約219万票も減らしているのに、小選挙区選挙のおかげで「圧勝」したのである。
また、民主党は先回のそれが約2984万票強であったのに今回のそれは約962万票強で、約2022万票減らしている。
先回の自民党、民主党の比例代表選挙の得票数を合計すると、約4865万票であったが、今回の自民党、民主党の他に、比例代表選挙で第二党に躍り出た日本維新の会の得票数約1226万票強を加えても、約3851万票にしかならない。
つまり、今回の三大政党の得票数は先回の二大政党の得票率よりも1014万円少ないのである。
(4)これでは、「民意は一党優位化している」とも「民意は二大政党化している」とも、到底言えそうにない。
実際の民意は多党化しているのである。
(5)それなのに、民意を歪曲する小選挙区選挙によって人工的に一党優位制あるいは二大政党制をつくりだすことは、あまりにも不自然であり、異常であるとしか言い様がない。
これを民主主義が許容しているとは到底考えられないし、これは、民意とは逆の政治・政策が強行されてしまう所以であろう。
(6)先の国会では、前述したように、民主党、公明党、自民党による「事実上の大連立」が生まれていた。
二大政党が対峙しあわず、「談合」しているのであれば、人工的に二大政党制を作り出す必要はどこにもない。
(7)したがって、民意の正確・公正な反映を犠牲にしてまで、小選挙区選挙を採用している大義は存在しないのである。
3.衆議院の小選挙区選挙と参議院の選挙区選挙は違憲である!
(1)先の国会では、問題のある衆議院の選挙制度を固定化・先鋭化する昨動画強行され、かつ、意見の状態でこの度の総選挙が施行されたことは、すでにこのブログで投稿した。
「事実上の大連立」による、衆参の非民主的選挙制度の固定化・先鋭化の策動
民自公談合による衆議院解と違憲状態の小選挙区選挙での総選挙
(2)総選挙直後、投票価値の不平等については、一斉に訴訟が提起された。
(3)憲法は普通選挙を採用している(第15条第1項・第3項)。
普通選挙は制限選挙を否定しているので、”一人一票原則”を採用することになる。
そうすると、憲法は、当然“投票価値の平等”を要請してることになる。
言い換えれば、普通選挙では当然“投票価値の平等”が保障されなければならないのである。
(4)したがって、まず、投票する前に、投票価値の平等が保障されなければならない。
つまり、選挙区を複数設ける場合には、「有権者数」に基づき“一票の価値”は限りなく平等でなければならない。
だが、投票前だけ平等であっても、投票時(後)にも平等でなければ、本当に平等の選挙が行われたことにはならない。
それゆえ、「投票者数」に基づき“一票の価値”は限りなく平等でなければならない。
憲法はこの2つの平等を要請していると解され、国会は、この要請に応える選挙制度を採用するよう義務付けられている。
(5)この2つの平等を考えるとしても、国会議員の定数は整数なので、複数の選挙区を儲ける場合、各社が生じてしまう。
しかし、格差2倍以上は例外なく違憲である。
とはいえ、「格差2倍以内は当然合憲」というわけではない。
「より平等を保障する選挙制度が社会科学的に考えられるのであればそれを採用しなければ違憲」であると解すべきである!
(6)全国一区の大選挙区制(かつての全国区)は、先の2つの平等の要請に答えるものである。
選挙区を複数設ける場合には、事前に各選挙区の「定数」があると、投票前の平等は保証できたとしても、投票時(後)の平等が必ず保障されるあけではない。
例えば、投票前にほとんど格差がなくても、投票率90%の選挙区と投票率45%の投票率の選挙区とでは、各差が2倍になってしまうからだ。
したがって、複数の選挙区を設ける場合には、各選挙区の議員「定数」は投票後に決定される選挙制度を採用しなければならない。
それゆえ、事前に選挙区を画定し、各選挙区の定数を1と固定する小選挙区選挙は違憲である。
参議院の選挙区選挙も事前に選挙区を画定し各選挙区の定数を定めているから違憲である。
(7)憲法は、衆議院と参議院の二院制を採用しているが、いずれも戦前と異なり、民選によることを要請している(第42条・第43条)。
したがって、二院制・参議院の存在意義を喪失させるような選挙制度は憲法が許容してはいないと解される。
より具体的に言えば、法律案は衆議院で「3分の2以上」で再可決すれば法律として成立するのであるから、得票数(率)が全体の「3分の2未満」の政党・政治団体などが議席数で「3分の2以上」を獲得させるような選挙制度は、二院制を採用している憲法が許容していないと解されるのである。
それゆえ、過去の総選挙の結果を見ると(今回もそうなりそうだ)、得票数(率)が全体の「3分の2未満」の政党等に、議席数で「3分の2以上」を獲得させている。
その最大の理由は、小選挙区選挙で第一党に過剰代表という特権を与えてしまっているからである。
それゆえ、小選挙区選挙は違憲である。
(8)また、衆参の逆転(ねじれ)現象は有権者・投票者が許容した場合のみ許容され、有権者・投票者が許容しない場合には衆参の逆転(ねじれ)現象は許容されないと言えよう。
しかし、2010年の参議院通常選挙では、すでに指摘したように、逆転現象を生み出しているが、これは、参議院の選挙区選挙が1人区・2人区が多くて非民主的であるからだ。
したがって、参議院の選挙区選挙も違憲である。
(9)議会制民主主義は民意の正確・公正な議会への反映を要請している。
そもそも民主主義とは本来直接民主主義のことである。
とはいえ、主権者(日本では約1億人)がどこか一箇所に集まり、議論し、結論を出すことは、事実上不可能であるから、直接民主主義は基本的に採用できない。
それゆえ、やむを得ず代議制・議会制を採用することになる。
代議制・議会制を限りなく(直接)民主主義に近づけて初めて、議会制民主主義にすることができる。
普通選挙を採用しただけでは不十分であり、“主権者国民(有権者・投票者)の縮図”を国会(各院)に形成しなければならない(他の条件も必要だがここでは省略)。
これは社会学的代表と言われ、憲法が要請している(第43条)。
したがって、この要請に答えない小選挙区選挙は、違憲である。
参議院の選挙区選挙も同様に違憲である。
4.裁判所は違憲・無効判決を下すべきだ!
(1)衆議院の小選挙区選挙も参議院の選挙区選挙も以上の理由で違憲であるから、国会は、即刻いずれも廃止すべきである。
ところが、国会は、憲法の要請に応えず、憲法違反の選挙制度を維持してきた。
(2)それゆえ、裁判所は、衆議院の小選挙区選挙も参議院の選挙区選挙も違憲である、と判示するしかないだろう。
(3)そして、裁判所は、衆議院の小選挙区選挙による選挙も、参議院の選挙区選挙による選挙も、無効であるとの判決を下すべきである。
この無効判決は、判決日以降無効とし、遡及させなければ、大きな混乱は生じないだろう。
また、衆議院も参議院もそれぞれ比例代表選出議員がいるのだから、それらの議員で衆参の選挙制度を憲法の要請に応えるものに抜本改正すれば良い。
(4)そして、衆議院は、抜本改正された選挙制度ですぐに総選挙すべきである。
(つづく)
(1)今月16日の衆議院総選挙の結果について、先日から小選挙区選挙の問題点を指摘し、小選挙区選挙を廃止することを求める連続投稿を始めた。
「その1」では、民意を切り捨てる「死票」が56%にも達すること、そのため、投票率が60%に達しなかったことを指摘した。
小選挙区選挙は廃止しかない(その1:民意切り捨て・・・56%の死票)
「その2」では、小選挙区選挙の問題点の第三として小選挙区選挙が民意を正確・公正に反映しないだけではなく、歪曲していることを指摘した。
小選挙区選挙は廃止しかない(その2:民意の歪曲・・・比例代表制なら自民党294議席は132議席程度)
(2)以上で指摘した問題点や私の書いた見解に対しては、小選挙区選挙が政策選挙、政権選択選挙になるから私の指摘した問題点はやむを得ないから私見は妥当ではないとの反論が予想されるので、以下では、小選挙区選挙が政策選挙、政権選択選挙にも適しているとは言い難いことを指摘したい。
また、民意が一党優位状態、二大政党状態にないから、小選挙区選挙を採用する大義が存在しないことを指摘したい。
そして、そもそも小選挙区制が憲法の要請に応えていないどころか、違憲であることを指摘したい。
1.小選挙区選挙が政策選挙、政権選択選挙になるとは言い難い・・・民意とは反対の政権を誕生させる可能性あり!
(1)この度の総選挙も、小選挙区選挙中心の選挙制度で施行されたわけであるが、政策選挙になったのだろうか?
以下の東京新聞の記事を見ると、政策選挙になっていないことがわかる。
東京新聞 2012年12月17日 朝刊
脱原発 世論6割、当選3割 3大争点すべてズレ
衆院選では、原発政策とともに大きな争点だった消費税増税や憲法九条でも民意と選挙結果に隔たりのある結果となった。本紙が公示直前に行った世論調査と、東京都の二十五選挙区に立候補した百三十四人を対象に行ったアンケートを比較するとその差は歴然としている。
原発では、世論の約六割が原発ゼロを訴えていたが、東京の二十五選挙区でも自民党候補が続々と勝利。当選した自民党の中にはアンケートで「原発ゼロ」と答えた候補もいたが、二十五人の中で脱原発を求める当選者は28%にとどまった。
消費税増税について世論調査では反対が55・6%で、半数を超えていた。
消費税増税は民主党と自民、公明両党の三党の枠組みで決めた。マニフェストで約束していなかったのに増税を決めた民主党は、世論の批判をまともに受けて惨敗。しかし、その代わり自民党が小選挙区で躍進し、公明党も議席を獲得したため、結局、増税勢力が多数を占めた。
憲法九条は、世論調査では改憲反対と賛成が拮抗(きっこう)していたが、選挙結果では改憲し「国防軍」を明記すると主張した自民党が勝利。維新も含めた「改憲勢力」で三分の二を占めた全国的な傾向と同様の結果となった。

(2)総選挙前の民主党政権の下では、しばしば衆議院と参議院の多数派が異なる逆転現象(ねじれ現象)が指摘されたが、それよりも、もっと重大だったのは、国民の多数派の意思と国会の多数派の意思の逆転現象(ねじれ現象)だった。
先の国会では、民主党、自民党、公明党による「事実上の連立政権」が誕生していた。
財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その1(はじめに)
まず、原発問題について言えば、民自公はいまだに原発推進または原発肯定であるが、国民の多数は脱原発の立場であった。
すでに紹介したように、朝日新聞社が今年5月に実施した世論調査によると、原発に対する政府の安全対策を「信頼している」は「大いに」「ある程度」を合わせて21%にとどまり、「信頼していない」が「あまり」「まったく」を合わせて78%。
大飯原発の運転再開については、反対が54%で、賛成の29%を上回っていた。
野田政権が新しいエネルギー政策を決めるための「国民的議論」としてきた討論型世論調査、意見聴取会、パブリックコメント(意見公募)の結果が8月22日出そろい、2030年の電力に占める原発割合について、すべての調査で「原発ゼロ」の支持が最も多かった。
財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その2(原発問題)
次に、消費税増税について。
これも同様。
例えば、共同通信社が今年8月11、12日実施した世論調査によると、消費税増税法成立に基づく税率引き上げに反対と回答したのは56・1%で、賛成の42・2%を上回りました。大手全国新聞が消費増税を推進する紙面づくり、社説を掲げましたが、それでも消費増税反対は過半数を維持していた。
財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その7(消費税増税問題)
最後に、オスプレイの配備について。
これも、民自公はこれに反対せず、国民の多数は反対。
例えば、時事通信社が今年8月中旬に実施した世論調査によると、オスプレイの米軍普天間飛行場への配備をめぐり、「安全性が確認できれば沖縄配備を認めるとする政府方針」について聞くと、「支持しない」が57・8%で、「支持する」は32・5%にとどまっていた。
時事通信 (2012/08/19-14:22)
尖閣国有化、7割超賛成=オスプレイ不支持58%−時事世論調査
(略)
調査は、中国領有権を主張する香港の活動家が尖閣諸島に上陸する前の9〜12日、全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式で実施した。有効回収率は63.5%。
(略)。
一方、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備をめぐり、「安全性が確認できれば沖縄配備を認めるとする政府方針」について聞くと、「支持しない」が57.8%で、「支持する」は32.5%にとどまった。
(3)小選挙区選挙中心の選挙制度では、民意を正確に反映しないどころか、歪曲すると指摘したが、さらに、国民の多数派とは逆の政治が強行されているのである。
これは、政策選挙が実現していない結果でもある。
(4)また、これは政権選択選挙になっていない証でもある。
さらにわかりやすい例を紹介しよう。
それは、イギリスの過去の例である。
1951年の選挙で、保守党は約1372万票で321議席を獲得したが、労働党は、それよりも多い約1395万票でありながら、議席数はそれよりも少ない295議席だった。
1974年の選挙では、労働党は1164万票で301議席を獲得したが、保守党はそれよりも多い1187万票でありながら、議席数はそれよりも少ない297議席だった。
つまり、得票数第一の政党が獲得議席数第一の政党にならず、得票数第二の政党が獲得議席数第一の政党になっているのである。
これは、国民(投票者)が政権交代を求める投票をしたのに政権交代が起こらないこと、あるいは逆に、政権交代を求めない投票をしたのに政権交代が起こってしまうことを意味する。
これでは、政権選択選挙とは言えない。
(5)実は、半数改選される参議院通常選挙における選挙区選挙では、「事実上の1人区」と「事実上の2人区」が多い。
選挙区選挙の「事実上の定数」73の内訳は、定数1が29選挙区(29名選出)、定数2が12選挙区(24名選出)、定数3は5選挙区(15名選出)、定数5が1選挙区(5名選出)。
事実上の1人区・2人区で73名のうち53名(約73%)が選出される。
2010年の参議院通常選挙で、自民党が民主党よりも多くの当選者を出した。
比例代表を含め議席占有率は民主党が約36%で、自民党は約約42%だった。
しかし、選挙区の得票率も、比例代表得票率も、自民党よりも民主党の方が多く、自民党は約33%、約24%だったのに対し、民主党は約39%、約31%だった。
やはり民意を歪曲する選挙区選挙は廃止するしかない!
(6)今、自民党と公明党で連立政権が組まれようとしている。
しかし、今回の総選挙がもし比例代表選挙だけで施行されていたら、総定数480議席のうち、自民党は132議席程度で、公明党は56議席程度であったと試算されることを紹介したが、両党だけでは188議席程度になる。
これでは、過半数にならない。
そうすると、自民党と公明党は、他党を加えて連立政権を誕生させることになる。
あるいは、自民党と公明党を除き、他の複数の政党により連立政権が誕生するかもしれないのである。
このことは、過去の総選挙でも同様のことが言える。
言い換えれば、中選挙で施行された1993年総選挙で政権交代が起きたが、その翌年村山内閣で自民党が政権復帰して以降2009年の政権交代まで政権交代が起きなかったのは1994年に小選挙区選挙中心の選挙制度を採用してきたからであったという可能性があるのだ。
小選挙区選挙は廃止しかない(その2:民意の歪曲・・・比例代表制なら自民党294議席は132議席程度)
2.民意は多党状態で、一党優位状態でも二大政党状態でもない!
(1)小選挙区選挙中心の選挙制度によると、一党優位制あるいは二大政党制が誕生するが、民意は、1994年の並立制導入から18年が経過し、6回の総選挙を経たものの、一党優位状態でも二大政党状態でもなく、多党状態である。
例えば、NHKの世論調査の政党支持率についての調査結果によると、
今年(2012年)では、27%を超えた政党はひとつもない。
自民党と民主党の支持率の合計も、総選挙が施行された12月の事前の調査で40%を超えたものの、それまでは40%を下回っている。
http://www.nhk.or.jp/bunken/yoron/political/index.html
(2)この度の総選挙における比例代表選挙における得票率を見ても、第一党の自民党でさえ27.6%にとどまり、第二党の日本維新の会は20.4%であり、両党の得票率を合計しても、50%に達しない48%程度である。
小選挙区選挙は廃止しかない(その2:民意の歪曲・・・比例代表制なら自民党294議席は132議席程度)
(3)また、今回、自民党は「圧勝」したが、この「圧勝」は、国民の支持を回復した結果ではない。
「圧勝」した今回の比例代表選挙における得票数は約1662万票強であるが、敗北した先回(2009年)のそれは約1881万票だった。
つまり、自民党は、先回に比べ今回得票を約219万票も減らしているのに、小選挙区選挙のおかげで「圧勝」したのである。
また、民主党は先回のそれが約2984万票強であったのに今回のそれは約962万票強で、約2022万票減らしている。
先回の自民党、民主党の比例代表選挙の得票数を合計すると、約4865万票であったが、今回の自民党、民主党の他に、比例代表選挙で第二党に躍り出た日本維新の会の得票数約1226万票強を加えても、約3851万票にしかならない。
つまり、今回の三大政党の得票数は先回の二大政党の得票率よりも1014万円少ないのである。
(4)これでは、「民意は一党優位化している」とも「民意は二大政党化している」とも、到底言えそうにない。
実際の民意は多党化しているのである。
(5)それなのに、民意を歪曲する小選挙区選挙によって人工的に一党優位制あるいは二大政党制をつくりだすことは、あまりにも不自然であり、異常であるとしか言い様がない。
これを民主主義が許容しているとは到底考えられないし、これは、民意とは逆の政治・政策が強行されてしまう所以であろう。
(6)先の国会では、前述したように、民主党、公明党、自民党による「事実上の大連立」が生まれていた。
二大政党が対峙しあわず、「談合」しているのであれば、人工的に二大政党制を作り出す必要はどこにもない。
(7)したがって、民意の正確・公正な反映を犠牲にしてまで、小選挙区選挙を採用している大義は存在しないのである。
3.衆議院の小選挙区選挙と参議院の選挙区選挙は違憲である!
(1)先の国会では、問題のある衆議院の選挙制度を固定化・先鋭化する昨動画強行され、かつ、意見の状態でこの度の総選挙が施行されたことは、すでにこのブログで投稿した。
「事実上の大連立」による、衆参の非民主的選挙制度の固定化・先鋭化の策動
民自公談合による衆議院解と違憲状態の小選挙区選挙での総選挙
(2)総選挙直後、投票価値の不平等については、一斉に訴訟が提起された。
(2012年12月17日21時56分 読売新聞)
「1票の格差」違憲状態で衆院選無効…一斉提訴
最高裁が「違憲状態」とした選挙区割りのまま行われた今回の衆院選は違憲だとして、二つの弁護士グループが17日、27選挙区の選挙無効(やり直し)を求めて全国の8高裁・6支部に一斉提訴した。
前回衆院選を巡る訴訟では高裁で「違憲」や「違憲状態」の判決が相次いでおり、早ければ来春にも出そろう各高裁の判断が注目される。
格差が最大2・30倍だった前回衆院選について、最高裁は昨年3月、小選挙区の定数を各都道府県にまず1議席ずつ配分して、残りを人口比で割り振る「1人別枠方式」が格差を生む原因だと指摘し、同方式の廃止を求めた。
これを受け、同方式の廃止と格差を是正する「0増5減」を盛り込んだ選挙制度改革法が、衆院解散した11月16日に成立した。しかし、区割りを見直す時間はなく、衆院選は違憲状態のまま行われ、最大格差も2・43倍に拡大していた。
(3)憲法は普通選挙を採用している(第15条第1項・第3項)。
普通選挙は制限選挙を否定しているので、”一人一票原則”を採用することになる。
そうすると、憲法は、当然“投票価値の平等”を要請してることになる。
言い換えれば、普通選挙では当然“投票価値の平等”が保障されなければならないのである。
(4)したがって、まず、投票する前に、投票価値の平等が保障されなければならない。
つまり、選挙区を複数設ける場合には、「有権者数」に基づき“一票の価値”は限りなく平等でなければならない。
だが、投票前だけ平等であっても、投票時(後)にも平等でなければ、本当に平等の選挙が行われたことにはならない。
それゆえ、「投票者数」に基づき“一票の価値”は限りなく平等でなければならない。
憲法はこの2つの平等を要請していると解され、国会は、この要請に応える選挙制度を採用するよう義務付けられている。
(5)この2つの平等を考えるとしても、国会議員の定数は整数なので、複数の選挙区を儲ける場合、各社が生じてしまう。
しかし、格差2倍以上は例外なく違憲である。
とはいえ、「格差2倍以内は当然合憲」というわけではない。
「より平等を保障する選挙制度が社会科学的に考えられるのであればそれを採用しなければ違憲」であると解すべきである!
(6)全国一区の大選挙区制(かつての全国区)は、先の2つの平等の要請に答えるものである。
選挙区を複数設ける場合には、事前に各選挙区の「定数」があると、投票前の平等は保証できたとしても、投票時(後)の平等が必ず保障されるあけではない。
例えば、投票前にほとんど格差がなくても、投票率90%の選挙区と投票率45%の投票率の選挙区とでは、各差が2倍になってしまうからだ。
したがって、複数の選挙区を設ける場合には、各選挙区の議員「定数」は投票後に決定される選挙制度を採用しなければならない。
それゆえ、事前に選挙区を画定し、各選挙区の定数を1と固定する小選挙区選挙は違憲である。
参議院の選挙区選挙も事前に選挙区を画定し各選挙区の定数を定めているから違憲である。
(7)憲法は、衆議院と参議院の二院制を採用しているが、いずれも戦前と異なり、民選によることを要請している(第42条・第43条)。
したがって、二院制・参議院の存在意義を喪失させるような選挙制度は憲法が許容してはいないと解される。
より具体的に言えば、法律案は衆議院で「3分の2以上」で再可決すれば法律として成立するのであるから、得票数(率)が全体の「3分の2未満」の政党・政治団体などが議席数で「3分の2以上」を獲得させるような選挙制度は、二院制を採用している憲法が許容していないと解されるのである。
それゆえ、過去の総選挙の結果を見ると(今回もそうなりそうだ)、得票数(率)が全体の「3分の2未満」の政党等に、議席数で「3分の2以上」を獲得させている。
その最大の理由は、小選挙区選挙で第一党に過剰代表という特権を与えてしまっているからである。
それゆえ、小選挙区選挙は違憲である。
(8)また、衆参の逆転(ねじれ)現象は有権者・投票者が許容した場合のみ許容され、有権者・投票者が許容しない場合には衆参の逆転(ねじれ)現象は許容されないと言えよう。
しかし、2010年の参議院通常選挙では、すでに指摘したように、逆転現象を生み出しているが、これは、参議院の選挙区選挙が1人区・2人区が多くて非民主的であるからだ。
したがって、参議院の選挙区選挙も違憲である。
(9)議会制民主主義は民意の正確・公正な議会への反映を要請している。
そもそも民主主義とは本来直接民主主義のことである。
とはいえ、主権者(日本では約1億人)がどこか一箇所に集まり、議論し、結論を出すことは、事実上不可能であるから、直接民主主義は基本的に採用できない。
それゆえ、やむを得ず代議制・議会制を採用することになる。
代議制・議会制を限りなく(直接)民主主義に近づけて初めて、議会制民主主義にすることができる。
普通選挙を採用しただけでは不十分であり、“主権者国民(有権者・投票者)の縮図”を国会(各院)に形成しなければならない(他の条件も必要だがここでは省略)。
これは社会学的代表と言われ、憲法が要請している(第43条)。
したがって、この要請に答えない小選挙区選挙は、違憲である。
参議院の選挙区選挙も同様に違憲である。
4.裁判所は違憲・無効判決を下すべきだ!
(1)衆議院の小選挙区選挙も参議院の選挙区選挙も以上の理由で違憲であるから、国会は、即刻いずれも廃止すべきである。
ところが、国会は、憲法の要請に応えず、憲法違反の選挙制度を維持してきた。
(2)それゆえ、裁判所は、衆議院の小選挙区選挙も参議院の選挙区選挙も違憲である、と判示するしかないだろう。
(3)そして、裁判所は、衆議院の小選挙区選挙による選挙も、参議院の選挙区選挙による選挙も、無効であるとの判決を下すべきである。
この無効判決は、判決日以降無効とし、遡及させなければ、大きな混乱は生じないだろう。
また、衆議院も参議院もそれぞれ比例代表選出議員がいるのだから、それらの議員で衆参の選挙制度を憲法の要請に応えるものに抜本改正すれば良い。
(4)そして、衆議院は、抜本改正された選挙制度ですぐに総選挙すべきである。
(つづく)
自分は、先の総選挙で自民党に入れましたが、比例ではみんなの党に入れました。
それは、少しでも自分の意見を反映させたかった為でした。
もし、比例だけの選挙であれば自民党に入れたと思います。
たぶん私と同じように、比例では別の党に入れたという人は少なからずいると思います。
完全比例制は賛成ですが、今回の比例の大小が民意の反映と結論付けるところに疑問を持ってます。