(1)集団的自衛権行使や多国籍軍参加により日本(の自衛隊)がそれらの戦争に参戦することについて、安倍晋三首相は、従来違憲であると解釈していた政府解釈を「合憲」に変更しようと目論んでいます(今は特に集団的自衛権行使について、そうです)。
この問題では、先の投稿で私のブログの投稿を整理し直しました。
紹介の順番を変更して紹介してきましょう。

(2)第一に指摘できるのは、安倍「解釈改憲」を主権者国民が支持してはいないということです。

具体的には
安倍首相が、外国の戦争に参戦することになる集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」と「解釈」する「解釈改憲」を目論んでいることについて、マスメディアの世論調査では、国民の2,3割程度しか支持していないことを確認しました(集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」と「解釈」する「解釈改憲」を支持する世論調査結果の最低は21%で、最高は34・5%)。
集団的自衛権(他衛権)行使についての安倍「解釈改憲」の支持者は世論調査で2、3割程度

また、自民党「日本国憲法改正草案」によると、自衛戦争であれ、集団的自衛権行使による参戦であれ、戦争をしていても、自民党政権は「戦争はしていません」と強弁することになることを指摘しました。
自民政権は日本が戦争しても「戦争はしていません」と強弁することに!

さらに、その後も、主権者国民は安倍「解釈改憲」を支持していないことを指摘しました。
やはり安倍「解釈改憲」は主権者国民が支持してはいないクーデター

そして、集団的自衛権(他衛権)行使要件についての政府原案は、自民党側だけの発案ではなく、公明党との合作だったことが報じられていることも紹介し、これが真実であれば公明党が同党支持者らを裏切っていることになると指摘しました。
集団的自衛権行使「解釈改憲」政府案は自公の合作!?

(2)第二に指摘できることは、安倍「解釈改憲」が立憲主義に反するということです。
具体的には、
憲法改正手続きさえ経ずに改憲の目的を達成しようという「解釈改憲」が、憲法上許されないことは、自民党が「新憲法草案」(2005年)や「日本国憲法改正草案」(2012年)を作成したことで証明されている、と指摘しました。
安倍「解釈改憲」が憲法上許されないのは自民党「日本国憲法改正草案」が証明している!

また、その「解釈改憲」は明文改憲が実現できないから強行しようとするものであり、卑怯であることも、指摘しました。
安倍「解釈改憲」の卑怯さ(”右翼の軍国主義者”のクーデターの企て)

5月16日、憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)が声明「安保法制懇『報告書』をテコに『戦争する国』めざす安倍首相の暴走を糾弾する」を発表したので、それを紹介しまました。
憲法会議声明「安保法制懇『報告書』をテコに『戦争する国』めざす安倍首相の暴走を糾弾する」の紹介

安倍内閣が長年の慣行を破って内閣法制局長官に素人の小松氏を抜擢したので、小松氏が退任しても、「駆けつけ警護」問題や集団的自衛権行使問題で与党が「合憲」としても体を張って違憲解釈を主張するまでは内閣法制局への不信感は払拭されないと指摘しました。
安倍政権の”慣行”破りで憲法解釈の素人と化した内閣法制局長官と「駆けつけ警護」問題

安倍首相は大臣ですから「憲法改正」や「解釈改憲」を主張できないのにそれを公言し憲法尊重擁護義務違反を犯し、日米安保条約などによる集団的自衛権行使”義務”の遵守を目指していることを指摘して批判しました。
憲法尊重擁護義務違反をして集団的自衛権行使義務の遵守を目指す安倍首相

憲法改正手続を経ても、他国を守るための集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」にする改憲は、憲法改正の限界を超えるので理論的に許されないのですから、ましてや「解釈」の名で集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」にすることが許されないことは、あまりにも明白であると述べておきました。
新憲法制定、憲法改正、「解釈改憲」(「解釈改憲」は憲法制定に相当するから許されるわけがない)

安倍「解釈改憲」は、政府に対する規制を無視し憲法尊重擁護義務に違反して政府の意のままに戦争ができるよう政府の憲法「解釈」を変更するものであり、国家権力などの公権力に歯止めをかけている立憲主義を否定する政治ですから、明文改憲とも同列に位置づけられませんから、たとえ明文改憲を護憲と同列に取り扱うのはやむを得ないという立場に立ったとしても、安倍「解釈改憲」は立憲主義を否定するクーデターなのですから、マスメディアは厳しく批判すべきです、と書きました。
安倍「解釈改憲」クーデターに対しマスメディアに求められる立場

アメリカ等の外国の戦争に日本が参戦するための集団的自衛権行使や多国籍軍の戦争に日本が参戦することは、日本国憲法第9条が存在する以上、憲法上禁止されており、違憲であることは、憲法学の常識ですが、このことは、いわゆるイラク平和訴訟における2008年の名古屋高裁の判決も、国民に教示していることも指摘しました。
イラク平和訴訟2008年名古屋高裁判決が教示している安倍「解釈改憲」の違憲性

集団的自衛権などを巡る与党協議で、座長を務める自民党の高村副総裁は、憲法9条の下での武力行使の3要件について、さらに公明党内の意見に配慮した試案を新たに示したようですが、その本質は変わっていないことを指摘しました。
「おそれ」を「明白な危険」に変更しても立憲主義に反する「解釈改憲」に変わりはない!

徴兵制を実際に採用するかどうかとは別に、徴兵制を「合憲」としない憲法が集団的自衛権行使を「合憲」にできるわけがないことも指摘しました。

徴兵制が「合憲」でない以上集団的自衛権(他衛権)行使が「合憲」になるわけがない!

(3)ところで、集団的自衛権(他衛権)行使の「解釈改憲」につき、公明党内で慎重論が根強くあるので、地方組織を含め党内の意見集約が難航するとの報道が今朝(2014年6月26日朝)ありました。
NHK6月26日 6時12分
公明 集団的自衛権で地方組織含め意見集約へ

 集団的自衛権の行使容認を巡り、公明党執行部は与党合意に向け、党所属議員による議論に加えて、28日には地方組織の代表者との間で意見交換の場を設けるなど、党内の慎重な意見にも配慮して丁寧に意見集約を進めることにしています。
 集団的自衛権などを巡る与党協議で、公明党執行部は行使を容認する閣議決定の柱となる、自民党の高村副総裁が新たに示した試案・試みの案を受け入れて合意する方針で、政府・自民党は来月1日にも閣議決定を行う方向で調整しています。
 このため公明党執行部は、閣議決定の前提となる与党合意に向け党内調整に入っていて、25日に続き、26日と27日も党所属議員から意見を聞いて議論を行うほか、28日には執行部と地方組織の代表者との間で意見交換の場を設けることになりました。
 25日行われた外交・安全保障に関する合同調査会では、高村氏が示した試案について、「表現があいまいで、歯止めとして不十分ではないか」などの意見が相次ぎ、党内には、「これまでの議論は不十分で、国民の理解が得られない」といった慎重論が根強くあります。このため公明党執行部は、こうした党内の意見にも配慮して、今週中の意見の取りまとめは見送る考えで、来週にかけて集中的に党内議論を重ね、丁寧に意見集約を進めることにしています。

毎日新聞 2014年06月26日 07時00分(最終更新 06月26日 08時06分)
集団的自衛権:公明の意見集約が難航

 ◇「全国県代表協議会」を閣議決定前に
 集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定を巡り、公明党執行部と所属議員のせめぎ合いが続いている。党執行部は閣議決定の核となる自衛権発動「新3要件」の修正案を大筋で容認。これに対し、25日の党内会合では依然、異論が相次いだ。来春に統一地方選を控える地方組織にも慎重論が根強く、党執行部は28日に地方代表を東京都内に緊急招集し、政府・自民党との協議内容を説明する。【高本耕太、田所柳子】
 公明党執行部は25日の幹部会で、28日に全都道府県の代表らを招集し、集団的自衛権の行使容認に向けた現状を説明する方針を確認した。地方代表による「全国県代表協議会」は国会終了後の定例行事。今年は7月5日に予定しているが、「4日の閣議決定後になると、執行部批判が続出しかねない」(党幹部)と懸念が出て、急きょ2回に分けて説明の場を設けることになった。
 一方、党所属国会議員が参加した25日の会合では、出席者から「新3要件で修正された『明白な危険』はあいまいで、行使容認の歯止めにならない」「今は認められていない先制攻撃も可能になるのではないか」と改めて異論が続出した。
 党執行部は当初、今週中の意見集約を狙ったが、党所属議員や地方組織に「丁寧に説明する」(幹部)ため、執行部への一任を取り付ける時期を来週に先送りした。与党協議の座長代理を務める北側一雄副代表は記者団に対し、27日までに意見集約するのは困難との認識を強調。これに伴い、正式な与党合意も来週前半にずれ込む見通しだ。
 党執行部は「連立離脱」カードを早々に封印しており、集団的自衛権行使容認の「ブレーキ役」としての役割をアピールする方針。しかし、山口那津男代表がこだわった過去の政府見解との「論理的な整合性」もあいまいなまま、首相の「期限ありき」の要求に応じることに対し「出来レース」(党関係者)と批判する声も上がっている。
 公明党内からは「平和の党は死んだ」「どうせ何を言っても聞かない」など、党執行部への不満が募る。今後、地方組織からも執行部批判が相次いだ場合、政府・与党が描く与党合意や閣議決定のスケジュールが狂う可能性も残っている。

(4)ところが、信じられないことに、まだ地方組織の意見も聴取していないのに、先程、公明党の山口代表が自民党の高村副総裁が新たに示した試案について受け入れる意向を示しました。
NHK6月26日 22時25分
公明・山口代表 試案受け入れる意向

 公明党の山口代表はNHKの「ニュースウオッチ9」で、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定の柱となる、自民党の高村副総裁が新たに示した試案について、「二重三重の歯止めがきいていて、拡大解釈のおそれがない」などと述べ、受け入れる意向を示しました。
 この中で公明党の山口代表は、集団的自衛権の行使容認について「安全保障の環境が大きく変わってきており、国民の権利を守るため、政府が従来言ってきた個別的自衛権に匹敵するような集団的自衛権であれば、一部限定的に容認する余地はあるのではないか」と述べました。
そのうえで山口氏は、閣議決定の柱となる、自民党の高村副総裁が新たに示した試案について、「集団的自衛権は他国のためではなく日本を守るための武力行使であり、従来の政府見解の基本的な考えは今後も維持することも明記するなど、二重三重の歯止めがきいており、拡大解釈のおそれがない。まだ協議中だが、行きすぎを防ぎ、政府のこれまでの基本から外れるわけではないと、十分説明できるし、それに最大限努力したい」と述べ、受け入れる意向を示しました。

この報道によると、山口代表は、
「国民の権利を守るため、政府が従来言ってきた個別的自衛権に匹敵するような集団的自衛権であれば、一部限定的に容認する余地はあるのではないか」
「集団的自衛権は他国のためではなく日本を守るための武力行使であり、従来の政府見解の基本的な考えは今後も維持することも明記するなど、二重三重の歯止めがきいており、拡大解釈のおそれがない。」など
と述べたというのです。

(5)しかし、先日の投稿でも紹介したように、
高村見直し案では、第一要件につき、
「他国に対する武力攻撃であっても、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆されるおそれがある場合」
としていました。
「おそれ」は、抽象的な危険であり、政府の判断で簡単に拡大されることになり、歯止めがありません。
これつき、高村副総裁の修正した試案は
「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であっても、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」
とされましたが、
高村副総裁の解釈では、
「政府が集団的自衛権に関係するとしている8事例すべてが視野に入っており、やらなければいけないことができなくなる可能性はない」
のです。

つまり、高村副総裁にとっては、
文言上は「おそれ」よりも「明白な危険」の方が限定されているようですが、
実質は集団的自衛権(他衛権)行使が「合憲」になることに変わりはなく、
その条件も変わらない
ということになります。
要するに、歯止めがなく、限定などされていないのです。

ですから、高村試案も、立憲主義に反し国民が支持しない「解釈改憲」であることに変わりはなく、
それゆえ、集団的自衛権行使を否定した選挙公約を掲げた公明党は、当然賛成できないはずなのです。

(6)にもかかわらず、かつ、地方組織の意見も聴取していないのに、
党の代表がテレビに出演して高村試案を受け入れると表明したのは、独断的な暴挙以外の何ものでもありません。

また、高村副総裁が、試案につき、その前の見直し案と本質的に変わらないことを自白しているのに、山口代表が、「二重三重の歯止めがきいていて、拡大解釈のおそれがない」などと公言するのは、あまりにも酷い無責任な発言です。

やはり高村見直し案(あるいはまた試案)は、公明党執行部との合作だったのではないかと思えてなりません。

(7)百歩譲って、たとえ高村副総裁の解釈を封じて限定できたとしても、日本が外国から武力攻撃を受けていないことに変わりはありません。

集団的自衛権行使は、自国を守るのではなく、他国を守るための武力行使であり、他国の戦争に参戦するものであり、個別的自衛権行使とは、異質のものです。
もし異質でないのであれば、これまでの個別的自衛権行使論で十分なはずです。
自民党は十分でないから集団的自衛権行使をしたいのでしょう!

日本が集団的自衛権を行使して他国の戦争に参戦すれば、それまで日本を武力攻撃していない国は、日本も敵国とみなし、日本に武力攻撃を開始することになり、そうなると、日本国民らを戦争の被害者にしていまいます。
ですから、日本が集団的自衛権を行使することは、やらずに済んだ戦争にわざわざ参戦することになるのです。
あえて敵国をつくり出し、日本国民らを戦争の危険にさらすことになるのです。
戦争をますます拡大させ、戦争被害者も増やしてゆくことになります。

(8)自民党「日本国憲法改正草案」が指名しているように、自民党はアメリカに言いなりになり、憲法上限定されない集団的自衛権行使をめざしているのですから、今回限定できたとしても、それが今後拡大されてゆくことは必至でしょう。

(9)果たして公明党の地方組織は、山口代表の独断的な発言を許してしまうのでしょうか!?