(1)日曜日(7月21日)の参議院通常選挙の結果を受け、
安倍晋三自民党総裁・首相は、翌22日、記者会見で、
「安定した政治基盤の上に新しい令和の時代の国づくりをしっかり進めよと、国民の皆さまからの力強い信任をいただいた」
と述べたという。

(2)確かに今回だけの獲得議席数を見ると、自公与党は過半数の議席を獲得しているが、
しかし、それは、大政党等に過剰代表を生み出す不当に有利な選挙区選挙(違憲)
のお陰にすぎず、
民意そのものを客観的に受け貯めた者ではなく、
あまりにも保身的な見方ではないか。

(3)第一に、安倍総裁・首相は明文改憲(2020年施行)を目論んでおり、
明文改憲に必要な改憲勢力「3分の2以上」を改選後も維持する必要があったが、
改選前の「3分の2」を割り込んだ(4議席足りない)。

第二に、参議院選挙区選挙が自民党に過剰代表を生み出す選挙制度であり、かつ、
参議院の「事実上の議員定数」が121から3増えて124になったにもかかわらず、
自民党は改選前の議席67を維持することさえできず、57へと議席数を減らしたし、
公明党の議席数を加えても前選前の78(そのうち公明党11)を維持することさえできず、
議席71(そのうち公明党14)へと議席数を減らした。

 年    自民党   公明党  合計  事実上の議員定数(欠員含む)
改選前   67    11   78   121
2019年 57    14   71   124

第三に、民意が概ね正確・公正に反映する比例代表選挙で、
自民党は前回(2016年)2011・5万票程度を獲得していたが、
今回は240万票超減らし1771・2万票程度だったし、
公明党も、前回の757・3万票程度から103万超減らし653・6万票程度だった。

6年前の前々回(2013年)の比例I表選挙で
自民党は1846万票、公明党は756・8万票だったから
この時の投票数からも減らしているのだ。

参議院比例代表選挙における自公両党の得票数
 年      自民党     公明党
2013年 1846・0万票 756・8万票
2016年 2011・5万票 757・3万票
2019年 1771・2万票 653・6万票

第四に、比例代表選挙の自公両党の得票率は合計しても50%を超えず、
48・4%程度(自民党35・37%と公明党13・05%)である。
前回は49・4%程度(自民党35・9%と公明党13・5%)なので、
得票率も減らし、
参議院全体で自公与党は半分の50%に届いていないのである。

参議院比例代表選挙における自公両党の得票率
 年      自民党    公明党    合計
2016年 35・9%   13・5%   49・4%
2019年 35・37%  13・05%  48・4%

(4)要するに、この度の参議院通常選挙において
「安倍自公与党・政権は国民の信頼を得た」
とは到底言い難いのである。

(5)第一党の代表が選挙における民意に鈍感であることを踏まえれば、
尚更のこと、
参議院の選挙制度については、やはり、
民意を歪曲する選挙区選挙を廃止して
無所属も立候補できる完全比例代表選挙に改革すべきである。

私見については、以下を参照。
上脇博之『なぜ4割の得票で8割の議席なのか』日本機関紙出版センター・2013年、
 同『安倍改憲と「政治改革」』日本機関紙出版センター・2013年、
 同『ここまできた小選挙区制の弊害』あけび書房・2018年)