上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

世論調査

「改憲の議論すべきだ」が「参院選での国民の審判だ」ではない!

(1)日曜日(7月21日)の参議院通常選挙の結果を受け、
安倍晋三自民党総裁・首相は、翌22日、記者会見で、
「安定した政治基盤の上に新しい令和の時代の国づくりをしっかり進めよと、国民の皆さまからの力強い信任をいただいた」
と述べたことに対しては、民意はそうではないことを指摘した。

2019年参議院通常選挙で「安倍自公政権は国民の信任を得た」とは言い難い
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51924749.html

(2)安倍自民党総裁・首相は、その記者会見で、以下のようにも語っていた。

「少なくとも(憲法改正について)議論すべきだ、というのが参院選での国民の審判だ。野党にはこの民意を正面から受け止めていただきたい。・・・」

しかし、そのような民意をどのように確認したのだろうか?
自民党は独自に世論調査したのだろうか?

むしろ、
民意は安倍総裁・首相の見方とは逆である
ことを推定させる調査結果しかないので、
民意を全く無視した出鱈目であると評さざるをえない。

選挙戦を簡単に振り返っておこう。

(3)安倍自民党総裁は、今回の参議院通常選挙の運動期間中の演説で
以下のように「国会での改憲論議」を訴えた。
「【令和の未来 政策を問う】憲法 首相が争点化主導、街頭で異例の訴え」(産経新聞2019.7.13 19:35)は、安倍総裁の演説を報道した。

「憲法審査会が憲法論議を1分もやらないまま1年以上が過ぎた。憲法改正に賛成か反対かではなく、まずは議論しよう」

(4)しかし、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が
今月(7月)14、15両日に行った合同世論調査で、
21日投開票の参院選で最も重視する政策を尋ねたところ
「医療・年金・介護など社会保障」42・5%
「景気・経済政策」20・6%
「子育て・少子化対策」11・0%
自民党が公約で第一の柱に掲げた「外交・安全保障」7・0%、
安倍晋三首相(自民党総裁)が議論の是非を問うとしている「憲法改正」5・1%。
憲法改正は自民支持層でも5・7%
(【産経FNN合同調査】参院選最重視は社会保障」産経新聞2019.7.16 14:34)。

(5)また、21日の参議院通常選挙で、
共同通信社が実施した出口調査で「安倍晋三首相の下での憲法改正」
について賛否を聞いたところ、
全体で反対が47・5%、賛成40・8%。

支持政党別に見ると、
自民党は賛成73・7%、反対18・1%、
公明党は賛成46・6%、反対39・6%。

この出口調査によると、
「安倍晋三首相の下での憲法改正」に賛成よりも反対が多いし、
自民党に投票した有権者でさえ反対が18%もある。

(6)そして選挙結果でも、
参議院の改憲勢力は「3分の2」を割り込んだ。

(7)各政党が国会で社会保障などに精力的に議論するためには、
改憲論議は有害無益だ。
単に議論するだけであれば尚更だ。
もし国会で改憲論議が具体的に行われてしまうと、
「社会保障」など国民の多くが求める政策議論については
マスコミの報道も減り、かすんでしまいかねないからだ。

(8)要するに、
安倍自民党総裁・首相が
「(憲法改正について)議論すべきだ、というのが参院選での国民の審判だ。」
と発言したのは、
明らかにデマの類いとしか言いようがないし、
安倍氏は、選挙後も相変わらず
民意を無理する人物であることに変わりがないようだ。

これも、民意を歪曲する選挙制度が生み出し続けている悲劇だ。

安倍「解釈改憲」を正当化できていない「抑止力」論と国民無視の「解釈改憲」

1.安倍「解釈改憲」を正当化できていない「抑止力」論

(1)先日紹介した「集団的自衛権の閣議決定案」には、いわゆる「抑止力論」が書かれています。
時事通信(2014/06/27-21:40)
集団的自衛権の閣議決定案全文

 政府が27日に与党に示した集団的自衛権の行使を容認する閣議決定最終案の全文は次の通り。

 【冒頭部分】
・・・・わが国自身の防衛力の強化を図るとともに、同盟国である米国や友好国と連携し、相互に支援することによって抑止力を高めることが重要である。特に、わが国の安全およびアジア太平洋地域の平和と安定のために、日米安全保障体制の実効性を一層高め、日米同盟の抑止力を向上させることにより、武力紛争を未然に回避し、わが国に脅威が及ぶことを防止することが必要不可欠である。その上で、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くとともに、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の下、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するためには、切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備しなければならない。・・・・

(2)従来、日米安保条約と駐留米軍の存在を積極的に肯定する論理は、
”他国が日本を武力攻撃しても日米安保条約に基づき米軍が集団的自衛権を行使するので、大国アメリカと戦争する国はないから日本は他国から武力攻撃されることはない”、
つまり、
”日米安保条約と駐留米軍の存在が日本への武力攻撃を抑止させるので、日本は戦争を仕掛けられることはない”、
というものでした。

ところが、冒頭で紹介した「集団的自衛権の閣議決定案」は、これでは不十分だと言い出したのです。

(3)しかし、そもそも、個別的自衛権と集団的自衛権とは本質的に異なることは、すでに説明しました。
「おそれ」を「明白な危険」に変更しても立憲主義に反する「解釈改憲」に変わりはない!
たとえ限定できたとしても集団的自衛権(他衛権)行使は個別的自衛権行使とは異質だ!

また、日本の場合、集団的自衛権行使は義務になることも説明しました。
「日本の集団的自衛権行使は義務になる」の解説

日本が集団的自衛権を行使しても「合憲」だと「解釈改憲」してしまうと、アメリカは日本に当該行使を要求することが可能になるので、日本はアメリカの戦争に参戦することになります。
ですから、日本は戦争するのです。
日本が実際に戦争するのにもかかわらず、「抑止力が高まる」と言われても、それは嘘または全く無関係と言うしかありません。

(4)日本政府は、多国籍軍の戦争への参戦も「合憲」にしようとしています。
公明党は集団安全保障「解釈改憲」の受け入れも覚悟して集団的自衛権「解釈改憲」を受け入れるのか!?
政府は想定問答に集団安全保障限定容認を明記へ(公明は完全にナメられている党)

これも「合憲」だと「解釈改憲」してしまうと、日本は実際その戦争に参戦することになります。
ですから、日本は戦争するのです。

(5)そもそもアメリカは、国政法違反の戦争を強行してきた「ならず者国家」です。

あるときは国連安全保障理事会の決議を利用し、あるときは当該決議もないまま、好き勝手に戦争を強行してきした。
国際法違反の報復戦争も「自衛戦争」と強弁して強行してきました。

これまで日本は、そのアメリカの言いなりになって、それらの戦争で、自衛隊を後方支援のために派兵してきましたが、安倍政権が「解釈改憲」を強行すれば、後方支援だけではなく、武力行使も行い、これまで以上に戦争加害国としてアメリカの戦争に加担することになるのです。


2.”自衛”隊員が”他国”の戦争に動員させれる!

(1)アメリカなど他国の戦争で真っ先に動員されるのは、言うまでもなく、自衛隊員です。
日本の防衛のために自衛隊員になった者は、他国の戦争に動員されるわけです。
いま一番戦々恐々としているのも自衛隊員でしょう。
自衛隊らの声は、すでに紹介しました。
安倍「解釈改憲」は自衛隊員とその家族だけが恐れているわけではない!

(2)少し別の視点から自衛隊員の被害を紹介しておきましょう。
毎日新聞 2014年06月27日 19時47分(最終更新 06月27日 19時58分)
集団的自衛権:懸念される自衛隊の「ブラックボックス化」

・・・・・。

 ◇イラク派遣差し止め訴訟 政府は「墨塗り」資料提出
 自衛隊のイラク派遣から10年。「人道支援」という政府の説明とは大きく異なる派遣実態が明らかになってきた。
 「ある書類」をご覧いただきたい。1枚は墨塗り、1枚は墨塗りが取り払われている。そこで明らかになっているのは「自衛隊が憲法違反をしていた事実」である。
 最初から説明しよう。2003年3月、大量破壊兵器の査察受け入れを拒否していたイラクに対し、米国は英国などと開戦に踏み切った。ロシアや中国の反対を押し切る形だったが、小泉純一郎政権(当時)は米国を支持し、同年7月にイラク復興特別措置法(イラク特措法)を成立させた。「非戦闘地域」で「人道支援」を行うため、5年間で陸海空の隊員延べ1万人がイラクに派遣された。

 <10・23(月) 米陸軍51 米海軍4 米空軍1 米軍属5 人数61>。書類に書かれた数字は、06年10月23〜29日に、クウェートのアリアルサレム空軍基地からイラクの首都バグダッドに航空自衛隊が空輸した米兵の数を示す「週間空輸実績」だ。
 当時「自衛隊のイラク派遣は憲法違反」として派遣差し止めを求める訴訟が各地で起こされていた。05年以降、防衛省は、訴訟団に対し5回にわたって「墨塗り」の文書を出し続けた。だが、民主党への政権交代後の09年9月に全面開示された。それによると、06年7月から08年12月までに空輸した2万6384人のうち、米軍が1万7650人と3分の2も占めていた。
 実は、公開に先立つ08年4月、名古屋高裁が空自の空輸活動について「他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と認定し、憲法9条とイラク特措法に違反しているとの判断を下した。原告団事務局長の川口創弁護士は「政府はイラクでの人道支援を宣伝するばかりで、自衛隊の活動実態を明らかにしてこなかった。裁判で一番苦労したのは活動実態を明らかにすることだった」と振り返る。おおまかな米兵の輸送人数のほか、人道支援スタッフだけを選別して空輸していないことなど傍証を積み重ね、空輸は「武力行使と一体」と証明した。
 「『空輸実績』を見ると、人道支援物資をイラクに運んだのは最初の1回だけでした。激しい戦闘が行われていたバグダッドの最前線に武装した米兵を多数送り込む輸送であることは一目瞭然だった。最初に公開されていたら違憲判決は容易に勝ち取れた」と川口弁護士はあきれる。
 「非戦闘地域での支援は武力行使との一体化に当たらない」としてきた政府はどう対応したのか。判決は派遣差し止めまでは認めなかったため、福田康夫首相(当時)は「傍論だ。わきの論」と述べ、派遣を続行。空自トップだった田母神俊雄・航空幕僚長(当時)は「私が(隊員の)心境を代弁すれば『そんなの関係ねえ』という状況だ」と発言した。首相、空自トップがそろって「憲法違反」の司法判断を無視した。判決は確定している。
 実際にイラクに派遣されていた自衛隊員たちは無論、実態を知っていた。なぜ内部告発できなかったのか。「非戦闘地域に派遣するという政府の説明がうそなのは輸送機の装備からも明らかだった」と証言するのは06年4月にクウェートに通信士として派遣された元自衛官、池田頼将さん(42)だ。池田さんはクウェートで米軍関係車両にはねられ、現在後遺症などで国を相手取って裁判を続けている。
 イラクに派遣された空自のC130H輸送機はミサイル攻撃のおとりにする火炎弾(フレア)を特別に装備。目立たないよう空と同じ水色に塗装された。激しい戦闘が行われていたバグダッドの空港に着陸する際は狙われないよう大きな円を描いて降下し、火炎弾を放ちながら着陸することもあったという。
 池田さんは「派遣先での秘密は墓場まで持っていくように、と上官から言い含められていた」と明かす。危険な任務による精神的な重圧は帰国後も隊員に影響を与えている。池田さんは精神のバランスを崩し、今も通院中。今年3月までに派遣隊員26人が自殺している。国民平均(おおむね4000人に1人)の10倍以上だ
 自衛隊内のいじめやパワハラに関する著書を多数発表しているジャーナリスト、三宅勝久さんは「20年前、モザンビークのPKO(国連平和維持活動)に派遣された指揮官は『私たちは憲法の下で仕事をしている』と胸を張っていた。その後、無理な解釈で海外派遣が繰り返されると、憲法や法律を軽んじる幹部の発言が増加。同時に隊内でいじめやパワハラが横行し、その多くが隠蔽(いんぺい)されるようになりました」と語る。
 海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」の乗組員だった男性(当時21歳)の「いじめ自殺」を巡る訴訟では、海自はいじめの有無を全乗員に尋ねたアンケートを「破棄した」と主張した。だが現役3佐が「存在する」と内部告発し、ようやくアンケートを開示した。その一方で、告発した3佐の懲戒処分が取りざたされた。
 このような3佐への対応は自衛隊の隠蔽体質を示すものだろう。特定秘密保護法施行後、その傾向がさらに強まるのではないかと懸念されている。
・・・・。【浦松丈二】

(3)以下も参照ください。

国家公務員一般労働組合
2014年04月24日 12:04
イラク帰還の陸上自衛隊員の自殺率は日本平均の18倍-集団的自衛権の行使は多くの自衛隊員の命を奪う
http://blogos.com/article/85165/forum/

(4)再び自衛隊員の声の紹介です。
(共同通信)2014/06/10 14:18
「自衛隊員もたまったものじゃないと思う」 市民ら、官邸前で抗議 

 集団的自衛権の行使容認を目指す安倍晋三首相を批判する市民団体が9日、東京・永田町の首相官邸前で抗議活動をした。雨の中、ペンライトを持った市民らが太鼓の音に合わせて「戦争する国絶対反対」「憲法9条を壊すな」とシュプレヒコールを繰り返した。
 主催したのは 「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」 。東京都新宿区に住む陸上自衛隊の元3等陸曹 井筒高雄 (いづつ・たかお) さん(44)は「一政権の憲法解釈変更で戦地に派遣されるなんて、自衛隊員もたまったものじゃないと思う。首相には『銃を構えたことありますか。人を撃つ本当の怖さを知っていますか』と聞きたい」と語気を強めた。
 横浜市の 小松崎博 (こまつざき・ひろし) さん(63)は「今国会中に閣議決定をしようとしており、この1、2週間が抗議のヤマ場。首相の暴走を何としても食い止めないといけない」と話した。

佐賀新聞2014年06月29日 09時55分
集団的自衛権行使 かたずのむ自衛官、家族

 集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更の閣議決定が1日にも行われる。憲法9条下で「専守防衛」に徹してきた自衛隊は海外で武力行使できる組織へと変容する。自衛隊発足から60年。県内の自衛隊関係者は、岐路に立つ日本の安全保障政策の行方をじっと見守っている。
 「自衛権に個別も集団もない」。元陸将補で、自衛官OBでつくる県隊友会相談役の溝内好昭さん(73)=佐賀市=は、憲法解釈に左右される国防論議に疑問を感じてきたという。与党協議では武力行使にどう歯止めをかけるかが焦点となっているが、「自衛官は与えられた任務を敢然と遂行するだけ。制約をかけ過ぎると想定外の事態に対応できず、隊員を危険にさらす」と指摘する。
 冷戦終結後、「西方シフト」を強めてきた自衛隊は近年、尖閣諸島をめぐる中国との対立などを背景に九州・沖縄への配備を増強。佐世保には米海兵隊をモデルにした離島奪還のための部隊が置かれた。補給整備の後方支援拠点である陸自目達原駐屯地(神埼郡吉野ケ里町)も、その役割は増している。
 現行の憲法解釈の範囲内で、すでに南西諸島の防衛強化は進んでおり、「集団的自衛権の行使が容認されても自衛隊の編成が急激に変わることはない」(溝内さん)との見方もある。しかし、当事者たちの心中は複雑なようだ。「今行われている論議について、個人的に思うところはある。でも、政治的な話はできないことになっているから」と、あるベテラン隊員は口をつぐんだ。
 安倍政権は集団的自衛権の行使容認とともに、国連平和維持活動(PKO)での武器使用の権限拡大を打ち出しており、これまで多くの隊員を派遣してきた同駐屯地にとっても切実な問題だ。
 一昨年まで陸自隊員だった三養基郡上峰町の男性(22)は「同僚の多くは災害派遣や人命救助に魅力を感じて入隊していた。それが突然、これから戦地に行ってもらうと言われても…」と隊員たちの胸の内を代弁する。「これから自衛隊に入ろうという人はいなくなるんじゃないか」
 22日、唐津市内で開かれた自衛隊父兄会の地域総会。「イラクやウクライナのような紛争地に派遣される可能性が出てくる。私は集団的自衛権の行使容認には反対です」。あいさつに立った唐津地区会長の古里昭彦さん(60)はこう訴えた。
 海上自衛隊に入った息子は今、領土問題で緊迫する沖縄にいる。今回の問題で語り合ったことはないが、「国民の納得がないまま、子どもを戦地に送りたくない」。政治主導で「結論ありき」にも映る論議に不安を隠せないでいる。


家族のいる大多数の自衛官も反対――集団的自衛権の行使を許すな
2014 年 6 月 25 日
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=4482

(5)玉澤徳一郎元防衛庁長官は「現場隊員の声聞け」といいます。
毎日新聞 2014年06月27日 東京朝刊
どう動く:集団的自衛権 私の意見/11 現場隊員の声聞け 元防衛庁長官・玉澤徳一郎さん(76)

 早大雄弁会時代から日米の安全保障を論じ合ってきたし、防衛庁長官も務めたから、この間、与党の集団的自衛権論議を注視してきた。ひとつ気づいたことは、もし「行使容認」となれば、日米安保条約は書き換えが必要にならないか、ということ。米側は同意するのだろうか。
 政界引退した身だが、地元(岩手県)の人たちからよく相談を受ける。自衛隊員の親からは「外国と戦争になれば息子は死ぬのですか?」と聞かれ、元隊員の漁師からは「専守防衛で何が悪いのか分からない」と言われた。国民の理解はまったく深まっていないと感じる。まず専守防衛でぎりぎりまで考え、集団的自衛権については徹底的に議論しなければ。自衛隊を正式に軍にするのだから憲法改正が筋だ。安倍(晋三)さんは国民の合意を取ろうという努力が足りない。
 このまま行けば、間違いなく戦死者が出る。そのとき、国民の中から「そんな話は聞いていない」という声が必ず出る。そして、隊員募集が極めて困難になる。若者に国防の意識があっても、少子化の時代だ。親が絶対許さない。国民的な合意がないとそうなるのだ。
 長官時代、オウム真理教の問題やルワンダ難民支援への部隊派遣で国会がもめた。制服の人たちの声を聞きながらていねいに説明したつもりだ。大事なことは、現場にいる隊員諸君の意見をよく聞くということだろう。それが、この議論の前提だと思っている。【聞き手・滝野隆浩】=随時掲載

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 ■人物略歴
 ◇たまざわ・とくいちろう
 早大在学中は雄弁会に所属。防衛庁長官(1994〜95年)、農相を歴任、2009年に政界引退した。


3.安倍「解釈改憲」支持2〜3割、地方議会の批判の拡大、「戦争に巻き込まれる恐れ」

(1)集団的自衛権の行使についての「解釈改憲」に賛成するのは、マスコミの世論調査では、多くても3割程度でした。
集団的自衛権(他衛権)行使についての安倍「解釈改憲」の支持者は世論調査で2、3割程度
やはり安倍「解釈改憲」は主権者国民が支持してはいないクーデター

(2)この点は、その後も変わっていないようです。
まず、日経新聞の世論調査。
憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認することに賛成は29%。
日経新聞2014/6/29 22:00
・・・・本社世論調査
・・・
 日本経済新聞社とテレビ東京による27〜29日の世論調査で、・・・・。
 憲法改正でなく憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認することには賛成が29%で、反対が54%だった。国連決議に基づいて侵略国を制裁する集団安全保障での武力行使についても賛成の35%を反対の50%が大きく上回った。政府は7月1日に集団的自衛権の行使容認の閣議決定を目指しているが、なお慎重な意見が多い。
・・・ 調査は日経リサーチが全国の成人男女を対象に乱数番号(RDD)方式で電話で実施。有権者のいる1640世帯から1029件の回答を得た。回答率は62.7%だった。

毎日新聞の世論調査でも、集団的自衛権の行使容認を憲法解釈の変更で対応しようとしていることについて賛成は相変わらず27%にとどっています。
毎日新聞 2014年06月29日 09時30分(最終更新 06月29日 10時19分)
毎日世論調査:・・・

 毎日新聞が27、28両日に実施した全国世論調査・・・・。【仙石恭】
 ・・・・。
 政府・与党の主張する限定の内容が歯止めとなりうるかが問われるが、政府・与党の説明が「不十分だ」とする人は内閣支持層でも71%に上った。集団的自衛権行使に賛成の人のなかでも67%が「不十分だ」と答えた。
・・・、集団的自衛権の行使容認を憲法改正ではなく、憲法解釈の変更で対応しようとしていることについては反対が60%、賛成が27%だった。行使に賛成の人のうちでも28%が解釈変更の手法には反対だった。解釈変更という手法に依然抵抗が強いことがうかがえる。【村尾哲】

(3)今月(2014年6月)27日現在で、少なくとも139の地方議会において、「解釈改憲」に批判的な意見書を可決していることを紹介しました。

(4)同28日時点では、それは190地方議会への拡大しているようです。
(東京新聞)2014年6月29日 07時08分
2014062999070852地方190議会批判 集団的自衛権 広がる「反対」「慎重に」
 安倍政権が目指す集団的自衛権行使容認の閣議決定に対し、地方議会で反対、慎重な対応を求める意見書を可決する動きが急速に広がっている。本紙の調べで、今月だけで少なくとも百二十超の議会に上り、これまでに可決済みは百九十(二十八日時点)となった。自民党会派の賛同も目立つ。閣議決定を急ぐ政府と、それを懸念する地方の溝はさらに広がった。 (関口克己)
 本紙の三月末時点での集計では、同様の意見書は約六十あった。だが、安倍晋三首相が五月十五日、行使容認を検討する意向を記者会見で表明すると、それに抗議する形で議決の動きが勢いを増した。
 都道府県レベルでは長野、岐阜両県議会がいずれも六月に慎重審議を求める意見書を可決。市町村議会では三十二都道府県の百八十八に増えた。最多は長野県で、県議会のほか四十五市町村となった。自民党県連が県内市町村に意見書提出要請をした岐阜県は、九市町村となっている。
 逆に、全国千七百八十八の自治体で政府方針を支持する意見書は一つもない。
 東日本大震災で被災した福島県南相馬市議会は十九日、自民系会派を含め全会一致で容認反対を議決。「震災と原子力災害で助けられた自衛隊員が海外に出て武力を行使することは容認できない」と訴えた。
 二十五日には、自民党の石破茂幹事長のお膝元となる鳥取県境港市議会も、行使容認反対の意見書を可決した。自民党の高村正彦副総裁は二十七日、相次ぐ意見書可決に「地方議会も日本人であれば、慎重に勉強してほしい」と反論したが、与党は協議開始から一カ月余りで結論を出そうとしている。

(5)自公両党内で異論が噴出するのも、当然でしょう。
「解釈改憲」ではないと誤魔化しても自公内で異論噴出!

(6)前掲の毎日新聞の世論調査では日本が集団的自衛権を行使できるようにした場合、他国の戦争に巻き込まれる恐れがあると思うか聞いたところ「思う」が71%にものぼったようです。
毎日新聞 2014年06月29日 09時30分(最終更新 06月29日 10時19分)
毎日世論調査:「戦争に巻き込まれる恐れ」71%
20140629k0000m010111000p_size5
 毎日新聞が27、28両日に実施した全国世論調査で、日本が集団的自衛権を行使できるようにした場合、他国の戦争に巻き込まれる恐れがあると思うか聞いたところ、「思う」が71%で、「思わない」の19%を大きく上回った。政府は行使を限定すると説明しているが、範囲が拡大して戦争につながることへの危機感が強いことがうかがえる。【仙石恭】
 ・・・・・・・・。【村尾哲】

「戦争に巻き込まれる恐れ」71%という数字は、以前に比べ、集団的自衛権行使の意味がだいぶ国民の間に理解されつつあることを示しているでしょう。

集団的自衛権行使の結果として、被害者は日本本土にも及ぶ可能性が高まるわけですが、国民の多くがそのことを感じつつあるようです。

(7)自衛隊員の声や世論調査結果を無視して、自公両党は安倍「解釈改憲」というクーデターを許容してしまうのでしょうか!?

やはり安倍「解釈改憲」は主権者国民が支持してはいないクーデター

はじめに

集団的自衛権行使や多国籍軍参加により日本(の自衛隊)がそれらの戦争に参戦することについて、安倍晋三首相は、従来違憲であると解釈していた政府解釈を「合憲」に変更しようと目論んでいます。
これに対する批判の投稿を少し整理して紹介し直しておきましょう。

(2)まず、そのような「解釈改憲」が立憲主義に反することを指摘した投稿から紹介してきましょう。、


1.立憲主義に反する安倍「解釈改憲」

(1)憲法改正手続きさえ経ずに改憲の目的を達成しようという「解釈改憲」が、憲法上許されないことは、自民党が「新憲法草案」(2005年)や「日本国憲法改正草案」(2012年)を作成したことで証明されている、と指摘しました。
安倍「解釈改憲」が憲法上許されないのは自民党「日本国憲法改正草案」が証明している!

(2)また、その「解釈改憲」は明文改憲が実現できないから強行しようとするものであり、卑怯であることも、指摘しました。
安倍「解釈改憲」の卑怯さ(”右翼の軍国主義者”のクーデターの企て)

(3)5月16日、憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)が声明「安保法制懇『報告書』をテコに『戦争する国』めざす安倍首相の暴走を糾弾する」を発表したので、それを紹介しまました。
憲法会議声明「安保法制懇『報告書』をテコに『戦争する国』めざす安倍首相の暴走を糾弾する」の紹介

(4)安倍内閣が長年の慣行を破って内閣法制局長官に素人の小松氏を抜擢したので、小松氏が退任しても、「駆けつけ警護」問題や集団的自衛権行使問題で与党が「合憲」としても体を張って違憲解釈を主張するまでは内閣法制局への不信感は払拭されないと指摘しました。
安倍政権の”慣行”破りで憲法解釈の素人と化した内閣法制局長官と「駆けつけ警護」問題

(5)安倍首相は大臣ですから「憲法改正」や「解釈改憲」を主張できないのにそれを公言し憲法尊重擁護義務違反を犯し、日米安保条約などによる集団的自衛権行使”義務”の遵守を目指していることを指摘して批判しました。
憲法尊重擁護義務違反をして集団的自衛権行使義務の遵守を目指す安倍首相

(6)憲法改正手続を経ても、他国を守るための集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」にする改憲は、憲法改正の限界を超えるので理論的に許されないのですから、ましてや「解釈」の名で集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」にすることが許されないことは、あまりにも明白であると述べておきました。
新憲法制定、憲法改正、「解釈改憲」(「解釈改憲」は憲法制定に相当するから許されるわけがない)

(7)安倍「解釈改憲」は、政府に対する規制を無視し憲法尊重擁護義務に違反して政府の意のままに戦争ができるよう政府の憲法「解釈」を変更するものであり、国家権力などの公権力に歯止めをかけている立憲主義を否定する政治ですから、明文改憲とも同列に位置づけられませんから、たとえ明文改憲を護憲と同列に取り扱うのはやむを得ないという立場に立ったとしても、安倍「解釈改憲」は立憲主義を否定するクーデターなのですから、マスメディアは厳しく批判すべきです、と書きました。
安倍「解釈改憲」クーデターに対しマスメディアに求められる立場

(8)ところで、アメリカ等の外国の戦争に日本が参戦するための集団的自衛権行使や多国籍軍の戦争に日本が参戦することは、日本国憲法第9条が存在する以上、憲法上禁止されており、違憲であることは、憲法学の常識ですが、このことは、いわゆるイラク平和訴訟における2008年の名古屋高裁の判決も、国民に教示しています。
イラク平和訴訟2008年名古屋高裁判決が教示している安倍「解釈改憲」の違憲性

2.主権者国民が支持しない安倍「解釈改憲」

(1)安倍首相が、外国の戦争に参戦することになる集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」と「解釈」する「解釈改憲」を目論んでいることについて、マスメディアの世論調査では、国民の2,3割程度しか支持していないことを確認しました(集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」と「解釈」する「解釈改憲」を支持する世論調査結果の最低は21%で、最高は34・5%)。
集団的自衛権(他衛権)行使についての安倍「解釈改憲」の支持者は世論調査で2、3割程度

(2)自民党「日本国憲法改正草案」によると、自衛戦争であれ、集団的自衛権行使による参戦であれ、戦争をしていても、自民党政権は「戦争はしていません」と強弁することになることを指摘しました。
自民政権は日本が戦争しても「戦争はしていません」と強弁することに!

これは、戦争に反対する世論を意識したものでしょう。

(3)以前も紹介しましたが、軍事専門家によると、そもそも自衛隊や軍隊は国民を守る存在ではありません。
例えば、栗栖弘臣氏は、東部方面総監、陸上幕僚長を経て、1977年に第10代統合幕僚会議議長に就任していた人物です(2004年に死去)が、
その著書『日本国防軍を創設せよ』小学館文庫・2000年260頁には、以下のような記述があります。
警察や消防は専ら国民の安全を図る。
防衛庁・自衛隊は言わずもがなの国家の安全確保が任務である。

ここでは、自衛隊は国民を守るとは書かれていません。自衛隊は国家の安全を守るもののようです。

また、潮匡人氏は、航空自衛隊にいて、1994年、三等空佐(空軍少佐)で退官している人物ですが、
その著書『常識としての軍事学』(中公新書クラレ・2005年)188−189頁には、以下のように書かれています。
自衛隊は何を守るのか。
軍隊は何を守るのか。
その答えは国民の生命・財産ではありません。それらを守るのは警察や消防の仕事であって、軍隊の『本来任務』ではないのです。
 ならば、軍隊が守るものとは何なのか。それは『国家目標』の上位にあるもの。国家目的という言葉がしっくりこなければ、国家にとって「至上の価値」と言い換えても良いでしょう。『我々だけの自衛隊』(松原正、展転社)は「国家にとっての至上の価値とは何か」と提起した上で、それは「国体である。国体といふと眉を顰める向きもあらうから文化であると言ひ直しても良い」と解き明かしています。「伝統統文化」と言い直しても良いでしょう。
 だとすれば、その中身はいったい何なのか。日本の皇室伝統が無縁でないことは明らかです。
同時に、日本語も掛け替えのない言葉です。

要するに、”自衛隊・軍隊は国民を守るためにあるのではない”というのが、「軍事学における常識」のようなのです。
言い換えれば、”自衛隊・軍隊が国民を守る”と考えることは、「軍事学における非常識」ということになります。

(4)もっとも、「国家を守る」ことは「国民を守る」ことになるとの反論が予想されるので、以前も紹介した安倍首相の本音を紹介しておきましょう。
(時事通信 2013/02/15-16:48)
安倍首相、96条見直しに意欲=憲法改正本部が初会合−自民

 自民党は15日、政権交代後初となる憲法改正推進本部(保利耕輔本部長)の会合を党本部で開いた。安倍晋三首相(党総裁)も出席。出席者によると、首相は席上、党是とする憲法改正を実現するため、衆参両院で「総議員の3分の2以上の賛成」との改憲発議要件を定めた96条の見直しに優先的に取り組む意向を改めて示した。
 首相は冒頭、憲法改正は自民党が結党以来掲げてきた「大きな宿題」と指摘。「改正はほとんど不可能かなという雰囲気の中で、自民党が本格的な(改憲)草案を用意して可能性が出てきた」と述べた。 
 その後の非公開のやりとりでは、現状での改憲の難しさに触れた上で「(改正は)96条からやっていこう」と表明。また、自衛隊について「自分を守る利己的な軍隊だとの印象がある」として、自民党が衆院選公約で掲げた「国防軍」創設の必要性を訴えた
 同党は今後も推進本部を定期的に開き、党内の意見集約を進める方針。次回会合では、改正手続きの一つである国民投票について議論する予定だ。

(5)集団的自衛権行使は、自国を守るものではなく、他国を守るものです。
つまり、自衛権ではなく、他衛権です。
安倍首相も、自衛隊を自国の防衛のためというよりも、アメリカなどの他国の戦争に参戦するために集団的自衛権行使を強行したいと認識しているのです。

(6)ところが、それでは国民の賛成がなかなか得られないので、「国民を守るために集団的自衛権を行使できるようにする」と言い出しています。
産経新聞2014.5.15 18:58
国民の命を守る責任 「放置せよ」と憲法は言っていない

 安倍晋三首相は15日夕、首相官邸で記者会見を開き、集団的自衛権行使など安全保障上の課題について「政府の基本的方向性」を表明、国民に理解を求めた。会見の詳報は以下の通り。
 「本日、政府の有識者会議『安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)』から報告書が提出されました。外交、安全保障、法律の専門家の皆さんが約2年半検討、議論を重ねてきた結果です。まず冒頭、柳井俊二座長、北岡伸一座長代理をはじめ委員の方々の高い見識とご意見に心から感謝お礼を申し上げたいと思います」
 「本日は、この報告書を受けて今後どのように検討していくか、その基本的方向性について国民の皆様に私から直接ご説明をさせていただきたいと思います」
 「この報告書を受けて考えるべきこと。それは私たちの命を守り、私たちの平和な暮らしを守るため、私たちは何をなすべきかということであります。具体的な例でご説明をしたいと思います」
 「今や海外に住む日本人は150万人。さらに年間1800万人の日本人が海外に出かけていく時代です。その場所で突然紛争が起こることも考えられます。そこから逃げようとする日本人を、同盟国である米国が救助で輸送しているとき、日本近海で攻撃があるかもしれない。このような場合でも、日本人自身が攻撃を受けていなければ日本人が乗っている米国の船を日本の自衛隊は守ることができない。これが憲法の現在の解釈です」
・・・

しかし、米国が日本人を救援して輸送することなど皆無に近いことは、安倍首相も知っているはずです。
それなのに、あえて皆無に近い事例を挙げるのは、国民騙しの説明をしていることになります。
相変わらず卑怯なやり方です。

(7)安倍「解釈改憲」は国民を守るどころか国民を犠牲にするものです。
アメリカはこれまで多くの戦争を強行し、多くの犠牲者を出しています。
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版-2014/05/26
米国の戦争、犠牲者数ワースト10

米連邦政府が定めているメモリアルデーはバーベキューをしたり、交通渋滞が発生したりするだけの祝日ではない。もともとは「デコレーションデー(勲章の日)」として知られていたこの祝日は、南北戦争で犠牲となったユニオン(北軍)とコンフェデレート(南軍)の兵士らを追悼するために設けられたものだ。今では兵役で殉職したすべての米国人を称えるための日となっている。
 米議会調査局(CRS)は2010年に、米国が関わった主な戦争や戦闘行為での米国人の犠牲者数を発表した。最も犠牲者数の多かった10の戦争を順に並べてみる。

1, 南北戦争(1861年〜1865年)
殉職者総数:36万4511人
派遣された兵士の数:221万3363人
戦闘中の死亡者数:14万0414人
その他を原因とする死亡者数:22万4097人
(注:数字はいずれも北軍のみ。CRSの報告書によると、南軍の公式なデータは不明。ただ、陸軍憲兵司令官の最後の報告書には南軍の犠牲者が戦闘中とその他を合わせて13万3821人とある。これを合計すると南北戦争の殉職総数は49万8332人に達し、犠牲者数が最も多い戦争となる。)

2, 第2次世界大戦(1941年米参戦〜1945年)
殉職者総数:40万5399人
派遣された兵士の数:1611万2566人
戦闘中の死亡者数:29万1557人
その他を原因とする死亡者数:11万3842人

3, 第1次世界大戦(1917年米参戦〜1918年)
殉職者総数:11万6516人
派遣された兵士の数:473万4991人
戦闘中の死亡者数:5万3402人
その他を原因とする死亡者数:6万3114人

4, ベトナム戦争(1964年〜1973年)
殉職者総数:5万8220人
派遣された兵士の数:874万4000人
戦闘中の死亡者数:4万7434人
その他を原因とする死亡者数:1万0786人
(注:1955年11月1日の米軍事援助顧問団の設立の日から、ベトナムに派遣されていた最後の米兵士が撤退した1975年5月15日までの数字を含む)

5, 朝鮮戦争(1950年〜1953年)
殉職者総数:3万6574人
派遣された兵士の数:572万人
戦闘中の死亡者数:3万3739人
その他を原因とする死亡者数:2835人

6, 米墨戦争(1846年〜1848年)
殉職者総数:1万3283人
派遣された兵士の数:7万8718人
戦闘中の死亡者数:1733人
その他を原因とする死亡者数:1万1550人

7, イラク戦争(2003年〜2011年)
殉職者総数:4486人(出典:icasualties.org)
派遣された兵士の数:150万人超(出典:米上院民主党の委員会)
戦闘中の死亡者数:不明
その他を原因とする死亡者数:不明

8, 独立戦争(1775年〜1783年)
殉職者総数:4435人
派遣された兵士の数:不明
戦闘中の死亡者数:不明
その他を原因とする死亡者数:不明

9, 米西戦争(1898年〜1901年)
殉職者総数:2446人
派遣された兵士の数:30万6760人
戦闘中の死亡者数:385人
その他を原因とする死亡者数:2061人

10, アフガニスタン戦争(2001年〜現在)
殉職者総数:2322人(出典:icasualties.org)
派遣された兵士の数:不明
戦闘中の死亡者数:不明
その他を原因とする死亡者数:不明

(8)以上のうち、近年のイラク戦争、アフガニスタン戦争でも、犠牲者を出していることが注目されます。

もちろん、これらの戦争では、アメリカ以外の国においても、犠牲者を出しています。
http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nobu/iraq/casualty.htm
【イラク戦争における米軍および有志連合軍の死傷者】
イラク開戦〜2011年12月31日(AP通信集計およびイラク戦争関連年表から集計し作成)
国名 人数
米国 4,488
英国 179
イタリア 33
ポーランド 23
ウクライナ 18
ブルガリア 13
スペイン 11
デンマーク 7
エルサルバドル 5
グルジア 5
スロバキア 4
ラトビア,ルーマニア 各3
エストニア,オーストラリア,
オランダ,タイ 各2
アゼルバイジャン,カザフスタン,
韓国,チェコ,ハンガリー,フィジー 各1
合計 4,806

【アフガニスタン戦争における犠牲者数】
http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nobu/iraq/casualty_A.htm

(9)安倍「解釈改憲」は、アメリカの要求に応えたものであり、それゆえアメリカの戦争に日本が集団的自衛権を行使して参戦することが条約に基づく義務づけられ、自衛隊員が死傷する可能性が高くなるわけですが、アメリカから少し「独立・自立」して日本が近隣諸国との間で戦争を引き起こせば、自衛隊員だけではなく日本本土の国民も死傷する可能性が高くなることを指摘しました。
安倍「解釈改憲」は自衛隊員とその家族だけが恐れているわけではない!

今月(2014年5月)15日、安倍首相の私的諮問機関である、憲法の素人集団の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(「安保法制懇」)が報告書を提出し、安倍首相は記者会見しましたので、それらと、自衛隊員や元日本軍兵士の反応報道を紹介しました。
安保法制懇の報告書、安倍首相の記者会見、自衛隊員らの反応の紹介

加えて、日本が戦争加害者になれば、日本と日本人が憎まれてしまい、将来テロの標的になり被害を受けることにもなるのです。

(10)戦争をすれば、当然、平和的生存権を侵害することになるのは明確です。
ですから、2012年自民党「日本国憲法改正草案」は、日本国憲法前文にある平和的生存権を削除しています。

安倍首相ら大臣や自民党などの改憲政党の議員らが靖国神社に参拝するのは、かつての侵略戦争を美化することに加えて、平和憲法を改悪すれば、今の自衛隊ら・将来の国防軍人らが戦争で犠牲になることを予想しているからでしょう。
その証拠に、自民党「日本国憲法改正草案」は、政教分離原則を後退させています。
(信教の自由)
 第20条 信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。 2・・・ 3 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。

(公の財産の支出及び利用の制限)
 第89条 公金その他の公の財産は、第20条第3項ただし書に規定する場合を除き、宗教的活動を行う組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため支出し、又はその利用に供してはならない。


(11)一般庶民がこれを歓迎するはずがありません。
安倍「解釈改憲」に対する世論調査の結果については、先月までの分をご紹介しましたが、その後も変わらないようです。
NHK2014年6月9日 19時15分

安倍総理大臣は、これまでの政府の憲法解釈を変更することで、集団的自衛権を行使できるようにすることに意欲を示していますが、この考えに賛成かどうか聞いたところ、▽「賛成」が22%、▽「反対」が33%、▽「どちらともいえない」が40%でした。
自民党は、集団的自衛権の行使について、「国の平和と安全を維持し、存立をまっとうするための必要最小限度の行使は、憲法上許される」と主張していますが、この主張に納得できるかどうか尋ねたところ、▽「納得できる」が25%、▽「納得できない」が31%、▽「どちらともいえない」が37%でした。
・・・

2014/06/22 19:30 【共同通信】
集団的自衛権「反対」が過半数 行使拡大懸念6割、共同通信調査

共同通信社が21、22両日に実施した全国電話世論調査によると、集団的自衛権の行使容認への反対は55・4%で半数を超えた。憲法改正ではなく解釈変更によって行使を認める考えに反対との回答は57・7%で、賛成は29・6%だった。行使を一度容認すれば、容認の範囲が広がると懸念する回答は62・1%に上った。安倍晋三首相は憲法解釈変更について早期の与党合意を目指すが、慎重論は根強いようだ。
・・・

朝日新聞2014年6月22日23時06分
世論調査―質問と回答(6月21、22日実施)

(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は5月24、25日の調査結果)
◆集団的自衛権についてうかがいます。集団的自衛権とは、アメリカなど日本と密接な関係にある国が攻撃された時に、日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして一緒に戦う権利のことです。これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきました。集団的自衛権を使えるようにすることに、賛成ですか。反対ですか。
 賛成 28  反対 56

◆安倍首相は、国会の議論や国民の賛成を経て、憲法を改正するのではなく、内閣の判断で、政府の憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにしようとしています。こうした安倍首相の進め方は適切だと思いますか。適切ではないと思いますか。
 適切だ 17(18) 適切ではない 67(67)

◆安倍政権は、近いうちに憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることを決める方針です。安倍政権での集団的自衛権をめぐる議論は十分だと思いますか。十分ではないと思いますか。
 十分だ 9  十分ではない 76

◆国連の集団安全保障についてうかがいます。国連は、平和を乱したと判断した国に対して、多国籍軍などが武力で制裁を加えることを認めています。これまで日本は憲法上、武力行使を伴う参加は認めてきませんでした。国連の集団安全保障で、日本が武力を使えるようにすることに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 20 反対 65

(12)立憲主義に反する安倍「解釈改憲」は、国民の極一部しか支持していないのですから、やはりクーデターと評するしかないでしょう。

集団的自衛権(他衛権)行使についての安倍「解釈改憲」の支持者は世論調査で2、3割程度

(1)集団的自衛権行使や多国籍軍参加により日本(の自衛隊)がそれらの戦争に参戦することについて、安倍晋三首相は、従来違憲であると解釈していた政府解釈を「合憲」に変更しようと目論んでいます。

このように憲法改正手続きさえ経ずに改憲の目的を達成しようという「解釈改憲」が、憲法上許されないことは、自民党が「新憲法草案」(2005年)や「日本国憲法改正草案」(2012年)を作成したことで証明されている、と指摘しました。

安倍「解釈改憲」が憲法上許されないのは自民党「日本国憲法改正草案」が証明している!

(2)また、その「解釈改憲」は明文改憲が実現できないから強行しようとするものであり、卑怯であることも、指摘しました。
安倍「解釈改憲」の卑怯さ(”右翼の軍国主義者”のクーデターの企て)

(3)さらに、安倍「解釈改憲」は、アメリカの要求に応えたものであり、それゆえアメリカの戦争に日本が集団的自衛権を行使して参戦することが条約に基づく義務づけられ、自衛隊員が死傷する可能性が高くいなるわけですが、アメリカから少し「独立・自立」して日本が近隣諸国との間で戦争を引き起こせば、自衛隊員だけではなく日本本土の国民も死傷する可能性が高くなることを指摘しました。

安倍「解釈改憲」は自衛隊員とその家族だけが恐れているわけではない!

(4)今月(2014年5月)15日、安倍首相の私的諮問機関である、憲法の素人集団の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(「安保法制懇」)が報告書を提出し、安倍首相は記者会見しましたので、それらと、自衛隊員や元日本軍兵士の反応報道を紹介しました。

安保法制懇の報告書、安倍首相の記者会見、自衛隊員らの反応の紹介

(5)その翌16日、憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)が声明「安保法制懇『報告書』をテコに『戦争する国』めざす安倍首相の暴走を糾弾する」を発表したので、それを紹介しまました。

憲法会議声明「安保法制懇『報告書』をテコに『戦争する国』めざす安倍首相の暴走を糾弾する」の紹介

(6)安倍内閣が長年の慣行を破って内閣法制局長官に素人の小松氏を抜擢したので、小松氏が退任しても、「駆けつけ警護」問題や集団的自衛権行使問題で与党が「合憲」としても体を張って違憲解釈を主張するまでは内閣法制局への不信感は払拭されないと指摘しました。

安倍政権の”慣行”破りで憲法解釈の素人と化した内閣法制局長官と「駆けつけ警護」問題

(7)安倍首相は大臣ですから「憲法改正」や「解釈改憲」を主張できないのにそれを公言し憲法尊重擁護義務違反を犯し、日米安保条約などによる集団的自衛権行使義務の遵守を目指していることを指摘して批判しました。

憲法尊重擁護義務違反をして集団的自衛権行使義務の遵守を目指す安倍首相

(8)ところで、安倍首相が外国の戦争に参戦することになる集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」と「解釈」する「解釈改憲」を目論んでいることについて、国民は、それをどの程度支持・賛成しているのでしょうか?


1.安倍「解釈改憲」についてのマスメディアの世論調査結果

(1)安倍首相は、9条明文改憲、96条先行明文改憲が実現できないと判断し、「解釈改憲」を目論んでいるのですから、マスメディアが世論調査する場合には、少なくとも、その「解釈改憲」の是非を調べるべきです。

そこで、集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」と「解釈」する「解釈改憲」についての各マスメディアの世論調査結果を確認してみましょう。

読売新聞2014年03月15日 15時00分

憲法の解釈を変更して、集団的自衛権を使えるようにする      27%

毎日新聞 2014年03月30日 22時11分(最終更新 03月31日 01時24分)

憲法を改正せずに憲法解釈の変更で集団的自衛権を行使できるようにする安倍晋三首相の進め方について「賛成」は30%

NHK4月14日 19時16分

安倍総理大臣は、これまでの政府の憲法解釈を変更することで集団的自衛権を行使できるようにすることに意欲を示していますが、この考えに賛成かどうか聞いたところ、「賛成」が21%

朝日新聞2014年4月22日00時12分

これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきました。憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることに、賛成ですか。反対ですか。 賛成 27%

NHK5月2日 20時04分

 政府が憲法解釈では認められないとしている集団的自衛権の行使を認めるべきだと思うか聞いたところ、「これまでの政府の憲法解釈を変えて、行使を認めるべきだ」が21%

ε豕新聞 2014年5月19日 朝刊
共同通信社
憲法解釈変更への賛成は34・5%

日本経済新聞2014/5/25 22:00

憲法改正でなく憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認することに「賛成」との回答が28%

朝日新聞2014年5月26日00時33分

集団的自衛権についてうかがいます。集団的自衛権とは、アメリカのような同盟国が攻撃された時に、日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして、一緒に戦う権利のことです。これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきました。憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることに、賛成ですか。反対ですか。 賛成 29%

(2)以上紹介したように、最近のマスメディアによる、集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」と「解釈」する「解釈改憲」を支持する世論調査結果の最低は21%で、最高は34・5%です。

つまり、国民の2割、3割程度しか安倍「解釈改憲」は支持されていないのです。


2.ほかの世論調査について

(1)以上に対しては、ほかのマスメディアの世論調査結果では、もっと支持されている、との反論が予想されるので、それを検討してみましょう。

(2)まず、産経新聞の世論調査の結果です。
産経新聞2014.5.19 12:03
【産経FNN世論調査】
7割が集団的自衛権を容認 日本人輸送の米艦船護衛73・1%が支持 

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が17、18両日に実施した合同世論調査で、安倍晋三首相が目指す集団的自衛権の行使容認について「必要最小限度で使えるようにすべきだ」との回答を含め約7割が賛意を示した。賛意を示した人のうち、憲法改正ではなく、首相が主張する憲法解釈の変更での対応を支持する人も約7割に上り、安倍政権にとって追い風となりそうだ。
 集団的自衛権の行使容認に関しては「全面的に使えるようにすべきだ」が10・5%、「必要最小限度で使えるようにすべきだ」が59・4%に上った。「使えるようにすべきではない」と反対したのは、28・1%にとどまった。
 集団的自衛権の行使容認に賛意を示した人のなかで「憲法改正が望ましいが、当面は解釈変更で対応するればよい」と回答したのは46・9%で、「必ずしも憲法改正の必要はなく、解釈変更でよい」の23・5%と合わせて、憲法解釈変更の容認派は7割に達した。「憲法解釈変更は認められず、必ず憲法の改正が必要だ」との回答は25・8%だった。・・・・・

これによると、
集団的自衛権の行使容認に関しては「全面的に使えるようにすべきだ」10・5%と「必要最小限度で使えるようにすべきだ」59・4%の合計は69・9%です。
これが、「集団的自衛権の行使容認に賛意を示した人」ということのようです。

この「集団的自衛権の行使容認に賛意を示した人」のなかで
「憲法改正が望ましいが、当面は解釈変更で対応するればよい」46・9%と「必ずしも憲法改正の必要はなく、解釈変更でよい」23・5%の合計は70・4%です。

ということは、「集団的自衛権の行使容認に賛意を示した人」69・9%のうち「解釈変更でよい」は計70・4%なので、
全回答者の49・2%が「集団的自衛権の行使は解釈変更でよい」(安倍「解釈改憲」支持)の割合になりそうです。

それでも、50%近いわけですから、他のマスメディアの世論調査結果と比較しても、
安倍「解釈改憲」支持の割合の2倍程度もあります。

これは、不可解です。
この世論調査が真実に近いのか、すでに紹介した世論調査が真実に近いのか?

そこで、もう一度、この産経新聞の世論調査における選択肢の内容を確認してみましょう。
選択肢のうち、
「憲法改正が望ましいが、当面は解釈変更で対応するればよい」
は、どう考えても、問題があります。

というのは、
「当面は」としていますが、
それがどれくらいの年月あるいは日時なのか、不明です。
回答者によって、その受けとめ方は異なるでしょう。

また、「当面」後、必ず「憲法改正」が実現するわけけではありません。
もし「憲法改正」が実現しなければ、変更した解釈を元に戻すのでしょうか?
おそらく、そのようなことは現実には政権交代が起こらない限り皆無に近いでしょう。

このように考えると、この選択肢は、極めて問題にあるものだとわかります。

となると、
この世論調査はこの点で信頼のおけるものではないことになります。
率直に言えば、無駄な世論調査です(他の設問は別)。

もしそれでも、この世論調査を重視するというのであれば、
「憲法改正が望ましいが、当面は解釈変更で対応するればよい」という選択肢を選択した回答は除外して考えるしかないでしょう。

そうすると、
「集団的自衛権の行使容認に賛意を示した人」70・4%のなかで
「必ずしも憲法改正の必要はなく、解釈変更でよい」が23・5%なので
回答者全体のうち16.5%しか安倍「解釈改憲」を真に支持してはいない、ということを重視するしかなくなってしまいます。

そうなると、安倍「解釈改憲」についての世論調査で最低の支持率は、
21%ではなく、16.5%になってしまいます。

(3)次に、以下の読売新聞の調査結果の報道です。
読売新聞2014年05月12日 08時55分
集団的自衛権、行使容認71%…読売世論調査

 政府が目指す集団的自衛権の行使に関して、「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」とした「限定容認論」を支持する人は63%に上ることが、読売新聞社の全国世論調査で分かった。
 「全面的に使えるようにすべきだ」と答えた8%と合わせて計71%が行使を容認する考えを示した。行使容認論の国民への広がりが鮮明となり、近く本格化する集団的自衛権を巡る与党協議にも影響を与えそうだ。
 9〜11日に実施した世論調査では、限定容認論を選んだ人が前回調査(4月11〜13日)より4ポイント上昇した。一方、「使えるようにする必要はない」と答えた人は25%で、前回より2ポイント下がった。
 支持政党別にみると、限定容認論への支持は、自民支持層で7割を超えた。公明党は集団的自衛権の行使容認に慎重だが、限定容認論を選んだ同党支持層は7割近くに上り、党と支持者の間で考え方に隔たりがあった。民主支持層と無党派層でも、限定容認論はいずれも6割近くに上った。

この世論調査では、集団的自衛権行使の是非について、明文改憲ではなく、「解釈による変更」がどれくらい支持されているのか不明です。
実際の紙面で、この世論調査における選択肢を確認したところ、
実際の選択肢は、
「全面的に使えるようにすべきだ」
「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」
「使えるようにする必要はない」
「その他」
です。

やはり「解釈による変更」を支持するか否かを回答する選択肢はありませんでした。
これでは、今の安倍「解釈改憲」について国民がどのように思っているのかがわからないわけですから、この点では(他の設問は別)全く無駄な世論調査だったことになります。

すでに紹介した読売新聞2014年03月15日 15時00分
では、「憲法の解釈を変更して、集団的自衛権を使えるようにする」という選択肢が設けられ、27%だったことが公表されていました。
読売新聞を定期購読している方々なら、その多くがすぐに気づいたでしょう。
それにしても、なぜ、今回の読売新聞2014年05月12日 08時55分で報道された世論調査では、同じ選択肢が設けられなかったのでしょうか?
世論調査としても無意味だたわけですが、多分、相当の資金を使って世論調査が行われたと推察しますので、これではカネの無駄遣いだったことになりそうです。

(4)ところが、前掲の産経新聞の大阪本社版では、上記紹介の世論調査につき「集団的自衛権695「容認」 解釈変更 うち7割支持」という見出しで第一面トップに掲載されています。

世論調査としては問題のある選択肢を設け、それへの回答を悪用して、安倍「解釈改憲」が高い支持を得ているように報道するのは、極めて政治的は判断に基づくのではいかと推察するしかありません。

この点は、読売新聞の今回のものも同様です。
前掲の読売新聞の大阪本社版も、上記紹介の世論調査の報道を第一面に掲載されています。
このように安倍「解釈改憲」が重大な話題になっているときの世論調査としては無駄であるにも関わらず、それをトップに紹介するのは、極めて政治的な判断に基づくものではないかと推察するしかありません。
つまり、読売新聞2014年03月15日 15時00分では、安倍「解釈改憲」の支持が27%しかなかったので、今回は、安倍「解釈改憲」を後押しするために、あえて安倍「解釈改憲」の是非を問う選択肢を設けなかったのではないでしょうか。

産経新聞も読売新聞も、集団的自衛権行使の支持の割合を高く見せ、まるで安倍「解釈改憲」が国民に支持されているかのように錯覚させ、世論誘導するために、今回の無意味な世論調査が行われたのではないでしょうか。

そうなると、産経新聞としても、読売新聞としても、無駄な世論調査ではなく、有意義な世論調査だったjことになりそうです。

(5)こうなると、読売新聞は、ジャーナリズム精神も社会科学の精神もない、単なる好戦的な政治団体の新聞と誤解されてしまうのではないでしょうか!?
そう思われないためには、今後は、まっとうな選択肢を設けて、世論調査すべきです。

(6)なお、世論調査の選択肢の内容については、産経新聞・読売新聞以外のマスメディアの世論調査に対しても注文したいことがあるのですが、それはまた別の機会にしたいと思います。

「秘密保護法の制定に反対する憲法・メディア法・刑事法研究者の声明」の紹介

(1)昨日(2013年10月28日)、秘密保護法案(私は「特定情報隠蔽法案」と呼んでいます)に反対する全国の憲法研究者・メディア法研究者・刑事法研究者271の声明が発表されました。

(2)まず、憲法研究者の声明がまとまった時(今10月中旬)の報道からご紹介します。
東京新聞2013年10月19日 朝刊
秘密保護法案 人権脅かす 憲法学者24人反対声明

 憲法・メディア法学者二十四人が呼び掛け人となり、特定秘密保護法案に反対する声明をまとめた。賛同者を募り、近く発表する。刑事法研究者百二十三人も同様の声明を準備している。政府は来週の閣議で法案を決定したい考えだが、法律専門家の間で反対の声が広がっている。 (金杉貴雄)
 憲法・メディア法学者の反対声明の呼び掛け人には奥平康弘東京大名誉教授をはじめ、山内敏弘一橋大名誉教授、石村善治福岡大名誉教授、森英樹名古屋大名誉教授、田島泰彦上智大教授ら著名な研究者が名を連ねた。
 声明は、特定秘密保護法案について「重要で広範な国の情報が行政の一存で指定されることで、国民の知る権利が侵害される」と批判。秘密保護の強化は集団的自衛権の行使容認や自民党草案による改憲の流れと一体と分析し、「基本的人権、国民主権、平和主義の憲法の基本原理を踏みにじる危険性が高い」と反対の理由を説明している。
 刑事法研究者の声明は日本刑法学会元理事長の村井敏邦一橋大名誉教授ら二十三人が呼び掛け人となり、賛同者を募った。
 声明は、戦前の秘密保護法制が言論統制の柱になったと指摘。裁判官も秘密自体を確認できないため、適正な刑事手続きが保障されないとして「基本的人権の尊重などの憲法の基本原理を脅かし、刑事法の人権保障も侵害する恐れが大きい」と指摘している。

(3)次に、参考までに、先日公表されたマスコミの世論調査の報道をご紹介しておきます。
共同通信社の世論調査です。
産経新聞2013.10.27 18:48
秘密保護法反対が半数超、慎重審議求める声82% 共同通信世論調査

 共同通信社が26、27両日に実施した全国電話世論調査によると、政府が今国会に提出した特定秘密保護法案に反対が50・6%と半数を超えた。賛成は35・9%だった。今国会にこだわらず、慎重審議を求める意見は82・7%に達し、今国会で成立させるべきだの12・9%を上回った。
(略)

(4)では、昨日の記者会見についてのマスコミ報道をご紹介いたします。
朝日新聞2013年10月28日17時35分
秘密保護法案「憲法原理踏みにじる」 学者らが反対声明

 安倍政権が国会に提出した特定秘密保護法案について憲法やメディア法の研究者が28日、「基本的人権の保障、国民主権、平和主義という憲法の基本原理を踏みにじる危険性が高い」として、制定に反対する声明を発表した。
 奥平康弘・東大名誉教授(憲法)や田島泰彦・上智大教授(メディア法)ら24人が呼びかけ、118人が賛同した。声明は、同法案について「重要で広範な国の情報が行政機関の一存で特定秘密とされる」恐れがあると指摘。報道の自由や市民の知る権利、国会議員の調査活動などが侵害・制約されかねず、平和主義の観点から精査されるべき防衛情報を広く国民の目から遠ざける、としている。
 刑事法の研究者もこの日、同法案は「刑事法の人権保障をも侵害する恐れが大きい」として反対声明を発表。呼びかけ人・賛同者は計129人にのぼった。

2013/10/28 18:00 【共同通信】
秘密保護法案、憲法踏みにじる 法学者ら270人が反対声明

 政府が今国会に提出した特定秘密保護法案に反対する法学者ら10人が28日、東京の衆院議員会館で記者会見し「法案は基本的人権の保障、国民主権、平和主義という憲法の基本原理をことごとく踏みにじり、傷つける危険性の高い提案」などとする声明を出した。
 憲法・メディア法と刑事法の研究者が、それぞれ声明を作成。全国の大学教授や弁護士ら計270人以上が賛同した。
 記者会見では、「21世紀の治安維持法」、「どこからのチェック機能も働かない法案は認めるわけにいかない」などの反対意見が相次いだ。

東京新聞2013年10月29日 朝刊
秘密保護法案 265人反対 憲法の3原則侵害

 憲法・メディア法と刑事法の研究者が二十八日、それぞれ特定秘密保護法案に反対する声明を発表した。声明に賛成する研究者は憲法・メディア法が百四十人、刑事法が百二十人を超えた。憲法の「知る権利」や「国民主権」を損なう法案の実態が明らかになるにつれ、成立を急ぐ政府とは逆に反対の声が広がっている。
 反対声明は憲法・メディア法と刑事法の研究者が二十八日、国会内で合同で記者会見して発表した。
 憲法・メディア法研究者の声明は呼び掛け人が二十四人、賛同者百十八人の計百四十二人。刑事法は呼び掛け人二十三人、賛同者百人の計百二十三人。
 会見で、憲法・メディア法の呼び掛け人の山内敏弘一橋大名誉教授は「法案は憲法の三つの基本原理である基本的人権、国民主権、平和主義と真っ向から衝突し侵害する」と指摘。刑事法の呼び掛け人代表の村井敏邦一橋大名誉教授は「(軍事機密を守る目的で制定された)戦前の軍機保護法と同じ性格。戦前の影響を考えれば、刑事法学者は絶対反対しなければならない」と呼び掛けた。
 声明はいずれも法案の問題点として、特定秘密を第三者の点検を受けず政府の判断で指定し、漏えいや取得に厳罰を科して、調査活動をする市民や記者も罪に問われる点を挙げた。その上で「国民の『知る権利』を侵害し憲法の国民主権の基盤を失わせ、憲法に基づいて国民が精査すべき平和主義に反している」などと批判した。憲法・メディア法は奥平康弘東京大名誉教授、東北大や東大などで教授を歴任した樋口陽一氏、杉原泰雄一橋大名誉教授、刑事法は斉藤豊治甲南大名誉教授ら研究者が呼び掛け人、賛同者に名を連ねた。
秘密保護法に反対する研究者声明の骨子











しんぶん赤旗2013年10月29日(火)
秘密保護法案 研究者271氏「反対」  憲法・メディア法、刑事法

 国民の目・耳・口をふさぐ秘密保護法案に反対―。憲法・メディア法研究者と刑事法研究者が28日、国会内の記者会見で声明を明らかにし、秘密保護法案反対を訴えました。憲法・メディア法研究者による声明には142氏、刑事法研究者の声明は129氏、合わせて271氏が賛同(28日現在)しています。
 呼びかけ人の田島泰彦上智大学教授(憲法・メディア法)は、「メディアや市民の情報発信・抗議などで世論も変化してきたが事態はかなり緊迫している」と危機感を表明。「(秘密保護法案が通れば)極端な秘密主義国家、情報独裁国家になってしまう。秘密を官僚が独占するだけでなく、国民が知らなければならない情報を官僚が決め、差しさわりがあれば国民を処罰する仕組みだ。形の上での民主主義も崩される」と訴えました。
 会見で「秘密保護法案は『軍事立法』だ」と述べたのは村井敏邦一橋大学名誉教授(日本刑法学会元理事長)。刑事法研究者による声明の呼びかけ人代表として、「国家安全保障会議設置法案とあわせて審議されるところに(軍事立法としての)意図は明確だ。戦前の軍機保護法と性格を一にしている。そもそもこういう法律を作っていいのか」と述べました。
 山内敏弘一橋大学名誉教授(憲法学)は、「この法案で市民生活が警察の取り締まり対象になれば、市民生活の自由とダイレクト(直接的)に抵触する。マスメディアの手足をもぎとるような法案であり、この法案が通れば、『集団的自衛権の行使』という既成事実がつくられてしまう。戦前の大本営発表と同じ事態になる」と批判しました。
 新倉修青山学院大学教授(刑事法)は、「(盗聴で)アメリカが情報を集めて世界を操作していることが明らかになっているときに、アメリカと歩調を合わせて情報を秘匿して国民を操って、何から安全を守るのかわからない社会をつくろうとしている」と述べました。

秘密保護法案反対

声明の呼びかけ人


 28日に秘密保護法案反対声明を明らかにした「呼びかけ人」はそれぞれ次の各氏です。
 【憲法・メディア法】
 愛敬浩二(名古屋大学教授)、青井未帆(学習院大学法務研究科教授)、石村善治(福岡大学名誉教授)、市川正人(立命館大学教授)、今関源成(早稲田大学法学学術院教授)、上田勝美(龍谷大学名誉教授)、★右崎正博(獨協大学教授)、浦田賢治(早稲田大学名誉教授)、浦田一郎(明治大学法学部教授)、浦部法穂(神戸大学名誉教授)、奥平康弘(憲法研究者)、小沢隆一(東京慈恵会医科大学教授)、阪口正二郎(一橋大学大学院法学研究科教授)、★清水雅彦(日本体育大学准教授)、杉原泰雄(一橋大学名誉教授)、★田島泰彦(上智大学教授)、服部孝章(立教大学教授)、水島朝穂(早稲田大学教授)、本秀紀(名古屋大学教授)、森英樹(名古屋大学名誉教授)、★山内敏弘(一橋大学名誉教授)、吉田栄司(関西大学法学部教授)、渡辺治(一橋大学名誉教授)、和田進(神戸大学名誉教授)
=★印は世話人=
 【刑事法】
 村井敏邦(代表、一橋大学名誉教授、弁護士、日本刑法学会元理事長)、斉藤豊治(代表、甲南大学名誉教授、弁護士)、浅田和茂(立命館大学教授)、安達光治(立命館大学教授)、海渡雄一(弁護士、日本弁護士連合会前事務総長)、川崎英明(関西学院大学教授)、葛野尋之(一橋大学教授)、斎藤司(龍谷大学准教授)、佐々木光明(神戸学院大学教授)、白取祐司(北海道大学教授)、新屋達之、(大宮法科大学院教授)、武内謙治(九州大学准教授)、土井政和(九州大学教授)、豊崎七絵(九州大学准教授)、中川孝博(國學院大學教授)、新倉修(青山学院大学教授)、渕野貴生(立命館大学教授)、本庄武(一橋大学准教授)、前田朗(東京造形大学教授)、松宮孝明(立命館大学教授)、三島聡(大阪市立大学教授)、水谷規男(大阪大学教授)、守屋克彦(弁護士、元東北学院大学教授)

しんぶん赤旗2013年10月29日(火)
秘密保護法制定に反対する声明  憲法・メディア法研究者 刑事法研究者

憲法・メディア法研究者  憲法の原理、ことごとく蹂躙

 憲法・メディア法研究者による「秘密保護法の制定に反対する声明」は、同法案が(1)基本的人権の保障(2)国民主権(3)平和主義―という憲法の三つの基本原理を「ことごとく踏みにじり、傷つける危険性の高い提案に他ならない」としています。
 第一に、国民の基本的人権については、重要で広範な国の情報が行政機関の一存で「秘密」とされることにより、「国民の知る権利が制約される危険が生じる」と秘密保護法案の問題点を指摘。秘密を取り扱う者に対する「適性評価」制度が個人のプライバシーを侵害する恐れや、広範囲な秘密指定によって漠然・広範囲な処罰をもたらし、「適正手続き」保障に反する疑いも強いとしています。
 声明は第二に、国民主権の原理に関して、国民が大きな影響を受ける重要情報の入手、取材、伝達、報道、意見交換が秘密保護法案によってさまざまな形で制限され、「国民主権が拠(よ)って立つ基盤そのものが失われてしまう」と述べています。また国会議員の調査活動や議員の国政調査権が制限を受ける可能性が高いと警告しています。
 第三に、平和主義の原理では、戦争放棄、戦力の不保持、平和的生存権を定める憲法のもと、軍事・防衛の情報は「厳しく精査されなければならない」と指摘。妥当性を検証する仕組みもない広範な防衛秘密保護の法制化は「憲法の平和主義に反し、許されない」と批判しています。

刑事法研究者  弁護士活動まで処罰の恐れ

 「特定秘密保護法の制定に反対する刑事法研究者の声明」は、「法案は一種の軍事立法」と述べ、憲法の基本原理を脅かすと同時に「刑事法上の人権保障を侵害するおそれが大きい」としています。
 第一に、秘密保護法案に規定された罰則は「文言が曖昧(あいまい)であり、処罰範囲は広範であって、憲法31条の適正手続・罪刑法定主義に反する」と批判しています。「特定秘密」の内容を行政機関の長が決定する仕組みでは「刑法による保護の対象を事実上行政機関の決定に広範に委任」していることになり、「それ自体罪刑法定主義の趣旨に反する」としています。
 声明は第二に、刑事裁判における「適正手続き」を侵害するおそれがあるとし、「『特定秘密』の内容が裁判官に対してさえ明らかにされないまま、審理され、有罪とされる」と秘密保護法案の問題点を指摘。また、弁護のために「特定秘密」に接しようとする弁護士の活動まで「共謀罪、独立教唆(きょうさ)・扇動(せんどう)罪…として処罰される可能性がある」としています。
 第三に、「報道機関への配慮規定は問題を解決しない」として、「法案は水も漏らさない秘密保護の体制を作り上げることを意図」していると指摘。公務員等が秘密をメディアに提供するには懲役10年を覚悟しなければならず、報道関係者が秘密に接すれば「10年以下の懲役及び1000万円以下の罰金」という仕組みとなっているもとでは、「法案は『拡張解釈』しなくても十分人権侵害をもたらす」と述べています。
 罪刑法定主義 国民に刑罰を科す場合には、議会が定める法律で、犯罪の内容とそれに対する刑罰があらかじめ決められていなければならないという原則。刑罰を政令などの行政法規に委任することが禁止され、乱用の恐れのないよう要件が明確であることが求められます。
 適正手続き 国民が刑罰などの不利益を受ける場合に、弁護権を十分に受けたり、裁判を公開したりするなど、手続き上の適正さが保障されなければならないという原則です。


(5)最後に、私も賛同した「憲法・メディア法研究者の声明」とその賛同者をご紹介いたします。
なお、賛同者の氏名とその数は、記者会見に間に合った分です(いつの時点かは下で明記しています。実際には、その後賛同者が増えている可能性がありますので、ご留意ください)。
秘密保護法の制定に反対する憲法・メディア法研究者の声明

 安倍政権は、9月26日、かねて準備を進めてきた「特定秘密の保護に関する法律案」を示し、臨時国会への提出を目指している。しかしながら、この法案には憲法の基本原理に照らして看過しがたい重大な問題点があると考えるので、私たちは同法案の制定に強く反対する。

1 取材・報道の自由、国民の知る権利などさまざまな人権を侵害する
 取材・報道の自由は、国民が国政に関与することにつき重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものであって、憲法21条が保障する表現の自由の保護が及ぶものであることは言うまでもない(博多駅事件最高裁大法廷決定など)。ところが、本法案は、防衛・外交・特定有害活動の防止・テロリズム防止の4分野の情報のうち特に秘匿が必要なものを行政機関の長が「特定秘密」として指定し、その漏えいに対して懲役10年以下の厳罰でもって禁止するだけでなく、特定秘密保有者の管理を害する行為により取得した場合も同様の処罰の対象とし、さらに漏えいや取得についての共謀・教唆・扇動にも罰則を科し、過失や未遂への処罰規定も置いている。
 以上のような仕組みが導入されてしまうと、まずなによりも、重要で広範な国の情報が行政機関の一存で特定秘密とされることにより、国民の知る権利が制約される危険が生じる。また、特定秘密を業務上取り扱う公務員や民間の契約業者の職員が萎縮することにより情報提供が狭められるのに加えて、漏えいへの教唆や取得なども犯罪として処罰されることにより、ジャーナリストの取材活動や市民の調査活動そのものが厳しく制限され、ひいては報道の自由や市民の知る権利が不当に侵害されかねない。なお、法案には、「報道の自由に十分配慮する」との規定も置かれているが(20条)、この種の配慮規定により、法案そのものの危険性を本質的に取り除くことはできない。
 このほか、本法案は、特定秘密を漏らすおそれがないよう秘密を取り扱う者に対する適性評価制度を導入し、評価対象者の家族関係や犯罪歴、病歴、経済的状態などを詳細に調査しようとしているが、これは個人のプライバシーを広範囲に侵害するものであり、不当な選別、差別を助長し、内部告発の抑止にもつながりかねない。また、秘密とされる範囲は広範囲に及び、かつ、漏えい等が禁止される事項も抽象的に書かれており、漠然としていて処罰の範囲も不明確であり、憲法31条が要求する適正手続の保障に反する疑いも強い。さらに、本法案が実現すると、秘密の中身が明らかにされにくく公開裁判が形骸化するおそれがあり、憲法37条が保障する公平な裁判所による迅速な公開裁判を受ける権利が脅かされかねない。

2 憲法の国民主権の原理に反する
 憲法の国民主権の原理は、主権者である国民の意思に基づいて国政のあり方を決定していく政治のあり方を指しているが、これが十分に機能するためには、一人ひとりの国民が国政に関する事項について十分な情報にアクセスでき、その提供を受けられ、自由な表現・報道活動が行われ、これらによって主権者の意思が形成されることが前提である。
 ところが、本法案が提示しているのは、そのような国民主権の前提に反して、1にも記したとおり、防衛、外交、有害活動防止やテロ防止など国民が大きな影響を受ける重要な情報について、その入手、取材、伝達、報道、意見交換がさまざまな形で制限される仕組みとなっている。これでは、国民主権が拠って立つ基盤そのものが失われてしまうことになろう。
そもそも、本法案の準備過程そのものが秘密の闇に包まれ国民に明らかにされないまま進められてきた経緯がある(NPO法人「情報公開市民センター」が、情報公開法によって本法案に関する情報の公開を請求したところ、内閣情報調査室は、「国民の間に不当に混乱を生じさせる」との理由で公開を拒否したと報告されている)。また、本法案が制定されることになれば、国会議員の調査活動や議院の国政調査権なども制限を受ける可能性が高く、国民主権の原理はますます形骸化されてしまいかねない。現に法案では、秘密の委員会や調査会に特定秘密が提供された場合、それを知りえた議員も漏洩等の処罰対象とされているからである。

3 憲法の平和主義の原理に反する
 憲法は、戦争の放棄と戦力の不保持、平和的生存権を定める平和主義を宣言している。これからすれば、軍事や防衛についての情報は国家の正当な秘密として必ずしも自明なものではなく、むしろこうした情報は憲法の平和主義原則の観点から厳しく吟味し、精査されなければならないはずである。
本法案は、防衛に関する事項を別表で広く詳細に列記し、関連の特定有害活動やテロ防止活動に関する事項も含め、これらの情報を広く国民の目から遠ざけてしまうことになる。秘密の指定は行政機関の一存で決められ、指定の妥当性や適正さを検証する仕組みは何も用意されていない。しかも、本法案により、現在の自衛隊法により指定されている「防衛秘密」はそのまま「特定秘密」に指定されたものと見做され、懲役も倍化されるという乱暴なやり方が取られている。本法案のような広範な防衛秘密保護の法制化は憲法の平和主義に反し、許されないと言わなければならない。むしろ、防衛や安全保障に関する情報であっても、秘密を強めるのではなく、公開を広げることこそが現代民主国家の要請である。
政府は、安全保障政策の司令塔の役割を担う日本版NSC(国家安全保障会議)の設置法案とともに本法案の制定を図ろうとしている。また自民党は先に「日本国憲法改正草案」を公表し、「国防軍」を創設するとともに、機密保持のための法律の制定をうたい、さらに、先に公表された「国家安全保障基本法案」では、集団的自衛権の行使を認めるとともに、秘密保護法の制定を示したが、本法案は、想定される武力の行使を見越して秘密保護をはかろうとするもので、憲法改正草案、国家安全保障基本法案と一体のものと見る必要がある。その背後には、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)締結にも示されるように、日米の情報共有の進展を踏まえた秘密保護強化の要請がある。

以上のように、本法案は基本的人権の保障、国民主権、平和主義という憲法の基本原理をことごとく踏みにじり、傷つける危険性の高い提案に他ならないので、私たちは重ねてその制定に強く反対する。

2013年10月11日

[呼びかけ人] (24人)
愛敬浩二(名古屋大学教授)、青井未帆(学習院大学法務研究科教授)、石村善治(福岡大学名誉教授)、市川正人(立命館大学教授)、今関源成(早稲田大学法学学術院教授)、上田勝美(龍谷大学名誉教授)、*右崎正博(獨協大学教授)、浦田賢治(早稲田大学名誉教授)、浦田一郎(明治大学法学部教授)、浦部法穂(神戸大学名誉教授)、奥平康弘(憲法研究者)、小沢隆一(東京慈恵会医科大学教授)、阪口正二郎(一橋大学大学院法学研究科教授)、*清水雅彦(日本体育大学准教授)、杉原泰雄(一橋大学名誉教授)、*田島泰彦(上智大学教授)、服部孝章(立教大学教授)、水島朝穂(早稲田大学教授)、本秀紀(名古屋大学教授)、森英樹(名古屋大学名誉教授)、*山内敏弘(一橋大学名誉教授)、吉田栄司(関西大学法学部教授)、渡辺治(一橋大学名誉教授)、和田進(神戸大学名誉教授)
(*印は世話人)


[賛同人](10月27日現在、118人)
青木宏治(関東学院大学法科大学院教授)、浅川千尋(天理大学人間学部教授)、足立英郎(大阪電気通信大学工学部人間科学研究センター)、荒牧重人(山梨学院大学)、飯島滋明(名古屋学院大学准教授)、池端忠司(神奈川大学法学部教授)、井口秀作(愛媛大学法文学部教授)、石川裕一郎(聖学院大学准教授)、石塚迅(山梨大学生命環境学部准教授)、石村修(専修大学法科大学院教授)、井田洋子(長崎大学教授)、伊藤雅康(札幌学院大学法学部教授)、稲正樹(国際基督教大学教授)、井端正幸(沖縄国際大学法学部教授)、浮田哲(羽衣国際大学現代社会学部教授)、植野妙実子(中央大学教授)、植松健一(立命館大学教授)、植村勝慶(國學院大學法学部教授)、江原勝行(岩手大学准教授)、榎透(専修大学准教授)、榎澤幸広(名古屋学院大学講師)、大石泰彦(青山学院大学教授)、大久保史郎(立命館大学教授)、大津浩(成城大学法学部教授)、大塚一美(山梨学院大学等非常勤講師)、大藤紀子(獨協大学教授)、大野友也(鹿児島大学准教授)、岡田健一郎(高知大学講師)、岡田信弘(北海道大学法学研究科教授)、緒方章宏(日本体育大学名誉教授)、奥田喜道(跡見学園女子大学マネジメント学部助教)、奥野恒久(龍谷大学政策学部)、小栗実(鹿児島大学教員)、柏崎敏義(東京理科大学教授)、加藤一彦(東京経済大学教授)、金澤孝(早稲田大学法学部准教授)、金子匡良(神奈川大学法学部准教授)、上脇博之(神戸学院大学大学院実務法学研究科教授)、河合正雄(弘前大学講師)、河上暁弘(広島市立大学広島平和研究所講師)、川岸令和(早稲田大学教授)、菊地洋(岩手大学准教授)、北川善英(横浜国立大学教授)、木下智史(関西大学教授)、君島東彦(立命館大学教授)、清田雄治(愛知教育大学教育学部教授)、倉田原志(立命館大学教授)、古関彰一(獨協大学教授)、小竹聡(拓殖大学教授)、後藤登(大阪学院大学教授)、小林武(沖縄大学客員教授)、小林直樹(東京大学名誉教授)、小松浩(立命館大学法学部教授)、笹川紀勝(国際基督教大学名誉教授)、佐々木弘通(東北大学教授)、笹沼弘志(静岡大学)、佐藤潤一(大阪産業大学教養部)、佐藤信行(中央大学教授)、澤野義一(大阪経済法科大学教授)、清水睦(中央大学名誉教授)、城野一憲(早稲田大学法学学術院助手)、鈴木眞澄(龍谷大学法学部教授)、隅野隆徳(専修大学名誉教授)、芹沢斉(青山学院大学教授)、高作正博(関西大学教授)、高橋利安(広島修道大学教授)、高橋洋(愛知学院大学大学院法務研究科)、高見勝利(上智大学法科大学院教授)、田北康成(立教大学社会学部助教)、竹森正孝(大学教員)、多田一路(立命館大学教授)、只野雅人(一橋大学教授)、館田晶子(専修大学准教授)、田中祥貴(信州大学准教授)、寺川史朗(龍谷大学教授)、戸波江二(早稲田大学)、内藤光博(専修大学教授)、永井憲一(法政大学名誉教授)、中川律(宮崎大学教育文化学部講師)、中里見博(徳島大学総合科学部准教授)、中島茂樹(立命館大学法学部教授)、永田秀樹(関西学院大学大学院司法研究科)、中村睦男(北海道大学名誉教授)、長峯信彦(愛知大学法学部教授)、成澤孝人(信州大学教授)、成嶋隆(獨協大学法学部教授)、西原博史(早稲田大学教授)、丹羽徹(大阪経済法科大学)、根森健(新潟大学法務研究科教授)、野中俊彦(法政大学名誉教授)、雜晶子(龍谷大学法学部准教授)、韓永學(北海学園大学法学部教授)、樋口陽一(憲法研究者)、廣田全男(横浜市立大学都市社会文化研究科教授)、深瀬忠一(北海道大学名誉教授)、福島敏明(神戸学院大学法学部准教授)、福島力洋(関西大学総合情報学部准教授)、藤野美都子(福島県立医科大学教授)、船木正文(大東文化大学教員)、古川純(専修大学名誉教授)、前原清隆(日本福祉大学教授)、松田浩(成城大学准教授)、松原幸恵(山口大学准教授)、丸山重威(前関東学院大学教授)、宮井清暢(富山大学経済学部経営法学科教授)、三宅裕一郎(三重短期大学)、三輪隆(埼玉大学特別教員・名誉教授)、村田尚紀(関西大学法科大学院教授)、元山健(龍谷大学法学部)、諸根貞夫(龍谷大学教授)、森正(名古屋市立大学名誉教授)、山崎英壽(都留文科大学非常勤講師)、山元一(慶応義塾大学教授)、横田耕一(九州大学名誉教授)、横山宏章(北九州市立大学大学院社会システム研究科教授)、吉田善明(明治大学名誉教授)、渡辺賢(大阪市立大学大学院法学研究科教授)、渡辺洋(神戸学院大学教授)

「大阪都構想」等に関する朝日・読売世論調査等についての問題点

1.やはり「独裁vs反独裁」の構図

(1)今月(2011年11月)10に告示された大阪府知事選挙については、すでにこのブログで取り上げた

(2)その際、言及した大阪市長選挙も今月13日に告示された。
毎日新聞 2011年11月13日 8時45分(最終更新 11月13日 11時52分)
大阪市長選:告示 平松氏と橋下氏が立候補を届け出

 任期満了に伴う大阪市長選は13日、告示され、現職の平松邦夫市長(63)=民主大阪府連支援、自民同府連支持=と、「大阪維新の会」代表の橋下徹前知事(42)の2人が立候補を届け出て、28年ぶりの一騎打ちとなった。最大の争点は維新が掲げる「大阪都構想」の是非。市を解体・分割するかどうかを巡り、激しい論戦が始まった。橋下氏の辞職に伴う知事選とともに27日に投開票される。
 都構想は、府と大阪、堺両市を解体し、「都」と「特別自治区」に作り替える構想。人口267万人の大阪市の場合、人口30万人規模の8〜9の特別自治区に分割される。実現には国会での法改正が必要だが、橋下氏は知事選とのダブル選で勝利した場合、次期衆院選での候補者擁立を検討する。
 平松氏は都構想について「市を分断・消滅させ、権限と財源をむしり取ろうとしている。時代に逆行する府県集権主義だ」と激しく批判する。橋下氏は「知事と市長が並立する今の統治機構を変えたい。インフラ整備など成長戦略を一本化した強い広域行政体をつくり、世界の都市と勝負する」と訴え、15年4月の都政移行を目指している。
 民主、自民両党は府連レベルで平松氏を支援。共産は推薦候補が出馬を撤回、48年ぶりに公認・推薦候補の擁立を見送って事実上平松氏の支援に回り、維新と既存政党が対決する構図になる。公明は自主投票を決めた。【小林慎】

 ◇橋下氏「日本の行く末が決まる」
 橋下氏は午前9時から、大阪市北区中之島の市役所前で出発式。駆け付けた約30人の市議を前に「この戦いに勝つかどうかで日本の行く末が決まる。是が非でも勝利して新しい大阪、新しい日本、新しい政治の枠組み作りをしよう」と結束を呼び掛けた。(美延映夫、み、のべ、てる、お)市議の「大阪市役所を解体するぞー」との掛け声で、市役所に背に「ガンバロー」を三唱した。
 その後、同市中央区の南海難波駅前で、知事選候補の大阪維新の会幹事長、松井一郎氏(47)や元経済企画庁長官の堺屋太一氏と街頭演説に臨んだ。買い物客ら数百人が見守る中、松井氏は「我々は自分たちのポジションやバッジにこだわらないから大改革ができる」とアピールした。
 橋下氏は「政権交代が起こっても夢や希望が持てないのは、日本の国の仕組み、大阪の形、行政組織そのものが悪いから。大阪を世界に冠たる大阪都に作り上げ、ねずみ色一色の24区を24色に輝かせる」と第一声。「僕は市長ポストをなくすために市長になる。平成維新をこの大阪から成し遂げよう」と訴えた。【林由紀子】

 ◇平松氏「安定、成長、安心の大阪をつくる」
 平松陣営は午前9時から大阪市西区の選挙事務所前で出陣式を開いた。支援する自民、民主系の市議、国会議員らが多数出席する中、知事選候補の前大阪府池田市長、倉田薫氏(63)も駆け付け「タッグを組んで安定、成長、安心の大阪をつくる。ダブル勝利でゴールを迎えたい」と共闘をアピールした。
 また、07年の前回市長選では対立候補を支援した自民市議団の荒木幹男幹事長(64)があいさつに立ち、「自民、民主は異体同心。平松市長を先頭に命を賭して頑張るぞ」と右手を突き上げた。
 平松氏はこの後、同区の大阪市消防局に移り、午前10時過ぎに第一声。東日本大震災直後の救援隊による支援活動が、政令市としての広域活動を象徴しているとして、平松氏の意向で選んだという。
 平松氏は「市をばらばらにしようとする人たちがいます。潰すのは簡単ですが二度と戻りません」と橋下氏が掲げる都構想を批判。「変えなければならないものを見極め、歴史伝統文化のあるこの大阪から皆さんと一緒に日本を変えたい」と2期目への意気込みを語った。【津久井達】

(3)留意すべきは、大阪府知事選挙では、7人の立候補のうち、倉田薫氏は「民主党府連が支援、自民党府連が支持」で、梅田章二氏は「共産党が推薦」で、松井一郎氏が「大阪維新の会公認」であること、
また、大阪市長選挙では、平松邦夫氏が「民主大阪府連支援、自民同府連支持」で、橋下徹氏は「大阪維新の会」代表であるということ、
である。

すでに以上のタブル選挙は、マスコミの多くが橋下氏の言うがままに「維新vs既成政党」の構図として報じているが、実態は、そうではなく、「独裁vs反独裁」であるということは、すでに紹介したが、大阪府知事選挙と大麻市長選挙で、自民党も民主党も、党本部と大阪府連とで足並みが揃っていないのである。

言い換えれば、橋下氏は独裁政治を肯定しているにもかかわらず、自民党本部も民主党党本部も、自称「独裁者」橋下氏と全面対決していない。

大阪選出の自民・民主の国会議員が、このタブル選挙で、どのような言動をしてうのか、私の耳にも、少しではあるものの情報が入っているが、自称「独裁者」に屈してしまっている者が少なくないようだ。


2.毎日新聞の「候補者の主張」における質問項目の問題

(1)各新聞社は大阪市長選について候補者の政策を紹介している。

以下では毎日新聞のものを紹介しよう。
毎日新聞 2011年11月19日 地方版
選挙:大阪市長選 候補者の主張/上 /大阪

 主張も政治手法も大きく異なる2氏の一騎打ちとなった大阪市長選(27日投開票)。市が抱える課題や大都市制度、教育政策などについて六つの質問をして、主張を聞いた。

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 <1>東日本大震災が発生し、市民の防災に対する関心が急速に高まっています。大阪市では南海・東南海地震、上町断層帯での直下型地震などの発生が懸念されています。どのような防災対策を進めたいと考えていますか。教えてください。
 <2>東日本大震災による福島第1原発の事故を受け、大阪市でも原発稼働の是非を住民投票で決めようと直接請求を目指す動きが出ています。(1)原発稼働の是非を住民投票で決めることに対する賛否(2)震災で大きなリスクが顕在化した原発の稼働の是非をどう決めるべきとお考えになっているか、あわせて教えてください。
 <3>大阪市の生活保護費が、今年度予算で全国最多の2916億円を計上するなど、市の財政を圧迫し続けています。生活保護は国の制度であり、地方自治体だけで解決できる問題ではありません。一方で、生活保護の問題に関しては、大阪市は地方自治体の意見を代表して述べるべき立場でもあります。市長に就任されたら、国に対してどのように生活保護制度の改善を迫っていくか、教えてください。

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 ◆平松邦夫候補
 <1>地震だけでなく水害や火災、大規模停電・断水、交通・通信途絶などを念頭におき、コミュニティー機能や都市間連携の強化に努めます。あわせて、防災意識の向上や諸訓練を徹底しつつ、防災拠点の整備、老朽建物の補強・改築を促進します。このため「大阪市地域防災計画・震災対策編」の見直しを進めます。
 <2>(1)住民投票も一つの有効な手段です。まずは正確な情報のもとしっかりと議論することが重要です。(2)災害に対しリスクが大きいと判断された原発については、稼働に慎重であることは当然です。大阪市としては、節電・省エネや再生可能エネルギーの利用・開発に努め、脱原発社会の実現に向けて取り組みます
 <3>引き続き生活保護費の全額国庫負担を国に求めます。また増大する非正規労働者が失業から一気に貧困に陥ることを防ぎ、社会に「居場所」と「出番」を提供する「第2のセーフティネット」の整備が急務です。大阪市をはじめ都市部の自治体はNPOなどと協働で具体策を蓄積しています。これをもとに国に制度化を求めます。

 ◆橋下徹候補
 <1>広域行政と基礎自治行政の役割分担を明確化する。大阪都ができるまでは府市統合本部で防災ハード整備を進め、関西広域連合に早期加入し関西広域防災計画に参画する。市内の各区に独立の危機管理室を設け、区毎のきめ細やかな地域防災計画を策定し、避難ビルの指定や避難訓練等避難することを中心としたソフト対策を進める。
 <2>今回ダブル選挙において原発問題も争点となっているので住民投票と同じである。住民投票では行政も電力会社も拘束できないが、ダブル選で私が市長になれば関電に原発依存度を下げる株主提案権を行使する。稼働の是非は中長期的な電力供給体制戦略を練らなければならず、そのようなことを実行する自治体トップを選ぶべきだ。
 <3>権限と責任の所在を明確化するよう生活保護制度の抜本的改正を国に迫る。本来は国の責任。もし地方にも責任を負わせると言うのであれば就労できる人には厳格に就労義務を課すなど給付条件について地方にも権限を持たせてもらう。そして就労支援を徹底する。就労支援のためにはハローワークの地方移管が必要不可欠。

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 原則として両候補の回答をそのまま掲載(届け出順)

毎日新聞 2011年11月20日 地方版
選挙:大阪市長選 候補者の主張/下 /大阪

 <1>「大阪維新の会」が、府と市を再編する「大阪都構想」を選挙戦の争点に掲げています。府市再編の必要性についてどうお考えでしょうか。この構想への賛否とその理由を教えてください。
 <2>大阪府議会では教育基本条例案と職員基本条例案の審議が行われ賛否両論わかれての論戦が始まっています。大阪市議会でも提案されましたが、否決されました。両条例案には賛成ですか、反対ですか。理由とあわせて教えてください。
 <3>現在、大阪市長選を戦っているご自身の心境や境遇を歴史上の人物1人にたとえると誰になりますか。その理由とあわせて教えてください。

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 ◇平松邦夫候補
 <1>歴史と伝統ある大阪市を消滅させようとする大阪都構想に反対です。今なら、市民は大阪市の重要政策について選挙で争うことができます(今回の市長選挙がまさにそうです)。しかし都になれば、都が市域で行う重要政策に不満があっても、都知事や議会を簡単に変えることはできません(市の人口は府内人口の3割に過ぎない)。
 <2>教員・職員を機械的に統制し、権力的にしめつける両条例案に反対です。特に教育への政治介入は、教育制度の根幹にかかわる問題で、大きな危険性を感じます。一人の人間として権利を持つ子ども、教育の主体としての子どもという理念・考え方も皆無です。
 <3>「非暴力・不服従」の精神で戦ったインド独立の指導者・マハトマ・ガンディーの偉業と次の言葉を心の支えに選挙戦を戦っています。「私は失望したとき、歴史全体を通していつも真理と愛が勝利したことを思い出す。暴君や殺戮(さつりく)者はそのときに無敵に見えるが、最終的には滅びてしまう。どんなときも、私はそれを思うのだ」

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 ◇橋下徹候補
 <1>賛成。全国で2番目に狭い大阪府域のエリア内において大阪市と大阪府という都道府県が二つある状態。大阪府域全体にかかわる広域行政を大阪都に一元化。東京都と並んで日本を引っ張るツインエンジンの一つを目指す。また巨大な基礎自治体である大阪市を複数の特別自治区にし、住民の声がより反映する身近な役所に再編する。
 <2>基本的に賛成。方向性について有権者が支持してくれれば、中身については徹底した議論で修正も含めて詰め直す。現在の教育委員会制度は政治的中立性の名の下に、教育現場の感覚と市民の感覚にずれが生じている。特権的身分になっている公務員の感覚と市民のそれにもずれがある。教育現場、公務員職場に府民感覚を反映させる。
 <3>自分自身を歴史上の人物にたとえるなど恥。

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 原則として両候補の回答をそのまま掲載(届け出順)

(2)毎日新聞の質問に対する両候補の回答を読んでみると、「大阪都構想」や教育基本条例案・職員基本条例案に対し平松候補が反対で、橋下候補が賛成なのは、これまでの報道の通りの回答である。
だが、原発問題については、平松候補が「脱原発」に近い回答で、橋下候補が「脱原発依存」に近い回答であり、少し新鮮さを感じた。

(3)毎日新聞の質問事項についての不満は、議会を軽視する「独裁政治の政治手法」についての質問事項がないことである。
上記の論点で十分独裁政治のことも質問しているということなのかもしれないが、橋下候補が独裁政治を肯定している以上、最大の対立図式である「独裁vs反独裁」の構図を反映した「政治手法」についての質問がストレートになされるべきであったが、なぜなされなかったのであろうか?

(4)さらに言えば、自公政権による構造改革により格差社会になっているのだから、大阪市が、それをさらに進める新自由主義政策を進めるのか、それとも、それを是正する福祉国家政策にするのかを問う質問が明確になされるべきであったが、なぜ、なされなかったのだろうか?

あの生活保護制度の質問事項だけでは、わかりづらい。

3.朝日新聞と読売新聞が「大阪都構想」等について世論調査における留意点と問題点

(1)朝日新聞と読売新聞が「大阪都構想」等について世論調査を実施し、その結果を報じている。
朝日新聞2011年11月21日
都構想「賛成」府民も大阪市民も3割台 世論調査

 27日投開票の大阪ダブル選を前に、朝日新聞社は19、20の両日、有権者へ電話調査で選挙情勢を探るとともに、争点の大阪都構想への賛否や投票先を選ぶ際に重視する点を聞く世論調査を実施した。都構想については、大阪府民、大阪市民とも賛成が上回ったが、いずれも3割台にとどまり、なお異論も少なくないことをうかがわせた。
 大阪維新の会候補の橋下徹、松井一郎両氏がダブル選の争点に掲げる大阪都構想の賛否は、大阪府知事選の調査では、賛成37%、反対27%、「その他・答えない」が36%で、賛成が上回った。都構想で特別自治区に分割される大阪市長選の調査でも賛成35%、反対23%と賛成が多かったが、「その他・答えない」も42%に上った。
 「何を重視して投票する人を選ぶか」という質問では、「政策や公約」を選んだ人が知事選調査で61%、市長選調査で63%に達した。続いて多いのは「人柄」で、市長選調査は22%。知事選調査の16%より高かった。
 投票態度を明らかにした人をみると、「政策や公約」と答えた層では、知事選では松井氏が倉田薫氏らを上回り、市長選では橋下氏が平松邦夫氏を引き離していた。一方、「人柄」と答えた層では、倉田氏が松井氏を上回り、平松氏も橋下氏に差をつけていた。
 知事選調査では、前知事の橋下氏の政治手法についても質問した。「評価する」と回答した人は54%、「評価しない」は24%。橋下氏の政治手法をめぐっては「独裁的だ」といった批判が上がっているが、「評価する」が半数を超えた。
 また、知事選の情勢調査を地域別に見ると、維新の会の府議が多く、松井氏の地盤の八尾市を含む府南部では、松井氏がリード。府北部と大阪市で北部と大阪市では、北部の池田市長を務めていた倉田氏と、松井氏との接戦となっている。

(2011年11月21日08時12分 読売新聞)
維新の会、支持拡大…大阪都構想に賛成55%

 今月27日に投開票される大阪府知事選と大阪市長選のダブル選について読売新聞社が今回行った世論調査では、告示前の10月末に実施した調査の結果より、無党派層を中心に地域政党・大阪維新の会代表で前知事の橋下徹氏、同会幹事長で前府議の松井一郎氏への支持が広がった。
 「支持政党なし」と答えた無党派層では、市長選で5割近くが橋下氏、3割近くが現職の平松邦夫氏を支持。知事選では3割以上が松井氏、3割近くが前同府池田市長の倉田薫氏を支持した。
 橋下、松井両氏が掲げる「大阪都構想」については、「賛成」24%、「どちらかといえば賛成」31%の計55%で、「反対」20%、「どちらかといえば反対」15%の計35%を上回った。
 ただ、橋下氏が知事を辞職し、ダブル選を仕掛けた政治手法に関しては、「評価する」が52%だったのに対し、「評価しない」も44%に上った。

(2)以上の2社の世論調査結果については留意すべてき点があるように思う。

その第一は、「大阪都構想」についての質問内容である。

これにつき、朝日新聞では、実際の質問項目を見ていないので断定はできないが(以下同じ)、回答の選択肢は「賛成」「反対」「その他・答えない」でおり、その調査結果は、大阪府民では「賛成37%、反対27%、「その他・答えない」36%」で、大麻市民では「賛成35%、反対23%、「その他・答えない」も42%」だったという。

他方、読売新聞では、回答の選択肢は「賛成」「どちらかといえば賛成」「反対」「どちらかといえば反対」であり、その調査結果は「「賛成」24%、「どちらかといえば賛成」31%、計55%、「反対」20%、「どちらかといえば反対」15%、計35%」だったという。
ということは、計算上は「その他・答えない」は10%程度だったことになる。

読売新聞の方が、結果的には、賛成も反対もそれぞれ多くなり、「その他・答えない」が少なくなるような質問(回答の選択肢)になっていることがわかる。

(3)次の留意点は、橋下氏の「政治手法」についての質問内容である。

朝日新聞では、この回答結果は「「評価する」54%、「評価しない」24%」であったのに比べ、読売新聞では、「「評価する」52%、「評価しない」44%」だったようだが、読売新聞では、「ダブル選を仕掛けた政治手法」について質問している可能性が高いようだが、朝日新聞では、そのような限定なしに「政治手法」について質問しているようだ。
朝日新聞は、「独裁的手法」に対する回答結果と受けとめる説明になっているが、疑問がある。

(4)問題点もある。

両新聞社の世論調査では、「大阪都構想」について、その評価を質問しているが、果たして大阪府民・大阪市民が「大阪都構想」の内容をどれほど知っているのかを尋ねる質問事項があったのだろうか?

大阪府民・大阪市民が「大阪都構想」の内容を十分知らなければ、その評価だけを質問しても、世論調査としては不十分ではないだろうか!
否、それどころか、問題だ!!

そのような質問項目なしで、読売新聞が「大阪都構想」についての回答の選択肢に「どちらかといえば賛成」を設けたのは、単に「賛成」の回答を増やしたかったのではないかと勘ぐりたくなる。

(5)また、なぜ、「政治手法」についての質問内容は、率直に「独裁政治の是非」を尋ねる内容になっていないのだろうか?

市長選挙は明らかに「独裁vs反独裁」の構図になっているのに、その質問がなされないのは、不可解である。

数字で見る東日本大震災・東京電力福島原発事故から半年

今年3月11日の東日本大震災及び東京電力福島原発事故から半年が経ちました。
今の現状を様々な報道、そのうち数字で表されているものを紹介し、記録に残しておきます。

(1)2011年9月11日午後2時46分黙祷
NHK9月11日 15時24分
大震災から半年 各地で黙とう

 東日本大震災から半年となった11日、被災地では、地震が起きた午後2時46分に合わせて各地で黙とうがささげられました。
 このうち、宮城県石巻市では、地震が発生した午後2時46分にサイレンが鳴らされ、被災した街を見ることができる高台の公園では、訪れた人たちが手を合わせるなどして黙とうしました。福島県南相馬市の原町第二中学校の避難所では、今も原発事故の「警戒区域」から避難している人たちおよそ40人が避難生活を余儀なくされています。教室では、午後2時46分に合わせて人々がふるさとの方向に向かって手を合わせ、黙とうをしていました。岩手県釜石市の中心部に近い仮設住宅では、地震が起きた時刻に合わせて被災した人たちが住宅の前に立ち、手を合わせて黙とうをしていました。被災した沿岸部が見渡せる宮城県名取市閖上地区の丘には、多くの人たちが花束などを持って訪れました。地震が起きた午後2時46分になると、人々は海のほうに向かって黙とうしていました。津波で同級生4人を亡くしたという40歳の主婦は「半年は長いようで短かった。半年たっても悲しみは癒えないです」と話していました。


(2)東日本大震災による死者は12都道県で1万5781人、行方不明者は6県で4086人、避難生活者は47都道府県で約8万2000人・・・
2011/09/10 19:28 【共同通信】
震災の死者1万5781人 不明者は4千人超

 東日本大震災の発生から半年を迎えるのを前に、警察庁が10日現在でまとめた死者は12都道県で1万5781人、行方不明者は6県で4086人となった。
 被害が大きい3県の死者は宮城9456人、岩手4656人、福島1603人。ほかに茨城で24人、千葉で20人が死亡。北海道、青森、山形、東京、栃木、群馬、神奈川でも死者が出ている。
 行方不明者は宮城2149人、岩手1692人、福島241人。ほかに千葉で2人、青森と茨城でそれぞれ1人の行方が分かっていない。
 警察庁の9日の公表によると、岩手、宮城、福島の3県で検視を終えた死因の90・5%は水死だった。

時事通信社(2011/09/10-19:45)
死者不明者1万9800人=避難所に依然6800人−11日で半年・東日本大震災
 東日本大震災は、巨大地震の発生から11日で半年を迎える。警察庁によると、10日現在で死者・行方不明者は1万9867人。このほか、不明のまま死亡届が受理され、死者・不明者に含まれない人もいる。避難生活者は47都道府県で約8万2000人。学校や公民館などの避難所には依然、約6800人が生活を続けている。
 警察庁によると、死者は12都道県で1万5781人、行方不明者は6県で4086人。死者数は発見、収容された遺体の数で、行方不明のまま死亡届が出された場合は死者数に含まれないが、行方不明者から除かれる。
 不明のまま自治体に死亡届が受理されたのは、岩手、宮城、福島の被災3県で3250人。DNA型鑑定などにより1日当たり数人の身元確認も進み、不明者数の減少が続いており、死者との合計は今月に入り2万人を下回った。
 内閣府のまとめ(8月25日現在)では、全国の避難者のうち、避難所には宮城県を中心に約6800人が暮らしているほか、旅館やホテルで避難生活を送る被災者も約1万800人いる。
(略)。


(3)「浸水土地利用制限」4割の自治体
NHK9月9日 5時25分
4割の自治体 浸水土地利用制限

 東日本大震災で津波の被害を受けた岩手、宮城、福島の3つの県の37の市町村のうち、16の自治体が、浸水した土地について高台移転などの対策を取って、利用を制限する方針であることが分かりました。巨額な費用がかかる高台移転について、国は具体的な制度や財源を示しておらず、自治体からは国に早急な対応を求める声が上がっています。
 NHKは、先月末から今月初めにかけて、岩手、宮城、福島の3県で津波の被害を受けた37の市町村長を対象にアンケートを行いました。このなかで、浸水した土地の利用方針について尋ねたところ、4割を超える16の市町村が「高台移転などの対策を取って利用を制限する」と答えたほか、10の市と町が「避難路の整備などを行って一部を利用する」と答えました。
 一方、岩手と宮城で被災し仮設住宅などに暮らすおよそ350人に将来どこに住みたいか聞いたところ、およそ6割が自宅があった場所にこだわらず、高台移転などを行って、同じ自治体のなかのより安全な場所で生活再建を望んでいることが分かりました。高台移転を巡っては、復興構想会議が対策の一つとして提言したものの、国は震災から半年がたった今も具体的な方針や財源を示していません。このため、自治体からは「国の財政支援の方向性が打ち出されないため、独自の財源だけでは取り組みに限界がある」とか「制度の具体的な内容が示されないため、住民との話し合いが進まない」などと国に早急な対応を求める声が上がっています。


(4)宮城・岩手・福島の被災3県「仮設住宅」9割超完成
河北新報2011年09月10日土曜日
宮城、岩手、福島の被災3県 仮設住宅 9割超完成
仮設住宅







 東日本大震災の発生から、あす11日で半年を迎える。津波で甚大な被害を受けた宮城、岩手、福島の3県では、市町村から要望のあった仮設住宅計約5万2000戸のうち、9割以上の約4万8000戸が完成した。避難所は岩手県が閉鎖し、宮城、福島両県内では依然として計約370カ所に約6600人が身を寄せている。
 宮城、岩手、福島3県の仮設住宅の要望、完成、入居の各戸数は表の通り。岩手は要望分が全戸完成。宮城は94.2%が完成し、9月中に全戸に達する見通し。福島は84.1%にとどまる。完成戸数に対する入居戸数の割合は宮城82.5%、岩手91.6%、福島75.0%。
 平地が少ない沿岸部では仮設住宅の用地確保が難航し、気仙沼市は隣接する一関市室根、千厩に320戸を建設した。しかし遠方のため不人気で千厩は228戸のうち8割以上が空き室になっており、避難者の希望とのミスマッチをどう埋めるかが課題になっている。
 岩手県は空き室となっている約1200戸について、大家族に割り当てたり、集会所として活用したりする方針。被災地への応援職員の宿舎としても使用する。
 避難所数は宮城が県内115カ所で、2698人が身を寄せる。県内で最も多いのは石巻市で、50カ所に1477人が避難する。福島は257カ所に3901人。岩手は8月末に学校、公民館などの避難所を全て閉鎖した。親類宅などには2370人が避難している。
 福島県は7月、避難者に10月末までに仮設住宅に移ってもらい、避難所を閉鎖する工程表を示した。緊急時避難準備区域の指定が解除されず、仮設住宅建設の遅れもあり既にずれが生じている。


(5)岩手・宮城・福島42市町村の7割超の31自治体が復興足踏み、12自治体
が「国の責任で放射性物質を取り除く除染の範囲の拡大」要望

NHK9月12日 4時12分
復興足踏み”自治体7割超
 東日本大震災で特に被害の大きかった岩手、宮城、福島の42の市町村のうち、7割を超える31の自治体が震災から半年たっても復興に向けた取り組みが進まず、進んでいてもスピードが落ちていると感じていることが分かりました。多くの自治体が、国に対し、財源の確保と迅速な政策決定などを求めています。
 NHKは、先月末から今月初めにかけて岩手・宮城・福島の3県の42の市町村を対象にアンケートを行いました。このなかで、復興に向けた取り組みの進み具合を聞いたところ、
▽14の自治体が「進んでいない」と答えたほか、
▽17の自治体が「進んでいるがスピードは落ちている」と答え、合わせて7割を超える自治体が復興は足踏み状態だと感じていることが分かりました。
これまでの国の対応については、
▽22の自治体が「あまり評価しない」、
▽4つの自治体が「評価しない」と答え、6割を超える自治体が国の対応に厳しい見方を示しました。
そのうえで、国に何を求めるか複数回答で聞いたところ、
▽「財源の確保」がほぼすべての41の自治体、
▽「スピード感のある政策の決定や実行」が33の自治体、
▽「復興特区などの規制の緩和」が19の自治体などとなりました。
こうした状況について、宮城県七ヶ浜町の渡邊善夫町長は「町の復興計画の実現には、数百億円の費用がかかり、小さな町では無理なので、早く国の方針や予算を示してほしい」と話しています。
 また、原発事故の対応について国に何を求めるかを福島県の15の自治体に複数回答で聞いたところ、「国の責任で放射性物質を取り除く除染の範囲の拡大」が最も多く12の自治体、「徹底した住民の健康調査」が8つの自治体、「詳細な放射線量の把握」が7つの自治体でした。村の一部が警戒区域に指定されている福島県葛尾村の松本允秀村長は「復興の鍵は除染だ。除染が始まらないと、次の計画にも取り組めない。国にはさまざまな課題に早く取りかかってほしい」と話しています。


(6)「高台移転希望」被災者52・5%、被災地首長32%、実際の移転まだゼロ
産経新聞2011.9.10 19:32
高台移転希望5割越す 被災者アンケート、5月調査より大幅増 

 死者、行方不明者が約2万人に上る東日本大震災は11日、発生から半年を迎える。産経新聞社は大阪市立大学の協力を得て、被災地の仮設住宅で暮らす被災者200人にアンケートを実施。新しいまちづくりの議論が被災地で始まる中、自宅近くの高台への移転を希望する被災者が5割以上を占め、5月末のアンケートよりも大幅に増加した。
 集計、分析した大阪市立大の宮野道雄副学長(地域防災)は高台移転希望の大幅増について、「津波の恐怖が依然あり、安全な高台への移転を望む人が増えたのでは」と指摘している。
 アンケートは8月23〜27日、仙台市宮城野、若林両区で被災した100人と、国内屈指の規模の防潮堤が整備されていた岩手県宮古市田老(たろう)地区の100人を対象に実施した。
 「将来どのような土地に住みたいか」との問いに対し、全体の52・5%が「津波の心配をしなくてよい近くの山などの高台」と回答。「盛り土や防潮堤などの津波対策を講じた上、元の場所や近くの土地」と回答したのは「高台」の半分以下の24・7%だった。
 5月末のアンケートでは高台移転を求める回答は32%で、今回大幅に増えた。地域別では「高台」を選んだのは田老66・0%、仙台39・6%と地域差が大きかった。宮野副学長は「頼りにしていた防潮堤を津波が乗り越えるところを見た田老の住民は、今も恐怖心を引きずっていると思われ、高台を望む声が強いのではないか」としている。
 高台を選んだ理由は、「被災前に住んでいた所が好き」と答えた人が全体の50・0%で最も多かった。
 一方、将来住みたい土地について、高台以外に「すぐにでも、被災前に住んでいた場所や近くの土地に戻りたい」を選んだ人は仙台24・8%、田老8・2%。「盛り土や防潮堤を整備したうえで近くに戻る」は全体で約25%だった。
 宮野副学長は「仙台の被災者は、田老のように大きな津波を直接見ていないと思われる。意識の違いが出て、仙台で『すぐにでも戻りたい』という回答が増えたのだろう」と指摘した。

毎日新聞 2011年9月10日 東京朝刊
大震災半年:被災地首長アンケート 42首長、高台移転「積極」3割

 ◇国支援未定、慎重意見増え
 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の42市町村長に毎日新聞がアンケートしたところ、有効な津波被害対策とされる高台や内陸への集団移転を「積極的に進める」と答えたのは3割にとどまった。「元の土地に戻りたい」という住民も多いほか、国の具体的な支援が示されないことが背景にある。復興の最大の課題は6割が「財源」を挙げ、財政悪化を懸念する声が強い。震災から半年を迎えるが、復興計画を策定できたのは4市町にとどまっている。(略)
 アンケートは沿岸部37市町村(岩手12、宮城15、福島10)と東京電力福島第1原発事故の警戒区域、計画的避難区域にかかる5市町村の首長計42人に行った。
 沿岸部の首長37人のうち、集団移転を「積極的に住民に提案して進める」と答えたのは32%の12人。佐藤仁・宮城県南三陸町長は「集落のコミュニティーを維持しつつ高台移転を進める」。沼崎喜一・岩手県山田町長は「二度と犠牲者を出さないため」と説明した。
 ただ、震災後3カ月時点のアンケートでは68%の25人が高台移転手法に賛成していた。「希望が強い地域のみ限定的に行う」は24%の9人。宮城県石巻市の亀山紘市長は「(集団移転には)国の全額補助と移転要件の緩和が必要。慎重に見極めたい」と話し、実現には大きな支障があることが、首長を慎重にさせている。「同じ場所での再生」を選んだのは3人で、他手法と組み合わせ集団移転も検討するとしたのが6人だった。
 政府が7月29日に決めた復興基本方針については、74%の31人が「ある程度評価する」と答えた。だが、具体的内容では「集団移転・土地利用」について「あまり評価しない」の19人が最も多く、高台移転が明記されていないことや補助の見直しなど具体的な制度づくりまで踏み込んでいないことを理由に挙げる首長が目立った。
 一方、復興へ向けた最大の障害・課題は、62%の26人が「財源」を挙げ、震災3カ月時点より3人増えた。国からの補助などが不透明な中、住民の被災や流出による税収減も必至なことから、69%の29人が今後の財政状況は「かなり悪化する」と答え、3カ月時の45%から大幅に増えた。【まとめ・北村和巳】

東京新聞2011年9月10日 夕刊
高台集団移転いまだゼロ 住民、元の場所に愛着 自治体、巨額の負担不安

 東日本大震災は十一日で発生から半年となるが、復興の柱となる「高台への集団移転」は東北三県でまだ一件も決まっていない。各自治体の住民意向調査によると、元の場所に住みたい人も多く、合意形成は容易ではない。一部の集落では、自発的に集団移転の意向を固めたものの、地元自治体が巨額の財政負担を恐れ、決断できない。 (内田康、中崎裕)
 八日夜、宮城県山元町の公民館で開かれた住民説明会。集まった笠野、新浜両地区の住民に対し、町職員が沿岸部の多くの住民を高台に移す構想を説明すると、ある男性が声を張り上げた。
 「高さ二十メートル以上の堤防を造れば、移転しなくたっていいじゃないか」
 何人かが拍手で賛意を示した。町の特産イチゴを育てる男性も立ち上がり、「家と畑が離れると困る」と訴えた。
 山元町では津波で二千二百四棟が全壊し、六百七十人が死亡した。町は住民の意向を聴いたうえ、今後、具体的にどの地域へ集団移転するかを決める。担当者によると、交通の便の良さから駅の近くに住んで仙台に通っていた会社員らにも、移転への抵抗が強い。
 仮に一部の家が残ってしまうと、堤防などの防災対策も必要になる。福島県の担当者は「津波被害がひどい地域は全員移ってもらいたいが、三割程度は残ると訴えるだろう」と頭を悩ませる。
 一方、岩手県大船渡市では、隣り合う西舘、泊里両地区の三十六世帯が自発的に高台への集団移転の意向を固め、市へ要請を続けている。市が決断できないのは、計三千六百棟が倒壊しており、財政負担がどの程度まで膨らむか、判然としないからだ。
 現行制度では、土地造成や道路建設費などの九割超を国が負担。市町村の負担は一割弱にすぎない。ただ、一戸あたり約千六百万円の国の負担上限を超えれば、市町村の負担になる。
 西舘・泊里地区住民代表の大和田東江さん(69)は「高齢者が多い地域。余生をみんなで助け合って過ごしたい」と訴える。だが、移転に時間がかかると、住民の決断にも迷いが出そうだ。鎌田吉夫さん(72)は「二年程度で決まらないなら、自分だけでもアパートに移るよ」と話した。
<高台への集団移転> 国土交通省が担当する「防災集団移転促進事業」の利用が想定されている。原則として10戸以上の規模で移転する。用地取得や造成などの費用を国が9割超、残りを市町村が補助する。家の建築費は自己負担。東北3県は、国の負担率引き上げや、1戸当たり約1600万円の国の負担上限見直しを求めており、国が検討している。1972年以降、この制度で計1800戸余が移転。2004年の新潟県中越地震の被災世帯115戸も移転した。


(7)岩手・宮城・福島3県の被災者「仮設住宅を出た後の住居についてめどは立っていない」約9割
2011/09/09 17:38 【共同通信】
大震災、9割が住居「めどなし」 仮設住民100人調査

 東日本大震災で被災して仮設住宅で生活する岩手、宮城、福島3県の被災者を対象にした共同通信の調査で、仮設住宅を出た後の住居について「めどは立っていない」とした人が約9割に上り、約6割が被災後「収入が減った」と回答した。家族を亡くした悲しみや将来への不安から精神面で悩む人もいる。11日で震災から半年になるが、被災者が苦難のただ中にいる実態が鮮明になった。
 調査は8月下旬から9月上旬にかけ、3県の計100人を対象に実施。記者が被災者に対面して質問し、20代から80代の男女が回答した。


(8)東日本大震災関連の倒産327件(従業員数6843人)、阪神淡路の3.6倍のペース
レスポンス2011年9月9日(金) 11時28分
東日本大震災関連の倒産、阪神淡路の3.6倍のペース 約半年

 東京商工リサーチは、東日本大震災が影響した経営破綻は、震災発生から約半年の9月7日までに363件発生したと発表した。
 363件のうち、「倒産」は327件。月別の発生件数では、3月が8件、4月が26件、5月が65件、6月が77件と増加、7月は70件と一旦下がったが、8月は72件と再び増加、9月も7日現在ですでに9件発生している。6月以降は70件台の高水準で推移している。
 阪神・淡路大震災時に震災関連倒産が300件を超えたのは震災発生から2年半経過しており、東日本大震災はこの3.6倍のペースで推移している。
 また、現時点では倒産に集計されないものの、事業停止や「破産準備中」などの手続を進めている「実質破綻」が36件となった。
 震災関連倒産327件を分析したところ、設備や機械などが損壊した「直接被害」型は25件だった。取引先の被災、商品・原材料の流通不足、予約キャンセルなど「間接被害」型は302件で全体の9割を占めた。
 地区別では、最も件数が多かったのは関東の123件で、次いで東北の56件、中部の35件と続く。直接の被災地である東北の構成比は17.1%だった。都道府県別では38都道府県で倒産が発生した。最多は東京の64件で、次に北海道の29件、岩手の21件、大阪の16件と続く。
 震災の被災企業は、震災特例による「不渡り報告の記載猶予」や「第三者破産の留保」など、倒産が表面化しない救済措置が実施されているが、甚大な被害を受けた青森、岩手、宮城、福島の東北4県は合計48件となっている。
 産業別では、製造業が80件で最も多かった。次に宿泊業や飲食業などを含むサービス業他が79件、建設業57件となった。このうち製造業は、6月から8月までの最近3カ月をみると、6月が20件、7月が16件、8月が16件となり、6〜8月まで毎月15件だったサービス業他を上回って推移しており、震災後の受注減少が影響している模様だ。
 倒産327件の負債総額は6270億1800万円にのぼった。特に8月は負債4330億円の安愚楽牧場の倒産で負債が一気に膨らんだ。ただ、震災関連で倒産した企業の約3割が負債1億円未満の小規模企業が占めた。
 倒産327件の従業員数合計は、6843人で、産業別では製造業が1678人で最多だった。
《編集部》


(9)ゼネコンの営業利益(70億円)前年同期比72.3%マイナス
産経新聞2011.9.9 14:09
ゼネコン、低採算にあえぐ 4〜6月期は7割営業減益 小規模ほど採算悪化

 建設業界が依然、低採算にあえいでいる。建設経済研究所が9日発表したゼネコン(総合建設会社)39社の2011年4〜6月期決算まとめによれば、本業のもうけを示す営業利益は合計で70億円と前年同期比72.3%もの大幅なマイナスになった。国内民間設備投資の激減などで縮んだ売上高の減少分を、販売管理費の削減などコスト圧縮で補い切れなかったためだ。
 営業利益を規模別にみると、売上高1兆円超の「大手」が前年同期比13.5%減の142億円。一方、2000億円超の「準大手」が同61.8%減の27億円、それ以下の「中堅」が99億円の赤字(前年同期は19億円の黒字)と、規模が小さくなるにつれて、採算が悪化する構造になっている。
 売上高は合計で2.7%減の2兆1001億円。このうち大手は0.7%減、準大手は0.6%減、中堅が10.6%減だった。


(10)被災者のほぼ半数が「心身に不調」
(毎日新聞 - 09月10日 20:05)
<東日本大震災>半数が「心身に不調」 被災者アンケート

 東日本大震災から半年を機に、毎日新聞が発生1、2、3カ月の時点でアンケートした被災者100人に現状を聞いたところ、取材に応じた73人のほぼ半数(34人)が「心身の調子を崩している」と訴えた。同様の回答が4割弱(86人中33人)だった3カ月時点より悪化。地元の復興を「難しい」と考える人が「復興できる」と考える人を初めて上回るなど、悲観的な見方も広がっている。生計のめどが立った人は増えているものの、なお4人に1人は立っていない。
 調査は8月27日〜9月6日に実施。100人中27人は連絡が取れなくなるなどしたが、岩手30人▽宮城23人▽福島12人▽福島から県外避難した8人(県内に戻った人を含む)−−から回答を得た。
 何らかの心身の不調がある人は、岩手(11人)と福島(5人)は約4割。宮城(13人)と福島からの県外避難者(5人)は約6割に上る。具体的な症状は「眠れない」が9人、「高血圧」が6人で、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断を受けた」という人もいる。時間の経過とともに復調するのではなく、むしろストレスが高じるなどし、体調不良が顕在化してきているとみられる。「原因不明の発疹」「食欲がなく吐いてしまう」などの症状もあった。
 地元の復興は6割近い41人が「難しい」と回答。「復興できる」とした人は4割(31人)にとどまった。原発事故があった福島では12人中11人が「難しい」と見ている。
 余震や津波、原発事故の再発が「かなり不安」と回答した人は30人と4割を占め、3カ月時点の3割弱(86人中23人)から急増した。今も余震活動が活発なことから、不安が高まったとみられる。
 生計は4割(29人)が「めどは立っている」、3割強(25人)が「落ち着き先が決まれば、何とかなりそうだ」と答えた。本人や生計を支えていた家族が休業中の人は1割(7人)で、2割だった3カ月時点より改善した。当座の生活資金が「十分ある」「ある程度ある」と答えた人も計7割(51人)と、計6割だった3カ月時点より改善した。だが、3割はいまだに生活資金不足にあえいでいる。
 過半数の38人が仮設住宅に入っており、賃貸住宅で暮らす人が2割、自宅に戻っている人が1割。過半数が避難所暮らしだった3カ月時点とは、住環境が大きく変化した。【まとめ・加藤隆寛】


(11)被災地の就職者1万3017人は求職者6万3352人の20.5%以上・・・
朝日新聞2011年9月6日
被災地の求職者、就職2割 10月から失業手当切れ急増

 東日本大震災後、岩手、宮城、福島の3県のハローワークに登録した被災求職者のうち、7月末までにハローワーク経由で就職した人は約2割にとどまることがわかった。失業後に受けていた雇用保険(失業手当)の給付期限を迎える人も来月中旬から急増し、このままだと、仕事がないまま無収入となる人が毎月数千人単位に上る可能性がある。
 3県のハローワークに3〜7月に求職を申し込んだ人の中で、自己申告に基づいて「被災求職者」と登録された人は計6万3352人。そのうち、ハローワークの紹介で7月末までに就職が決まったのは20.5%の1万3017人だった。
 窓口の混乱による登録漏れもあり、厚生労働省は実際にはこの数以上の被災求職者がいるとみている。また、事業再開で元の職場に戻った人や自力で仕事を見つけた人は含まれておらず、何らかの職に就いた率はこの数字より大きくなる。だが、被災求職者のうち、今も半数以上が就職できていないのは確実だ。
 全国の求職者のハローワーク経由の就職率を正確に示す統計はないが、同時期の求職者数と就職者数からみて3割前後とみられる。
 被災求職者の就職率は、それを下回る低い数字だ。3県とも7月の新規求人倍率は1倍を超え、宮城、福島では全国平均を上回るなど復旧・復興事業の増加で求人は回復している。しかし実際には、職種や待遇などで求職者の希望との差が大きく、再就職は十分に進んでいない。
 一方、失業者のうち会社などに勤めて雇用保険に入っていた人をみると、解雇や倒産などを理由に職を失い、4〜7月に失業手当の1回目の認定を受け支給が決まった人は被災3県で計6万221人。当初の給付日数は最短の90日の人が最も多く、全体の29.7%の1万7911人だった。
 給付日数が90日の人も、震災で失業や休業を余儀なくされた場合は、特例で120日延び、計210日の給付が受けられる。それでも、早い人だと10月中旬に受給が終わることになる。
 さらに、全体の21.1%を占める当初の給付日数が180日(延長後最大300日)の人たちも、来年1月に期限が切れ始める。
 政府は、第3次補正予算で復興事業を拡大するなどして被災地の雇用増を目指す。また、失業者向けの「つなぎ雇用」を作るため国が資金を出し、各都道府県に設けている雇用創出基金も額を積み増す方針だ。
     ◇
 〈失業手当の給付日数〉失業手当は、離職時の年齢や保険加入期間、退職理由などに応じ給付日数が決まる。倒産や解雇で失業した人は90〜330日で、最短の90日は、45歳未満で保険加入期間が5年未満か45歳以上で1年未満の場合。東日本大震災で失業し、支給終了日までに再就職できない場合は一部を除いて、従来の延長期間の60日に加え、震災特例の60日を合わせた最大120日の延長が認められる。

産経新聞2011.8.31 21:54
有効求人倍率3カ月連続で好転 震災の復興需要で 気仙沼、石巻など被災地は依然厳しさ変わらず

 宮城労働局が発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は0・62倍で、前月より0・09ポイント改善した。改善は3カ月連続。復興需要に伴う求人の増加が主因だが、月間有効求職者数はいまだに7万人に上り、被災地を中心に希望する職種に就けないでいる現状が浮き彫りになっている。
 有効求人数が前月比12・2%増加したのに対し、有効求職者数は同4・5%減少した。月間有効求職者数は前年同月比18・0%増の7万519人。
 一方、今後の傾向を先取りするとされる新規求人倍率(同)は1・36倍で、前月を0・20ポイント上回った。
 新規求人数は前年同月比62・9%増の1万8759人で、過去最高となった。産業別でみると、建設業が前年同月比で約2・9倍、自治体の臨時雇用など公務が約2・6倍、宿泊業・飲食サービス業が約1・8倍、製造業も約1・5倍と、大幅な増加となった。
 しかし、地域別に有効求人倍率をみると、石巻公共職業安定所管内が0・45倍、気仙沼公共職業安定所管内が0・33倍など、被災地での低さが顕著になっている。
 同労働局では「改善しているとはいえ、被災地の状況は依然として厳しい」としている。


(12)福島市に残った16歳の少年はセシウム137が1リットル当たり0.78ベクレルから同0.87ベクレルに増えた
時事通信(2011/09/07-18:03)
「2カ月後もセシウム微増」=子ども尿調査の市民団体

 市民団体「福島老朽原発を考える会」などは7日、尿検査で放射性セシウムが検出された福島市などの子ども10人を2カ月後に再調査したところ、他県に避難しなかった1人で数値が減少せず、微増したと発表した。
 同会などは5月、フランスの放射線計測機関に依頼して6〜16歳の男女10人の尿を検査し、全員からセシウムを検出。7月末に再調査した結果、県外に避難した9人は数値が下がったり、検出されなくなったりしたが、福島市に残った16歳の少年はセシウム137が1リットル当たり0.78ベクレルから同0.87ベクレルに増えたという。

毎日新聞 2011年9月8日 東京朝刊
東日本大震災:福島第1原発事故 福島残った子のセシウム濃度増 市民団体、尿検査
 福島第1原発事故の子どもたちへの影響を調べるため、尿の追跡検査をしている市民団体「福島老朽原発を考える会」などは7日、事故当時福島市に在住していた6〜16歳の男女10人に5月以来2回目の検査をしたところ、県外に避難しなかった1人の放射性セシウム濃度が11・5%増加したと発表した。
 市民や大学教授らでつくる同会は、福島の子どもの内部被ばく状況を調べるため、5月20〜22日と7月22〜26日に放射性物質を調査するフランスの民間団体「ACRO(アクロ)」に尿の解析を依頼。1回目は10人全員からセシウムが検出された。
 2回目の検査で、1回目の検査後に県外に避難した子ども9人のセシウム濃度が約20〜70%減少した一方、福島市内に住み続けた子ども1人のセシウム137(半減期30年)の濃度が増えたことが分かった。同会の青木一政さんは「飲食物で追加的に被ばくしたと思われる」と分析している。【大野友嘉子】


(13)原発事故による放射性物質への不安「大いに感じている」福島54%、「移住したい」福島県民34%
朝日新聞2011年9月10日0時0分
福島県民「移住したい」34% 被災3県世論調査
県外などに移り住みたいか…












県外などに移り住みたいか…

もとのような暮らしができるのは…












もとのような暮らしができるのは…


 東日本大震災の発生から半年を迎えるのに合わせ、朝日新聞社は岩手、宮城、福島の3県で各県のテレビ朝日系放送局と共同世論調査(電話)を行い、震災に対する見方や放射性物質への不安などを探った。このうち福島の調査では、放射性物質への不安から、3人に1人が「できれば移り住みたい」と答えた。
 原発事故による放射性物質への不安では「あなたや家族に与える影響について、どの程度不安を感じているか」と4択で尋ねた。「大いに感じている」は岩手32%、宮城34%に対して福島は54%に上る。
 福島県民だけに「放射性物質による被害を避けるため、県外や放射線量の少ない地域へ、できれば移り住みたいか」と聞くと、34%が「移り住みたい」と回答。中学生以下の子供がいる家庭では51%に及ぶ。


(14)岩手県民「放射性物質の影響で不安を感じている」79%
朝日新聞2011年09月10日岩手県
被災3県世論調査「過去の教訓生きた」4割
 元の暮らしが出来るのは10年以内か10年より先―。朝日新聞社と岩手朝日テレビ(IAT)が震災半年を前に実施した共同世論調査では、復興した街を思い浮かべられずにいる県民の様子がうかがえる。
    ◇
●復興
 岩手県全体で元のような暮らしが出来るのはいつごろか。10年以内と10年より先が39%で並んだ。政府の対応を評価するのは24%。58%が「評価しない」と答えた。民主支持層でも半数が否定的だった。
●防災
 4千人超が死亡し、千数百人が行方不明。政府や自治体の防災の取り組み次第で被害を「小さくすることができた」という回答は47%に達した。
 過去の大津波の教訓が生かされたのか――。「あまり生かされなかった」と「まったく生かされなかった」を合わせると半数を超えた。「大いに生かされた」と「ある程度生かされた」の合計も4割を超え、評価は分かれた。
●原発
 東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で放射性物質の影響で不安を感じているか尋ねた。「大いに感じる」と「ある程度感じている」は合計79%に及ぶ。
 食品を選ぶ際には、ほぼ半数が産地を「気にしている」。特に女性の方が気をつかっている。事故に対する政府の対応を「評価する」のは、わずか1割。原子力発電の利用には50%が「反対」と答えた。


(15)世論調査「脱原発」64.7%(時事通信)、「原発削減」74%(毎日新聞)、内閣は原発に依存しない社会への取り組みに「大いに力を入れてほしい」59%(朝日新聞)
時事通信(2011/08/15-17:47)
原発廃止志向は64%=7割が安全性に懸念−政府にはマイナス評価・時事世論調査
 福島第1原発事故を受け、時事通信社が実施した世論調査で、原発廃止を志向する人の割合が回答者の64.7%に上ったことが分かった。原発の安全性に懸念を示した人は7割。東日本大震災と原発事故への政府の対応にも、7割を超える人がマイナス評価だった。
 調査は7月7〜18日まで、全国の成人男女4000人を対象に個別面接方式で実施した。回収率は31.7%。各項目の質問ごとに回答者が0〜10の点数で段階評価し、「どちらでもない」は5点とする方法で調べた。
 原発の今後のあり方について、「速やかに廃止」(0点)が13.2%で、「継続推進」(10点)とした人の1.3%を大幅に上回った。全体では廃止を志向する人(0〜4点)が64.7%、「どちらでもない」が25.1%、継続推進志向(6〜10点)は7.0%だった。
 原発の安全性は「全く安全でない」(0点)が20.9%。全体では安全に懸念を示した人(0〜4点)が70.1%、安全だとした人(6〜10点)は7.7%にとどまった。
 東日本大震災や原発事故への政府の対応について、マイナスの評価をした人は73.4%で、プラス評価は7.1%。東京電力の原発事故対応ではマイナス評価が80.2%、プラス評価は4.3%だった。
 回答者の地元にある電力会社への信頼度は「評価する」が30.7%で、「評価しない」の29.3%をわずかに上回った。電力会社別では、東京電力と九州電力の平均点が5点を下回った。
 直近1カ月と震災前と比べた家庭の電気使用量は、51.2%が減ったとし、39.1%が変わらないと回答。64.0%の人が電力会社から呼び掛けられれば、さらに節電できると答えた。

毎日新聞 2011年8月22日 東京朝刊
毎日新聞世論調査:原発「時間かけ削減」74% 社会保障・復興で増税「反対」56%
(略)
 毎日新聞は20、21両日、全国世論調査を実施した。今後の原子力発電所のあり方について「時間をかけて減らすべきだ」との回答が74%に上り、「今すぐ廃止すべきだ」(11%)を大きく上回った。(略)。
 菅直人首相の後継を決める民主党代表選では、エネルギー政策や増税の是非が主な争点になる見通しで、調査結果は選挙戦の動向にも影響を与えそうだ。
 首相は東京電力福島第1原発事故発生後、「脱・原発依存」を提唱してきた。しかし、再生可能エネルギー推進策の先行きは不透明。全国規模で広がった電力不足を受け、社会・経済活動への不安も反映し、今回の調査で7割強が段階的な原発削減を求めた。原発を「減らす必要はない」は13%だった。
 原発事故に関連し、放射性物質による食品汚染への認識を聞いたところ、「不安を感じる」との回答が「大いに」(27%)と「ある程度」(44%)を合わせて71%に達した。不安を「あまり感じない」は23%、「全く感じない」は4%だった。
(略)。【中田卓二】
    ◇
 東日本大震災による被害が大きかった岩手、宮城、福島3県の一部地域は、調査対象に含まれておりません。

朝日新聞2011年9月10日2時12分
復興取り組み「評価する」18% 朝日新聞世論調査

 東日本大震災の発生から半年を迎えるのに合わせ朝日新聞社が震災などのテーマで全国調査(電話)をしたところ、政府の半年間の復興取り組みを「評価する」が18%、「評価しない」が67%だった。原発事故への対応も「評価する」は11%にとどまる。
 ただ、野田佳彦内閣に対しては、震災復興に51%が「期待できる」と回答。原発事故への対応でも、「期待できる」45%が「できない」30%を上回った。
 原発に依存しない社会への取り組みについて4択で尋ねると、59%が野田内閣に「大いに力を入れてほしい」と答えた。


(16)都道府県知事・市区町村長「原発の新設や増設に反対」66%
2011/09/11 04:02 【共同通信】
原発新増設、66%が反対 全自治体アンケート

 都道府県知事と市区町村長の66%が原発の新設や増設に反対していることが10日、共同通信社のアンケートで明らかになった。新増設や再稼働の際、原発から離れた周辺自治体からも同意を得るべきだとの意見は54%に上り、電力会社と結ぶ「原子力安全協定」の対象拡大を求める声が強いことが分かった。東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質への政府対応は88%が評価できないと回答。東日本大震災の発生から11日で半年を迎え、不信感の広がりが浮き彫りになった。
 アンケートに回答したのは、1793自治体のうち1697自治体(95%)。最も多かったのは、原発の新増設を「認めない」の38%。
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