上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

政党政治

2019年参議院通常選挙を迎えて【14】(2票制の意義と山本太郎候補の立憲野党候補応援演説の効果)

(1)今回の参議院通常選挙(今月21日投開票)の結果を決定づけるのは、
「市民と立憲野党の共闘」と
「支持政党なし」「まだどこに投票するか決めていない」有権者の投票行動
であることを書いた。

2019年参議院通常選挙を迎えて【13】(選挙結果を決定づける2つの要因)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51923696.html

(2)今回の投稿で指摘することは、
参議院通常選挙が2票制であること、
および、
立憲野党候補への「れいわ新選組」の山本太郎氏の応援演説の果たす効果である。

周知のように
衆議院議員の選挙制度は、小選挙区選挙と比例代表選挙の並立制であり、
有権者はそれぞれの選挙で投票権のある2票制である。

この点は、参議院の選挙制度も同じで、
選挙区選挙と比例代表選挙の並立制であり、
有権者はそれぞれの選挙で投票権のある2票制である。

ただし、比例代表選挙については、
衆議院はブロック制で、拘束名簿式だが、
参議院は全国1区で、非拘束名簿式である点で、
違いがある
(ほかに衆議院は両選挙に立候補できる重複立候補も認められていることなどがある)。

ということは、
有権者は、選挙区選挙の投票と比例代表選挙の投票で、
同じ政党の候補者(比例は政党名でも可能)に投票する選択肢もあれば、
異なる政党の候補者に投票する選択肢もあるわけであるが、
今回の参議院選挙では、後者の選択がどれだけ行われるのか
注目される。
このことは、これまでの選挙の時でも同じなのだが、
「市民と立憲野党の共闘」が選挙でも実現して以降は、
とりわけ重要なので、あえて強調しておく。

(3)1994年「政治改革」以降の自民党政治は、アメリカに従属する政治と
政治資金のスポンサーである経済界のための政治という自民党本来の政治を
ますます強めてきたが、
アベ政治は、さらに、立憲主義と民意を蹂躙し暴走する政治の性格を強している。
これを阻止し、主権者国民のための政治に転換させるために
「市民と立憲野党の共闘」が国会内でも選挙運動でも実現している。

それに賛同する有権者は、
たとえば、いわゆる「事実上の1人区」では、
必ずしも日ごろ支持しているわけではない立憲野党の候補者に投票し、
比例代表選挙では、支持政党(立憲4野党)又はその候補者に投票することが
可能である。
2票制だからである。

(4)若者に人気のある山本太郎氏が今年4月に立ち上げた「れいわ新選組」は、
今年5月29日の立憲4野党1会派と市民連合との政策合意書に参加してはいないが、
「れいわ新選組」の政策の中には、これと共通するものがある
(https://v.reiwa-shinsengumi.com/policy/)。

また、「れいわ新選組」は、比例代表選挙中心で、
選挙区で候補者を擁立しているのは東京だけである。
山本太郎氏は、今回、比例代表選挙の候補者である。

「れいわ新選組」の山本太郎候補は、
今月11日、大阪の立憲野党の候補者二人の応援に駆け付け、演説している
(https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20190711-00133822/)
12日は、京都の立憲野党の候補一人の応援演説をしている
(https://v.reiwa-shinsengumi.com/schedule/)。

(5)「れいわ新選組」は、比例代表選挙で立憲野党の票を奪うことになる
との意見がある一方、
旧来の自民党支持者・保守層から支持を拡大する可能性があるとの意見もあるようだ(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190712-00012746-bunshun-pol&p=3)
確かに「れいわ新選組」の団体名は革新政党では絶対命名しないだろう。

(6)山本太郎候補が立憲野党の候補者の一部ではあるものの応援演説をしたことが
「れいわ新選組」の支持者や立憲野党の支持者、他の多くの有権者に対し、
どのような影響を及ぼし、
京都選挙区と大阪選挙区の選挙結果や投票率の引き上げ、
ひいては立憲野党とれいわ新選組の選挙結果に
どのような波及効果を及ぼすのか、
21日の開票結果が出るまで、期待を込めて注目しておこう。

(つづく)

2019年参議院通常選挙を迎えて【13】(選挙結果を決定づける2つの要因)

(1)過剰代表を生み出す違憲の衆議院小選挙区選挙・参議院選挙区選挙と
巨額の使途不明金のお陰で、自民党と公明党の連立政権が人工的に作られているが、
それでも、両党の比例代表選挙の得票率は50%を下回っていることを指摘してきた。

2019年参議院通常選挙を迎えて【12】(自民党は過剰代表と使途不明金による得票。それでも自公は半数未満の得票)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51924116.html

(2)また、自民党は、政権選択選挙とも呼ばれる衆議院総選挙で
得票数を減らしたままで回復してはいない。

例えば、2005年、郵政民営化が争点になった衆議院総選挙で
自民党は比例代表選挙で約2588・8万票を獲得していた。
しかし、
敗北し下野した2009年衆議院総選挙の比例代表選挙では
1881万票に落ち込んだ。

「自民党をぶっ壊す」といった小泉純一郎自民党総裁(首相)が
「日本社会をぶっ壊した」ことに気づいた投票者が
自民党離れを起こしたのである。

2012年衆議院総選挙では、安倍自民党は政権に復帰したが、
安倍自民党の比例代表選挙での得票数は、
もっと落ち込み1662・4万票だった。
2014年は1765・9万票、2017年は1855・8万票にとどまっており、
2005年の約2588・8万票まで回復しているとは到底言えない状況だ。

(3)政党の支持率についてのマスコミ各社の世論調査結果を見るとき
重要なことは、自民党支持率よりも「支持政党なし」の割合が一番多いことだ。
例えばNHKの世論調査によると、
自民党の支持率は30%台だが、「支持政党なし」は40%前後ある。
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/political/2019.html

言い換えれば、
既存の政党の支持率だけ見ても、選挙結果はわからないのだ。
「支持政党なし」の有権者が投票するのかどうか、
どの政党に投票するのか、
によって、選挙結果は決まるということだ。

また、今回の参議院選挙についても、
「まだどこに投票するか決めていない」がとても多いことだ。
3割程度から5割程度ある(調査時期等により異なる)。
つまり、
「まだどこに投票するか決めていない」有権者が
投票するのかどうか、どの政党に投票するのか、
によって、選挙結果は決まるということだ。
今予想される選挙結果が実際選挙結果になるわけではない。

(4)そこで、参議院選挙における棄権者数(率)に注目しておこう。

。暁前の2013年参議院通常選挙。
有権者数は約1億0415万人。
投票者者数は5479・8万人で、
そのうち、比例代表選挙での自民党の得票数は約1846万票。
棄権者数はなんとその2・7倍の約4935・5万人(47・4%)。

■廓前の2016年参議院通常選挙。
有権者数は約1億0620万人。
投票者数は約5808万人で、
そのうち、比例代表選挙での自民党の得票数は約2011万票。
棄権者数はその2・4倍の約4811万人(45・5%)。

自民党の選挙結果(選挙区選挙の結果を含む)は、
2013年は65人で、2016年は55人だった。

い海里Δ繊◆峪毀韻函蔑憲)野党の共闘」が実現したのは、
2016年の参議院通常選挙だった。
これが注目点の第一だ。

イ發Π譴弔涼輒榲世蓮棄権者数(率)である。
自民党が65人の当選者を出した2013年は
約4935・5万人(47・4%)だったが、
自民党が55人の当選者を出した2016年は
約4811万人(45・5%)だったことだ。

ν廚垢襪法
「市民と(立憲)野党の共闘」が実現し、
棄権者(率)が少なくなれば、自民党は当選者が少なくなっている
ということだ。

「どうせ投票しても選挙結果や政治は変わらない」といって棄権した有権者が
「選挙結果や政治を変える」投票行動をしていたら、
実は、当時の選挙結果もその後の政治も変わっていたのだ!

(5)今回も「市民と(立憲)野党の共闘」が実現している。

今年5月29日に立憲4野党1会派と市民連合との政策協定調印式で合意された政策合意書
は以下の通り
(https://shiminrengo.com/wp/wp-content/uploads/2019/06/a2bbca68ee38e91be115ef06d0bbfb65.pdf)。
 来る参議院選挙において、以下の政策を掲げ、その実現に努めるよう要望します。

だれもが自分らしく暮らせる明日へ

 1 安倍政権が進めようとしている憲法「改定」とりわけ第9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせないために全力を尽くすこと。
 2 安保法制、共謀罪法など安倍政権が成立させた立憲主義に反する諸法律を廃止すること。
 3 膨張する防衛予算、防衛装備について憲法9条の理念に照らして精査し、国民生活の安全という観点から他の政策の財源に振り向けること。
 4 沖縄県名護市辺野古における新基地建設を直ちに中止し、環境の回復を行うこと。さらに、普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進めること。日米地位協定を改定し、沖縄県民の人権を守ること。また、国の補助金を使った沖縄県下の自治体に対する操作、分断を止めること。
 5 東アジアにおける平和の創出と非核化の推進のために努力し、日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との国交正常化、拉致問題解決、核・ミサイル開発阻止に向けた対話を再開すること。
 6 福島第一原発事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意などのないままの原発再稼働を認めず、再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指すこと。
 7 毎月勤労統計調査の虚偽など、行政における情報の操作、捏造の全体像を究明するとともに、高度プロフェッショナル制度など虚偽のデータに基づいて作られた法律を廃止すること。
 8 2019年10月に予定されている消費税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること。
 9 この国のすべての子ども、若者が、健やかに育ち、学び、働くことを可能とするための保育、教育、雇用に関する予算を飛躍的に拡充すること。
 10 地域間の大きな格差を是正しつつ最低賃金「1500円」を目指し、8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立し、貧困・格差を解消すること。また、これから家族を形成しようとする若い人々が安心して生活できるように公営住宅を拡充すること。
 11 LGBTsに対する差別解消施策、女性に対する雇用差別や賃金格差を撤廃し、選択的夫婦別姓や議員間男女同数化(パリテ)を実現すること。
 12 森友学園・加計学園及び南スーダン日報隠蔽の疑惑を徹底究明し、透明性が高く公平な行政を確立すること。幹部公務員の人事に対する内閣の関与の仕方を点検し、内閣人事局の在り方を再検討すること。
 13 国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること。

 2019年5月29日

 私たちは、以上の政策実現のために、参議院選挙での野党勝利に向けて、各党とともに全力で闘います。

安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合

上記要望を受け止め、参議院選挙勝利に向けて、ともに全力で闘います。

立憲民主党代表 枝野幸男
国民民主党代表 玉木雄一郎
日本共産党委員長 志位和夫
社会民主党党首 又市征治
社会保障を立て直す国民会議代表 野田佳彦

(6)今回の参議院選挙で「まだどこに投票するか決めていない」有権者が
上記の13項目のうちの一つでも賛同・共感するものがあり、
「政治を変える」投票をすれば、
いま予想されている選挙結果は変わるのだ。

さあ今月21日の選挙では、
立憲主義と民意を無視して暴走し、国民生活を破壊するアベ政治に歯止めをかけ、
アベ政治を主権者国民のためのものに変える投票をしよう!

(つづく)

2019年参議院通常選挙を迎えて【4】(自民党の政治資金は税金でバブル状態)

(1)自民党の党員も自己調達資金も減少していることを指摘した。

2019年参議院通常選挙を迎えて【2】(自民党の党員数はピーク時の16・8%〜19・5%)
(http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51923558.html)

2019年参議院通常選挙を迎えて【3】(自民党の自己調達政治資金は1980年代後半の35・5%に減少)
(http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51923709.html)

このことは、
国民が政治資金の点で自民党離れをおこしていることを意味している。

(2)ところが、
自民党本部の政治資金収入は、バブル経済時代と変わらない、否、それよりも多いのだ。
4年平均で1980年代後半は206億円超だったが、直近は248億円弱である。

 年    本年の収入額      年 本年の収入額
1986年 約205・5億円   2014年 約234・3億円
1987年 約149・9億円  2015年 約257・5億円
1988年 約222・8億円  2016年 約241・3億円
1989年 約246・2億円  2017年 約258・6億円
  平均  約206・1億円    平均 約247・9億円

バブル経済がはじけて政治資金収入は全国的に減少していることはすでに確認したし、
自民党本部の政治資金の自己調達額は大幅に減少していることもすでに確認したが、
自民党本分の政治資金は、「自己調達以外の資金」を含めると、
バブル経済時代よりも多いのである。

(3)その原因である「自己調達以外の資金」とは、
税金が原資の「政党交付金」収入である。

自民党本部の「本年の収入額」のうち「政党交付金」の占める割合は、
直近4年の平均で約69・7%である。

  年   本年の収入額   その内の政党交付金  割合
2014年 約234・3億円  約170・0億円 約66・0%
2015年 約257・5億円  約174・4億円 約72・3%
2016年 約241・3億円  約174・4億円 約72・3%
2017年 約258・5億円  約176・0億円 約68・1%
  平均  約247・9億円  約173・7億円 約69・7%

福祉国家を否定し新自由主義政策を推進するために民営化を強行してきた自民党は
実は、国営状態だったのだ。

(4)政党交付金は、250円に人口数を乗じて、年間総額が算出され、
その総額は、各政党に交付されるのだが、
各政党の政党交付金の金額は、得票数割と議席数割で決定される仕組みである。
つまり、
民意を歪曲し過剰代表を生み出す憲法違反の衆議院小選挙区選挙・参議院選挙区選挙
を含む衆参の選挙制度に基づく選挙結果(文献はすでに紹介)
を、
政党交付金の配分額に連動させる憲法違反の仕組みなので、
政党交付金も過剰交付されるのである
(詳細は、上脇博之『誰も言わない政党助成金の闇』日本機関紙出版センター・2014年
を参照)。
その不当な特権を一番受けているのが、
一般庶民のための政党ではなく、
アメリカに従属する財界政党である自民党なのである。

(5)その結果、自民党は、
一般庶民から政治資金を集める努力をしなくても、
政治資金をバブル期以上に確保できたのである。

自民党本部は、衆参の国政選挙の公認権と政治資金の配分権を掌握しているので、
中選挙区制の下で力を発揮した派閥による党内の多様性を喪失させてきたのだ。

このことが、
財界政党としての本質をより先鋭化させ、
一般庶民に痛みを強いる政策を平気で強行し始めた。
その結果、国民の自民党離れを引き起こしたということだ。

そしてまた、
自民党は、二重の違憲制度の恩恵を受けて、
立憲主義と民意を蹂躙する政治を強行し暴走する政党へと
益々変質してきたのである。

(つづく)

2019年参議院通常選挙を迎えて【3】(自民党の自己調達政治資金は1980年代後半の35・5%に減少)

(1)自民党は日本の政党の中で政権の座に一番長くついている政党であり、
そうすると、政治資金もたくさん集まる。

(2)自民党本部の政治資金の収入については、1980年代後半のそれを紹介しよう。
というのは、
1994年「政治改革」によって政党助成制度が導入されるが、
その政党助成金(政党交付金)の総額を決定するのに参考にされたのが、
1986年から1989年の政治資金収入だったからだ。

自民党本部の政治資金収入は以下の通りであり、平均すると206億円超になる。

     年         本年の収入額
1986年(衆参同日選挙)  約205・5億円
1987年(統一地方選挙)  約149・9億円
1988年         約222・8億円
1989年(参議院通常選挙)約246・2億円
   平均        約206・1億円

この時は、政党助成金が導入される前なので、ほとんど自己調達資金である
(会派に交付される立法事務費の原資は公金だが、
その金額は全体からすればそれほど多くはない)。

(3)では、現在の自民党本部の政治資金収入はどれくらいあるのだろうか?

直近の4年間の自民党本部の(政党助成金を除く)自己調達した政治資金
を紹介しよう(ただし80年代後半と同じように立法事務費を含む)。

2014年から2017年の自民党本部の自己調達資金収入は、
以下の通りであり、平均すると73億円超程度にすぎない。

   年         「本年の収入額」から政党交付金を控除した金額
2014年(衆議院総選挙)   約64・3億円
2015年(統一地方選挙)   約83・1億円
2016年(参議院通常選挙) 約66・9億円
2017年(衆議院総選挙)   約82・6億円
    平均          約73・2億円

(4)平均で比較すると明らかなように、
自民党本部の政治資金の自己調達額は、
1980年代後半の約206・1億円から直近の約73・2億円へと減少しているのである。
その減少額は、なんと約132・9億円になる。

直近4年の自己調達資金平均は、
1980年代後半の35・5%にすぎないという計算になる。

単純に表現すれば、
自民党本部への寄付はそれほど減少しているのである。

(5)もっとも、1980年代後半はバブル経済時代だから、
その時代の政治資金の自己調達額と現在のそれを比較しても、
当然、減少しているのは明らかだから、比較するのは適切ではない
との反論が予想される。

そこで、世間の政治資金を比較しておこう。

(6)まず、全国(総務大臣・都道府県選管各提出分)の政治資金総務大臣提出分
を上記と同じように比較してみる。

  年   本年の収入額     年 本年の収入額
1986年 約3097億円  2014年 約2314億円
1987年 約2785億円  2015年 約2286億円
1988年 約3078億円  2016年 約2227億円
1989年 約3250億円  2017年 約2254億円
  平均  約3052億円   平均  約2270億円

平均で比べても、確かに減少しているが、
しかし、直近は1980年代後半の74・4%である。
政党交付金約319億円を直近から控除すると、平均1951億円で
1980年代後半の63・9%である。
いずれにせよ、自民党本部の35・5%の2倍前後になる。

(7)次に、地方分を除く総務大臣提出分の政治資金「本年の収入額」だけで比較してみよう。

  年   本年の収入額    年    本年の収入額
1986年 約1676億円 2014年 約1072億円
1987年 約1442億円 2015年 約1102億円
1988年 約1723億円 2016年 約1080億円
1989年 約1733億円 2017年 約1058億円
 平均 約1643億円   平均 約1078億円

平均で比べても、確かに減少しているが、
しかし、直近は1980年代後半の65・6%である。
政党交付金約319億円を直近から控除すると、平均759億円で
1980年代後半の46・2%である。
いずれにせよ、自民党本部の35・5%よりも高い。

(8)やはり、自民党本部の政治資金の自己調達額は、
バブル経済がはじけたことを考慮しても、
大幅に減少しているのは明らかである。
つまり、自民党本部への寄付額は大幅に減少したのである。
これも自民党離れの一つである。

なお、政党交付金については、別の投稿で取り扱う。

(つづく)

2019年参議院通常選挙を迎えて【2】(自民党の党員数はピーク時の16・8%〜19・5%)

(1)日本の政党の第一党は自民党である。
1955年以降、一時期を除き、ずっと政権の座にあったのだから、
党員数も第一党である。

(2)では、自民党の現在の党員数はどれくらいなのだろうか?

2018年分の政治資金収支報告書は今年11月にならないと公表されないので、
2017年末時点での党員数を見てみよう。

昨年、後掲の産経新聞(2018.3.5 19:54)が2017年の自民党員数を報じている。
自民党本部の公表した数字によると、
「106万8560人」だそうだ。

この数字をみて、国民は、どのような感想をいだくのだろうか?
ある者は、「知らなかった」、と。
ある者は、「多いのか、少ないのか、わからない」、と。
ある者は、「増えている」、と。
ある者は、「減っている」、と。

(3)実は、その党員数が真実だとしても、
自民党の党員数は、ピーク時の19・5%にすぎないのだ。

というのは、自民党の党員数のピークは
1991年の約547万人だったからだ(産経新聞2014年4月21日19時36分)。

このことを知っている者は、
2017年の党員数を聞いても、「減っている」と感じただろう。

(4)そのうえ、現在の党員数106万8560人は、
自民党本部が党員獲得のノルマをかした結果なのだ。

自民党の党員数は、1998年以降は減少し続け、
安倍晋三衆議院が総裁に再選され、首相に任命された2012年の末には
73万人台まで落ち込んでいた(産経新聞2014年4月21日19時36分)。

このことを知っている者は、
2017年の党員数を聞いたら、「増えている」と感じただろう。

(5)そこで、自民党本部は
2014年から党勢回復を目指して「120万党員獲得運動」を開始し、
全議員に新規と継続を合わせた党員を1千人以上確保するよう指示した。
未達の場合は不足党員1人につき2千円の罰金などを命じた。
2017年からは氏名を公表する罰則も加えたのだ
(「自民党員数5年連続増で106万人に 7割の議員が1千人獲得のノルマ達成」
2018.3.5 19:54
https://www.sankei.com/politics/news/180305/plt1803050017-n1.html)

このようにしてやっと、
106万8560人になったというのだ。
しかし、目標「120万人」は未達成だ。

(6)実は、2017年分の同党本部の政治資金収支報告書によると、
党費を負担した者は、100万人に達してはおらず、91万9885人だ
(http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20181130/0000501346_01.pdf)

この党員数だと、ピーク時の16・8%だ。

(7)自民党本部が昨年公表した一昨年の党員数106万8560人は
真実なのだろうか?

真実だとすれば、
2017年中に党費を支払っていない党員が
何と14万8675人もいる計算になる。

もちろん、
何らかの理由で党費を支払えない者もあるだろうし、
何あらかの理由で党費を徴収できない場合はあるだろう。
しかし、それにしても、
党費滞納党員が14万8675人とは、あまりにも多すぎる。

本当にこの者ら全員が党員なのだろうか?


(8)いずれにせよ、
自民党はピーク時の党員数まで回復していないことだけは、
事実のようだ。

(つづく)

どの政党・候補者に投票したら良いのか迷っている皆さんへ(参考にしてみてください)

今日(2014年12月14日)の衆議院総選挙で、
どの政党あるいはどの政党の候補者に投票したらいいのか
迷っているいる有権者がおられれば、
投票所に向かう前に、是非、私の以下のブログ投稿を読んで、
投票先を決定してみてください。

安倍政権の女性2大臣辞任と追い込まれての衆議院解散

あなたの1票が当落を決定づける!

あなたは主権者になっていますか?

「今回の衆議院解散・総選挙に大儀がない」と思っている有権者に期待されること

議会制民主主義が成立するための選挙制度と投票行動

「泥棒に追い銭」になる投票をしますか?

自己の立候補者を「無駄だ」と主張する政党に投票しますか?



それでも、投票先に迷っている有権者の方がおられれば、
まず、ご自身が重要だと思う複数のテーマ(例えば、3つでも、5つでも)を確認し、
それらのテーマについての各政党の政策を読んで、
その中から一番自分の立場・願いに近い政党で、
かつ、これまで選挙公約を守らず反故にした政党を除外して、
投票先を決定してみてください。

議会制民主主義が成立するための選挙制度と投票行動

直接民主主義であれば、一つ一つの法案や予算案について、主権者国民の多数の意思に基づいて決定がなされますが、
直接民主主義でなければ、主権者はそのような決定ができません。

これに対しては、
「そもそも直接民主主義は現実には無理だし、普通選挙が採用され、主権者が国会議員を選出し、国民の代表機関である国会があるから、間接的には主権者が決定していることになる」
との反論が予想されます。

確かに一般論ではそうだと言えるのかもしれませんが、
厳密に言えば、議会制民主主義が成立するためには、
普通選挙が採用され、国民の代表機関として国会があっても、
それだけでは不十分なのです。

民主主義とは本来直接民主主義のことを意味していますから、
限りなく直接民主主義に近い状態になければなりません。
ですから、
普通選挙が採用され、国会があることに加えて、
「国民の縮図」が国会に作られなければならないのです。
つまり、
ほとんどの国民が意思を代表する「自分の代表者」を国会に送り出せる状態になければならないのです。

そのためには、
民意が多様化している日本では、
民意を歪曲し大政党に不当な特権を付与する小選挙区制ではなく、
各政党・有権者に最も公平な比例代表制が採用されなければなりません。
また、有権者は、
どのような政権を選択するのかを基準にして投票先を決定するのではなく、
各政党の政策を見た上で、自分の立場に最も近い政党とその候補者に投票することが必要になります。
それを通じて政権を選択することになるのです。

今回の総選挙における小選挙区選挙において、
立候補者が少なく(例えば立候補者2名)、自分が投票したい政党の候補者が立候補していないと思っている有権者があるようですが、
それは、立候補者を擁立しない政党にも問題がないわけではありますが、
最大の問題は、立候補を抑制させ、選択肢を狭める小選挙区制です。
この点では、
小選挙区制を肯定し続けている政党にも問題があります。

基本的に自分が投票したい政党が立候補している選挙制度としては、比例代表しかありません。

ですから、
自分が投票したい政党・候補者が立候補していないという状態を望まない有権者は、
小選挙区制を廃止し比例代表制を主張している政党に投票するしかないのです。
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