(1)私は、元々、企業・団体献金は全面禁止すべきであるという立場であるし、かつ、政党交付金も廃止すべきであるという立場である(詳細は、ブックレット「ゼロからわかる政治とカネ」を参照)。
もっとも、民主党が2009年総選挙で、企業・団体献金の全面禁止を公約したので、それを優先的に実行させるために、政党交付金の廃止については積極的に主張してこなかった。
(2)しかし、民主党は小沢一郎氏が幹事長時代に企業・団体献金全面禁止の政権公約を反故にし、一部禁止にしようと画策してしまった。
その後、代表が鳩山由紀夫氏から菅直人氏に交代してから、企業・団体献金全面禁止の法制化に取り組むそぶりを見せた。
だが、民主党内の小沢派や自民党の反発を恐れてなのか、それとも、そもそもその気がないからなのか、不明であるが、民主党執行部は、いまだに企業・団体献金の全面禁止の法案を国会に提出してはいない。
(3)3月11日に東日本大震災が起こり、税金である政党交付金を震災復興に回せという声が、マスコミにおいても紹介されていた。
そのとき、私もブログで、それを主張しようと思ったが、時間がなく、なかなか投稿できなかった。
だが、政党交付金の2回目の交付請求の時期(7月)が直前に迫ったので、遅ればせながら、政党交付金を震災復興に回す方法を提案したい。
(4)今年(2011年)の政党交付金を受け取るための最初の手続きは完了している。
届出した政党とその届出内容については、以下で見ることはできる。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/39710.html
なお、この届け出において私は、与謝野議員の「たちあがれ日本」からの離党を問題にした。
(5)この一年の政党交付金の交付額は、総額が約320億円で、それが各政党に交付されるわけであるが、具体的には、民主党が168億円超、自民党が101億円など、以下のように決まっている。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000109388.pdf
(6)4月分については、東日本大震災(3月11日)から1ヶ月にならない4月中に、上記政党は請求を済ませ、交付がなされている。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/43728.html
以下は、各政党の年間交付金額と4月交付額のほかに、未交付額を算出して、表にしたものである。
2011年度各政党の政党交付金額、4月分の政党交付金額、未交付金額
日本共産党は受け取りのための手続きだけではなく、その前提である、政党交付金の交付額を決める手続きも拒否しているので、政党交付金の交付額もない。
以上の表を見ると、年間総額約320億円のうち、すでに約80億円が各政党に交付され、約240億円がまだ未交付であることがわかる。
(7)また、政党交付金の交付を受けている各政党は、いわゆる基金を作って、年度末に残っている政党交付金の国庫への返還を免れ、選挙が施行されるときにまとめて支出してきた。
昨2010年分については、すでに各政党が政党交付金使途報告書を総務大臣らに提出しているにもかかわらず、2006年末の法律改悪により、いまだにその公表・開示がなされていないので、各政党が基金として政党交付金を幾ら溜め込んでいるのか不明である。
しかし、昨2010年は参議院議員通常選挙が施行されたとはいえ、おそらく政党交付金を本部も支部も幾らか溜め込んでいる可能性がある。
ちなみに、2008年度と総選挙が施行された2009年度の各年度末の基金残高のその利子の額は以下の通りである。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000082696.pdf
(8)したがって、各政党は、今年未交付分の政党交付金約240億円分を震災復興資金として充てることを考えるべきである。
検討すべきは法的問題である。
公職選挙法は、国会議員らが選挙区の有権者らに寄附することを禁止している(第199条の2第1項)ので、衆参の比例代表選挙に候補者を擁立している政党本部が東北の被災者に寄附することを禁止されていることになる。
つまり政党本部は、政党交付金を義援金として寄附することはできないのである。
選挙区が異なれば寄附できるので、形式的には、東北の被災地以外の政党支部とその支部長の国会議員が、本部から交付された政党交付金を寄附することはできそうであるが、その原資は政党本部からの交付金だから、当該支部等が政党交付金を寄附すれば迂回献金になってしまう。
となると、政党本部だけではなく政党支部等も、政党交付金を義援金として寄附することはできないことになる。
(9)そこで、別の方法を考えないといけない。
政党交付金を政党が受け取らずに、国庫に帰属させる方法がある。
それは、各政党が7月分、10月分、12月分の政党交付金の交付を請求しないのである。
これは、かつて第二院クラブが行っていた方法である。
当時、第二院クラブは、1月の手続きを行い、年間の政党交付金額が決定されていたが、その後の請求をしなかったので、第二院クラブの政党交付金は国庫に戻されていた時期があった。
(日本共産党の場合は、1月の手続きを拒否しているので、日本共産党の分の政党交付金はない。)
(10)もっとも、それだけでは、政党交付金が震災復興に投入できるわけではない。
以上に加えて、政府は、請求されずに国庫に帰属する政党交付金(全政党が7月分以降請求しなければ、前述したように約240億円)を震災復興のために使うよう予算案を作成し、かつそれを執行するための法律案を国会に上程するのである。
もっとも、12月に請求しないのを待つのではなく、今、政党交付金を震災復興に回すのであれば、政党助成法を改正あるいは特別法を制定して、政党交付金約240億円を前倒しして国庫に帰属させ、前述したように政府が予算案と法律案を上程し、衆参ですぐに可決するのである。
そうすれば、政党交付金が実質的には震災復興に回せることになる。
もちろん、国庫から支出されるから、これは、政党の寄附ではない。
(11)さらにいえば、年末に残金が生じ、それは基金を作らなければ、政党は国に残金を返還しなければならない。
これも、法律改正し、残金の返還を前倒しすることも不可能ではない。
そうすれば、震災復興に回せるのは240億円よりも多くすることができる。
(12)最大の問題は、自民党や民主党など諸政党が政党交付金の受け取りを辞退し、あるいはまた残金を前倒しで返還し、それを復興支援に回す決断ができるかどうかである。
政党交付金は1995年以降交付されているものものである。
それまではなかったのである。
諸政党が、せめて「この1年」を、それ以前に戻る覚悟さえあれば、可能なのである。
もっとも、民主党が2009年総選挙で、企業・団体献金の全面禁止を公約したので、それを優先的に実行させるために、政党交付金の廃止については積極的に主張してこなかった。
(2)しかし、民主党は小沢一郎氏が幹事長時代に企業・団体献金全面禁止の政権公約を反故にし、一部禁止にしようと画策してしまった。
その後、代表が鳩山由紀夫氏から菅直人氏に交代してから、企業・団体献金全面禁止の法制化に取り組むそぶりを見せた。
朝日新聞2011年2月17日19時26分
民主が政治資金規正法改正案を決定
民主党政治改革推進本部(本部長・岡田克也幹事長)は17日の役員会で、パーティー券も含めた企業・団体献金について、3年後に全面禁止する政治資金規正法改正案を決めた。国会議員の歳費を1割削減する法案とあわせ、近く全議員が参加する総会にかけ、通常国会での提出を目指す。団体のうち、政治団体からの献金は例外で認めるが、上限額を現在の5千万円から3千万円に引き下げる。また、個人献金を促すため、資金管理団体に限定して、献金額を所得税から控除する優遇税制導入も決めた。
時事通信 2月21日(月)16時37分配信
企業献金禁止、実現に意欲=小沢氏喚問は協議見守る―首相
菅直人首相は21日午後の衆院予算委員会で、企業・団体献金を3年後に全面禁止する政治資金規正法改正案について「この国会中に法案を出す。この国会での実現を目指し、徹底的に踏み込んでやっていきたい」と述べ、会期内の提出、成立を目指す考えを明らかにした。社民党の服部良一氏への答弁。
首相は同改正案に関し「(提出後に)政党間協議で強力なものにする、(全面禁止まで)3年という猶予期間をもっと短くする、そういう議論は進めたい」と強調、野党に協力を呼び掛けた。
(略)。
だが、民主党内の小沢派や自民党の反発を恐れてなのか、それとも、そもそもその気がないからなのか、不明であるが、民主党執行部は、いまだに企業・団体献金の全面禁止の法案を国会に提出してはいない。
(3)3月11日に東日本大震災が起こり、税金である政党交付金を震災復興に回せという声が、マスコミにおいても紹介されていた。
そのとき、私もブログで、それを主張しようと思ったが、時間がなく、なかなか投稿できなかった。
だが、政党交付金の2回目の交付請求の時期(7月)が直前に迫ったので、遅ればせながら、政党交付金を震災復興に回す方法を提案したい。
(4)今年(2011年)の政党交付金を受け取るための最初の手続きは完了している。
届出した政党とその届出内容については、以下で見ることはできる。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/39710.html
なお、この届け出において私は、与謝野議員の「たちあがれ日本」からの離党を問題にした。
(5)この一年の政党交付金の交付額は、総額が約320億円で、それが各政党に交付されるわけであるが、具体的には、民主党が168億円超、自民党が101億円など、以下のように決まっている。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000109388.pdf
民主党 16,825,886,000円
自由民主党 10,114,685,000円
公明党 2,275,344,000円
みんなの党 1,116,303,000円
社会民主党 762,304,000円
国民新党 395,716,000円
たちあがれ日本 196,599,000円
新党改革 119,410,000円
新党日本 135,748,000円
(6)4月分については、東日本大震災(3月11日)から1ヶ月にならない4月中に、上記政党は請求を済ませ、交付がなされている。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/43728.html
以下は、各政党の年間交付金額と4月交付額のほかに、未交付額を算出して、表にしたものである。
2011年度各政党の政党交付金額、4月分の政党交付金額、未交付金額
政党名 | 年間政党交付金(円) | 4月分交付金(円) | 未交付金(円) |
民主党 | 168億2588万6000 | 42億0647万1500 | 126億1941万4500 |
自由民主党 | 101億1468万5000 | 25億2867万1250 | 75億8601万3750 |
公明党 | 22億7534万4000 | 5億6883万6000 | 17億0650万8000 |
みんなの党 | 11億1630万3000 | 2億7907万5750 | 8億3722万7250 |
社民党 | 7億6230万4000 | 1億9057万6000 | 5億7172万8000 |
国民新党 | 3億9571万6000 | 9892万9000 | 2億9678万7000 |
たちあがれ日本 | 1億9659万9000 | 4914万9750 | 1億4744万9250 |
新党改革 | 1億1941万0000 | 2985万2500 | 8955万7500 |
新党日本 | 1億3574万8000 | 3393万7000 | 1億0181万1000 |
合計 | 319億4199万5000 | 79億8549万8750 | 239億5649万6250 |
以上の表を見ると、年間総額約320億円のうち、すでに約80億円が各政党に交付され、約240億円がまだ未交付であることがわかる。
(7)また、政党交付金の交付を受けている各政党は、いわゆる基金を作って、年度末に残っている政党交付金の国庫への返還を免れ、選挙が施行されるときにまとめて支出してきた。
昨2010年分については、すでに各政党が政党交付金使途報告書を総務大臣らに提出しているにもかかわらず、2006年末の法律改悪により、いまだにその公表・開示がなされていないので、各政党が基金として政党交付金を幾ら溜め込んでいるのか不明である。
しかし、昨2010年は参議院議員通常選挙が施行されたとはいえ、おそらく政党交付金を本部も支部も幾らか溜め込んでいる可能性がある。
ちなみに、2008年度と総選挙が施行された2009年度の各年度末の基金残高のその利子の額は以下の通りである。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000082696.pdf
政党名 | 2008年末基金残高(円) | 2009年末基金残高(円) | 基金の運用果実(円) |
自由民主党 | 54億3947万2000 | 9億9915万0000 | 63万5000 |
民主党 | 40億5955万4000 | 21億1754万0000 | 18万8000 |
公明党 | 10億4016万7000 | 8億0662万2000 | 123万2000 |
社民党 | 6億1132万4000 | 4億2858万3000 | 8万8000 |
国民新党 | 664万5000 | 600万3000 | 0 |
新党日本 | 1億0781万3000 | 978万3000 | 1万3000 |
みんなの党 | ー | 3397万2000 | 0 |
改革クラブ | ー | 2642万3000 | 0 |
合計 | 112億6497万3000 | 4億40165万2000 | 215万7000 |
(8)したがって、各政党は、今年未交付分の政党交付金約240億円分を震災復興資金として充てることを考えるべきである。
検討すべきは法的問題である。
公職選挙法は、国会議員らが選挙区の有権者らに寄附することを禁止している(第199条の2第1項)ので、衆参の比例代表選挙に候補者を擁立している政党本部が東北の被災者に寄附することを禁止されていることになる。
つまり政党本部は、政党交付金を義援金として寄附することはできないのである。
(公職の候補者等の寄附の禁止)
第百九十九条の二 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下この条において同じ。)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。ただし、・・・。
選挙区が異なれば寄附できるので、形式的には、東北の被災地以外の政党支部とその支部長の国会議員が、本部から交付された政党交付金を寄附することはできそうであるが、その原資は政党本部からの交付金だから、当該支部等が政党交付金を寄附すれば迂回献金になってしまう。
となると、政党本部だけではなく政党支部等も、政党交付金を義援金として寄附することはできないことになる。
(9)そこで、別の方法を考えないといけない。
政党交付金を政党が受け取らずに、国庫に帰属させる方法がある。
それは、各政党が7月分、10月分、12月分の政党交付金の交付を請求しないのである。
これは、かつて第二院クラブが行っていた方法である。
当時、第二院クラブは、1月の手続きを行い、年間の政党交付金額が決定されていたが、その後の請求をしなかったので、第二院クラブの政党交付金は国庫に戻されていた時期があった。
(日本共産党の場合は、1月の手続きを拒否しているので、日本共産党の分の政党交付金はない。)
(10)もっとも、それだけでは、政党交付金が震災復興に投入できるわけではない。
以上に加えて、政府は、請求されずに国庫に帰属する政党交付金(全政党が7月分以降請求しなければ、前述したように約240億円)を震災復興のために使うよう予算案を作成し、かつそれを執行するための法律案を国会に上程するのである。
もっとも、12月に請求しないのを待つのではなく、今、政党交付金を震災復興に回すのであれば、政党助成法を改正あるいは特別法を制定して、政党交付金約240億円を前倒しして国庫に帰属させ、前述したように政府が予算案と法律案を上程し、衆参ですぐに可決するのである。
そうすれば、政党交付金が実質的には震災復興に回せることになる。
もちろん、国庫から支出されるから、これは、政党の寄附ではない。
(11)さらにいえば、年末に残金が生じ、それは基金を作らなければ、政党は国に残金を返還しなければならない。
これも、法律改正し、残金の返還を前倒しすることも不可能ではない。
そうすれば、震災復興に回せるのは240億円よりも多くすることができる。
(12)最大の問題は、自民党や民主党など諸政党が政党交付金の受け取りを辞退し、あるいはまた残金を前倒しで返還し、それを復興支援に回す決断ができるかどうかである。
政党交付金は1995年以降交付されているものものである。
それまではなかったのである。
諸政党が、せめて「この1年」を、それ以前に戻る覚悟さえあれば、可能なのである。