上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

改憲論

2019年参議院通常選挙を迎えて【15】(「安倍改憲に反対する立憲野党への投票」の二重の意義)

(1)安倍「4項目」改憲(明文改憲)は、実は、「7項目」改憲です
(http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51914052.html)。
すなわち、
|韻房衛隊を明記するだけではなく、
他国を衛る権利であり法的または政治的義務でもある集団的自衛権の行使を
無制限に「合憲」にするものです。
¬碓佞鯱超覆垢觀法違反の衆議院小選挙区選挙・参議院選挙区選挙を憲法が前提にしている
かのように思わせて両選挙を「合憲」にし、
選挙区間における投票価値の平等を実現せず不平等であっても「合憲」にするものです。
E堝刺楔を廃止して都道府県から自治権を剥奪し、
実質的な住民自治を否定する道州制への移行を「合憲」にするものです。
ざ軌虧欺化を口実に、公立学校の教育への国家(政権)介入を「合憲」にするものです。
グ齋ではない私学助成を「合憲」にするとの口実で、
私立学校の教育への国家(政権)介入も「合憲」にするものです。
自然災害のときだけではなく戦争のときにも内閣に立法権を付与し、
三権分立制を骨抜きにするものです。
Ъ然災害のときだけではなく戦争のときにも
衆参の国政選挙を先送りすることを「合憲」にし、
運用次第で名実ともに独裁国家にするものです。

これが安倍改憲の内実です
(詳細については、上脇博之『安倍「4項目」改憲の建前と本音』
日本機関紙出版センター・2018年、を参照)。

(2)今回の参議院選挙では、その選挙結果次第では、
すなわち、
参議院の改憲勢力が「3分の2」を下回れば、明文改憲が事実上不可能になります。
参議院の改憲勢力が「3分の2」を維持すれば、明文改憲の可能性が残ります。

したがって、
立憲野党のいずれかの支持者で、上記の安倍改憲そのものに反対する有権者は、
”今回の参議院選挙でも”、当然のように、
改憲政党である自民党・公明党・日本維新の会ら以外の
立憲野党及び(または)その候補者に投票することでしょう。

(3)また、改憲政党である自民党・公明党・日本維新の会等の支持者全員が
安倍改憲に賛成しているわけではないことは、
マスコミの世論調査で明らかになっています。
自民党・公明党・日本維新の会等の支持者の中にも
安倍改憲に反対する有権者は相当数いるからです。

したがって、
自民党・公明党・日本維新の会等の支持者であっても安倍改憲に反対する有権者は
”少なくとも今回の参議院通常選挙だけ”は、
立憲野党及び(または)その候補者に投票する必要があるのです。

というのは、
今回の参議院通常選挙で改憲勢力が「3分の2」以上を確保すると、
今の衆議院は改憲勢力が「3分の2」以上を確保しているので、
改憲勢力は21日選挙後、
憲法改正の原案を国会に提出し、
衆参いずれも「3分の2」以上の多数で改憲案を発議し、
憲法改憲の国民投票を実現しようとするからです。
安倍自民党総裁(首相)は、すでに
「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」
と公言してきましたから、
21日の選挙で改憲勢力が「3文の2」以上を確保すれば、
速やかに明文改憲へと走り出す可能性が極めて高いからです。
国民投票には発議から最低2カ月を要し、国民投票が「賛成」多数で成立しても
施行まで一定の期間(例えば3カ月または6カ月)が必要なので、
2020年中に改憲施行となると、
今年(2019年)中に改憲の原案を国会に提出したい
と考えるからです。
安倍自民党らは決して明文改憲を先送りすることはない
と受けとめるべきです。

(4)国民の多数は安倍改憲に反対する意見が多いから
改憲の国民投票になっても安倍改憲は阻止できる、と思う者があるかもしれませんが、
しかし、国民投票になると、現状では、
自民党をはじめ改憲政党・議員は巨額の使途不明金を投入できてしまいますし、
内閣官房長官も官房報償費という使途不明金を投入できてしまいます。
(http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51924116.html)
買収に使われるなどして改憲が「過半数」の賛成で成立する恐れがあります。
少なくとも使途不明金が買収に使われないという歯止めは現時点ではないのです。
CM規制が実現して公平さが確保できたとしても、
その歯止めがないと公正さは確保できません。

また、公職選挙法の買収と違い、
国民投票における買収は犯罪としては限定されすぎているからです。
さらに、
買収を理由にして国民投票の結論をひっくり返す裁判を提起することは、
提訴期限が「30日以内」と短いので、事実上不可能です。
(詳細については、前掲の、上脇博之『安倍「4項目」改憲の建前と本音』を参照)

(5)したがって、
自民党・公明党・日本維新の会等の支持者であっても、安倍改憲に反対する有権者は
”少なくとも今回の参議院通常選挙”では
立憲野党及び(または)その候補者に投票する必要があるのです。

(6)さらに、
自民党・公明党・日本維新の会らの支持者で、安倍改憲に賛成する有権者であっても、
今は、
医療・年金・介護など社会保障、景気・経済政策、子育て・少子化対策など
を優先すべきだと考える有権者も、
今回の参議院通常選挙では立憲野党及び(または)その候補者に投票するしかありません。

前述したように、改憲勢力は「3分の2」以上を確保すると
選挙後、明文改憲に走り出し、国会の論戦は改憲論議一色になり、
社会保障、景気・経済政策、子育て・少子化対策などの議論は
与党は後者の議論を回避したがるので低調になりかねないからです。

(7)言い換えれば、
参議院で改憲勢力が「3分の2」を下回れば、
国会は、医療・年金・介護など社会保障、景気・経済政策、子育て・少子化対策など
国民にとって不可欠で喫緊の重要課題のための政策論議ができるようになるのです。
社会保障、景気・経済政策、子育て・少子化対策などを
国会できちんと議論してほしいのであれば、
有権者は改憲勢力に「3分の2」以上を獲得させない投票をするしかないのです。

さあ、選挙後の国会は、国民の生活を守るための議論のできる国会にしましょう。
それを可能にする投票をしましょう。

(つづく)

19参院選に臨む兵庫県憲法共同センターのアピール「 改憲案の「説明」もできずに国会は終了  この参院選を安倍9条改憲断念の舞台にしよう」 

私の知り合いからメールが届きました。

その内容は、「兵庫県憲法共同センター」のアピールです。以下紹介いたします。

=19参院選に臨む兵庫県憲法共同センターのアピール=
改憲案の「説明」もできずに国会は終了
   この参院選を安倍9条改憲断念の舞台にしよう
     2019年6月26日

6月26日、2019年の通常国会は閉会となり、7月4日公示、21日投開票で参議院選挙日程が確定しました。
 安倍首相は櫻井よしこ氏の主宰するネット番組で「憲法審査会での議論は、この1年間で衆院では2時間、参院では3分なんですね」と焦りと怒りをあらわにし「憲法の議論をする政党か、それを避ける政党か」と、正面切って改憲を参院選の争点にすえることを明言しています。
 しかし、安倍首相が焦りをいだく原因、すなわち憲法審査会で自民改憲案の「説明」すらできなかったという事態は、わたしたちが草の根からの共同を広げ、三千万統一署名を推進してきた、その力が成し遂げたものです。「改憲派に三分の二を許しながら、これを二年間くい止めたことで安倍首相の野望を打ち砕き、勝負を参院選に持ち込むことができた(渡辺治・一橋大名誉教授)」わけです。
 その「勝負の参院選」で安倍改憲の息の根を止める条件もつくられてきています。5月29日に市民連合と5野党会派の「13項目の共通政策」が合意され、ついで6月13日には32の一人区すべてで野党統一候補が擁立されました。この共同の力がフルに発揮されれば自民・公明・維新の改憲三兄弟を、三分の二以下どころか少数派に追い込むことも可能です。そうなれば9条改憲ストップのみならず「憲法が生きる新しい政治」への大転換にもつながっていきます。
 どんな新しい政治か。それは“だれもが自分らしく暮らせる明日へ”と題された「13項目の共通政策」に具体的に示されています。その内容は、安倍9条改憲反対・戦争法など立憲主義に反する諸法律の廃止、消費増税中止、8時間働けば暮らせる賃金と最賃1500円、原発ゼロ、ジェンダー平等、辺野古新基地建設中止、そしてウソと隠蔽の政治に終止符を打つなどなど、国民一人ひとりが「自分らしい生活」できるよう、それを全面的に支えるものになっています。
 大事なことはこの共通政策が「野党間の合意」だけでなく「市民と野党の合意」であることです。やがて安倍政権に代わる、市民と野党の共闘を土台とする「連合政権」の基本政策に発展しうるものです。わたしたちの三千万統一署名を中心とする運動は共同・共闘の水準をここまで引き上げてきました。

 兵庫県憲法共同センターをつくり県下各地で活動を積み重ねて14年間。
 日本国憲法の生きる社会に一歩踏み出すか、それを破壊する攻撃を許すのかの一大分岐点。
 それがこのたびの参院選です。
 地域・職場・分野で、悔いなく、笑顔で、たたかいを展開しましょう。

安倍「4項目」改憲の本音と次の国政選挙

(1)今日5月3日は、憲法記念日。
日本国憲法が施行された日である。

(2)その日本国憲法を全面的に改憲しようとしてきたのが、自民党である。
ただ、今の安倍自民党は全面改憲を断念し、一部だけの改憲を目指している。
「4項目」改憲と言われるが、実際には「7目改憲」だし、
その「7項目」改憲は、相互に関係しており、
一言でいえば、日本国を「戦争できる国」に変質させるための一部改憲である。

日本を「戦争できる国」にするには、
他衛権である集団的自衛権を「合憲」にする改憲が必要だし、
「戦争できる国家」は、
議会制民主主義や地方自治を実質否定するために内閣に強大な権限を付与し、
国政選挙を先延ばしできる緊急事態の加憲、
都道府県を廃止し道州制を「合憲」にする改憲が必要だし、
将来の国民を戦争に反対しない国民や戦争に協力する国民へとマインドコントロールするために自民党政権が学校教育に介入することを「合憲」にする改憲が必要だし、
以上の目的を強行するためには
「戦争する国家」づくりを目指す右翼勢力が衆参各院で「3分の2」以上の議席を獲得できる衆議院小選挙区選挙・参議院選挙区選挙を維持するために“投票価値の平等”を犠牲にしても「合憲」になる改憲が必要なのだ。
(以上に関する詳細については、
上脇博之『安倍「4項目」改憲の建前と本音』日本機関紙出版センター・2019年を参照)

(3)安倍自民党の以上の改憲に協力しようとしているのが、
「日本維新の会」「大阪維新の会」である。
市民が2015年の住民投票で反対したのに、いまだに「大阪都構想」を目指している。
「大阪都」の実現は、地方自治を実質的に否定する「道州制」を合憲にする改憲
に貢献するから、
安倍政権とは協力関係にあり、事実上の閣外協力政党である。

憲法違反で無効な「教育勅語」を園児に素読させていた森友学園
への国有地の財政法違反の貸し付け・売り払い事件では、
安倍自民党政権と「維新」の大阪府は、事実上の「政治的共犯」関係にあった。

(4)改憲論議で国会が無駄な時間を費やすことのないようにするためには、
「今改憲は必要ではない」と考える有権者が、自公維等の改憲政党の候補者に
投票しないことである。

安倍自民党支持者、公明党支持者、維新支持者であっても、
安倍改憲に賛成しない者は少なくない。
それらの者が、次の衆参・国政選挙で自公維以外の安倍改憲反対候補に投票し、
改憲勢力が「3分の2」を下回る結果が出ると、
安倍改憲は阻止できるのである。

憲法改悪ストップ!兵庫県共同センターのアピール「市民と野党の共闘の推進力=『三千万統一署名』の目標達成・超過達成で 安倍改憲許さず、日本国憲法が生きる社会を切り開こう」

知り合いの方から連絡を受けたので、
「憲法改悪ストップ!兵庫県共同センター」の以下のアピールを紹介します。


市民と野党の共闘の推進力=「三千万統一署名」の目標達成・超過達成で
安倍改憲許さず、日本国憲法が生きる社会を切り開こう

      憲法改悪ストップ!兵庫県共同センター

(1)統一地方選と沖縄・大阪の衆院補選という一大政治戦がおわりました。2つの補選では自民党候補がともに敗北。沖縄でははじめて「辺野古新基地推進」を正面から掲げた候補にオール沖縄の屋良さんが圧勝し、大阪では勝利し得なかったとはいえ千人を超える選挙ボランティアが奮闘するなど、「市民と野党の共闘」でこそ日本社会に展望がひらかれるということを改めて示しました。

 自民党はこの選挙で、地方選としては初めて憲法改定を公約に掲げました。しかし自民党の各候補者はその訴えにおいて改憲を口にすることはできず、地域から改憲気運を盛り上げるというねらいは功を奏しませんでした。一方国会においては自・公・維の“改憲与党”によって憲法調査会開催が執拗に企まれてきましたが、「市民と野党の共闘」の力によっていまに至るまでそれを阻止しています。

そのような中、安倍首相の側近である萩生田光一・自民幹事長代行は4月18日のネット番組において、消費増税の実施延期と衆参同日選挙の可能性に言及し、さらに天皇の代替わりを利用し与党単独でも憲法審査会で改憲議論を開始することを示唆しています。また維新も改憲推進を声高に叫んで安倍政権と自公与党を突き上げています。

(2)ことしの通常国会に残された会期は2ヶ月。その中で天皇代替わりや大阪サミットなどの「行事」が組まれており、萩生田発言ではありませんがそれらを政治利用した憲法審査会の開催と改憲案の審議入り強行には十分警戒する必要があります。

そして、1.安倍自衛隊加憲案の危険性を知らせ、2.日本国憲法を生かすことはすなわち労働・営業・生活を守ることであることを示し、3.対話によって共感を広げる、以上のことにこだわって以下の取り組みを成功させましょう。

三千万統一署名を推進することを軸にして、
,海箸靴痢崛蹐かり行動兵庫県実行委員会」主催の憲法集会を一万人規模で成功させましょう。
・時=2019年5月3日14時開会、15時からパレード
・場所=神戸・東遊園地
・メインスピーカー=落合恵子(作家)さん

■況遑横尭の国会閉会日まで、憲法審査会を開かせない圧力を国会と自公維・改憲与党にかけていきましょう。

参院選において本気の野党共闘で候補者一本化するよう働きかけを強めましょう。

せ憶〜では改憲与党を少数に追い込むよう奮闘しましょう。

※なお7月27日(土)13時半から高教組会館3階において革新懇と共同で「憲法闘争交流会」を行います。この間の取り組みを交流し秋からのたたかいを展望します。

新刊『安倍「4項目」改憲の建前と本音』(日本機関紙出版センター)の紹介

今年は、すでに以下のブックレットを出版しました。

上脇博之『ここまできた小選挙区制の弊害―アベ「独裁」政権誕生の元凶を廃止しよう!』あけび書房

上脇博之『内閣官房長官の裏金 〜 機密費の扉をこじ開けた4183日の闘い』日本機関紙出版センター

今年3冊目の単子本を出版します。

上脇博之『安倍「4項目」改憲の建前と本音』日本機関紙出版センター

先月、校正を終えましたので、書店では、近日中に購入していただけます。

安倍「4項目」改憲の内容としては、総論としてだけではなく、各論として、国民投票における実践的な視点で問題点を指摘しています。
また、国民投票運動や意見表明行為においては、その資金上の”不公平さ”を指摘しその規制を求める意見と運動はありますが、しかし、その資金における”不公正さ”について問題点を指摘しているのは全国で私だけだと思います。
「戦争できる憲法」にしてはならない! 実は、安倍改憲「4項目」とは「7項目」だった――自衛隊明記の危険性や改憲が使途不明金で買収されかねない恐れなど、改憲反対者から賛成者まで幅広い人々の理性的・客観的判断のための新たな材料を提供。
安倍改憲案の「ウソとごまかし」の実態をここまで明確・具体的に批判した本はない。万が一この改憲が成立したとしても、その正当性には疑問符がつくことだろう。この本を読まれたみなさん、ぜひ学んだことを周りの人たちに語ってください!(編集担当より)


目次は、以下の通りです。
はじめに

第1部 自公政権による“憲法と民意の蹂躙”と明文改憲に向けた動き
 
第1章 安保体制のグローバル化と憲法9条の蹂躙
第1節 日本政府の最初の「解釈改憲」から安保体制のグローバル化へ
  第2節 安倍政権の更なる「解釈改憲」と「立法改憲」
第2章 安倍自民党内の改憲論議
  第1節 自民党の方針転換
  第2節 2017年衆議院総選挙と改憲公約
  第3節 自民党憲法改正推進本部の条文化作業と安倍総裁3選


第2部 安倍自民「4項目」条文イメージ(2018年)の建前と本音

 第1章 参議院「合区」解消を口実にした改憲の本音
  第1節 衆参の選挙制度と参議院選挙区選挙の一部「合区」
  第2節 “投票価値の不平等”を「合憲」にする改憲
  第3節 自民党に有利に民意を歪曲する衆院小選挙区・参院選挙区選挙の温存
  第4節 道州制も「合憲」になってしまう!
 第2章 「自衛隊違憲」論を口実にした改憲の本音
  第1節 自民党憲法改正推進部の議論状況
  第2節 「条文イメージ(たたき台素案)」の「第9条の2」の本質
  第3節 「第9条の2」加憲は「戦争できる国」づくりの追認・推進
 第3章 「高等教育の無償」を口実にした改憲の本音
  第1節 「高等教育を無償にする」気はない
  第2節 「教育への国家介入」の「合憲」が改憲の本音
  第3節 私学助成は違憲ではないのに改憲
第4章 「自然災害への対処」を口実にした加憲の本音
  第1節 緊急事態についての大日本帝国憲法と日本国憲法の本質的違い
  第2節 自民党「日本国憲法改正草案」の緊急事態条項の危険性
  第3節 緊急事態条項の加憲に隠された本音
 第5章 安倍改憲は違憲・無効の改憲です!
  第1節 日本国憲法の定める憲法改正の要件
  第2節 「憲法改正の限界」と違憲・無効の改憲
  第3節 「自民党憲法改正本部条文イメージ(たたき台素案)」は違憲・無効!

第3部 憲法改正手続法の欠陥と公平・公正でない広報資金

 第1章 憲法改正手続法の重大な問題点
  第1節 憲法改正手続法の内容上の問題点
  第2節 憲法改正手続法の運用上の問題
 第2章 国民投票で「7項目」を「4項目」にする自民党の思惑
  第1節 憲法改正案の「内容において関連する事項ごとに区分」
  第2節 自民党が「7項目」改憲案を「4項目」に区分する思惑
 第3章 “公平”ではない巨額の広告・広報費投入のおそれ
  第1節 公費による広報(公報)活動と有料広告規制の有無
  第2節 “公平性の確保”のためのCM放送規制を求める動き
  第3節 巨額の広告料と企業のカネによる広告・広報のおそれ
  第4節 政党交付金(税金)による広告・広報のおそれ
 第4章 “公正”ではない使途不明金投入のおそれ
  第1節 自民党本部の高額な使途不明金
  第2節 自民党の都道府県支部連合会等の類似の使途不明金
  第3節 内閣官房報償費(機密費)における「政策推進費」の使途不明金
  第4節 使途不明金で買収や広告がなされるおそれ

おわりに

●判型:A5判/180ページ
●本体:1400円 ソフトカバー
●ISBN:9784889009682
●12月13日出来予定


Amazonで予約開始です!

新刊本『日本国憲法の真価と改憲論の正体』の紹介

(1)新刊本が出来上がりました。

上脇博之『日本国憲法の真価と改憲論の正体
     〜施行70年、希望の活憲民主主義をめざして』
    (日本機関紙出版センター・2017年)



書店に並ぶのは、もう数日かかりそうですが、
以下、ご紹介いたします。

(2)目次は以下です。

はじめに 〜 日本国憲法施行70周年の節目に 〜

第1章 日本国憲法の歴史的意義
 第1節 日本国憲法の世界史的な意義
 第2節 自由民権運動の弾圧結果としての大日本帝国憲法
 第3節 日本国憲法の日本史的な意義

第2章 「日本国憲法=押しつけ憲法」論の検証
 第1節 「ポツダム宣言」に合致しない日本政府案
 第2節 民間草案を参考にした「GHQ案」
 第3節 国民の支持と審議過程における修正
 第4節 論外の「ハーグ陸戦条約」違反論

第3章 9条改憲の目的
 第1節 アメリカの戦争と9条改憲
 第2節 アメリカと日本財界の要求
 第3節 要求に応える改憲政党

第4章 改憲手続き法
 第1節 日本国憲法の定める憲法改正の要件
 第2節 憲法改正手続き法に対する評価

第5章 安倍政権・与党の「解釈改憲・立法改憲」
 第1節 安倍政権の更なる「解釈改憲」
第2節 安倍政権・与党の「立法改憲」
 第3節 集団的自衛権(=他衛権)行使の法制に対する評価
 第4節 自衛隊の「個別的自衛権行使」
 第5節 兵站などにおける「武器の使用」に対する評価
 第6節 南スーダンPKO派遣問題

第6章 自民党「日本国憲法改正草案」の正体
 第1節 非軍事平和主義の行方
 第2節 基本的人権の行方
 第3節 象徴天皇制と国民主権主義の行方
 第4節 統治機構と地方自治の行方
 第5節 緊急事態条項の新設
 第6節 立憲主義と改憲手続きの行方
 第7節 「憲法改正の限界」論と自民党「日本国憲法改正草案」の評価
 第8節 自民党が「新たな憲法改正案」を策定!?

第7章 憲法と政治、立憲主義と民主主義  
 第1節 “希望の光”日本国憲法とそれを生かし活かす闘い
 第2節 “真の政治改革”と野党共闘の重要性
 第3節 “最低限の政治”立憲主義とこれを上回る民主主義

あとがき



(3)出版社の担当者のブログと注文のページです。

最新刊『日本国憲法の真価と改憲論の正体』が出来!


注文、問い合わせ


日本国憲法の真価と改憲論の正体

「日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値するのか?(9):自民党改憲にとっての「押しつけ憲法」論の意味

「日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値するのか?
このテーマで、これまで8回投稿してきました。

「日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値するのか?(1):天皇が命じて審議され「改正」が公布された

「日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値するのか?(2):日本国憲法の世界史・日本史上の意義

「日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値するのか?(3):ポツダム宣言に合致する日本国憲法

「日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値するのか?(4):環境権など「新しい人権」の保障を否定している

「日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値するのか?(5):自民党政権は戦争していても「戦争はしていない」と説明!

日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値するのか?(6):個人主義も基本的人権も実質否定!

日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値するのか?(7):徴兵制も「合憲」!?

日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値するのか?(8):ハーグ陸戦条約の適用はありません

以上の投稿は、あえて大きく分ければ、2つに分けられます。

一つは、第1回から第3回まで及び第8回の投稿です。
もう一つは、第4回から第7回までの投稿です。


14.「日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値しないのではないか

(1)第1回から第3回まで及び第8回の投稿を読んでいただければわかるように、日本が「ポツダム宣言」を受諾した以上、日本は、その「ポツダム宣言」に反する大日本帝国憲法を維持することはできなかったので、新しい憲法を”制定”(大日本帝国憲法を改正)するしかありませんでした。
それは、「ポツダム宣言」に反するものであってはならなかったわけで、日本国憲法は「ポツダム宣言」に反せず、合致していました。

(2)ところで、「日本国憲法=押しつけ憲法」論には、「日本国憲法が無効である」とする立場と、「新憲法を制定すべきである」あるいは「日本国憲法を改正すべきである」という立場があるでしょう。
いずれの立場にせよ、日本国憲法=押しつけ憲法」論は、そもそも理論に値するのでしょうか?
前者は法的議論で、後者は、政治的議論です。

まずは、前者から検討しますが、その検討は後者にも妥当する部分が多々あります。

(3)前者の検討においては、幾つかの論点があります。

第1は、日本への「押しつけ」があったといえるのかどうか?
第2は、日本国憲法が「押しつけ憲法」といえるかどうか?
第3は、「日本国憲法が無効である」とする「日本国憲法=押しつけ憲法」論に根拠があるのかどうか?
第4は、「日本国憲法=押しつけ憲法」論が妥当なのかどうか?

(4)まず、第1の論点ですが、
GHQ案が日本側に提示されたことは事実ですので、これが日本への「押しつけ」と評しうるものかどうか、ということになります。

当時の支配層は大日本帝国憲法とほとんど変わらない松本案(憲法問題調査委員会「憲法改正要綱」)をつくったことを考えれば、当時の支配層にとっては、明らかに「押しつけ」だったことでしょう。

また、GHQ案の提示は、100%日本人の手で日本国憲法がつくられたわけではないことになるでしょうから、その限りで「押しつけ」があったことになると考える立場もあるでしょうが、
他方では、100%GHQがつくったわけでもないとして、それは、日本国憲法”制定”過程における極一部であるとして、あえて「押しつけ」とまでは考えない立場もあるでしょう。

(5)次に、第2の論点です。
日本国憲法が「押しつけ憲法」といえるかどうか?

第1の論点で「押しつけ」を感じるとまでは言えないという立場であれば、日本国憲法が「押しつけ憲法」と受けとめることはないでしょう。

他方、「押しつけ」を強く感じた立場であれば、日本国憲法が「押しつけ憲法」と受けとめることになるのかもしれません。

しかし、「押しつけ」を少ししか感じなかった立場では、日本国憲法を「押しつけ憲法」とまでは受けとめないでしょう。

というのは、日本国憲法の”制定”過程は、GHQ案の提示だけではないからです。
まず、当時の民間草案(特に憲法研究会「憲法草案要綱」)が参考にされていますし、かる、これは、自由民権運動における憲法制定の努力を反映しているからです。
また、日本政府が「憲法改正草案要綱」を発表したほぼ1ヶ月後に戦後第1回の衆議院選挙(1946年4月10日)が20歳以上の男女による普通選挙で施行されましたから、日本国民は、「憲法改正草案要綱」を意識して投票しているからです。
さらに、毎日新聞の世論調査によると日本国憲法の基本原理を受け入れていましたし、民意が反映した帝国議会は、その調査結果を知って審議していましたし、その上、帝国議会では修正もされたからです。
当時の吉田茂首相は、紹介したように、1949年に国会で「政府は憲法改正の意思は持っていない」と答弁し、日本国憲法の再検討をしなかったからです。

また、日本政府が「ポツダム宣言」に反する松本案しか考えられなかったからGHQ案の提示がなされたので、「ポツダム宣言」を「押しつけ」と評する必要がないと考えれば、GHQ案の提示も「押しつけ」とは言えないと考える立場もあるでしょう。

(6)では、第3の論点です。
「日本国憲法が無効である」とする「日本国憲法=押しつけ憲法」論に根拠があるのかどうか?

日本国憲法が「押しつけ憲法」とまでは受けとめない立場であれば、そもそも日本国憲法が無効だと考える余地はないでしょう。

日本国憲法が「押しつけ憲法」と受けとめる立場であっても、「日本国憲法が無効である」とする「日本国憲法=押しつけ憲法」論の根拠を見い出すことは、ほとんど不可能です。
というのは、しばしば、いわゆるハーグ陸戦条約の適用を引き合いに出す見解があるものの、この見解が有意義であるためには、戦時国際法であるハーグ陸戦条約が休戦後にも適用されるし、かつポツダム宣言に優先して適用されるという立場に立たなければなりませんが、この立場は通説ではありません。

そうなると、「ポツダム宣言」が無効であると主張するか、さもなければ、日本国憲法が「ポツダム宣言」に反すると主張するしかありませんが、前者は無茶です。

(7)以上の検討からすると、日本国憲法が「ポツダム宣言」に反するとの結論に至らない限り、「日本国憲法が無効である」とする「日本国憲法=押しつけ憲法」論に根拠は見当たらないことになりますが、日本国憲法が「ポツダム宣言」に反すると評しえないことは、明らかでしょう。

それゆえ、日本国憲法”制定”過程において「押しつけ」があったとの立場に立ったとしても、日本国憲法が「押しつけ憲法」と評しうるわけではないでしょうし、たとえ「押しつけ憲法」と評さざるを得ないとしても、必然的に日本国憲法が無効になるとの結論に至るわけでもありませんし、そもそもその根拠も見出せません。

(8)要するに、日本国憲法は「ポツダム宣言」に反しないので、「日本国憲法が無効である」とする「日本国憲法=押しつけ憲法」論は、その根拠も見出し難く、そもそも理論に値しない無謀な主張であると言っても過言ではないのではないでしょうか。

(9)では、次に、「日本国憲法=押しつけ憲法」であるとして新憲法制定または憲法改正を主張する政治論の立場について検討します。

しかし、この立場においても、当時の占領に適用されない(適用されても優先適用されない)ハーグ陸戦条約を引き合いに出すのは、不適切です。

(10)政治論であれば、まず、当時の国民が、如何に「押しつけ」と強く感じ、日本国憲法に対し如何に強く反対していたという事実を上げなければ、何の説得力もありません。

たとえそれに成功しても、それだけでは不十分です。
今の国民も「押しつけ」と感じ続けており、日本国憲法に対し強く反対しているという事実をあげなければ、なりません。

ところが、、「日本国憲法=押しつけ憲法」論を主張する自民党は、前者の事実さえ指摘してはいません。
毎日新聞の「憲法改正草案要綱」についての世論調査で「象徴天皇制」に賛成が85%、「戦争放棄」に賛成が70%という結果が出ていましたが、自民党は、その実を否定できるほど、当時の国民が「押しつけ」を強く感じ、日本国憲法に対し強い反対があったという事実を指摘してはいません。

(11)これでは、新憲法制定または憲法改正を主張する「日本国憲法=押しつけ憲法」論が真っ当な理論とは到底思えません。



15.自民党改憲にとっての「日本国憲法=押しつけ憲法」論の意味

(1)日本国憲法の改正論を主張する場合、あえて「日本国憲法=押しつけ憲法」論を主張しなければならないわけではないでしょう。

ましてや「日本国憲法=押しつけ憲法」論が理論に値しないのであれば、尚更です。

(2)しかし、自民党は、あえて「日本国憲法=押しつけ憲法」論に立場に立って改憲論を主張してしまいました。

これは、何を意味するのでしょうか?

(3)それは、自民党の改憲が日本国憲法を受け入れた上で、それを、より発展させようとするものではないということ、言い換えれば、日本国憲法の正当性(正統性)を否定することで、日本国憲法を本質的に否定した改憲を目指しているということなのです。

この点は、第4回から第7回までの投稿で確認できました。

(4)すなわち、自民党の冊子漫画や自民党「日本国憲法改正草案」を読むと、それらが求める改憲が実現してしまうと、日本国憲法とは正反対の憲法が誕生することがわかります。
より具体的に言えば、日本は、自衛戦争、さらには義務になる他衛戦争も行い、アメリカに追随して多国籍軍の戦争にも参戦することになりますから、日本国憲法の戦争放棄は完全に放棄されます。

自民党流の9条改憲論者は、しばしば、改憲が戦争抑止になると主張していますが、アメリカは実際戦争し、日本は後方支援もしてきたのですから、そのような主張は、デマのたぐいでしょう。

そのうえ自民党は、すでに紹介したように、戦争していても「戦争はしていない」と言い張りことになります。

(5)自民党は、日本国憲法の平和的生存権を削除しようとしています。
このことからわかるように、戦争放棄の放棄は、人権侵害に帰着します。

自民党は、基本的人権も実質的には否定し、基本的人権尊重主義は放棄しています。
環境権などの「新しい人権」も保障する気はないどころか、むしろ否定しようとしています。

(7)要するに、自民党が理論的根拠のない「日本国憲法=押しつけ憲法」論をあえて主張したのは、日本国憲法とは本質的に正反対の憲法を目指しているからなのです。
決して日本国憲法を、より発展させた憲法にしようとしているのではないのです。


最後に

これまでの投稿で取り上げたものも含め、また、取り上げなかったものについては、以下の拙著を参照してください。

単著『自民改憲案 VS 日本国憲法    緊迫! 9条と96条の危機』

単著『安倍改憲と「政治改革」  【解釈・立法・96条先行】改憲のカラクリ』

共著『高校生と教師の憲法授業』

http://www.kikanshi-book.com/憲法研究者-上脇博之の本/

http://www.kikanshi-book.com/ご注文-お問合わせ/

(おわり)
最新記事
Categories
あし@
livedoor プロフィール

nihonkokukenpou

TagCloud
livedoor × FLO:Q
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ