上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

訴訟

森友学園「小学校設置趣意書」非開示国賠訴訟で国は控訴断念!

(1)安倍晋三首相の昭恵夫人が名誉校長就任予定だった森友学園小学校の設置趣意書非開示に関する国家賠償訴訟で、今月(2019年3月)14日、大阪地裁が原告全面勝訴の判決を下しました。

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51909561.html

訴訟の経緯は、上記ブログで紹介しました。

(2)その時のマスコミ報道のうち、NHKの報道を、記録として残すために紹介しておきます。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190314/k10011848181000.html
2019年3月14日 16時40分
“森友問題文書の非開示は違法” 国に賠償命じる判決 大阪地裁 NHKニュース

森友学園が大阪に建設していた小学校に関する文書を国が当初、開示しなかったことについて、大阪地方裁判所は「合理的な理由はなく違法だ」として、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。
森友学園が大阪 豊中市に建設していた小学校について、神戸市の大学教授は設置趣意書の情報公開を求めましたが、近畿財務局は「学校の経営ノウハウが含まれ、公にすると模倣する学校法人が現れて学園の権利や利益が害される」として、ほとんどが黒塗りになっていました。

その後、一転してすべて開示されましたが、大学教授は、当初、黒塗りにしたのは違法だとして、国に110万円余りの賠償を求めていました。

判決で大阪地方裁判所の松永栄治裁判長は「文書の内容は概括的、抽象的で経営上のノウハウとは言えず、すでに、実質的に公にされていた。籠池前理事長の保守主義的な政治思想信条に根ざした教育を模倣しようという学校法人が現れるとは、にわかに考えがたい」と指摘しました。

そのうえで、「何ら合理的な理由がないのに、開示しない誤った判断をしたのは違法だ」として、国に5万円余りの賠償を命じました。

原告側「当たり前の判決」
判決のあと、原告の神戸学院大学の上脇博之教授は会見を開き、「たいした内容でもないのに隠そうとしたのは国の隠蔽体質の一端だと思う。国が積極的に説明責任を果たし情報公開もまっとうに行う正常な状態に戻す第一歩になるのではないか」と話しました。

また、阪口徳雄弁護団長は「森友学園の問題に関しては、国会、財務省、検察庁まで国民の常識が通用しなかった。直ちにされるべき情報公開がなされなかったことを裁判所が断罪した“当たり前”の判決で、2年近くかけて裁判をやってきてよかった」と話しました。

財務省「今後の対応検討」
判決について、財務省は「内容を精査するとともに関係省庁と協議し、今後の対応を検討したい」としています。


(3)原告弁護団一同は、本日(2019年3月29日)、以下のコメントを出しました。

本判決は常識に従い近畿財務局の行為を断罪し、原告に慰謝料を認めた。
同月28日までに国は控訴を断念した。
あまりにも非常識な行為を控訴して、これ以上の恥の上塗りを避けたのであろう。当然の処置である。それにしてもやっと森友問題で国民の常識が通用したことを歓迎したい。
原告・弁護団は森友問題のうやむやを許さない為に、今なお継続中の情報公開訴訟において国の責任追及及び検察審査会において起訴議決をするよう努力するつもりである。

2019年3月29日

  原告・弁護団一同


(4)このことについて報道したマスコミのうち、朝日新聞の報道を紹介しておきます。
朝日新聞
森友学園の設置趣意書、「不開示は違法」判決が確定
大貫聡子 2019年3月29日11時54分

 学校法人森友学園(大阪市)が開校を目指した小学校の設置趣意書を国が当初不開示と決定したのは不当だとして、情報公開請求した上脇博之(ひろし)・神戸学院大教授が国に約110万円の損害賠償を求めた訴訟で、不開示は違法として慰謝料など国に5万5千円の賠償を命じた大阪地裁判決が29日までに確定した。

森友学園小学校設置趣意書非開示国家賠償訴訟で全面勝訴判決と私の陳述書

すでにマスコミ報道されているので、ご存じの方も多いと思いますが、
安倍晋三首相の昭恵夫人が名誉校長就任予定だった森友学園小学校の設置趣意書非開示に関する国家賠償訴訟で、昨日(2019年3月14日)、大阪地裁が原告全面勝訴の判決を下しました。
まず、訴訟の経緯を紹介します。


〇笋蓮2017年5月10日付で、近畿財務局に対し、森友学園の小学校の設置趣意書と賃貸借契約書の情報公開請求を行った。

近畿財務局は、同年7月10日、小学校の設置趣意書につき近畿財務局は一部開示(ほぼ全部非開示)にした。その理由は「経営上のノウハウが書かれている」から、というもの(http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/wp-content/uploads/2017/10/安倍小学校をマスキング文書.pdf)

そこで、私は、同年10月2日、その非開示処分の取消を求めて大阪地裁に提訴した(http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7616/)。

た考С惘爐隆漂眇佑開示してかまわないと判断したため、国は、同年11月24日、近畿財務局長は森友学園の「開成小学校設置趣意書」を全部開示した(http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7634/)。
しかし、そこには、「経営上のノウハウ」は一切書かれていなかった(http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/wp-content/uploads/2017/11/開成小学校設置趣意書.pdf)。

イ修海如∋笋、同年11月30日、非開示事由がないにもかかわらず非開示した処分が違法であったとして国家賠償請求の訴訟を大阪地裁に提起した(’http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7644/)

Δ修料幣戮悩鯑(2019年3月14日)13時10分、大阪地裁は、原告である私の請求を認容する判決を下した(http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7695/)。

以下、裁判所に提出した原告・私の陳述書を紹介します(最終版ではないかもしれませんので、ご留意ください)。

1.森友学園問題で情報公開請求した動機・理由
 私は憲法研究者です。現在、神戸学院大学法学部(以前は同大学実務法学研究科)の教授であり、研究の専門分野としては法律学の中の憲法学で、同大学で憲法に関する科目を担当し学生に対する憲法教育に携わっています。
 これまで、「政党の憲法上の地位」論(「政党に対する国家・国法の態度」論および「政党の憲法的性格」論)についてドイツの議論を分析し、日本国憲法との違いを踏まえた論理を展開すべきことを研究成果として研究論文にまとめ公表しました。その研究の延長として「政党がかかわっている事項」へと研究対象を拡大し、選挙制度、政党助成を含む政治資金などの憲法問題について研究し、その成果を研究書にまとめ、公表してきました(上脇博之『政党国家論と憲法学』信山社・1999年2月[北九州大学法政叢書17]、同『政党助成法の憲法問題』日本評論社・1999年[1999年度科学研究費補助金「研究成果公開促進費」(一般学術図書)交付]、同『政党国家論と国民代表論の憲法問題』日本評論社・2005年[神戸学院大学法学研究叢書14])。
 また、市民にも理解を深めてもらうために一般市民向けの書物も複数執筆してきました(上脇博之『安倍改憲と「政治改革」』日本機関紙出版センター・2013年、同『どう思う?地方議員削減』同・2014年、同『誰も言わない政党助成金の闇』同・2014年、同『財界主権国家・ニッポン』同・2014年、同『告発!政治とカネ』かもがわ出版・2015年、同『追及!安倍自民党・内閣と小池都知事の「政治とカネ」疑惑』日本機関紙出版センター2016年、同『ここまできた小選挙区制の弊害』あけび書房・2018年、など)。
 政治資金問題については、人権(いわゆる“知る権利”)保障および議会制民主主義からの要請として情報公開制度そのものの整備の必要性だけではなく、その適正な運用も重要であると認識して、市民運動にも参加し制度改革の必要性や運用改善を求めてきました。
とりわけ内閣官房報償費はいわゆる機密費と呼ばれ、その使途に関する情報が一切公表されないのが常識とされてきましたが、その運用は違憲であり、かつ情報公開法にも反する非常識であるとの立場から、2007年に情報公開訴訟を提起し、最高裁まで争いました(本件訴訟提起後の2018年1月19日最高裁第二部判決で一部勝訴により全国で初めて使途文書の一部の開示を得ましたので、それを市民向けの書物にまとめました。上脇博之『内閣官房長官の裏金 機密費の扉をこじ開けた4183日の闘い』日本機関紙出版センター・2018年)。
 以上のように情報公開制度について重大な関心を抱き、違法または不適切な運用の改善を求めてきましたので、学校法人森友学園に対する国有地の売払い問題についても、重大な関心を抱きました。まず、豊中市議が2017年2月8日に国有地の売払い価格の非開示処分の取消を求める情報公開訴訟を提起しましたが、私は、その訴訟提起前に、豊中市議とたまたまお会いする機会があり、安倍晋三首相の昭恵夫人が同学園の小学校の名誉校長に就任予定であることを教えてもらいました。そして、その訴訟提起直後の同月10日に、近畿財務局は、当該価格1億3400万円を公表しましたが、近隣地の売払い価格の10分の1程度であるとの朝日新聞の報道もありました。
 そこで、森友学園への国有地売払いについて、私は、「適正な対価」なくして国有地を譲渡することを禁止している財政法第9条第1項に違反するのではないか、また、その原因は安倍晋三首相の昭恵夫人が同学園の小学校の名誉校長に就任予定であったからではないか、言い換えれば国民共有の国有地は安倍首相夫婦によって私物化されたのではないかとの疑念を抱きました。
 こうして私も同年3月2日、近畿財務局に対し「森友学園との交渉・面談記録」など多くの文書を情報公開請求し、また、この問題での真相解明を求める弁護士・研究者の会(2017年4月20日結成)の一員として活動に参加し、情報公開請求を続けてきました。

2.本件文書を開示請求した時期・内容
 「森友学園の小学校の設置趣意書」(以下「本件文書」という)を情報公開請求したのは、2017年5月10日です。
 というのは、前述した同年3月2日の情報公開請求を行った際に、賃貸借契約に関する文書を開示対象に含めていなかったので、次のように再度情報公開請求したのです。
2016年6月20日に1億3400万円で学校法人森友学園に売払った8770.43屬療效蓮並膾緝榾中市野田町1501番。別紙「公共随契による売払結果一覧表」の「土地」整理番号4番 http://kinki.mof.go.jp/content/000159261.pdf)に関する以下の文書
(1) 学校法人森友学園との賃貸契約書
(2) 賃貸契約時までに提出された小学校の設立趣意書
(3) 賃貸契約に至る決済文書
(5)その他当該土地を学校法人森友学園に賃貸することに関する一切の文書(なお、私がすでに開示決定を受けた面談・交渉記録等を除く)。

3.情報公開法の仕組み
 日本国憲法は、国民主権(主権在民)主義を採用しています(前文、第1条)。いわゆる情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)は、1999年に制定されました。
 同法は、その目的につき、「国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること」、「行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされる」とともに、「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資すること」を「目的とする」と明記しています(第1条)。これは、“知る権利”を明示しなかったものの、国民主権の理念と民主主義の要請から情報公開法が制定されたことを国民に教示しています。
 しかしまた、同法は、「何人も」「行政機関の長」に対し「当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる」と明示して、「情報公開請求権」を具体的権利として定めています(第3条)。「国民主権の理念」に基づきながらも、情報公開請求権者を「主権者」に限定してはいないのです。したがって、同法は、日本国憲法の保障する抽象的権利である “知る権利”という基本的人権を事実上具体化したに等しい法律なのです。なお、日本国憲法が政府情報公開請求権としての“知る権利”を保障していると解するのが学説の多数説です。
 情報公開法の解釈・運用においては、以上のように日本国憲法の立場との関係で適切に行われなければなりません。そうすると、情報公開法の解釈・運動において原則はあくまでも開示であり非開示は例外でなければならないこと、例外である非開示情報は限定して解釈されなければならないこと、その解釈・運用を濫用して拡大してはならないことが当然帰結されることになります。

4.本件文書に不開示情報は含まれず違法な不開示処分でした
 情報公開法は、いわゆる「非開示情報」(第5条)の一つに、「法人その他の団体(……。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報」(第2号)であって、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」(イ)を挙げています。
 本件において、近畿財務局は、森友学校の設置趣意書の「表題の一部および本文」につき、「当該部分は学校法人の経営上のノウハウを含むため、公にすることにより、学校法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため」と説明し、情報公開法「第5条第2号イ」に該当するとして、私の情報公開請求に対し非開示処分の通知を送付してきました(「行政文書開示決定通知書」近財統一1第776号2017年7月10日)。
 かりに、本件文書において「森友学園の経営上のノウハウ」が明記されているとしても、小学校名そのものが「経営上のノウハウ」とは一般に思えませんし、本文全文が「経営上のノウハウ」で書き尽くされているとは思えませんでした。ですから、小学校名は全部開示されるべきですし、本文はたとえ「経営上のノウハウ」が書かれているとしても、その部分を除き、それ以外は全て開示されるべきである(要するに部分開示されるべきである)と思いました。
 そこで、2017年10月2日、その非開示処分の取消を求めて大阪地裁に情報公開訴訟を提起しました(以下、この訴訟を第一訴訟という)。そうしたところ、森友学園の管財人は、森友学園がすでに小学校の設置申請を取り下げていたので、本件文書を非開示にする必要がないとの判断を示したため、近畿財務局長は同年11月24日訴訟代理人・原告(私)に対し本件文書を全部開示しました。
 全部開示された本件文書を見て、驚きました。
 何と、小学校名は、森友学園が経営し名称を公表していた「開成幼稚園」からとった「開成小学校」であり、「経営上のノウハウ」とは全く関係ありませんでした。森友学園が設置を目指した小学校名は「瑞穂の國記念小学院」へと変更していたのですから、「開成小学校」という表記を公開しても、何ら森友学園の「競争上の地位」を害することにはならないはずです。
 また、本文には、「経営上のノウハウ」は一行も書かれていませんでした。書かれているのは、主に森友学園の小学校の「教育理念」であり、それは、基本的に、森友学園の小学校のパンフレット(甲第14号証)の「教育理念」(特に「教育の要」)でも明記され、森友学園が自ら公表していた内容ですから、何ら森友学園の「競争上の地位」を害することにはならないはずです。
近畿財務局が説明した「経営上のノウハウ」は一切明記されていなかったのですから、そもそも本件文書には、情報公開法第5条第2号イに該当する不開示情報は部分的にも存在しなかったのです。近畿財務局が本件文書に不開示情報があるとして不開示処分にしたのは、情報公開法の明らかに違法な運用でした。

5.初めから何が何でも非開示する方針だったから非開示にされた!
 私は2017年5月10日に本件文書の公開請求を行い、同年7月10日に開示決定を受けていますが、近畿財務局は、今思えば、本件文書に非開示情報が含まれているかどうかを検討することなく初めから「非開示ありき」だったと思えてなりません。
というのは、第一に、私が本件文書の情報公開請求する2か月余り前の同年2月24日に、佐川理財局長は、森友学園との交渉(応接)記録が廃棄されていなかったにもかかわらず「交渉記録は廃棄した」と虚偽の答弁後を行い、また、その後、財務省は国有地賃貸および売払の際に財務省が作成した各決裁文書を改ざんしていたからです(これは本訴訟提起後に作成され公表された、財務省「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」(2018年6月4日15頁)によって判明した事実です)。
 第二に、私が2017年3月2日に森友学園との交渉・面談記録を含む行政文書を情報公開請求したのに対し、近畿財務局は、同年5月2日付の開示決定通知書で森友学園との交渉・面談記録等を開示すると決定しながら、実際には当該記録を開示していなかったからです。
 第三に、辰巳孝太郎参議院議員(日本共産党)は2018年6月18日の参議院決算委員会で、森友学園との国有地取引をめぐって、独自入手した二つの内部文書を公表しましたが、そのうち、行政機関の間のやりとりの公表をめぐって財務省と国交省がすり合わせをしたことを記したメモ(5/21)には、財務省理財局と近畿財務局のやりとりの記録を「最高裁まで争う覚悟で非公表とする」と記されていました。
 つまり、国は、森友学園に関する文書について、手段を選ばず可能な限り隠蔽する方針だったのです。それゆえ、本件文書については、そもそも非開示情報が一切含まれていなくても「全部開示することは絶対ない」という結論ありき、だったのです。
とはいえ、開示決定しておきながら実際には開示しないという判断はできなかったのでしょう。また、廃棄することも改ざんすることもできないと判断したのでしょう。そこで、残った選択肢は、「開示情報が含まれていなくても非開示情報が含まれている」と虚偽の理由で非開示にするという選択肢だったとしか考えられません。
 その証拠に、近畿財務局は、開示決定処分する前に森友学園の管財人に対しても、本件文書に「経営上のノウハウ」という非開示情報が含まれているのか、含まれているとすれば、どの部分が非開示情報なのかについて問い合わせを一切していなかったからです。
通常であれば、本件のような情報公開請求においては、法人側に非開示情報があるのかどうかを問い合わせ、不開示情報があるとの回答があっても、法人側が必要以上に非開示にしようとしていないかどうかを検討したうえで、できる限り開示するという決定をするでしょう。ところが、本件文書については、そもそも開示する気が一切なかったから、森友学園の管財人に問い合わせさえしていなかったのです。
 したがって、近畿財務局は、初めから何が何でも情報公開法に違反して非開示にするという結論ありきで判断をしたからこそ、本件文書に非開示情報が一切含まれていないにもかかわらず全面非開示に近い部分開示の決定処分を行ったとしか考えられません。これは、明らかに国の職員による故意による不法行為です。

6.本件文書の不開示処分は「安倍首相の教育理念と合致する小学校」の隠蔽のため
 全部開示された本件文書を読み、さらに驚いたのは、本文に書かれていた別の情報です。日本国憲法に適合する「こども権利条約・男女共同参画・雇用均等法」などを「日本人の品性をおとしめ世界超一流の教育をわざわざ低下せしめた」と批判し、さらに戦前の「富国強兵的考え」や「教育勅語」を高く評価する記述になっていて、森友学園の塚本幼稚園の園児の「受け皿が必要」だとして小学校を設置する旨と書かれていたことです。
 これは、まさしく安倍首相夫婦が支援する小学校教育であり、実質的には「安倍首相の教育理念と合致する小学校」と評しうる内容です。私が本件文書の情報公開請求をする前、籠池泰典元理事長はマスコミの取材にその旨応えていましたが、財務局職員が大阪府庁を訪ねた際の記録には、(大阪)府職員の発言として「安倍晋三記念小学校として本当に進捗できるのか、取り扱いに苦慮している」と明記されていた(2014年3月4日)から、当初、森友学園が大阪府に設置認可のための相談をしたときの小学校名はやはり「安倍晋三記念小学校」だったことが、本訴訟提起後に判明しました(「『安倍晋三記念小学校』森友側が説明 財務省記録に記載」朝日新聞2018年5月24日5時8分)。
 安倍首相は、再度首相に任命される前の2012年9月16日に森友学園の塚本幼稚園で講演する予定でしたが、自民党総裁選に立候補することになりキャンセルしましたので、その後は代役として安倍昭恵首相夫人が3回(2014年4月25日、同年12月6日、2015年9月5日)も講演していますが、そのうち1回目では、園児が「教育勅語」などを素読するのを見て感涙していますし、2回目は、2014年12月2日公示の衆議院総選挙(14日投開票)の最中なのに、あえて本講演だけキャンセルしないという力の入れようでした(他のスケジュールをすべてキャンセルしたというのです)。
 安倍首相は、2017年2月17日、籠池理事長について「いわば私の考え方に非常に共鳴している方で、その方から『小学校をつくりたいので、安倍晋三小学校にしたい』という話がございましたが、私はそこでお断りをしているんですね。」「あの、事実というのはですね、うちの妻が名誉校長になっていることについては、承知をしておりますし、妻からですね、この、森友学園ですか? の『先生の教育に対する熱意は素晴らしい』という話は聞いております」と国会で答弁していました。
昭恵夫人は、3回目の講演(2015年9月5日)で、以下のように話しました。
 「こちらの教育方針が大変、主人も素晴らしいというふうに思っていて、先生からは『安倍晋三記念小学校』に、という名前にしたいというふうに当初は言って頂いていたんですけれども、主人が『総理大臣というのは、いつもいつも良いわけではなくて、時には批判に晒されることもある』と、『その時に、自分の学校の名前が「安倍晋三」 という名前が付いていると、もしかすると、色んなところからその名前によっていじめにあっ たりすることがあるかもしれないし、色んなことで学校が側も「なんで今この名前を付けたの か?」というふうに責められるかもしれないので、もしお名前を付けて頂けるのであれば、総理大臣を辞めてからにして頂きたい』ということで、そして、それをご理解頂い籠池園長が 『瑞穂の国記念小学校』という本当に素晴らしいお名前を付けられました。」
「この幼稚園でやっていることが、本当に素晴らしいんですけれども、それが、この幼稚園で終わってしまう。ここから普通の公立の学校に行くと、普通の公立の学校の教育を受ける。せっかく、ここで芯が出来たものが、また、その学校に入った途端にこう、揺らいでしまうということが先生(※籠池氏の方を指し示し)は凄く残念がっておられたので、ここで培ったものを、瑞穂の国記念小学院に入って、またさらにその芯を、こう、出来たものを太く太くして行くということが、きっと大事なんだろうというふうに思います。」(https://akie-leaks.com/2017/04/10/fulltextofmeat0905/#more-155)
 つまり、安倍首相夫婦は、「教育勅語」等を素読する園児の受け皿としての小学校は、安倍首相の教育理念に合致する小学校」だと高く評価していたのです。
 だからこそ、安倍首相夫婦は、森友学園に小学校をつくらせるために“口利き”をしていたのです。安倍首相は、当時、昭恵首相夫人に職員(谷査恵子氏)を付けていました。2015年10月26日、籠池夫人(副理事長)が50年以上の定期借地や工事費の立て替え払いの返還についての要望を、昭恵夫人付き職員(谷氏)に対し封書で送付し、昭恵夫人付き職員(谷氏)は、財務省本省に問い合わせ田村嘉啓国有財産審理室長から回答を得ているとして、同年11月17日、籠池理事長にFAXで回答していますが、夫人付き職員(谷氏)は実際同月12日(木)の公務時間である「10:00〜10:10」の10分間「田村国有財産審理室長」に対し電話で“口利き”をし、「国有財産管理室」は、その内容を記録し、「当方」が「田村国有財産審理室長」で、「先方」が「官邸 谷さん(安倍総理夫人付)」であったと明記していました。
 つまり、安倍首相夫婦は、森友学園に小学校を設置させようと「官邸」を使って“口利き”し、財務省は、そのことを認識していたのです。
それゆえ近畿財務局は、前述のような内容の「開成小学校」の設置趣意書を提出した学校法人に国有地を賃貸し、後に財政法第9条違反の売却をするのを決めたことが国民に知られることを恐れて、私の情報公開請求に対し、あえて「経営上のノウハウ」という屁理屈で全部非開示に近い処分をしたとしか考えられません。
 これは、明らかに情報公開法に違反する運用であるだけではなく、安倍首相夫婦を守るための極めて政治的で異常な運用であり、明らかに国の故意による不法行為です。
 そこで、私は2017年11月30日、本件国家賠償訴訟を提起したのです。
 なお、安倍首相は、2017年2月17日、「(国有地売却や学校認可に)私や妻が関係していたことになれば首相も国会議員も辞める」と国会で発言しましたが、この発言以降、財務省理財局の総務課長は、国有財産審理及び近畿財務局の財務部長に対し、総理夫人、夫人付き職員の名前の入った書類の存否の確認を求めましたし、佐川理財局長は、同月24日に、森友学園との交渉(応接)記録が廃棄されていなかったにもかかわらず「交渉記録は廃棄した」と虚偽の答弁後を行い、また、その後、財務省は国有地賃貸および売払の際に財務省が作成した各決裁文書を改ざんしていました(前掲、財務省「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」2018年6月4日15頁)。
 以上、本訴訟提起後に判明した事実からも分かるように、要するに、近畿財務局は、森友学園の関係文書の取り扱いについて安倍首相夫婦を守るための極めて政治的で異常な判断をしてきたのです。ですから、本件文書に不開示情報が存在しないことがわかっているにもかかわらず、本件文書のほとんどを非開示にしたのは、そのような異常な判断の一環だったのです。これは、繰り返し指摘しますが、明らかに国の職員による故意による不法行為なのです。

7.国の不法行為による損害
(省略)。
 
 以上、私は陳述したします。


開かずの扉を大きく開いた最高裁判決(官房機密費情報公開訴訟)

(1)2018年1月19日午後3時、最高裁判所第二小法廷は
開かずの扉を大きく開き、真っ暗闇に大きな光をさしこませる
画期的な判決を出しました。

これまでの投稿は以下でご覧ください。

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/cat_10042007.html


(2)記録に残すために、NHKの報道をご紹介しておきます(今なら動画も見ることができます)。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180119/k10011294731000.html

最高裁が官房機密費文書の一部公開命じる
1月19日 17時14分

いわゆる官房機密費の情報公開をめぐる裁判で、最高裁判所は、内閣官房の協力者の氏名が明らかになると情報収集などに支障が出るという考え方を初めて示しました。一方で、月ごとの支払い合計額などがわかる文書は相手を特定するのが困難だとして公開を命じる判決を言い渡しました。

いわゆる官房機密費は、官邸の情報収集などの活動に支障が出るおそれがあるとして使いみちなどが明らかにされていませんが、大阪の市民グループは、安倍総理大臣が官房長官だった時など3回にわたって機密費の文書の公開を求め、裁判を起こしました。

このうち2件では大阪高等裁判所が一部の公開を認めた一方、残りの1件では大阪高裁の別の裁判長がほぼすべての公開を認めず、判断が分かれていました。

19日の判決で最高裁判所第2小法廷の山本庸幸裁判長は、内閣官房は重要政策の関係者に非公式の協力を依頼することがあり、氏名が明らかになると情報収集などに支障が出るおそれがあるという考え方を初めて示しました。

そのうえで、2審では公開が認められた情報収集などに使われる経費の個々の支払い決定日や金額が記された文書については、当時の国内外の政治情勢や出来事などに照らして相手や使いみちの特定が可能になる場合があるとして、公開を認めませんでした。

一方で、月ごとの支払い合計額や年度末の残高などがわかる文書は相手を特定するのが困難だとして公開を命じました。

今回の裁判では官房機密費の具体的な使いみちは明らかになりませんでしたが、これまで非公開とされてきた文書の一部が初めて公開されることになります。


「抑止力になるのでは」

判決のあと、市民グループの阪口徳雄弁護士は、「最高裁の判決まで10年以上かかったが、これまで闇となっていた官房機密費の一部をやっとこじ開けることができとても喜んでいる。今回の判断によって、官房長官がみずから管理する『政策推進費』の金額が分かることになるので、説明のできない額が官房長官に渡されることへの抑止力になるのではないかと考えている」と話しました。


「判決を重く受け止める」

菅官房長官は午後の記者会見で、「担当部局で内容を精査しており、詳細については報告を受けていないが、政府としては、今回の判決を重く受け止めて、適切に対応していきたい」と述べました。


「官房機密費」とは

「官房機密費」は、内閣官房の業務を遂行するための経費とされ、使いみちなどは明らかにされていません。

内閣府によりますと官房機密費は官房長官の請求に基づいて国庫から支出され、総額は年間14億円余りに上っています。

国庫からの支出額は明らかにされていますが、官房長官がどのような相手にいくら支払ったのかなど具体的な使いみちは官邸の情報収集活動などに支障が出るおそれがあるとして明らかにされていません。

過去には外務省の幹部が水増し請求によって5億円余りの機密費をだまし取り競走馬の購入などに使っていた事件が明らかになり、チェック体制のずさんさが指摘されました。

今回の裁判では、大阪の市民グループが、平成17年から18年にかけて当時の安倍官房長官のもとで支出された10億9500万円余りと、平成21年に当時の河村官房長官のもとで支出された2億5000万円、それに平成25年に菅官房長官のもとで支出された13億6000万円について、使いみちを明らかにするよう求めました。

裁判では機密費の支払いに関係する「政策推進費受払簿」、「支払決定書」、「出納管理簿」、「報償費支払明細書」、それに領収書などの5種類の文書や資料を公開すべきかどうかが争われました。

おととし2月の大阪高等裁判所の判決では、官房長官が重要政策の企画立案に使う「政策推進費」の額がわかる「政策推進費受払簿」や「出納管理簿」の一部、それに「報償費支払明細書」の公開を命じました。

一方で、支払った相手の名前が記載されている「支払決定書」や領収書などの公開は認めませんでした。

その後、おととし10月に大阪高裁の別の裁判長が出した判決では、すでに公開の対象とされている国庫からの支出額を除き、ほぼすべての公開を認めず、判断が分かれていました。

19日の判決では、「政策推進費受払簿」と「出納管理簿」の一部は公開が命じられ、「報償費支払明細書」は情報収集などに使われる経費の個々の支払い決定日や金額が記された部分を除いて公開を認めました。

(3)なお、安倍官房長官時代の官房機密費が対象の第1次と、菅官房長の官房機密費が対象の第3次の原告は、「政治資金オンブズマン」共同代表の私です。
河村官房長官時代の官房機密費が対象の第2時の原告は、同じ「政治資金オンブズマン」共同代表の公認会計士の方です。

また、最高裁第二小法廷は、第1次と第2次の私たちの上告を受理せず、国の上告の一部を受理し、第3次の国の上告を受理せず、私の上告の一部を受理していました。

ですから、そもそも100%満足の判決ではないのですが、
それでも重要な一部が最高裁で認められましたので、大変喜んでいます。

以上、取り急ぎのご報告です。

森友学園交渉記録不開示問題で大阪地裁に提訴しました(同時に仮処分の申し立ても)

(1)昨夜、久しぶりにブログの投稿を行いました。

森友学園問題についての活動の整理

(2)その投稿の最後で予告していたように、
「国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会」
の新たな次のアクションを紹介します。

(3)それは提訴です。
少し説明します。

私が、近畿財務局に対し森友学園への国有地売払いに関する複数の関係文書
について情報公開請求し、5月中旬に開示を受けたのですが、
そのうち、
いわゆる交渉・面談を記録した文書については、
開示決定当該文書ががなされたものの、
実際には当該文書が一切開示されませんでした。

私は、その旨を明記し、開示の督促を文書で行ったのですが、
近畿財務局からは、全く返事がありません。

このままでは、
国民の知る権利は侵害されたままだし、
政府の説明責任は果たされないままです。

そこで、本日、大阪地裁に、
当該関係文書を開示しないのは違法であることの確認と
当該関係文書の開示を求めて提訴しました。

また、
国有地低額譲渡の真相解明のための面談・交渉記録の廃棄・改ざんなどの禁止と
デジタルフォレンジック調査による文書の保存を命じる仮処分も申立てました。
(なお、先日東京のNPK法人が証拠保全の申立をし、却下されましたが、
本件仮処分の申立は証拠保全の申立ではありません。)

(4)訴状、仮処分申立書のほか、弁護団のコメントは、以下でご覧いただけます。

仮処分申立「デジタルフォレンジック調査をして電磁的記録を保存せよ」及び、提訴「デジタルフォレンジック調査をして再現して本件対象文書を開示せよ」


証拠については、以下です。私の上申書もあります。ご覧ください。

パソコンデータ処分禁止の仮処分命令申立事件 証拠説明

内閣官房「機密費」情報公開裁判で大阪高裁が明日(2月24日)判決

落選運動で忙しくて、ほとんどブログの投稿が出来ていません。

明日の裁判判決の告知だけしておきましょう。

(1)いわゆる内閣官房機密費を呼ばれている内閣官房報償費の情報公開裁判については、このブログで何度も紹介してきました。

(2)安倍晋三官房長官時代の内閣官房報償費に関する情報公開裁判の大阪地裁判決(2012年3月23日)についてのブログ投稿は、以下でした。

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟の初めての判決(ブラックボックスに大きな風穴を開ける画期的判決)

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決についてのマスコミ報道の紹介

3月23日の内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決の要旨の紹介

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決要旨(PDF)の紹介

この裁判は、「政治資金オンブズマン」共同代表である私が原告。

(3)「政治資金オンブズマン」の別のメンバーが原告の裁判の大阪地裁判決については、以下。

内閣官房報償費(機密費)情報公開請求第2次訴訟大阪地裁判決についての報道の紹介

(4)以上のいずれも、控訴(国も控訴)。

両控訴審の判決が明日(2月24日)の午前中に大阪高裁で出ます。

2016年2月24日午前10時

法廷 大阪高等裁判所 82号法廷


(5)なお、原審(大阪地裁)で私が陳述した意見は、以下をお読みください。

私の陳述書のPDFでの紹介と本人尋問の報告

菅内閣官房長官の官房報償費(機密費)についての情報公開訴の訟判決言い渡し(10月22日)

(1)私は、菅官房長官が2013年(平成25年)1月1日〜2013年(平成25年)12月31日まで使った官房報償費(機密費)の行政文書について情報公開請求をしました。
菅官房長の請求等については開示され、合計13億6000万円超を受け取っていることが判明したのですが、それを何に使ったのかがわかる行政文書については、1枚も開示されませんでした(墨塗りの文書さえない)。
そこで、2014年9月、その取り消しと開示を求めて大阪地裁に提訴しました。

13年分内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟を大阪地裁に提起しました!

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟提訴のマスコミ報道と陳述書の紹介

(2)その判決が今週木曜日(2015年10月22日)午後1時10分大阪地裁806号法定で判決が言い渡されます。
私(原告)の訴訟代理人の人地である阪口徳雄弁護士がご自身のブログで紹介しておられます。

菅官房長官が使った約12億円の情報公開裁判の判決
係属部は大阪地裁第7民事部(平成26年(行ウ)第186号情報公開請求事件

平成26年11月25日に第1回口頭弁論があり、今年の7月2日に弁論を終結した。

その判決が10月22日午後1時10分に判決が言い渡される。

法廷は大阪地裁の806号法廷。

(3)私が内閣官房報償費の情報公開訴訟を提起したのは、上記が初めてではありません。
安倍氏が官房長官時代の内閣官房報償費についても提訴し、その裁判では、2012年3月に、100%ではないものの私の主張を受け入れた判決がくだされています。

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟の初めての判決(ブラックボックスに大きな風穴を開ける画期的判決)
判決の骨子は、以下の通りです。

・「政策推進費受払簿」については、全部非開示処分をすべて取り消す(全部開示)、

・「報償費支払明細書」については、全部非開示処分をすべて取り消す(全部開示)、

・「出納管理簿」については、全部非開示処分を一部取り消す(部分開示)、

・「支払決定書」については、法律の非開示情報に該当する(全部非開示のまま)

・「領収書等」については、法律の非開示情報に該当する(全部非開示のまま)。

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決についてのマスコミ報道の紹介

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決要旨(PDF)の紹介

なお、この訴訟は術に決心し、来年1月に判決が言い渡されます(後日紹介します)。

(4)内閣報償費については、インターネット上で「機密費だから当然開示されるはずがない」旨、好き勝手な意見が飛び交ってきました。
しかし、ご承知の方もうくなくないと思いますが、
実際には本来の目的とは別の支出、まるで政治資金ではないかと思えるような党派的な支出、公金の私物化と思うるような支出(要するに目的外支出)がなされているとの証言等があります。

安倍官房長官時代の訴訟において、私が大阪地裁に提出した陳述書については、以前紹介しました。
現状を無視した意見があるようなので、私の陳述書を再度紹介しておきます。

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その1

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その2

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その3

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その4

私の陳述書のPDFでの紹介と本人尋問の報告

13年分内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟を大阪地裁に提起しました!

(1)私が安倍晋三衆議院議員が内閣官房長官だった時代の内閣官房報償費(機密費)について情報公開したところ、その使途のわかる行政文書については全部不開示とされたので、私は、その取消を求めて情報公開訴訟を提起しました。

大阪地裁は、2012年3月、私の主張の一部を認める判決をくだしました。
この判決については、すでに紹介しました。

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟の初めての判決(ブラックボックスに大きな風穴を開ける画期的判決)

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決についてのマスコミ報道の紹介

3月23日の内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決の要旨の紹介

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決要旨(PDF)の紹介

内閣官房報償費(機密費)情報公開大阪地裁判決についての新聞社説の紹介

(2)この判決については、100%満足できるものではなかったので、原告の私は大阪高裁に控訴しました。
国も控訴しました。

内閣官房報償費(機密費)訴訟大阪地裁判決後の報道の紹介(私も国も控訴など)

(2)私とは別の政治資金オンブズマンのメンバーが原告の第2次訴訟でも、類似の判決が2012年11月に大阪地裁で下されたことについても、すでに紹介しました。

内閣官房報償費(機密費)情報公開請求第2次訴訟大阪地裁判決についての報道の紹介

これも控訴しています。

(3)私は、以上とは別に、第2次安倍内閣が発足した2012年12月から2013年12月までの内閣官房報償費(機密費)についても今年(2014年)に入り、情報公開請求したのですが、その使途のわかる行政文書については、全部非開示とされました。

そこで、本日、大阪地裁にその取消し等を求める情報公開訴訟を提起し、記者会見も行いました。

以下、その訴状を紹介します。
内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟(菅義偉官房長官時代)

                          訴    状

大阪地方裁判所 御 中

                                             平成26年 9月17日

                                              原告訴訟代理人
                                                (略)

当事者の表示   別紙当事者目録のとおり
不開示決定処分取消等請求事件
訴訟物の価額  (略)
貼用印紙代    (略)

                         請 求 の 趣 旨

1 内閣官房内閣総務官が平成26年3月24日付けで原告に対してした行政文書の不開示決定(閣総会第133号)のうち,平成25年1月1日から平成25年12月31日までの内閣官房報償費(機密費)の支出に関する政策推進費受払簿,支払決定書,出納管理簿,報償費支払明細書,並びに,領収書,請求書及び受領書を不開示とした部分を取り消す

2 内閣官房内閣総務官は原告に対し,平成25年1月1日から平成25年12月31日までの内閣官房報償費(機密費)の支出に関する政策推進費受払簿,支払決定書,出納管理簿,報償費支払明細書,並びに,領収書,請求書及び受領書を開示するとの処分をせよ
3 訴訟費用は,被告の負担とする
との判決を求める。

                          請 求 の 原 因

第1 はじめに

 内閣官房報償費は,「官房機密費」と呼ばれている。しかし,実際の支出は何ら機密ではない。
平成19年に原告が提訴した日本で始めての内閣官房報償費(機密費)情報公開請求訴訟(安倍晋三官房長官分訴訟。大阪地裁平成19年(行ウ)第92号,大阪高裁平成25年(行コ)第77号)においては,国は当初,非開示の根拠に関する具体的主張を行うこと自体が「機密を害する」として,具体的主張すら拒んでいた。しかし,原告らの求釈明や,それを受けた裁判所の積極的な訴訟指揮により,当然のことではあるが,国は一定の範囲で情報公開対象を特定・説明せざるをえず(甲15参照),(いまだ不十分とはいえ)徐々に内閣官房報償費(機密費)の内容が明らかとされてきた。
 そこで明らかにされたところによれば,内閣官房報償費(機密費)の支出目的は,「政策推進費」,「調査情報対策費」,「活動関係費」の3類型があるということである(甲6)。
 そのうち,官房長官が自ら出納管理し,領収書すら不要とされている「政策推進費」は,「合意・協力,情報の対価」とされ,国会議員等に対する情報の収集に名を借りた「国会議員対策費」である。これらの国会議員等に対する対価など,買収以外の何ものでもない。「調査情報対策費」とは,その多くが「会合」費である。つまり,国会議員等との料亭,ホテル等での宴会政治の実費である。「活動関係費」とは,会合費のほか,タクシー代等の「交通費」,「書籍類」,「活動経費」,「贈答品」,「謝礼」,「慶弔費」,「支払関係経費」(銀行振込手数料)等である(甲15及び16参照)。
 平成21年の政権交代により,長きにわたる自民党政治から政権を奪った民主党政権は,内閣官房報償費(機密費)の使途について一定の条件で国民への開示を検討するとしながら,非開示のまま自らも支出を続け,結局これを一切開示しないと決定し,国民の期待を裏切った。
 その後,民主党が失速し,平成24年12月に政権に自民党が返り咲いて以降,現在の第二次安倍内閣(菅義偉官房長官)となって以降も,国民の税金を財源とする内閣官房報償費(機密費)について,依然,全く闇の中で,月1億円もの大金の支出が継続している。本件は,まさに第二次安倍政権下で現在進行形で続いている内閣官房報償費(機密費)の支出(菅義偉官房長官時代)について,国民への開示を求める裁判である。
 なお,内閣官房報償費(機密費)情報公開請求訴訟に関しては,すでに大阪地裁において二つの判決が下されており,いずれも国の不開示決定を違法であるとして一部取り消されている(大阪地判平成24年3月23日判時2166号33頁(甲3,安倍長官分訴訟),大阪地判平成24年11月22日季報情報公開・個人情報保護第49号49頁(甲4,河村建夫官房長官分訴訟)。なお,いずれも現在大阪高裁において控訴審が係属中である。

第2 情報公開請求と不開示決定

1 本件対象文書の情報公開請求

原告は,処分庁(内閣官房内閣総務官)に対し,平成26年1月17日付けで,平成24年12月から平成25年12月31日まで(菅義偉官房長官)の内閣官房報償費(機密費)の支出関係書類について,開示請求をした(甲1)。

2 本件対象文書の不開示決定
 これに対し,処分庁(内閣官房内閣総務官)は,原告に対し,平成26年3月24日付け行政文書開示等決定通知書において,「支出決定書(表紙及び該当ページ)」,「内閣官房長官から内閣府大臣官房会計課長あての請求書(平成25年3月分を除く)」,「支出負担行為即支出決定決議書(特例払)(平成25年3月分を除く)」を開示する旨の回答があったが,同期間の具体的に使途に関する支出関係書類(平成25年1月分〜平成25年12月分)については全て不開示とされた(甲2)。
なお,先行訴訟(甲3及び4)において,支出関係書類としては,政策推進費受払簿(甲7の別紙様式2),支払決定書(甲7の別紙様式3),出納管理簿(甲7の別紙様式1),報償費支払明細書(甲8及び9),及び,領収書等(領収書,請求書及び受領書)が存在することが判明している(以下,今回不開示とされた上記支出関係書類全てを併せ「本件対象文書」という)。
 不開示の理由は,本件対象文書については,「内閣官房報償費は,事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため,当面の任務と状況に応じてその都度の判断で最も適当と認められる方法により流動的に使用する経費であり,このような報償費の性格上,その具体的な使途に関する文書を明らかにすることは,事務の円滑かつ効果的な遂行に支障を及ぼすおそれがあり,法第5条第6号に該当する。また,報償費の具体的な使途には,これを明らかにすることにより,他国等との信頼関係が損なわれるおそれ,他国等との交渉上不利益を被るおそれがあるものがあり,法第5条第3号に該当する」というものであり(甲2),行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という)第5条第6号,または第5条第3号を理由としたものであった。

第3 本件不開示決定の違法性について
1 情報公開法5条6号,同法5条3号の解釈

(1)情報公開法は,国民主権の理念にのっとり,行政文書の開示を請求する権利につき定めることにより,行政機関の保有する情報の一層の公開を図り,もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに,国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的としており(同法1条),その観点から,行政機関の保有する行政文書の開示の請求権者を特に限定せず(同法3条),また5条各号に掲げる不開示情報のいずれかが記録されている場合を除き,行政機関の長に対して開示請求に係る行政文書の開示を義務付けている(5条)。
(2)そこで,例外的に非開示事由を定めた同法5条6号の「国の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある場合」として不開示決定(処分)をした場合には,その処分者が所属する行政主体である国が,当該行政文書には同号所定の不開示自由があるを主張立証する必要があり,ここにいう「支障」の程度は名目的なものでは足りず,実質的なものであることが必要であって,「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性が要求される。
 また,同法5条3号の「国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ」についても,国が当該行政文書には同号所定の不開示自由があるを主張立証する必要があり,ここにいう「害される」「損なわれる」「不利益」の程度も名目的なものでは足りず,実質的なものであることが必要であって,「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性が要求される。
 よって,国が同法5条6号や同3号において要求される「支障」「害される」「損なわれる」「不利益」「おそれ」について具体的に立証することができなければ,不開示決定(処分)は違法となる。
(3)なお,支払い相手方が国会議員を含む公務員の場合は,内閣官房長官が当該公務員に対し対価を支払うことを約して情報を収集し,あるいは協力を依頼することとなり,場合によっては金員の交付が賄賂性を帯びる違法なものとなり,または相手方(受領者)が政治資金規正法に違反したり,公務員の職務上の倫理に反する性格を帯びるものである。よって,かかる文書に記録された情報は法的保護に値せず,開示することで公務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある等とはいえないので,同法5条6号や同3号の定める不開示情報に該当しない。
 よって,支払い相手方が国会議員を含む公務員の場合の支出関係文書の不開示決定(処分)は,違法である。

2 部分開示義務について(情報公開法6条1項の解釈)
(1)情報公開法は,開示請求のあった行政文書を原則的に公開するように規定し(同法5条),さらに不開示情報が含まれる場合であっても可能な限り開示すべきと規定する(同法6条)。これによって,国民主権の理念にのっとり,行政文書の開示を請求する権利につき定めることにより,行政機関の保有する情報のいっそうの公開を図り,もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに,国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資するという目的(同法1条)を果たそうとしている。
このような開示を原則とし,不開示を例外としている情報公開法の趣旨からすると,不開示情報が記録されている部分と記録されていない部分が分離可能であれば,不開示情報が記録されていない部分を実施機関は開示しなければならないのであって,実施機関は部分開示義務を負う。
(2)なお,部分開示義務について,「独立した一体的な情報」についてはさらなる部分開示の義務を否定した最三小判平成13年3月27日民集55巻2号530頁(以下「最高裁平成13年判決」という)は,大阪府公文書公開等条例10条の沿革等に照らせばその結論自体妥当でなく,その後の最高裁判例は行政機関の長が独立した一体的な情報をさらに細分化して行政文書の部分開示をすべき義務はないという見解を採用しておらず,最高裁平成13年判決は実質的に変更されている。また,最高裁平成13年判決が判示した大阪府公文書公開等条例10条と情報公開法6条は条文の構造が異なるので最高裁平成13年判決の射程は情報公開法には及ばない。
(3)また,本来一つの文書には様々な情報が重層的に記録され,それらが集積されることによってより大きな情報を構成し,そして一つの文書を構成している。そうすると,仮に個人識別情報以外の不開示事由がある行政文書については,行政機関の長が独立した一体的な情報をさらに細分化し当該不開示情報が記録されていない部分を開示する態様の部分開示の義務を負わないと解したとしても,その「独立した一体的な情報」は,文書の作成名義,作成目的,記録内容等から的確に判断する必要がある。
そして,支払日や支払い金額についてのみを見ても,それ自体有意な情報として独立した一体的情報であるから,本件対象文書に関しては,少なくとも支払日や支払金額については,「独立した一体的情報」として部分開示義務がある。かかる主張が正当であることは,前記最高裁平成13年判決が出されて以降に判決が出された外務省報償費(機密費)情報公開請求訴訟判決(東京高判平成20年1月31日季報情報公開・個人情報保護31号44頁,最判平成21年2月17日で確定。)において開示された文書(甲33及び34)をみても,明らかに一つの文書の中で支払相手方等についてはマスキングをした上で,支払日や支払金額について開示している(明らかに支払日や支払金額についてのみをもって有意な情報として「独立した一体的情報」と扱っている)ことからも裏付けられる。

3 本件各対象文書に関する不開示決定の違法性
 被告国はこれまで,先行訴訟において,内閣官房報償費(機密費)の支出関係文書を公開することによって,その支出の相手方に対して第三者が不正工作(不正な働きかけ)を行うことによって内閣(官房)の情報が流出し,あるいは今後内閣(官房)が情報提供を受けられなくなり,内閣の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある等の主張を行ってきた。本件でも被告国このような主張を繰り返すものと思われるため,先行して本件対象文書に記載されている情報が不開示情報にあたらないことについて述べておく。

(1)政策推進費受払簿について
ア 政策推進費の支払いに当たっては,取扱責任者である内閣官房長官が政策推進費受払簿を作成し,その支払の管理を行っている。政策推進費受払簿は,国庫から入金され内閣官房長官の手元に渡った内閣官房報償費(機密費)から内閣官房長官が政策推進費として使用する額を区分する(繰り入れ)都度,並びに,会計年度末及び内閣官房長官が交代する際に作成される。
政策推進費受払簿(甲7の別紙様式2)には,文書名(政策推進費受払簿)のほか,作成日付,金額(前回残額,前回から今回までの支払額,今回繰り入れ前の残額),今回繰入額及び現在額計,取扱責任者(内閣官房長官)の記名押印,並びに,取り扱い責任者が指名した事務補助者の記名押印が記録されている。
イ 政策推進費に受払簿に記録されている情報は,前回繰入時から今回繰入時までの一定期間内における政策推進費の支払合計額が明らかになるだけであって,それ以上に政策推進費の具体的使途や支払の相手方の氏名等が明らかになるものではない。したがって,政策推進費受払簿に記録されている情報が開示されたとしても国の事務又は事業の適正な遂行等に支障を及ぼすおそれはない。

(2)支払決定書について
ア 調査情報対策費及び活動関係費の支払に当たっては,内閣官房長官がその都度支払い決定をして支払決定書を作成し,その支払の管理を行っている。支払決定書は,内閣官房長官が,支払決定書に基づき調査情報対策費又は活動関係費の1件又は複数の支払いに係る支払決定を行う都度作成される。内閣官房長官が指名した事務補助者は,支払決定書に基づき調査情報対策費又は活動関係費の支払いを行う。
支払決定書(甲7の別紙様式3)には,文書名(支払決定書)のほか,作成日付,「下記の金額の支払いを要する」旨の文言,金額(複数の支払を処理する場合はその合計額),支払目的(目的類型別の区分を明示),支払相手方等,取扱責任者である内閣官房長官の記名・押印並びに支払及び確認を行った日付,事務補助者の記名押印が記録されている。
イ 支払決定書は,ほぼ毎月1回,調査情報対策費で1枚,活動関係費で1枚作成され,月の各支出をまとめて1枚で記録されているものにすぎない。そして,支払決定書に関する支払目的や相手方については,領収書等の単位で複数ある支出のうち,基本的には代表的なものを記録するに過ぎず,支払目的も会合費,交通費といった概括的なものにとどまる。
したがって,支払決定書が開示されたとしても,月に1度まとめた支出の金額と日時,代表的な相手方と代表的な支出目的が判明するのみであるから,国の事務又は事業の適正な執行に支障を及ぼす具体的なおそれがあるとは認められない。また少なくとも情報提供者やそれに準ずる者に直接支出するのではない場合(会合としての支出,交通費,贈答品等の購入費,支払関係費用としての支出の場合)については,これに関する支出が開示されたとしても国の事務又は事業の適正な執行に支障を及ぼす具体的なおそれがあるとは認められない。
なお,支払決定書は,調査情報対策費と活動関係費を支出するときにその支払の適正さを担保するために作成されるところ,請求書が添付されることもあって,支払決定書には「支払相手方等」をわざわざ全件記録しなくてもよいこととなっている。そうすると,「支払相手方等」を記録しなくても,その余の記録事項だけであっても有意な情報として作成していることは明らかであり,上記その余の記録事項は「独立した一体的な情報」であると解釈できるから,仮に代表的な相手方が開示されることによって,国の事務又は事業の適正な執行に使用を及ぼす具体的なおそれがあるとしても,代表例である支払相手方等の記録を除いた部分について情報公開法6条1項に基づく部分開示をすべきである。

(3)出納管理簿
ア 内閣官房長官は,その指名した事務補助者をして,内閣官房報償費(機密費)の出納管理のために内閣官房報償費(機密費)の出納を出納管理簿に記録させ,自ら又は指名した内閣官房内閣総務官室の職員により,出納管理簿が適正に記録されているかどうか確認を行う。
 出納管理簿(甲7の別紙様式1)には,文書名(内閣官房報償費出納管理簿)のほか,内閣官房報償費(機密費)の出納にかかる年月日,適用(使用目的等)(入金又は目的類型別の区分),受領額,支払額,残額,支払相手方等(その月の受領額,支払額の各合計額),累計(その年度の受領額,支払額の各類型額及び当該年度の残額),内閣官房長官が月分計や累計について確認した趣旨の押印,年度末及び取扱責任者の移動があったときは内部確認のため確認に立ち会った者及び上記の指名された確認者の各記名押印が記録されている。
イ 出納管理簿には,内閣官房報償費(機密費)の出納管理のために,当該年度等における報償費(機密費)全体を一覧できるように作成されたものである。記録されている情報は,政策推進費受払簿や報償費支払明細書に記録されている情報と大差なく,開示によって大きな支障が生じることはありえない。なお,出納管理簿には「支払相手方等」の欄があり,支払相手方の氏名等が記録されていることも考えられる。しかし,出納管理簿の書式において「支払相手方等」の欄には「本欄は記載した場合,支障があると思われる場合は省略することができる」との注記があるから,「支払相手方等」を省略していない場合には,開示によって行政執行に実質的な支障を生じるおそれはない。
 また,仮に,出納管理簿全体を開示することによって何らかの支障が生じうるとしても,国庫からの内閣官房報償費(機密費)の支出(受領)に係る項目に記録された情報は,すでに開示されている国庫に対する請求書と同様の情報が記録されているにすぎず,不開示情報には該当しない。また,政策推進費の繰入れに係る各項目の記録については,政策推進費受払簿に記録された情報と同様の情報が記録されているにすぎないのであって,政策推進費受払簿が不開示情報に該当しないのと同様に,これも不開示情報には該当しない。上記各部分については,調査情報対策費や活動関係費の各支出が記録されている部分と容易に区分して除くことができ,かつ,それのみで有意の情報が記録されていると認められるのであるから,情報公開法6条1項に基づく部分開示をすべきである。
 さらに,仮に,支払相手方等の記録部分を開示した場合に事務の処理に支障を生じるとしても,出納管理簿が内閣官房報償費(機密費)の出納管理のため内閣官房報償費(機密費)全体の出納状況を一覧できるように作成されている文書であること,出納管理簿の書式において前記注記があることなどからすれば,出納管理簿から「支払相手方等」を除いた記録は「独立した一体的情報」であると考えられるから,出納管理簿から「支払相手方等」の記録を除いた部分について情報公開法6条1項に基づく部分開示をすべきである。

(4)報償費支払明細書
ア 会計検査院の検査を受ける者の計算証明に関しては,計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)が定められているところ,内閣官房報償費(機密費)については,同規則11条にいう特別の事情があるとして,同規則の規定とは異なる取扱いとして,内閣官房報償費(機密費)を使用目的別に分類した支払額等を記録した報償費支払明細書を会計検査院に提出し,支払の相手方である役務提供者等の請求書,領収証書等の証拠書類について会計検査院から要求があった場合に提出が可能となるように証明責任者において保管することとする計算証明が認められている。
報償費支払明細書(甲8及び9)には,文書名((報償費)支払明細書)のほか,支払明細書を提出した日付,支払年月日,支払金額,使用目的(目的類型別の区分),取扱者名,備考及び取扱責任者である内閣官房長官の指名,前月繰越額,本月受入額,本月支払額,翌月繰越額が記載されている。
イ 報償費支払明細書が開示されたとしても,政策推進費受払簿と同様,具体的使途や支払の相手方の氏名等が明らかになるものではない。また,報償費支払明細書は,国の機密保持上,会計検査院に対して開示しても支障のない限度での項目のみを記録したものであるから,これを一般に公開しても行政執行に支障のおそれが生じることはありえない。

(5)領収書等
ア 内閣官房報償費(機密費)の支払に関して,役務提供者等の支払いの相手方から受領した領収書,請求書及び受領書(これらを併せて領収書等という)が保管されている。領収書等には,内閣官房報償費(機密費)の領収日等の日付,あて名,金額,相手方氏名などが記録されている。
なお,政策推進費については,その具体的支出の際には,領収書等を保管しなくてもよいこととされている(もちろん,保管する場合もある)。
イ 領収書等について,支出の相手方に対して第三者が不正工作(不正な働きかけ)を行うことにより,内閣(官房)の情報が流出し,あるいは今後内閣(官房)が情報提供を受けられなくなり,内閣の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼす具体的なおそれまではない。なお,真に機密性がある場合には,内閣官房長官等は,領収書等の保管義務まではない政策推進費によって支出し,領収書を保管しなければよいのであって,わざわざ領収書等を保管している場合には,内閣官房長官等がその領収書等の支出は「機密性」が低いと判断したものであって,これが開示されることにより国の事務又は事業の適正な遂行に具体的な支障を及ぼすおそれはない。
 特に,調査情報対策費や活動関係費に関し,情報提供者やそれに準ずる者に直接支出するのではない場合(会合としての支出,交通費,書籍費,贈答品等の購入費,支払関係費用としての支出の場合)については,領収書等を全て開示しても,国の事務又は事業の適正な遂行に具体的な支障を及ぼすおそれはない。また,不正工作(不正な働きかけ)に応じた業者はもはや利用されなくなることからすれば,内閣官房長官等が会合に利用する業者,交通事業者,振込に利用する金融機関などが不正工作(不正な働きかけ)に遭って簡単に顧客に関する情報を漏洩することなど考えられない。
また,その中でも特に,以下の領収書等については,具体的な「支障」など存在しえない。

 仝共交通機関にかかる領収書等
 大阪地判平成24年11月22日(甲4)は,領収書等について公共交通機関利用に関する領収書等を他の領収書等と区別し,さらにその中でも,タクシーやハイヤー等の交通事業者にかかる領収書等とそれ以外の領収書等を区別しており,個別的に「支障」が生じるかどうかを検討したうえで,公共交通機関に関する領収書等については「開示されとしても,誰が利用したかを特定されるおそれは抽象的なものにとどまるというほかない(第三者が当該本件公共交通機関の従業員等に対する不正工作をしたとしても,当該領収書等に係る利用者の現実的な特定方法は想定し難い。)」などと述べ,開示しても「支障」が生じるとはいえないと判断している。
このように,交通機関利用に関する領収書だけを見ても,公共交通機関利用に関する領収書等はこれを開示したとしても特段の「支障」は生じないのであり,これらを一纏めにして判断をすることはできない。

◆ゞ睛撒ヾ悗任凌狭手数料(支払関係経費)にかかる領収書等
 また,内閣官房報償費(機密費)を使用するにあたり,金融機関での振り込みという手段を取ることは,誰にでも容易に想定できる。したがって,金融機関に対する不正工作(不正な働きかけ)をしようと考える者であれば,振り込み手数料にかかる領収書等などがなくても,金融機関に対する不正な働きかけ(不正工作)を実行できるのである。このことは,先行訴訟で出廷した原証人も認めている(甲25の44頁)。振込手数料にかかる領収書等に振込先の氏名等まで記載されているならばともかく,単なる振り込み手数料の領収書等を開示したところで,「支障」が生じるとは考えがたいのである。結局,被告は,単に内閣の業務の遂行に「支障」が出る抽象的な「可能性」があるというだけで判断しているにすぎない。

 書籍代にかかる領収書等
 さらに,書籍代にかかる領収書等のうち,一般の書店で書籍を購入した場合にかかる領収書等についても,これを開示したところで,「支障」が生じるとは考えがたい。被告は,内閣官房が購入した書籍が公表されれば,そのときの内閣官房が関心をもっている政策課題が推測されてしまうなどと主張し,先行訴訟で出廷した原証人もそのように供述している(甲25の40頁以下)。
 しかしながら,国内外の出来事や政府・国会の動きなどに関する報道によって,内閣官房が関心を寄せている政策課題などは誰でも想定できる。また,内閣官房が関心を持っている政策課題は国内外を問わず多岐にわたっている。とすれば,「内閣官房が関心を持っているとは誰も想定していなかった」課題など,およそ考えられない。したがって,ある政策課題について「不正な工作」をしようと考える者にとっては,一般の書店の領収書等が開示されるかどうかにかかわらず,内閣官房の関心のある政策課題について「不正な工作」を実行しているはずである。よって,一般の書店で書籍を購入した場合にかかる領収書等が開示され,内閣官房が購入した書籍名が開示されることになったとしても,開示される前と比較して,「支障」が出るとは考えられず,被告が主張する「支障が生じるおそれ」など,机上の空論にすぎない。だからこそ,先行訴訟で出廷した原証人も,かかる「支障」について,被告の準備書面や前任者の陳述書といった予め準備された書面の記載を援用することでしかその具体的な内容を説明できないのである。

ぁ_餽臠颪砲かる領収書等
 また,調査情報対策費・活動関係費のうち会合費としての支払にかかる領収書等を検討するに,その具体的な支払先は様々であると考えられる。たとえば,不特定多数の者が日々出入りする旅館・ホテルの場合,当該会合に誰が参加したのかや,どのような内容の会合が開かれたかなどについて,旅館・ホテルが把握しているとは考えがたい。したがって,旅館・ホテルに対して不正工作(不正な働きかけ)を行ったとしても,その会合の内容や会合に参加した者を特定することなどできないのである。よって,かかる領収書等を開示したとしても,何ら「支障」は生じない。
 そのほか,料亭・レストランで会合が行われる場合も考えられる。この場合,確かに,料亭・レストランは,旅館・ホテルほど不特定多数の者が出入りするとまでは言えないので,誰が当該会合に参加したかについて把握している場合もあると考えられる。しかしながら,会合の内容についてまで把握しているとは考えがたく,不正工作(不正な働きかけ)を行ったとしても,会合の内容を特定することなどまず無理である。したがって,この場合でも「支障」が生じるとは考えられない。また,内閣官房が調査情報対策費もしくは活動関係費の目的達成のために選択した料亭・レストランは,情報管理が徹底されているからこそ会合の場所として選択されたのであり,顧客からの信頼が最も重要な財産なのであるから,不正工作(不正な働きかけ)に対して,会合に関する情報を漏洩させることなど,前記のとおりありえない。
 さらに,本件の対象文書の該当期間である平成25年3月9日,安倍晋三首相が,菅官房長官・河内隆内閣総務官(本件処分行政庁)と,東京・紀尾井町のホテル・ニューオータニ内の中国料理店「Taikan En」において,日本維新の会に所属している中田宏氏らと会合を開いたことが,マスコミによって報道されている(甲37の1及び2)。この会合の支払は,会合費として支出されているものと考えられる。つまり,会合費と言っても,マスコミによって会合場所や参加者が報道されている場合もあるのである。このような場合,不正工作(不正な働きかけ)を行おうとする者は,領収書等の開示の有無にかかわらず,当該マスコミ報道を手がかりに不正工作(不正な働きかけ)を実行しているのであるから,領収書等が開示されたとしても,「支障」が生じる可能性に変わりはない。したがって,マスコミ等によって報道されている会合にかかる領収書等は,最低限開示されるべきである。

第4 結論
 以上のとおり,本件対象文書には,情報公開法5条6号又は5条3項に該当する事実は不存在であるので,本件不開示決定(処分)は違法であり取り消されるべきである。
また原告は,前記の通り被告に対して情報公開請求をなし,処分庁から前記の通りの不開示処分を受けた者であり,不開示処分の取り消しの請求には理由があり,被告が開示決定(処分)をしないことはその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用にあたると認められるから,行政事件訴訟法37条の3第1項2号及び第5項により本件対象文書の開示決定(処分)の義務付けがなされなければならない。

第5 被告国に対する第1回口頭弁論期日までの求釈明申立
 この点,先行訴訟(安倍長官分訴訟,甲3参照)においては,情報公開請求の対象となる1件ごとの文書の特定を可能とするため,裁判所の求釈明により,被告国は,月ごとに,領収書の単位(破線は支払決定書の単位)での対象文書に関する一覧表(甲15)を作成し,特定を行った。
 なお,もう一つの先行訴訟(河村長官分訴訟,甲4参照)では,国は対象期間が十数日と短い特殊性があるという理由をもって,安倍長官分訴訟とは異なり,上記の一覧表での特定を拒否し,概括的特定しかなさなかった(甲27末尾の表。なおこれについては大阪高裁から厳しい求釈明,再度の特定要求がなされている−甲32)。しかし,本件については,河村長官分訴訟のような対象期間が短いとの事情は存せず,安倍長官分と同様の特定が可能であるし,審理の対象であるから早急になすべきである。
 そこで,本件においても,答弁書提出と同時に(第一回口頭弁論期日より前に),安倍長官分訴訟における被告提出の一覧表(甲15)と同様の一覧表を提出し,本件各対象文書の特定をされたい。


証  拠  方  法

(略)

添  付  書  類

(略)


当事者目録

(略)
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