上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

内閣官房機密費

新刊『内閣官房長官の裏金 〜 機密費の扉をこじ開けた4183日の闘い』(日本機関紙出版センター)

(1)

新刊
上脇博之『内閣官房長官の裏金 〜 機密費の扉をこじ開けた4183日の闘い』(日本機関紙出版センター・2018年)

出来上がったそうです。

本日出来!最新刊『内閣官房長官の裏金』

(2)

忙しいので、なかなかブログの投稿ができていませんが、久しぶりに新刊のご報告です。

このブログで、内閣官房報償費(機密費)の情報公開訴訟については、何度か紹介してきました。
最後に紹介したのは以下でした。

開かずの扉を大きく開いた最高裁判決(官房機密費情報公開訴訟)

(3)

内閣官房報償費は「官房機密費」とも呼ばれますが、これは正式な名称ではありません。

原資は税金です。
ですから、内閣官房報償費の使途については、その目的の枠内で支出されなければなりません。
しかし、官房長官の引継ぎ文書など内部文書や元官房長官らの証言で、過去には目的を逸脱した違法または不適切な支出がなされたとの疑いが生じてきました。

そこで、私が共同代表をしている市民団体「政治資金オンブズマン」は、2006年に情報公開請求し、3つの訴訟を提起して、その使途文書の原則公開を求めてきました。
今年1月に最高裁で一部勝訴し、3月に使途文書の一部の開示を受けました。

(4)

その市民運動の闘いを1冊のブックレットにまとめたのが、冒頭で紹介した新刊です。

その目次は、以下の通りです。
はじめに

第1章 情報公開・提訴の動機と判明したこと
 第1節 情報公開請求とその動機
 第2節 情報公開と提訴で判明したこと

第2章  内閣官房報償費の過去の使途実態
 第1節 使途実態の大まかな全体像
 第2節 主に「政策推進費」と思われる使途実態
 第3節 「調査情報対策費」の使途実態等 

第3章 訴訟における国の主張と私の反論・意見
 第1節 外務省報償費(機密費)の部分開示
 第2節 総論としての国の主張とそれに対する私の反論
 第3節 「政策推進費受払簿」「報償費支払明細書」は全部開示すべき
 第4節 「出納管理簿」「支払決定書」「領収書等」の開示の在り方
 第5節 国会議員らへの支出の問題点

第4章 画期的な大阪地裁判決と最高裁判決
 第1節 第1次訴訟・2012年大阪地裁判決
 第2節 3つの裁判の経過
 第3節 最高裁判決とその意義

第5章 「政策推進費受払簿」等の開示を受けて
 第1節 使途文書の開示と開示文書の分析結果
 第2節 内閣官房報償費についての抜本的見直し要求

あとがき


(5)

初めて開示された貴重な文書の一部も、本書で紹介しています。
また、かつて国会でも取り上げられた内部文書も紹介しています。
最高裁判決を踏まえて、菅官房長官には抜本的な見直しを要求しました。
その要求書も紹介しています。

皆様、お買い求めていただき、ご一読いただければ幸いです。

(6)

冒頭で紹介した出版社でも注文できます

アマゾンでも購入できます


なお、私の同出版社からの過去のブックレットも、宜しくお願いいたします。

開かずの扉を大きく開いた最高裁判決(官房機密費情報公開訴訟)

(1)2018年1月19日午後3時、最高裁判所第二小法廷は
開かずの扉を大きく開き、真っ暗闇に大きな光をさしこませる
画期的な判決を出しました。

これまでの投稿は以下でご覧ください。

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/cat_10042007.html


(2)記録に残すために、NHKの報道をご紹介しておきます(今なら動画も見ることができます)。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180119/k10011294731000.html

最高裁が官房機密費文書の一部公開命じる
1月19日 17時14分

いわゆる官房機密費の情報公開をめぐる裁判で、最高裁判所は、内閣官房の協力者の氏名が明らかになると情報収集などに支障が出るという考え方を初めて示しました。一方で、月ごとの支払い合計額などがわかる文書は相手を特定するのが困難だとして公開を命じる判決を言い渡しました。

いわゆる官房機密費は、官邸の情報収集などの活動に支障が出るおそれがあるとして使いみちなどが明らかにされていませんが、大阪の市民グループは、安倍総理大臣が官房長官だった時など3回にわたって機密費の文書の公開を求め、裁判を起こしました。

このうち2件では大阪高等裁判所が一部の公開を認めた一方、残りの1件では大阪高裁の別の裁判長がほぼすべての公開を認めず、判断が分かれていました。

19日の判決で最高裁判所第2小法廷の山本庸幸裁判長は、内閣官房は重要政策の関係者に非公式の協力を依頼することがあり、氏名が明らかになると情報収集などに支障が出るおそれがあるという考え方を初めて示しました。

そのうえで、2審では公開が認められた情報収集などに使われる経費の個々の支払い決定日や金額が記された文書については、当時の国内外の政治情勢や出来事などに照らして相手や使いみちの特定が可能になる場合があるとして、公開を認めませんでした。

一方で、月ごとの支払い合計額や年度末の残高などがわかる文書は相手を特定するのが困難だとして公開を命じました。

今回の裁判では官房機密費の具体的な使いみちは明らかになりませんでしたが、これまで非公開とされてきた文書の一部が初めて公開されることになります。


「抑止力になるのでは」

判決のあと、市民グループの阪口徳雄弁護士は、「最高裁の判決まで10年以上かかったが、これまで闇となっていた官房機密費の一部をやっとこじ開けることができとても喜んでいる。今回の判断によって、官房長官がみずから管理する『政策推進費』の金額が分かることになるので、説明のできない額が官房長官に渡されることへの抑止力になるのではないかと考えている」と話しました。


「判決を重く受け止める」

菅官房長官は午後の記者会見で、「担当部局で内容を精査しており、詳細については報告を受けていないが、政府としては、今回の判決を重く受け止めて、適切に対応していきたい」と述べました。


「官房機密費」とは

「官房機密費」は、内閣官房の業務を遂行するための経費とされ、使いみちなどは明らかにされていません。

内閣府によりますと官房機密費は官房長官の請求に基づいて国庫から支出され、総額は年間14億円余りに上っています。

国庫からの支出額は明らかにされていますが、官房長官がどのような相手にいくら支払ったのかなど具体的な使いみちは官邸の情報収集活動などに支障が出るおそれがあるとして明らかにされていません。

過去には外務省の幹部が水増し請求によって5億円余りの機密費をだまし取り競走馬の購入などに使っていた事件が明らかになり、チェック体制のずさんさが指摘されました。

今回の裁判では、大阪の市民グループが、平成17年から18年にかけて当時の安倍官房長官のもとで支出された10億9500万円余りと、平成21年に当時の河村官房長官のもとで支出された2億5000万円、それに平成25年に菅官房長官のもとで支出された13億6000万円について、使いみちを明らかにするよう求めました。

裁判では機密費の支払いに関係する「政策推進費受払簿」、「支払決定書」、「出納管理簿」、「報償費支払明細書」、それに領収書などの5種類の文書や資料を公開すべきかどうかが争われました。

おととし2月の大阪高等裁判所の判決では、官房長官が重要政策の企画立案に使う「政策推進費」の額がわかる「政策推進費受払簿」や「出納管理簿」の一部、それに「報償費支払明細書」の公開を命じました。

一方で、支払った相手の名前が記載されている「支払決定書」や領収書などの公開は認めませんでした。

その後、おととし10月に大阪高裁の別の裁判長が出した判決では、すでに公開の対象とされている国庫からの支出額を除き、ほぼすべての公開を認めず、判断が分かれていました。

19日の判決では、「政策推進費受払簿」と「出納管理簿」の一部は公開が命じられ、「報償費支払明細書」は情報収集などに使われる経費の個々の支払い決定日や金額が記された部分を除いて公開を認めました。

(3)なお、安倍官房長官時代の官房機密費が対象の第1次と、菅官房長の官房機密費が対象の第3次の原告は、「政治資金オンブズマン」共同代表の私です。
河村官房長官時代の官房機密費が対象の第2時の原告は、同じ「政治資金オンブズマン」共同代表の公認会計士の方です。

また、最高裁第二小法廷は、第1次と第2次の私たちの上告を受理せず、国の上告の一部を受理し、第3次の国の上告を受理せず、私の上告の一部を受理していました。

ですから、そもそも100%満足の判決ではないのですが、
それでも重要な一部が最高裁で認められましたので、大変喜んでいます。

以上、取り急ぎのご報告です。

内閣官房「機密費」情報公開裁判で大阪高裁が明日(2月24日)判決

落選運動で忙しくて、ほとんどブログの投稿が出来ていません。

明日の裁判判決の告知だけしておきましょう。

(1)いわゆる内閣官房機密費を呼ばれている内閣官房報償費の情報公開裁判については、このブログで何度も紹介してきました。

(2)安倍晋三官房長官時代の内閣官房報償費に関する情報公開裁判の大阪地裁判決(2012年3月23日)についてのブログ投稿は、以下でした。

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟の初めての判決(ブラックボックスに大きな風穴を開ける画期的判決)

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決についてのマスコミ報道の紹介

3月23日の内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決の要旨の紹介

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決要旨(PDF)の紹介

この裁判は、「政治資金オンブズマン」共同代表である私が原告。

(3)「政治資金オンブズマン」の別のメンバーが原告の裁判の大阪地裁判決については、以下。

内閣官房報償費(機密費)情報公開請求第2次訴訟大阪地裁判決についての報道の紹介

(4)以上のいずれも、控訴(国も控訴)。

両控訴審の判決が明日(2月24日)の午前中に大阪高裁で出ます。

2016年2月24日午前10時

法廷 大阪高等裁判所 82号法廷


(5)なお、原審(大阪地裁)で私が陳述した意見は、以下をお読みください。

私の陳述書のPDFでの紹介と本人尋問の報告

2013年分内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟(第3次)の一部認容判決についてのマスコミ報道

(1)私が原告である、2013年分の内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟の判決が昨日(2015年10月22日)言い渡されることについては、すでにご案内しました。

菅内閣官房長官の官房報償費(機密費)についての情報公開訴の訟判決言い渡し(10月22日)

(2)全面勝訴というわけではなかったのですが、一部につき非開示処分の取消しと開示の義務付けを任用する勝訴判決でした。

私が共同代表をしている「政治資金オンブズマン」としては3連続の勝訴判決で、私が原告の訴訟としては2連続の勝訴判決でした。

(3)国は当然控訴するでしょうが、私も控訴することになると思います。

(4)以下、昨日の判決についてのマスコミ報道を、記録に残すために、紹介しておきます。
NHK10月22日 17時05分
官房機密費 一部の公開命じる判決

第2次安倍内閣が発足してから1年間に使われた、13億円余りの官房機密費の使いみちを公開するよう市民グループが求めた裁判で、大阪地方裁判所は「支払い先が記録されていない文書は、非公開の対象にならない」として、一部の公開を命じる判決を言い渡しました。
弁護士や研究者などで作る大阪の市民グループ、「政治資金オンブズマン」のメンバーは、3年前に第2次安倍内閣が発足してから1年間に使われた官房機密費、13億6000万円の使いみちなどを公開するよう国に求めましたが、「事務の円滑かつ効果的な遂行に支障を及ぼすおそれがある」として認められませんでした。これを受けて、市民グループは裁判を通じて情報の公開を求めていました。
22日の判決で、大阪地方裁判所の田中健治裁判長は「支払い先が記録されていない文書は、非公開の対象にならない」として、公共交通機関の領収書や支払いの合計額が書かれた文書などについて、非公開とした国の決定を取り消し、公開を命じました。
この市民グループは、別の年の官房機密費の情報公開を求める裁判も起こし、1審では今回と同様の判決が言い渡されていて、来年1月に2審の判決が言い渡されることになっています。
判決について、「政治資金オンブズマン」の阪口徳雄弁護団長は「裁判所が『全面非公開はおかしい、開示できるものは開示しなさい』という3回の判決を出した。さらに今回は、開示命令も出していて、積極的な意義がある。全体から見ると開示される部分は少ないが、国が全く秘密にしてきたものを、一部でも開示を命令したのは大きな風穴が開いたと評価できる」と述べました。

一方、内閣官房内閣総務官室は「国の主張が一部認められなかったと聞いており、厳しい結果と受け止めています。今後の対応については、判決の内容を精査したうえで関係機関と協議し、適切に対応したい」としています。

時事通信10月22日(木)16時55分
機密費の一部開示命じる=3件目、安倍内閣分—大阪地裁

 第2次安倍内閣の2013年に支出された官房機密費(内閣官房報償費)の使途について、市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバーが国に情報公開を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(田中健治裁判長)は22日、一部の不開示決定を取り消し、開示を命じた。
 一部開示を命じる判決は3件目。これまでの2件は双方が控訴し、大阪高裁で来年1月20日に判決がある。
 田中裁判長は、支払い相手が記録された帳簿や領収書は「重要政策の遂行に支障が生じる恐れがある」と述べ、公開対象外とした。一方、公共交通機関の領収書などは公開を義務付けた。
 原告弁護団は記者会見で「全面非公開はおかしいというのが内閣に対する裁判所の意見だ」と判決を評価した。内閣総務官室は「厳しい結果と受け止める。判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。 
[時事通信社]


毎日新聞 2015年10月22日 18時37分(最終更新 10月22日 19時21分)
官房機密費:13億6000万円…文書一部開示命じる判決

 内閣官房報償費(官房機密費)の使い道が分かる文書を情報公開請求した市民団体メンバーが国の不開示処分を取り消すよう求めた訴訟の判決が22日、大阪地裁であった。対象は2013年に菅義偉官房長官が引き出した約13億6000万円で、田中健治裁判長は文書の一部開示を命じた。官房機密費を巡る文書開示を命じた司法判断は3例目で、現政権では初めて。
 判決で田中裁判長は「国の安全が害され、他国との信頼関係が損なわれることはない」などと指摘。12年3月と11月の同地裁判決と同様、具体的な使途や相手が特定される恐れがないと判断できる文書について、支払合計額などを記載した政策推進費受払簿▽出納管理簿の一部▽会計検査院に提出する報償費支払明細書−−を開示すべきだとし、記名がない公共交通機関の領収書などの開示も命じた。
 原告で政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之・神戸学院大教授は判決後に記者会見し「官房機密費は情報公開の対象外との考え方は、常識ではなくなってきた」と話した。情報公開請求で不開示となった14年1月から今年7月までの分についても提訴を検討しているという。
 内閣官房内閣総務官室は「厳しい結果と受け止めている。関係機関と協議し、適切に対応したい」とコメントした。【堀江拓哉】

産経新聞2015.10.22 18:28更新
官房機密費、一部開示命じる 大阪地裁判決 3例目、支払先は認めず

 菅義偉官房長官が第2次安倍政権の平成25年に引き出した約13億6千万円の内閣官房報償費(機密費)の使途について、大阪の市民団体のメンバーが国に情報開示を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は22日、一部について「公開で内閣の事務に支障があるとは言えない」として開示を命じた。
 大阪地裁が一部開示を命じたのは、24年11月の判決に続き3例目。
 開示の対象としたのは前回の判決と同様に、利用者が書かれていない公共交通機関の領収書のほか、情報提供や協力の対価として支払った経費全体を記した「政策推進費受払簿」など。具体的な支払先の名前や使途は非開示とした。
 田中健治裁判長は判決理由で、開示対象とした部分は「具体的な使途や相手が推測される恐れがあるとは考えがたく、不開示処分は裁量権を逸脱し違法だ」と述べた。一方、支払先などは「内閣の重要施策や非公式の活動に支障が生じる恐れがある」とした。
 原告の上脇博之・神戸学院大教授は「機密費の情報公開は『開かずの扉』のように思われていたが、もはや国家機密とは言えない」と評価。内閣官房内閣総務官室は「厳しい結果と受け止めている。判決内容を精査し、適切に対応する」とのコメントを出した。

読売新聞2015年10月22日 21時39分
官房機密費、不開示文書の一部開示命じる

 菅官房長官が2013年に支出を受けた官房機密費(内閣官房報償費)約13億6000万円の使途に関する文書を情報公開請求で開示しなかったのは違法として、市民団体のメンバーが国に不開示処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(田中健治裁判長)は22日、支払先名などの記載がない一部の文書について処分を取り消し、開示を命じた。
 原告は「政治資金オンブズマン」(大阪市)のメンバーら。官房機密費は、情報提供者への謝礼などに使われ、官房長官の請求で国庫から支出される。05〜06年と09年の支出分について起こした2件の訴訟でも、同地裁が処分の一部を取り消し、大阪高裁で係争中。
 判決では、具体的な使途や支払先の記載がない文書、公共交通機関の利用に関する領収書について、09年分の訴訟の1審判決と同様、「開示して政策の遂行に支障が生じるとは認めがたい」と判断した。

日経新聞2015/10/23 1:54
機密費の一部開示命じる 大阪地裁判決、国の処分取り消し

 菅義偉官房長官が2013年に支出した約13億6千万円の官房報償費(機密費)の使途などについて、市民団体「政治資金オンブズマン」(大阪市)のメンバーが国に関連文書の開示を求めた訴訟の判決で、大阪地裁の田中健治裁判長(山田明裁判長代読)は22日、一部について、国が不開示とした処分の取り消しを命じ開示を義務付けた。
 機密費の使途などについて、一部開示を命じた判決は3件目。これまでの2件は双方が控訴しており、来年1月20日に大阪高裁で判決が言い渡される。
 開示の対象としたのは、利用者が記されていない公共交通機関の領収書のほか、支出先を記載しない「政策推進費受払簿」「報償費支払明細書」など。判決理由で田中裁判長は「具体的な使途や相手方が特定される恐れがあるとは考えがたく、内閣官房の事務遂行に支障を生じる恐れもない」と指摘した。
 一方、支払先などが分かる他の資料は「公にすることで国の安全が害されることも否定できない」とし、不開示処分は妥当と判断した。
 内閣官房内閣総務官室は「国の主張が一部認められず、厳しい結果と受け止める。判決の内容を精査した上で適切に対応したい」とのコメントを出した。

(5)共同通信の配信記事もあり、採用した新聞(例えば南日本新聞)があるようですが、無料のインターネット版では公表されていないようです。
民放のテレビは報道したんですかね?
各社取材していましたが・・・

(6)2013年は13億6000万円超が菅官房長官によって請求され、実際支出されていると思われます。
本来の目的外の支出がされているとの疑惑があるので、もし全額そうであれば、13億6000万円の税金が使途不明金ということになります!
それなのに、全体としてマスコミの報道は低調です。
都合の悪い判決だったのですかね(笑)。

菅内閣官房長官の官房報償費(機密費)についての情報公開訴の訟判決言い渡し(10月22日)

(1)私は、菅官房長官が2013年(平成25年)1月1日〜2013年(平成25年)12月31日まで使った官房報償費(機密費)の行政文書について情報公開請求をしました。
菅官房長の請求等については開示され、合計13億6000万円超を受け取っていることが判明したのですが、それを何に使ったのかがわかる行政文書については、1枚も開示されませんでした(墨塗りの文書さえない)。
そこで、2014年9月、その取り消しと開示を求めて大阪地裁に提訴しました。

13年分内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟を大阪地裁に提起しました!

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟提訴のマスコミ報道と陳述書の紹介

(2)その判決が今週木曜日(2015年10月22日)午後1時10分大阪地裁806号法定で判決が言い渡されます。
私(原告)の訴訟代理人の人地である阪口徳雄弁護士がご自身のブログで紹介しておられます。

菅官房長官が使った約12億円の情報公開裁判の判決
係属部は大阪地裁第7民事部(平成26年(行ウ)第186号情報公開請求事件

平成26年11月25日に第1回口頭弁論があり、今年の7月2日に弁論を終結した。

その判決が10月22日午後1時10分に判決が言い渡される。

法廷は大阪地裁の806号法廷。

(3)私が内閣官房報償費の情報公開訴訟を提起したのは、上記が初めてではありません。
安倍氏が官房長官時代の内閣官房報償費についても提訴し、その裁判では、2012年3月に、100%ではないものの私の主張を受け入れた判決がくだされています。

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟の初めての判決(ブラックボックスに大きな風穴を開ける画期的判決)
判決の骨子は、以下の通りです。

・「政策推進費受払簿」については、全部非開示処分をすべて取り消す(全部開示)、

・「報償費支払明細書」については、全部非開示処分をすべて取り消す(全部開示)、

・「出納管理簿」については、全部非開示処分を一部取り消す(部分開示)、

・「支払決定書」については、法律の非開示情報に該当する(全部非開示のまま)

・「領収書等」については、法律の非開示情報に該当する(全部非開示のまま)。

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決についてのマスコミ報道の紹介

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決要旨(PDF)の紹介

なお、この訴訟は術に決心し、来年1月に判決が言い渡されます(後日紹介します)。

(4)内閣報償費については、インターネット上で「機密費だから当然開示されるはずがない」旨、好き勝手な意見が飛び交ってきました。
しかし、ご承知の方もうくなくないと思いますが、
実際には本来の目的とは別の支出、まるで政治資金ではないかと思えるような党派的な支出、公金の私物化と思うるような支出(要するに目的外支出)がなされているとの証言等があります。

安倍官房長官時代の訴訟において、私が大阪地裁に提出した陳述書については、以前紹介しました。
現状を無視した意見があるようなので、私の陳述書を再度紹介しておきます。

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その1

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その2

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その3

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その4

私の陳述書のPDFでの紹介と本人尋問の報告

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟提訴のマスコミ報道と陳述書の紹介

はじめに

2013年分の内閣官房報償費(機密費)に関する行政文書のうち、その使途のわかるものが全部非開示されたので、昨日、私(原告)は、その取消す等を求めて大阪地裁に提訴しました。

13年分内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟を大阪地裁に提起しました!

これについてマスコミは報道してくれました。
インターネットで検索し、現時点で把握しているものだけをご紹介します。
(例えば、NHK総合テレビのお昼の関西のニュースでも報道されましたし、毎日新聞の夕刊(大阪本社版)でも報道されたようですが、検索しても出てきません。
個々のマスメディアにアクセスすると、もっと把握できるでしょうが、忙しくてそれが出来ていません。
後で把握できたものは追加して紹介します。)

また、先行の裁判で私が大阪地裁に提出した陳述書を再度紹介しておきます。


1.マスコミ報道

(1)テレビ報道
09/17(水) BS1 【BS列島ニュース】
市民グループ・“官房機密費の使いみち公開を”・提訴

 第2次安倍内閣が去年1年間の官房機密費の使い道を明らかにしないのは違法だとして、大阪の市民グループが情報の公開を求める新たな訴えを起こした。
 訴えを起こしたのは、弁護士などで作る大阪の市民グループ「政治資金オンブズマン」のメンバー。
 市民グループはことし1月、第2次安倍内閣が発足してから1年間の官房機密費の使いみちなどの公開を求めたが、「事務の円滑かつ効果的な遂行に支障を及ぼすおそれがある」などとして、認められなかった。
市民グループはこれまでも同様の訴えを起こしているが、今回は「情報公開法で非公開の対象となるものではなく、公開しないのは違法」として情報の公開を求めている。
 これまでの裁判では、1審で一部の文書の公開を命じる判決が言い渡され、2審の裁判が進められている。
市民グループの共同代表・神戸学院大学法科大学院・上脇博之教授は「全面非開示は民主主義社会、民主主義国家にとっては異常」と話した。
 訴えについて内閣官房内閣総務官室は「訴状を確認してから対応したい」としている。

日本テレビ[ 9/18 0:51 読売テレビ]
NEWS24
安倍内閣の官房機密費使途公開求め提訴(大阪府)

訴えを起こしたのは大阪の市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバー。菅官房長官が去年支払いを受けた官房機密費13億6千万円について、具体的な使い道などが開示されないのは違法として、17日大阪地裁に提訴。資料の公開を求めている。

http://www.news24.jp/nnn/news88910738.html(今なら動画を見ることができます)

(2)新聞等の報道
時事通信(2014/09/17-11:39)
機密費の使途開示求め提訴=現内閣の13年分−大阪地裁

 第2次安倍内閣で支出された官房機密費(内閣官房報償費)の使途を開示しなかったのは違法だとして、市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバーが17日、国を相手に情報公開を求めて大阪地裁に提訴した。
 訴状によると、メンバーが2013年分の官房機密費約13億6000万円の支出について開示請求したのに対し、国は14年3月、具体的使途に関する文書を不開示とした。原告側は、帳簿や領収書を開示しても支払いの相手先が明らかになるわけではないと主張している。

産経新聞2014.9.17 12:05
官房機密費の公開求め提訴 大阪の市民団体、過去2件は1審で一部開示命令

 第2次安倍政権発足後の平成25年1〜12月に菅義偉官房長官が支出を受けた内閣官房機密費(報償費)計約13億6千万円の使途に関する情報公開請求を不開示としたのは違法として、大阪市の市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバーが17日、国に不開示処分の取り消しを求める訴訟を大阪地裁に起こした。
 同様の訴訟はこれまでに安倍晋三首相が官房長官だった17〜18年の支出分と、河村建夫官房長官時代の21年の支出分をめぐり2回起こされた。大阪地裁は24年、いずれも一部文書の開示を命じる判決を言い渡したが、国側が控訴したため、大阪高裁で係争中。
 訴状によると、メンバーは今年1月、機密費の使途に関する文書の情報公開を請求。国は3月、「使途に関する文書を明らかにすることは事務の遂行に支障を及ぼし、他国との交渉上不利益を被る恐れがある」と全面不開示とした。

朝日新聞2014年9月17日13時24分
官房機密費の使途公開求め提訴 大阪の市民団体

 第2次安倍内閣の2013年に支出された内閣官房報償費(官房機密費)約13億6千万円の使い道を公開しないのは不当だとして、大阪の市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバーが17日、国に開示を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
 同オンブズマンによる官房機密費の使途公開を求める訴訟は、安倍晋三首相が官房長官を務めた小泉純一郎内閣時の05〜06年と、麻生太郎内閣時の09年が対象となった2訴訟に続き3例目。過去2件では同地裁が12年にそれぞれ不開示処分を一部取り消す判決を出し、原告、国側双方が控訴している。
 内閣総務官室は「訴状を確認してから対応したい」とのコメントを出した。

読売新聞2014年09月17日 14時11分
官房機密費使途不開示、取り消し求め提訴

 菅官房長官が2013年に支払いを受けた官房機密費(内閣官房報償費)の使途に関する文書を公開しなかったのは違法として、市民グループのメンバーが17日、国を相手取り、不開示処分の取り消しなどを求める訴訟を大阪地裁に起こした。
 原告は「政治資金オンブズマン」(大阪市)のメンバー。訴状によると、オンブズ側は今年1月、13年の支出分を情報公開請求。内閣官房は3月、国庫から約13億6000万円の支出があったとしたが、具体的な使い道や支払先名は不開示とした。
 原告側は「闇の中で毎月1億円もの支出が続けられている」と主張。内閣官房内閣総務官室は「訴状が届いてから対応を検討する」としている。
 官房機密費の使い道に関する文書公開を巡っては、05〜06年と09年の支出分を巡る2件の訴訟で、同地裁が、機密費を官房長官に支払う際に作成する「政策推進費受払簿」など一部文書の開示を命じ、双方が控訴して大阪高裁で係争中。


2.2013年の「報償費」

菅内閣官房長官が2012年12月からの2013年末までの内閣官房「報償費」について、私は情報公開請求しましたが、(開示漏れでなければ)2012年12月は請求・支払いがなかったようです。
2013年分(2013年度分ではない)の個々の請求・支払い等については、以下のとおりです。
合計すると、13億6000万円超になります。
2013年(平成25年)内閣官房報「償費費」の請求・支払い状況
請求日              支払日           請求者・債主  請求金額・支払金額(円)
2013(平成25)年1月4日(金) 同年1月8日(火) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年1月4日(金) 同年1月8日(火) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年1月30日(水) 同年2月4日(月) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年1月30日(水) 同年2月4日(月) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年2月20日(水) 同年2月22日(金) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年2月20日(水)  同年2月22日(金) 内閣官房長官 菅義偉  80,211,000
2013(平成25)年4月1日(月)  同年4月4日(木) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年4月1日(月)  同年4月4日(木) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年4月22日(月)  同年4月24日(水) 内閣官房長官 菅義偉  70,000,000
?????       2013(平成25)年4月24日(水) 内閣官房長官 菅義偉  30,000,000
2013(平成25)年5月21日(火) 同年5月24日(金) 内閣官房長官 菅義偉  30,000,000
2013(平成25)年5月21日(火) 同年5月24日(金) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年5月21日(火) 同年5月24日(金) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年6月20日(木) 同年6月25日(火) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年6月20日(木) 同年6月25日(火) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年7月23日(火) 同年7月26日(金) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年7月23日(火) 同年7月26日(金) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年8月21日(水) 同年8月26日(月) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年8月21日(水) 同年8月26日(月) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年9月19日(木) 同年9月25日(水) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年9月19日(木) 同年9月25日(水) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年10月23日(水) 同年10月28日(月) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年10月23日(水) 同年10月28日(月) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年11月20日(木) 同年11月25日(月) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年11月20日(木) 同年11月25日(月) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年12月17日(火) 同年12月20日(金) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
2013(平成25)年12月17日(火) 同年12月20日(金) 内閣官房長官 菅義偉  50,000,000
合計                                             1,360,211,000
請求については「請求書」による。支払いについては「支出済一覧表」による。曜日は上脇が調査。

支払日が2013(平成25)年4月24日(水)の「報償費」については、請求書がありません。
開示漏れかもしれません!? 

以上は、あくまでも「科目」が「報償費」のものだけです。
「支出済一覧表」をみると、ほかの「科目」であれば、大臣が債主のものがあります。
例えば「科目」が「拉致問題対策情報収集等活動費」のものがあり、その支払日は2013(平成25)年2月22日(金)で、債主は「拉致問題担当大臣 古屋圭司」、その金額は20000000円。
しかし、これは、「科目」が「報償費」ではないので、含んでいません。
(その請求書が開示されていないので、私の情報公開請求の対象には含まれていない、ということなのでしょう。)

3.原告(私)の陳述書

安倍官房長官時代の訴訟(地裁では一部勝訴、現在控訴審で係争中)で、大阪地裁に提出した私の陳述書は、以前紹介しました。
インターネット上では「機密費だから当然開示されるはずがない」旨の、現状を無視した意見があるようなので、私の陳述書を再度紹介しておきましょう。

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その1

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その2

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その3

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟における原告(私)の陳述書その4

私の陳述書のPDFでの紹介と本人尋問の報告

13年分内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟を大阪地裁に提起しました!

(1)私が安倍晋三衆議院議員が内閣官房長官だった時代の内閣官房報償費(機密費)について情報公開したところ、その使途のわかる行政文書については全部不開示とされたので、私は、その取消を求めて情報公開訴訟を提起しました。

大阪地裁は、2012年3月、私の主張の一部を認める判決をくだしました。
この判決については、すでに紹介しました。

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟の初めての判決(ブラックボックスに大きな風穴を開ける画期的判決)

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決についてのマスコミ報道の紹介

3月23日の内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決の要旨の紹介

内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟大阪地裁判決要旨(PDF)の紹介

内閣官房報償費(機密費)情報公開大阪地裁判決についての新聞社説の紹介

(2)この判決については、100%満足できるものではなかったので、原告の私は大阪高裁に控訴しました。
国も控訴しました。

内閣官房報償費(機密費)訴訟大阪地裁判決後の報道の紹介(私も国も控訴など)

(2)私とは別の政治資金オンブズマンのメンバーが原告の第2次訴訟でも、類似の判決が2012年11月に大阪地裁で下されたことについても、すでに紹介しました。

内閣官房報償費(機密費)情報公開請求第2次訴訟大阪地裁判決についての報道の紹介

これも控訴しています。

(3)私は、以上とは別に、第2次安倍内閣が発足した2012年12月から2013年12月までの内閣官房報償費(機密費)についても今年(2014年)に入り、情報公開請求したのですが、その使途のわかる行政文書については、全部非開示とされました。

そこで、本日、大阪地裁にその取消し等を求める情報公開訴訟を提起し、記者会見も行いました。

以下、その訴状を紹介します。
内閣官房報償費(機密費)情報公開訴訟(菅義偉官房長官時代)

                          訴    状

大阪地方裁判所 御 中

                                             平成26年 9月17日

                                              原告訴訟代理人
                                                (略)

当事者の表示   別紙当事者目録のとおり
不開示決定処分取消等請求事件
訴訟物の価額  (略)
貼用印紙代    (略)

                         請 求 の 趣 旨

1 内閣官房内閣総務官が平成26年3月24日付けで原告に対してした行政文書の不開示決定(閣総会第133号)のうち,平成25年1月1日から平成25年12月31日までの内閣官房報償費(機密費)の支出に関する政策推進費受払簿,支払決定書,出納管理簿,報償費支払明細書,並びに,領収書,請求書及び受領書を不開示とした部分を取り消す

2 内閣官房内閣総務官は原告に対し,平成25年1月1日から平成25年12月31日までの内閣官房報償費(機密費)の支出に関する政策推進費受払簿,支払決定書,出納管理簿,報償費支払明細書,並びに,領収書,請求書及び受領書を開示するとの処分をせよ
3 訴訟費用は,被告の負担とする
との判決を求める。

                          請 求 の 原 因

第1 はじめに

 内閣官房報償費は,「官房機密費」と呼ばれている。しかし,実際の支出は何ら機密ではない。
平成19年に原告が提訴した日本で始めての内閣官房報償費(機密費)情報公開請求訴訟(安倍晋三官房長官分訴訟。大阪地裁平成19年(行ウ)第92号,大阪高裁平成25年(行コ)第77号)においては,国は当初,非開示の根拠に関する具体的主張を行うこと自体が「機密を害する」として,具体的主張すら拒んでいた。しかし,原告らの求釈明や,それを受けた裁判所の積極的な訴訟指揮により,当然のことではあるが,国は一定の範囲で情報公開対象を特定・説明せざるをえず(甲15参照),(いまだ不十分とはいえ)徐々に内閣官房報償費(機密費)の内容が明らかとされてきた。
 そこで明らかにされたところによれば,内閣官房報償費(機密費)の支出目的は,「政策推進費」,「調査情報対策費」,「活動関係費」の3類型があるということである(甲6)。
 そのうち,官房長官が自ら出納管理し,領収書すら不要とされている「政策推進費」は,「合意・協力,情報の対価」とされ,国会議員等に対する情報の収集に名を借りた「国会議員対策費」である。これらの国会議員等に対する対価など,買収以外の何ものでもない。「調査情報対策費」とは,その多くが「会合」費である。つまり,国会議員等との料亭,ホテル等での宴会政治の実費である。「活動関係費」とは,会合費のほか,タクシー代等の「交通費」,「書籍類」,「活動経費」,「贈答品」,「謝礼」,「慶弔費」,「支払関係経費」(銀行振込手数料)等である(甲15及び16参照)。
 平成21年の政権交代により,長きにわたる自民党政治から政権を奪った民主党政権は,内閣官房報償費(機密費)の使途について一定の条件で国民への開示を検討するとしながら,非開示のまま自らも支出を続け,結局これを一切開示しないと決定し,国民の期待を裏切った。
 その後,民主党が失速し,平成24年12月に政権に自民党が返り咲いて以降,現在の第二次安倍内閣(菅義偉官房長官)となって以降も,国民の税金を財源とする内閣官房報償費(機密費)について,依然,全く闇の中で,月1億円もの大金の支出が継続している。本件は,まさに第二次安倍政権下で現在進行形で続いている内閣官房報償費(機密費)の支出(菅義偉官房長官時代)について,国民への開示を求める裁判である。
 なお,内閣官房報償費(機密費)情報公開請求訴訟に関しては,すでに大阪地裁において二つの判決が下されており,いずれも国の不開示決定を違法であるとして一部取り消されている(大阪地判平成24年3月23日判時2166号33頁(甲3,安倍長官分訴訟),大阪地判平成24年11月22日季報情報公開・個人情報保護第49号49頁(甲4,河村建夫官房長官分訴訟)。なお,いずれも現在大阪高裁において控訴審が係属中である。

第2 情報公開請求と不開示決定

1 本件対象文書の情報公開請求

原告は,処分庁(内閣官房内閣総務官)に対し,平成26年1月17日付けで,平成24年12月から平成25年12月31日まで(菅義偉官房長官)の内閣官房報償費(機密費)の支出関係書類について,開示請求をした(甲1)。

2 本件対象文書の不開示決定
 これに対し,処分庁(内閣官房内閣総務官)は,原告に対し,平成26年3月24日付け行政文書開示等決定通知書において,「支出決定書(表紙及び該当ページ)」,「内閣官房長官から内閣府大臣官房会計課長あての請求書(平成25年3月分を除く)」,「支出負担行為即支出決定決議書(特例払)(平成25年3月分を除く)」を開示する旨の回答があったが,同期間の具体的に使途に関する支出関係書類(平成25年1月分〜平成25年12月分)については全て不開示とされた(甲2)。
なお,先行訴訟(甲3及び4)において,支出関係書類としては,政策推進費受払簿(甲7の別紙様式2),支払決定書(甲7の別紙様式3),出納管理簿(甲7の別紙様式1),報償費支払明細書(甲8及び9),及び,領収書等(領収書,請求書及び受領書)が存在することが判明している(以下,今回不開示とされた上記支出関係書類全てを併せ「本件対象文書」という)。
 不開示の理由は,本件対象文書については,「内閣官房報償費は,事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため,当面の任務と状況に応じてその都度の判断で最も適当と認められる方法により流動的に使用する経費であり,このような報償費の性格上,その具体的な使途に関する文書を明らかにすることは,事務の円滑かつ効果的な遂行に支障を及ぼすおそれがあり,法第5条第6号に該当する。また,報償費の具体的な使途には,これを明らかにすることにより,他国等との信頼関係が損なわれるおそれ,他国等との交渉上不利益を被るおそれがあるものがあり,法第5条第3号に該当する」というものであり(甲2),行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という)第5条第6号,または第5条第3号を理由としたものであった。

第3 本件不開示決定の違法性について
1 情報公開法5条6号,同法5条3号の解釈

(1)情報公開法は,国民主権の理念にのっとり,行政文書の開示を請求する権利につき定めることにより,行政機関の保有する情報の一層の公開を図り,もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに,国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的としており(同法1条),その観点から,行政機関の保有する行政文書の開示の請求権者を特に限定せず(同法3条),また5条各号に掲げる不開示情報のいずれかが記録されている場合を除き,行政機関の長に対して開示請求に係る行政文書の開示を義務付けている(5条)。
(2)そこで,例外的に非開示事由を定めた同法5条6号の「国の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある場合」として不開示決定(処分)をした場合には,その処分者が所属する行政主体である国が,当該行政文書には同号所定の不開示自由があるを主張立証する必要があり,ここにいう「支障」の程度は名目的なものでは足りず,実質的なものであることが必要であって,「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性が要求される。
 また,同法5条3号の「国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ」についても,国が当該行政文書には同号所定の不開示自由があるを主張立証する必要があり,ここにいう「害される」「損なわれる」「不利益」の程度も名目的なものでは足りず,実質的なものであることが必要であって,「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性が要求される。
 よって,国が同法5条6号や同3号において要求される「支障」「害される」「損なわれる」「不利益」「おそれ」について具体的に立証することができなければ,不開示決定(処分)は違法となる。
(3)なお,支払い相手方が国会議員を含む公務員の場合は,内閣官房長官が当該公務員に対し対価を支払うことを約して情報を収集し,あるいは協力を依頼することとなり,場合によっては金員の交付が賄賂性を帯びる違法なものとなり,または相手方(受領者)が政治資金規正法に違反したり,公務員の職務上の倫理に反する性格を帯びるものである。よって,かかる文書に記録された情報は法的保護に値せず,開示することで公務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある等とはいえないので,同法5条6号や同3号の定める不開示情報に該当しない。
 よって,支払い相手方が国会議員を含む公務員の場合の支出関係文書の不開示決定(処分)は,違法である。

2 部分開示義務について(情報公開法6条1項の解釈)
(1)情報公開法は,開示請求のあった行政文書を原則的に公開するように規定し(同法5条),さらに不開示情報が含まれる場合であっても可能な限り開示すべきと規定する(同法6条)。これによって,国民主権の理念にのっとり,行政文書の開示を請求する権利につき定めることにより,行政機関の保有する情報のいっそうの公開を図り,もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに,国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資するという目的(同法1条)を果たそうとしている。
このような開示を原則とし,不開示を例外としている情報公開法の趣旨からすると,不開示情報が記録されている部分と記録されていない部分が分離可能であれば,不開示情報が記録されていない部分を実施機関は開示しなければならないのであって,実施機関は部分開示義務を負う。
(2)なお,部分開示義務について,「独立した一体的な情報」についてはさらなる部分開示の義務を否定した最三小判平成13年3月27日民集55巻2号530頁(以下「最高裁平成13年判決」という)は,大阪府公文書公開等条例10条の沿革等に照らせばその結論自体妥当でなく,その後の最高裁判例は行政機関の長が独立した一体的な情報をさらに細分化して行政文書の部分開示をすべき義務はないという見解を採用しておらず,最高裁平成13年判決は実質的に変更されている。また,最高裁平成13年判決が判示した大阪府公文書公開等条例10条と情報公開法6条は条文の構造が異なるので最高裁平成13年判決の射程は情報公開法には及ばない。
(3)また,本来一つの文書には様々な情報が重層的に記録され,それらが集積されることによってより大きな情報を構成し,そして一つの文書を構成している。そうすると,仮に個人識別情報以外の不開示事由がある行政文書については,行政機関の長が独立した一体的な情報をさらに細分化し当該不開示情報が記録されていない部分を開示する態様の部分開示の義務を負わないと解したとしても,その「独立した一体的な情報」は,文書の作成名義,作成目的,記録内容等から的確に判断する必要がある。
そして,支払日や支払い金額についてのみを見ても,それ自体有意な情報として独立した一体的情報であるから,本件対象文書に関しては,少なくとも支払日や支払金額については,「独立した一体的情報」として部分開示義務がある。かかる主張が正当であることは,前記最高裁平成13年判決が出されて以降に判決が出された外務省報償費(機密費)情報公開請求訴訟判決(東京高判平成20年1月31日季報情報公開・個人情報保護31号44頁,最判平成21年2月17日で確定。)において開示された文書(甲33及び34)をみても,明らかに一つの文書の中で支払相手方等についてはマスキングをした上で,支払日や支払金額について開示している(明らかに支払日や支払金額についてのみをもって有意な情報として「独立した一体的情報」と扱っている)ことからも裏付けられる。

3 本件各対象文書に関する不開示決定の違法性
 被告国はこれまで,先行訴訟において,内閣官房報償費(機密費)の支出関係文書を公開することによって,その支出の相手方に対して第三者が不正工作(不正な働きかけ)を行うことによって内閣(官房)の情報が流出し,あるいは今後内閣(官房)が情報提供を受けられなくなり,内閣の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある等の主張を行ってきた。本件でも被告国このような主張を繰り返すものと思われるため,先行して本件対象文書に記載されている情報が不開示情報にあたらないことについて述べておく。

(1)政策推進費受払簿について
ア 政策推進費の支払いに当たっては,取扱責任者である内閣官房長官が政策推進費受払簿を作成し,その支払の管理を行っている。政策推進費受払簿は,国庫から入金され内閣官房長官の手元に渡った内閣官房報償費(機密費)から内閣官房長官が政策推進費として使用する額を区分する(繰り入れ)都度,並びに,会計年度末及び内閣官房長官が交代する際に作成される。
政策推進費受払簿(甲7の別紙様式2)には,文書名(政策推進費受払簿)のほか,作成日付,金額(前回残額,前回から今回までの支払額,今回繰り入れ前の残額),今回繰入額及び現在額計,取扱責任者(内閣官房長官)の記名押印,並びに,取り扱い責任者が指名した事務補助者の記名押印が記録されている。
イ 政策推進費に受払簿に記録されている情報は,前回繰入時から今回繰入時までの一定期間内における政策推進費の支払合計額が明らかになるだけであって,それ以上に政策推進費の具体的使途や支払の相手方の氏名等が明らかになるものではない。したがって,政策推進費受払簿に記録されている情報が開示されたとしても国の事務又は事業の適正な遂行等に支障を及ぼすおそれはない。

(2)支払決定書について
ア 調査情報対策費及び活動関係費の支払に当たっては,内閣官房長官がその都度支払い決定をして支払決定書を作成し,その支払の管理を行っている。支払決定書は,内閣官房長官が,支払決定書に基づき調査情報対策費又は活動関係費の1件又は複数の支払いに係る支払決定を行う都度作成される。内閣官房長官が指名した事務補助者は,支払決定書に基づき調査情報対策費又は活動関係費の支払いを行う。
支払決定書(甲7の別紙様式3)には,文書名(支払決定書)のほか,作成日付,「下記の金額の支払いを要する」旨の文言,金額(複数の支払を処理する場合はその合計額),支払目的(目的類型別の区分を明示),支払相手方等,取扱責任者である内閣官房長官の記名・押印並びに支払及び確認を行った日付,事務補助者の記名押印が記録されている。
イ 支払決定書は,ほぼ毎月1回,調査情報対策費で1枚,活動関係費で1枚作成され,月の各支出をまとめて1枚で記録されているものにすぎない。そして,支払決定書に関する支払目的や相手方については,領収書等の単位で複数ある支出のうち,基本的には代表的なものを記録するに過ぎず,支払目的も会合費,交通費といった概括的なものにとどまる。
したがって,支払決定書が開示されたとしても,月に1度まとめた支出の金額と日時,代表的な相手方と代表的な支出目的が判明するのみであるから,国の事務又は事業の適正な執行に支障を及ぼす具体的なおそれがあるとは認められない。また少なくとも情報提供者やそれに準ずる者に直接支出するのではない場合(会合としての支出,交通費,贈答品等の購入費,支払関係費用としての支出の場合)については,これに関する支出が開示されたとしても国の事務又は事業の適正な執行に支障を及ぼす具体的なおそれがあるとは認められない。
なお,支払決定書は,調査情報対策費と活動関係費を支出するときにその支払の適正さを担保するために作成されるところ,請求書が添付されることもあって,支払決定書には「支払相手方等」をわざわざ全件記録しなくてもよいこととなっている。そうすると,「支払相手方等」を記録しなくても,その余の記録事項だけであっても有意な情報として作成していることは明らかであり,上記その余の記録事項は「独立した一体的な情報」であると解釈できるから,仮に代表的な相手方が開示されることによって,国の事務又は事業の適正な執行に使用を及ぼす具体的なおそれがあるとしても,代表例である支払相手方等の記録を除いた部分について情報公開法6条1項に基づく部分開示をすべきである。

(3)出納管理簿
ア 内閣官房長官は,その指名した事務補助者をして,内閣官房報償費(機密費)の出納管理のために内閣官房報償費(機密費)の出納を出納管理簿に記録させ,自ら又は指名した内閣官房内閣総務官室の職員により,出納管理簿が適正に記録されているかどうか確認を行う。
 出納管理簿(甲7の別紙様式1)には,文書名(内閣官房報償費出納管理簿)のほか,内閣官房報償費(機密費)の出納にかかる年月日,適用(使用目的等)(入金又は目的類型別の区分),受領額,支払額,残額,支払相手方等(その月の受領額,支払額の各合計額),累計(その年度の受領額,支払額の各類型額及び当該年度の残額),内閣官房長官が月分計や累計について確認した趣旨の押印,年度末及び取扱責任者の移動があったときは内部確認のため確認に立ち会った者及び上記の指名された確認者の各記名押印が記録されている。
イ 出納管理簿には,内閣官房報償費(機密費)の出納管理のために,当該年度等における報償費(機密費)全体を一覧できるように作成されたものである。記録されている情報は,政策推進費受払簿や報償費支払明細書に記録されている情報と大差なく,開示によって大きな支障が生じることはありえない。なお,出納管理簿には「支払相手方等」の欄があり,支払相手方の氏名等が記録されていることも考えられる。しかし,出納管理簿の書式において「支払相手方等」の欄には「本欄は記載した場合,支障があると思われる場合は省略することができる」との注記があるから,「支払相手方等」を省略していない場合には,開示によって行政執行に実質的な支障を生じるおそれはない。
 また,仮に,出納管理簿全体を開示することによって何らかの支障が生じうるとしても,国庫からの内閣官房報償費(機密費)の支出(受領)に係る項目に記録された情報は,すでに開示されている国庫に対する請求書と同様の情報が記録されているにすぎず,不開示情報には該当しない。また,政策推進費の繰入れに係る各項目の記録については,政策推進費受払簿に記録された情報と同様の情報が記録されているにすぎないのであって,政策推進費受払簿が不開示情報に該当しないのと同様に,これも不開示情報には該当しない。上記各部分については,調査情報対策費や活動関係費の各支出が記録されている部分と容易に区分して除くことができ,かつ,それのみで有意の情報が記録されていると認められるのであるから,情報公開法6条1項に基づく部分開示をすべきである。
 さらに,仮に,支払相手方等の記録部分を開示した場合に事務の処理に支障を生じるとしても,出納管理簿が内閣官房報償費(機密費)の出納管理のため内閣官房報償費(機密費)全体の出納状況を一覧できるように作成されている文書であること,出納管理簿の書式において前記注記があることなどからすれば,出納管理簿から「支払相手方等」を除いた記録は「独立した一体的情報」であると考えられるから,出納管理簿から「支払相手方等」の記録を除いた部分について情報公開法6条1項に基づく部分開示をすべきである。

(4)報償費支払明細書
ア 会計検査院の検査を受ける者の計算証明に関しては,計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)が定められているところ,内閣官房報償費(機密費)については,同規則11条にいう特別の事情があるとして,同規則の規定とは異なる取扱いとして,内閣官房報償費(機密費)を使用目的別に分類した支払額等を記録した報償費支払明細書を会計検査院に提出し,支払の相手方である役務提供者等の請求書,領収証書等の証拠書類について会計検査院から要求があった場合に提出が可能となるように証明責任者において保管することとする計算証明が認められている。
報償費支払明細書(甲8及び9)には,文書名((報償費)支払明細書)のほか,支払明細書を提出した日付,支払年月日,支払金額,使用目的(目的類型別の区分),取扱者名,備考及び取扱責任者である内閣官房長官の指名,前月繰越額,本月受入額,本月支払額,翌月繰越額が記載されている。
イ 報償費支払明細書が開示されたとしても,政策推進費受払簿と同様,具体的使途や支払の相手方の氏名等が明らかになるものではない。また,報償費支払明細書は,国の機密保持上,会計検査院に対して開示しても支障のない限度での項目のみを記録したものであるから,これを一般に公開しても行政執行に支障のおそれが生じることはありえない。

(5)領収書等
ア 内閣官房報償費(機密費)の支払に関して,役務提供者等の支払いの相手方から受領した領収書,請求書及び受領書(これらを併せて領収書等という)が保管されている。領収書等には,内閣官房報償費(機密費)の領収日等の日付,あて名,金額,相手方氏名などが記録されている。
なお,政策推進費については,その具体的支出の際には,領収書等を保管しなくてもよいこととされている(もちろん,保管する場合もある)。
イ 領収書等について,支出の相手方に対して第三者が不正工作(不正な働きかけ)を行うことにより,内閣(官房)の情報が流出し,あるいは今後内閣(官房)が情報提供を受けられなくなり,内閣の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼす具体的なおそれまではない。なお,真に機密性がある場合には,内閣官房長官等は,領収書等の保管義務まではない政策推進費によって支出し,領収書を保管しなければよいのであって,わざわざ領収書等を保管している場合には,内閣官房長官等がその領収書等の支出は「機密性」が低いと判断したものであって,これが開示されることにより国の事務又は事業の適正な遂行に具体的な支障を及ぼすおそれはない。
 特に,調査情報対策費や活動関係費に関し,情報提供者やそれに準ずる者に直接支出するのではない場合(会合としての支出,交通費,書籍費,贈答品等の購入費,支払関係費用としての支出の場合)については,領収書等を全て開示しても,国の事務又は事業の適正な遂行に具体的な支障を及ぼすおそれはない。また,不正工作(不正な働きかけ)に応じた業者はもはや利用されなくなることからすれば,内閣官房長官等が会合に利用する業者,交通事業者,振込に利用する金融機関などが不正工作(不正な働きかけ)に遭って簡単に顧客に関する情報を漏洩することなど考えられない。
また,その中でも特に,以下の領収書等については,具体的な「支障」など存在しえない。

 仝共交通機関にかかる領収書等
 大阪地判平成24年11月22日(甲4)は,領収書等について公共交通機関利用に関する領収書等を他の領収書等と区別し,さらにその中でも,タクシーやハイヤー等の交通事業者にかかる領収書等とそれ以外の領収書等を区別しており,個別的に「支障」が生じるかどうかを検討したうえで,公共交通機関に関する領収書等については「開示されとしても,誰が利用したかを特定されるおそれは抽象的なものにとどまるというほかない(第三者が当該本件公共交通機関の従業員等に対する不正工作をしたとしても,当該領収書等に係る利用者の現実的な特定方法は想定し難い。)」などと述べ,開示しても「支障」が生じるとはいえないと判断している。
このように,交通機関利用に関する領収書だけを見ても,公共交通機関利用に関する領収書等はこれを開示したとしても特段の「支障」は生じないのであり,これらを一纏めにして判断をすることはできない。

◆ゞ睛撒ヾ悗任凌狭手数料(支払関係経費)にかかる領収書等
 また,内閣官房報償費(機密費)を使用するにあたり,金融機関での振り込みという手段を取ることは,誰にでも容易に想定できる。したがって,金融機関に対する不正工作(不正な働きかけ)をしようと考える者であれば,振り込み手数料にかかる領収書等などがなくても,金融機関に対する不正な働きかけ(不正工作)を実行できるのである。このことは,先行訴訟で出廷した原証人も認めている(甲25の44頁)。振込手数料にかかる領収書等に振込先の氏名等まで記載されているならばともかく,単なる振り込み手数料の領収書等を開示したところで,「支障」が生じるとは考えがたいのである。結局,被告は,単に内閣の業務の遂行に「支障」が出る抽象的な「可能性」があるというだけで判断しているにすぎない。

 書籍代にかかる領収書等
 さらに,書籍代にかかる領収書等のうち,一般の書店で書籍を購入した場合にかかる領収書等についても,これを開示したところで,「支障」が生じるとは考えがたい。被告は,内閣官房が購入した書籍が公表されれば,そのときの内閣官房が関心をもっている政策課題が推測されてしまうなどと主張し,先行訴訟で出廷した原証人もそのように供述している(甲25の40頁以下)。
 しかしながら,国内外の出来事や政府・国会の動きなどに関する報道によって,内閣官房が関心を寄せている政策課題などは誰でも想定できる。また,内閣官房が関心を持っている政策課題は国内外を問わず多岐にわたっている。とすれば,「内閣官房が関心を持っているとは誰も想定していなかった」課題など,およそ考えられない。したがって,ある政策課題について「不正な工作」をしようと考える者にとっては,一般の書店の領収書等が開示されるかどうかにかかわらず,内閣官房の関心のある政策課題について「不正な工作」を実行しているはずである。よって,一般の書店で書籍を購入した場合にかかる領収書等が開示され,内閣官房が購入した書籍名が開示されることになったとしても,開示される前と比較して,「支障」が出るとは考えられず,被告が主張する「支障が生じるおそれ」など,机上の空論にすぎない。だからこそ,先行訴訟で出廷した原証人も,かかる「支障」について,被告の準備書面や前任者の陳述書といった予め準備された書面の記載を援用することでしかその具体的な内容を説明できないのである。

ぁ_餽臠颪砲かる領収書等
 また,調査情報対策費・活動関係費のうち会合費としての支払にかかる領収書等を検討するに,その具体的な支払先は様々であると考えられる。たとえば,不特定多数の者が日々出入りする旅館・ホテルの場合,当該会合に誰が参加したのかや,どのような内容の会合が開かれたかなどについて,旅館・ホテルが把握しているとは考えがたい。したがって,旅館・ホテルに対して不正工作(不正な働きかけ)を行ったとしても,その会合の内容や会合に参加した者を特定することなどできないのである。よって,かかる領収書等を開示したとしても,何ら「支障」は生じない。
 そのほか,料亭・レストランで会合が行われる場合も考えられる。この場合,確かに,料亭・レストランは,旅館・ホテルほど不特定多数の者が出入りするとまでは言えないので,誰が当該会合に参加したかについて把握している場合もあると考えられる。しかしながら,会合の内容についてまで把握しているとは考えがたく,不正工作(不正な働きかけ)を行ったとしても,会合の内容を特定することなどまず無理である。したがって,この場合でも「支障」が生じるとは考えられない。また,内閣官房が調査情報対策費もしくは活動関係費の目的達成のために選択した料亭・レストランは,情報管理が徹底されているからこそ会合の場所として選択されたのであり,顧客からの信頼が最も重要な財産なのであるから,不正工作(不正な働きかけ)に対して,会合に関する情報を漏洩させることなど,前記のとおりありえない。
 さらに,本件の対象文書の該当期間である平成25年3月9日,安倍晋三首相が,菅官房長官・河内隆内閣総務官(本件処分行政庁)と,東京・紀尾井町のホテル・ニューオータニ内の中国料理店「Taikan En」において,日本維新の会に所属している中田宏氏らと会合を開いたことが,マスコミによって報道されている(甲37の1及び2)。この会合の支払は,会合費として支出されているものと考えられる。つまり,会合費と言っても,マスコミによって会合場所や参加者が報道されている場合もあるのである。このような場合,不正工作(不正な働きかけ)を行おうとする者は,領収書等の開示の有無にかかわらず,当該マスコミ報道を手がかりに不正工作(不正な働きかけ)を実行しているのであるから,領収書等が開示されたとしても,「支障」が生じる可能性に変わりはない。したがって,マスコミ等によって報道されている会合にかかる領収書等は,最低限開示されるべきである。

第4 結論
 以上のとおり,本件対象文書には,情報公開法5条6号又は5条3項に該当する事実は不存在であるので,本件不開示決定(処分)は違法であり取り消されるべきである。
また原告は,前記の通り被告に対して情報公開請求をなし,処分庁から前記の通りの不開示処分を受けた者であり,不開示処分の取り消しの請求には理由があり,被告が開示決定(処分)をしないことはその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用にあたると認められるから,行政事件訴訟法37条の3第1項2号及び第5項により本件対象文書の開示決定(処分)の義務付けがなされなければならない。

第5 被告国に対する第1回口頭弁論期日までの求釈明申立
 この点,先行訴訟(安倍長官分訴訟,甲3参照)においては,情報公開請求の対象となる1件ごとの文書の特定を可能とするため,裁判所の求釈明により,被告国は,月ごとに,領収書の単位(破線は支払決定書の単位)での対象文書に関する一覧表(甲15)を作成し,特定を行った。
 なお,もう一つの先行訴訟(河村長官分訴訟,甲4参照)では,国は対象期間が十数日と短い特殊性があるという理由をもって,安倍長官分訴訟とは異なり,上記の一覧表での特定を拒否し,概括的特定しかなさなかった(甲27末尾の表。なおこれについては大阪高裁から厳しい求釈明,再度の特定要求がなされている−甲32)。しかし,本件については,河村長官分訴訟のような対象期間が短いとの事情は存せず,安倍長官分と同様の特定が可能であるし,審理の対象であるから早急になすべきである。
 そこで,本件においても,答弁書提出と同時に(第一回口頭弁論期日より前に),安倍長官分訴訟における被告提出の一覧表(甲15)と同様の一覧表を提出し,本件各対象文書の特定をされたい。


証  拠  方  法

(略)

添  付  書  類

(略)


当事者目録

(略)
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