上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

地方の選挙制度

ブックレット『どう思う? 地方議員削減』(予約注文開始)のお知らせ

今月(2014年1月)末に私の6冊目のブックレット『どう思う? 地方議員削減 〜 憲法と民意が生きる地方自治のために』(日本機関紙出版センター・2014年)が出版されます。

予約販売が開始されましたので、ご紹介いたします。
著者/上脇博之(かみわきひろし)

書名/『どう思う? 地方議員削減 〜 憲法と民意が生きる地方自治のために』

出版社/日本機関紙出版センター

定価/本体900円(税別)

判型/A5判 ソフトカバー

頁数/108ページ

ISBN:9784889009026

発行/2014年1月31日

【内容紹介】

国会や地方議会で議員を減らす政治や行政は、新自由主義的政策の強行を抑えることはできず、全国的に貧富の格差を生み出し国民に「痛み」を押し付けてきた。地方のシャッター通り商店街はその象徴だ。地方議員の定数削減について憲法の議会制民主主義の視点から検討し、最も適合的な選挙制度と議員定数のあり方を提案する。

【目次紹介】

はじめに

第1章 国民主権と国会、地方自治と地方議会

君主主権を否定して誕生した国民主権 /国民主権は本来、直接民主主義 /やむを得ず議会制を採用/納税額や性別に関係なく主権者全員に選挙権を保障する普通選挙 /天皇主権から国民主権へ /在外日本人の選挙権保障と在日外国人の選挙権保障 /選挙権と被選挙権の意味 /平等選挙、自由選挙、直接選挙、秘密選挙も憲法上の原則 /選挙運動の自由は人権としても保障 /国民の代表機関としての国会と二院制/戦前の地方制度 /首長も議員も住民の直接選挙で選任 /選挙区制は何人代表者を選出するのかを現している /個人に投票する単記投票制、連記投票制、政党等に投票する比例代表制 /

第2章 地方議会の議員定数削減の歴史

1999年地方自治法改正前 /1999年地方自治法改正後 /都道府県議会の議員定数 /市区町村議会の議員定数 /国政へもマイナスの影響

第3章 都道府県議会の選挙制度・議員定数の問題点

都道府県議会の選挙制度の問題点 /兵庫県議会の場合 /東京都議会の場合 /大阪府議会の場合 /有権者の選挙(投票)の機会を奪っている無投票当選問題 /

第4章 政令指定都市議会の選挙制度・議員定数の問題点

政令指定都市の選挙制度の問題点 /大阪市議会の場合 /横浜市議会の場合 /名古屋市議会の場合

第5章 選挙制度と議員定数についての憲法論

議会の首長・行政監視機能の低下と翼賛議会の危険 /議員定数削減に対する専門家の警鐘 /「選挙制度についての立法裁量」論への疑問 /普通選挙の採用だけでは議会制民主主義としては不十分 /社会学的代表(議会を狃嗣韻僚命洵瓩法 /投票前も投票後も「投票価値の平等」の保障を! /選挙区が全域の場合〜非拘束式名簿式比例代表制と移譲式単記投票制 /選挙区が複数の場合〜定数自動決定式比例代表制と選挙区の枠を超えた移譲式単記投票制 /議会の活性化にとって議員定数は多いほど良い /終戦直後と比較しても少なすぎる議員定数 /2011年地方自治法改正による法定定数上限撤廃を逆手にとって /議員確保のための財源 /被選挙権(立候補の自由)の保障に反する立候補制限 /違憲の供託金制度 /法律改正ができなければ条例で!

資料編

1.都道府県の各議会の選挙区と議員数
2.政令指定都市(20市)の各議会の選挙区と議員数

あとがき
どう思う?地方議員削減











出版社の案内は以下です。

http://www.kikanshi-book.com/

ご注文は、「ご注文-お問合わせ」にアクセスください。

アマゾンでも予約の受付が開始されました。

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%A9%E3%81%86%E6%80%9D%E3%81%86-%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%AD%B0%E5%93%A1%E5%89%8A%E6%B8%9B-%E6%86%B2%E6%B3%95%E3%81%A8%E6%B0%91%E6%84%8F%E3%81%8C%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%87%AA%E6%B2%BB%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB-%E4%B8%8A%E8%84%87%E5%8D%9A%E4%B9%8B/dp/4889009027

皆様、宜しくお願いいたします。

維新の会大阪市議団は議会を弱体化したいようだ!

(1)維新の会大阪市議団が昨年分の政務調査費を、政治活動・選挙運動活動に支出していた件については、法律と条例に違反する違法支出であると、このブログで書いてきた。

維新の会大阪市議団の政務調査費支出問題(違法・不当な支出)

政務調査費の違法支出を「自白」した橋下大阪市長は政務調査費を議員・会派の特権にしたいようだ

維新の会大阪市議団は、以下のリンク先を見ればわかるように、全く反省していない。

http://ishinnokai-osakashikai.jp/activities/seimu/1256.html

(2)維新の会大阪市議団が昨年分の政務調査費の支出の問題は、それだけではない。
その最初の投稿でも一部紹介したが、政治活動・選挙運動活動への支出以外で、違法支出あるいは不適切な支出があった。
その部分の記事を再度紹介しておこう、

毎日新聞 2012年07月02日 大阪夕刊
大阪維新の会:政調費で「選挙集会」 区民会議、「お願い」連発 投票依頼は否定
(略)

 ◇大学院入学金/高級椅子/印鑑 新人市議、グレー支出
 大学院の入学金から高級椅子まで−−。大阪市議の政務調査費の領収書には、たびたび問題になってきた親族への家賃支出などが記されていた。昨春の統一地方選で当選し、今回初めて使途が明らかになった「大阪維新の会」の新人議員20人にも、問題視されかねない支出は続出している。
 京都大大学院への入学金(28万2000円)の半額を政調費から支出したのは1期目の維新市議(27)。今春、経営管理教育部に入学した。市議は取材に、「当選後、経済の知識がないことを痛感し、政策力を身に着けたかった」と話し、授業料も半額支出することを検討しているという。自民市議(45)も大阪市立大大学院の入学金を全額支出した。
 2期目の維新市議(34)は備品への「こだわり」がにじむ。「プレミアムチェア専門店」で購入した高級椅子(6万8000円)を8割計上。英国製サイクロン式掃除機(5万8800円)も8割計上した。また、別の維新市議(34)は、氏名や住所、電話番号などを彫った印鑑3式(約7万9500円)を購入、9割を計上した。
 親族や関係会社の所有物件に事務所を構え、家賃を支出したのは少なくとも自民6人、維新3人の計9人。維新の新人市議(30)は、父が所有するビル内に事務所があり、家賃(月12万円)の6割を支出。2期目の維新市議(45)は、自ら経営する会社の一角を事務所に使い、家賃(月6万7000円)の6割を支出した。
 維新市議団の坂井良和団長は「疑念を招かないよう、2親等以内の親族が所有したり経営したりする物件への支出は、家計が別でも今後認めない」と話し、6月に市議団でルールを作ったことを明らかにした。

(3)大学院の入学金を政務調査費から支出することは、個人のために支出であり、法律や条例に違反する違法支出であろう。

そもそも事務所の家賃を政務調査費から支出することも、以前から指摘しているように、本来政治資金から支出すべきであるから、違法支出であろう。
家主が親族やその会社であれば、もっと問題だ。

政務調査費で高級椅子などに支出していたことは、違法である疑いがあるが、上記報道だけでは詳細が不明のため、現時点では、そう断定できない。
たとえ違法とは言えないとしても、不適切な支出であることは間違いないだろう。

維新の会大阪市議団は、いずれも、返還すべきである。

(4)問題の支出は、以上だけではなかった。
毎日新聞 2012年07月03日 地方版
政調費:維新の府議31人、海外視察でシンガポールへ 「意義深かった」 /大阪

 2日公開された府議会の政調費収支報告書では、大阪維新の会の府議31人が総額690万円でシンガポール視察をしていたことが明らかになった。
 視察は3月下旬の4日間で実施し、カジノなどがあるリゾート施設、外国人向けの病院、空港を訪ねた。また、「大阪・中之島の観光のあり方を探るため」として、観光名所の水辺を船で巡り、マーライオンも見学した。
 会派の議員の過半数に当たる31人が参加。シンガポール航空を利用し、1泊2万9000円のホテルに3泊した。複数の旅行会社に見積もりをとっても1人当たり22万円に上った。大橋一功・府議団政調会長は「観光だと思われないよう、びっしりと予定を組んだ。意義深い視察だった」と話した。
 府議団は、橋下徹・大阪市長と府市特別顧問の堺屋太一氏が昨年11月の大阪府市ダブル選直前に発売した『体制維新−大阪都』を57冊(計約5万1000円)まとめて購入。議員の研修に使ったという。【熊谷豪】

この海外視察の費用が政務調査費から支出することが違法あるいは不適切であるかどうかを判断するためには、議会での質問や条例案策定などに役立ったのか、報告書があるのかなど上記報道以外の情報を知る必要があるので、即断できないが、観光旅行であったのではないかとの疑念が生じる。
というのは、31名も参加する必要があるのか、総額690万円も支出する必要があるのか、疑念が生じるからである。
普通、議員団は様々な問題を組織的に組織するから、議員団内で役割の分担をするから、31名も視察に行き690万円も支出することは考えられないからである。

(5)問題の支出は他にもあった。
スポニチ[ 2012年7月2日 11:21 ]
大阪維新府議団、特別顧問団体に368万円 政調費で

 橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会の大阪府議団が2011年度の政務調査費から大阪府市特別顧問のシンクタンク2団体に計約368万円を支払ったことが2日、府議会が公表した収支報告書で分かった。
 維新の会の大橋一功府議団政調会長は共同通信の取材に「政策立案を府職員に頼らず、府議団自ら政策を作るため調査を委託した。政務調査の本来のあるべき姿だ」と説明。同会関係者は「契約は府市特別顧問就任前までなので、問題はない」としている。
 報告書によると、上山信一慶応大教授が代表の「21世紀政策研究会」に11年7月〜12年1月で計7回にわたり約210万円、経済産業省出身の原英史氏が社長、財務省出身の高橋洋一氏が会長を務める「政策工房」に11年6月〜12月分として約158万円を支払った。
 維新の会が目指す「大阪都」構想や、教育関連条例などの調査研究を依頼していた。上山、原両氏は11年12月に大阪府と市で、高橋氏は12年4月に市でそれぞれ特別顧問に就任。上山氏は11年6〜12月まで同会の政策特別顧問だった。
 このほか大阪府知事、大阪市長のダブル選前の11年10、11月に、同会の政策に関する府民意識調査を2度実施し、委託費として計約117万円を支出していた。
 一方、大阪市議会では、維新の会が大阪市長選をにらみ同年8〜11月に市内24区で開いた集会のチラシ代や会場代に約280万円を支出。集会には当時、知事だった橋下氏も参加した。

この支出についても、詳細が不明なので断定はできないが、もし調査研究の報告結果が抽象的であったのであれば、政務調査費と府市特別顧問就任との間に何らかの関係があったのではないか、との疑念が生じる。

他方、もし調査研究の報告結果が具体的であったのであれば、「政策の丸投げ」をお願いしたことになるのではないかとの疑念が生じる。

いずれにしても問題だ。

(6)要するに、維新の会の大阪市議団・府儀団の上記政務調査費支出は、違法・不適切な支出であるし、同市議団・府議団には政策能力がないだけではなく、政策能力をつけようとする努力が見られない。

(7)だからだろう、同市議団は、政務調査費を減額し、議員定数も削減したいようだ。
朝日新聞2012年7月6日
政調費減額案提出へ 維新市議団、定数減も検討

 大阪維新の会の大阪市議団は5日、議員1人に月額約51万円が支給される政務調査費について、同42万円に減額する改正条例案を6日開会の市議会に提出すると決めた。議員定数を13〜32人減らし、議員報酬を5%減額する改正条例案の提出も検討。しかし他会派はいずれにも反発している。
 維新市議団は、橋下徹市長の市政改革プラン案に伴い住民サービスが低下すると指摘。「議会の身も切る必要がある」として、政調費の削減案提出を固めた。
 また、現在86人の議員定数については1票の格差が縮まるよう54〜73人に削減する3案を示し、今後1案に絞り込む。とはいえ、維新は3年後に大阪市を再編して特別自治区に移行させる都構想を掲げており、公明市議団幹部は「公選の特別自治区の議会ができれば、現在の市議会の定数削減は全く無意味。市民向けのパフォーマンスに過ぎない」と批判している。

政務調査費は議会・会派・議員の立法・政策立案能力を強化するためのものの一つである。
これは、首長や官僚機構を監視することにも役立つだろう。

政務調査費は使わず残金が生じれば返還されればよい。

それなのに、政務調査費を減額するというのは、市民サービスを低下させる悪政に対する市民の批判をかわすための方便であると同時に、議会・会派・議員の立法・政策立案能力を低下させ、首長や官僚機構を監視する機能を低下させたいのであろう。

維新の会大阪市議団・府議団は、政策は財界や御用学者に丸投げするから、あまり必要ないのだろう。

また、大阪都構想が実現するかどうかはさて置き、議員定数削減は、原理的にいえば、民意の切り捨てである。

大阪維新の会の代表である橋下市長は、独裁政治を肯定しているが、実質的な独裁政治を実現するために、民意を切り捨て、議会(特に野党)を弱体化させたいのだろう。

(8)したがって、政務調査費の減額と議員定数削減が強行されれば、ますます独裁政治による市民サービス切り捨ての悪政を確実なものにしてしまうだろう。

大阪ダブル選挙の対立構図は「独裁vs反独裁!(「維新vs既成政党」ではない!)

1.非民主的な選挙制度に乗じて「大阪維新の会」が暴走!

(1)「大阪維新の会」は、今年4月の大阪府議会選挙で40%の得票率で過半数の議席を獲得した、つまり非民主的選挙制度のおかげで府議会の多数を握ったことは、すでに紹介した。

(2)その結果、「大阪維新の会」は、6月には大阪府議会で、君が代起立斉唱義務付け条例の制定を強行し、人権侵害に向けて暴走していることも、紹介しました。
今まさに様々な人権を蹂躙する「教育基本条例」「職員基本条例」の制定も狙っています。

(3)さらに、「大阪維新の会」は、すでに大阪府議会の議員定数を削減し、選挙制度をますます非民主的なものに改悪しました。
(2011年6月4日19時11分 読売新聞)
議場封鎖、スクラム突破…大阪府議会未明の採決

 民意か、数の横暴か――。
 大阪府議会で単独過半数を占める地域政党・大阪維新の会が4日未明に強行採決で成立させた議員定数の大幅削減。「あまりに拙速だ」と反発する公明、自民、民主、共産各会派が本会議を一斉にボイコット、審議ゼロのまま可決される異例の事態に陥り、維新と既成政党との亀裂は決定的となった。
 「議員定数削減は、今すぐ決めなければいけない。議論を先送りするつもりはない」
 3日夜、府議会の主要会派幹部が集まった議会運営委員会理事会。議員定数を109から88に削減する条例改正案の可決を目指す維新の会の松井一郎幹事長は、提案に待ったをかける公明、自民、民主3会派の要求を突っぱねた。
 花谷充愉・自民幹事長は「維新は『私たちの案が正しい、採決させてほしい』と繰り返すだけで、何ら妥協しない」と不満を漏らし、中村哲之助・民主幹事長も「維新は議論する余地もくれない」と批判した。
 公明は、条例改正案の提出に必要な会期延長手続きを阻むため、議場の入り口にいすを並べ、人垣でバリケード封鎖する実力行使に打って出たが、多数の維新議員がスクラムを組んで突破、浅田均議長を議席に座らせた。
 4日午前1時を回った頃、3会派はついに維新の説得を断念。就任からわずか2週間余りで副議長の辞職願を出した民主の上野和明議員は「維新の強権的なやり方にはついて行けない」と憤った。
 3会派と共産が議場に姿を見せないまま、午前2時40分、採決の本会議が始まった。定数削減の提案理由説明で、維新は、議員報酬など年約3億8065万円の節約につながると訴え、「維新=改革派、既成政党=守旧派」という図式をアピールした。午前3時前、反対討論もないまま、定数削減の議案が可決された。
 清水義人・公明幹事長は「維新には、我々と意見をすりあわせようという気が全く感じられなかった。不毛な議論だった」と悔しさをにじませた。採決を欠席したベテラン議員は「有権者は、数にモノを言わせた維新の横暴に必ず気づいてくれる」と話した。
 一方、維新側には、代表の橋下知事が今秋に照準を合わせる府知事、大阪市長のダブル選に向け、「できるだけ多くの実績を残したい」との思惑がのぞく。

(2011年6月5日08時03分 読売新聞)
維新に有利?大阪府議会、1人区が8割近くに

 大阪府議会で4日に地域政党・大阪維新の会が提案し、可決、成立した議員定数を109から88に大幅削減する条例では、21選挙区でそれぞれ1議席減となる。特に1人区が大幅に増え、全62区中の8割近くを占めることになった
 新定数は4年後の次の府議選から適用される。
 1人区は33区から48区に増加。大阪市内(全24区)では、生野、住之江など5区が新たに加わり、20区となった。1人区は死票が多くなることから、既成政党からは「4月の府議選で1位当選が多かった維新に有利になる条例だ」と不満も上がっている
 一方、2人区は21から7に激減。3人区は3のまま。4人区は1から3に増え、5人区は3から1に減る。6人区はなくなる。
 また、「1票の格差」が2・2倍から2・88倍に拡大する点を問題視する声もあるが、維新側は区割りの見直しも考える意向だ。

(4)大阪府議会を非民主的な選挙制度で支配した「大阪維新の会」の代表である橋下徹氏は、次に大阪市長選挙に立候補し大阪市を支配するために大阪府知事の職を任期途中で放り出した。
サンスポ[ 2011年11月1日 06:00 ]
橋下氏が大阪府知事辞職 実績強調「府は優良会社に」

大阪府の橋下徹知事は31日、任期を約3カ月残し同日付で辞職するに当たり、府議会本会議場で職員向けに「皆さんは優良会社の従業員。3年9カ月ありがとうございました」とあいさつした。08年2月の初登庁時は「破産会社の従業員」と、げきを飛ばした。当時の言葉を引き合いに自らの実績を強調した格好だ。
 橋下氏は提唱する「大阪都」構想の実現を目指し、今月末の大阪市長選に鞍替え出馬する。記者会見では「早く辞職してでも、有権者に大阪の方向性を決めてもらう方が重要と考えた」と理解を求めた。

(5)ついに、大阪府知事選挙が昨日(2011年11月10日)告示され(大阪市長選挙の告示は13日の予定)、ダブル選挙がスタートした。
朝日新聞2011年11月10日11時1分
大阪府知事選、7氏が届け出 ダブル選がスタート

 橋下徹前知事の辞職に伴う大阪府知事選が10日告示され、新顔7人が立候補を届け出た。民主党府連が支援、自民党府連が支持する前大阪府池田市長の倉田薫氏(63)、共産党が推薦する弁護士の梅田章二氏(61)、地域政党・大阪維新の会公認で前府議の松井一郎氏(47)を軸にした争いとなりそうだ。13日告示の大阪市長選とのダブル選で、いずれも27日に投開票される。
 倉田氏は大阪市北区で「府と市町村の連携・協調によって地方分権改革を進めていく」と第一声。大阪市長選に立候補予定の平松邦夫市長も「(倉田氏と)共に維新をつぶす戦いだ」と共闘をアピールした。
 梅田氏はJR大阪駅前での第一声で「独裁の府政が続けば、大阪は民主主義の危機に直面する。大阪を独裁の拠点にしてはならない」と橋下氏の政治手法を批判。維新の会の大阪都構想に反対する立場だ。
 松井氏は大阪府庁前で「府と大阪市の壁を取り払うのは政治家の仕事だ」と府市を再編する都構想への意気込みを語った。橋下氏は大阪・難波で「変えたい市民と今まで利益を受けていた勢力との戦いだ」と応援演説した。
 知事、大阪市長の同日選での最大争点は維新の会が掲げる大阪都構想だ。リーダーシップ確立や政治主導にこだわる「橋下流」の手法は「独裁だ」との批判も浴びており、争点となっている。


2.「維新vs既成政党」の構図???

(1)ところで、マスコミは、このダブル選挙について「維新vs既成政党」の構図と報じているものが少なくない。
日経新聞 2011/11/8 21:15
大阪ダブル選、「維新」vs既成政党の構図に
「都市のあり方」巡り論戦へ


 40年ぶりに大阪府知事選と大阪市長選を同時に実施するダブル選(27日投開票)が10日の知事選告示と13日の市長選告示で幕を開ける。前知事率いる地域政党「大阪維新の会」は両選挙に候補を擁立。維新の主張や政治手法に反発する現職市長らは既成政党の応援も受け支持を訴えるなど対抗の構図が固まった。「都市のあり方」などをテーマに論戦が本格化する。
(略)。

毎日新聞 2011年11月9日 東京朝刊
選挙:大阪ダブル選 維新の会VS既成政党 国政進出で揺さぶり/自主投票と弱腰支援

 大阪府知事・大阪市長のダブル選は10日、知事選の告示で選挙戦に入る。「大阪維新の会」の橋下徹代表は次期衆院選での国政進出にも言及し、民主、自民、公明など既成政党を揺さぶっている。【高山祐、小林慎、岡崎大輔】
(略)。

朝日新聞2011年11月10日
大阪府知事選きょう告示 維新対既成政党のダブル選に

 橋下徹前知事の辞職に伴う大阪府知事選が10日、告示される。大阪市長選(13日告示)との40年ぶりのダブル選で、いずれも橋下氏が率いる地域政党「大阪維新の会」の公認候補と、既成政党が推す候補らがぶつかる構図になる見通し。都市制度のあり方や橋下氏の政治手法、維新の会が掲げる教育基本条例案などが争点となりそうだ。27日に投開票される。
(略)。
.
産経新聞2011.11.10 07:25
府知事選きょう告示 勢い乗る「維新」か、共闘「既成政党」か

大阪ダブル選で想定される構図
大阪ダブル選挙対決の構図
 橋下徹前知事(42)の辞職に伴う大阪府知事選が10日、告示される。橋下氏が率いる地域政党「大阪維新の会」(維新)幹事長や、民主、自民の府連が推す大阪府池田市長らが出馬する予定だ。春の統一地方選で大躍進した維新が勢いを維持し、大阪で既成政党離れの流れを決定づけるのか。都市制度をめぐる争点に加え「地域政党」対「既成政党」の構図が注目される。
                  ◇
 立候補を表明しているのは共産党推薦の弁護士、梅田章二氏(61)、民主・自民府連が支持・支援する池田市長、倉田薫氏(63)、橋下氏が代表を務める「大阪維新の会」幹事長の松井一郎氏(47)の有力3氏ら。13日には、くら替え立候補する橋下氏と、民主・自民が支援する現職の平松邦夫氏(62)との一騎打ちの公算となっている大阪市長選も告示され、いずれも27日に投開票が行われる。

(略)。
                   ◇
【用語解説】大阪維新の会(維新)
 橋下徹前大阪府知事が代表を務める地域政党。平成22年4月、大阪府議22人による「大阪維新の会府議団」としてスタート。政策の柱は大阪市の解体、再編で、府と市の「二重行政」を解消する「大阪都構想」。今春の統一地方選で候補者を多数擁立し、府議選で過半数、大阪市議選でも第一党の座を確保するなど大きく躍進した。

(2)しかし以上の報道は、真実を適切に表現したものとは言い難い。

第一に、「大阪維新の会」は、今年の統一選挙に立候補しており、歴史は浅いものの、また地域政党とはいえ、「既成政党」の一つである。
それなのに、同党が「既成政党」でないという前提でマスコミが報じるのは、真実を報じていることにはならない。

(3)「大阪維新の会」は、歴史が浅いし、地域政党であり、今後同党が存続するとは限らない、ということで、同党を「既成政党」と表現することが適切ではないとしても、ダブル選挙を「維新vs既成政党」の構図で表現するのは、表面しか見ておらず、実質的には間違いである。

まず、「既成政党」である国民新党の代表は、「大阪維新の会」の代表である橋下徹氏を支持している。
(2011年10月26日22時11分 読売新聞)
国民新党の亀井代表、橋下氏支持を表明

 国民新党の亀井代表は26日の記者会見で、大阪市長選(11月27日投開票)への対応について「橋下徹・大阪府知事の考え方は正しい方向だ」と述べ、橋下氏を支持する考えを明らかにした。
 そのうえで、橋下氏から支援要請があれば、党としての推薦なども検討する意向を示した。

また、同じく「既成政党」である「みんなの党」は、「大阪維新の会」の大阪都構想を応援しており、その候補者を支援すると公言している。
時事通信(2011/10/28-16:54)
大阪、橋下知事を支援=みんな代表

 みんなの党の渡辺喜美代表は28日の記者会見で、11月27日投開票の大阪府知事選と大阪市長選について「われわれは橋下徹知事の大阪都構想を応援している」と述べ、市長選に出馬表明した橋下氏や、同氏が代表を務める地域政党「大阪維新の会」を支援する考えを明らかにした。渡辺氏は「大阪維新の会(候補者)に当選してほしい。勝手連的に応援させていただく」と述べた。

さらに、「既成政党」である民主党の一部は「大阪維新の会」と連携を考えているようで、小沢一郎グループの原口一博氏は昨年11月末、「大阪維新の会」や「減税日本」との連携にも意欲を示していたし、今年2月には、「佐賀維新の会」(佐賀市)と「日本維新の会」(東京都)を設立していた。
佐賀新聞2011年02月21日更
佐賀、日本「維新の会」、原口氏が設立届け出

 民主党佐賀県連代表の原口一博前総務相は、地域主権の推進などを目的とする政治団体「佐賀維新の会」(佐賀市)と「日本維新の会」(東京都)の設立をそれぞれ佐賀県選管、東京都選管に届け出た。
 提出日は18日。活動区域は佐賀維新の会が佐賀県内、日本維新の会が全国で、両団体とも原口氏が代表を務める。事務所は佐賀市内と東京都内にある原口氏の事務所に置く。
 原口氏は、政治団体設立の狙いとして「地域主権改革実現のためには党派を超えたテーブルが必要。改革推進のプラットホームをつくりたい」などと説明してきた。
 橋下徹大阪府知事や河村たかし名古屋市長らの団体と連携する考えを表明。「一括交付金や出先機関改革、議会改革など地域主権改革の目標を共有し、実現に向け、政府への提言などを行う」などと話してきた。

民主党の大阪府議会選出の国会議員も、元代表の小沢一郎氏も、「大阪維新の会」及び橋下徹氏と全面対決しない姿勢のようである。
「橋下人気 すくむ民自」朝日新聞(2011年10月31日)
(略)
平野氏は、府選出の国会議員から「維新の会と真正面から戦いたくない」と懇願された。橋下氏との対決姿勢を強めるほど、衆院選で苦しくなる可能性があると見るからだ。倉田氏支援に落ち着いたことで「倉田氏はどちらかといえば自民党。不戦敗にもならず、楽でいい」(府選出国会議員)。知事選で橋下氏との全面対決を回避できたという安堵感さえ漂う。小沢氏も側近に「橋下の悪口は言うな。つかず離れずにいけ」と指示しているという。(略)
なお、平野氏とは、府代表の平野博文国会対策委員長。

さらに、「既成政党」である自民党の石原伸晃幹事長は、「大阪維新の会」の都構想に賛意を示したようだ。
「与野党、「橋下維新」を注視 「次は国政」高まる警戒感」朝日新聞(2011年11月7日)
(略)
維新の動きに永田町は目をこらす。いち早く動いたのは、自民党の石原伸晃幹事長だ。9月24日に橋下氏と大阪市で密会し、都構想への賛意を示した。党幹部の一人は「維新をみんなの党に渡してはいけない」。
(略)

そして、「既成政党」である公明党は「自主投票」の方針だ。
日経新聞2011/11/8 18:54
公明は自主投票へ 大阪ダブル選、維新と対決回避

 27日投開票の大阪府知事・市長のダブル選挙で、公明党大阪府本部は特定の候補者を支援せず、自主投票とすることが8日、同党関係者への取材で分かった。地域政党「大阪維新の会」代表で前府知事の橋下徹氏(42)が国政進出の可能性に言及しており、次期衆院選を見据え、維新との対決を避けた。
 維新の議会運営に反発する府議団の中には、知事選では自民と民主両党の支援を受けて出馬する池田市長の倉田薫氏(63)を推す声もあったが、政策調整が間に合わず自主投票の方針を決めた。一方、維新が掲げる大阪都構想に反発する市議団からは、市長選では現職の平松邦夫氏(62)を推す声が上がっていた。
 同党は2009年の衆院選で府内の4小選挙区で公認候補が落選し、国政での議席の奪還が優先課題となっている。維新は次期衆院選での候補者擁立を示唆しており、「ダブル選で維新と全面対決すれば、維新が衆院選で対立候補を立てるかもしれない」(府議団幹部)との危機感が強い。
 ダブル選を巡っては、自民、民主両党が倉田氏、平松氏への支援を既に決定。共産党も市長選では推薦候補者の出馬を取りやめ、平松氏の支援を決めている。

もっとも、公明党の「自主投票」方針は「大阪維新の会」からの働きかけの結果、端的にいえば裏取引であり、事実上の「大阪維新の会」支持である可能性もある。
毎日新聞 2011年11月9日 東京朝刊
選挙:大阪ダブル選 維新の会VS既成政党 国政進出で揺さぶり/自主投票と弱腰支援

 大阪府知事・大阪市長のダブル選は10日、知事選の告示で選挙戦に入る。「大阪維新の会」の橋下徹代表は次期衆院選での国政進出にも言及し、民主、自民、公明など既成政党を揺さぶっている。【高山祐、小林慎、岡崎大輔】
 「偏った見解は難しいという態度決定になった」
 公明党大阪府本部代表の佐藤茂樹衆院議員は8日、知事選、市長選のいずれも自主投票で臨む方針を正式に発表した。同党の山口那津男代表も8日の記者会見で「大阪の複雑な状況があり、府本部の対応に委ねる」と述べ、党本部として関与しない考えを強調した。
 公明党にとって、最優先課題は次期衆院選だ。09年衆院選で8小選挙区で全敗。次期衆院選で候補を擁立する9小選挙区のうち、大阪府内だけで4候補を占める。同党幹部は「大阪は最重要地域。橋下氏を刺激したくない」との本音をもらす。
 伏線はあった。10月下旬、大阪市天王寺区の創価学会関西池田記念会館。作家の堺屋太一氏らが学会幹部を訪ねた。堺屋氏は橋下氏との共著で、府と大阪・堺両市を再編する大阪都構想に関する本も出版している。
 関係者によると、堺屋氏は、公明党が大阪都構想に賛成するなら、次期衆院選で公明候補が立候補予定の大阪4小選挙区に維新の候補者を立てない意向を伝えたという。ダブル選の態度を決めかねていた公明党の関係者は「自主投票を求められた」と受け止めた。
 ダブル選挙に距離を置く公明党に対し、橋下氏の対抗馬を支援する民主、自民両党も腰が定まらない。9月24日には大阪市内のホテルで自民党の石原伸晃幹事長が橋下氏と会談。石原氏が呼びかけ、橋下氏は都構想に賛同を求めたという。民主党も橋下氏を刺激しないよう、「大阪のことは大阪に任せる」(幹部)とのスタンスだ。
 既成政党の苦しい対応にはダブル選挙後、維新の国政進出に対する警戒感がある。都構想を実現するには、地方自治法など関連法の改正が必要。橋下氏は9月26日、記者団に「国政政党が都構想を潰そうとするなら、近畿圏を視野に国政をやる」と宣言した。次期衆院選の候補者擁立をちらつかせ、各党に揺さぶりをかけている。
(略)。

「既成政党」全体が橋下「大阪維新の会」と全面対決しrているとはとても言えそうにない。
はっきり言ってデマの類である。

(3)大阪府知事選挙と大阪市長選挙のダブル選挙について「維新vs既成政党」の構図と表現しているのは、橋下氏である。
毎日新聞 2011年11月9日 東京朝刊
選挙:大阪ダブル選 維新の会VS既成政党 国政進出で揺さぶり/自主投票と弱腰支援
(略)
橋下氏は「維新対既成政党」の構図を強調する。渡司氏の不出馬を受けて、橋下氏は5日、市長選候補予定者の合同討論会で「ビジョンがないまま、反維新、反橋下でまとまる。日本の政治の弱さの象徴ではないか。新しい政党が誕生しないと、日本再生はない」と皮肉った。

マスコミは、橋下氏がいつものように意図的に流している一種のプロパガンダ的表現を垂れ流しているだけであろう。

3.真の対決の構図はやはり「独裁vs反独裁」である!

(1)大阪府も大阪市も、私は改革すべきだと思うが、橋下徹「大阪維新の会」の提案する「大阪都構想」は、地方自治の後退を目指しており、財界が求める新自由主義政策に親和的であり、改革の名に値しない、明らかな改悪であろう(詳細は別の機会に述べる)。

冒頭で指摘したことを踏まえると、「大阪維新の会」は、財界が求める新自由主義の政策を、独裁的手法で強行しようとしている、と見るべきであろう。

(2)そもそも橋下氏は独裁政治を肯定しているから、自称「独裁者」であろう。
毎日新聞 2011年11月9日 東京朝刊
選挙:大阪ダブル選 維新の会VS既成政党 国政進出で揺さぶり/自主投票と弱腰支援
(略)
  ◇橋下人気に危機感 「都構想」に「反独裁」で対抗
 橋下氏との距離感に苦しむ既成政党に対し、ダブル選挙の争点に橋下氏の政治手法が急浮上してきた。4日夜、大阪市長選に出馬表明していた前市議、渡司(わたし)考一氏(59)=共産推薦=が突然、出馬取りやめを発表。渡司氏は5日の会見で「橋下さんの独裁宣言を許すことができない」と説明し、「反維新勢力の結集」を呼びかけた。
 維新は今春の統一地方選で、大阪府議選や大阪市議選などに多数の候補者を擁立。府議会では過半数を占める。橋下氏は今年6月のパーティーで「日本の政治に一番重要なのは独裁」と発言した
 共産党が市長選に公認・推薦候補を擁立しないのは1963年以来、48年ぶり。それでも独自候補擁立を見送るのは、橋下氏の人気に危機感を強めているからだ。党大阪府委員会は市長選で平松氏の支援を明言。選挙戦は平松氏と橋下氏の一騎打ちになりそうだ。
 「橋下政治」の是非が争点に浮上した結果、大阪都構想など政策論議は低調になった。民主党幹部は平松陣営に対し「相手の土俵に乗れば『抵抗勢力』とみられる。相手にしない方がいい」と助言。平松氏は橋下氏の人気に対抗するため、「反独裁」を訴える。
(略)。

(3)したがって、大阪府知事選挙と大阪市長選挙で対立の構図に少し違いがあるものの、ダブル選挙は基本的に「独裁vs反独裁」の構図であると見るのが適切であろう。

それゆえ、ダブル選挙で、大阪府民や大阪市民が、橋下「大阪維新の会」の独裁政治という本質を見抜けず、独裁政治を許すのか、それとも、その本質を見抜き、独裁政治を許さないのか、それが大阪府民と大阪市民に問われているのである。

非民主的選挙制度が人権侵害を生み出す典型例(大阪府議会)

(1)道府県議会の議員を選出選挙制度は、1人区、2人区が多く、民意を正確・公正に反映しないどころか、歪曲している、とこのブログで指摘したのは、2008年6月だった。

今年(2011年)2月に発売された私のブックレット「議員定数を削減していいの?」では、そのことを指摘し、批判すると同時に、特に大阪府議会議員を選出する選挙制度の非民主性を強く指摘しておいた。

そして、今年4月に施行された大阪府議会選挙の選挙結果にもついても、民意を正確・公正に反映していないどころか、歪曲していること、特に「大阪維新の会」(代表は橋下徹大阪府知事)が40%程度の得票率しかないのに議席占有率では50%を超えている問題を指摘した。

(2)民主的な選挙制度の下であれば過半数の議席を獲得できなかったと試算される「大阪維新の会」と当選者1名の「みんなの党」などが、人権侵害を引き起こしかねない条例を強行採決し、賛成多数で成立させた。
公明党、自民党、民主党、共産党は反対した。
毎日新聞 2011年6月4日 東京朝刊
君が代起立斉唱義務付け条例:大阪府議会で成立 教員に義務付け−−全国初

 大阪府内の公立学校教職員に君が代の起立斉唱を義務付ける全国初の条例が3日、府議会本会議で成立した。橋下徹知事が率いる首長政党「大阪維新の会」府議団が提出。公明、自民、民主、共産は反対したが、過半数を占める維新や、みんなの党などによる賛成多数で可決された。橋下知事は、不起立を繰り返す教職員の懲戒免職を盛り込んだ処分基準を定める条例案を9月府議会に提出する方針を示している。
 条例は「我が国と郷土を愛する意識の高揚」「服務規律の厳格化」などを目的に掲げ、府立と政令市を含む市町村立の小中高校、特別支援学校の教職員を対象としている。
 「学校の行事において行われる国歌の斉唱にあっては起立により斉唱を行うものとする」と明記し、府施設での国旗の常時掲揚も義務付けた。罰則規定はない。
 討論で、維新は「模範となるべき教職員が繰り返し職務命令違反する行為が子供に与える影響は計り知れない」と必要性を強調。これに対し、公明は「条例よりも職務命令など管理監督を徹底すればすむ」、自民、民主も「条例化の必要はない」などと反論した。自民が提出した国旗の常時掲揚だけを義務付ける条例案は否決された。【高山祐、堀文彦、佐藤慶】

(3)この条例には、義務違反者に対する罰則規定はないという。
しかし、このまま、不起立を繰り返す教職員の懲戒免職を盛り込んだ処分基準を定める条例案が9月府議会に提出され、強行成立されれば、確実に、人権侵害が行われることになるだろう。

なお、国旗・国歌法が違憲であること、その運用が人権を侵害していることについては、以下を参照していただきたい。

上脇博之「都立高教職員が国歌斉唱時の職務命令違反を理由に再雇用を拒否されたことに違憲・違法はないとされた事例」速報判例解説編集委員会編『速報判例解説』vol.7(2010年10月)35〜38頁。

(4)大阪府内の公立学校教職員に君が代の起立斉唱を義務付ける条例は、「大阪維新の会」等だけが賛成して成立している。

したがって、先の一般選挙で民主的な選挙制度が採用されていれば、「大阪維新の会」は過半数を獲得できなかったと試算されるのだから、当該条例も成立しなかっただろう。
言い換えれば、民意に基づく条例制定ではない!

ということは、人権侵害を起こしかねない条例は、非民主的な選挙制度によって生まれたということになる。

(5)もちろん、民主的な選挙制度の下でも人権侵害する法律や条例が成立する可能性はある。
だからこそ、裁判所には法令審査権がある

しかし、非民主的な選挙制度によって生まれた議会が人権侵害を起こしかねない法律や条例を強行成立させやすい、というのは、一般論としていえることである。
この度の大阪府議会における「大阪維新の会」による条例の強行成立は、その典型例であろう。

したがって、人権保障のためにも、選挙制度は民手的なものに改めるべきである。

(6)なお、大阪府議会選挙の議員定数が更に削減されている(ほとんど小選挙区制になっている)。
これについては、別の機会に取り上げることにする。

兵庫県議会議員一般選挙の選挙結果と地方議会の選挙制度問題

(1)先日、大阪府議会の一般選挙の選挙結果について選挙制度の問題を指摘した。

その投稿が転載されたところの書き込みには、私が「大阪維新の会」の代表・橋下府知事を嫌いだから、そのような問題点を指摘している旨の書き込みや、大統領制では得票率と議席占有率の乖離が生じるのは当然である旨の書き込みなどがあった。

選挙制度について、憲法の視点、中立・公平という視点で見ることのできない者や、大統領制と議会制民主主義の違いを知らない者が、いるようだ。

(2)そこで、ここでは、兵庫県議会の一般選挙の選挙結果を素材に、再度、住民の代表機関である地方議会の議員を選出する選挙制度の問題を指摘したい。
神戸新聞
兵庫県議選 民主、改選前に届かず 投票率過去最低 

 第17回統一地方選は10日、前半戦の12都道県知事や41道府県議、15政令市議選などが投開票された。兵庫県議選(定数89)で、民主党は県連幹事長経験者2人が落選したものの、推薦を含め改選前より1議席減らす20議席にとどまった。最大会派自民党は、公認・推薦で42議席と過半数に届かなかった。みんなの党は県議選で1、神戸市議選で8議席の大躍進。投票率は県議選41・43%、神戸市議選42・04%といずれも過去最低だった。
 全国的には、民主が改選前の議席を大きく割り込むなど低迷。政権基盤への打撃は必至で、菅直人首相をはじめ、党執行部の責任論が浮上する可能性もある。
 政権交代後初の大型地方選挙。地方自治の在り方や議会改革などに加え、東日本大震災を受け防災対策や原子力政策も争点となったほか、次期衆院選を視野に各政党の消長が注目された。
 定数が92から16年ぶりに削減、選挙区が44区から41区に再編された兵庫県議選には、2007年の前回より9人少ない135人が立候補。無投票区を除いた33選挙区で、計80議席を126人が争った。
 公認・推薦で前回を4人上回る32人を立てた民主は、神戸市西区や三田市で県連幹事長経験のあるベテラン現職が相次いで落選する一方、新人7人が当選。しかし、自民との一騎打ちになった6選挙区で、2勝4敗と負け越し、改選前の21議席を守れなかった。
 推薦を含め前回と同じ49人が立候補、9人が無投票当選した自民は、西宮市で現職3人のうち2人が落選。洲本市でも元副議長などが議席を失った。過半数の45には3議席及ばず、今後、無所属の当選者らに自民会派入りを働き掛け、過半数確保を図る。
 一昨年の衆院選で県内小選挙区の議席を失った公明党は、推薦1人を含め13人が全員当選。党勢回復に弾みを付けた。
 改選前4議席だった共産は公認15人を立て、尼崎や西宮市で元職2人が返り咲いたが、明石、加古川市で現職が落選し、5議席と県会での代表質問や議案提案権が与えられる交渉会派(6人以上)に届かなかった。
 94人が立候補した神戸市議選(定数69)は、民主が公認・推薦で14議席と4議席の減。現職の市会議長も落選した。自民は推薦を含め、改選前と同じ20議席。
 昨年、西日本の地方議会で初めて同市会で会派を結成し、神戸に重点を置くみんなの党は、全9選挙区に擁立した10人のうち、現職1人、新人7人の8人が当選した。
(藤原 学、木村信行)

(3)兵庫県議会の今回の一般選挙の議員定数は89である。

そのうち、一番当選者が多いのは、大阪府議会の場合と異なり、無所属で27人もいる。
総定数89に占める割合(議席占有率)は、30.34%もある。
無投票当選もいるが、選挙が行われた選挙区全体における得票率(以下、同じ)は、27.31%にとどまる。
形式的には過剰代表されていることになる。

自民党は26議席を獲得し議席占有率は29.21%弱だが、得票率は25.43%にとどまる。
過剰代表されている。

民主党は17人の議席を獲得し議席占有率は19.10%で、得票率は19.39%であった。
得票率と議席占有率との間に大きな乖離はない。

公明党は12議席を獲得し議席占有率は13.48%で、得票率は13.20%であるから、得票率と議席占有率との間に大きな乖離はない。

共産党は5議席で議席占有率が5.62%だが、得票率はは9.92%もある。
明らかな過少代表である。

みんなの党は1議席を獲得し議席占有率は1.12%だが、得票率は3.58%で、過少代表されている。

諸派は1議席を獲得し議席占有率は1.12%で、得票率は1.18%であるから、得票率と議席占有率との間に大きな乖離はない。

つまり、形式的に見ると、無所属と自民党は過剰代表されており、共産党とみんなの党は過少代表されているのである。

(4)以上を一覧表にすると、以下のようになる。

2011年4月10日兵庫県議会議員選挙における各政党の獲得議席数、得票率、議席占有率
政党名
獲得議席数
得票率
議席有率
自民党
26人
25.43%
29.21%
民主党
17人
19.39%
19.10%
公明党
12人
13.20%
13.48%
共産党
5人
9.92
5.62%
みんなの党
1人
3.58%
1.12%
諸派
1人
1.18%
1.12
無所属
27人
27.31%
30.34%
合計
89人
100%
100%


(5)もし仮に比例代表選挙で兵庫県議会選挙が行われていたとしたら、どのような結果になったのかを各政党の得票率に基づき試算しておこう。
(実際に比例代表選挙が行われた場合、有権者の投票行動は変わる可能性があるし、各政党の立候補のあり方も変わる可能性があるが、ここでは、あくまでも現行制度における得票率に基づく試算である。
また、無投票選挙区は後述するように8もあった。そこでの投票は考慮されないことになる。)

総定数89で、各政党の得票率に基づき各政党の比例配分議席数を試算すると、26議席だった自民党は、得票率25%程度なので比例配分による議席数は23になる計算だ。
つまり比例代表選挙であれば23議席程度しか獲得できないのである。
言い換えれば、今回26議席獲得したが、3議席も過剰代表されされているのだ。
上げ底状態である。

民主党、公明党そして諸派は、得票率と議席占有率とは大きな乖離がなかったから、それぞれ獲得議席も比例配分議席も17議席、12議席、1議席で変わらない計算である。

他方、共産党は今回5議席しか獲得できなかったが、得票率は10%弱もあったから比例配分すると9議席になる。
なんと4議席も過少代表されていることになる。

みんなの党も今回1議席しか獲得できなかったが、比例配分すると3議席になる。

(6)この試算を一覧表にすると、以下のようになる。

2011年4月10日兵庫県議会議員選挙における各政党の獲得議席数、得票率に基づき比例配分して試算した議席数、両者の議席差
政党名
獲得議席数
比例配分議席数
議席差
自民党
26人
23人
−3人
民主党
17人
17人
±0人
公明党
12人
12人
±0人
共産党
5人
9人
+4人
みんなの党
1人
3人
+2人
諸派
1人
1人
±0人
無所属
27人
24人
−3人
合計
89人
89人

この一覧表を見ると明らかなように、自民党、無所属が過剰代表されており、共産党、みんなの党は過少代表されている。

(7)大阪府議会選挙の場合のような逆転現象は生じていないが、なぜ、このように過剰代表、過少代表が生じたのかといえば、それは、大阪府議会議員を選出する選挙制度でも指摘したように、兵庫県議会議員を選出選挙制度も、民主的な選挙制度でないからだ。

兵庫県議会の総定数は先回92だったが、今回は89へと削減された(法定上限数は111だったように記憶しているが、条例で減員して定められている)。
そのうち、1人区は21選挙区もあり(21人)、2人区は7選挙区(14人)、3人区は8選挙区もある(24人)。
89人のうち59人、すなわち66.3%、言い換えれば3分の2弱が、大政党に有利な1〜3人区で構成されているのである。

大阪府議会議員選挙のように極端ではないものの、だからこそ、衆議院の小選挙区本位の選挙制度参議院の選挙区選挙本位の選挙制度のように、大政党の過剰代表と小政党の過少代表が起るのである。

兵庫県議会議員選挙の場合には、さらに、大阪府議会議員選挙の場合以上に、無投票当選が生じる問題もある。
無投票選挙区は、8選挙区もあるからだ(「豊岡市」議員定数1・「たつの市及び揖保郡」議員定数2・「養父市」議員定数1・「丹波市」議員定数1・「淡路市」議員定数1・「加東市」議員定数1・「佐用郡」議員定数1・「美方郡」議員定数1で、無投票当選者は無所属か自民党である)。
http://web.pref.hyogo.jp/pa25/pa25_000000001.html#h01
http://web.pref.hyogo.jp/contents/000176973.pdf

(8)以上のような結果をもたらす兵庫県議会選挙の議員定数と比較すると、神戸市議会議員を選出する選挙制度における各選挙区の議員定数は大きいので、以上のような欠陥は比較的小さい。

神戸市議会の議員定数は法定の上限数は確か72だったように記憶しているが、条例定数は69で、各選挙区の議員定数は5〜1人である。
それでも、大政党に有利になっている(ここでは、これ以上言及しない)が、1人区の選挙区はないし、各選挙区の議員定数は、以下の一覧表で分かるように、兵庫県議会のそれよりも多いので、兵庫県議会の場合に比べると小政党も議席を得る可能性はある。

兵庫県議会議員選挙のうち神戸市の各選挙区の議員定数と神戸市議会選挙における各選挙区の議員定数
選挙区
兵庫県議会議員定数
神戸市議会議員定数
東灘区
3人
9人
灘区
2人
6人
中央区
2人
5人
兵庫区
2人
5人
北区
3人
10人
長田区
2人
5人
須磨区
3人
8人
垂水区
3人
10人
西区
3人
11人
合計
23人
69人

以上の一覧表を見てわかるように、兵庫県議会の場合、神戸市内における各選挙区が(議員定数1はないものの)議員定数2と議員定数3だけで構成されている。
これに比べ、神戸市議会の場合には、1〜4人区の選挙区がないだけではなく、議員定数10や議員定数11の選挙区もある。

そして、議員定数の合計は、兵庫県議会議員選挙における神戸市の選挙区で23しかないのに比べ、神戸市議会議員選挙では69もある。

(9)先日は、大阪府議会議員選挙、ここでは兵庫県議会議員選挙の選挙結果を素材に、地方議会議員を選出する選挙制度の問題点を指摘した。
他の県議会選挙でも大なり小なり同様の問題点があるだろう。
いまのままでは議会制民主主義が成立しているとは言い難い。
議会制民主主義は普通選挙権が保障されているだけでは不十分だからだ。

したがって、無投票当選を回避し、憲法が要請する投票価値の平等と民意の正確かつ公正な議会への反映(社会学的代表)を実現することが、衆参の国政選挙だけではなく、地方議会選挙にも妥当するから、政党・会派の発達したところでは、地方議会議員を選出する選挙制度は、民主的で中立・公正な選挙制度、すなわち比例代表制に改めるべきである。
もちろん、比例代表選挙にしても、憲法は被選挙権を保障しているから、無所属の立候補も認めることになる。

そのための法律改正・条例改正が至急なされるべきである(これについては、別の機会に取り上げる)。
その際、民意を議会に反映させるために、議員定数は法定上限一杯まで増員すべきだ。

(10)なお、私見については、ブックレット「議員定数を削減していいの?」を参照いただきたい。

過半数獲得の「大阪維新の会」は民主的な選挙制度なら半数に届かなかった!

(1)昨日、前半の統一地方選挙の投開票が行われた、
大阪府議会では、大阪府知事が代表を務める「大阪維新の会」が総定数109議席のうち57議席を獲得し、過半数を制した。
もっとも、大阪市議選挙では、「大阪維新の会」は総定数86議席のうち33議席にとどまり、半数には届かなかった。
朝日新聞2011年04月11日
府議57 維新満開 過半数確保

 府議選、大阪・堺両市議選が10日投票、即日開票された。大阪維新の会は府議選で目標の過半数を獲得。大阪市議選と堺市議選でも第1党に躍進した。投票率は府議選が46・46%(前回44・90%)、大阪市議選が49・27%(同46・42%)。堺市議選が49・42%(同49・48%)だった。当日有権者数は府議選688万1109人、大阪市議選209万2815人、堺市議選が67万1812人。
 府議選(定数109=うち2議席は無投票)と大阪市議選(定数86)をみると、大阪都構想を掲げた維新の会は府議選で57人(選挙前29人)、市議選で33人(同13人)が当選した。
 民主は議席を大きく減らし府議選10人(同21人)、大阪市議選8人(同18人)。自民も府議選13人(同23人)、市議選17人(同20人)に減った。公明は府議選21人(同23人)、市議選19人(同20人)が当選。共産は府議選4人(同10人)、市議選8人(同14人)にとどまった。府議会でみんなの党は初めて議席を獲得、社民は議席を失った。

(2)そのため、橋下徹大阪府知事は、「敗北」を認め、大阪都構想をいったん白紙にすると表明したようだ。
NHK4月11日 13時50分
橋下知事 大阪都構想を白紙へ

 10日に投票が行われた統一地方選挙の前半戦の結果を受けて、地域政党「大阪維新の会」の代表を務める大阪府の橋下知事は、大阪都構想の実現に向けて構想をいったん白紙の状態にしてほかの政党に協議を持ちかけていく考えを示しました。
 統一地方選挙の前半戦で、大阪維新の会は、大阪府議会議員選挙で目標に掲げていた過半数を獲得し、大阪府議会と大阪市議会それに堺市議会の3つの議会でいずれも第一党となりましたが、大阪市議会では目標の過半数には届きませんでした。
 一夜明けて、橋下知事は記者団に対し、「大阪の将来像について市民、府民の皆さんにどれだけ関心をもって考えてもらえるかだけを考えていたが、投票率を見るかぎり、政治的なメッセージが弱かった。それに尽きる」と述べました。
 そのうえで橋下知事は、大阪都構想の実現に向けた協議について「府議会は過半数、市議会は過半数に届かずという状況なので、協議のテーブルに着くために大阪市議会の他党の皆さんには、大阪都構想はいったん白紙の状態にして協議を持ちかけなければいけない」と述べました。
 また、橋下知事は、ことし秋に行われる見通しの大阪市長選挙への対応について、みずからが立候補するかどうかは明言しませんでしたが、「今回の議席を前提にさらに市長選も取りに行き、そのような政治的パワーを背景にして、さらに協議を進めていく」と述べました。

(3)内容が不明な大阪都構想がいったん白紙にされたのは良いことだが、私の「今の関心」は、そこにはない。

大阪都構想をいったん白紙にさせた大阪市議会選挙よりも、「大阪維新の会」に過半数の議席を獲得させた大阪府議会選挙に関心があるのだ。

一言で言えば、大阪府議会議員を選出する選挙制度が非民主的だからこそ、「大阪維新の会」は過半数の議席を獲得できたのである。
なぜマスコミはこの問題点を指摘しないのか!?
不可解である。
そこで、以下この問題を詳しく指摘する。

(4)大阪府議会の今回の一般選挙の総定数は109である。

前述したように、「大阪維新の会」は、そのうち57議席を獲得し、第一党になっただけではなく、過半数の議席を獲得した。
議席占有率で言えば52%強である。

ところが、「大阪維新の会」の候補者の得票率は、半数に達せず40%程度である。

つまり、得票率では40%程度で、議席占有率は52%もあったのだ。
明らかな過剰代表である。

(5)他の政党は、その分、過少代表されていると予想できるが、果たして実際政党ごとに見ると、どうなのか?

民主党は10人の議席を獲得し議席占有率は9%程度だが、得票率は12%もあった。
つまり、過少代表されていた。

自民党は13議席を獲得し議席占有率は12%弱だが、得票率は15%もあった。
つまり、過少代表されていた。

共産党は4議席で議席占有率が4%に達していないが、得票率では11%を超えている。
明らかな過少代表である。

他方、公明党は21議席を獲得し議席占有率は19%もあったが、得票率は15%弱であった。
つまり、過剰代表されていたのである。

さらに注目すべきことは、公明党の得票率は15%弱、自民党の得票率は15%強で、自民党の方が公明党よりも得票率が高いのに、獲得議席・議席占有率では、公明党は21議席・19%、自民党は13議席・12%で、公明党の方が自民党よりも多い・高いのである。
明らかな逆転現象であり、8議席も差がついている。

また、共産党は公明党に比べ得票率がわずか3%弱しか劣っていないのに、議席占有率では15%強も差がついている。

(6)以上を一覧表にすると、以下のようになる。

2011年4月10日大阪府議会選挙における各政党の獲得議席数、得票率、議席占有率
政党名
獲得議席数
得票率
議席占有率
維新の会
57人
40.78%
52.29%
公明党
21人
14.49%
19.27%
自民党
13人
15.08%
11.93%
民主党
10人
12.07%
9.17%
共産党
4人
11.6%
3.67%
みんなの党
1人
0.75%
0.92%
社民党
0人
0.31%
0%
無所属
3人
4.93%
2.75%
合計
109人
100%
100%


(7)もし仮に比例代表選挙で大阪府議会選挙が行われていたとしたら、どのような結果になったのかを各政党の得票率に基づき試算しておこう。
(実際に比例代表選挙が行われた場合、有権者の投票行動は変わる可能性があるし、各政党の立候補のあり方も変わる可能性があるが、ここでは、あくまでも現行制度における得票率に基づく試算である。
また、「泉大津市及び泉北郡」定数1と「大阪狭山市」定数1は無投票区である(いずれも「大阪維新の会」の候補者が無投票当選)から、そこでの投票は考慮されないことになる。)

総定数109で、各政党の得票率に基づき各政党の比例配分議席数を試算すると、「大阪維新の会」は得票率40%程度なので比例分による議席数は45になる。
つまり比例代表選挙であれば45議席程度しか獲得できないのである。
言い換えれば、今回57議席獲得したが、なんと12議席も過剰代表されされているのだ。
大きな上げ底状態である。

また、公明党は、今回21議席獲得したが、得票率では15%に達していないので、比例配分すると16議席になる。
今回5議席も過剰代表されていることになる。

他方、共産党は今回4議席しか獲得できなかったが、得票率は11%を超えているから、比例配分すると13議席になる。
なんと9議席も過少代表されていることになる。

同じように、自民党や民主党も計算した。
今回13議席の自民党は比例配分では17議席になり、4議席仮過少表されていることになり、今回10議席の民主党は比例配分では13議席になり3議席過少代表されていることになる。

(8)この試算を一覧表にすると、以下のようになる。

2011年4月10日大阪府議会選挙における各政党の獲得議席数、得票率に基づき比例配分して試算した議席数、両者の議席差
政党名
獲得議席数
比例配分議席数
議席差
維新の会
57人
45人
−12人
公明党
21人
16人
−5人
自民党
13人
17人
+4人
民主党
10人
13人
+3人
共産党
4人
13人
+11人
みんなの党
1人
1人
±0人
社民党
0人
0人
±0人
無所属
3人
4人
+1人
合計
109人
109人

この一覧表を見ると明らかなように、「大阪維新の会」と公明党が過剰代表されており、共産党、自民党、民主党は過少代表されている。

また、「大阪維新の会」は今回過半数の議席を獲得したが、比例代表選挙であれば半数に達していないこともわかる。

さらに、今回の選挙で得票数の多い順番に政党を並べると(議席ゼロの社民党と、無所属を除く)、「大阪維新の会」、公明党、自民党、民主党、共産党、みんなの党の順になる。
しかし、比例配分議席数の多い順番に政党を並べると、「大阪維新の会」、自民党、公明党の順になり、公明党と自民党の順番が入れ替わるし、また、民主党と共産党は同じ第4位になる。

(9)なぜ、このように過剰代表、過少代表、逆転現象が生じたのかといえば、それは、大阪府議会議員を選出する選挙制度が民主的な選挙制度でないからだ。

議員定数の総数は先回の一般選挙では112だったが、今回の一般選挙から109になった(確か法定議員上限数は120だが、条例で109へと減員されている)。

そのうち、1人区は33もあり(33人)、2人区も21ある(42人)。
総定数109人のうち75人、つまり約69%が大政党に有利な1人区・2人区から議員が選出されるのだ。

だからこそ、衆議院の小選挙区本位の選挙制度参議院の選挙区選挙本位の選挙制度のように、大政党の過剰代表と小政党の過少代表、得票率と議席占有率の逆転現象が起るのである。

大阪府議会選挙の場合には、さらに、無投票当選が生じる問題もある

(10)大阪府議会選挙の議員定数と比較すると、大阪市議会議員を選出する選挙制度における各選挙区の議員定数は大きいので、以上のような欠陥は比較的小さい。

大阪市議会の議員定数は先回89だったが、今回の一般選挙では86に減員された。
2人区は6選挙区、3人区は8選挙区もあり、これらが全体に占める比率は約42%であり、この点で大政党に有利なものになっている(ここでは、これ以上言及しない)。

だが、1人区の選挙区はないし、各選挙区の議員定数は、以下の一覧表で分かるように、大阪府議会のそれよりも多いので、大阪府議会の場合に比べると小政党も議席を得る可能性はある。

大阪府議会選挙のうち大阪市の各選挙区の議員定数と大阪市議会選挙における各選挙区の議員定数
選挙区
大阪府議会議員定数
大阪市議会議員定数
北区
1人
3人
都島区
1人
3人
福島区
1人
2人
此花区
1人
2人
中央区
1人
2人
西区
1人
2人
港区
1人
3人
大正区
1人
3人
天王寺区
1人
2人
浪速区
1人
2人
西淀川区
1人
3人
淀川区
2人
5人
東淀川区
2人
6人
東成区
1人
3人
生野区
2人
5人
旭区
1人
3人
城東区
2人
5人
鶴見区
1人
3人
阿倍野区
1人
4人
住之江区
2人
4人
住吉区
2人
5人
東住吉区
2人
5人
平野区
2人
6人
西成区
2人
5人
合計
33人
86人

以上の一覧表を見てわかるように、大阪府議会の場合、大阪市における各選挙区が議員定数1と議員定数2だけで構成されている。
これに比べ、大阪市議会の場合には、1人区の選挙区がなく、議員定数5や議員定数6の選挙区もある。

そして、議員定数の合計は、大阪府議会選挙における大阪市の選挙区で33しかないのに比べ、大阪市議会選挙では86あるのだ。

(11)したがって、以上の問題点を改めるために、大阪府議会の選挙制度は、民主的で中立・公正な選挙制度、すなわち、無所属の立候補も認める比例代表制に改めるべきである(大阪市議会選挙も同様)。
そのための法律改正・条例改正が至急なされるべきである(これについては、別の機会に取り上げる)。
その際、議員定数は法定上限一杯まで増員すべきである。
その方が民意が議会に反映するからだ。

なお、私見については、ブックレット「議員定数を削減していいの?」を参照いただきたい。

道府県議会選挙における無投票当選は問題だ!

(1)今月(2011年4月)1日に告示された道府県議会選挙では、無投票当選が410人会ったと、当日、報道された(最終的にこの数字で間違いが無かったのか確認してはいない)。
NHK4月1日 19時1分
無投票当選 道府県議410人

1日に告示された41の道府県議会議員選挙で、定員を超える立候補者がなく、無投票で当選が決まったのは、定員全体のおよそ18%に当たる410人でした。

無投票となったのは、41道府県の987の選挙区のうち263の選挙区で、合わせて410人の無投票当選が決まりました。これは、定員全体のおよそ18%で、無投票の割合は、前回より1ポイント高くなりました。定員に占める無投票当選者の割合が最も高かったのは、島根の70%で、県庁所在地の松江市でも無投票となるなど、37人の定員のうち26人が無投票当選となりました。次いで岐阜の44%、山形の36%などとなっています。逆に、無投票当選の割合が最も低かったのは、大阪の2%で、次いで愛媛の4%、京都の5%などとなっています。一方、15の政令指定都市の市議会議員選挙では、すべての選挙区で立候補者が定員を上回り、無投票当選者はいませんでした。

(2)都道府県知事選挙や市町村長選挙において、立候補者が一人しかいなければ、選挙する必要ないのは、供託金制度の問題を別にすれば、やむをえないことである。

(3)では、道府県議会選挙においては、どうだろうか?

選挙区が一つであり、その総定数を越える立候補者数がなかった場合に選挙をしないのは、やむをえないだろう。

しかし、選挙区が複数あって、選挙区の定数を超える立候補者数がなかった選挙区の場合には、当該選挙区の選挙をしないのは、やむをえない、とは思わない。

(4)その理由は、選挙区の定数が事前に決まっている場合には、憲法が要請している「投票価値の平等」が確実に保障されないからであり、また、憲法が要請している「民意の正確・公正にな反映」が保障されないからである

投票価値の平等は、憲法の平等原則からの要請である。

この平等は、まず、各選挙区の「有権者数」で比較して保障されなければならず、、限りなく格差が生じないようにしなければならない。つまり限りなく1対1でなければならない。

しかし、投票前に限りなく1対1であっても、投票率が例えば80%の選挙区と40%の選挙区とでは格差が2倍になってしまう。
これでは、投票価値の平等は保障されていないことになる。
したがって、各選挙区の「投票者数」で比較しても投票価値の平等は保障されていなければならない。

選挙における投票は強制できないから各選挙区の投票率が全く同じになるとは限らない。
それゆえ、各選挙区における議員定数は事前に定められているのは、「有権者数」を基準にした投票価値の平等が保障されたとしても、「投票者数」を基準にした投票価値の平等が保障されるとは限らないから、違憲の推定を受けると解すべきである。

このように考えると、全ての立候補者数が総定数を超えない場合は別にして、選挙区の立候補者数が議員定数を超えていないとして無投票当選にするというのは、違憲の推定を受けることになる。

(5)また、地方議会への民意の正確・公正な反映も、社会学的代表として、憲法の要請である。
したがって、各政党・政治団体の得票率と議席占有率は限りなく一致しなければならない。

しかし、選挙区の議員定数が事前に決まっており、無投票当選になる選挙区が生じるのは、この社会学的代表の要請に応えないことになる。
選挙が施行されず、民意が不明だからである。

したがって、社会学的代表の要請に応えるためには、選挙区を一つにするか、あるいは、選挙区を複数設ける場合も各選挙区の議員定数を事前に決めておかず投票後に投票者数に比例して決まるやり方を採用するかしなければならない。

そうすれば、無投票当選は限りなく回避できるだろう。

(6)以上のような憲法論からすれば、無投票当選は可能な限り回避されるべきであるし、限りなく回避できる選挙制度は前述のようなものが採用可能である以上、現行のように簡単に無投票当選となるような選挙制度は違憲の疑いが生じることになる。

したがって、現行制度は私見に基づいて改められるべきである。

なお、私見については、ブックレット「議員定数を削減していいの?」を参照いただきたい。
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