~胡麻の油と百姓は絞れば絞るほど出るものなり~
情け容赦なく「年貢」を取り立てようとする、こんなセリフを
吐いたのは、八代将軍・吉宗が「享保の改革」(1716年~)に
取り組んでいた頃の勘定奉行「神尾 春央」(1687-1753年)
だったといわれています。
ただし、これが事実だったとまでは断定できません。
しかし、少なくともこれよりおよそ半世紀後に出された本には、
そう書かれているとのことであり、そしてまた、幕府の
財政事情が好転したことも事実ですから、おそらくこれに
近いことは行われたのでしょう。

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例によって、以下の会話は、日本史探検隊の
史)=姫隊長/史乃(しの)歴)=古参隊員/歴三(れきぞう)です。
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史) ふえぇ、農民たちも窮したことでしょうに。 
   だって、いきなり「増税」なんて、話がムゴすぎるわ。


歴)
 このセリフ?だけを捉えるなら、実際そんな印象にもなるところだ。
   しかしダ、この「増税」と並行して「隠田」の摘発も行っている。
   つまり、それまでの農民側は、今で言うなら「申告していない田」、
   つまり「脱税田圃」をドッチャリ有していたことになる。
   だから、なにも一方的に「やられっぱなし」というわけでもない。

   

史) 早い話が、国家の財政が苦しいために、今まで見過ごしていた
   田圃を正式に帳簿に乗っけたってことになるの?

歴)
 そう。 現代ならさしずめ「マルサ」を動員して、「隠し財産」を
   見つけ出し、さらにそれに「課税」したってところだろうか。
   だから、幕府としては、法的にいえば、こんな感覚だったのかも
   しれん。 ~これからは「脱税」を許さんぞ~
   
史)
 そうか。 だったら、貧しい農民にさらに重い年貢を課したって
   見方も一面的に過ぎるのかもしれないわけね。

 
tokugawa_yoshimune_51
徳川吉宗
           

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そりゃあ、そうだろう。
その辺はシンプルに考えればわかることだ。
仮に、農民が「餓死」をするほどの「重税」を課したとせんか。
そのことで確かに「増税年」は一時的に税収増加が見込まれるかも
しれん。
ところが、翌年は餓死による農民減で生産力が低下することは
明らかで、そうすれば、それにともなって今度は一気に「税収激減」に
なってしまう。
いかに経済オンチの幕府だって、そんなことはしないというのが、
大人の常識・施政者の知恵ということだ。
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史)
 するってえと、この「胡麻の油と・・・」というセリフは、
   「増税」のことよりも、むしろ「隠田の摘発」に力点を置いて
   解釈しべき。 こうおっしゃっているわけね。

歴) そこまでは言わないが、少なくともこのセリフが必要以上に
   「貧農イメージ」を増幅させていることは事実と思えるゾ。
   だいたいが、このセリフを「増税」に意味で説明するのが普通で
   あって、そこに「隠田摘発」の意味での説明を加えることは、
   まあ稀だからなあ。

史) 考えてみれば、そうかもしれないわね。
   だって、この日本で、もしそこまでやったとしたら、さすがの
   「将軍様」とて無事では済まず、失脚は必至でしょうからね。
   この点は、現代の某国・将軍様とはエラい違いだね。
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某国の将軍様の件は別の機会に譲るとして、このセリフが
「貧農」のイメージを強化していることも一面の事実でしょう。
つまり、このセリフが増幅されて「江戸時代・暗黒史観」に結びついて
いると言えるのかもしれません。

もしそうなら、これはこれで結構人騒がせな「歴史セリフ」と言えそうです。
~胡麻の油と百姓は絞れば絞るほど出るものなり~




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日本史探検隊
 姫隊長・史乃古参隊員・歴三研修隊員・記録係
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