国民の生活や産業の基盤となる公共設備を整え充実させるなどの
いわゆる「インフラ整備」は、現代なら「公共事業」として国家や
それぞれの自治体が行うものとされています。
ところが江戸時代はそうでなく、「天下普請」とか単に「お手伝い」
などと称され、幕府の命により諸藩の手で行うものとされて
いました。
ですから、諸藩とすれば財政的に大きな負担を強いられる、
こうした「お手伝い」から極力逃れたいのが本音でした。
さて、現在の愛知県と三重県の間を流れる木曽川・長良川・揖斐川、
いわゆる「木曽三川(濃尾三川)」は、当時頻繁に氾濫を起こす
「暴れ川」として有名でした。
そうした状況を解消すべく幕府は、その「お手伝い」を、この地に
縁もゆかりもない九州の南端「薩摩藩」に命じたのです。

--------------------------------
例によって、以下の会話は、日本史探検隊の
史)=姫隊長/史乃(しの)歴)=古参隊員/歴三(れきぞう)です。
--------------------------------

史) これが超・難工事で、期間中に多くの病死者・自害者を生んだ
   ことは、昭和の小説・芝居でも描かれているわね。
   (杉本苑子著「孤愁の岸」/第48回直木賞受賞)


歴)
 薩摩藩に対する幕府のあからさまな「パワハラ」と言っていい
   のかもしれん。 実際、幕府のこの命に対し、薩摩藩内部には
   ~無茶にもほどがあるッ! いっそのこと一戦交えるべきッ!~
   との強硬論もあったたようだ。


史) でも、薩摩藩は折からの財政難もあって~一戦交える~ことを
   断念せざるを得ず、結局はこの幕命に従ったわけね。
   
歴)
 そもそも、この幕命自体が「パワハラ」だが、そればかりでは
   なく、薩摩藩が着工したのちには、幕府はさらなる「パワハラ」を
   重ねていったようだ。
   例えば、工事人夫に地元の村民を使うことを禁止するなどの
   工事妨害のみならず、工事済み部分の破壊すら行っている。

史)
 だから、とんでもない費用を使うことになったらしいね。
   なんでも現在の金額に直せば300億円以上とされているようだし、
   その半分以上を大坂商人などからの借金で賄ったようね。

   hirata_yukie_52
     「宝暦治水」薩摩藩家老・平田靱負 
 
          

お立ち寄り記念に→ his_nihon88_31 ←応援クリックも! 



----------------------------

ここ「宝暦治水」事業の工事期間は1754年から1755年とされています。
資料によれば、
~工事中に藩士51名自害、33名病死、工事完了後には工事の
  総指揮に当たった薩摩藩家老・平田靱負(ゆきえ/1704-1755年)
  も自害した~
 ということで、つまりこの自害は、事業で新たな
「莫大借金」を作ってしまったことに対する、家老・平田の藩へのお詫びだ。
その借金を返済するため、今度は奄美群島の「サトウキビ」に目を付けた
薩摩藩が「パワハラ」の実行に出て
~住民にサトウキビ栽培を強要し、さらにはあくどい収奪まで行った~
このあまりの過酷さは、現地では「黒糖地獄」と言われたそうだ。

----------------------------


史)
 「パワハラ」って弱いところへ伝染していくものかもね。
   こうしたことも含めて振り返ってみると、いわゆる「宝暦治水事件」って
   メッチャ根が深いものがあるのね。
   ずっと後のことになるけど、幕末の折の「討幕」に対する薩摩藩の
   熱心さの一因にもなっているのよねぇ。
   「宝暦治水事件」で凄まじいパワハラを受けた薩摩藩だったけど、
   結果から眺めれば、「泣き寝入り」に終わらせず、まさしく、
   ~リメンバー 宝暦治水事件!~を合言葉にしたのかもね。

歴) 周囲から人畜無害と評されているワシ様にはイマイチ理解が
   及ばないが、つまりのところ凄まじい「パワハラ」は、それ以上の
   凄まじさを備えた「怨念」として返ってくるものなのかもしれんなぁ。

   
史) つまりこういうこと? 歴史に限れば、
   ~パワーハラスメントの「恨み」はパワーで「晴らす」めんと~
----------------------------
ったく! 大勢の人が命を失ったとんでもない悲劇をつまらぬ
ダジャレで返す姫の人格・センスを疑うぞ。
ええか、~女の子は女の子らしくダ~ ああいけねぇ! 
今どき、この手のセリフを吐こうものなら、今度は「セクハラ」ってか?


          
お立ち寄り記念に→ his_nihon88_31 ←応援クリックも! 


日本史探検隊
 姫隊長・史乃古参隊員・歴三研修隊員・記録係
-------------------------------