元はといえば、織田信長(1534-1582年)が、「茶」を趣味に
していたことが大きな影響を与えたのかもしれません。
「茶」の楽しみには欠かせない「茶器」に対して、そこに
ある種の付加価値を持たせたことです。
もっとも、なんの変哲もない茶器に評価を与えることで
「高額茶器」に変身させるなどのことは、信長に先立って
すでに千利休(1522-1591年)なども行っていました。
ただ、その利休は言うなれば一介の茶人に過ぎず、片や
信長は実質的な天下人ですから、その影響力には
大きな開きがありました。
上司が趣味としていることには、家臣とて無関心では
いられません。
こうしたことは、上司に対する気配りというか、基本的な
処世術であり、現代でも盛んに行われていることです。
ましてや相手が恐怖の「天魔王・信長」ときたら、家臣とて
それを横目で眺めるだけとはいきません。
そんなことをして、うっかり機嫌を損ねようものなら、
どんな顛末が待っているか分かりませんからね。
ともかく、そうした流れがいささかの過熱を見せるようになり、
信長の時代には、ある種の「茶器フィーバー」もどきの
雰囲気さえ漂うようになっています。
 

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例によって、以下の会話は、日本史探検隊の
史)=姫隊長/史乃(しの)歴)=古参隊員/歴三(れきぞう)です。
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史) 上司の趣味を忖度すれば、確かに家臣だって「茶」に無関心
   とはいかないわね。
   上司に対するゴマすり・・・とまでは言わないけど、社会人?
   としての常識が自然にそうさせるよネ。
   でもまた、信長はなんで「茶」に関心を持ったのかしら?


歴) 本当のところは分からないが、毎日が戦で明け暮れるという
   戦国の世にあって、その耐え難いストレスを解消する方法と
   して茶の湯が用いられた・・・とも考えられなくはないなぁ。

史) ということは、実際に戦場へ出る家臣たちも同じような心理
   状態にあった、とも言えそうね。
   それで家臣たちも割合スムーズに「茶の湯」を趣味にする
   ようになったわけか。

歴) まあしかし、趣味というものは、本来はその実利を求めない
   ものだが、天下人の立場にある信長にはその実利もあった。

史) 家臣の功労に対して、その褒美として「茶器」を与えるという
   方法のことでしょ?
   それなりに費用も嵩む他の豪華な褒美に比べたら、「茶器」を
   褒美に与えるという方法は確かに「経済的」でもあるわね。
   このことも、数ある「信長の発明」?の一つなのかしらねぇ?



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   織田信長/

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その「御褒美・茶器」に対するフィーバーぶりには、こんなエピソードも
残っています。
信長家臣・滝川一益(1525-1586年)が武田攻めで軍功を挙げた
折のことです。
その働きに対して大いなる評価を下した信長は、一益に
~上級職(出世)と、さらには上野一国・信濃の二郡を与えた~
ところが、この破格ともいえるゴッツイ褒美に対し、一益自身はこんな
感想を漏らしたそうです。
~オレは領国よりも、信長様から茶器を頂戴したかった~
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史)
 へぇ、広大な領土よりも、泥で作った「茶器」の方により大きな
   魅力を感じていた、ってこと? 信じられない!

歴) このエピソードが残されていることは事実だが、ただしこれを
   額面通りに受け取めていいものかどうかは、また別の問題だ。

   
史) どういうこと? だって滝川一益なる信長家臣の率直な感想
   でしょうに。 だったら、素直にそう理解してもいいのでは?
   それを裏から眺めようなんて、歴さんの「ヘソ曲がり」は
   相変わらずのものねぇ。
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部下の身になって考えてみれば、すぐさま分かることだ。
~オレは領国よりも、信長様から茶器を頂戴したかった~
自分の趣味に対して最大の評価を見せた家臣のこんなセリフに、
主君・信長が悪い感情を持つハズがない。
要するに、このセリフは家臣の立場にある一益の、主君・信長に
対する最高最大の「ヨイショ」であったとは感じられないか?
少なくとも、ワシ様はそんな印象で、このエピソードを受け止めて
おるのじゃ。
もっと露骨に言えば、「上司に対するゴマスリ」ってことになる。
この辺の心情の機微は、戦国の世であろうが、平和ボケの現代で
あろうが、あまり変わりはないと睨んでおるゾ・・・ワシ様は。



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日本史探検隊
 姫隊長・史乃古参隊員・歴三研修隊員・記録係
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