日本史探検隊

日本史について思いつきの探検を繰り返しています。 |日本史探検隊| 姫隊長・史乃/古参隊員・歴三

警察

探検結果のご報告もお楽しみに! 研修隊員

探検574 交番をKOBANと表記する国際性

道端で見つけた千円札一枚を律義に交番へ届けたものの、折悪しく
交番巡査が不在だったために、後日の出直し手続きが必要になって
一層面倒なことになった。

なんとなく不運が感じられるこんな出来事を、仲間の一人がひどく
得意気に話してくれたことがあったのだが、その折に飛び出したのが
こんな話題だったのだが、そこで仲間とワシ様の会話はさらに続く
ハメになった。

仲間~そもそも「交番」って名称は、一体なんのこっちゃ~
ワシ~江戸時代の「自身番」とか「番屋」がルーツで、なんでも
   「交代で番をする」意味から「交番」との呼び方になった
   と聞いた~

仲間~なにッ、番ってか? 番って、いったい何の番をしていたんだ?~
そりゃあ、ワシ様とてそこまで詳しい知識は持ち合わせていないから、
ついついぼやけた返答になる。
ワシ~少し大袈裟にいうなら治安維持の役割の一端を担っていた、という
   ことで、簡単に言えば「自警団」みたいな感じじゃないのか~

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例によって、以下の会話は、日本史探検隊の
史)=姫隊長/史乃(しの)歴)=古参隊員/歴三(れきぞう)です。
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史) 失礼ながら年寄りの繰り言というか、歴サンのそのお話は以前にも
   聞かされたことがあるわ。 
   歴サンの記憶に残っているかどうかは別として、その時にはこのくらいの
   整理をしたのよね。

   ~「自身番」は江戸時代に消防、自警団の役割をしていた~
   そして、
   ~「番屋(番所)」とは「自身番」の詰所のこと~


歴) おお、それはすっかり失念していたわい。
   しかしながら、その切にヒメ隊員があれこれ調べてくれたことは
   イマはっきり思い出した。 たしか、こんな内容もあったなぁ。

   ~江戸時代の「自身番」は、ゴミの始末、し尿処理、長屋内の清掃、
    共同井戸の管理、防火や消防施策、冠婚葬祭の立会人なども務めた~

史) そう、そして現代の「交番」については、このことも話題にしたよねぇ。
   ~交番建屋の外壁には「KOBAN」なるアルファベットが書かれているのは、
    なにゆえなのだ?~


歴) いうなれば表札・看板代わりの案内ということで、ことのついでに
   日本文字を理解できない、例えば外国人旅行者などのことだが、
   そういう人たちに向けても情報発信しているということだったな。


史) でもねぇ、前回は「それはヘンだ!」ということになったの。
   でも、その後の話があちこち飛び跳ねて、結局は「言いっ放し」の形で
   終わってしまったのよ。
   だから、せっかくなら今回はもう少し形が残る意味ある議論にしたい
   気分なのよねぇ。

   police_koban_01 KOBAN(交番)

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しかしだ、日本文字が読めないそういう人たちがダ、仮に意図した通りに
「KOBAN=こうばん」と読めたとしても、その「こうばん=交番」ってものの
役割が本当に理解できるか、実はこちらの方が大きな問題だ。
だって、そうだろ。
こちらの腹積り通りに「こうばん(交番)」と呼んでくれたとしても、
それが「POLICE」の機能を備えた施設ってことまで伝わるとは限らない。
そりゃあ、そうだろうよ。
「交番=POLICE」ってのは、日本人の常識になってはいても、外国人にとっては
それなりの学習を必要とする情報だからな。

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史) 「これはへんだッ!」ということで、前回は尻すぼみだったから、今回は、
   是非ともその先へ進みたいのよね。。


歴) そうした意味合いからすれば「KOBAN」なる表札?は必ずしも適当とは
   言えず、むしろ「POLICE」という直截な表現の方が理に叶っている
   ように思える。


史) その点はワタシも同意ッ!

   読めてもその機能が分からないままの「KOBAN」表記より、
   日本語ではないけれど、国際的には認知度の高い「POLICE」の方が、
   より多くの人に分かりやすい気がするからね。

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そこでワシ様なりに調べてみたのだが、このことには意外な事情があったのだ。

~警察庁が「KOBAN」と全国統一したから~
これが正しい情報だとしたら、警察庁はオタンコナス集団にも思えてくる。

ところがギッチョン。 そうとは言い切れない背景もあったのだ。
要するに警察庁は、
~日本の交番制度は、「KOBANシステム」として認知され、国際語として
 市民権を得つつある~
こう捉え、「KOBAN」の全国統一表示に踏み切ったようなのだ。


おいおい、「交番」って本当にそこまでグローバルなのか?
ついついこんなツッコミも入れたくなるが、どうやら一般日本人が想像して
いるほどに「日本限定」というわけでもなく、国際的には「KOBAN」が
そこそこ知られている状況も確かに伺えるのだ。


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 姫隊長・史乃古参隊員・歴三研修隊員・記録係
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306 小さな政府・江戸幕府

一時期のことですが、この日本でも「大きな政府/小さな政府」と
いうテーマが話題になったことがあります。
もっとも、テーマになっただけで、確たる結論を出せないまま
現在に至り、昨今は「消費税UP」などが検討されているのです
から、ある意味では「大きな政府」を目指す傾向にあるというのが
現在の日本なのかもしれません。
「大きな政府」とは、国民に対して、行き届いた行政サービスを
提供する代わりに、その欧文負担も国民に求めようとする
考え方で、その逆が「小さな政府」ということになります。
では、江戸幕府はどちらの性格を帯びていたものか?
それが「小さな政府」だったことは間違いありません。
そもそも、農業に対する「年貢」という税はあったものの、商工業者に
対して「税」を納めよとは言わなかったのですから。
 

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例によって、以下の会話は、日本史探検隊の
史)=姫隊長/史乃(しの)歴)=古参隊員/歴三(れきぞう)です。
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史) アッチャー! そうすると商工業者には納税義務がなかった
   ということ? 現代の商工業者からすれば、江戸時代ってのは
   地上の楽園でありユートピアってことになりそうね。


歴)
 もっとも、「冥加金/運上金」ってものはあった。
   ただしこれは、年貢などの「税」という感覚ではなく、建前と
   しては、業者やその組合が納める「御礼金」の意味合いだ。
   ~毎日仕事に励むことができるのも、お上の計らいのお陰で
    あります。 やれ、感謝、感謝~
といった感じだ。


史) それを逆に言えば、予算自体が少ないわけだから、現代でいう
   行政サービスも大層なものではなかったということね。 
   そうした環境で、一般市民に不便・不都合はなかったのかしら?

歴)
 何かと行き届いたサービスを当たり前のことと捉えている
   現代人の感覚からしたら、そりゃあ不便・不都合なんぞは
   山ほどあったに違いない。 
   ただ、そうした現代の制度・サービスを知らない江戸時代の
   人間からしたら、それは「当たり前」のことであって、
   それほどの不平不満に結びつくことはなかった、というだけの
   ことなのかもしれん。

史)
 そう言えば、江戸時代の警察機構はメッチャ手薄な体制
   だったって、聞いたことがあるなぁ。
   そんな手薄な体制だったから、「ネズミ小僧」も繰り返し商家の
   蔵を狙えることができたのかもね。


doushin_keisatsu_51
同心/容疑者/小物 
 
 
          

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先端の科学捜査さえお手のものとする警察機構を整えたとしても、
だからと言って、必ずしも犯罪が減るとは限らない。
それとは逆に、いたって小規模な警察機構だから、必ず犯罪が
増加する、というものでもないワケだ。
現在の「警察」に当たる機構が、江戸時代の「町奉行」だが、実は
その守備範囲が結構広範に渡り、現代言葉でいうなら、
警察はもちろん、消防・立法・裁判・行政面まで担当していた。
しかも、その中で、治安維持を担当するスタッフときたら、その人数は、
江戸の都市全体でせいぜいが数十人ということで、メッチャ少ない。
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史)
 それではさすがに少なすぎるでしょうに。
   なにしろ「ネズミ小僧」みたいな泥棒もいることだし、やっぱり
   それ以外の犯罪もあっただろうから。

歴) だから、足らざるところは民間の力を借りたわけだ。
   時代劇によく登場する「目明し」(岡っ引き)ってのも
、確かに
   犯罪捜査の身分証である十手を預ってはいるが、あくまでも
   役人(同心)に雇われた立場であって、決して「警察公務員」と
   いう身分ではないワケだ。
   
史) ははん、つまり「小さな政府」って、足らざるところは「民間」が
   補わなくてはならないわけか。
   つまり、その行政サービスの分を税金で払うか、国民自身が
   税金以外の形で補うか、っていうだけの話になりそうね。
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でもな、行政の一端を国民自身が直接に担うってことは、すなわち、
国民が主体の社会構造となち、文字通りに「民主主義」でもあるわけだ。
要するに、声高に「民主主義」を叫ぶのなら、「小さい政府」でなければ
ならない。
また、その場合は、警察や消防を初めとして、かなりの行政サービスは、
それこそ国民主体の形にならざるを得ないわけだ。
こうした場合には、日本人の好きなこのセリフは吐けない。
~お上(政府)のやり方が悪いッ!~
だから、本物の「民主主義」を維持することは、それなりに結構シンドイ
ものだということを、江戸時代の「無税国家」?が教えてくれている
のかもしれんなぁ。





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