ブログ前記事で書いていた通し貫の働きについて、少し解説をさせていただこうと思います。 まれに見るレベルの大地震(震度五強以上)で伝統的構法の建物は、どうやって地震力に耐え忍ぶのでしょうか? 
通し貫構造図解s
上のイラストでも示している通り、材の曲げ抵抗力と剪断(鋏で裁ち切るような応力)で貫楔(ぬきくさび)と柱の貫穴双方が圧迫されてつぶされながらも、建物を倒壊させないように、必死で踏ん張る。 これが伝統的建造物の地震を耐え抜く仕掛けなのです。 今ちょうどいわき市で修復のお手伝いをさせていただいている現場で、その動きを如実に表しているの部位の状況がよくみてとれるところがありましたので、つぎの3コマでご覧いただきたいと思いますが、どうでしょう、おわかりになりますか?

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日本の民家の壁の中にはこのような通し貫が4段から5段しつらえられていて、筋交いなどがなくても、しっかり地震力に耐えていた。 そして神社仏閣など壁の少ない建物にあっては、床下にこの写真のような仕掛けがなされていることで、壁がなくとも持ちこたえていた。 それは建物を人にたとえれば、ちょうど足を脛(すね)部分からがっちり抑え込むような働き。 もっとわかりやすく言えば、スキー靴を履いたところで、自由に膝を曲げられないような状況に脛(すね)、つまり建物の柱を固めることで、大揺れは許容しつつも、地震による倒壊から守る働きをするわけですね。
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写真のような床下に仕組まれた足固めとよばれる貫から、鴨居上で同様の働きをする内法貫(うちのりぬき)や飛貫(ひぬき)など、明治維新以降急速に普及した筋交いよりはるか前より、建物とそこにある命と財産を地震から守り抜く、このような先人の智慧が働いていたのです。