恥ずかしながら、わが人生初となる議会ロビー活動を展開し、賛成派のみならず、反対派と思われた多くの議員先生お一人おひとりへの働き掛け・陳情趣旨の説明を続けてきて、昨日ようやくそのひとつの出口となる評決がなされました(陳情要望は、新潟まち遺産の会、郷土の文化を愛する会の連名で行い、同時にJIA=日本建築家協会が要望書を提出。経緯詳細については既述http://blog.livedoor.jp/niigata_sumai/archives/52182556.htmlおよび同ページ後半リンク情報の通り)。
旧會津八一記念館夜景SDSC04540
旧會津八一記念館DSC04666
委員会陳情説明当日DSC04695
 
 関係者、電子署名のお力をお貸しいただいた方にはお知らせしていましたが、10月2日午前11時前に新潟市議会文教経済常任委員会において、補正予算議案への意見・要望とりまとめ・採決が行われ、その議決に先立って、旧會津記念館の解体事案につきまして委員からの意見陳述が行われたものでした。
 なかで委員長を除く議決権ある委員12名のうち半数に当たる6名が本件陳情について明快な賛意を、意見陳述というかたちで各委員ご自身の言葉で示して下さり、態度を明確に示されることのなかった主流会派の委員先生からは、最も仔細にわたる賛成意見を、いくつもの根拠とともに丁寧に述べて下さいました(感謝感激!信じてあたってよかった!)。
 意見のうち、解体について急いで推進すべきとする行政執行部の示した本件議案に賛同する意見は一件もなく、同館建物解体と公園整備の予算執行に関しては再検討を求めると同時に、今後の予算執行に当たっての、当該部署(文化政策部)から議会委員会への報告を求めるというかたちとなりました。
 2.4億円におよぶ他の補正予算案件と一括して審議されるため、予算案件自体の執行は委員会可決となりましたが、その中で強制力を持たないいわゆる玉虫色とはいえ、解体事業の執行猶予と委員会報告の要請という意見が付されたものとなりました。
 建物の再評価検討と保全利活用の論議まずありきの意思は一致し、委員会全員の監視の目が当面は働く形になったのですが、ここ10日ほどの集中活動からは様々なものが見えてきた。 それを整理して改めて考えています。
Docomomo選定建物 新潟市体育館SDSC04697
DOCOMOMO Japanに選定されていないじゃないかと、日本を代表するモダニズム建築の選に入っていないことを理由に強行突破をしようとする執行部の動きもありました。
(写真は新潟市議会委員会室から眺めた新潟市体育館=DOCOMOMO Japan日本におけるモダン・ムーブメントの建築として2005年選定)


 序段ご報告が長くなりましたが、我が国を覆う現況縮図がここで垣間見えたともいえるこの10日。 ポイントアップすれば以下のようになるかと思います。

➀ 膨大な建築ストックを有する我が国が、国から地方自治体行政レベルまで、所有する既存ストックの集約化を図りつつ、その処置・処遇において集約化、統廃合を焦眉の課題としていること。
➁ 既存施設を「老朽化」「耐震性不足」の名のもとに解体する一方で、新たな建造物をつくること、すなわち土建国家的発想に基づく、旧態依然とした建設事業を以って佳しとする風潮があること。
➂ 「保全利活用」の方策検討の一方で、高齢化&人口減少、2040年には半数自治体消滅という、プロパガンダのもと、「空き家対策=解体」の流れがメジャーなトレンドとして勢いを増しつつあること。

その流れのなかで
➃ 秀逸な建物、歴史文化財級の建造物であっても、築浅や所有者の意向などで文化財登録されていない建物など、何の制約もなく壊される「隙間」が存在すること。
➄ それら解体の危機に直面しても、保全利活用に関する明快な意思、あるいは実のある議論なくしては、時の流れに任せるなど悠長なことを言っていられない状況になりつつあること(個人所有の建物については、2015年1月の相続税制改正=増税が、さらにその流れを加速させる懸念)。
➅ そこには近隣住民を含む、各方面・各レベルから日頃より高い関心を示すことと、所有者への的確なフィードバック(未指定文化財であっても、行政等が高い関心を継続して示していくこと)が肝要であること。
➆ そこに建物があることの意義、そこに住み続けることの意味、そしてあるものを生かし、使い手・住まい手の意向にあわせて、必要な手を入れる発想と、構造設計上も意匠上も破綻のない耐震補強事例と実績を示すこと。それをメディア等を通じて市民レベルに広めること。
などが挙げられるでしょうか。

 住んでナンボ、使ってナンボの住まいや建造物。 文化財級であっても有意であること、極端を言えば収支ありきを前提とした議論なくして、残すことが出来なくなってきたこと。 もったいない精神や、ノスタルジーだけでは、保全を求めることは容易ではないことを、市議会議員・文化教育経済常任委員の皆様とのやりとりを通じて痛感させて戴きました。

 旧會津八一記念館の保全利活用に向けて、一燈あかりを灯すことができましたことを、感謝の思いとともにご報告致します。

あいづ通りから中心市街を望むRDSC04676
新潟市の歴史文教地区にある、あいづ通り入り口から中心市街地を望む。
記念館が移転して半年。 いまも大切なまちあるきのターニングポイントとなっている。

旧會津八一記念館RDSC04686
館庭には住民とかつての館長が協働丹精した花が咲くDSC04659
旧會津八一記念館DSC04670






本日新潟市議会9月定例会における、補正議案採決に先立って、旧會津八一記念館の解体に関する意見が提出されました。 補正審議にあたり文教経済員会委員長が陳述した意見内容は以下の通り。
「旧會津八一記念館は耐震上の理由や防犯上の理由から直ちに解体するにはあたらず、地元コミュニティも反論していることや、近代建築物としての客観的評価や地元市民団体を含めての利活用の可能性についての検証が不十分であり、必ずしも直ちに解体する必要はない。 広い観点から鑑定や検証を行い、これを議会に報告し、地域住民の意向を再確認した上で事業を遂行することを強く求める。」

ちなみに事業とは、新潟市議会上程の予算計画書の項目であるが、建物解体とは一言も記されておらず。
以下の表記のあとで補正計上額が記されているのみである。
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これが執行部(担当部署)提出の旧會津八一記念館を解体する事業を補正するものを指すというから、たいそう驚かされる。

2014年10月7日14:20 追補