建物修復支援ネットワークのブログ（written by 長谷川順一）

　歴史を経た古民家・土蔵などの建造物、愛着ある建物を守り生かす私たちの活動は、阪神淡路大震災以来の思いを重ねて、新潟県中越の被災地から始まり19年を数えてきました。　建物修復の智慧のバトンは、その後能登半島、中越沖、岩手宮城へとリレーされ、東日本や熊本では同時多発の広域複合災害でありながら、公費による建物解体の一方で、地域の歴史文化の記憶をとどめるべく広がり、建物再生の取り組みがなされました。　一方持続可能な世の中であるためには、災害時の家屋保全のみならず、平時より住まい・家屋の修復の道理にかなった正しい手当が求められます。　
　大規模な地震災害が起こるたびに「木造建築は弱い、古い建物ほど危ない」という風説に近い情報が流されます。　このサイトではそんな風説に負けることなく、また平時・災害時を問わず、古民家・町屋・土蔵・神社・寺院などの伝統木造建築、一般住宅から学校校舎・倉庫まで古い建物再生にチャレンジしようという方々に、多岐にわたる建築保全に関する見識と技術の継承のために情報共有と発信ができればと思っています。
　2015年4月からは、建物と同時に大量廃棄されかねない、地域の長年の歴史を受け継いできた、文化財・史料のレスキューを言わば車の両輪として位置づけるべく、「被災建物・史料救援ネット」も始動いたしました。　建物の保全再生や修復のほか、整理・解体する場合など、そこにある文化遺産（古文書、民具等）の調査レスキュー解読なども建築医たる建築専門家、博物館学芸員等の専門家がご相談に応じます。
　建物と地域の歴史文化を担ってきたものを、持て余して捨てたり、意味のないものと決めつけてゴミとして廃棄したりする前にちょっと立ちどまってご連絡ご相談下さい。
【ご寄付のお願い】　当ネットワークでは被災地支援活動継続のための支援金を募っております。　託していただきました支援金は、すべて現地活動に役立たせていただきます。　取り組みへのご理解ご協力いただける場合は、下記口座への篤志金を賜りますようお願い申し上げます。　本ネットワークの活動強化、発展のためにも何卒ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
【支援金受け入れ口座】三井住友銀行　新潟支店（店番007）　　普通預金　№７１５８９６１　口座名義：建物修復支援ネットワーク代表　長谷川順一

2020年06月17日17:21

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土壁修復ワークショップ第一回無事終了、次回は27日（土）

台風19号水害発生から8ヶ月となる被災地の一つ、長野市穂保の千曲川堤防決壊現場から400mほどのところにあるお屋敷で行われた土壁ワークショップ第一回目は、生憎の梅雨空にもかかわらず40名を超える皆様にお越しいただきました。　またこれに加え、新聞テレビ等マスコミご取材の方々も10社以上がお見えになり、むかしの建物がどのようにしてつくられ維持継承されてきたか？を、期せずして県内被災地に広める機会をいただくことになりました。　
実際の被災家屋修復の協働作業では、三密を極力防ぐように心がけて、4班編成のローテーションとさせていただき、それぞれの作業を少しずつ体験。　けが事故もなく一日のプログラムを終えることができました。
4班の作業メニューとは、①押し切りを用いての昔ながらのスサわら切り、②壁土づくり（5～10㎝程度に切ったスサわらを入れて混ぜ、足で踏む）、③浸水被害によって肌別れしたり、カビの生えた土壁を剥ぎ取りそして④漂流物がぶつかって傷んだ「小舞」と呼ばれる壁下地となる骨の部分を再生のため、一旦取り除く作業。
それぞれの作業は、身近な材料を用いローテクで再生できる「土壁」の基本からはじまり、建物の構造を学ぶ上でとても好評だったようで、壁土がなぜ100年もの長い間、建物の「壁」としての役割を果たすことが出来るのか？　また土壁の家、作業所、土蔵にはどのようなメリットがあるか等、活発な質問を戴きながらのお一人おひとりにとっても有意義なワークショップになった様子です。

実はもう少し早くこのワークショップが開催できていればとの悔いもありました。　しかしそれは作業をするうちに手ごたえとなって現れ、「公費解体を申し込んでいるが、今からでも取り下げできるとは思わなかった」とか「自分たちで修復できるような気がしてきた」とか・・・。　また終了後には、数軒の建物について「ただボードを貼ってもらうような蔵にはしたくないので診てほしい。」とご要望を戴くなど、我々にとっても「やってよかった」という気持ちにさせられました。

次回開催は6月27日（土）。　小舞かき＆壁塗り＋アルファ（泥団子づくり）です。　
このシリーズ修復ワークショップが技術継承のあり方、また建物修復を通じての地域再生のヒントになることができればと思っておりますので、ご参加希望の方はお早めにお申し込み下さい。
※申し込み方法、連絡先は本ブログの前記事をご覧いただくか、Hope Apple（穂保被災者支援チーム）電話：026-296-3311　FAX 026-251-3901まで。

ご参考までに第一回のご取材いただいた各紙記事のうちのひとつを、アップロードさせていただきます。
20200614_中日新聞長野県版_伝統的家屋残す_Small

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【事務局】杢匠舎／住まい空間研究所内　（新潟市中央区）

2004年の新潟県中越地震以来の、建物に関する現場調査ご相談などにより得られた知見をもとに、建物の修復に関する情報を発信しています。

お問い合わせは
090-3098-8683（長谷川携帯）もしくは
https://shufuku.com/
よりご連絡下さい。

【業務内容（災害支援含む）】
／□建物修復ご相談（災害被災建物を含む）
／□気候風土に根ざした住まいづくり
／□古民家再生・住宅再生
　　リフォーム（修復リノベーション）
／□建物の耐震診断と耐震補強
　（市町村の公的補助相談含む）
／□高齢・障害者のための住宅改修
／□建築と住まいに関するご相談
　　コンサルティング

【支援金受け入れ口座】三井住友銀行　新潟支店（店番007）　　普通預金　№7158961 　口座名義：建物修復支援ネットワーク代表　長谷川順一