目指そうサイエンス主任

電験三種に挑戦し、やっとこ合格することができました。その奮闘記や以前取得し応援ブログを書いていた放射線取扱主任者に関する記事が中心になります。また愛読誌「ニュートン」に関する記事も毎月書いてまいります。

2021年05月

こんにちは。虹法師です。本日は「荷電粒子と物質の相互作用」をテーマに過去問を考えていきましょう。 
まずは質量の小さい電子が走るβ線もしくは電子線について。これらがどんなときに発生するか押さえておきましょう。もう一度図をお示ししますのでイメージをつかんで下さい。

h0527様々な電子線
原子核の壊変に伴い直接原子核から電子が飛び出してくるものがβ線です。
 同じ電子の流れでも、γ線が周りの電子を蹴飛ばす事によって電子が出てくるモノ。これが内部転換電子(ICE)。
 特性X線が周りの電子を蹴飛ばす事によって電子が出てくるモノ。これがオージェ電子。
 人工的に加速器などで電子を加速した場合は電子線となります。
発生原因は異なっても、高速で走る電子であることに変わりは無く、エネルギーが等しければ物質との相互作用は同じです。
 電子線はまっすぐ飛ぶか。よく問われる問題です。
α線は質量が大きいため、ほぼ直進しますが、β線は原子とのクーロン力などで酔っ払いの歩行のようにジグザクと進みます。
空気中では90Yからのβ線(2.26MeV)で8.4m、32Pからのβ線(1.71MeV)で6m最大飛びます。
電子線がエネルギーを失うのは軌道電子との相互作用による衝突損失と原子核のクーロンの場との相互作用による制動損失があります。イメージとしては衝突がパチパチと音がし、制動がブレーキをかけたようなキッキーと音がする感じでしょうか。下表の最後の比率の式で、例え鉛に90Yの2.26MeVのβ線が飛び込んだとしても、制動損失によりX線に変換されるモノは2割程度に過ぎません。

h0527衝突損失と制動損失
 X線を発生させるX線管はフィラメントから出る熱電子を高電圧で陽極に加速・衝突させて発生させます。陽極の物質としては通常タングステンが用いられますが、高温に耐えるよう融点が高いこと、そして制動損失の比率が高くより制動X線を発生させるよう原子番号が大きいことが理由です。

h0527X線発生器
(1) 制動X線は連続スペクトルを示すこと
(2)高エネルギーのβ線は制動X線の発生を防ぐため、無闇に原子番号の大きな物質で遮蔽せず、プラスチックのような原子番号の低い物質で先ずβ線を減らし、その周りを鉛など高原子番号物質で覆うようにした方がよいこと
はよく問われる観点です。

 比電離とは、ある物質中を荷電粒子が単位長さ進むときに生ずるイオン対の数です。同じ質量を持つ荷電粒子なら電荷が大きいほど、同じ荷電粒子なら速度の遅いほど、比電離は大きくなります。よってβ線は、「エネルギーが低いほど比電離は大きくなる」のです。
β線と物質の相互作用に関する過去問を眺めてみます。

 
2010年問7
 電子線と物質との相互作用に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A.電子線のエネルギー損失は、主に原子核との相互作用により起こる。
B.同じエネルギーの電子でも、物質が異なれば、到達する深さは異なる。
C.衝突阻止能は、電子線のエネルギーが高いほど大きい。
D.制動放射線は、プラスチックよりも鉄の方が発生しやすい。
 
1 AとB  2 AとC  3 BとC  4 BとD  5 CとD
正解は4のBとDです。
 
 
2013年問6 
β線と物質の相互作用に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A.β線は、物質の中で直進する。
B.β線は、物質の原子番号が大きいほど後方散乱しやすい。
C.β線のエネルギーが高いほど、制動放射によるエネルギー損失の寄与が大きい。
D.β線の比電離は、同じエネルギーのα線の場合よりはるかに大きい。
 
1 AとB  2 AとC  3 BとC  4 BとD  5 CとD
正解は3のBとCです。
 
電子は物質との相互作用でジグザグに進むと申し上げましたが、大きく曲がって発生源の方向に戻ってくる場合があります。これを後方散乱と呼びます。原子番号の大きい物質ほど後方散乱を起こしやすくなります。
 
2013年問17
90Sr線源を0.5cm厚の蓋付きの鉛容器に収納して、この容器の外側からGM管式サーベイメータで測定したところ、バックグランドよりも有意に高い値が検出された。検出された放射線は、次のうちどれか。
 
1 β線
2 γ線
3 β線と制動放射線
4 制動放射線
5 β線とγ線

正解は4の制動放射線のみです。
0.8MeV以上の高いエネルギーを持つβ線の質量飛程(一般の教科書ではともに飛程と書かれていますが、虹法師は単位がg/cm2の方を区別し質量飛程と呼ぶことにしています)は
R=0.542E-0.133(g/cm2
でしたね。アルミの比重(g/cm)は約2.7ですから、最大飛程は
(0.542×2.28-0.133)/2.7=0.408
すなわち0.5cmのアルミ板で止めることができます。文科系の人は式を覚えるより、「イットリウムのβ線でも0.5cmのアルミで止まる」と記憶した方がいいと思います。ならば比重が11.34である0.5cmの鉛板では完璧に遮蔽されます。しかし、鉛との制動放射により、透過力の強い制動X線が発生し、これが観測されるのです。 
 
2014年問7
β線と物質との相互作用及びそれに伴って生じる制動放射線に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A.制動放射線は、原子核のクーロン場との相互作用により生じる。
B.β線の飛程は、最大エネルギーのほぼ2乗に比例する。
C.β線のエネルギーが高いほど比電離も大きい。
D.制動放射線のエネルギー分布は、連続スぺクトルを示す。
 
1 AとB  2 AとC  3 AとD  4 BとC  5 BとD
正解は3のAとDです。

 次にα線など重粒子線と物質の相互作用に関し説明いたします。α線など重荷電粒子は、β線と比べて短い距離で大きな電離を引き起こし、また電子と比べて遙かに重く殆ど直進するように見えます。
α線などの重荷電粒子は、広い範囲に分布する電子をはじき飛ばす衝突損失(非弾性散乱・電離励起)によってエネルギーを失います。下図のように電子は引きつけられることによってはじき飛ばされて電離が起ます。

h0527α線と物質の相互作用
実は極めて稀ですが、α粒子が原子核に向かって飛んだ時は、ほぼ反対方向に跳ね返されることがあります。これは原子核とのクーロン力による弾性散乱です。ラザフォードはこの現象を突き詰めて、原子は大部分がうつろな空間だが、その中心のごく微小な領域に、プラス電荷を帯び、原子の質量の大部分を集結させた核があるという原子モデルを考案しました。こうしてエネルギーを失うのが放射損失です。

h0527ラザフォード散乱
荷電粒子は、物質の内部を通過する際エネルギーを失っていきますが、そのエネルギー損失を進行方向の単位長さ当たりで表現したものが線阻止能(eV/μm)です。長さが分母に来ていますから、質量阻止能に変換する時は分母に密度を掛ける、則ち密度で割った値(eV・cm2/g)となります。
線阻止能は、以下の式で比例関係を表すことができます。
h0527阻止能比例関係式

 よって物質の原子番号の1乗に比例し、荷電粒子の電荷の2乗に比例し、速度の2乗に反比例することとなります。
 失われた方から測定していくと阻止能ですし、単位長さ当たりどれだけエネルギーを与えたかで定義されるものが線エネルギー付与(LET)です。単位長さあたり生成される電子-イオン対数で表したものが比電離です。これら3つは、荷電、原子番号、速度の比例関係はほぼ同じと考えて良いです。
 陽子線やα線、重粒子線は、止まる瞬間に大きな比電離となるブラッグ曲線を描きます。これは速度が落ちてエネルギーが小さくなるため、比電離は増加するからです。この性質ががん細胞をピンポイントで叩く、粒子線治療に活用されています。

h0527比電離

R1-物5
  次の( A )、( B )に入る数値として、適切な組合せは次のうちどれか。

 運動エネルギーが等しい重荷電粒子に対する物質の衝突阻止能は、おおよそ、荷電粒子の質量の( A )乗に比例し、電荷の( B )乗に比例する。
    ( A )   ( B )
1.    2       1
2.    1       2
3.    1       1
4.   -1       1
5.    2      -1

R2-物8
 荷電粒子に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A.α粒子は原子核の近傍を通過すると大きく散乱されることがある。
B.質量衝突阻止能は、物質の原子番号が高いほど大きい。
C.荷電粒子が物質中を通過するとき、単位距離を進むごとに失う平均のエネルギーを線阻止能という。
D.β線の空気に対するW値は、約34eVである。
 
1 ACDのみ  2 ABのみ  3 BCのみ  4 Dのみ  5 ABCDすべて
正解は1のACDのみです。

線阻止能を密度で割った概念が質量阻止能です。線阻止能は単位当たりの長さの損失ですから、重い物質を通過するほど値は大きくなります。つまり通過物質の原子番号にほぼ比例します。ところがこれを密度で割った質量阻止能は重い物質も軽い物質もあまり変わりません。よってBの「質量衝突阻止能は、物質の原子番号が高いほど大きい」は誤りです。

2007年問7
 α線に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A.エネルギーを失う過程では、放射損失の方が衝突損失より大きい
B.空気中での比電離は、その飛程中の全行程において一定である。
C.β線に比べて、比電離が大きい
D.物質中を通過する際、進路はほとんど直線である。
 
1 AとB  2 AとC  3 BとC  4 BとD  5 CとD
正解は5のCとDです。


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こんにちは。虹法師です。
第2種放射線取扱主任者試験は8月20日(金)に決まりましたが、私が受験する電験3種は今年は2日後の8月22日(日)となりました。先ほどインターネットにて申し込みを済ませました。「理論」と「電力」は取得しておますが、効力は今年度まで。何としても、今度の試験で「機械」と「法規」で合格したいです。
今年から受験写真は申し込み時にインターネット登録できるようになりました。息子にスマホで撮ってもらったので、町の証明書写真BOX費用が浮きました。申し込み状況は今年から設けられた「マイページ」によって状況確認が可能です。

b0526電験三種申し込み
さすが年間6万人が受験する資格試験ですね。
放射線取扱主任者試験も、システムが進化すると良いですね。
問題が難しい年には、当該科目の合格ラインを下げるという仕組み、是非見習って欲しいと思います。

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こんにちは。虹法師です。
今年の第2種放射線取扱主任者試験日は8月20日(金)に決まりました。思っていたより早いですね。挑戦される方々、頑張って下さいネ。第2種の過去問解説、第2回目は「放射性壊変のタイプ」についてです。

前回原子の構造についてご説明しましたが、原子の同位体の中には不安定で一定の期間・確率で壊れエネルギーを放出して安定的な同位体に変わる物があります。これを放射性同位体と呼びます。今回はこの壊れ方のタイプについて学びます。
先ずは早見表をご覧下さい。
h0518崩壊のタイプ
α崩壊は比較的重い元素の崩壊でよくみられタイプです。陽子2個と中性子2個がα粒子になって原子核から飛び出します。α粒子はヘリウム原子核と同様であり、この崩壊によって原子番号2,質量数が4減ります。崩壊に際しては必ず同一のエネルギーを吐き出し、α線のエネルギーは同値が観測されます。これを線スペクトルといいます。
β崩壊は陽子と中性子のアンバランスを補正しようとして起きます。先ず中性子が過剰な場合。中性子が電子と反ニュートリノを放出して陽子に変わります。中性子は陽子より若干質量が重く、この分を放出して陽子に変わるとも言えます。従って質量数は変わらず、原子番号が一つ増えます。普通、β崩壊といえばこの現象ですが、他と区分するためβ崩壊ともいいます。逆に中性子が不足する場合は今度は陽子が中性子に変化します。これがβ崩壊。それではエネルギーの放出ではなく吸収ではないかと思われるかも知れませんが、このタイプの崩壊を起こす同位体は人為的に作られた核内に高い余分なエネルギーを持つ核種なのです。このためこのエネルギーを分配することにより、陽子が中性子に変わります。β崩壊はマイナスもプラスも、電子又は陽電子が飛び出します。更に観測が極めて難しいのですが、このとき、反ニュートリノやニュートリノも飛び出します。α崩壊同様、崩壊に際しては同一のエネルギーを吐き出すのですが、ニュートリノにもエネルーギが与えられるため、飛び出す電子の持つエネルギーは一定ではありません。これを連続スペクトルを持つといいます。
h0518線連続スペクトル
更に変わった方法で中性子不足を解消することがあります。軌道電子を原子核中に取り込み、陽子を中性子に変えます。これを電子捕獲(EC)といいます。ここでは派手な電子線やγ線が発生しません。しかし電子が捕獲され抜けた穴により高い位置にある電子が落ちてくるため、特性X線が観測されます。これらβ崩壊、β崩壊、EC崩壊を合わせて広義のβ崩壊といいます。
α崩壊やβ崩壊後の核種もまだ核内に過剰なエネルギーを抱えていることがあります。α崩壊やβ崩壊とは別なタイミングでこれを電磁波として吐き出すのが核異性体転移(IT)です。この高いエネルギーを内包したまましばらく存続する場合は核種記号の前にmを付けて区分した核種として扱います。
重たい大きな原子が不安定ゆえにバラバラになることがあります。これが自発核分裂。この際、核が様々な粒子となって飛び散りますが、中性子も放出します。この中性子は様々なものとエネルギーを分け合いますので、連続スペクトルをとります。
 設問では、「原子核から放出される」という言葉に注意する必要があります。電子捕獲(EC)すれば、必ず特性X線が観測されますが、それは原子核から出てくるものではありません。同様にβ+崩壊する核種からは必ず消滅放射線も観測されますが、これらは同様に原子核から発せられるものではありません。
 崩壊した後もこれらが原因となり連続して放射線が発せられるので、崩壊後の話をいたします。例えばセシウム137から生まれたバリウム137mが核異性体転移した際、発せられたγ線の内、10%は周りの電子を蹴り出します。γ線として放出されるべきエネルギーを軌道電子がもらって身代わりとなって放出されるのです。この現象をγ線の内部転換(internal conversion)と呼び、放出される電子のことを内部転換電子(ICE)と呼びます。そして電子が蹴り出されたなら、その空席に外の電子が落ちてきて特性X線が出され、更にそのX線が外側の電子を蹴り出すことがあります。これをオージェ電子と呼びます。複雑ですね。
下の図を見ながらじっくり覚えて下さい。
h0516様々な電子線


R1-物1
放射性壊変に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A.β壊変により、原子核から陽電子が放出される。
B.EC壊変により、原子核から特性X線が放出される。
C.内部転換により、原子核からニュートリノが放出される。
D.自発核分裂により、原子核から中性子が放出される。

1 AとB  2 AとC  3 AとD  4 BとC  5 BとD

正解は3のAとDです。
 
R2-物2
次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A.内部転換に伴い、γ線が放出される。
B.EC壊変に伴い、特性X線あるいはオージェ電子が放出される。
C.核分裂に伴い放出される中性子のエネルギーは連続スペクトルを示す。
D.β壊変に伴い、質量数が1だけ増加する。

1 ACDのみ  2 ABのみ  3 BCのみ
4 Dのみ  5 ABCDすべて

正解は3のBCのみです


R1-物3
KX線に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A.電子軌道のK殻に空孔が生じた時に発生する。
B.KX線の放出に続いてLX線が放出されることがある。
C.KX線の放出とK殻オージェ電子の放出は競合過程である。
D.同じ元素では、KX線のエネルギーはLX線のエネルギーより高い。

1 ABCのみ  2 ABDのみ  3 ACDのみ
4 BCDのみ  5 ABCDすべて

正解は5のABCDすべてです。
電子の入るスペースは、内側からK殻、L殻、M殻となります。

h05011原子の構造
ここに1、2、3、...の整数を割り当てた数を主量子数といいます。各殻に格納できる電子数は主量子数をnとすると、2✕n2と表せることが知られています。
h0519主量数
電子捕獲などで、K殻に空席が生じると、外側のLやM等から電子が落ちてきます。この際、吐き出されるエネルギーがKX線です。KX線の代わりにオージェ電子が吐き出されることもあり、競合するといいます。軽い原子ほどオージェ電子となる確率は高くなります。L殻に空席が生じれば、更に外側から電子が落ちてきてLX線が発生。


2008年問3
次の記述のうち、正しいものの組合わせはどれか。
A.β壊変と制動X線の放出は競合する。
B.β壊変と特性X線の放出は競合する。
C.オージェ電子の放出と特性X線の放出は競合する。
D.核異性体転移と内部転換は競合する。
 
1 AとB  2 AとC  3 BとC  4 BとD  5 CとD
正解は5のCとDです。
 




2014年問2
β壊変に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A.質量数が1だけ増加する。
B.核内の中性子が陽子に変わる現象である。
C.親核と娘核の質量差が電子の質量の2倍より大きくないと起こらない。
D.壊変のエネルギーは、娘原子、電子、反ニュートリノの3体に分配される。
 
1 AとB  2 AとC  3 BとC  4 BとD  5 CとD
正解は4のBとDです。
 
 
2015年問2
次の現象のうち、軌道電子と関係のあるものの組合せはどれか。
A.ラザフォード散乱
B.電子対生成
C.オージェ効果
D.内部転換
 
1 ABCのみ  2 ABのみ  3 ADのみ
4 CDのみ  5 BCDのみ
正解は4のCDのみです。
 
ラザフォード散乱とは、クーロン力のみよる荷電粒子の弾性散乱。ラザフォードの指導の下、金の薄膜にα粒子を当てる実験を行ったところ、大きく軌道を変える後方散乱が見られました。この現象から原子には正電荷の中心核(原子核)が存在することが明らかになりました。軌道電子とは直接関係しません。

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こんにちは。虹法師です。今日はロッテの佐々木朗希投手初登板の日でした。去年からこの日がくるのをずっと待ちわびていました。
昨日からどうしたらこの試合の実況が観戦できるか調べ、yahooプレミアム会員となり、ベースボールLIVEで14:00開始のロッテ-西武戦をパソコンで観戦しました。今年度はほぼ無料で見られそう
b0516佐々木朗希初登板
この日最速は154km。直球はほとんど150kmを超えておりました。コントロールもまずまず。5回を投げきり、4失点に押さえ降板。4失点と言っても、レアードや女房役キャッチャー佐藤のエラーがからんだものもあり、チョット不運と言えると感じました。それでも5回にマーティンのホームランが飛び出し、勝ち投手の権利を得たのですが、後続が打たれ、結果は6対6の同点で、勝ち星はつきませんでした。
最速大谷翔平超の日が訪れることを祈念しつつ、若者の成長を見守りたいと思います。
朗希の投げる試合は、今後もベースボールLIVEで観戦するぞー。
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こんにちは。虹法師です。本日から第2種放射線取扱主任者の過去問について解説して参ります。第1回目は「原子の構造について」です。
h05011原子の構造
 原子は原子核と軌道電子からなり、原子核は中性子(ニュートロン)と陽子(プロトン)から成り立っています。その周りを軌道電子が回っています。原子核の半径は10-15~10-14m程度。軌道電子の広がりは10-10m程度。原子核の大きさを1とした場合、電子の広がり、つまり原子の大きさはその一万倍から10万倍であると言えます。原子核と電子はよく太陽と惑星になぞられます。太陽の直径を1とすると地球は108の距離を回っています。海王星でも3245程度。つまり1に対して数万の離隔で回っている原子の方がずっと空虚な空間であるといえます。
 陽子と中性子は核を構成している素粒子ということで核子とも呼ばれます。核子同志は、電気的に引き合う力(クーロン力)ではなく、核力(強い相互作用とも呼ばれます)により結びついています。陽子の数は元素の種類に応じてきちんと定まった値を持っているのですが、中性子の数の方は、同一種類の原子でも異なる場合があります。陽子数と中性子数を加え合わせた数は、原子核の質量にだいたい比例しているので質量数と呼ばれています。陽子数と質量数で決まるものを核種と言います。
同位体(アイソトープ):お互いの陽子数が同じ核種。化学的ふるまいが同じ。中性子数により質量は異なる。周期表の「同じ位置に配属される」のでこの名称が与えられている。
同重体(アイソバー):数ある核種のうち、お互いに質量数が等しいもの同士を呼ぶ。陽子数+中性子数が等しい。
同中性子体:中性子の個数が等しく陽子の個数(原子番号)が異なる核種のことである。同調体(どうちょうたい)ともいう。
核異性体:陽子数、中性子数とも同一であるが、基底状態の原子核と比較し余分なエネルギーを持つ。 
 核種を呼ぶには、元素の名前の後に質量数を付けて呼ぶことにしています。例えばカリウム40。次ぎに書き方ですが、元素記号の左上に質量数、左下に原子番号を添えて表記します。しかし元素が決まれば原子番号は定まるわけですから、通例は下図右側の表記のように左上の質量数のみ記す方式が一般的です。
h0511カリウム40表記
ある半減期を持ち、核異性体転移する核種は寿命の短い方にm(メタスティブル)をつけて表記します。
h0511メタスティブル
 自然界には原子番号1番の水素から92番のウランまで90種の元素が存在します。現在ではこれらに加え人工的に作り出した元素も加えると118種(含むニホニウム)で、質量の異なる核種を数え上げると3000近くもの膨大な数にのぼります。

素粒子を質量の小さい順に並べてみました。
光子:質量も電荷もありません。運動量はmvと記憶している方も多くゼロと思いがちですが、相対性理論ではh/λと表せる運動量を持ちます。
ニュートリノ:質量を持つのか持たないのか論争がありましたが、近年、電子の質量の100万分の1以下であるが質量を有することが確認されました。
電子(=陽電子):陽子の重さの1840分の一。虹法師はアヘン戦争分の一と覚えました。消滅すると0.511MeVのエネルギーとなります。
陽子:1.0073u。
中性子:1.0087u。中性子は分解すると陽子と電子とニュートリノとエネルギーとなり、その分陽子よりは重くなります。
α粒子:4.0015u。ヘリウムの原子核と同一です。
ヘリウム原子:原子と言ったときは2個の電子の分だけ、α粒子より重くなります。
α粒子は2個の陽子と2個の中性子からなりますが、重さは2×1.0073+2×1.0087=4.032より軽い4.0015です。この差はエネルギーであり、核融合により莫大なエネルギーが造られ、太陽が輝き続ける元となっています。
アインシュタインの相対性理論で質量はエネルギーに変換できるとされています。
E(エネルギー)=m(質量)c2 
いろいろな原子核について核子(陽子と中性子)1個当たりの結合エネルギーを計算し、表にしてみたのが下図です。
h0511核子1個当たりの結合エネルギー
鉄(Fe)当たりで最も大きくなり、より重いウランなどでは、小さくなります。このため軽い元素は融合することによって、重たい元素は分裂することによってエネルギーを放出します。


関係する問題を眺めてみます。
R2-物1
  α粒子(4He原子核)の核子当たりの結合エネルギー[MeV]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし4He原子、陽子、中性子および電子の質量を、それぞれ4.00260u、1.00728u、1.00867u、0.00055uとする。また、1u=932MeVとする。

1.3.8  2.7.1  3.10.5  4.16.4  5.28.3

正解は2の7.1

α粒子の部品ごとの重さ合計は
 2×1.00728u+2×1.00867u=4.0319u
実際のα粒子の重さは4He原子-電子2個なので
 4.00260u-2×0.00055u=4.0015u
その差は0.0304u MeVに換算すると28.33 
核子当たりだからその1/4で、7.0832。

R1-物11 Ⅰ
 次の文章の(  )の部分について、解答群の選択肢のうち、最も適切な答えを1つだけ選べ。
 正の電荷を持つ原子核は原子の中心にあり、正電荷を持つ陽子と電荷を持たない中性子によって構成されている。両者の質量を比較すると、( A )。陽子1個と中性子1個は、核力によって強く結合して重水素原子核を構成する。この質量は、陽子の質量と中性子の質量の和よりも( B )、その差、2.2MeVは結合エネルギーと呼ばれる。原子核の結合エネルギーを核子数で除した核子当たりの結合エネルギーの値で比較される。質量数20以上では( C )の結合エネルギーが最大となり、最も安定である。
 ここで、重水素原子核2個から、3Heの原子核1個と( D )1個が生成する核融合反応を考えてみる。3He原子核の核子当たりの結合エネルギーは2.57MeV/核子であるので、この核融合反応によって放出されるエネルギーは、反応当たり( E )である。

<Aの解答群>
1.陽子の方が大きい  2.中性子の方が大きい  3.同じである

<Bの解答群>
1.大きく  2.小さく

<Cの解答群>
1.Ar  2.Fe  3.Mo  4.Xe 5.Au

<Dの解答群>
1.電子  2.陽電子  3.陽子  4.中性子 5.反陽子

<Eの解答群>
1.3.3  2.4.8  3.6.6  4.8.4 5.10.3

正解はA-2、B-2、C-2、D-4、E-1
h0511重水素核融合
バラバラの状態より4.4軽いものが融合すると、更に7.71軽くなる。
その差の3.3のエネルギーが放出されます。


R2-化11 Ⅰ
 次の文章の(  )の部分について、解答群の選択肢のうち、最も適切な答えを1つだけ選べ。
 すべての物質は原子により構成されている。原子の大きさは( ア )m程度であり、原子の中心には、さらにその数万分の1の大きさの正の電荷をもった原子核があり、その回りに( A )が分布している。原子核を構成する陽子と中性子の質量はほぼ等しく、( A )の質量の約1,840倍であり、原子核内の陽子と中性子の数の和を( B )という。1モルの原子の質量は、原子核内の陽子と中性子の和である( B )にグラムをつけた値のに近く、( A )の質量はほとんど無視できる。原子は( A )を出し合って形成する共有結合などによって、分子をつくる。このようにして作られた分子がどのような化学特的性を持つかは、( A )の分子内分布で決まるともいえる。
 同一の( C )を持つ原子は共通の化学的特性を持ち、それぞれの元素を構成する。( A )の数は中性原子では陽子の数に等しく、陽子の数が元素を決め、各元素に対応する( C )になっている。同じ元素、すなわち、同じ( C )でありながら、中性子の数が異なる、すなわち、( B )が異なる原子は互いに( D )と呼ばれる。元素の原子量とは、元素の原子の質量を一定の基準で決めたものであり、現在、用いられている基準は、( B )12の炭素原子の質量を12としている。なを、複数の( D )からなる原子量は、存在度の重みを付けて平均をとることで得られる。

<アの解答群>
1.10-6  2.10-8  3.10-10  4.10-12 5.10-14 以下略

<Aの解答群>
1.ニュートリノ  2.中間子  3.電子  4.陽電子

<Bの解答群>
1.分子量  2.分子数  3.電子数  4.質量数

<Cの解答群>
1.原子番号  2.原子スペクトル  3.電荷数  4.質量数

<Dの解答群>
1.核異性体  2.同位体  3.同中性子体  4.同重体

正解はア-3、A-3、B-4、C-1、D-2
中性原子とは電気的に中性な原子で、原子核の中の陽子と同じ数の軌道電子を持っています。

2012年問4
次の粒子の静止質量数を比べる関係式のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A.電子  = 陽電子
B.電子  > ニュートリノ
C.陽子  > 中性子
D.α粒子 = ヘリウム原子

1 AとB  2 AとC  3 BとC  4 BとD  5 CとD
正解は1のAとB


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