それでは、第2問の設問1に進みましょう。

「A社の従業員の大半を占める非正規社員の管理について、以下の設問に答えよ。」という導入文があり、設問1は、「A社は、同業他社と比べて時給が多少高くても、勤務経験がある中高年層の主婦をオペレーターとして採用している。それには、どのような理由が考えられるか。80字以内で答えよ。」というものでした。

設問条件を整理すると、
・「A社は、同業他社と比べて時給が多少高くても、勤務経験がある中高年層の主婦をオペレーターとして採用している。」
・「それには、どのような理由が考えられるか。」
・「80字以内で答えよ。」
ということになります。

答案の書き出しは、「理由は、・・・・」として、「・・・ためである(と考えられる)。」と結ぶことができれば、設問に正対した答案になります。

また、80字ですから、最初の検討段階では、切り口は2つかな、ということになります。1文約30字から40字と考えています。あまり長くなると、解釈しにくい文となりますので、このくらいが適切でということです。

さて、設問には、先ず「同業他社と比べて」とあります。「若年層のオペレーターと比べて」ではなく、「同業他社」との比較の視点から、ということがこの設問の大前提です。つまり、「A社の差別化を図る策」としての答案を求めている、ということになります。

それでは、どうして「差別化策」となるのでしょうか。ここが、「理由が考えられるか」という設問の意図です。

また、答案の切り口ですが、「勤務経験がある」、「中高年層」、そして、「主婦」という切り口を、設問から引き出します。
A社のサプリメント事業の顧客は、「団塊シニアを中心とする中高年層」でした。そして顧客対応を行うオペレーターも、「勤務経験がある(同じ)中高年の主婦」ということです。「勤務経験がある」場合と「勤務経験がない」場合とではどういうところが異なるのでしょうか。「中高年」と「若年」ではどういうところが異なるのでしょうか。こうしたところが、答案の核心になります。
残りの「主婦」という切り口ですが、これは、男性と女性の場合でどう異なるかということになりますが、この点については、今回の解答では触れないことにしました。字数制限の問題もあるのですが、もし答案に盛り込むとすると、男性オペレータの優位性と女性オペレータの優位性との比較論を展開することになりますが、与件文及び設問文からも、それについて答案を展開する情報が、はっきり言って全くなく、説得力のある答案にならないという判断です。

そうしたことから、、「勤務経験がある」、「中高年層」の2つについて、答案を作成することにします。ここで、説得力のある答案にするために、So What?を活用します。「勤務経験があるから、だからどうなんだ。」の「どうなんだ」まで答案で示すということです。

こうしたことから、私の解答例は次のものとしました。

「理由は他社との差別化である。具体的には、①勤務経験があるため顧客対応の質が高く、②中高年であるため健康の維持・増進に理解があり顧客関係が構築しやすいためである。」(80字)

結果的には、「抽象結論」+「具体根拠①+②」型の答案になりました。

先ず、「理由は、差別化を図るためですよ。」という抽象結論を伝えます。その上で、「どうして勤務経験があることと、中高年ということで差別化になるの?単に他社と違うだけで、それだけでは優位性があるとは言えないのでは?」ということになります。そこで、「勤務経験があること」と「中高年であること」の具体的根拠を示します。ここで採用しているのが、「So What?」です。

「勤務経験がある」のはわかりますが、だからどうなんですか?の「だからどう」を示せ、というのが「So What?」です。これを上手に答案に盛り込むのは重要です。これを使って、「勤務経験がある」から「顧客対応の質が高く」なるのですよ、という答案にしました。顧客対応というのは、本文中に「電話やFAXによる注文の受付、商品に関する問い合わせの対応」という表現があったので、「顧客対応」という用語を用いました。

A社のオペレーターの条件は、①勤務経験がある、②中高年、ということでした(設問文より)。
そのため答案では、この2点を具体的根拠の切り口とし、設問に内容的にも正対します。つまり、減点しにくい訳です。

いかがでしょうか。みなさまのご感想をお待ちしております。