2018年春の陣。私は三人芝居の東京公演が終わって、今は若者が一杯出演する青春群像劇の本番中です。春といいながら、なんだかやたらと暑い日々ですが、みなさん元気にゴールデンウィークをお過ごしでしょうか。
てなワケで、現在サンシャイン劇場にて「若様組まいる ~アイスクリン強し~」という舞台を上演中です。5/6までですので、よろしければ池袋にお越し下さいませ。向かいでやっている「プラレール博」のお陰で近辺が混み合いますので、ちょっと早めのご到着をお待ちしております。

でね、その「若様組」の舞台がピアノの生演奏付きなのですよ。ピアノといいながら実は色々な制約で電子ピアノなんですけど、それはいいとして、冷静に考えて「生演奏」ってのも変な言い方ですよね。「生」つけなくてもいいじゃんとか思いまして。
録音じゃなくてその場で演奏するのが「演奏」なんですからわざわざ「生演奏」と書かなくても良いような気もしますが、言葉の定義として「録音ではなくてその場で演奏する」コトが「生演奏」なんだそうです。たしかに「演奏を録音」したものが録音なので、今そこでリアルタイムに演奏する場合が「生演奏」なんですって。

まあ、言葉の定義はいいとして、私も色々と生演奏付きの舞台をやってきました。新感線では「新感線R」という生バンドの入った舞台を多くやっておりますし、こまつ座&ホリプロの「十一ぴきのネコ」もミュージカルでしたから荻野清子さんによるピアノの生演奏付きでした。
やはりミュージカルやオペラでは生演奏が多くなりますよね。音楽が主役ともいえますから、やはり生演奏であって欲しいと思います。様々な制約によってミュージカルなのに生演奏ではない場合もありますから。

生演奏の何がいいって、演者と呼吸を合わせながら演奏をしてくれるトコロでしょう。フルオーケストラのミュージカルやオペラの場合、開演直前や直後にオーケストラピットからコンダクター(指揮者)がピョコンと顔を出して挨拶するのを体験した方も多いと思います。オケピで舞台の方を向いているのはコンダクターだけ。演奏者は舞台に背中を向けてコンダクターを見ています。そして、コンダクターは舞台上の演者を見ながらオーケストラに指示を出しているのです。これら全ての呼吸が合わさった時に、素晴らしいグルーヴが生み出されるワケです。

ところがですね、全ての生演奏付き舞台でそうだというワケではないのです。コンダクター付きのフルオーケストラの場合はそうなんでしょうが、数少ない演奏者だけの場合やバンド形式のミュージカルの場合、完全に演者に合わせられる状況ばかりでは無い場合も多いのです。
最近では、コンピュータ制御の舞台機構や映像などとも合わせる必要性も増えており、その場合は正確にタイミングを合わせなくてはならないんですね。そういった現場ではバンドマスターに「クリック」と呼ばれるタイミング合わせの信号が伝えられて、それに合わせて演奏をするのです。
また、演奏者が少ない場合、音数を増やすためにあらかじめプログラミングされた音源(もしくはあらかじめ録音された音源)に合わせて演奏しなくてはならない現場もあり、その場合にもクリックが送られてそれに合わせます。つまり、生演奏とはいえ全てがリアルタイムに演奏されているとは限らないんですよ。バンマスやドラマーがクリックを聞きながら、タイミングを合わせて演奏する。そういう現場も多いってコトです。
それでもダイナミクスや臨場感が圧倒的に違いますから、やはり生演奏にこだわる意味はあるのです。そのために万難を排して生演奏にこだわる現場があるのです。

「若様組」の舞台でも、ピアニストの旭純さんにクリックが送られて、それに合わせて演奏をしています。それでも、いくつかの曲ではクリック無しでピアノだけで演奏されており、その場合には完全に演者に寄り添った生の演奏がされていて、素晴らしいタイミングで見事な演奏をして頂いています。そこで生み出されるグルーヴがまた素晴らしいんですよ。
ちなみに「若様組」の音楽を作って下さったのは金子隆博さん。そう、あのフラッシュ金子さんです。あのBIG HORNS BEEの、あの米米CLUBのフラッシュ金子さんですよ。金子さん作曲、旭さん演奏のオシャレなジャズに乗って物語が進行していきます。やはり、生演奏には生演奏でしか醸し出せない独特の魅力があるんですよね。

今年の後半に上演される新感線の「メタルマクベス」もバンドによる生演奏です。歌も踊りもふんだんに採り入れた音楽劇です。こちらにも期待して頂きたいのですが、個人的には初演のように私もドラムを叩くことができるのかどうかが気になるトコロです。それは夏以降に豊洲でお確かめ下さいませ。


pipo

本文とは関係ありませんが、赤坂RED/THEATERの前で出逢ったパレードのピーポくん。


粟根まこと


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あわねまこと○64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み。


【出演情報】

『若様組まいる〜アイスクリン強し〜』
 4/27-5/6◎サンシャイン劇場

ONWARD presents
新感線☆RS『メタルマクベス』Produced by TBS
7/23〜8/31◎IHIステージアラウンド東京


◇コラム「粟根まことの人物ウォッチング」掲載の「えんぶ6月号」は5/9 全国書店で発売!



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