日刊☆えんぶ『植本純米VS坂口真人対談』は2019年2月20日に引っ越しました。
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カレル・チャペック『ロボット』

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植本 本日は、カレル・チャペック。
坂口 『ロボット』ですね。
植本 それは副題かもね。これは「R・U・R」と書いて、「エル・ウー・エル」っていうのかな。チェコ語、ロシア語の読み方ですね。
坂口 すごくおもしろかった。ガンガン読めちゃって、ビックリしました。このチャペックっていう人、前に知ってました。『園芸の12ヶ月』っていう本を読んでました。
植本 そうなの、エッセイもいっぱい書いてますね。
坂口 それがね、すごくおもしろいんですよ。もちろん園芸の話なんだけど。ユーモアとか皮肉も上手に効いていてね。そのときは戯曲書いてるなんて知らなくて。これ読んでビックリしました。
植本 ね。「ロボット」っていう言葉はこの戯曲から始まったんですね。
坂口 しかもあれですよね。いわゆる鉄腕アトムとかそういう感じとはちょっと違って。何て言うの? もっと人造人間っていうか、リアリティが。
植本 昔の作品だから、もうちょっと素朴なのかと思っていたら、意外と最先端技術なんですね。アンドロイドとか、サイボーグっていうのかな。
坂口 SFだから、未来の話を書いてるんだね、彼は。
植本 はい。



植本 この作品が書かれたのが1920年。その時点で「ロボット」ができて、そこからずいぶん経ってるという設定になってます。書かれた当時からすると、未来の話ですよね。
坂口 だけど、読んでると今の人が書いても全然おかしくないっていうか。
植本 本当にね。
坂口 今、の人、が書いてるみたいな感覚で読んじゃいました。
植本 うん、うん。
坂口 すごいですね。100年近く前でしょ。ロボットの話だけじゃないですね、基本的に人間の話、人の存在みたいなことを全体で書いてるわけですよね。
植本 宗教観とか、
坂口 労働、社会の成り立ちとか。
植本 人にとって働くとはどういうことか、とかね。
坂口 それが今の話としてすごくリアルに伝わってきます。この人はチェコの人ですね。
植本 はい。
坂口 大変な時期ですよ。1917年がロシア革命でしょ。その3年後にこれ書いてるわけだから。もう揺れ動くどころの社会じゃないですよね。
植本 ロボットっていう言葉が、ご本人がね、「自分が発明したって言われるんだけど、本当はお兄さんのアイデア」みたいなこと言ってて。お兄さんが芸術家なんですけど、強制収容所で亡くなってるんですよ。
坂口 ほほ~。
植本 で、このチャペック自身にもガサ入れが入るんですけど、もう踏み込んだ時には亡くなっていたっていう。
坂口 なるほどね。そうだ、その話で思い出した。冬の寒いときに趣味の庭仕事してて、肺炎になって死んじゃうんだ。
植本 え、それ園芸の本に書いてあったの?
坂口 何かに書いてあった。若くて死んじゃうんだよね。
植本 本当だ。1890年生まれで38年に亡くなってるから、48で亡くなってますね。
坂口 真冬の庭でのアクシデントのときに。たぶん、ちょうど今頃。クリスマスの頃に庭仕事していて、
植本 あ、そうですよ! 昨日が命日。25日(この対談は昨年12月26日に行われました)。クリスマスが命日で、ちょうど80年前に亡くなってるのかな。チェコの国民的作家と言われている方で。
坂口 オタクとしては立派な亡くなり方ですね。
植本 ぼく知りませんでしたけど。
坂口 『ロボット』っていう戯曲があるっていうのは知ってたけど、こんなにおもしろい話とは思いませんでした。
植本 じゃあ、作品のこと話しますかね。
坂口 はい。



植本 序っていうのがけっこう長いんですね。
坂口 この場で全部説明しちゃうっていうか。
植本 そうですね。どこかの孤島にある工場で、ロボットの研究と生産が行われていて。そこに会長のお嬢さんが訪ねてくる。
坂口 いかにもありそうな理由で訪ねて来ますね。
植本 ロボットに人権をっていう。
坂口 そう、そう。偉い会長さんの娘さんがちょっと世間知らずで、ヒューマンな考えを持っていてね。
植本 もしかして今だったら、ちょっとそこひっかかっちゃうかも知れませんね。女性の扱いっていうことで言うと。
坂口 ああ、でもありがちな話なんじゃない? なんかとても、ああ、なるほどなって。で、この会社の社長が対応するんですね。この工場は、大規模にロボット生産をしてる。
植本 まぁ、独占企業に近いんですかね。
坂口 しかも場所も孤島ですよね。彼女は船でやって来て、自分の意見があるから、見学させろと言って。
植本 社長のハリー・ドミンさんが対応します。
坂口 会長の娘だからということもあってか、キチッと説明するんですね。
植本 そうすると、まず、男と女のロボットとがいるんですけど。もはや、人間と変わらないんですね。彼女がまさかロボットと思わないで会話していると、「わたしはロボットです」みたいなことを言い出して。それがにわかには信じられないっていうところからスタートして。いいスタートですよね。
坂口 ロボットにある部分の感情を入れてないんですけどね。あ、なるほどって、分かりやすいなぁと思います。



植本 次に出てくるのが工場側の人間で、技師とか、博士とか、領事とか、建築士。
坂口 個性豊かですね。
植本 そう、社長以外に5人出てくるんですけど、社長を含めて、全員がこのお嬢さんを好きになるっていう。
坂口 そう、おじさんたちだよね。この時点で、社長が38才ですね。でー、これさらにおもしろいのは、この序幕から次の一幕では10年経っているという設定ですね。
植本 そうです。一幕は10年後ですね。
坂口 その個性的なおじさんたちの写真が文中にありますね。
植本 当時の初演のね、役者さんたちが扮装した姿が出てきますけど。
坂口 不思議なメイクというか、衣裳も含めて。とても存在感があります。
植本 当時としてどうだったかは分かりませんけど、今から見るととてもレトロな感じのする、いい感じの。
坂口 オシャレレトロみたいな感じでした。
植本 なんか、後書きか何かに書いてあったけど、翻訳した方が書いてるのかな。それぞれがいろんな国を代表しているような造形になっていてね。
坂口 あ、書いてありましたね。イギリスとか。
植本 ドイツ、フランス、ユダヤとか。
坂口 そうそう。
植本 ト書きにも書いてあって、それぞれの特徴ね。小柄で活発、浅黒く黒い髭とか。金髪で真面目で優しい顔つきとか。大男でガサついていてとか。いろいろ書いてあります。



坂口 これ、見てる人が、分かりやすいよね。すごく。それで、ロボットを作った始まりみたいなことを説明しますよね。キチガイみたいなじいちゃんがいて。
植本 あぁ、そうですね。老ロスム。
坂口 が、人間みたいなロボットを作りたいと。
植本 人間に近づけるために開発していくんだけど、そこに甥っ子の若いロスムというのが現れて、「10年かけてまだそこか」みたいなこと言って。そんなことよりも、労働力として余計なものを排除したロボットを作りたいということで。
坂口 でもその人も何か、ある時、排除されてる。
植本 はい。
坂口 で、ドミンが社長になったっていうことがありますよね。
植本 そうなんです。
坂口 この来た娘さんは21才なんだな。
植本 序幕で社長が「私と結婚してください」っていきなりプロポーズしちゃうんですけど、「もし、私がダメだったら他の5人の誰かを」って。男しかいないんで島に残って欲しいんですね。
坂口 そうですよね。
植本 この序幕の終わりとしては、彼女に男たち5人が朝食にそれぞれ得意な料理を作って現れるという。
坂口 分かりやすい。見てて、序幕で、あ、なるほど。じゃあ、本編に入りましょうっていうときに、すごく分かりやすい10年前の話だったと思いますね。



植本 そして、次、一幕に入りますけど、そうすると、社長ドミンとこのお嬢さんヘレナは結婚している。
坂口 場面はそのヘレナの部屋ですね。
植本 一室ですべて終わるでしょ? どの場面も。そこが舞台劇だから有り難い話ですけど。余計なね、大掛かりなセットを組まなくていいから。そこが近未来SFとしてはおもしろい。
坂口 部屋の窓からロボットが上がって来たりとか。
植本 後々ですけど、外の世界はロボットだらけになっていますからね。
坂口 で、一幕が10年後のヘレナの部屋ですね。
植本 ここでは、ロボットがすでにちょっとおかしくはなって来ていますね。
坂口 船がもう来なくなっちゃった。船がいつも定期的に来ていて、荷物を出したり、いろんな連絡を取り合ったりっていうのがあるんでしょうね。それがなくて不穏な感じだなぁっていうのが、一幕の始まりですね。



植本 もうこの時点でロボットは彫刻を投げて壊したりし始めて。「わたしは人間たちの主人になりたい」とか言い始める。ロボットがちょっと狂い始めてますね。
坂口 それは、誰かがそういう細工をしたんですね。
植本 ガル博士でしたっけ?
坂口 そうだ、生理研究部部長。
植本 そのガル博士が、アーティスト寄りっていうか、研究者寄りなんですよね。どんどん研究したいので、生産に役立つロボットよりも、人間に近い頭脳を与えて行くので、そういうロボットが現れちゃうんですね。
坂口 人間の手でそういう感じのロボットが出てきてしまう。
植本 開発したいんだよね。
坂口 でもそれも、社長夫人のヘレナに頼まれてやってるんだよね。みんなヘレナが大好きなわけでしょ。だから、女の浅知恵が怖いっていう。落語の志ん生の話みたいになっちゃう。
植本 むふふふ。声高にそんなことは言えないですけどね(笑)。「女の浅知恵」って久しぶりに聞いたわ。
坂口 落語とかでよく言うでしょ(笑)。
植本 (無視して)どんどん、この工場の状況は悪くなって行きます。
坂口 で、子供ができない世界になっちゃってるんですよね。人間はもう何もしなくていい世界になってるわけでしょ?
植本 それはまた、少子化問題と重なって、すごいことですね。
坂口 彼女はそういう事態を避けたいから、ロボットにもそういう感情が芽生えるようにしてちょうだいって言って。
植本 さっき言った「浅知恵」で言うと、共存を願ってるんですよね、人間とロボットのね。
坂口 それは10年間一貫して彼女はそういう考えを持ってる。ステキだと思うんですけどね。だから、微妙だよね。ロボットっていうけど、彼女の視点があるから、今の労働者がロボットに置き換えられるような目線ができてくるような気がするんですよ。この作品ができた当時も、
植本 貧富の差が激しかったみたいですね。
坂口 やっと革命が起こって、労働者が主人公になった国もあるけど、働く人たちはひどい扱いを受けていたわけでしょ。しかも作家は、そっち寄りの人なわけですよね。
植本 政府に目を付けられがちな、
坂口 人だから、たぶん、そういうニュアンスもあったんでしょうね。彼女の視点がいろいろな場面を複雑にしています。
植本 10年経ってもまだ、男どもは、お嬢さんのこと好きみたいですよね。
坂口 素晴らしいよね。



植本 二幕になると、もうね、ロボットに周りを囲まれてます。
坂口 これさ、物の本に書いてあったけど、最初は二幕で終わっているんですね。
植本 あ、何か書いてあった。
坂口 二幕で終わっちゃうと、ロボットが主人公になって、
植本 悲惨な話ですわ。
坂口 そうだよね。
植本 で、何か、アメリカとか、そこで終わってるバージョンが多いとか言ってて。ロボットの天下になって終わってる。
坂口 ここの場面ではおっさんたちが殺されていきますね。でも、読んでると殺されてる悲惨さっていうよりも、あんな風にして死んじゃったのねみたいな。
植本 この男どもがユーモアのセンスがある連中で、コミカルな部分があって。あれも何か、演出によるのかもしれないけど、事務所なり社長室なりに、ロボットがニョって飛び出してきたり、顔を出すっていうのがね、おもしろい!
坂口 ドキッとするでしょ。
植本 うん、どんどんロボットが入って来ちゃうんですけど。



坂口 二幕の最初はヘレナの部屋なんだけど、彼女がピアノを弾いてるんだね。それは、まぁ、劇的な理由もあるだろうけど、観客の気持ちをね。ピアノの曲を流して雰囲気を作って行くテクニックが上手! これから怖くなって行くのにね。劇作家としての腕の見せ所みたいな感じがしましたね。
植本 ねー。
坂口 そう、だから殺され方もおもしろい。
植本 そうなの、第一の犠牲者がお金にこだわってる人がね。あ、その前に、ヘレナが書類燃やしちゃうっていうのが。
坂口 そう、一幕で燃やしちゃうんですね。貴重な秘伝というか、
植本 ロボットの作り方ですよ。レシピみたいなものですけど。
坂口 それには感情の入ってるロボットも作れるような秘伝が入ってたのかな?
植本 そうだと思います。
坂口 そんでそれを何でか、一時の感情で燃やしちゃうんだよね。
植本 また言うんでしょ、女の浅知恵って、わははは。
坂口 ははは。これ書いたら叱られるのかな。
植本 いやいや別に(笑)。
坂口 ことわざみたいなもんだからなぁ。



植本 それがあって、じゃあ、どうしようかって中で、営業担当かな。ブスマンだっけ。
坂口 そう、あのー、ユダヤ人って言われてる人が折衝に行くんでしょ、お金持って。
植本 金持って、何とか解決できないかって言うと、まぁ、あのー、ロボットの侵入防止というか、外敵防止のために自分たちで家の周りに電圧線を張り巡らせてるんだけど、そこに触っちゃうんですね。
坂口 ここはなかなか素敵な死に方ですね。
植本 仲間が「電源を切れ!」っていうのが間に合わなくてね。
坂口 で、感電してその持ってる金に埋もれて死ぬっていう。
植本 そうそうそう、それは観客からは見えないんだけど。
坂口 これは当時の作家から見たユダヤ人のイメージなんですかね。
植本 うわー。
坂口 でもそう書いてるよね、作家はね。っていうようなことがあって。みんなそれぞれ何か。もう後の人はなんか、よく分かんない。散って行って、いなくなっちゃってましたね。
植本 刺されたりとかありましたけど、他の人で。



坂口 そんで、結局、アルクビストでしたっけ?
植本 建築士の、アルクビスト。
坂口 彼だけがロボットに救われるっていうか。
植本 まさか、序幕、一幕、二幕で、この人が最終的に主役級になるなんて、誰も思わないでしょ。
坂口 本当ですよね。すごい。
植本 お前か!って思ったんだよね。
坂口 彼は働くから救われてるんでしょ。
植本 そうそう、ロボットが、「お前もロボットと同じようなもんだから」って命を取らないですね。
坂口 彼は建築士として物を作ってるからね。だからそこらへんも皮肉な話ですよね。革命とかのね。働かないでお金儲けてるやつは殺しちゃって、働いてるやつは生き残らせるっていうのも、ちょっと意味ありげな。
植本 そうね。で、この人が最終的に主役になって、最後ね、突然、長いセリフとかがいっぱいあるんだけど。ま、それを思ってちょっと前の方に立ち戻ると、序で、男たちがヘレナのために朝食を作るじゃない? あそこでこの人だけ、「あいつは何もできない」って言われてたりとかね。
坂口 ほー、そうか。
植本 「机を並べる程度しか、あいつは何もできない」って言われてたりとか。あとはまぁ、ヘレナとの2人のシーンで、外で壁を塗る作業とかをしているので、呼ばれて部屋に入ってくるんだけど格好が汚いんですね。手とかも汚いんだけど、ヘレナが「あなたのそんな手が好き」っていうシーンがあって。ああ、そういうことか! これ伏線なんだなって思って。
坂口 なるほどね。そんで彼が生き残って。
植本 要はね、ロボットが、自分たちを生産できないんですよ、ロボットのことを。レシピを燃やされてなくなってしまったので、だから、自分たちで作れないので、人間でただ一人生き残っている建築士になんとか作ってくんない? って頼む。
坂口 でもかれは実際はできないですね。そっちの方面には疎いからね。
植本 専門職ではないので、見よう見まねで頑張ってはいますけど。
坂口 そうですね。
植本 二幕は、「ちょっと、ロボット作ってよ」ってロボットが唯一の人間にお願いしている。というところで終わっている。



坂口 三幕は工場の実験室になってますね。
植本 ここからね、新たな登場人物が、唯一の人間とあとロボットなんですよね。それも斬新っていうか…、
坂口 ロボットの中でもリーダーの人たちがいたりして。
植本 それ、前に社長室にもいたロボットだったり。例の彫刻を投げちゃったロボットだったり。政府と呼ばれているダモンも冒頭の方で一回出てきますけど。名前だけね。なんでその、ロボットが人間を殺すかっていう、そこ大事かなと思うんだけど、要するにロボットとしては人間のまねをした。
坂口 そういうことですよね。だから支配するためには、人、っていうか、
植本 排除していくっていう。
坂口 それはロシア革命とかにも言えてることで、どんどん人を殺して行くのは、そっちの目線も入ってるかもしれないですよね。作家はね。



植本 ぼく、子供の頃、SF読んでて、やっぱりアイザック・アシモフっていうところから始まってる。ロボット三原則っていうのを考えた。
坂口 それ、何?
植本 人間のことは傷つけちゃいけないっていうことだったり、自分のことも傷つけちゃいけないっていうことだったり、するんですけど、だからこの作品は、1920年に書かれてますけど、その年にアイザック・アシモフは生まれているので、その三原則ができたのは30年後なんですね。だからその三原則ができる前なので、ロボットと言えばなんとなく人を殺す? もちろん、フランケンシュタインもあったし、害を及ぼす的な、恐れられてる感じでは共通イメージがやっぱり、人の中にはあったみたいですね。
坂口 そうなんだ。言ってみれば、ロボットって言ってしまえばそうだけど、人が作った科学っていうのも人を殺すっていうかさ、良いことばっかりはないよね。生産性を上げていく、いろんな物を作るわけじゃないですか。人間は。原発もそうだけど。
植本 そうそう、ダイナマイトにしてもそうだし。
坂口 それが逆に人間に害を及ぼす物になってくるっていうのは、この書かれていることにけっこう近いっていうか、人間が本当、始末に困るっていうことですよね。それはすごいなって思っちゃいますよね。
植本 そうですね。



坂口 で、まぁ、アルクビストはいろいろ頼まれるわけですよね。いくらやってもロボットは、ロボットを作れないから。
植本 寿命がだいたい20年、高性能でも30年って書いてあった。
坂口 そんな中で、結局、彼はどうやったってできない。
植本 そうなんです。専門が建築の方なので、試験管をいろいろいじってますけどね。
坂口 あと、けっこうドラマチックなやり取りがありますよね。「おれの身体を解剖して調べてみろ」とか。
植本 ロボットが言ってるのね。
坂口 ロボットが言ってますよね。でも、それでも結局、上手く行かない。で、あれだ。
植本 もう無理だよって言って、ちょっとアルクビストが別のところに「もー無理だー!」って外に出てくのかな。そこにまた2体のロボットが出てくるんですけど、それがまた、衝撃的な。ラストに向かうんですけど。
坂口 そうだよね。
植本 あのー、自己犠牲できるロボットっていうか。言うとアダムとイブなんですけど。
坂口 愛とかそういう面倒なものが生まれてくるわけですね。
植本 この中だと、プリムスとヘレナ。お嬢さんと同じ名前を持つ女ロボットなんですけど、この2人が。
坂口 ここはポジティブな話になって行くわけですよね。
植本 ここポジティブ(笑)。
坂口 うん。ここはお互いをかばいあって、
植本 「あの人を殺すならわたしを」「あの子を殺すなら俺を」っていう。
坂口 だからアルクビストは試してるんだよね。あの、その愛をね。本物かどうかね。そんで、じゃあお前を解剖するって言うと、「じゃあ、わたしを」「俺を」って言っていって。彼の思い通りの形に。
植本 そう、で、ロボットが言うには「このドキドキって何だろう」って。すごいでしょ?(笑)。
坂口 で、どうなるんだ? 2人がどっかに行くんだっけ?
植本 「好きなとこに行け」って言われて「どこに?」「どこなりと」「ヘレナ、彼を連れてお行き」「行きなアダム」「行きな、エバ」「彼の妻になるがいい」「プリムス、彼女の夫になるがいい」って言って、2人を残して、最後、建築士の長いセリフで終わります。
坂口 あ、なんか解説に書いてあった。彼は神の、主?
植本 主っていうものがあるとしたら、その上に神があるんじゃないか。その役割をこのアルクビストに背負わせてるんじゃないかって。
坂口 なるほどね。ああ、そうですね。ロボットのヘレナがね、夢に見たっていうか、「小さな家と庭があって、それに犬が2匹」うんぬんっていうね。小市民の可愛い夢見る世界がこのロボットにあるんだよね。
植本 すごいね。何かが芽生えたっていうか。
坂口 そうそう。これはこれで、また面倒ですけどね。
植本 感情の芽生えっていうんですかね。



坂口 でもそれはさ、あいつが作っておいたからでしょ? ガルだっけ。
植本 そう、ガル博士が。
坂口 ヘレナにそそのかされて。
植本 いろいろ試して作っちゃったんだよね。
坂口 そうそう、ここで「女の浅知」が生きた(笑)。いろいろ言ってすみませんでした!
植本 本来ね、ロボットたちはみんな同じ顔をしてるんだけど。ガル博士は研究、いろんなことがしたいから、それぞれね、いろんな顔をさせたりとか、格好をさせたりとかね。
坂口 はい。
植本 元々は男女差がないロボットなんだけど、そこにいろいろ差を生ませていたりっていう。
坂口 そうか。それで、最後にアルクビストが聖書の一節を読むんだね?
植本 はい。
坂口 「神は人間を自らの姿に」って。 これ、あれだよね。2人が何もないところで生き残るっていうのは、地蔵中毒と同じだね。
植本 そうなの!? まさか地蔵中毒が出てくるとは思わなかった(笑)。
坂口 いやいや、今、原稿作ってるんだよ、遅くなってゴメンね(12月26日時点の話です)。で、読み返してみたらさ、最後すげぇ混乱して、うどんが流れ込んだりしてみんなが死ぬわけ。そうするとさ、子供の頃貧乏だった幼なじみの2人が生き残ってね。男の方が女にたのまれてね、真実を嘘で塗り固めるために嘘を言い続ける女をコンクリートで殴り続けて終わりになる。ストイックですね(編注:この部分はあくまでも個人の感想です)。
植本 そこに持ってくるとは思わなかった(笑)。
坂口 (笑)。
植本 でもこれさぁ、100年前に書かれていて、後の作品への影響力はすごいよね。
坂口 そうですね。
植本 『ターミネーター』とか、『ブレード・ランナー』にしてもそうだし。『AI』っていう映画もあったし。
坂口 そう言えばそうですね。
植本 ロボットの反乱っていうのは、今となってはありふれた題材ですけども。当時としてはね。
坂口 ロボットの反乱っていう意味ではさ、こっちの方が圧倒的に社会性があるっていうかさ、寓話って言ったら分かんないけど。守備範囲が広いかも。ほかの作品はもっとディテールでおもしろい真理が描かれてるとは思うけどね。
植本 そこはやっぱお国柄っていうか……。
坂口 時代?
植本 時代だね。
坂口 (写真を見て)これロボットですね。
植本 ね、そうそう、みんな胸に番号が書いてある。
坂口 これかわいいよね。写真見てるとすごいなんか、こう。
植本 当時のね、今、上演するとしたら、どういうのが正しいのかなと思って。この作品ね。なんか、築地小劇場でやってるのかな。
坂口 すごいよね。当時の彼らの新しがり屋。情報が今のようにすぐに手に入らない時代だからこそのチャレンジ精神ですね。



植本 今、やるなら逆にレトロにやった方が正解なのかなぁ。
坂口 ねー、なんか、ロボット物というとピカピカ光ったり、ピッタリとした細いタイツみたいな服装になったり。
植本 (吹き出す)細いタイツって何だ!?
坂口 なんか、違うけどさ。でも、この、この雰囲気は出ないな。日本人がやっても。ね。どの写真見ても、
植本 いいよね。
坂口 本当に素晴らしいし。この挿絵、
植本 舞台のスケッチですね。お兄さんが手伝ってるみたいだね。
坂口 なんかすごくいわゆるモダンな感じで書かれてますよね。んーー、でもこれヘレナがなぁ。いかにも…
植本 何、ちょっとかわいくないってこと?
坂口 うん(笑)。
植本 ちょっと何て言うの? でっぷりなさっているからね。
坂口 まあ、可愛いから真ん中にいるっていうのもなにだからね。
植本 これね、ブックレビューみたいなのあるじゃないですか。ネットで。
坂口 はい。
植本 それ見ると、おもしろいのが、SFファンが読んでて、戯曲だっ! ロボットっていう言葉の始まりが戯曲だったっていうことに驚いている人がすごく多くて。戯曲だから読みやすいっていう人も多かったですね。
坂口 あ、分かりますよ。ぼくむかしそれで戯曲にはまったから。
植本 基本、会話で成り立ってるじゃないですか。
坂口 そう! めんどくさくないし、自分でイメージが作れる。
植本 で、あと、うれしかったのは、演劇人からするとね、実際に舞台で見てみたいっていう人が多くて。
坂口 ほー、ぼくはあんまそうは思わないけどな。
植本 わはははは!
坂口 これー、けっこう白けるよね。
植本 舞台、そんなに普段見ない人がそう言ってくれるのは、うれしいでしょ?
坂口 うー、そうか。
植本 それで見てくれるならさ。
坂口 いいよ、芝居は。
植本 えーへへへ、お客さん来てもらわないと!
坂口 わははは。あー、そう。でもまぁ、確かに、ドラマチックな部分っていうのはあるよね。死ぬとこ確かに見せない、大群も見せないけど、なんかこう、場面場面で、おもしろく作れるかなぁっていう気は。
植本 ね、ロボットの行進のSEとかさ、かっこいいじゃない。ザッザッザって。
坂口 かっこいいと思う。最初の場面とかも、本当に変化がないけど、社長とヘレナお嬢さん、夫婦になる2人の会話とかもね。なんか、すごく素直に読めた。
植本 孤島だからさ、海の、波の音とかも入れるでしょ。
坂口 はははは。いいんだね、気に入ったんだね。
植本 楽しかったです。



坂口 じゃあ、作るか!
植本 えんぶで!?
坂口 いやいやいや、今、役者の人とかがさ、気まぐれに作品作りとかしてるじゃない。
植本 全然、賛成してないじゃない、それ。気まぐれって。
坂口 いやいやいや。もう、そうとう。
植本 でもこれ、ちょっとコメディタッチで作れるね。
坂口 作れる。全然大きな劇場じゃなくてもいい。駅前劇場で作れると思う。
植本 全然いいと思う。
坂口 じゃあ、近いうちに、植本さんもいろんな芝居に出演してお金も貯まったろうから、駅前劇場でプロデュース公演があるかもしれないっていう。
植本 わはははは! いやいや、もうちょっとみなさんの声も寄せていただいてね。
坂口 ネットで100人集まったらやるとかいうやつ。
植本 見たいっていう声を期待して。
坂口 そんんときは主役をやっていいから。
植本 パトロンとしてえんぶさんに頑張っていただいて(笑)。
坂口 頑張るよ!
植本 ヤッター! わはは。
坂口 昔、演劇やって大損した経験もあるからね。それを活かしてね(笑)。おもしろい舞台を作りましょう!
植本 はい、というか、これ本当に読みやすい戯曲なので、みなさんぜひ手に取っていただいて。
坂口 訳者が違うけど、青空文庫で。
植本 そうなの! それ後で気づいて。昔の作品だから青空文庫に入ってる。
坂口 でもこの文庫本は新しい訳なんでしょ。
植本 いくつも出てるみたいですけど。
坂口 興味のある方は、青空文庫でタダで読めるので、ぜひ読んでみたらいいですね。
植本 でもこの岩波文庫のやつは当時の写真がのってます。
坂口 いいね、本当に。
植本 ぜひこれ見てもらいたい。
坂口 でもネット見てたら、舞台写真1枚出てました。それはすごい雰囲気が出てました。
植本 ぜひぜひお読みください。
坂口 今回は素晴らしかったね。
植本 楽しかった!

植本 純米

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うえもとじゅんまい岩手県出身。89年「花組芝居」に参加。以降、老若男女を問わない幅広い役柄をつとめる。主な舞台に東宝『屋根の上のヴァイオリン弾き』劇団☆新感線『アテルイ』こまつ座『日本人のへそ』など。

【出演情報】


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音楽劇『ライムライト』
原作・音楽◇チャールズ・チャップリン
上演台本◇大野裕之
演出◇荻田浩一
出演◇石丸幹二 実咲凜音 矢崎広 吉野圭吾 植本純米 保坂知寿 ほか
2019年4月4/9~24◎シアタークリエ 地方公演あり
公式サイト:

http://www.tohostage.com/limelight


坂口眞人

さかぐちまさと○84年に雑誌「演劇ぶっく」を創刊、編集長に就任。以降ほぼ通年「演劇ぶっく」編集長を続けている。16年9月に雑誌名を「えんぶ」と改題。09年にウェブサイト「演劇キック」をたちあげる。

(文責)坂口眞人




▼▼▼えんぶ2018年12月号にて『つちふまず返却観音』出演者ほぼ全員座談会掲載!▼▼▼

えんぶ最新号紹介ページ



★話題の舞台を“お得に”観る!割引チケット販売中!http://www.tohostage.com/limelight
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大谷皿屋敷(劇団地蔵中毒)『つちふまず返却観音』

大谷皿屋敷のコピー

植本 この台本は世に出てないんでしょ。
坂口 ちょうどね、前の号で取材をしたときに、やってみようかなって思って。大谷さんに聞いたらいいって言うから、データもらいました。
植本 ぼくが不勉強なだけで、注目されている劇団なんでしょ?
坂口 もう、それは! …お客さんは少ないんですけどね。
植本 それは…そうなんだ(笑)。
坂口 賢い人は注目してますね(笑)。
植本 あ、アンテナ張ってる人?
坂口 うん。もう、ね、アンテナ張ってるって言うか、ほんまもんが観たい人かな。
植本 だって、えんぶって言ったらね、青田買いって言われてるくらい。
坂口 へへへ、どこが、誰が言ってるのさ。
植本 ふふふ。
坂口 そうなんですよ。なんとも言えず、こう、…まずは台本読まれた感想からお聞きしましょうか。



植本 いや、これはさ、このコーナーでね、取り上げるの全然構わないんだけど、どう評したり、感想を述べたらいいかっていうのは、なかなか難しいじゃないですか。
坂口 はあ。
植本 ストーリーとか言えないから。
坂口 そうね、断片、断片で次々にコントのような話が繋がって、いくというか、いかない。だけど途中で、あ、この人、前にも出てきたっていう、ある流れがわかってきて、だんだん繋がって行くわけですよね。エピソードが常に交互に出てくるから、よく分からない。でも、最後の最後ですべての物が、…こう。
植本 え、それ何か、深読みする感じ?
坂口 全然、全然。深読みしてないですよ。出来事そのものですよ。
植本 収束して行ってる感じというか、もう、最初からハイテンションでグワーッていき始めるけど、最後、どんどん加速していくじゃない。
坂口 はい。
植本 で、ウワー! って言ってる間に終わる?
坂口 そう。
植本 そこのさ、登場人物も個性的な名前だなと思ったら、みんな役者さんの名前なんだね。
坂口 そうなんですね。本名…。
植本 本名っていうか、芸名ね。
坂口 そうか、芸名か。



植本 だから不条理の連続っちゃ、そうですわ。
坂口 で、コントっぽいって言えば、コントっぽいですね。
植本 何て言うんだろう、寄席のめくりじゃないけど、例えば「募金」「ライオン・キング」「海の家」とかお題のような感じで、各章のタイトルみたいなのがついてるんですけどね。
坂口 その中で、台本読んでると本当にしょうもないことがずーっと書かれているじゃないですか。でもそのしょうもないことが、しょうもないことだけわざわざ選んで書いてるような台本が、段々に一つの話に集約されていく、しかも笑いも含めて、ギャグっていうのかな。も含めて、何か、ぼくの中ではね、妙なリアリティを持ってくるんですよ。
植本 ふふふ。そのへん、詳しくどうぞ。
坂口 いや~。すごくおもしろい! って思うんですね。
植本 すごいことじゃない? これ。元々は芝居を観ておもしろいと思ったわけでしょ?
坂口 はい。
植本 実際、台本をお借りして読んでみたら、おもしろさは失われてないわけでしょ?
坂口 全然失われてない。細かい作者のしょうもないこだわりがとてもたのしい。
植本 それ、すごいことじゃない!



植本 2回ご覧になってるの?
坂口 3作品かな。
植本 もう、3つ観てるの!? すごいファンだわ。
坂口 ・・・。
植本 3つの作風は似てるんですか?
坂口 確実にやっぱり、何だか分かんないけど、成長してるって言ったら、言ってる自分が偉そうすぎるけど、明らかに…。
植本 でも旗揚げからの期間を考えると、まだそんなに経ってないですよね。
坂口 そうですよね。この集団がこのまま大きくなって、いろんなね、有名な劇団みたいになるとは思ってはないけど。
植本 あとは劇場双六みたいにね。
坂口 そうそう。
植本 スズナリから本多とかね。
坂口 でも、そんなことはどうでもよくて、とにかく今、とてもおもしろい。っていうところが、やっぱり魅力的かなぁとは思いますよね。



植本 大谷皿屋敷さんて、プロフィールとかインタビュー記事を見ると、北海道の方だね。
坂口 はい。
植本 北大出身で、落研で、全然演劇とか知らなかったって書いてあって。お客さんからは、初期の大人計画のにおいがするみたいなことを。ご本人もちょっと、影響を受けたっぽいこと言ってらっしゃいましたけど、でもお客さんからそう指摘されても、自分からは言えないって。
坂口 まぁ、それなりに、いろんなところの影響を多少は受けてるんでしょうけどね。でもやっぱり演劇で、の影響をあまり受けてないっていうか。演劇なんて、こんなもんって言ったらおかしいけど…。影響受けてないところが、一番魅力的なのかもしれないですね。
植本 過激さ、良い意味の暴力性もあるじゃない。時代、時代でそういうところって出てくるじゃない。たとえば、ハイレグジーザスが出てきた頃とか、もちろん、大人計画もそうだし、ポツドールとか。最近だと解散しちゃったけど、犬と串とかもそういう感じがして。そういうところで生まれてくるんだなって思った。
坂口 そうですね。必ず何か次の表現が生まれては来ますよね。それが歴史って言うもんだから。
植本 ははは。どうした、急に名言を吐いたぞ。
坂口 ふははは。
植本 ま、あのー、言うとね、役作りとか、役の気持ちとかとさ、縁遠いところに、対極にあるよね。
坂口 ところが、彼らは、ものすごく役作りとかね。このナンセンスな下ネタ満載のお芝居で、そういうこと意識して作ってますよ。
植本 それ、聞いたの?
坂口 観てても思いますよ。
植本 へーーーー。
坂口 いやいやいや。
植本 たとえ、腕が炙りベーコンに変わってもね。
坂口 そう、炙りベーコンに変わった人の役作りをしてるわけですよな。よくわからないということも含めてね。
植本 へへへ、素晴らしい!



坂口 もうちょっと台本の話をしていくと、いくつか塊があるじゃないですか。まず、最初は礒村君か。あ、これ取材したときの表。

#編注 巻末に取材時に作った構成表を入れました。ここまでの、そしてこれからの話があまりに断片的なので、少しは芝居の様子が、少しでも知りたいと思った方は、ぜひ読んでみてください。

植本 へへへ、何これ? こっちで書いたの?
坂口 構成表。そう。
植本 ほほー。
坂口 だから礒村君の話があって、礒村君はウソの募金で暮らしを立ててるんだよね。300円のカップ焼きそばが食べたいからね。
植本 アフリカのワクチンってやつね。
坂口 彼が放置自転車置場に自転車を取りに行くと、いろいろな出来事が起こるっていう。駐輪場の中村っていう女性の管理人と礒村君の健全なエロ話みたいな関係が一つ、ありますよね。もう一つは、お父さんとお母さんが不倫してて自殺しちゃう、超貧乏な幼なじみが出てくるでしょ。あと、看板の文字が盗まれる東日暮里西動物園。
植本 あぁ。(あまり気が乗ってない)
坂口 の3人組が、大宮君とシオザキ君と常連客のフルサワさん。
植本 出てきた出てきた。
坂口 があるでしょ。あと、結婚式の3人がいるでしょ。子供の頃メルカリで買われちゃって、結婚しなきゃなんないっていう、hocotenと関口と武内君。
植本 それ、役者さんの名前だからね(笑)。登場人物のように言ってるけど。hocotenね。はいはい。
坂口 がいる塊があって。まだあるんですよ。海の家を運営している、東野君とかませ君だっけ。でそこに登場する先輩、立川がじら。落語家さんなんだよね。
植本 実際にそうなんでしょ。立川流なんでしょ。
坂口 そう。テレビでちょっとだけ見た。落語やってました。
植本 へー、そうなんだ。
坂口 もう一つは屋代さんっていう、それこそタイトルロールだよね。つちふまず…なんだっけ。
植本 そうそう、おれ、タイトル言って無かったね。
坂口 そうね。
植本 『つちふまず返却観音』無教訓意味なし演劇vol.8ですわ。ふははは。
坂口 だから、そうです。彼が夢遊病を発症したときに、つちふまずを集めて、固めて保管する。
植本 そう、すごい。
坂口 気がない返事ですね。リアリティのあるシーンだったでしょ?



植本 大谷さんご本人的には、誰かに似てるとか言われるのはすごく嫌かもしれないけど、最後の夢遊病の人が、つちふまずを集めて、固めて、それが鶴になったりするじゃない。で、その鶴がインターネットだったりするじゃないですか。もう、野田秀樹みたいだなと思ったよ(笑)。昇華していく感じがね。
坂口 彼らは多分、野田秀樹は知ってるけど、影響は受けてないと思うよ。


##編注(以下、台本より引用)

 屋代、夢遊病みたく起き上がって

がじら「ああ! 夢遊病だ!」
屋代「返せ! つちふまずを! つちふまずを返せ!」
東野「なにいってるんだ! 各々のつちふまずは、各々の物だ! お前のつちふまずじゃな
い!」
屋代「いや! 世界中のつちふまずは、もともと俺の物だったんだ! つちふまずを発明したのは俺だ!」
かませ「やっぱり、やばいやつだったんだ!」
屋代「そもそも、ない部分がつちふまずだろ! そう! あるのにない! それがつちふまずだ! だから 、つちふまずは、お前のものでも、俺のものでもない! つちふまずは実態を持たない! でもある! そう! インターネットと⼀緒だ! インターネットは嘘!つちふまずも嘘! つちふまずとは、インターネットだ!!」
東野「暴論の極みだ!」
屋代「さあ! 仕上げだ! ホレ!」

 ⼀同、苦しむ

かませ「ああ! みんなのつちふまずが…回収されて⾏く!」
フルサワ「ああ! 扁平⾜になってる!」
東野「ああ! 世界中のつちふまずが固まって…」

 つちふまずを固めて作った鶴、登場

⼀同「鶴になった!」
屋代「そうさ! これは、つちふまずを固めて作った鶴! そして、これが、インターネットの正体さ!」
⼀同「ええ!」
フルサワ「これが…、インターネット…」
屋代「そうさ!これが、つちふまずを集めた時に起こる奇跡さ!つちふまずが固まって鶴になるという奇跡さ! さあ! ⾶ぶんだ! つちふまずを固めて作った鶴よ!」

 つちふまずを固めて作った鶴、⾶ぶ

(以上、台本より引用)



坂口 飛び飛びの話が、ある時点でひとつになっていって、最後、何か大きなテーマみたいなものが見えてくるけど、見えてこないみたいな。それが乱暴にみえる展開のなかで、下ネタとギャグがバイオレンスにあって。ぼくはいったい何言ってるんだろうね、、、でも、ずーーと作品を通して出てくる人たちは愛らしいし、おかしいし、真面目で真摯だし。そういう部分では、台本より生の役者を見た方が圧倒的だね。
植本 台本を読んでるだけでも、スピード感とか疾走感とかはすごくあって。で、まぁ、何となく、見たことはないけど、上演もなんとなく想像はできるんです。このくらいのスピードで行くんじゃないのかなって。それって、全編がそうだから、逆に緩急っていうところではどうなの?
坂口 やっぱりちょっとだれる場はあるから、それが緩かな。
植本 ははははは。



植本 単語のチョイスとかが、俺でもよく分かるからそんなに若い方ではないのかなと思ったんだけど、実際には、
坂口 よくわかりませんが、30歳前後くらいですかね。
植本 なかなか単語っていうかさ、タレントの名前が、芸能人とかけっこう年のいった人が何回も出てくるからね。
坂口 そこらへんの引っ張ってきかた、世の中の出来事の引っ張ってきかたが絶妙っていうか。
植本 言葉のチョイスはまるっとセンスだと思うのでね。芸能人出すにしても、名前を出すっていうのは、危険をいっぱい孕んでるでしょ。
坂口 はい。
植本 ま、ま、ま、いい意味でも危険はいっぱいだし。言うとね、下ネタも満載っちゃ満載。実際の舞台ではどうやってるのかは分からないですけど。えんぶに載ってた写真を見て、あ、これはこういう感じかなって分かるけど。
坂口 まぁ、まぁ、頻繁に出てきて、それが決してメインテーマではないけど、話の流れの重要な部分を、何て言うの? 流れて…。
植本 何て言うんだっけ、そういうの。通奏低音だっけ。
坂口 音楽で言うとね。やっぱそれは叙情とユーモアとエロとバイオレンスみたいのが。何だろう…。かわいいエロってアングラの王道ですよね(笑)。



植本 ギャグ的なセリフを誰かが言うじゃない? そしたらその後に次の人も繰り返す、で、普通だったらそこで終わるんだけど、もう一人くらいは繰り返すんですよね。
坂口 けっこうありますよね、そういう部分。
植本 押しが強いんですね。その部分、笑いのところに関して言うと。それは劇団なり、大谷皿屋敷さんの特徴なんだろうなと思いながら読みました。
坂口 繰り返しの連続だし、何かが起こっても知らんぷりしてそのまま進んでいっちゃうとかね。そういうのが、どんどん積み重なって。
植本 あと一瞬しか出てこない人たちとかが。桑田と長渕とか。野球選手に覚醒剤を売った人とか。
坂口 そうそう、上野のブラックジャックっていう浮浪者のおっさんとかが出てくるでしょ。本物との共通点は無免許。
植本 おもしろいね。
坂口 だからね、でもあれじゃない。貧乏な子供2人の話とか途中で入ってきて、切ない話でしょ?
植本 つらい話ね…。ふふふふ。
坂口 草喰ってお腹を満たしたことにして。そして最後がいいでしょ?



植本 よかった、よかった。終わり方もいいしね。
坂口 鶴がインターネットの本体。ドトールのフリーWi-Fiに、武内君のお腹の穴が繋がっていて。
植本 そうそう、それ本番でどうやってたのかなって。
坂口 よく覚えてないです。
植本 身体の中の穴、どうしてたんだろうなって思う。
坂口 その穴が繋がってて、自分の動物園を持つことが夢の飼育員大宮が、フルサワにそそのかされて、どんどん動物園の動物を放り込んで。みんなが猛獣にかじられて死んじゃうっていう話の中で、横ではセックスしてるやつがいたりするわけでしょ。
植本 だから、深読みする人もいるんだろうなと思ったりするんですよね。
坂口 最後はインターネットの鶴を汐崎がはたき落として、全てがなくなった世界で貧乏だった幼なじみの二人が生き残るんですけどね、嘘をつき続けるためにコンクリートで女の顔を殴り続けるという。
植本 もしかすると大谷さんが深読みできるように書いてるんだろうけど。
坂口 本人はたぶん、言わないけど、ある程度はそう書いてるかもね。
植本 ご本人がそう書いてるとして、それ以上に深読みする人が出てくると、作品としては成功なんだろうなとおれは思ったよ。



坂口 それはそうなんでしょうねぇ。今でこそ、そういう風潮は減ってるけど、昔は深読みのおもしろさみたいのは、特に映画評とかね。昔は評論そのものが芸になってました。
植本 ご本人自身が、ホームページを見てもそうだし、インタビューとかを見てても、まぁ、煙に巻いているから。こちらがね「これって、こういうことなんでしょ?」って言っても、ご本人はそうって決して言わないかも。
坂口 そうですね。だからそういう意味では、インターネットや性に関する意見とか、暴力に関するこだわりとか、そういうのはある程度はね、頭の中にないと書けないじゃないですか。この戯曲の中にもそういうことが一杯はめ込まれてはいるとは思うけど。そんなことよりは観てるときは、やっぱりとにかくおもしろがって。おもしろがって観れるような台本を作ってますよね。
植本 はい。エンターテインメントだとは思いますよ。こういう演劇が出てくると、演劇元気だなって思われるところがあるんじゃないかなと思って。
坂口 これ、ダメだよ! 戯曲の話になってないじゃん!
植本 なってる、なってる。全然大丈夫!


##構成表(以下は取材のためのメモです。実際のお芝居とは違っている場合がありますので、ご注意ください/文責・矢﨑)

【シーン名(場所)内容】

1、募金(路上)
募金活動をしている礒村。300円でワクチンが・・・とか言っているが、実は生活費を稼いでいる。

2、ライオンキング(ラブホの一室)
「アフリカ!」「アフリカ!」などと大陸名を連呼している女。水を張った洗面器に女の顔を浸けて窒息させて幻影を見させる男。男はコミュニケーションがうまく取れない女と、なんとか事に及ぼうとしている。

3、海の家(海上、砂浜、海の家)
仲良く波乗りしている男2人は海の家の店員?。水着女子3人をナンパ(客寄せ)し、あわよくば・・・と思いきや、ネギ塩温玉牛丼で毒殺。

4、東日暮里西動物園(動物園)
世間話をしている常連客の女フルサワと飼育員の大宮のもとに、動物園の看板の「物」の文字がなくなったと報告に来る同僚の汐崎。

5、うどん(カズマとほうぼの家/居間)
両手に溶けたチョコを握ってクイズを出すカズマとほうぼの団らん。うどんの様子を見に台所にほうぼが行った隙に飯野が登場。「御社の福利厚生」についてしつこく聞く。カズマの身に危険が迫ったとき、台所から悲鳴。うどんがうどんじゃなくなっている。なぞの男(がじら)が「もうお前のうどんはない!」自分は「そば派だ」と言い残し去る。

6、結婚式(披露宴会場)
和やかな口調と表情で司会・進行を勤める武内。何年か前にメルカリで6万円で買った娘を育て上げ、15歳年下の妻とし、得意満面の関口。途中、武内の妻が登場し、最後は夫婦交換セックスとなる披露宴。

7、違法駐輪(違法駐輪預かり所)
前世の報いとして違法駐輪預かり所できまじめに働いている女係員の中村。返却時間に遅れて現れた礒村にむべなく対応するが、あまりの哀れさにサドルだけ返却。サドルのつぶれたクリームパンの事情を話し、オナニーをする中村。その行為によって出てきた金貨を礒村にあげたところ、「お礼にいいところに連れて行く」と中村を連れ出す礒村。

8、お供え(浜辺)
子泣き爺を背負ったかませと東野。無理がたたって足腰に支障が出たたため、トゲトゲの中にある皇潤を飲む。皇潤を手に入れるため、東野は腕の神経を抜く。そこに水着女子を持ったがじらが登場。海に供えて、熱心に祈る3人。

9、泥棒(動物園)
胸ポケットがなくなり、乳首が見えるシャツとなり困っている汐崎。昔話で応戦するフルサワ。そこに「大変だ!」と言いながら両肩から大きな爪の生えた大宮が登場。「大変!」なのは、動物園で盗まれた品がヤフオクで売られていることを見つけたという。

10、マンガ(カズマの家/仕事場)
締切の修羅場中の仕事場にほうぼが編集者を案内。新連載など朗報がもたらされると家が燃え出す。カズマは良いことがあると必ず災いが起こる体質なのだ。

11、ダンス(関口の家)
いい服を着て、いい物を食べて、英語をマスターして知花くららのような世界に通じる美人になるようhocotenを諭す関口。「庶民のままでいい」と主張するhocoten。そこに社交ダンス帰りの武内夫妻が踊りながら登場。関口夫妻を上から目線でバカにする。

12、ニューヨーク(ラブホ前→屋根裏)
ラブホに入るのを嫌がり、腕を舞台を一回りするくらい伸ばす中村。何とか磯村の住居の屋根裏に侵入。いくつかのやり取り後、中村の膣の中にいる「性欲のライオン」が目覚め、通りすがり?の男の生首を手に入れ(殺し)てしまう。悔やみ苦しむ中村の膣の中から「助けてくれ」という声がする。シーンの最後に白塗りの男女が登場。(短歌入る)「母の日に 肩たたき券を 贈呈し カツオ君かと 母が笑った」

13、窃盗(動物園内の一室?)
テレパシーで世界中に居る仲間に隣に住むキチガイばばあの動向を報告し、不幸を祈る汐崎。そこに大宮が登場。視神経と嗅覚の神経の入れ替え手術をかけ、指スマをする。フルサワが大宮の私物や看板など動物園で盗んだ品をネットで売っていることがばれ、開き直る。「世界を全部インターネット化するんだ。一人Amazonになるんだ!」

14、金槌(イオンの駐車場→屋代家の玄関)
イオンの駐車場で酒盛りをしている若者3人に「自慢話をしていいかな」と声をかけてきたパジャマ姿の中年男屋代。若者たちが邪魔するなとまっとうな対応をしていると「貸した物を返してもらおう」と「つちふまず返却観音」となり、3人を金槌で殴り殺す(ダンス風あり)。つちふまずを回収した翌朝、スーツ姿で家族に見送られて出勤する屋代。

15、女王(東銀座の路上)
派手な格好で派手に買い物するhocotenにこき使われている関口は、みずぼらしい。アシカに股間を噛まれ、役立たずになったため、hocotenに虐待されている。そこに武内が登場。武内にまとわりついたhocotenは、武内の胴体に大きな穴があることを発見。理由を述べる武内。

16、不倫(ラブホの一室→2人の小学校時代の家など)
「アフリカ!」と言っているほうぼに、2万円バーガーを支払い、気持ちよくしてもらおうとしている大宮。そこに礒村が屋根裏から現れ、ほうぼと15年ぶりの再会を果たす。(以下、回想シーン。貧乏で、草を食べては吐き、空腹を紛らわしていた2人の両親は不倫をしており、ほうぼの家で首を吊っていた。それを見た礒村は「ぜんぶ嘘にしようとニッパーとニンジンを持たせ、ほうぼにもあやとりの途中のやつを握らせる)「見せたい物があるから来いよ!」

17、海坊主(浜辺)
夕暮れ時?、バイト先の鍵をなくし、浜辺で黄昏れているかませと東野。なかなか会えない海坊主に思いを馳せている。がじらがドエロちゃんとともに現れ、揚げ物の衣を二人に振る舞う。そこにパジャマ姿の屋代が登場し、海砂利水魚の昔の名前を教えてあげる、と話しかけてくる。みんなが相手にしていないと、興味を持った女が話しかけ、耳に「モニョモニョ」され殺される。そこに、桑田と長渕が登場し仲直り=奇跡が起こる。「つちふまずを集めると奇跡が起こる」という屋代に、「奇跡は何か?」興味を持った男たちが詰め寄るが、「おまんじゅうを食べる時間だ」と言い、マイペースでおまんじゅうをもくもくと食べ続ける屋代。

18、出会い(汐崎の家?)
テレパシーでフルサワを亡き者にしようと呼びかける汐崎に、「それはインターネットでできる」と教える飯野。飯野も超能力者だが、本来の姿は炙りベーコン。

19、移動動物園(動物園)
大宮の夢を叶えられると説得するフルサワ。空間に穴を空け、ドトールのWi-Fiにつないたので、そこに動物を入れるよう、大宮を説得成功!穴の先から「奴隷TVの声(武内とhocoten)」が聞こえてくる。

20、性獣(渋谷ヒカリエ)
ゴミをあさり、捨てられたピザに女子高生の靴の中敷きを挟んで食べている小野に、ドすけべど根性ガエル姿でぶつかり、いきなりフェラ→セックスする中村。あまりの気持ちよさにおもわず側転してしまう小野。互いの身の上を語り合い、膣の中のライオンを殺してくれと頼む中村。

21、意気投合
つちふまずを集めるために人を殺す屋代と、私利私欲のため海坊主に若い女を殺し捧げるがじら、東野、かませは「私利私欲のために気軽に人を殺す」者として意気投合! 楽しく「愛しているよ」ゲームに興じている。

そこに、奴隷関口の動画撮影中のhocotenと武内が乱入。混乱のなか、hocotenが撃った麻酔銃が誤って屋代に当たり夢遊病を発症して、つちふまず返却観音になり、一同のつちふまずを回収し、鶴を作り出し、これこそがインターネットの正体だと宣言する。

一方、膣の中の獣を殺すため、小野が進入した中村の膣の中は、武内の腹の穴の中、フルサワがドトールのWi-Fiにつないだインターネットだった。フルサワにそそのかされ、動物園の猛獣をインターネットの穴にどんどん放り込む飼育員の大宮。中にいた人たちは猛獣にかじられ血まみれ。

さらに小野とセックスをしている中村が小野の漫画を読むと金貨が振ってきて、小野の仕事がうまくいったこととなり、火事が発生。そこに海が流れ込む! ドサクサで一同の屍をお供えすると巨大な海坊主が現れ、がじらの願い(=世界中のうどん撲滅)がかない、でっかいきしめんが流れ込んでみなに絡みつく。

世界中がインターネットに吸い込まれ、世界中が全部空っぽになったときインターネットに恨みを持つ汐崎が現れ、鶴=インターネットの正体を破壊する。全てがなくなり、礒村とほうぼの2人だけとなった世界。真実を嘘で塗り固めるために礒村に自分の顔をコンクリで殴ってとたのむほうぼ。血だらけになりながらありきたりの嘘を言い続けるほうぼを、殴り続ける礒村。


植本 純米

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うえもとじゅん岩手県出身。89年「花組芝居」に参加。以降、老若男女を問わない幅広い役柄をつとめる。主な舞台に東宝『屋根の上のヴァイオリン弾き』劇団☆新感線『アテルイ』こまつ座『日本人のへそ』など。

【出演情報】


mainのコピー

音楽劇『ライムライト』
原作・音楽◇チャールズ・チャップリン
上演台本◇大野裕之
演出◇荻田浩一
出演◇石丸幹二 実咲凜音 矢崎広 吉野圭吾 植本純米 保坂知寿 ほか
2019年4月4/9~24◎シアタークリエ 地方公演あり
公式サイト:

http://www.tohostage.com/limelight


坂口眞人

さかぐちまさと○84年に雑誌「演劇ぶっく」を創刊、編集長に就任。以降ほぼ通年「演劇ぶっく」編集長を続けている。16年9月に雑誌名を「えんぶ」と改題。09年にウェブサイト「演劇キック」をたちあげる。

(文責)坂口眞人




▼▼▼えんぶ2018年12月号にて『つちふまず返却観音』出演者ほぼ全員座談会掲載!▼▼▼

えんぶ最新号紹介ページ



★話題の舞台を“お得に”観る!割引チケット販売中!http://www.tohostage.com/limelight
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ファブリス・メルキオ『ブリ・ミロ』

Fabrice_Melquiot

植本 今回はファブリス・メルキオさんの『ブリ・ミロ』。
坂口 フランスの方ですね。知ってました?
植本 いや、全くノーマークですわ。
坂口 タニノクロウさんがやってたんですね。
植本 6年くらい前ですね。知りませんでした。なんでこれを?
坂口 本屋さんで次のネタを探していて、お芝居の形がモノローグとダイアローグでできていて、面白そうかなと。
植本 混ざり込んでるというのか、会話の途中で突然客席に向かってセリフを言いますね。
坂口 そう。その部分はモノローグですよね。自分の心境の説明とか、場の説明を登場人物がそのまま客席に向けて語る。で、また、すぐ普通の会話に戻る。
植本 知らなかったけどかなり有名な方なんだね。youtubeとか見るとそれの舞台の映像も見れますね。
坂口 あ、見た?
植本 見た。あとそれの予告みたいなの作ってる団体とかもあって。そういうの見るとカラフルな舞台でやっぱり会話の途中で、俳優が一人でお客さんの方に向かってる映像ありましたよ。
坂口 あとは普通に芝居しているの?
植本 はい。
坂口 ちょっとね、いまどきでは風変わりなお芝居ですね。



植本 この方は1974年生まれで、この作品の初演は2003年ですね。で、お話は主人公ブリ・ミロが生まれるところからスタートします。
坂口 あ!お父さんとお母さんが出てきてね、で、お父さんはでっかい。
植本 そうです。
坂口 屠殺、、、
植本 元々肉を捌く人、、、
坂口 「牛の頭に斧を下ろして牛を殺す。」みたいなことが書いてありました。屠殺人ですね。だからデカくていい体してるお父さん。ダディ・ロトンド、ですね。
植本 お母さんがビノクラ。こちらは極度の近視。
坂口 名前は意訳すると眼鏡ママって書いてあるからそういうことなんだよね。
植本 主人公のブリ・ミロっていうのも太った眼鏡(笑)、だから、、、
坂口 これでいうとデブ近眼。そのまま名前になってる。
植本 それは親がつけたんですよ、わかりやすいようにね。
坂口 お父さんは、、、
植本 ニュアンスを意訳すると太っちょパパ。お母さんの方が眼鏡ママ。で、主人公のブリ・ミロっていうのがその両親の特徴をそのまま受け継いでいる、太ってて視力が弱い、という。



坂口 そうですね。これ思ったんですけど。これフランス語で読んだら倍面白い。
植本 (笑)。それ言ったら身も蓋もないですけどね。
坂口 そうですね(笑)。
植本 でも、、、この訳してる方すごい努力なさってるなって思った。
坂口 はい。でも、、、そうは言っても日本語とフランス語のとか、、、知識、僕らの知識。フランスならではの歴史とかがあって、それと現実の言葉、現実に対しての言葉遊びとかもいっぱい入ってるわけでしょ? それには残念ながら追いつかない。だからフランス人だったらもっともっと面白いんだな、って思いました(笑)。
植本 あ、でも面白かった! 全く予備知識なくて読んだんだけど、これはちょっとおしゃれだなって思った。
坂口 ウンウン。見ててもきっとわかりやすいが故に感じる部分があるみたいな。コミカルな部分もあるし。
植本 だって途中で、実在のシャロンストーンが出てくる(笑)。
坂口 (笑)。チャリティ活動に熱心で、高級商品のCMに出ているおばちゃんね。
植本 有名な女優さんですけどね。
坂口 しかも彼女とのシーンは、真ん中から後位になるんだけど、最初はこの、、、最初からやろうか(笑)。



植本 いいですよ(笑)、話を追ってね。まあ、産まれました。すでに特徴があってね、それこそ視力が弱かったり太ってるんですけど。産まれた時がもう9000gですからね。
坂口 生まれて一週間でブリの体重は12kgになっていた。
植本 まあそれは両親とも気にしてません、自分達の遺伝子だから。でも学校に行くようになって、いじめられたりとかして。
坂口 ものすごい太っちゃうんだよね?
植本 小学校の時に50何kgでしたっけ。
坂口 で、もう一つ要素があって、従兄弟だっけ? 父親の?
植本 奥さんの義理のお兄さんって書いてあるけど。
坂口 まあ親戚みたいなものですよね。そこの夫婦が、
植本 よくこの家に訪れているんですけど。その娘が、ペチュラ。
坂口 が、ペチュラは10歳かな。ブリは7歳。
植本 ペチュラはちょっと歳が上なんですね。
坂口 恋仲になっちゃう。
植本 早いですね
坂口 結構立派なラブシーン。
植本 そうですね。大人だね(笑)。
坂口 会話としては大人。
植本 フランス人ならそのくらいするか。みたいな感じですけど(笑)。
坂口 小学校行ったら恋愛はするわな。
植本 で、なんてーの。駆け落ちしようか、みたいなことになって。親に一応言うんですよ。でも取り合ってくれない。さすがにね。ふふふ。
坂口 彼女はブリ・ミロの太っちょさ加減に一目惚れするんですね。
植本 そうね。まあ性格も含めなんでしょうけど。



坂口 一目惚れして、ブリ・ミロも彼女を好きになって、で、ある時期に彼女の方がスペインに行きますね。
植本 お父さんが気象予報士なんですけど。これ面白いんですね、フランスの気候にあんまり変化がなくてお父さんとしてもつまらなくてスペインなら面白いんじゃないかって言って、スペインに赴きますけど。
坂口 そこらへんも物語の作りとして面白いですよね。
植本 そこから文通が始まったりして。
坂口 その間に、ブリ・ミロのお父さんは失業しちゃいますよね。
植本 それも社会情勢が入ってるんだなと思ったんですけど
坂口 狂牛病で、、、
植本 牛が全滅してしまって、屠殺人のお父さんは首になるんです。
坂口 なんかちょっと面白いエピソードっていうか。そんで彼は失業してるんだよね。
植本 そうすると彫刻家になるんです。
坂口 ああー、なんで??なんで彫刻家??
植本 なんか、ブリ・ミロが龍を怖がるんですよ。そうすると実際に木で龍を彫って見せて、ブリ・ミロとしては「あ、こっから龍がくるんだ」と思って、そういう出てくるところを見て安心して怖く無くなるっていう。それでそれが良かったんで、そのまま彫刻家になるんです。
坂口 生業になっちゃう?
植本 それで面白いのが、ト書きで、その彫刻が龍が火を吐く。っていうところあって。ここがファンタジー。
坂口 (笑)。
植本 そしてあれですよ、それでシャロンストーンがね(笑)。まあ後々ですけど、ペチュラと離れてしまったことでブリ・ミロが急激に痩せるでしょ。そうすると愛のために痩せた。ってことが世界中に広まって、まずアメリカ大統領からお祝いがきて、で、シャロンストーンは自分のでるCMにブリ・ミロを出演させる。そうするとCMのバックには龍の彫刻が映ってたりするんですけど(笑)。
坂口 お父さんの仕事がそこで活きたってこと?
植本 ま、そうですね(笑)。それで食えてんのかどうかってのは書かれてませんけど。転職は見事になさってます。
坂口 でもさ、ブリ・ミロはあんまり太ってていじめられてて、なんか「俺はロシアの体操選手みたいになるんだ」っていう決意するときがあるよね? あれはいじめられてたから決意するの??
植本 なんか「このままじゃいけない」と思ったんですね、、、どっかでね(笑)。
坂口 でも何十キロか落とすわけでしょ?
植本 30キロかな
坂口 どうやって?
植本 なんか、書いてあったけど、、、運動とかしたんだと思う(笑)。



坂口 家庭の中シーンが多い劇なんだけど、けっこう激しいドラマがあるんだよね。
植本 スパッと読めるから、戯曲としての長さもそんなないんだけど、時間経過は早いです。
坂口 なるほどね。
植本 そうこうするうちに、スペインに行ってたいとこ家族が、フランスに戻ってくるんですけど、、、ペチュラが、ね、、、(笑)。
坂口 なんかを食いすぎて太っちゃうんだよね、、、
植本 パエリアです(笑)。
坂口 あー、パエリアがうまいから食い過ぎて太っちょになっちゃうんだね。
植本 「私の姿を見てびっくりしないで。でもあなたは外見にこだわる人じゃないから」みたいなこと言って、まだ自分が太ったとは言ってないんですけどね。
坂口 彼女が戻ってくる。その時が10歳くらいだね。
植本 そう。で、戻ってくるときの手紙っていうのがシャロンストーンのCMに出たことでブリ・ミロが有名人になるじゃないですか。それで学校の先生とかもちやほやしたりとかして、ブリ・ミロがちょっと天狗になっちゃうんですね(笑)、それに対して「私スペインであんたのCM見たけどちょっと調子にのってんじゃないの、そんなあなた好きじゃない。」みたいなこと言って。
坂口 ああ、そうか。、、、植本さんいつになくしっかりストーリーを把握してるね。
植本 2回読みましたから(笑)。いつになくは余計ですけどね!
坂口 (笑)。



植本 で、それに対してブリ・ミロは改心するんですよね。「確かに僕、調子に乗ってた」て言って手紙にも書いてね。
坂口 そこのところは気持ちいいですよね。彼が改心するっていうか「おお俺やばいじゃん」みたいに思うところはちょっといいなあって思いましたよ。、、、で、彼女が帰って来て、
植本 その後、駆け落ちするでしょ。 カレー駅ってとこに行くんですけど。
坂口 これ、具体的に出てくるのはカレー駅だけでしょ? そこに電車に乗って?あ、海だ。
植本 あ。イギリスだ。
坂口 イギリスに渡るんだよね。イギリスの女王に祝福されに行く?
植本 そうそうそう(笑)!ローマ法王じゃダメだって言って、ローマ法王は周りにも似たような衣裳を着た、誰がローマ法王かもわからないし、寝てるんだか死んでるんだかわからないって言って、イギリスのエリザベス女王じゃなきゃダメだ!彼女はクールだから!って言って、ふふふ。
坂口 (笑)、それで行こうとして、カレー市まで。これは電車に乗って行くんだよね。
植本 海が時化てたのかな? そこの駅で止まらざる得なくなってね。
坂口 そこでの話がまたいい話で。
植本 いい話っていうか急展開(笑)。



坂口 電車が止まちゃうわけですよね。
植本 そうすると駅長さんがいい人でね。自分で鬱って言ってますねこの人。そして明日定年退職だって。で、電車の中で泊まっていいよって言ってくれたのですが、そこには自分達だけじゃなくて、、、どこの国だっけ、、、
坂口 あーー戦争してたね、、、
植本 えーっと。アルバニアだ。アルバニアから逃げてきた兄妹、お兄ちゃんと妹がいて。
坂口 そこでいきなり、、、
植本 あの、、、ブリ・ミロとペチュラの二人の恋は、冷めてしまった。一気にね。
坂口 それぞれが、アルバニアの兄妹を好きになっちゃう。
植本 一目惚れ、でね。
坂口 別に理由はないんだよね? 一目惚れ。
植本 突然なんだもん。
坂口 すごいね。
植本 「私たち破局ね」って言って(笑)。
坂口 で、ブリ・ミロはその妹を好きになって、ペチュラはお兄さんを好きになっちゃったよね。、、、それありかな?
植本 、、、ありじゃないですか?
坂口 いや、いんだけどさ。おやおやって、、、ここはよくわかんなかったな。わかるけどわかんないんだよな。



植本 う~ん、なんか、きっと全然違うんでしょうね。戦争から逃れてきた兄妹は自分達が会ったことない人たちなんだろうな、と思うと、ありえるな、と思います。
坂口 そんでまあ、二人の恋は終わって、でも仲良しは仲良しなんだよね。
植本 そうなんです。あともう一つ(笑)。そこにやっぱりシャロンストーンが追っかけてきてて、どうやらブリ・ミロのことが大好きらしくてね。でも、ここでの彼女の書かれ方が酷いでしょ「ゲスで!」みたいなね(笑)。
坂口 嫌いなんだね、作家がシャロンストーンを(笑)。
植本 いいのかなっていうくらいけちょんけちょんに書かれていて。で、ブリ・ミロはお断りするんですよね。僕にはこの人がいるから、とかって。そうすると彼女は駅長さんと仲がよくなっちゃう(笑)。
坂口 駅長は独りで寂しがってたから、
植本 「明日から定年でいくらでも時間はあるから旅行に行こう」って、、、シャロンストーンと多分旅行に行くんです(笑)。
坂口 ハッピーな話で、、、良かったでしょ?
植本 えへへへ。急展開で面白いですね。



坂口 だけど、アルバニアの兄妹は、、、
植本 国に帰りますね。
坂口 戦争してるんですよね。
植本 だからブリ・ミロやペチュラが「一緒に行く」っていうんですけど「戦争だからこない方がいいよ、ここの方がいいよ」って言って住所渡されて、「戦争終わったらくれば?」みたいな。
坂口 それでどうするの?
植本 で、別れて、最後は二人、ブリ・ミロとペチュラになって。私達やっぱり仲良しだよね。って言って、僕、将来駅長になるって言って。
坂口 え?駅長になるって言ってんだ。
植本 うん、ブリ・ミロはね。
坂口 ふ~ん。
植本 で、抱きしめてよ。って言って、あの、、、線路の砂利の上を歩く足音や、電車が出発する音が聞こえて、、、なんか最後の方読んでて、もはや日本のアングラだなって思いました(笑)。
坂口 あーーはいはい。だから僕らが説明するとわかりづらいけどさ、これ読んでると、状況がわかるようにモノローグが入るでしょ。 お父さんとお母さんとブリ・ミロの状況説明、心境説明が入る。それもなんかいいタイミングで入りますよね。それが終わるとまた会話になっていくからわかりやすい。
植本 わかりにくいとこ、どこもなかったですけどね~。これ僕今年ね、『アメリ』ていうミュージカルやったんですけど、やっぱり同じフランスだからなのかちょっと似てる。それもアメリが産まれるとこから始まって、それは女の子が主役だから。
坂口 ずいぶん昔に観た映画は面白かったです。
植本 で、奇妙な癖のある彼氏と出会って周りの人と関わって行くみたいな話で、似てるなって思って。
坂口 そうですね、あれも、断片断片の。ずーーっと物語が繋がっていなくて、場面場面みたいな形でしたよね。



植本 この方なんか調べてもあんまり日本語のものでは出てこなくて、向こうでは有名なのかもしれないけど、日本ではまだまだなんだなって思いました。
坂口 どうしてだろう。
植本 ね。せっかく本も出てるからどっかがやっても面白そうだなって思うんだけど。ボリューム的にも、登場人物の数にしてもちょうどいい感じがしてね。
坂口 わかりやすさもそうだしね。彼が太ったり痩せたり、そういうことはちょっと大変かもしれないけど。
植本 うん、この大統領にしたって、ビルゴアブッシュって色んな人の名前が入ってるみたいな人が出てくるでしょ(笑)。
坂口 フランスでいえばエスプリ?が効いてるっていうんですかね。面白いですよね。
植本 よかったぁ。編集長が自分で持ってきて「あんまり」っていうのかなって思って(笑)。



坂口 いやいや、これ、まず退屈しないのがいいです。で、突拍子も無いことがいっぱい出てくるし、言葉言葉の、、、今はストーリーをメインに話をしてるけど。夫婦の、お父さんお母さんやブリ・ミロの会話とか。従姉妹とのやりとりとかも結構ウィットに富んでる、楽しい会話ですね。ダイレクトな会話だけじゃなくてね。そこのニュアンスも楽しめる劇だと思うんです。
植本 あそこも良かった。ブリ・ミロが学校でいじめられた。それが、お父さんお母さんにしても初めて外の悪意に晒された、みたいなことを言ってて。それまでに家庭の中に悪意というものがなかった。みたいなことが読んでて面白かったですね。
坂口 そうですね。無菌状態みたいな。
植本 まあね(笑)。充分変わってるんですけどね家族としては。
坂口 なんか作家は、自由な人なんだなと思いました。
植本 多作みたいだね。この時点で、これ2008年かな?結構前なんだけど、そこでもう40作くらい書いてる。
坂口 フランス語だから世界にあんまり広まっていかないのかな?
植本 日本に、ってことかな。世界ではきっと結構やられてるんだろうし。賞もたくさん獲られてるみたいだし。だから、いいんじゃないですか。この対談、誰が読んでるか知らないけど、この方を世に広めるってことで(笑)。
坂口 この一作しかちゃんと読んで無いけど、これに関しては、もういつどこで誰がやってもいいんじゃないですか? でも、ほんとにいつになくちゃんと覚えてるね、あんた。
植本 うん、、、昨日の夜も2回目読んだし。いつも読んで、そこから何日か空いて臨むと、やっぱ忘れちゃうんだよね(笑)。ギリギリで読まないと。
坂口 じゃあ毎回ギリギリで読みなさいよ、ハハハ!
植本 忘れるでしょ?
坂口 忘れる!忘れたら植本さんに聞こうって思ってるから。まあ大丈夫。
植本 俺はね、この企画ちゃんとやらなきゃって思ってるからさ。フフフ。
坂口 ハハハ。じゃあ、今日はこれでおしまい。ありがとうございました。


植本 純米

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うえもとじゅん岩手県出身。89年「花組芝居」に参加。以降、老若男女を問わない幅広い役柄をつとめる。主な舞台に東宝『屋根の上のヴァイオリン弾き』劇団☆新感線『アテルイ』こまつ座『日本人のへそ』など。

【出演情報】
四獣『ワンダーガーデン』
作・演出◇わかぎゑふ
出演◇桂憲一 植本純米 大井靖彦 八代進一
11/9~11◎ウィングフィールド(大阪)
11/13~18日◎シアター711(東京)


坂口眞人

さかぐちまさと○84年に雑誌「演劇ぶっく」を創刊、編集長に就任。以降ほぼ通年「演劇ぶっく」編集長を続けている。16年9月に雑誌名を「えんぶ」と改題。09年にウェブサイト「演劇キック」をたちあげる。

(文責)坂口眞人



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