第51回「金沢というか隣人」

DSCF9770


以前住んでたマンションの隣の部屋に、たまたま友人の友人が住んでまして、
ほどなくして、元々の友人を介してその隣人とも友人となり数年。
たまにどちらかの家でラフな食事会などもしたりと‘友人’っぽいこともしつつも、それはごく稀であって、基本的には、すれ違えば近況を軽く話したりといった、言うなれば、程よい距離感であった。そして、お芝居はいつも必ず観に来てくれるというとても感謝な人であった。
やがて私の部屋の目の前にドンと立派な家が建ち、ドンと景観が塞がれてしまい、ほぼそれによって私は引っ越した。隣のマンションへ。
よって、隣の部屋だった隣人は、隣のマンションの隣人となり、つまり隣人という関係には変わりはなかった。
そんな‘永遠の隣人’な隣人が、少し前に、ご実家の事情で地元だという金沢に戻った。
その元隣人に会いに行ったわけではないのだが、結果的にはたまたま会うことになったのだが、金沢に行ってきた。数日。初めて。
古都古都とは聞いていたのだが、駅を降りてまずその近代感に襲われそうになった。
古都じゃないじゃん。
と思ったのは駅周辺のわずかなエリアくらいで、古都な感じが徐々に徐々にリアルに押し寄せてきた。
2日間ほど、めちゃめちゃ歩いた。
歩いたというか、歩きたくなる町だった。
不意に現れるザ・古民家。不意に、小道。小道に誘われ歴史臭バリバリの家並みの合間を進んで行くと不意に立派な庭園。はたまた不意に崖。崖からの開けた眺望。と思いきや不意に超デザイナーな建物。そして、不意に80歳のお婆ちゃんが営む最古参のバー。
写真撮りたい欲は止まらず、結局何枚撮っただろうか。と、そろそろ帰る時間が近づいてきたなと思った時に、不意に浮かんだのが、元隣人だった。
急いで電話してみると、元隣人は元隣人らしく、ちょうどすぐ近くにいた。金沢に戻っても隣人感が褪せないとはさすがである。
そして新幹線の時間ギリギリまで飲んだ。
そうして別れてから気が付いた。せっかく再会した元隣人の写真を撮っていなかった。
うん、程よい距離感なのであります。
ちなみにこれが、金沢で撮った最後の一枚なのでした。
街並みでもなんでもないじゃんって。


ノゾエ征爾
ノゾエさん

のぞえせいじ○75年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の99年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。11年 の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。


【次回予定】
世田谷パブリックシアター@ホーム公演
「チャチャチャのチャーリー ~愛しのお姫さま~」(新作)
2017年6月11日~12日 
於:世田谷区内の高齢者施設、障害者施設、福祉施設、十数か所
作・演出:ノゾエ征爾
出演:山本光洋、たにぐちいくこ、井本洋平、ノゾエ征爾
音楽協力:田中馨
https://setagaya-pt.jp/performances/201706athome.html

第50回「いまさらながら、ロンドン」

DSCF8543

というわけで、いまさらながら、ロンドンに行ってまいりました。
‘いまさら’というのはもちろん自分の置かれている状況基準での‘いまさら’であって、つまり私の周りにはロンドン行ったことあるって人がかなり多いというか、「行ったことないの??」と激しく驚かれることがとても多いという状況を基準にした‘いまさら’であって、さらに言えば、欧州自体も初めてでありました恥ずかしながら。って恥ずかしいなんてことは何もないし、世界各地を見て回った人間が何かに秀でているとか素晴らしい人間になっているということも何もない。ただただ、初欧州、初ロンドンでありました。
好きか嫌いかで言えばすごく好き。歴史が深いとかそういうのは置いといて、ひたすらに魅了されて街すべてに、カメラ欲が止まらなかった。言ってしまえば、初めて行く場所は大抵そうなんだけど。
8日間滞在して7本芝居を観て、パブの奥にある小さな劇場からいわゆる大き目なところまで基本的に飛び込みで観てどれもすごく面白くていやはやこれがさすがロンドンってやつなのかあと感心してたら最終日に観たものがそれまでに観た全てを帳消しにしてしまうほど残念なもので、あ、そうだよね、さすがのロンドンでもこういうのあるんだよねとちょっと‘リアル’に触れられた気もしてそれも良かった。
一つ残念だったと言えば、撮りまくった写真の何割かが消えてたことでしょうか。まあ、それはそれとして。

ノゾエ征爾
ノゾエさん

のぞえせいじ○75年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の99年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。11年 の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。


【次回予定】
世田谷パブリックシアター@ホーム公演(高齢者施設巡回公演)
『チャチャチャのチャーリー ~愛しのお姫さま~』(新作)
2017年6月中旬~下旬 
於:世田谷区内の高齢者施設、障害者施設、福祉施設、十数か所
作・演出:ノゾエ征爾
出演:山本光洋、たにぐちいくこ、井本洋平、ノゾエ征爾
音楽協力:田中馨

第49回「まあ、賭けですわね」

ラスベガス

宅配の時間指定をしておきなから不在というのは絶対にやってはいけないことの一つと考えているのでありますが、特に我が家などは、5階なのにエレベーターがないので、部屋に到達するだけでも通常の宅配の10軒分ほどの体力を要するというもので、なので、不在ダメよの尚更度はまたグンと上がる。
なので、例えば12時~14時の間でお願いしていた場合、万全のスタンバイでもってピンポンが鳴れば秒単位の即度で出れるようにしているのでありますが、たまーにトイレ問題というのがある。たかが数分かもしれないが、ジャストその瞬間に来てしまったら最悪の場合出れない時もあるかもしれない。
そうなってくると、「賭けに出る」ということになるのであります。
2時間の間のこの数分にピンポイントで来ることはないだろう、と賭けに出てトイレに飛び込む。多くの場合はその賭けには勝つ。ほらみろ、勝っただろうと、ちいさな優越感にひたるってものなのでありますが、意外と負けることもそこそこある。
負けるとどうなるのか。中途な状態。である。敗者の罰に似たようなもので、中途な状態で、中途な状態が絶対にバレないように、中途半端な対応で応対する。という羽目になる。
このように僕らは、基本的にたくさんの賭けの上で生活しているのであって、賭けを乗り越える時の心持ちは一つ、「大丈夫だろう」。
何の根拠もない、「大丈夫だろう」だけである。
そしてボクはまた一つ、賭けにでる。
テロがここ数日また順繰りに頻発している欧州に行く。テロの頻発に加えてアメリカがシリアに大量のミサイルを撃ち込んだ。なんだか、世界的に、ものすごく、穏やかではない。
なか、英国へ行く。この稿がアップされる頃、僕はビッグベンなどを悠長に眺めている予定となっている。
それもこれも全て、賭けに勝ったならば、ですが。
まあ、大丈夫だろう。かな。どうだろう。どうなんだろう。実に穏やかではない。


ノゾエ征爾
ノゾエさん

のぞえせいじ○75年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の99年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。11年 の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。

最新記事
日刊えんぶ
ラインナップ

池谷のぶえの人生相談の館

松崎ひとみサムナツ活動日記

一十口裏の妄想危機一髪

小野寺ずるのお散歩エロジェニック

粟根まことのエッセイ「未確認ヒコー舞台:UFB」

松永玲子のエッセイ「今夜もネットショッピング」

ノゾエ征爾のフォトエッセー「桜の島の野添酒店」

植本潤(花組芝居)vs坂口真人(演劇ぶっく編集長)対談「『過剰な人々』を巡る♂いささかな☀冒険」

ふれあい動物電気

kugiri

池谷のぶえの国語算数理科社会。

南信州・駒ヶ根だよりby劇団サムライナッツ

演劇キック
ラインナップ

演劇キック

観劇予報

宝塚ジャーナル

演劇人の活力源

えんぶ情報館

kugiri

えんぶショップ

えんぶミロクル

えんぶfacebook

演劇キックツイッター