フォトエッセイノゾエ征爾(はえぎわ)「桜の島の野添酒店」

第47回「北九州」

image1

北九州に来ています。
1月18日からいるので、もう約一か月いるでしょうか。
北九州に滞在して、稽古して、公演です。
慣れない土地に住むと、まず、そこの土地の新鮮な魅力に好奇心が止まらない期間があって、普段との違いに慣れるための期間があって、それを超えると、好き(もしくは嫌い)になる期間に突入して、
今ようやく、落ち着いてきたところでしょうか。
そう、なんだか妙に落ち着くのです。
人も町も、気さくで飾らないので、こっちも東京ではあまり歩かないような格好とかで平気で歩けちゃったりします。
東京では、ヒゲを剃らないのは3日が限界といったところですが(ボンとカールおじさんみたいな生え方をするので)、こっちでは、さらに1日2日平気です。
着飾る人も、真逆の人も、誰も浮かない。浮かないといのは、受け入れてくれるということでしょうか。そんな印象でしょうか。
気候的には、冬場は曇天が多い地域なのですが、住まう人々の気持ちよさがそれを忘れさせてくれるような。
そんな土地で過ごして出来上がってきた作品は、自分が10年前にやってたようなタイプのもので、もう自分にはそんなモードはないのだなとどこか寂しくも思っていた矢先に不意に戻ってきたので、妙に嬉しいのです。
この土地の普通の生活者たちに届くような、そんな作品に行き着けたら最高だ。


ノゾエ征爾
ノゾエさん

のぞえせいじ○75年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の99年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。11年 の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。


【今後の予定】
北九州劇術劇場プロデュース公演
『しなやか見渡す穴は森は雨』

0226nozoe1-280

作・演出:ノゾエ征爾
・北九州公演:北九州芸術劇場 小劇場 2017年2月26日~3月5日
・東京公演:あうるすぽっと 2017年3月10日~12日
http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/event/2016/0226nozoe.html



第46回「らすべがす」

DSCF3236

人は遊ぶ。
遊ぶために働く。
働いては遊ぶ。
遊び過ぎては、遊び過ぎたと妙に慌ててまた働く。

そこは、働く合間に人が訪れる場所。
みんな目的は一つ。
「遊ぶ!」
受け入れる側も想いは一つ。
「遊んで!」
人々は、働いて得たお金をバンバン落としていく。
ニューヨークやパリやローマやエジプトのような歴史も文化もないけど、
ニューヨークやパリやローマやエジプトなどをコンセプトにした巨大なホテルが立ち並ぶ。
一つ一つのホテルの中は、ほぼ一つの街。
そしてほぼ必ず、一階には広大なカジノが広がる。
夜になると、半裸の女性が方々の台の上で踊り狂う。
現実感がない。そりゃそうだ。現実から離れたものを求めてみんなここに来る。
たまに、町の隅で寝そべるホームレスが現実に引き戻してくれる。
300メートル以上の高さのタワーの上から、上空に放り出されて(アトラクション)、
煌めきまくるネオンの街並みを眼下に、僕は叫んだ。
Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhaaaaaaaaaaaaaahhhhhh
ただ叫んだ。ただただ怖くて。


ノゾエ征爾
ノゾエさん

のぞえせいじ○75年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の99年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。11年 の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。


【今後の予定】
北九州劇術劇場プロデュース公演
『しなやか見渡す穴は森は雨』
作・演出:ノゾエ征爾
・北九州公演:北九州芸術劇場 小劇場 2017年2月26日~3月5日
・東京公演:あうるすぽっと 2017年3月10日~12日
http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/event/2016/0226nozoe.html



第45回「1万人」

DSCF1399

蜷川さんが亡くなって、
当初の、脚本だけから、加えて演出もやらせていただくことになって早、半年強。
「1万人のゴールド・シアター2016」。
思い返せば、相当キツイ時もたくさんありましたが、
2016年12月7日、さいたまスーパーアリーナにて、なんとか、本番をやり終えることができました。
1600人ほどの60歳以上の出演者は、慣れない演劇という現場の稽古をよくぞ乗り越えて、一つになってくれたと思います。
本番での彼らはとっても頼もしく見えて、涙ものでした。
そしてなによりも、スッタフさんのみなさま。
ありえないようなスケジュールも、誰一人苦言を挙げるわけでもなく、粛々と作業をこなし、本番を滞りなくこなされた。
苦言を言いたくなるようなことは山ほどあったと思うのだが、今それをいったところで、、、というところだろうか。前に進むことだけを考えていたのだと思う。心から感激した。
これも全て、蜷川さんが育ててきた人々のしたこと。
表現家は、時には、結果さえよければ、過程は見逃されがちだと思われがちだが、一切そんなことはない。
良い現場では人がきちんと育っている。
世間では、怒鳴ることで有名だった蜷川さんも、つまりはそこをとても大事にしていたのだ。
結局、人と人との関わり合いなのだ。
くさい表現かもしれないが、「愛」なのだ。
僕は、蜷川さんと関わった人々を通して、蜷川さんの偉大さを痛感していっている。
いやはや、偉大な人の偉大さとは、計り知れないものだ。

ノゾエ征爾
ノゾエさん

のぞえせいじ○75年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の99年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。11年 の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。

今後の予定
北九州劇術劇場プロデュース公演
作・演出:ノゾエ征爾
2017年3月 北九州、東京 にて




最新記事

web magazine 日刊えんぶ

松崎ひとみサムナツ活動日記

池谷のぶえの国語算数理科社会。

一十口裏の妄想危機一髪

小野寺ずるのお散歩エロジェニック

粟根まことのエッセイ「未確認ヒコー舞台:UFB」

松永玲子のエッセイ「今夜もネットショッピング」

ノゾエ征爾のフォトエッセー「桜の島の野添酒店」

植本潤(花組芝居)vs坂口真人(演劇ぶっく編集長)対談「『過剰な人々』を巡る♂いささかな☀冒険」

ふれあい動物電気

kugiri

南信州・駒ヶ根だよりby劇団サムライナッツ

連載小説「煩悩サンスクリット」山田佳奈

男が惚れる男たち STAR☆JAKCSが大阪からやってくる!

だから芝居はやめられないゾ! 〜ほのぼろ稽古場通信〜

『電車という名の欲望』ができるまで。 本能中枢劇団

kugiri

演劇キック

観劇予報

宝塚ジャーナル

演劇人の活力源

えんぶ情報館

kugiri

えんぶショップ

えんぶミロクル

えんぶfacebook

演劇キックツイッター

kugiri