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よく誰かに遭遇する近頃なのでありまして。
たとえば昨日などは、たまたま、一つ前の駅で降りて散歩して帰ってみたところ、加えて、歩くルートも普段ほとんど通らないコースを選んでみたところ、
道端におばあさんが倒れていた。
すでに男の人が介抱にあたっており、超緊急という気配ではなかったのだが、念のためヘルプに入った。入ってみたはいいけど、男の人が色々と手配を済ませており、もうやれることは見当たらなかった。そこで、陽射しが強かったので、おばあさんの頭部を影にする役割を担ってみた。日影を作る以外に何かやるべきことがあるんじゃないかと、はたから見ればただ突っ立っているだけにしか見えない影作りの間、何度も思考を巡らせてみたけど、やはり何もなく、かと言って、介抱している男性を一人にするわけにも行かないし、日影作りに全精力を注いでみたのだった。真夏のような陽射しだったし、救急車が来るまでにそこそこ時間がかかったし、不要ではなかったとは思う。思うけど、救急隊員からは、存在を完全にスルーされた。おばあさん、ご無事でありますことを。
その数日前には、電車で座ったら向かいに座っていたのが大学の後輩で、「どこ行くんすか?」「西新宿」つって話しこんでいたのだが、後輩が降りていった駅の次の駅で駅を確認したところ、それは、西新宿の次の次だった。つまり、後輩が降りた時点ですでに西新宿を一つ過ぎていたわけで。後輩は、突然の再会事件に僕の降りる駅名なんて聞き逃していたのだろうけど、この後輩とは3月にも渋谷でたまたま遭遇し、そのあと乗ったタクシーで、止まる場所を言いそびれて信号二つくらい過ぎたということがあったのだった。ふと思った。あいつは、乗り過ごさせ芸人なのかもしれないな。お笑い芸人なだけに。
また、その数日前には、喫茶店で窓外を眺めていたところ、見覚えのある後ろ姿をみかけ、それは役者仲間であり、見なかったことにすべきか、連絡してみるべきかを数秒迷った結果、メールで「今○○付近を歩いてるでしょ」などと送ってみて、5分後には一緒にコーヒーを飲んでいた。
執筆のために喫茶店にいたのだが、気分転換に彼との'お茶'なヒトトキを楽しんだ。ところが、会話の中でイヤな情報をゲットしてしまい、パソコンをパタンと「飲みに行こう!」となってしまった。
その彼と別れたあと、お酒を飲むと決まってなる、小腹が空いた現象で、近所の行きつけの焼き鳥屋に行ったところ、新しい店員さんがいて、それが、最近東京に出てきたばかりの知り合いだった。お互いに5秒ほど見つめ合って立ち尽くし、聞くまでもないことを聞いていた。「何してんの?」「働いているんす」。
いい偶然は奇跡。そうではない偶然は不運。とはよく言ったもので。
大きな不運にはなるべく巡り合いませんようにと、不運が重なる自分のショットを見て思ふ。


ノゾエ征爾


ノゾエさん

のぞえせいじ○75年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の99年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。11年 の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。

【今後の予定】
世田谷パブリックシアター@ホーム公演
(世田谷区高齢者施設巡回公演)
「チャチャチャのチャーリー 〜風に吹かれて、森の花嫁〜」
作・演出:ノゾエ征爾
出演:山本光洋、たにぐちいくこ、井本洋平、ノゾエ征爾
2015年6月上旬〜下旬 
於:世田谷区高齢者施設等各所


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