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こどもも楽しめる演劇ということで「気づかいルーシー」という作品に取り組んでいる最近でありますが、そのワークショップで、松本、富山、広島に行ってきた。
劇中にあるダンスと、ちょっとしたお芝居を一緒にやりましょうといったものであったが、
ふとワークショップ中に立ち止まり、こどもに自分はどう見えているのだろうかと、ふと思ったのであります。
自分がちびっこの頃に接した40過ぎの男の人を思い出してみると、例えば、あの先生は今思えばそれくらいだったのかとか、あの遠い親戚もそれくらいだったのかということをチロチロと思い出されてくるのであるが、どの人もものすごくおじさんなのである。
自分がその領域に入っていることに驚くというか、自覚がないことに驚く。
そんなつもりでこどもたちと接していなかった、どころか、もっとなにか、おかあさんといっしょのお兄さんのような、そんなつもりだった気がする。
要はそれは、ものすごく違ったのだ。
自分は紛れもない‘おじさん’なのであり、ちびっこから「おっさんが無理してはしゃいでんじゃねーよ」と思われている気がして、おもむろに声色がひるむ。
おじさんはおじさんらしく、私が接してきた歴代のおじさんたちのようなきちんとしたおじさん臭を発していくべきなんじゃなかろうか。発していくべきなんじゃなかろうかというか、そんなものはとっくに漂いまくっていて、つまりだから、おっさんのくせにはしゃいでんじゃねーよってことになってるんじゃなかろうか。いや、そうなのだ。
そんなことがグルグル頭の中を巡り出し、もう今日は帰ってしまおうかと思ったその時、ちんちんに強烈なパンチが入った。ちびっこだ。お尻にも打撃が入る。腕を引っ張られる。服を脱がされそうになる。そしてまたチンチンにパンチが入る。
ああ、遊んでくれてる…遊び相手として認定してもらえた…。おじさんはそう思った。
ちんちん痛いけどおじさん嬉しい。もう、おじさんでもなんでもいい。おじさん、めいっぱいはしゃぐね。
そうしておじさんはまたはしゃぎ始めた。
ワークショップが終わるころ、おじさんはふとまた思った。
もしかして、ちびっこたちが気を遣ってくれているだけなのか…?
だって、自分もちびっこの頃、大人には随分気をつかったもの…。


ノゾエ征爾
ノゾエさん

のぞえせいじ○75年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の99年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。11年 の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。


【次回予定】
『気づかいルーシー』
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原作:松尾スズキ 脚本・演出:ノゾエ征爾
出演:岸井ゆきの、栗原類、川上友里、山口航太、山中崇、小野寺修二、ノゾエ征爾
2017年7月21日~30日 @東京芸術劇場・シアターイースト
8月4日(金) @ハーモニーホールふくい
8月6日(日) @まつもと市民芸術館
8月11日(金)・12日(土) 富山市婦中ふれあい館
8月16日(水) はつかいち文化ホール さくらぴあ
http://www.geigeki.jp/performance/theater148/


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