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松森くんという男の子がいる。
下の名前をモへーという。
つまり松森モへーという。
モへーはもちろん芸名であるが、本名はなんだったか。茂吉とかそんな名前だった気がするが、別にそれはどうでもいいか。
以前僕がENBUゼミでクラスを持った時、初めての授業の日、どんな生徒がいるのだろうと緊張の気持ちで丸ノ内線に乗っていると、髭面に細面の怪しげな青年がチラチラと僕のことを見ていた。
なんかチラチラ見てるな怖いなと思い、あまり見ないようにしていたが、たまに確認しようと目を向けると、やはりチラチラと見ていた。
クラスに着くとその青年がいて、これから始まる授業のことを思うと気持ちが多少沈んだものだ。
それが松森くんだった。
松森くんは、予想に反して、なんか惹かれる子だった。
いい具合にアンバランス。
ヒップホップなイデタチに反して、すごく繊細だったりする。とても繊細に悩んだりする。
こんな表現でいいんでしょうか…?と消え入りそうな声で聞いてきたりする。
と思えば作品の中では、ひたすらぎゃあぎゃあ叫んでたり、全裸になったり、セックスの真似事ばかりを盛り込んできた。
かつての自分を見ているような気持ちになった。
かつて僕も、ENBUゼミで松尾スズキさんのクラスに通っていた頃、松尾さんに心配されたものだ。
ノゾエは頭いいのに、作品をやらせるとセックスの真似事ばかりすると。
20代の間は、脱いだり排泄したり男と女の下半身にまつわる作品ばかり作っていた。
近年の作品しか知らない人に当時の話をすると、ものすごく驚かれる。何度も聞き返されるほど驚かれる。
それだけ今と昔の作品にギャップがあるとのことなのだろうが、自分ではさして違和感はない。脱ぐのに飽きたってだけで、下半身のことも、さすがにもうそんなぶらんぶらんさせてらんない。
そんなこんなで松森くんは、はえぎわで演出助手をやってもらったり、自分で劇団を立ち上げたりして、今もコンスタントに公演を重ねている。
僕のことを師匠と慕ってくれる唯一の演劇人とも言える。
相変わらず脱いだり叫んだりしている松森くんでありますが、見るたびに面白くなっている。確実に結果も残している。
彼がいつ脱ぐのをやめるのか、一生やめないのか。どちらでもいいが、彼がもっともっと活躍する日が来ることを願ってやまないし、いつかその日が来ることを信じている。
って、人の心配してる場合か?ノゾエくんももっともっと頑張りなさい。
松尾師匠にどこかで言われてる気がする。


ノゾエ征爾

ノゾエさん
のぞえせいじ○75年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の99年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。11年 の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。

【今後の予定
世田谷パブリックシー@ホーム公演
世田谷区内の高齢者施設などで上演
2018年4月下旬より。
昨年の動画
https://www.youtube.com/watch?v=G6Rve-dxt1o



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