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 2発目の感想に入る前に少々ボヤきたい。一連のシリーズは、A5判であり、この大きさだと重くて値段も高い(ワンピースの倍以上!)。ターゲットである中高年の老眼対策と高級演出だろうか…積もり積もると財布からグロッキーであるが、買ってしまうのは性(サガ)である。「〆のグルメ」の主人公は出版社勤務の篠原。まず、編集という仕事の大変さが伝わってきた。作家の先生から原稿を頂戴するため、我慢と忍耐と耐久を試され、また、自身の労務管理との兼ね合いも難しそうだが、どうやら新卒にとっては人気の職種のようだ。

 
本作のコンセプトは、仕事の後、或いは一日の終わりをグルメに締めることであり、クエスト達成後の格別の一杯を数多く見ることができる。なお、出版における“〆切り”とかかっているのでは?と毎度蛇足をしてみた。さて今回は、中華屋で〆る話について書いてみたい。ある作家の先生と打ち合わせた後、何気なく入った中華屋。帰社してリスタートという真面目さもあったが、ビールと餃子の組み合わせが働く気力をそぎ落とす。なお、自分こだわりの分量で餃子のタレを作るくだりは、土山先生の独特の世界観だと思って読んでいた。

 
ここでいう中華屋とは、昔ながらのラーメン屋を指しており、屋台伝来50年という看板が味を保証している。そこで提供される良質の連続は、「この店当たり!」という安心感を与えてくれる。さらに「(仕事は)明日でいいや!」というモラトリアムが安堵感を生み、ほろ酔い加減を加速させる。話は変わるが、福本作品のスピンオフ第二弾、一日外出の大槻班長は、立ち食いそば屋でトッピング(と仕事中のサラリーマン)を肴に一杯やっていた。ラーメンやそばの具材はサイズ感もピッタリで、そのままスープで〆やすいことから、ちょい呑みに都合が良いのかもしれない。

 
まあ読んでいて腹は鳴る鳴る、脳内は具材おつまみに支配され、真冬の空の下へ駆け出す。向かう先は、とあるラーメン屋。迷わずネギチャーシューとメンマ盛り、半ラーメンを注文する。クルマだったため、飲めなかったことが残念だったが、期待を裏切らないセットであった。庶民的な味と価格、そのコスパはまさに【味方】と呼ぶに相応しい。いつか、中華屋で飲んでみたい!という夢を持つことができた、そんな時間の過ごし方だった。中華か和食か、そんなことはもうどうでもいい。「ラーメン屋で吞んで〆る…!」もはや極みの世界である。

≪うううっ…あんなものでビールが飲めたら…さぞっ…(byカイジ)

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<発行日>

 20161228

<著者>

 土山しげる (敬称略)

<発行所>

 双葉社