司様の行動はわかりやすい。
気付いていないのは本人だけだろう。
 

コンビニなんて寄ったこともなければ、興味すらなかったはず。
それがあのコンビニに行く為に仕事も1.5倍速でこなされるし
缶コーヒーにも詳しくなり(1つの銘柄だけだが)
ついには、おでんまで興味を持たれた。


「西田、おでん知ってるか?」

「はい。」

「お前は何が好きだ?」

「…大根でしょうか。玉子もいいですね。」


司様がパッと顔を明るくした。


「お前も玉子か!俺は厚揚げも良かった。
しらたきはどうだ?」

「しらたきよりはコンニャクですかね。」

「コンニャク?」


食べてないのだろう、眉を潜めて考えている。


「今日はコン…コンニャク?だな。」



SPから聞いていた。
司様が大量のおでんを買い、車内で食べていたと。
元々食事に興味を持たれない方だ。
どれだけ取るように進言しても、抜いてしまう事も多かった。



今、西田はあるファイルを持っている。
御曹司が興味を持たれた女性。
コンビニでおでんを買わせる女性。
(潔癖な司様は得体の知れない物は口になさらないはず。
なのに口にされた。)


一見普通の女性だ。
庶民的ともいう。
何が(どこが?)司様の琴線に触れたのだろうか。
非常に興味深かった。
そして気になっている。
司様は、次はコンビニで何を買われるのかと。











視察先からまっすぐ来た。
これから会社に向かう。
今日は徹夜になるかもしれない。

だから今日は赤い缶コーヒーを買うにはうってつけだった。
明日朝から飲めるようにな。



「いらっしゃいませ~。」


今日は店内に外国の客が多い。
体格のいい男達が多く、司は紛れ込める気がして助かっていた。
だがSP達の思惑は違うようだ。
いつもは店の外にいるSPが二人、店内に入ってくるが放っておく。

彼女の姿を探すので忙しかったから。
今日は二人の男性店員と彼女がいる。
品出し?をしている彼女にさりげなく司は近づいた。

こないだのおでん、美味しかったですって言うべきか?
肉は味が抜けて…いや、ダメだ。
それはまずい。
コンニャクどれですか?だ。
でもレジにいねぇとダメか。


「あ。」


彼女が入り口を見て立ち上がった。
笑顔を見て、司はドキッとした。


「もう!ホントに来たの~?」


笑いながら彼女が話しかけている。
軽くウェーブのかかった髪、柔らかな雰囲気の女が笑いながら彼女に近付いてきた。


「お姉ちゃんが車で迎え来てくれたから、寄ってもらったの。
すっかりコンビニ店員さんじゃん。」

「そうだよ、もう半年だもん。」

「ね、ね、何か外国の人多いね!皆おっきいわー。
何か聞かれたらどうすんの?」

「ゆっくりなら何とかね。あ、前に話したマカロン今日あるよ。」

「やったー!買ってく買ってく!
オススメしてたやつだよね。」


司は聞き耳を立てていたが一ヶ所にいると怪しいので
しょうがなくドリンク売り場に向かう。
友達だろう女はレジを済ませ、手を振りながら帰って行った。

…マカロンって言ってたな。
司はそれを買おうとしたが、売り切れていた。
(くっそー!)


気を取り直し、膝をつきまた商品出しをしている彼女の側にきた。
マカロン好きですか?って盗み聞きバレバレじゃねぇかよ!
マカロンが売り切れてるんですけど…いやそれもまずい。


「何かお探しですか?」


はた、と気付くと下から見つめられていた。
この上目遣い、たまんねぇんだけど。
じっと見つめられ、司は心臓がバクバクとした。
なんだ、えーと、おでん?マカロンはダメだぞ。
えー…コンニャク?
ちょっと待て、他に気の利いた言葉は…
その時、司の目に止まったものは…


「…それ、は、店の前にある旗の…」 


指を指して聞いた。


「あ、そうです。“ローにゃん”くじです。」

「くじ?」

「くじの代金をレジでお支払い頂き、くじを引くんですね。
1等から残念賞まであるんですが、まだ1等と2等も入ってますよ。」


にこにこしながら話す彼女はとても可愛かった。
白ねこのぬいぐるみが青と白のストライプユニフォームを着ている。 
このコンビニの制服…なるほどオリジナルキャラか。


「中々、1等と2等が出なくて。」

「そうなんですか?」

「マメに通って引かれる方も多いんですよ。私は2回チャレンジしましたが
2回とも残念賞のクリアファイルでした。
くじ、チャレンジしてみます?」

「あ、はい。」



SP達は耳を疑ったが、顔には出さず警護の為
周囲に目を光らせていた。

奥の閉めていたレジに彼女が立ち、2回分の代金と缶コーヒー代を払う。
くじを引き
(よくわからなかったが言われるまま。)
開けた彼女が目を見開き司を見た。
そしてまたくじを見る。


「うわっ!すごい!1等と2等ですよ!!
初めて2つ当てた人見ました。」


SP達は司のくじ運の良さに驚愕していた。
(何もかも持ちすぎだろう!?)


彼女がレジから出てぬいぐるみを2つ持ってきた。
30㎝はある白ねこと、15㎝ほどの白ねこ。


「おめでとうございます!」


司はコクコクと頷いた。
ぬいぐるみ2つに自分でも驚く。
(いらねぇし!)




あ。






大きなぬいぐるみを彼女に差し出した。


「どうぞ。」

「へ?」


おっきい目をぱちぱちさせている。


「男が持っててもどうしようもないんで。
小さいのは…姉にあげますから。」

「へ?でもせっかく当たったので…。」

「いつもありがとう。」


司が微笑むと、彼女が笑った。


「い、いいのかな。
ありがとうございます。」


司はまた微笑み、小さなぬいぐるみを持って店を出た。
離れた場所に停めてるリムジンに戻るとSP達が一瞬、司の手元を見た。
スルリとリムジンに乗り込む。



リムジンの中でまじまじとぬいぐるみを見ていた。
白ねこは彼女と揃いのユニフォームを着ている。





姉貴になんかやらねぇよ。




好きな女とお揃いなんだから。










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