※このお話は、〈西田秘書の静かな休日 3〉と
同じ時系列となっています。








あまりにもあいつが真剣だから。


道明寺ホールディングスの副社長は、後ろからそうっと覗いてみた。
煎餅をバリバリ音を立てて食ってるから気付いてねぇ。
俺を見つめるより真剣じゃねぇか?
分厚い雑誌を手に取り、何やらブツブツ言ってやがる。


「…へぇ。まぁるいヒップねぇ。ホントかな?
おお~脇と背中スッキリブラ?
ふむふむ。
ハミ肉しないって魅力的だなぁ。
段々背中につくんだよねー。」


目を細めて確認する。
なんだ、女の買い物用かよ。


「……寺、道明寺ってば。」


気付くと大きな瞳が司をじっと見ていた。


「お、おう。」

「仕事終わったの?」

「いや、先方からの返事待ち。
何さっきから真剣に見てんだよ。」


さりげなくソファーに座る。
つくしの横に腰かけた司は、その雑誌を覗きこもうとした。


「ん?通販のカタログ。
これ見るの好きなんだ~」

「…へぇ。」


まだ俺の知らないお前の好きがあったんだな。


「何でも載ってるんだよー。洋服とかインテリアとか。」

「下着も見えたぞ。
お前、下着は俺の土産が沢山あるだろ。
確かに際どいのもあるが…最近履いてねぇよなぁ。」

「だって高いから勿体ないじゃん。」

「普段使いすればいいじゃねーか。」


つくしがジロッと司を睨む。


「あれは普段用じゃないわよ。
洗濯機で洗えるのが普段用っていうの。
貰ったのは…贅沢下着でしょ。勝負下着っていうか…。」

「たまには俺に向かって勝負しろよ!」

「ハイハイ。」


パソコンからピーーッと音が鳴った。
しぶしぶソファーから立ち上がりリビングのパソコンに向かう。
キーボードを打ちながら、チラチラとあいつを見た。
鼻歌を歌いながらカタログの上の部分を折り曲げていく。
すげぇ、しるしだらけだな。
そんなに気に入ったのか?
あいつを盗み見ながら 俺は微笑んでいた。







思いがけない休み。

予定していた出張が、向こうの都合で延期になり
今日予定していたパソコン仕事さえ終われば明日中オフだ。

そうなったら…まずは会いに行くだろ?
次の日を気にしなくていいんだ。
そして、キスしてヤリまくる。


サプライズであいつの部屋に行った。
もちろん在宅していることは、あいつの警備から聞いて分かっていた。
合鍵を使って入ったら…


「ほぇ?」


だとよ。
あの呑気な顔!
また白いマスク?をして俺を出迎えてくれた。
風呂上がりでいい匂いのあいつ。

勿論、俺は決めた事は実行する。

あいつも 明日仕事だの、明日朝早いとかいうお決まりのセリフもなし。
俺も空になるぐらい出しまくったしな。
思い出しただけで固くなるほどエロチックな夜だった。

そして、ゆっくり起きた俺たちはベッドの中でイチャイチャした。

あいつが起き上がれないから、邸のシェフの朝食を運ばせて
二人で食べさせあった。


これが休みだよな。
リラックスするのはこいつの側でしか出来ない。
楽しませたい、見せてやりたい、買ってやりたい、と旅行や出かける気分の時も多いが…
あいつはこんな休みを喜ぶ。

結局、相手が幸せそうなら俺たちはそれが幸せなんだ。
どこに行かなくても、何をしなくても。


朝食後はまったりと過ごしていた。
こいつの小さな部屋もいいな。
どこにいてもあいつがわかる。
匂いや気配、あいつの鼻歌でさえも俺を和ませる。


ベッドから出てラグの上に座る。
そしてテーブルの上に置いていたカタログを見始めたわけだ。

ちゃんと仕事もしてるぞ。
あいつばかり見ているワケじゃねぇ。
だが…せっかくのオフに俺の仕事まちなんだ。
退屈してねぇかとか、そりゃ気になるだろ?
(いつも見ときたいのもあるがな。)




あれからまたメールの着信を知らせ、それからしばらくは仕事に集中した。
ハッと気付くとかなり時間が経っている。
日が大分落ちて…

やべぇ、あいつをほっときすぎたか?

慌てて立ち上がりベッドルームへ向かう。




あいつは…くぅくぅ寝ていた。
ベッドに横たわり、すっげぇ可愛い顔で。


「待たせ過ぎた、わりぃ。」


小さく呟くと、あいつの側にあるカタログが目に入った。


道明寺財閥の御曹司は、初めて通販雑誌を手に取ると
ラグの上に座り、つくしがページを折った所を見始めた。